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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第九章

609崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2024/01/30(火) 13:23:38
目の前に、惨状が広がっている。

破壊され半ばから倒壊したビル群に、墜落した戦闘機の残骸。ひしゃげた戦車、炎上し黒焦げた車両。
そこかしこに米軍とおぼしき兵士の亡骸。逃げ遅れ戦闘に巻き込まれたらしい一般人の遺骸は数えきれない。
被害はミズガルズ――地球ばかりではない。ニヴルヘイムの魔物たちの死骸も、あちこちに転がっている。
キュクロプスやゴブリン、グリフィン、ワイバーン、オーク――ブレモンではおなじみのモンスターたち。
無残な鏖殺の跡。建物はまだちろちろと火を残して燃え燻っており、火災の煙と濃厚な血臭で噎せ返りそうだ。
見渡す限りの焦土。
けれども、それは侵略者となったニヴルヘイムの魔物と、侵略に立ち向かう米軍が激突した結果――ではなかった。

「……なんて、こと……」

なゆたは瞠目した。
戦闘の痕跡は確かにある。執拗で徹底的な破壊と根絶の証が。
だが、ニヴルヘイムとミズガルズの両軍が殺し合ったという痕跡はない。
つまり。
ニヴルヘイム軍と米軍は『お互い以外の者に殺された』ということだ。そして――

なゆたたちアルフヘイムの『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』は、それを見た。

『インデペンデンス・デイ』という映画がある。
世界中の主要都市の上空に地球外生命体の乗った巨大なUFOが出現し、無差別攻撃を始める――という映画だ。
『宇宙戦争』という映画がある。
こちらも地球外生命体が落雷と共に現れ、世界中の都市へ侵略攻撃を仕掛けてくるという内容である。
そして。今、なゆたたちの目の前に広がる光景は、それらの映画の中に出てくるシーンと酷似していた。

黒く渦巻く分厚い雲の隙間から、黄金色の光が降り注いでいる。
そしてその光を背に、全長数キロにも見える巨大な円盤状の何かが幾つも空に浮かんでいる。
円盤だけではない。葉巻状、キューブ状、中には飛行機のような翼を持っていたり、艦船のような形状のものもある。
空をほとんど埋め尽くす数のそれらは多くのバリエーションがあり、形も大きさもバラバラだったが、
何なのかはすぐに理解できた。あたかもなゆたたちを睥睨するように浮かぶそれら、
聖書に記された終末の刻に降臨した裁きの天使たちのように、一種の神々しささえ纏って群れ成す者たち。
それはアルフヘイムともニヴルヘイムとも、ましてやミズガルズとも違う――







外の世界から来た船団であった。


【『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』頂上決戦終了。
 イブリース、エカテリーナ、アシュトラーセは瀕死の重傷。
 ワールド・マーケット・センター上空に正体不明の船団出現。
 第九章完。】


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