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皆で自作の小説・SSの文章を指摘・改善していくスレ

1名無しさん:2019/09/15(日) 11:59:32 ID:GLZqmOFg0
はじめに……このスレの説明です

ここは「けものフレンズR」を題材に
自作で執筆した、小説やSSの文章を公開して
皆で内容の批評・文章表現の添削など
改善点の指摘を行うスレです
小説やSSの練習としても利用できます

続いて……文章を掲載・投稿するにあたっての事項です

作品の掲載・投稿方法については
以下の方法があります

①外部のwebサイトで執筆し終えて
投稿・掲載した作品のURLをスレに貼り付ける

②スレに直接、文章を書き込む

以上のどちらかを選択してください

文章が長めの場合は①の方法を推奨しますが
①は、アカウントの取得などのお手続きが
必要な場合があります、予めご了承ください

また、目安として100文字以上の文章を
長めとして扱うことにします

※禁止事項の説明です

原則として、このスレに投稿されていない
文章への批評・添削は行わないでください
他人の作品を許可なく持ち出し
利用するのは、絶対にやめてください

おわりに……初心者の方、大歓迎です
共によりよい作品を書き上げていきましょう
熟練者の方、大歓迎します
技術の伝授を何卒お頼み申し上げます

お互いに気軽に参るのが一番ならそれでよし

それでは、皆さん、よろしくお願いします

134120:2020/04/14(火) 00:30:25 ID:b8Q2Rsd.0
>>118のお題、「空」「お菓子」「秘密」で書いてみました
約4000字です、よろしくお願いします

◇ ◇ ◇

 とある日のジャパリパークにて。
 ターコイズみたいに澄み渡った青空から、放物線を描いて何かが落ちてきました。

「――ふぎゃんっ!?」

 狙った訳でもないはずなのに、それは見事にすこーんと命中しました。
 草むらでぐーすか高いびきをかいていた、アライグマの脳天に。

「ぐおおぉぉ……!?」

 彼女は訳も分からず、頭の痛みに耐えかねてごろごろ転げまわります。
 しばらくのたうち回っていましたが、痛みが引くとその元凶に目を向けました。

「い、一体なんなのだ……?」

 そこにあったのはバスケットでした。柳の枝で編まれ、取っ手と蓋がついた小さめのバスケットです。アライグマは不思議そうにそれを手に取ります。

「ひょっとして……おたからなのか!?」

 珍しいものを見つけ、涙目が一瞬にしてキラキラと輝きます。現金さをいかんなく発揮した彼女は、迷うことなくバスケットのふたを開けました。

「お、おおぉ……!?」

 甘い匂いがふわりと辺りに広がります。中に入っていたのはクッキーだったのです。落下の衝撃でいくらか砕けてしまってはいますが、それがかえって香りを高める結果となっていました。

 アライグマはしげしげと砕けたクッキーを見つめます。「お菓子」というものを知らないので、これがどういうものなのかも知らないのです。
 しかし彼女はくんくんと鼻を近づけると、その匂いに惹かれるようにおずおずと欠片を一つ口に入れました。

「――――あまいのだ!」

 感情を表すように、しましまの尻尾がぴんと立ちます。
 そこからはもう止まりません。無我夢中でクッキーを頬に詰め込んでゆきます。
 バスケットの中身がほとんどなくなったところで、後ろから声がかけられました。

「アライさん?」
「へ?」

135120:2020/04/14(火) 00:31:28 ID:b8Q2Rsd.0
 振り返った先にいたのはアライグマのよく知る顔、フェネックでした。
 アライグマはフェネックに向けて首を傾げて問いかけます。

「どうしたのだ?」
「この二人が探し物をしてるんだってさ」
「やっほー」
「お久しぶりです」

 フェネックの後ろから姿を現したのは、ともえとイエイヌの二人でした。
 ともえは軽く片手を上げ、イエイヌは折り目正しく一礼します。

「さがしもの?」
「えっと、このくらいのバスケットなんだけど」
「匂いがするので、この辺りにあるのは間違いないはずなんですが」
「ぇ」

 二人がかくかくしかじかと説明を始めます。曰く、バスケットの中はクッキーで、カフェでもらった博士と助手へのお土産だったのですが、先程なくしてしまったので探しているとの事です。

「なんでなくしちゃったんだい?」
「セルリアンが出てね」
「セルリアン!」

 フレンズの天敵が出たという話に、再度アライグマの尻尾がぴんと立ちます。フェネックの表情も少しばかり硬くなっていますが、その緊張をほぐすかのようにイエイヌが続けました。

「それは倒したのでもう大丈夫なんですけど」
「攻撃に巻き込まれてバスケットが飛んでっちゃってねー」

 こう、ぽーんとすっごい勢いで、とともえが身振り手振りで説明します。

「それで、こっちの方向に行ったから探してるって訳」
「お二人は見ていませんか?」
「いんや、見てないねえ」
「ア、アライさんも知らないのだ」

 バスケットは小さいのですでに身体に隠れていましたが、アライグマは思わず後ろ手に隠し、首を横に振ります。そんな挙動不審な様子を気にも留めず、ともえとイエイヌは顔を見合わせました。

「そっかあ……ならしょうがないね、もう少しこの辺を探してみよっか」
「そうですね、風で流れてしまっていますが、匂いからしてそう離れてはいないはずですし」
「んじゃ私達は行くねー。もし見つけたらラッキーさんに言えば伝わるからよろしく!」
「それではまた」

 言うが早いか、二人はとたとたとその場を後にします。それを見送るフェネックがふと横を見ると、アライグマが今にも泣きそうな顔になっていました。

「ど、どうしようなのだ、フェネック〜……」

 唐突に泣き付かれたフェネックは、ぱちぱちと目を瞬かせるしかありませんでした。

136120:2020/04/14(火) 00:32:20 ID:b8Q2Rsd.0
◇ ◇ ◇


「ははぁ、それは正直に言うしかないねぇ」

 事情を聞いたフェネックがすっぱりと言い切ります。
 アライグマはさらに沈んだ様子で彼女を見上げ、縮こまりながら口を開きました。

「うぅっ……やっぱり……?」
「だいたい何でさっき言わなかったのさ」
「つい……」

 煮え切らないアライグマに向け、フェネックは一つため息をつき言葉を続けます。

「食べちゃったのはまあしょーがないよ、アライさんだからね」
「アライさんだから!?」

 さらっと毒を吐くフェネックは、さらに言葉を続けます。

「変に秘密にしないで、素直に謝ればよかったんじゃないー?」
「うう……わかってるのだ……。悪いと思ってるのだ……」

 俯いてしまったアライグマの肩に、フェネックはぽんと手を置きます。反射的に顔を上げたアライグマの視界に飛び込んできたのは、柔和な笑みを浮かべる相方の姿でした。

「だいじょーぶさアライさん、心を込めて謝れば二人も許してくれるって」
「そ、そうかな……?」
「そーそー、元気がないのはアライさんらしくないよー」

 いつもみたいに後先考えずに突進する方がアライさんらしいよー、と激励か毒か分からない言葉をフェネックは吐きます。しかしアライグマは前者として受け取ったようで、みるみるうちに元気を取り戻し、背筋を伸ばし瞳を輝かせて宣言しました。

「……ぃよし! いってくるのだー!! ありがとうなのだフェネック!」

137120:2020/04/14(火) 00:33:28 ID:b8Q2Rsd.0
◇ ◇ ◇


「ごめんなさいなのだ!」
「へ?」

 アライグマは、ともえとイエイヌに向けてバスケットを両手で差し出し、腰を90度に曲げて謝罪します。あまりに潔く男気溢れる謝罪に二人は目をぱちくりとさせていましたが、説明を受けると苦笑いしました。

「あちゃー……そーゆーことならしょーがないね」
「ごめんなさいなのだ!」

 頭を上げようとしないアライグマに向かって、ともえはひらひらと手を振ります。

「いーよいーよ、よく考えたらクッキーだから砕けちゃってたはずだしね」
「ゆ、許してくれるのか!?」
「ね、言ったでしょアライさん」

 垂れていた耳を上向かせ、アライグマが救い主を見るような瞳をともえに向けます。
 一件落着……のような空気が流れますが、それに水をかけるようにイエイヌが口を開きました。

「しかしそうすると、博士と助手へのお土産はどうしましょう?」
「あっ」

 本題はまさに“それ”です。アライグマがクッキーを食べてしまった事は解決したのですが、クッキーがなくなってしまった事は解決していません。
 博士と助手は“お土産がある”という事は知らないので、なかった事にするのも不可能ではありませんが、いくらなんでもそれはためらわれます。

 イエイヌとアライグマとフェネックは揃ってうーんと唸りますが、そうそう名案は出て来ません。そんな三人を横目に、ともえが腕を組んで仁王立ちの姿勢で、ふっふっふと不敵な笑みを浮かべて言い放ちました。

「私にいい考えがある!」

138120:2020/04/14(火) 00:34:20 ID:b8Q2Rsd.0
◇ ◇ ◇


「で、こんな事になっているですか」

 図書館の近くの炊飯場にて。わちゃわちゃと集まりクッキーの生地をこねるともえ達を、博士と助手が表情の乏しい顔で見つめていました。

「いやーごめんごめん、でもみんなで作った方がおいしくなるかなって思ってね!」

 ともえの“いい考え”とは単純明快、なくなったのなら作ればいい、という事でした。材料はラッキービーストに頼んで調達出来たので、皆揃ってクッキー制作にいそしむ事になったのです。

「いい迷惑なのです」
「作るよりすでに出来上がっている方が嬉しいのです」
「まあまあそんな事言わずにさ!」

 時間がかかるのが気に食わなかったのか博士と助手には不評でしたが、クッキーが出来ていくところをじっと見つめる熱い視線こそが、何より雄弁に内心を語っていました。

「まあいいのです」
「待っててやるからとっとと作るのです」

 相変わらず大上段からの物言いでしたが、今にもあふれそうなよだれが威厳よりも微笑ましさを感じさせています。ともえはクスリと表情を緩めると、リクエストに応えるようにクッキー作りに戻りました。

「わぁ、アライさんお上手ですね!」
「こういう細かいのは得意なのだ!」

 アライグマが手先の器用さを発揮し、クッキーの形を整えていきます。それをイエイヌが真似しようとしていますが、こちらは少々不格好です。
 その様子を見ていたともえが、はたと気付きました。

「しまった、ここじゃオーブンがない……。クッキーって鉄板で焼けるのかな?」
「やってみればいいんじゃないでしょうか」
「それもそうだね!」

 彼女はイエイヌの助言に従いマッチを擦り、薪に火を点けんとしますが、そこで博士と助手の声にならない悲鳴が響き渡りました。

「い、いきなり何をするのです!」
「火を使うならそう言うです!」
「あっごめん、忘れてた」
「忘れるななのです!!」

 本能で火を恐怖して逃げた博士と助手からクレームが入り、ともえはたははと笑ってごまかします。ごまかされなかった二人はさらに言い募らんとしますが、そこでアライグマが無意識に煽ります。

「火がこわいのか?」
「んなっ」
「こ、怖い訳がないのです! 火を使った料理だってお手の物なのです!」
「それじゃあ“りょうり”は任せるのだ! アライさんは天才だけど、“ひ”は使った事がないのだ! お手本を見せてほしいのだ!」
「ぅぐっ……なまいきなのです!」
「いえ今のはどう見ても博士の自爆なのです」
「助手!? 裏切ったですか助手!?」
「お、落ち着いてください皆さん!」
「あっはっは! 元気でいいね!」
「笑ってないでともえさんも止めてくださいよぉ!」

 いつものようにどったんばったん大騒ぎが始まります。そんな喧噪を外から眺めていたフェネックが、バスケットに一つだけ残っていたクッキーをつまみ、ゆっくりと口に運びます。
 さくりとした感触とほのかな甘みが広がり、ふっと笑みがこぼれました。

「ん。おいしい、ねー」

――END――

タイトルは考えてなかったけど、付けるなら「日常の一コマ」かなあ
直喩と倒置法は使ってるはずだけど、レトリックは詳しくないから他は知らぬ

うーん、久々だし三題噺は初めてだから色々と粗がありそうで怖い……
アライさんが微妙にらしくない気も……
ご意見いただけると嬉しいです


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