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TSFのSS「魔封の小太刀」

11luci★:2009/09/30(水) 19:41:52 ID:???0
「玲先生、さようなら」
 一人一人、着替えを終った子ども達が三々五々帰って行く。数十分前まで、彼等の声が響いていた道場は、今は俺だけになっていた。
 魔を退治する、言葉にすれば格好いいが、実際には胡散臭さはあるし、見入りも少ないらしい。らしい、というのは、交渉はおやじ殿がしているから、俺は解らない。涁もきっとそうだろう。それに羽振りがいいとも思えない。
 いい大人がぶらぶらしている訳にも行かないし、昔から道場を開いていることもあって、俺が稽古をつけて日銭を稼いでいる。
 女性化して今日が初稽古になった。俺は少し期待をしていた。肉親以外には「玲」だと思われないのではないか? そんな淡い期待。
 しかしそれはあっさり裏切られた。誰も疑わない、というより元々が女としか見られていない。
 あまり言い続けるといけないと思って、おやじ殿や涁の前では考えないようにしていたが、こうして静かな場所で一人になると、違和感で心が折れそうになる。それまでの自分を否定されているような、誰も見てくれていないような。
 ここにこうしているのに、「玲」という存在は違うところを指している。実態がない、というのが適切かも知れない。
 身体の変化の戸惑いや、おやじ殿が嬉々として買ってくる女の子の服を着用することについては、毎日の生活で大分慣れてはきた。しかし、それを積極的に受け入れようと思っていない。涁も何かにつけて「女の子なんだから」というし。
 いい加減にして欲しい。早く元の姿に戻りたい。そうでなければ、精神的におかしくなりそうだ。
 戻ると言えば、稽古の最中に涁の車の音がしたな。例の賊の足取りが掴めたんだろうか。先程とは違う期待が沸き上がっていた。


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