したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【伝奇】東京ブリーチャーズ・壱【TRPG】

67ノエル ◇4fQkd8JTf:2018/04/09(月) 09:05:51
゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

遥か昔――ノエルがノエルという名前と今の姿を得るずっと前。
雪ん娘と呼ばれるまだ子どもの雪女だった時の話。
まだ発生してからそれ程時が経っていない、雪山に住まう雪の精のような存在だったころ。
唯一無二の親友がいた。それは人間ではなく、かといって妖怪でもなかった。
ふわふわの毛皮にもふもふの尻尾の暖かい生き物。
一緒に雪の中を駆け回って、冷たいのも嫌がらずに抱き枕になって眠ってくれた。
しかし永遠を生きる妖怪たるもの、刹那で死んでしまう普通の生き物と馴れ合ってはいけないというのがその当時の掟で
案の定と言うべきか大事件が起きてしまった。
ある日親友が死んだ……人間に殺されたのだ。
そこまでであれば「残念だけどよくある話」で済むのだが、その先がまずかった。
まだ不安定な存在だったその雪の精は、怒りと哀しみのあまり力の制御が出来なくなってしまったのだ。
現在で言うところの妖壊化――というやつかもしれない。
討伐隊でも来て適当に怒りをぶつければ収まるかもしれない、いっそのこと滅されてもいいとも思ったものだが、そんなものは来なかった。
ふもとの村は大寒波と冷害と季節外れの降雪に見舞われた。行きつく先は当然飢饉である。
そんなある日、雪の中に置き去りにされている少年を発見した。
少年はすでに事切れる寸前で、それにも拘わらずその雪の精が厄災の原因だと直感的に気付き
息も絶え絶えに人間達の窮状を訴え、どうか怒りを鎮めてほしいと懇願した。
こんなに綺麗な神様に看取られて幸せだ、残された母親のことだけが心配だとも。
雪の精は問い詰めた。自分がお前を死に追いやったのに、どうして罵らないのか、憎くないのかと。
少年はこう答えた。

「名誉ある『橋役様』に選ばれたんだから、立派に役目を果たさなきゃ」

゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

気が付くとどうやら数秒間気絶していたようで、祈と黒雄に助けられていた。

「……。ごめん、ちょっと貧血で……。そんなことより……分かったかもしれない、アイツの正体!」

確かにいつも血色は悪いが、そもそも妖怪は貧血にならない。
言い訳にすらなっていない言い訳をしつつ、橘音の方に向き直る。早く告げなければ、重要な手掛かりを。

「橘音君! 八尺様は……橋役様で……えーと、つまり……」

そもそも音が似ているから一緒になったのであって、文字で見ればまだ分かるが、言葉で伝えるのはなかなか難しい。
逡巡している間に、橘音は秘密道具を取り出した。

>「じゃっじゃーん!狐面探偵七つ道具の壱!『召怪銘板(しょうかいタブレット)』〜!」

>「どういうことだよ、あれ」

訳が分からないという風に橘音に問いかける祈。
目の前で繰り広げられる光景を見てほぼ察しがついたノエルは、必死で何の事だか分からない振りをする。
――いや、でも姿変わってるし大丈夫か?
そんなことを考えているうちに、最後の一人の影の子どもがノエルの方に向き直る。
紛う事無きあの日の少年。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板