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試験投下スレッド

1管理人◆5RFwbiklU2 :2005/04/03(日) 23:25:38 ID:bza8xzM6
書いてみて、「議論の余地があるかな」や「これはどうかなー」と思う話を、
投下して、住人の是非をうかがうスレッドです。

2聖者の信仰:2005/04/04(月) 00:27:40 ID:XYHByV2k
おかしい。
ゲルハルト・フォン・バルシュタインは、眼下の少女を見下げながら思った。
祐巳君と潤君がここを出てからもう二時間は経つというのに、一体どうして戻ってこないのだろう?
少し話しただけだが、彼女たちの内、潤君のほうは中々に手だれのようだったから、それほど心配する必要はないかもしれない。
とはいえ、自分のような吸血鬼を始め常識では信じられない存在がうようよしているこの島を、娘二人だけでいるのは大変に気に掛かる。
先ほどまでの一時の油断をも許さぬ状況と違い、幸いこちらの彼女のほうは朝と比べて多少容態が安定してきたようだ。
この近辺を軽く一周してくるくらいなら、おそらく問題はないだろう。
そう考えた子爵は、アメリアの傍を離れて辺りを見渡しに行った。尤も、彼女をあまり長い間一人にすることは出来ないから、周囲を少し見て回るだけだ。
ふよふよと宙に浮く血液の固まりは、傍から見れば随分とアンビリーバブルな光景だったが、幸運にも彼の姿を目にした者は居なかった。
このときもしどこにも行かずその場に留まっていたら、彼は異形化した祐巳を発見していたことだろう。
しかし彼は、そこから離れてしまった。―この偶然の悪戯が、彼と彼の保護した少女との運命を決定付けた。

―ふむ、見当たらないか。と、なるとやはり彼女らの身に何かが起こったのだろうか?

もっと遠くまで捜索に行きたかったが、置いてきた少女のほうも心配だ。
そう思った子爵は再びふよふよと浮遊しながら元の場所まで戻る。
その道中には、いつの間にか誰かが通ったような跡が残されており、子爵は祐巳と潤が帰ってきたのかと思った。
しかし、かれのごく楽観的な判断は180度間違っていると言わざるを得なかった。
―彼が戻った先に居た者、それは血の海の中で横たわる少女だった。―

子爵が去ってから数分後、倉庫から海へと向かって真っ直ぐに走っていた祐巳は途中の草原で一人の少女を見つけた。
尤も、このときの祐巳を『祐巳』と言うのは彼女が可哀想かもしれない。
人間としての理性も記憶も失われた彼女にとって、この瞬間あったのは獣としての本能のみであったのだから。

獣は自分の進行方向に倒れている丁度良い少女を見つけた。
獣はこの時腹が減っていた。
獣は―。

3聖者の信仰:2005/04/04(月) 00:28:54 ID:XYHByV2k
アメリアは自分に何が起こったかわからなかった。
何か恐ろしい生き物が自分の目前にいたことまでは辛うじて覚えていたが、それが何だったのか判然としない。
(ああ、そうだ…私、吸血鬼に襲われて…それから…?)
身体を起こそうとするが、全身を襲う激痛は、彼女に一切の行動を許さない。
己の意思では、指一本動かすことすらできそうにはなかった。
身体のあちこちからだくだくと流れ出る血液は、さながら彼女の魂までも押し出してしまいそうだった。
もはや目はかすみ、痛いという感覚さえろくにない。
それでも彼女は、喉から絞り出すようにして声を出した。―友に届けと。
「…リ…ナさ…」
『いかん、喋ってはいけない!』
子爵が綴る言葉を目の端に捕らえ、アメリアは少し自嘲的に思う。
(ふふ、私、とうとう幻覚まで見えるようになっちゃたみたい…でも、どうせ幻覚を見るのなら、リナさん達の姿の方が良かったけれど…)
そう思う彼女に、神は最後の慈悲を与えたのだろうか。薄く目を閉じた彼女の目蓋の奥に浮かんだのは、何よりも大切な三人の仲間の顔だった。
(リナさんにゼルガディスさん…それにガウリィさんも…)
戦いの中に身を置いていたとはいえ、楽しかった日々の映像が脳裏に浮かんでは消えていく。
馬鹿話をして笑いあった。皆で食事をした。そんな何でもないことが、宝物のような記憶となって蘇る。
瞑った目から一筋の涙がつぅっと流れ落ち、ぽたぽたと草の葉を濡らした。
苦しみと悲しみ、そして死の淵からの手招きによって混濁する意識の中、アメリアは誰に聞かせるでもなく、無意識に呟いていた。
「…リナっ、さん…ゼル、ガディ、ス…さ…ごめ、な、さ…」
それだけ言うと、彼女は残る力を振り絞って両手を胸の上へと掲げ、指を組んだ。ずきずきと痛む傷も、崇高な祈りの前には気にならなかった。
何もない空をもがく彼女の両手の指に力が込められ、固く固く閉じあわされる。
「…せ、めて…あなた、たちは、いきのび、て…」
彼女が最期に願ったのは、友の無事だった。ゲームが開始すらする前に、目の前で最も信頼する友人の一人を失い、今まさに自身の命も消えようとしている。
けれど、けれど自分以上の強さを持つあの二人なら、きっと大丈夫。
この下らないゲームの中でも、きっと生き残れるはず。

だから神様、お願いです。二人が生きて元の世界に戻れますように。

少女はそのまま、ゆっくりと息を引き取った。
彼女の死を看取った赤い形状不定物は、己の無力を噛み締めながら一言、少女のための言葉を手向けた。
それがひどく陳腐だと分かっていても、彼はその言葉を残したかった。

『少女よ、安らかに眠り給え』と。

4聖者の信仰:2005/04/04(月) 00:30:16 ID:XYHByV2k
【残り93人】
【死亡 アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン(027)】
 【D−4/草原/一日目、09:00】

【ゲルハルト・フォン・バルシュタイン子爵】
 [状態]:体力が回復し健康状態に 
 [装備]:なし
 [道具]:デイパック一式、 「教育シリーズ 日本の歴史DVD 全12巻セット」
 [思考]:祐巳と潤の不在を気にかける/食鬼人の秘密を教えたのは祐巳だけであり、他者には絶対に教えない
     アメリアの死を悼む
[補足]:祐巳がアメリアを殺したことに気づいていません

【A‐4/海/一日目9:15】
【福沢祐巳】
[状態]:看護婦 魔人化 記憶混濁
[装備]:保健室のロッカーに入っていた妙にえっちなナース服 ヴォッドのレザーコート
[道具]:ロザリオ、デイパック(支給品入り)
[思考]:お姉さまに逢いたい。潤さんかっこいいなあ みんなを守ってみせる 聖様を救う 食鬼人のことは秘密
[補足]:この後、海へと向かい正気を取り戻す。
自身がアメリアを殺したことに気づいていません

5遠のく感傷 </b><font color=#FF0000>(W1AT6yro)</font><b>:2005/04/04(月) 14:16:20 ID:prAD.KRk
「申し訳ありません、師匠。確実に眉間を狙えと仰っていたのに」
 立ち上がり服の草を払うと、キノは師匠に詫びた。
 殺すつもりでいたのに、また腹部や足を狙うとは……。
 師匠の呆れ顔が目に浮かび、キノは小さく首を振った。
(きっと彼らが武器を構えていなかったせいだ)
 どうやら相手に殺意がない限り、殺さない方針でいた普段の習慣が体に残っていたらしい。
 だが、これからは違う。これからは確実に殺す。
 今回は真正面から戦ったが、今回だけだ。
 一度は一緒に行動しようとしようとした二人と、師匠と共にいてくれた一人に、敬意を表しただけにすぎない。
(次からはどんな手を使ってでも――)
 決意を新たに固めたキノは、ふと自分の得物に目を落とした。
 カノンは、あと一発しか撃てない。
(そういえば、あの二人も銃を持っていたな)
 キノは階段に近づいていった。

6遠のく感傷 </b><font color=#FF0000>(W1AT6yro)</font><b>:2005/04/04(月) 14:17:07 ID:prAD.KRk
 そっけなかった階段は、二人の人間と夥しい血により様相を変えていた。
 まずキノは、足を打たれただけならまだ救いがあったであろうがバランスを崩したせいで頭が陥没し、
 もはや顔の確認すら出来ない不運な少年の銃とデイパックを奪い取る。
 そしてこつこつと数段のぼり、腹部の銃創からどくどくと血を流す男のそばへ歩み寄った。
 男の傷は、誰が見ても瀕死の重傷で、放っておいても死ぬだろう。
 しかしキノは構わずカノンを男の眉間に向けた。
 無粋な行為といえないこともなかったが、キノの頭には師匠と一緒にいた男の不思議な力があったのだ。
 よくわからない力を持つ者がいる。
 もしかしたらそのせいで、この先自分の常識が及ばないことが起こるかもしれない。
 例えば、瀕死の人間が回復するとか。
 腹部を狙っておいて言えることではないが、確実に止めを指しておきたかった。

「……う……」
「!」

 しかしいざ引き金を引こうとした時、男が覚醒した。
 キノは驚いて思わず手を止めてしまう。
 カノンを構え警戒をしていたが、男はやけにうつろな瞳で、自分の現状に気付いていなかった。
 どうやら、死を目前に幻覚でも見ているらしい。

7遠のく感傷 </b><font color=#FF0000>(W1AT6yro)</font><b>:2005/04/04(月) 14:17:49 ID:prAD.KRk
 男は色を失っていく目を這わせ、やがてキノの姿を認めると、呟いた。
 ごぼごぼと口の端から血が泡となって溢れ出て、声は全く聞き取れなかったが
 
 
  か・い・る・ろ・ど


 男の口は、確かにそう動いた。
(ああ、そうか)
 冷めた目でキノは思い出す。酷く大昔に思えることを。

(そういえばボクは、この人の知り合いを探してたんだっけ)
 ――でももう、どうでもいいことだ。
 


 カノン最後の銃声が、響いた。
 
 【C-5/階段付近/1日目・06:20】
 【イルダーナフ(103)死亡】
 【残り91人】
 
【キノ (018)】
[状態]:通常。
[装備]:『カノン(残弾無し)』  師匠の形見のパチンコ
    ベネリM3(残り6発)
    ヘイルストーム(出典:オーフェン、残り20発)
[道具]:支給品一式×4
[思考]:最後まで生き残る。

8宮野の刻印講座:2005/04/08(金) 01:06:06 ID:O4HOskRM
「嫌ですわ」
 これまでのお互いのいきさつを話し終えた後、エンブリオの効果と、それを彼女に使いたいと言う言葉を聞いた茉衣子は、寸分の間も置かずに開口一番そう答えた。あまりにも即急な否定に、流石の宮野もわずかに呻きを漏らす。
「なぜかね?」
「わたくしは少なからず自分の能力に誇りを持っています。なぜなら、それが自身の資質と努力のみによって培われたものだからです。それを今更、そんな趣味の悪い何とも知れぬ十字架によって覆されるなど、冗談ではございません。ましてやそれが班長によってもたらされた物などと……わたくし清水の舞台から身を投げ打ってでも拒否致しますわ」
 肩を抱いて大仰に身を震わせながら、茉衣子はまくし立てた。
『おいおい、この娘さんアンタの弟子じゃあなかったのか?』
 その言葉に、この十字架にしては珍しく飽きれを含んだ声で問いかけた。それにもまた、誰よりも早く茉衣子が反論する。
「誰が誰の弟子などと。班長とは、極めて不幸にも偶発的、一時的に組織での上下関係に置かれているだけに過ぎません」
『おーおーひどい言われようだな相棒、ひひひひひ』
「むぅ……そこまで拒否されるようでは仕方なかろう。しかしどうしたものかなこれは。無駄に持っていても五月蝿いだけで一向に利益がないのだが」
「班長が他人を五月蝿いとのたまうなど、冗談にしても笑えませんが……。力を引き出すためのものなのでしょう? でしたら、この状況を打破できうる能力の持ち主に使用させるべきですわ」
「例えばどんな能力かね?」
『オレとしちゃ、誰であろうと殺してくれりゃ文句はないんだがねぇ』
「そうですわねぇ……。一つは、このゲームの主催者を倒しうる力を持つ能力。もう一つは、この煩わしい刻印を解除できる能力。最後に、この島から脱出できる能力。……といったところでしょうか?」
 指折り数えながら、茉衣子は答えた。
「なるほど。その中でならば刻印の解除を優先させるべきであろうな」
「あら、なぜでしょう?」

『なーんかオレらまるで居ないことのようにされてねぇか? ヒヒヒ』
『まぁ、所詮ラジオと十字架だ。こんな扱いだろうさ』

「一つ目の主査使者を倒しうる力だが、刻印がある限りその例え持ち主とて簡単に殺されてしまう。無意味だ。三つ目の脱出の能力は、その能力者だけが逃げてしまう可能性もある。さらに、脱出できたとて刻印が必ず消えるとは限らん」
「なるほど……」
「そしてもう一つ。茉衣子君も気付いておろうが、今現在我々のESP能力はかなり低下している」

『どうよ、ラジオのアンタ。アンタでもいい俺を殺してみねぇか? 喋るラジオが、喋るMDラジカセぐらいになるかもしんねぇぜ?』
『いらん』

「ええ、それは分かっておりますが」
「その原因は、高い確率でこの刻印によるものだと私は推測しているのだよ」
 その言葉に、茉衣子は首をかしげた。
「何故でしょう? 島全体に結界のようなものをかけているのやも知れませんわ。刻印のせいだと言う確証は――」

『そう連れないこと言うなよ。同じ喋るガラクタ同士じゃねぇか、ひひひひ』
『誰がガラクタだ誰が!』

「ええい、お黙りなさい!」
 いい加減耐えかねたのだろう。茉衣子が宮野の持っていた十字架をもぎ取り、ペイとラジオに向かって投げつけた。カコンと実に小気味良い音が響く。
『ぐあ! 何しやがる、ただでさえガタが来てるってーのに!』
『なぁんだよ、どうせならもっと思いっきり投げてくれや。そうすりゃ晴れて殺されて俺も万々歳だってのによ』
「黙りなさいと言っています! ……コホン。ええと、なんでしたかしら……。そうそう、刻印のせいだと言う確証はないはずですが?」
「ふむ。では聞こう。その結界とはどういった原理で力を抑制するのかね?」

9宮野の刻印講座:2005/04/08(金) 01:07:29 ID:O4HOskRM
「どういったといわれましても……」
 分かるわけない、と首を振る。そのことに、宮野はさも当然と言うように頷いた。
「であろうな。なぜなら一つではありえないからだ。一概にESP能力といっても、効果は様々だ。テレパスやサイコキネシスに始まり、発火能力、透視能力、どこぞの加速装置じみた能力もあったな。それら全ての能力は効果の違いに従い、発生のプロセスも違うはずなのだ。ならば、それぞれに対応した結界が必要となる! その結界全てを島全体に張り巡らすなど無駄もいいところだ。各個人単位に、それぞれにあった結界をかけた方が遥かに効率が良いに決まっている」
 なるほど、と納得する。確かに理論は通っている。
「では決まりましたわね。刻印を解除できる能力者、あるいは素質を持つ方を探しましょう。……それで、どこを探すのでしょうか?」
 その問いかけに、宮野はむぅと腕を組んで黙り込んだ。十数秒ほどそうした後、おもむろににディパックから地図を取り出して、床に広げた。
 さらに転がっていたエンブリオを拾い上げ――ヒョイと極めて適当な動作で地図の上に投げ落とした。乾いた金属音を立てわずかに転がった後、十字架が地図の一端を指し示す。
「……Eの5だ!」
「あまりにも適当すぎます!」
 自信満々の表情で述べた宮野に、茉衣子は思わず怒鳴り声をあげた。

【今世紀最大の魔術師(予定)とその弟子】
【残り94人】
【Dの1/公民館→Eの5/時間(1日目・8時00分)】

【宮野秀策】
[状態]:健康
[装備]:自殺志願(マインドレンデル)・エンブリオ
[道具]:通常の初期セット
[思考]:刻印を破る能力者、あるいは素質を持つ者を探し、エンブリオを使用させる。


【光明寺茉衣子】
[状態]:健康
[装備]:ラジオの兵長
[道具]:通常の初期セット
[思考]:刻印を破る能力者、あるいは素質を持つ者を探し、エンブリオを使用させる。

10Escape!修正案(111〜114):2005/04/10(日) 11:08:56 ID:KbP906tc
「彼女から離れよ」
振り向いた先にはハックルボーンのむくつけき姿があった。
「不浄なる者よ。彼女から離れよ」
由乃に向かい断言するハックルボーン、その口調に怯えキーリの背中に隠れる由乃。
「あっ…ああああっ、あの、それはわかるんです、でも」
「ほら…いいいいろいろ未練がありまして、その…ねぇ」

自分でも何を言っているのかわからない、とにかく成仏する意思はあるのだということを
伝えないと…折角戻れたのに、このまま何も出来ないままではあの人に申し訳がたたない。
だが由乃のそんな葛藤などこの神父は一切考慮しない。

「未練など捨て、神の御許へ召されよ。迷う必要などない。迷いこそ神への背信」
ずいと進み出るハックルボーン、気押され下がるキーリ。
「ですけど神父さま…由乃は嫌がってます」
「それこそが神への背信に他ならない」

ああ…この人も同じだ…。
キーリの頭にヨアヒムの顔が浮かぶ。
でも…欲望に忠実なだけヨアヒムの方がまだマシな奴かもしれない。
少なくとも自分の正義に酔ってる奴より。
「神を疑うことなかれ」

ハックルボーンはただでさえ厳しい顔をさらに険しくして、キーリらに迫る。
キーリは由乃をかばうように立ちはだかる。

11Escape!修正案(111〜114):2005/04/10(日) 11:09:51 ID:KbP906tc
「あなた方の神に祝福を」
ハックルボーンは拳を構える。
「2人そろって神の御許へ召されよ」
その時だった…彼らの間を分かつように銃弾が飛来したのは、
ハックルボーンの注意がそれた時にはキーリはすでに逃げ出していた。

「死んじゃえ」
そう捨て台詞を吐いて。

当然後を追おうとするハックルボーンだが、さらなる銃弾が彼の脇腹に命中する…しかし
「我が鋼の信仰はこのような物で砕かれたりはせぬ」
ムン!とポーズを決めると脇腹の傷から弾丸がひしゃげて床に転がり落ちる。
そしてハックルボーンは弾丸の飛来した方角へと猛ダッシュをかけるのだった。

「なっ…なによあいつは」
ハックルボーンの恐るべき肉体を目の当たりにしたパイフウ。
気で弾丸の軌道を曲げておかなければ、今ごろここを捕捉され…あえない最期を遂げていただろう。
なれない事はするんじゃない、あの最初の一撃が命中さえしていれば…。
とにかく脱出口が開いた、もうこの城には用はない。
パイフウも神父が戻らぬうちにと撤収を開始した。

一方のキーリと由乃。
「はやくっ!はやく逃げて!!」
かんかんとリズミカルに階段を降りるキーリ、ふと振り向くと由乃が転んでいる。
「あなた幽霊でしょう!!何人間みたく転んでるのよ!!」
「まだなって2時間しか経ってないんだからいいじゃないの!!」
口論しながら走る2人。

12Escape!修正案(111〜114):2005/04/10(日) 11:11:33 ID:KbP906tc
「そこ、そこから私城にはい…」
鈍い音がしたかと思うと額を押さえうずくまってるキーリ。
「あ…ここすり抜けたんだ、私」
「どうせ落ちは読めてたけど…死んじゃえ…もう死んでるか」
恨みがましい目で由乃を睨むキーリ。
どうしよ…そんな表情でおろおろする由乃、その時。
「え…あ…はい」 

突如僅かだか耳元に聞こえる声に返事をする由乃、声の主は若い男のものだった。
「何…右に亀裂……はい」
男の声は用件を一方的に告げて消えてしまった。
今のがさっきキーリが話していた、「声」なのだろうか?
なんか自分がまた一歩本格的に幽霊になってしまった、そんな気がして落ち込む由乃、
そんな彼女はさておき、キーリはすでに亀裂から外へと脱出していた。



そして…残されたのは神父と、
「何をしている?こちらに来られよ」
傍観しなくりで怯えまくりの地人だった。
「この地には不信神者が多すぎる。汝はどうなのだ?」
静かな、しかし途方もなく深い怒りと悲しみを込めてハックルボーンはボルカンに問いかける。
「そ…それはぁ」
殺される、何か言わないと殺される。
社会の底辺に生きる者ゆえの生存本能でボルカンは危険を察知していた…。

13Escape!修正案(111〜114):2005/04/10(日) 11:12:29 ID:KbP906tc
しかし察知しただけで何も出来ないのが地人の悲しさだったが、しかし。
「全部オーフェンが悪い」
思わず口をついて出た言葉に自分でも驚くボルカン。
「オーフェン?何者か?」
もはや止まらなかった…ボルカンはここぞとばかりにオーフェンがいかにひどい奴か、
そしていかに自分が虐げられているかを、
次々と脚色をふんだんに交えまくしたてていった…そして。

「そのオーフェンとやらを即刻浄化せしめよう」
神父がその気になるのにそうは時間はかからなかった。
「そ、それじゃあそういうことで…」
わなわなと義憤に両手を握り締めるハックルボーンを横目に見ながら、そっと退場しようとするボルカン。
「待つがよい。ここで我らが会えたのも神のご加護に他ならない」
その肩をむんずとつかむやたらとでかい掌。
「共に行こう。それが神の御意思である」
もはやボルカンに抵抗することはおろか、選択する余地すら与えられていなかった。

【G-4/城の中/1日目・08:52】

【ハックルボーン神父】
 [状態]:健康
 [装備]:宝具『神鉄如意』@灼眼のシャナ
 [道具]:デイパック(支給品一式)
 [思考]:神に仇なすオーフェンを討つ
 
【ボルカン】
 [状態]:健康
 [装備]:かなめのハリセン(フルメタル・パニック!)
 [道具]:デイパック(支給品一式)
 [思考]:打倒、オーフェン/神父から一刻も早く逃げたい


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