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退魔戦士 有子

103 退魔戦士 有子 :2006/03/01(水) 00:58:53

「そうか……」
百合恵は操が真理を妹のように可愛がっていたことを思い出した。平静を装ってはいるが、
自分たち以上に辛いだろう。
「だ、大丈夫よ。この武具さえあればきっとやつらは倒せるわ。真理ちゃんも皐月さんも、
それに貴裕くんだって救い出せるわよ」
「そうね……救い出さなきゃ……」
「百合恵。茜さんたちにも召集をかけた方がいい。今は少しでも戦力が欲しいところだ」
操の言葉にうなずく百合恵。
その時──

「来た!」
「さっきと少し違うな……」
「とにかく急ぎましょ」
三人は部屋を飛び出し祐美の病室へと向かった。


病室からは禍禍しいまでの邪気が溢れかえっていた。有子と操の張った結界を破ったのだ。
並みの魔物のものでないことは、百合恵にもわかった。
病室のドアを開ける。室内に突風が吹き荒れている。
ふと窓の方に目をやると、そこには祐美を抱えたひとりの少年の姿があった。

「誰!?」
有子が問い掛ける。その少年はふふふ、と笑いながら言った。
「ママは僕と一緒にいたいんだってさ」
ママ……? 祐美ちゃんのことをママと呼ぶって……まさか……
その思いは有子も同じだったようだ。
「まさか……涼……ちゃん……」

「ふふふ、そうだよ。大きくなったでしょ。ママはね、僕と一緒に行くんだ。そうだよね」
涼の言葉にこくりとうなずく祐美。涼は舌を伸ばし、祐美の唇を奪う。お互いに舌を絡ませあい、
唾液を啜りあっている。
涼は祐美から口を離すと有子たちの方を向き言った。
「じゃあ、そういうことだから。またね」
言うが早いか涼は祐美を抱えたまま、窓からその身を躍らせ飛び降りていった。

「操! 追うわよ」
「うむ!」
ふたりは涼のあとを追い、窓から飛び出していく。

ひとり残った百合恵はその場にがくりと膝をつく。
無理もなかった。ただでさえ疲れているというのに、慣れない戦闘までこなしたのである。
力も抜けようというものだ。さらには折角守った祐美まで捕らえられてしまった。
なにもできない自分に、言いようのない無力感を覚えてしまう。
と──

「くくくくく……」
背中から子供の笑い声が聞こえた。振り向く百合恵。そこには一也がいた。
「あ、あ……なんで……?」
百合恵は少年の顔を見、驚愕の表情でそう言った。
一也は薄笑いを浮かべながら彼女のもとへと近づいてくる。
そしてこう口を開いた。

「ふふふ、久しぶりだね……ママ……」


         エピソード3 「ママ……」後編     終わり


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