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退魔戦士 有子

66退魔戦士 有子:2005/12/12(月) 22:42:31

               エピソード3   『ママ……』

金曜日。
三日間の休暇が明け、有子は勤務先の高校へと向っていた。
昨晩遅くまで真理を探した有子と百合恵だったが、彼女の行方はようとして知れなかった。
おそらく貴裕に連れ去られたのだろう。そうとしか考えられない。
だが、なぜ真理を狙ったのか? 有子たちにはまるでわからないことだった。

重い足取りでようやく学校に着いた有子。
見ると学校はパトカーやTV局の車、そして野次馬たちで溢れかえっていた。
いったいなにがあったというのだ? 警察やTV局の車とはいささか尋常ではない。
もしや真理の失踪となにか関係が……
そう思った有子は同僚教師を見つけ状況を尋ねた。

「なにがあったの?」
「あ、ああ永井先生。実は写真部の部室で男子生徒の死体が……」
「えっ……?」
「なんでもかなり凄まじい惨殺死体らしいですよ。
ほら、夏休みに永井先生のクラスの生徒が五人殺されたことがあったでしょ。
そんな感じみたいです」

そんな……あの五人を殺したのは魔物に取り憑かれた貴裕である。ならば、今回も……
有子は居ても立っても居れず、死体が発見されたという写真部の部室へと駆け出した。


部室はロープが張られ、立ち入り出来ない状況だった。
警察官が現場への立ち入りは遠慮して下さい、と中へ入ろうとする有子を押しとどめる。
有子はしかたなく、死体が発見されたという写真部の部室を、遠目で覗き込んでみた。
精神を集中させ、残っているわずかな気を探ってみる。
ここになにがいたのだ……

─────!!!

男子生徒三人、真理の気も感じる。
そしてこれは──
強力な“魔の気”を感じた。数時間、いや十数時間経っていると思われるのに、
ここまでの気が残っているとは……
貴裕──? 
一瞬そう思った。しかし、少し違う……。
かなり似てはいるが、貴裕の放つ気とはなにかしら差異があった。

(別の魔物……?)
仮にそうだとするとこれはかなり深刻である。
貴裕と同等の化け物がもう一匹存在するということなのだから……

「今日は休校ということにしましょう。登校している生徒たちは帰した方がよさそうですね」
校長たちがそう話し合っていた。
確かにこんな状況では授業になるまい。
有子をはじめとする教職員たちは、生徒たちを帰すためにその場を離れていった。


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