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TSFのSS「魔封の小太刀」

8luci★:2009/09/09(水) 18:04:39 ID:???0
『ふん、己の未熟な腕など俺の力でどうにでもなる』
 心底見下した言い方に唇を咬んだ。
「玲、魔は魔の世界のものに任せるのがいいんだ。私たちはそれで人を救えばいい。それが商売として成り立てばもっといい。お前は私の言う事を聞いていればいいんだ」
 言いたい事はあったが、それは言えなかった。全てが言い訳になりそうだ。
『……では今一度、取り引きだ。今回の使用者は誰か?』
 おやじ殿も涁も俺を見た。俺も小さく手を挙げた。
『お前か……んん? お前……そうか、分った。吾は使用者の大切なモノを喰らうことで存在している。見たところ……お前はあまり物に対して執着心がないようだ。……よし、決めたぞ』
 幼い時から封魔の太刀を使って生活しろと言われていた。普通の子どものように遊ぶようなことも無かったし、おもちゃを欲しがる事も無かった。
「ま、待て! おやじ殿や涁の命と引換えにする気はないぞっ」
 そう、大事なものと言えば、封魔の太刀と家族くらいのもの。太刀は盗まれ、残ったものは家族くらいしか想い至らなかった。俺は前もって制するために声をあげた。しかし、小太刀に憑いた魔の言葉は意外だった。
『お前の家族? そんなものはいらん。第一、ここには』
「宝珠丸っ家族でないなら何なんだ? 早く言ってみろ」
 何か慌てた風でおやじ殿がヤツの言葉を遮った。涁の方を見ると、すっと視線を俺から外した。腑に落ちなかったけれど、家族以外の大事なものが気になって尋ねる事はしなかった。
『お前、聞こえるか? これよりお前とだけ話す。返事は考えるだけで良い』
 おやじ殿と涁に一瞥をくれると、じっと小太刀を見据えている。聞こえている様子はないように思えた。しかしなぜ俺とだけ話をするんだろう? 
 聞こえる、と考えると宝珠丸が言った。
『お前が吾を使う度に、お前の【男であった記憶】をいただこうぞ』


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