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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第十章
261
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2024/07/27(土) 23:54:08
「全世界配信。そのMCをジョン、あなたがするんだ」
カザハから全世界へ向けて配信を行うという提案の説明を受けたなゆたは、そう言ってジョンを見詰めた。
「テレビ的な有名人を知ってる……っていうなら、その人たちに呼びかけようよ。
有名人っていうのはみんなインフルエンサーなんだ、その人たちが何かを呟くだけで、
世界中にものすごい勢いで伝わっていく……。みんな知ってるでしょ?
ジョンは、そのきっかけを作ってくれればいいんだよ」
良きにつけ悪しきにつけ、今のネットが普及した時代では情報が短時間で爆発的な広がりを見せる。
SNSの片隅でやったことがバズって何億再生にもなることも、ほんの小さな呟きが大炎上し、
政治家や大企業の社長が辞任に追い込まれることだってある。
ブレモンだってそうだ。ジョンが多くの有名人に語り掛け、協力を得ることで、
その声はきっと短時間で遍く世界中へ届くに違いない。
フレンドがいない……と嘆いてはいるものの、ジョンは日本では超メジャー級の有名人であり、
老若男女知らない者はいないほどの国民的アイドルだ。
好感度も高く、不祥事で顰蹙を買ったこともない。かつて彼がやっていた広告塔、
それをもう一度――今度は『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』の代表として実行する。
「んで、フォロワーを増やした上でバカザハが呪歌のバフを掛けるって段取りか。
フン……まっ、面白くねーケド、またデュエットしてやンよ。
配信とはいえ何億人もの人たちの前で歌うんだろ? あがり症でお調子者のバカザハだけじゃ心配だかんな!」
明神の隣でガザーヴァが頭の後ろで両手を組みながら名乗りを上げる。
カザハばかり目立つのは癪だから、という方が本音なのだがそこは黙っていた。
「そのバフ……とやらは、我らにも有効なのか?
今まで、この地に召喚されたモンスターたちを可能な限り保護してきた。
我が同胞たちにも呪歌の効力が及ぶのなら、心強いのだがな」
イブリースが問う。
ラスベガスへ移動してからずっと、イブリースは仲間であるモンスターたちを捕獲、あるいは保護し、
『星蝕者(イクリプス)』に襲われたり、あべこべに地球の人々を襲ったりしないよう努めてきた。
そうして揃えたモンスターたちは現在別の建物にいるが、それも戦力として数えられればと言っている。
「戦闘が始まったら、全世界にこの光景を配信する。
ジョンが視聴者へ向けて説得をして、カザハとガザーヴァが呪歌を演奏。
視聴者にも協力と参加を呼び掛けて……後は、みのりさんとウィズがローウェルの居場所を見つけ出してくれれば――」
「しかし、そうなるとジョン殿とカザハ殿、幻魔将軍は戦力としては当て込めぬということになるな。
どうする? 其方ら『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』三名と妾、アシュリー、兇魔将軍とその手の魔物。
連中の頭数が相当減少することを前提としても、此方の圧倒的不利は否めぬぞ」
なゆたの言葉に横槍を入れるように、長煙管を吸いながらエカテリーナが口を挟む。
イブリースが救助した魔物たちは、多く見積もっても二〜三千程度だという。
万単位で押し寄せてくるであろう『星蝕者(イクリプス)』を相手に、寡兵なのはどうしようもない。
ジョンの説得が功を奏し、カザハたちの呪歌が効果を最大限発揮したとしても、
互角に持ち込めるかどうか、といったところだ。
おまけに、言うまでもなく説得には時間が掛かる。視聴者の皆が皆、一を聞いて十を理解する聡明な者ばかりではないだろう。
それまでの時間をもたせるには、どうすればいいか――
しかし。
「それについては大丈夫」
なゆたは胸を反らすと、ぴしりと右の手のひらを突き出して断言した。
そして、にんまりと悪戯っぽく笑う。
「わたしに腹案があります。
……ね? みのりさん、ウィズリィ! 進捗はどう? 間に合いそう?」
軽く宙のディスプレイを振り仰ぐ。
画面の中で、ウィズリィが軽く肩を竦める。
《ええ、何とか決戦までには用意できそうよ。
それにしても……貴方たち、人使いが荒すぎるんじゃないかしら?
大賢者の居場所を探りつつ、全世界配信の段取りを整えて、
おまけにナユタの奥の手まで……。まったく、一息つく暇もないわ。
この戦いが終わったら、たっぷりと持て成して貰――》
そこまで言って、はっとして口を噤む。
なゆたには『この戦いが終わったら』の先はない。平和になった世界で、ウィズリィを労うことは出来ない。
《と……とにかく。
こちらのことは心配しないで頂戴。全部、遺漏なく用意してみせるわ》
「ん、期待してる。
それじゃあ、作戦はそれで。ジョン、時間までリハーサルしておいてね。
明神さんはジョンのスピーチの内容を考えてあげて。
フォーラムでみんなをやり込めるくらい多弁だった明神さんだもの、お茶の子さいさいよね?
カザハとガザーヴァも……最高のライブ、楽しみにしてるよ」
ふふっ、となゆたは楽しそうに微笑んだ。
「え? 腹案ってなんだ、って?
ふふ……それは、決戦の時までのお楽しみ!」
右手の人差し指を唇の前に立て、ナイショ! なんて言ってみる。
そうして、時が過ぎる。
三十時間の猶予はあっという間に過ぎ去り、約束の刻限を迎える――
【残存『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』召喚案を却下。避難民総ブレイブ案も却下。
全世界配信案を支持。腹案は戦闘開始時まで秘密】
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