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TSFのSS「魔封の小太刀」

32 luci★ :2010/03/16(火) 15:56:24 ID:???0
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 それは、これまでと違って、夢の中で夢だと分かる不思議なものだった。自分の目に映っている筈なのに、どこかドキュメンタリー映画を観ているような感覚を覚えていた。
 
 俺は二人の男に腕を掴まれて、暗い廊下を歩かされていた。抵抗してもずるずると引きずられ、次第に大きくなる木組みの格子、恐らく座敷牢に恐怖を感じていた。
 自分の喉から高い声が辺りを劈く。
「貴様、裏切り者めっ。ええいっ放さんか! このようなところに閉じ込める気か?! 私を誰だと思っておる!」
 両脇の男たちはそれに答えず、俺は座敷牢の中に放り出されていた。
「目をかけてやったのに! その挙句がこれか?! あのお方を殺めたのも」
「あの二人を切ったのには理由がございますれば。姫、あなたはこの国の置かれた状況が分かっておりませぬ」
 廊下の奥から差し込む光が、答え始めた侍の背中を照らし、まるで後光が射しているように見える。これから言う事が正論であると言わんばかりに。
「今、姫が隣国に嫁がなかったら、我が国は滅ぼされてしまうのですよ。あの強欲で好事家の男に民も家臣も殿も蹂躙され何も残らなくなってしまう。それが分かっているのに一時の感情に任せてこの国を見捨てるというのですか」
「それは……しかし貴様も言っていたではないかっ、策があると! 助かる術があると!」
 格子を掴む指先が震え白くなった。
「如何にも、申し上げました。某が助かる、そういう策があると」
 策、その言葉が頭の中で響く。そしてそれが稚拙な言葉遊びの枠を出ない、騙りだと理解するのに時間はかからなかった。自分の愚かさに声までも震えていた。
「! きっ貴様! 最初からその心算で?!」
「勿論、姫も献上しなくてはいけませんので、それまでしばし御休息を」
 慇懃な態度でそう答えると、侍は踵を返し嘲笑だけを残していった。
「待てっ! 卑怯者! 許さんっ、決して許さぬぞ、御厨ああっ!」


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