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【伝奇】東京ブリーチャーズ・壱【TRPG】

170品岡ムジナ ◇VO3bAk5naQ:2018/04/13(金) 13:20:57
直近の被災現場、東京都稲城市はまさに震源地の如き地獄絵図を展開していた。
各所を封鎖する黄色いテープ、ひっきりなしに往復する救急車と警察車両、倒れた母を呼ぶ子供の鳴き声――
安全帽にサージカルマスク姿でカメラを抱えるマスコミが、路肩の野次馬に矢継ぎ早に質問を投げかけている。
道中で確認したSNSでは、現場の惨状が加速度的に広められており、早いものはYoutubeにすら動画が上がっていた。

>「こいつぁヤベェな……商店街一帯、呪詛まみれじゃねぇか。まるで黄泉比良坂だ」

血反吐と吐瀉物にまみれたアスファルトを踏み締め人の海の中を行く、五人の男女達。
妖狐、ターボババァ(孫)、雪女(男)、鬼、のっぺらぼう(元)のオカルトリカル・パレード。
橘音の幻術によって警察の案内を受けるブリーチャーズに、野次馬達のカメラは集中する。

「おうおう!なに撮っとんねや!見せモンちゃうぞゴラアアアア!!」

最後尾に引っ付いていたいかにもヤクザな人相の悪い男が唾を散らしながら野次馬たちに食って掛かる。
異常事態に遠巻きに沸いていた見物人達が、汚物を見るような目でカメラを逸らした。

>「この『残り香』から察するに……コトリバコはまずこの近辺に現れ、あちらへ向かったようですね」
>「くっ……凄いプレッシャーだ……!」

「救助活動もあっちの方は難航しとるみたいや。原因不明の発信源に迂闊に近付けられんのやろな」

血溜まりだけを痕跡とする現場から、奥へ向かうに従い遺留品が目立ってきている。
おそらく被害者の搬送だけを優先して回収しきれなかったもの達だろう。
路肩に止まった軽自動車のダッシュボードに貼られた幸せそうな家族写真が、赤黒い液体に染まっていた。
そしてついに、運び出すことさえ叶わなかった死体さえ散見し始める。

>「嘔吐に下血、腹部破裂の上に腐乱臭……どいつもこいつも内側から腐らされてやがるな。
 まさか、奴さんは胎内に『戻ろう』とでもしたのかね」

「ぞっとせん話ですな。連中が単に使役されとるんやなく自由意志があるとしたらもう手がつけられまへんで」

無感情に死体を眺めていた品岡はそう零した。
300年も生きていればいい加減人の死体は見慣れている。それを自分の手で作り出したこともある。
これよりももっと酷く壊された人体など、戦時中に傍で飯が食えるくらい見てきた。
不条理な死に憤りを感じるほど品岡は若くないし、憤れるほど真っ当な生き方をしてるわけでもない。
しかしそれでも、いつまでたっても、この目の奥を焦がすような疼痛には慣れなかった・

>「た……、た、助けて……。助けて……ください……」

前方の薬局から人影がまろび出た。
白衣を着た中年女性、しかしその白衣は既に赤黒く染まって元の色が分からない。
生存者、とは言えなかった。"まだ"死んでいないだけの者をそう呼ぶことはできない。
しかしブリーチャーズはそう割り切れる老人だけの集まりではなかった。

>「ちっ……!」

尾弐が短く舌打ちして一同の前に出たのは、女性に駆け寄らんとする祈の動きに気付いたからだろう。
品岡もはっとして祈の背中に声を掛ける。

「あかん、寄るな嬢ちゃん!」

>「……この妖気!皆さん、来ますよ!」

次いで橘音の警告、それはすぐに現実のものとなった。
女性の腹部が焼いた餅のように膨らみ、血潮を撒き散らしながら破裂した。
耳をつんざくような断末魔が木霊する。

>「あ……あ……、ああああああああ……!ひっ、ひぎっ……あぁ、ぎ……ぎゃあああああああああ―――ッ!!!」
>「祈ちゃん、見るな!!」


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