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ネタバレ@ファラミア/* 2
210
:
SS投下 4/7
:2004/07/09(金) 11:00
<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 4/7
ファラミアは、セオドレドに対し、これ以上なく明瞭に答えを提示していた。
我ながら、馬鹿なものだとセオドレドは思う。ファラミアの口から、確かな答えを聞こうと、自分で決めたばかりだというのに、もう、その決定を放棄してまるで構わない自分がいるのだ。
ファラミアが、なぜ今、自分に問いかけとは無関係に望みを見せるのかというその理由が、いかに見え透いていようと、その行いがどれほどあざとかろうと、ファラミアに望まれるなら、そのほかの全ては、枝葉末節ですらなくなってしまう。これ以上、馬鹿げた事があるだろうか。そして、それを自覚しながら、自分は間違いなく、幸福感の頂点に身を置いているのだ。
それを、何と呼ぶべきだろうか?
セオドレドは首を振った。自分の髪が鬱陶しく体に張り付いているからだと、そういうことにしておいた。
ファラミアは、彼が守るべきものを守ろうとしている。自分は、欲しているものを手に入れようとしている。それに、何の問題がある? セオドレドは、自分に言い聞かせた。 もはや、迷いも思考も、必要なかった。
無理な力が、体の内側からファラミアを貫こうとしていた。声を上げようとした口は、片方で十分ファラミアの口程度は覆ってしまえるほどの、大きな手に塞がれた。自由を封じられた足と、体と。唯一意志に従って動かせる腕に出来ることは、自分の体の安定を得るために、それが自分の体から自由を奪っている張本人のものであっても、手近なものに掴まっておく事くらいだった。
体の内と外とを揺さぶられながら、一体それが自分のものであるのかどうかも不確かなまま、どんな思考も手放して、自分ではない人間の気が済むまでの、永遠とも思える自分の時間と、自分の持つ全てを、ファラミアは目の前の彼に与えた。
ファラミアは息苦しくなって、首を仰け反らすと、激しく振った。まともに息をしようというのが、はじめから無理な相談だった。その上、口を塞がれていては、事態はよほど深刻だった。
以心伝心とはこのことだろうかと思えるほど、ファラミアの状態をセオドレドは汲んだのか、口を覆っていた手を外し、ファラミアの口を自由にした。声を上げれば、少しは状態がましになるかという期待は、間違っていたと、ファラミアはすぐに思い知った。だから代わりに、ファラミアはセオドレドの肩に歯を当てた。我を忘れたファラミアは、肉を噛みしめるかも知れなかった。だが、セオドレドは僅かに呻いただけだった。
一体、自分は求められたものを与えているのか、求めているものを与えられているのか。
両方に決まっている。
セオドレドは、ともすれば持って行かれそうになる気を絞って、自分とファラミアの体の間に手を割り込ませ、ファラミアの張ったものを探った。ファラミアの顎が上がった。身体的な興奮の証を、手に握り込み、具合を見ながら擦り上げてやる。
声を発するのも大儀そうなのに、ファラミアは断続的な高い声を、喉の奥から聞かせていた。手の中のものの張りが増したと思った時、なま暖かい粘った液体がセオドレドの手の中に溢れてきた。
息を荒げるファラミアの背を、それまでよりもきつく抱くと、ファラミアの体の深くに、セオドレドは自分のそれを突き込んだ。それが、充足を告げる合図だった。
ファラミアは息を詰めると、そこに彼が与える全てを受けいれた。
お互いを繋ぎ止めていた腕が緩んだ。
体は触れ合わせたまま、息が整うのを待った。
汗ばんだせいで、乱れた髪が張り付いている顔を間近に見た。いくらかは自分の責任であると、ファラミアは一房ずつ指に髪の束をつまみ、耳の後ろに回してやった。掌で、撫でつけてやると、なかなか整った格好になって、ファラミアは満足した。
息が落ち着いてみると、体が痛むのだけが気になった。
疲労している筈なのに、眠気が自分を攫っていく気配は少しもなかった。
汗にまみれた体が不快だった。それ以上に、刺激への生理的な反応のまま体外に出された、鬱陶しく粘る体液がまとわりついたままの下肢が、耐え難かった。
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