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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第四章

335明神 ◆9EasXbvg42:2019/09/23(月) 23:45:22
「カザハ君、カザハ君よぉ。飲んでるか?カケル君はお酒いける口なの。
 お馬さんはビールが結構好きらしいぜ。もともと麦食ってるからかな」

俺はずっとこいつに聞きたかったことがある。
疑問が形になったのは、クーデター閉会式の時だ。

>「いい名前じゃん。よろしくね、瀧本さん。……カケル、背中貸してあげて。タッキー&ツバサ――なんちゃって」

「お前さ、ホントはいくつなの」

カザハ君がポロっとこぼしたセリフは、はっきり言ってオヤジギャグの類だ。
俺の本名とカケル君の翼をかけた、特に深い考えもない一言だったんだろうが――
ネタが、古い!マジで古い!二十年近く前のアイドルやぞそれ!
俺が小学生の時に流行った連中じゃねえか!タッキーなんか社長になっとるぞ!

「俺お前のことカザハさんって呼んだほうがいいのかな……」

そんなこんな、無軌道な話題で酒宴は続く。
べろんべろんになりつつある俺に、反逆者の慎ましさはもはやない。ないったらない。

>「じゃあ……いい機会だから、わたしからも言っておこうかな」

と、そこへ我らがリーダーがやおら立ち上がり、手を叩いて注目を集めた。
俺はカザハ君の首の戒めを解き、謹聴の姿勢を取る。

>「えー。僭越ながら、これから正式にパーティーリーダーを務めさせて頂くことになりました。
 モンデンキントこと崇月院なゆたです。
 正式にリーダーをすることになったからには、しっかり! 役目を果たしてみせますから!
 皆さん、これからよろしくお願いします!」

「よろしくリーダー。……神輿を担いだのは俺だ、最後までちゃんと支えるよ」

俺は、またしてもリーダーの責務をなゆたちゃんに課してしまった。
これまでみたいななあなあのなし崩しじゃなく、主張のぶつけ合いの果てに、彼女を推挙した。
17歳の女の子にとって、それがどれだけ重圧となるか、理解した上で。

だけど、これは決して消去法なんかじゃない。
他にやれるやつが居ないからなゆたちゃんにリーダーのお鉢が回ったわけじゃ、断じてない。

リーダーは俺にもできる。それは、俺がなゆたちゃんも認める凄いヤツだからだ。
そして……そんな凄い俺が認めるもっと凄いヤツが、なゆたちゃんだ。
能力、覚悟、資質――色んなことを勘案した上で、俺はなゆたちゃんに付いていくことを選んだ。
こいつに引っ張って欲しいと、こいつの背中を押したいと、偽りなく感じる。

だから……つまらん罪悪感はもう捨てる。
この選択を後悔しないよう。後悔、させないよう。全力を尽くそう。
それが、俺のなゆたちゃんに対する向き合い方だ。

>「で……ジョンはみのりさんの罰、って言ったけれど。
 みのりさんは『対戦相手』ではあっても『敵』ではなかったので、罰を与える必要はないと思う。
 そして、明神さん。ジョンの特訓はさておき、わたしからも。明神さんを再度パーティーに加入させるにあたって条件があるの」

なゆたちゃんは俺を指し示す。
クーデターの敗戦処理、先延ばしにしてきた因果応報の時間がやってきた。

こればかりは神妙に受け入れるしかない。
そもそも裏切り者の身分でこうして卓を囲んでられるのもわりと奇妙な話だ。
みんなが酔っ払ってる間、杯が乾かぬよう酒を注いで回る役目を任じられてもおかしくなかった。


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