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TSFのSS「ターニング・ポイント」

4luci★:2016/11/02(水) 00:57:54 ID:???0
 一難去ってまた一難だった。高遠は全裸のまま派手に胸を揺らして全力疾走していた。
(くそっ、なんだってこんな目に……全裸とかありえないだろうっ外に出られないじゃないかっ)
 男ならばまだ良かった。少なくとも股間だけを隠せれば何とかなりそうだった。しかし女ではそうはいかない。胸も股間も隠さなければ。そんなことが頭をよぎると、急激に羞恥心を煽ってくる。自然と歩幅は小さくなりスピードも落ちていく。
(どこかに、服っ)
 頭の中に施設図を展開するまでもなく、開けっ放しの自分の研究室を思い出した。もともと研究員たちが思い思いに白衣を置いて行っている。先ほどまで着ていた白衣もその誰かのものだった。
 既に二階まで降りていた高遠は踵を返して階段を昇って行った。

 全身を黒っぽい服装で統一した彼は、アユムタカトオの死体と白衣の女を確認した後、足早に研究室へ向かった。途中、人の気配を感じたような気がして非常階段を急ぐ。
 それまで厳重に閉じられていた研究室の扉は、指一本で開いた。闇に慣れた目は濡れた床をみとめて慎重に、しかし素早く室内を検索した。どうやら何かが培養機器から出て行った、ようだった。PCを見つけるとUSBメモリーを接続した。パスワード解除用のソフトウェアを起動させ、研究データのフォルダ階層まであと一歩のところで廊下から音が聞こえてきた。
 手早くUSBメモリーを抜き取ると机の下に身を隠す。同時にそろりと扉が開いた。
 ひたひたと彼の隠れた机の前を足音が通過する。
(――白衣の女?、やはりこいつ、んん?)
 丁度目の高さに股間があった。女の茂みが目に入る。少しだけ呆気にとられ見送ると椅子に掛けられた白衣に次々と嗅いでいく。三着目で納得したのかシュルっと袖を通した。
 そして女は机の引き出しから素早く何かを取った。彼は腰のナイフのハンドルを握り飛び出す瞬間を狙う。
「!!!」
 廊下の遠くで声がした。その瞬間、女は研究室を飛び出していた。
(ちっ)
 軽く舌打ちしてから、女を追うように彼も非常階段を降りて行った。


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