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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

367embers ◆5WH73DXszU:2020/11/17(火) 00:43:30
【フラグメンタル・ライフ(Ⅱ)】

『……いいザマだな。飛空艇が欲しいからと、後先考えず飛び込んできた末路がそれか。
 笑えるな……大切な者のために、危険を顧みず遮二無二進む……。
 それは、まるで――』

言葉とは裏腹に穏やかな口調/すぐに察した――これは、一つの人生の結末。

『……まるで……どこぞの愚か者と同じじゃないか……』

遺灰の男は、それを見届けたいと思った。

『ジョン。いい仲間を持ったな……。
 もう、ひとりぼっちで……オレやシェリーがいなければダメだった頃のお前は、いないんだな……。
 ……ああ、それは……いい。安心した……』

これも、自分の人生を形作る為の断片――その一つになるに違いないと。

『行け……、ジョン……。
 そいつらと……この世界を、救いに……。
 ……そして……お前の……喪った、二十年の月日を……取り戻して、こい……』

『…いやだ…僕は絶対にロイをおいていかない。絶対に!なんでそんな事言うんだ!なあ!ロイ!』

実際のところ――誰一人犠牲にせず、レプリケイトアニマを停止させる方法はある。
明神の述べたプランBを補強すればいい/エンバースの記憶に頼れば、それが可能だ。

「……ジョン、聞け」

だが、遺灰の男は何も提案しない――無意味だと/結末は変わらないと知っているからだ。

「ブラッドラストだ。分かるだろう……もう、時間がないんだ」

ブラッドラストの重度感染者には、通常の治療法が通じない。
ここを脱出し/ブラッドラスト保持者にも適用可能な治療手段を模索し/確保する。
そんな事をしている間に結局、ロイ・フリントは死ぬ/ジョンから受けた傷と、それによる出血が原因で。

『その、焼死体が……状況を、一番……よく、理解しているらしいな……。
 オレは、ここに残る……。15分やる、その間に……ヴィゾフニールの、格納庫前に……行け……』

遺灰の男=小さく呻く/頭を抱える――皆を振り返る。

「――だ、そうだ。行くぞ、みんな。議論の余地も、選択肢も、もう残ってない。
 俺は俺の独断で、この場を制圧する。歯向かうなら、力ずくで従わせる事になる」

一方的な宣言――エンバースの記憶が告げていた/皆から選択肢を奪うべきだと。
選べば、そこに呪いが残ると――反抗する気も起こせないほど切実な衝動だった。

「モンデンキント。自分の足で歩くか、俺に担がれて格納庫まで行くか――それくらいは、選ばせてやる」

闇色の炎が少女を見つめる――そして。

『……行こう、みんな』

少女は、心残りを振り払うように身を翻した。


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