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291最強は風の中に稲妻を見る 校正案 その2 ◆I0wh6UNvl6:2005/05/21(土) 23:55:28 ID:Hw7b583Y
(体の中に恐怖はないといえば嘘になる。相手の殺気は尋常ではない)
 だが彼、ヒースロゥ=クリストフも幾多の死線を潜り抜けてきた猛者であった。
 その殺気に負けない闘気を身に纏うことで、僅かながら残っていた恐怖を完全に断ち切る。
 相手までの距離は8m、いつでも飛び込める距離だ。
(仕掛けるか否か、できるなら話し合いで解決したいとこだが……)
 判断に迷っていると相手から声が掛かる。
「どうした、こないのか? ……こないならこちらからいかせてもらうぞ」
 ビュッという音とともにヒースロゥの頬が切れた。
 射程距離ギリギリで空間を断ち、それに付随して生じる
カマイタチを飛ばしたのだが、そんな事彼が知るはずもない。
(風の呪文か? これはあくまで牽制、狙いは別と見るべきだな……しかし)
 傷は2つ3つと増えていく。
 1つ1つにほとんどダメージは無いにしても、行動しなければこのままなぶり殺しだ。
(このままではじり貧となる――罠だと分かっていてもいくしかない!)
 心を固め、気合を込める。
「ハァアアア!!」
 いったん攻撃のラインから外れるため、横に飛ぶ。そして、一気に相手との距離を詰める!
 スピード、タイミング、共に十分すぎる。相手のけん制によって生じていた隙を完璧に突いた攻撃だった。
 だがその攻撃が相手に当たる直前、確かにあった筈のその隙が―――消えた。

「何!?」

 そんな気がしただけだ。だけなのだが、彼の本能は全力で攻撃を中止することを求める。
 本能に従い、剣を引き距離を取る。何が起こったのか、その木刀は柄から先が無かった。
 どうやら従って正解だったようだ。
 もし突っ込んでいたら、彼の体はこの木刀と同じ運命を辿っていただろう。
 ヒースロゥと対照的に、フォルテッシモの顔は余裕に満ちている。
「ほう、鼻先一つ掠らなかったか。やつはこれで片目を潰したんだが」
 満足そうにうんうんと頷く、どうやらヒースロゥは合格点をもらえたらしい。
 だがそれは決して、良いことではない。


(どういうことだ? やつの攻撃が見えなかった)
 相手の攻撃に全く検討がつかないまま、落ちていた鉄パイプを持ち再び身構える。
 何がおもしろいのか、相手がいきなり笑い出した。
「何がおかしい?」
 苛立ちの顔でヒースロゥは尋ねる。
「クックック…いやなに、おまえの行動がある男とそっくりでな。
 ……そういえば名前を聞いてなかったな。
 なんならその男と同じく、名付けてやってもいいが?」
 完全にからかっている声だった。
「……ヒースロゥ=クリストフだ。」
 ヒースロゥはわけが分からない。
 だがとりあえず、初対面の男に名付けられるのは御免だ。
「ほう、なかなか垢抜けた名前だな。
 俺の名はフォルテッシモ、呼びづらいならリィ舞阪とでも呼ぶといい」
(フォルテッシモ? ……音楽記号だったか?)
 意味も無く考えてしまった。
 音楽は趣味ではないが、それくらいは覚えているらしい。
 仕様もないことを考えてる自分に軽く苦笑するヒースロゥ、まだ余裕はあるらしい。
 だがフォルテッシモの次の台詞が、彼からさらに余裕を奪っていく。
「さて、俺の能力だが――見るやつから見れば、世界は無数の罅割れで覆いつくされている。
 そして、俺はそいつを広げられる、といったところだ」
 こんな風にな。と言うと、フォルテッシモは軽く手を振った。
 すると、彼がさっきまで座っていた鉄骨が一部分だけ、刳り貫かれて落ちた。
 その断面はさながら鏡のようにヒースロゥの姿を映し出す。
 世界一の剣士とも言われるヒースロゥの剣技を持ってしても不可能な芸当だった。
「なかなか便利なもんだろ」
 せせら笑うようにフォルテッシモは言った。
「さて、おまえはどんなものを持ってるんだ? 言いたくないなら無理にとは言わないが。」
 言葉とは裏腹に興味津々である。


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