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TSFのSS「魔封の小太刀」

18luci★:2009/10/19(月) 14:23:07 ID:???0
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 二三日の間、安西の意志を持ち、人外の力を振るう魔は、なかなか現れなかった。
 その間の学校生活では生徒たちとも大分打ち解けてきた。からかい半分か興味本位なのか、お化けの話や怪奇現象について語ってくる男子や女子が多くなっていた。
 楽しくないと言えば嘘になる。それ自体はいいのだ。ただ、俺の仕事にとって実りある話では無かった。
 俺自身がみんなに対して負い目がある事もその理由の一つだろう。正体を偽っているというのは、結局、騙しているのと変わらない。
 それに、次第に女としての生活に慣れているのがイヤだった。話をすればするほど、女言葉を使わなくてはならないのだ。涁やおやじ殿の前で自然に女言葉がでてしまった時は、暫く落ち込んでしまった。
 学校では遠藤の視線がどこにでもあり気が抜けず、家では自分の「慣れ」に気をつけなくてはならず、気を抜けるのは部屋くらいしかない。それすらも、おやじ殿がいつ覗きに来るか判らない。
 しかし、今日、その状況も変化の兆しを見せた。
 他のクラスか上級生か、見覚えのないいわゆるヤンキーな生徒が安西の事で話しがあると言ってきた。時間は放課後、場所は遺体発見現場。
 次の展開が読めそうで、早く授業が終わって欲しいと願ってしまった。
 何が起こるにせよ、これが足がかりになって、仕事を終えられる。終われば本当の自分を取り戻す為に動ける。
『吾の言った通り、動きが出てきたのぅ』
 嬉しそうに宝珠丸が言う。
(ああ、これで進展しそうだな。今日は力を借りるかも知れないぞ)
『吾はいつでも構わん。喰えればそれでよい』
(太刀と同じ働きをしてくれればいいさ)
 俺は頭の中で話をしながら、いそいそと指定の場所に向かう。
 あ、涁に一応メールを出しておくか。
 携帯メールには短く「事件を知っている生徒と現場にて会う」とだけ打ち込み、送信した。
『良いのか? 待たずとも。一応兄だろう』
(相手は子どもだ。何も案ずる事などないだろう?)
『過度な自信は慢心に通ずる』
 慢心などしていない。己の剣の腕を考えての事だ。涁の力を借りなくても、できる。


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