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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

337明神 ◆9EasXbvg42:2019/09/23(月) 23:46:31
「ちょ、ちょっと待てよ!一体どういう風の吹き回しだ!?」

言うまでもなく石油王は俺達の防御の要、メインタンクだ。
こいつがいなけりゃ消し炭になってたことなんか一度や二度じゃない。
そしてタンクである以上に、俯瞰視点から戦況を見渡すこいつの冷静さには何度も救われてきた。

その石油王の離脱表明は、少なくない衝撃をもって俺達を襲う。
なんで。クリスタルを使い切って戦えなくなったってわけじゃないだろう。
バロールから物資提供の確約は取り付けてるし、石油王には万象法典のカードプールもある。

それなら。命がけの戦いを続けられなくなった?
いくつもの疑念が頭を擦過していくが、石油王の真意はそのどれでもなかった。

>「だってこの魔王様、色々とガバガバの穴だらけで見てられへんのやもん
 兵站管理や情報伝達とか、この人に任せてたら前線に出るうちらは命がいくつあってもたりひんわ
 ほやからうちが王都でそこらへんお手伝いさせてもらおうと思うてなぁ」

バロールが胸を押さえてのけぞるがそんなことはどうでも良い。
つまり石油王は、色々不安なバロールの第二のバックアップとして俺達を支えるつもりなのだ。

必要性は理解できる。
俺達の命綱を、バロール一人……ひいてはアルメリア一国に依存するのはリスクが大きい。
ついでに言えばバロール自体裏切りの前科がある以上、手放しに信頼することはできない。
お目付け役として石油王が王都に残ってくれれば、俺達はずっと安心して旅を続けることができる。

理屈では分かってた。多分これ以上の最適解はない。
情勢不安なアルメリアの抑えには、誰かが残るべきで……適任は、石油王だった。

だけど……だけど。俺はおいそれと受け入れられなかった。
支援とか情報とか、そんな実利的なものだけじゃなかったろ。お前がこのPTに占める大きさは。
YESもNOも言えないまま固まる俺に、石油王はそっと近寄って耳打ちした。

>「もううちのようなブレーキがおらへんでもこのPTは崩れへん、やろ?」

「石油王……」

こいつは理解しているのだ。自分が俺達にとってどんな存在だったか。
どんな役割を担っていて……どんな問題が解消されたか。
なゆたちゃんが舵なら、石油王は俺達のブレーキ役だった。
俺が頼んだから。こいつはずっと、PTが暴走しないよう抑えに回ってくれていた。

そして俺達は足並みを揃え、十分に制御が効くようになった。
もう大丈夫だと、自信を持って石油王が送り出せるようなPTに、俺達はなったのだ。

>「……わかった。じゃあ、みのりさん……これからバックアップをお願いね。
 別に、みのりさんがパーティーを脱退するわけじゃないし! ただ、後方支援に回るだけだもんね!
 これからも頼りにしてるよ、みのりさん!」

なゆたちゃんも思うところはあったようだが、それを飲み込んで石油王の離脱を承諾した。
もう止められない。いや、リーダーの承認があろうがなかろうが、止めることは出来なかった。
石油王の選択なら、尊重したいと……他ならぬ俺自身が、そう思ったからだ。


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