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150エンジェル・ハウリング(弱虫の泣き声):2009/03/19(木) 00:41:29 ID:Fc72kk0o
「……済まないな」
「なに。むざむざ患者を死人になどしたくないだけだ」

 咄嗟にメフィストに引っ張られていなければそうなっていただろう事実に背筋が凍った。
 だが、破滅を回避した代価は大きい。
 紙一重とはいえメフィストの回避は完全に間に合っていた。それは確かだ。銀の豪腕は掠りすらしなかった筈である。
 だというのに、ベルガーは肋骨が折れるのを自覚していた。
 拳に衝撃波でも付随しているのか、よりにもよって怪我のある右肺の上、そのアバラのすべてが骨折している。
 一過性だったはずの痛みが、しつこく立ち去らない根深い物に変わる。
 メフィストの右脚にも罅が入っていた。ギリギリのタイミングで割って入った代償だ。
 無論能力を制限されているとはいえ、彼は死者すら蘇生させると謳われた稀代の魔界医師である。
 その程度の傷ならばどうとでも処置のしようがあるだろう。
 だが、銀の巨人がそれを許さない。動けなくなった二人に、今度こそ拳を叩き込もうと向き直る。

「させるかよっ!」

 ひとりだけ違う方向に跳んでいた終が、背後から巨人に襲いかかった。
 四メートル近くを飛び上がり、手加減無しに叩き折るつもりで首筋を蹴り付ける。
 もしも巨人が常人だったのなら、首を落としそうな延髄切り。
 感触は、ただひたすらに硬い。

「なっ……!」

 驚愕に硬直する終を銀の掌が包む。
 声が響く。慟哭するような、しかし悲しみのない、ただひとつの目的にのみ純化した声。

『我は破壊の主ウルトプライド――』

 終の体が放りあげられる。ふわりと、まるで敵意を感じさせないその動作。
 野球でノックをするために放られた球に、よく似ていた。

『全てを溶かす者!』

 空中で身動きの出来ない終を目掛けて、拳が文字通り殺到する。
 ――あの巨人からはとてつもない威圧感を感じる。
 それこそ魔王のような、何もかも根こそぎにしようという破壊意志だ。
 仮にあの化け物が制限を受けていたとしても、それは終も同じ条件。
 故に結果は同じ。終の竜鱗がそれを防げるかどうかは分の悪い賭けになる。


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