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TSFのSS「魔封の小太刀」

7luci★:2009/09/09(水) 18:04:01 ID:???0
 窓から明かりが入っているにもかかわらず、一段と肌寒くなり暗い雰囲気になった――その時。
『吾は宝珠丸。封印を解いたのは誰か……? 御厨のものか?』
 無気味な声が直接頭に響いた。その声で肌が泡立った。
「私は御厨第29代当主、東吾という。太刀のことで合力願いたい」
 何かが小太刀に憑いている……涁も俺も顔を見合わせた。あろうことかおやじ殿はそいつに手伝わせようとしている!
 俺はその危うい行為に口を挟もうと腰を上げかけた。しかし涁に手を捕まれ行動を制せられた。
『何をする?』
「それは……」
 おやじ殿は太刀の盗まれた経緯を説明した。そして。
「封魔の太刀によって何故に魔が産まれるのか分らんが、その魔を封じ、太刀を奪還して貰いたい」
『満足いく見返りさえあれば、いかようにも合力しよう』
「いかなるモノでも構わん」
「ちょっと待って、おやじ殿」
 あまりの事にとうとう口が動いていた。俺に取っては耳慣れない声が道場に響く。しかしこうなっては言わねばならない。
「小太刀の中になにものかが憑いているのは分った。これだけの妖気を出すんだから、それなりに力もあるんだろう。でも、封魔の太刀と同じような力があるとは思えない」
 偽らざる気持ちだった。それに、あの賊は太刀、こちらは小太刀。実力差も加味すれば、悔しいが勝ち目がない。おまけに男から女になっている。一振りの小太刀が、基本的な身体能力もカバーしてくれるとは到底思えなかった。


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