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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第八章
368
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2022/09/28(水) 05:18:08
「ポヨリン!」
『ぽよっ! ぽよぽよよ、ぽよっ! ぽよよぉぉぉ〜〜〜んっ!!』
なゆたが両手を伸ばす。ポヨリンが助走をつけて勢いよくジャンプし、なゆたの胸に飛び込む。
「よかった……ポヨリン、無事でよかった……!
ふふっ、くすぐったい! くすぐったいよポヨリン……!」
ポヨリンがぺろぺろとよく懐いた仔犬のように頬を舐めてくる。ポヨリンの柔らかく弾力のある身体を抱き締めながら、
なゆたは擽ったそうに笑った。
死んでしまったと思っていた。助けられなかった、後悔していた。
幾度も夢に見た。慟哭した。絶望した――
けれど。
なゆたとポヨリンはこうして再会を果たし、絆は保たれた。
――イブリースに感謝しなくちゃ。
なゆたは思う。
イブリースはあのとき、いつでもポヨリンを殺すことができた。
あともうほんの少しだけでも『業魔の一撃(インペトゥス・モルティフェラ)』の出力を上げていたなら。
手にした刃に力を込めていたなら、本当にポヨリンは死亡していただろう。
ゲームの世界と違い、死亡したモンスターは二度と蘇ることはない。それはガンダラの試掘洞で、
明神が捕獲したばかりのバルログを喪ったことで実証されている。
しかし、イブリースはそれをしなかった。数えきれない仲間たちを手に掛けてきた、恨み骨髄の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』。
そのパートナーに敢えてとどめを刺さず、ぎりぎりで剣を納めた。
“同胞たるモンスターを救う”――例えそれが敵であったとしても。それがイブリースの信念だった。
その信念は、尊重しなくてはならない。
ゲームの中では徹頭徹尾プレイヤーと敵対する立場であったイブリース。
魔王軍の幹部としてアルフヘイムの崩壊のため行動していたイブリース。
だが、そんな彼も決して邪悪な存在ではなかった。彼は彼なりに仲間を想い、故郷の危機を憂い、
自分に出来ることは何かを模索していただけなのだ。
今となっては、イブリースの考えが手に取るようによく分かる。
シャーロットの記録が蘇った身としては、尚更に。
>カザハ、とりあえず話は後です! エンデ君! 時間が無いとは!?
もしここが崩壊するとかだったら勿体ぶってないで早く教えてくださいよ!?
エンデの呟いた言葉を耳聡く聞きつけ、カケルが詰め寄る。
>エンデ!……説明。
ガザーヴァとマゴットに抱き締められた状態の明神も説明を要求する。
エンデは指示を仰ぐようになゆたに視線を向けたが、なゆたはポヨリンとの再会を喜んでじゃれ合っている。
は……とひとつ息をつくと、エンデは肩を竦めてかぶりを振った。
マスターと呼んだなゆたの許可がなければ、勝手に喋る訳にはいかないということらしい。
さらに明神はオデットばかりでなくウィズリィの額にも『悪魔の種子(デモンズシード)』が植え付けられていた事実を鑑み、
最悪の事態を想定する。
今までの長い旅で、明神たちアルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は多くの人々と交流してきた。
誰も彼も大切な人ばかりだ。そんな人々がもしウィズリィのように操られ、
敵の走狗として自分たちの前に立ちはだかったとしたら――。
>それもいいけど、とりあえず出口を探さないか?オデットは……ガザーヴァ、お前が運べよ。
ガーゴイルがいるだろ。乗せてやってくれ。嫌なら別にいいけど……俺もジョンも疲れ果ててる。
断るなら、あのバカでかいおっぱいを王冠代わりに頭に乗せる名誉は――明神さんのものって事になる
「え〜っ!? ガーゴイルの鞍はボクが認めたヤツじゃないと乗せない決まりなのに!
なんでボクが……ぐぬぬ……。
あ、魔女っ娘はマゴットが運べよな。明神はボクを運ぶの!」
当然のようにガザーヴァはぶーたれたが、明神に運ばせることを考えると渋々折れた。
ガーゴイルを呼び、その鞍に気を失ったままのオデットを雑に乗せる。
いつまでも地下墓所の中で足踏みしている訳にはいかない。一行は一路地上へと戻ろうとしたが、
>こんな時に言うことじゃないって分かってる。でも、はっきりさせておきたい。
……お前のことは、なゆたちゃんとシャーロット、どっちで呼べば良い
不意に、明神がなゆたの方を見てそう言ってきた。
ポヨリンとのじゃれ合いをひとしきり終え、パートナーを抱き締めながら佇むなゆたが目を見開く。
だが、なゆたが返答を口にする前に、エンバースがふたりの間に割り込んできた。
>…………あー、ちょっといいか
こういうデリケートな話にズカズカ踏み込むと……モテないぞ、明神さん
「ハァー? 明神はボクだけにモテてればいいんですーぅ」
明神の首にしがみついたままのガザーヴァがべーっと舌を出して反論する。
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