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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第九章
603
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2024/01/24(水) 21:08:38
なゆ達についていけば全てがうまくいくと思っていた。
誰も死なず、誰も悲しまず、最後は丸く収まる…そう…信じ込んでしまっていた。
いや…結果だけみれば最善と言っていい程順調に進んでいる。
僕達の被害は見渡す限り0に近い。怪我はしているし…休息は必要だが…しかしそれだけの被害で敵を無力化する事に成功した。
結果だけ見れば大成功だ。
でも僕は…なゆ達の光に目が眩んでその過程まで完璧であると信じ込んでしまった。
だから今の僕には…本来必要であるはずの…覚悟がなかった。
敵の屍を乗り越えるという事がどうゆう事なのかをまったく理解していなかった。
エンバースがそれはことある事に言っていた…たまたまうまくいっただけという事を肝に銘じておけと…
僕が…僕だけが…理解しているつもりが僕だけが…理解していなかった。
「たな…この剣…もらっていくよ」
剣を部長のインベントリに入れる。
「あとこのポーション…ここに置いとくから…人にあげた物を惜しむほど…僕は小さくないからさ…」
僕は…なゆ達の旅に最後まで必ずついていく…それがどんな結末になるのか…分からないけど。
新しい覚悟を胸に…常に最善を尽くすと…その覚悟を強く持ち…もう二度とこんな事を…こんな目に合う人を減らす…。
「たな…僕は君の事だって絶対諦めないからな…言っただろ?君は僕の物だって…死ぬことだって…消える事だって…エンバースに君達を合わせるまで絶対に許さない…
だから少しだけ…待っててくれリューグークランのみんなと」
消したり復活させたりできるなら方法はまだあるはずだ…いくら人に不可能だと言われても…僕はなゆ達と一緒に最善を…探しにいく。
少しだけ…長居しすぎてしまったようだ…。そろそろ…決意を新たに…立ち上がりなゆ達の元へ歩を進めないと。
やる事はいくらでもある…僕に…僕達に立ち止まっている時間などない。
それでも…それでも…この世界でいろんな事を経験して…成長してきたつもりだったのに…
それに元々物理的にも精神的にも…暴力にはなれっこで…これ以上なんてないなんて…うぬぼれて…
「みんなの前に戻る前に明るい僕にもどさないと……いつものジョンに戻らなきゃ…」
たなの最後の顔が鮮明に浮かび上がる。恐怖。悲しみ。年相応の感情全てが混ざった…あの表情。
僕は一生忘れないだろう。
仲間以外の生き死になんて僕には関係なかったはずなのに
僕は…僕は弱くなってしまったのだろうか?
「……………さすがに堪えたよ」
誰にも聞こえない僕の悲鳴は…虚空に消えた。
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