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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第十章
262
:
embers
◆5WH73DXszU
:2024/08/02(金) 02:26:43
【ディスカース(Ⅰ)】
『……マイディアさんが言ってたよ。
ハイバラは……思わせぶりなことを言って、こっちをその気にさせて。
そのくせ、肝心な時にこっちを見てくれない……って。
相当待たされた、って』
「……アイツ。好き放題言いやがって。だが……その通りだ」
『さすがマイディアさんだね。彼女の言う通りだった。
エンバースは、ずるいよ。
わたしが犠牲になることを決めた後で、そんなこと言って』
「ずるい。ずるいか……それも、その通りだ。もう、ろくに思い出せないけど。
あの時俺は多分……「それ」を伝えたら、どうしても生きなきゃいけない理由が一つ減るって思ってたんだ。
待たせるだけ待たせて……結局、なんにもならなかった」
『もし、わたしが死ななかったとして。
その代わりに他の仲間たちやよく知る人たちが犠牲になるようなことがあったら……。
わたし、きっと一生後悔すると思う。
あのときもっと何かできたんじゃないか、もっと頑張っていれば……って……。
前に、わたしの育てのお母さんの話したよね? あのときの気持ちは、もう二度と味わいたくないんだ。
それなら、わたしは悔いの残らないようなやり方を選ぶよ。
わたしでも役に立てたって、やり切ったって、笑顔で終われるように』
エンバースは――何も言えない。
言われてみれば、確かに自分はかつてと同じ過ちを繰り返そうとしている。
結末が変わらなかったとしても――せめて、マリにもっと良い時間を過ごさせてやれたかもしれないのに。
臆病さから生まれた願掛けのせいでそれが出来なかった。
そして今では――己の気持ちを伝えるという事そのものに忌避感が芽生えた。
それでも――これはエンバースが命がけの戦いの中で積み重ねてきた切実な思いなのだ。
それが客観的に見ればただの思い込みに過ぎないものだとしても――それでも一つの人生観なのだ。
『ね……教えて。
あなたがそんなに優しいのは、わたしが消えかかっているから?
三日後には跡形もなく消滅して、この世界からいなくなってしまうから?
それとも……』
「……お前が消えちまうなんて話が出てくる前から、俺は優しかっただろ?
その、なんだ……それで勘弁してくれ。情けないのは百も承知だ。
けどな。これは、俺にとっては……呪いなんだ」
だからその歪みは――簡単に正せるものではない。
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