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小ネタ集

22淳編1:2017/10/12(木) 14:36:38
 梅雨が明けて、いよいよ夏本番。
 前期の講義もそろそろ終わりに近づく中、小野田淳は暗い表情で家に向かって歩いていた。
 数日前から恋人の井上と連絡が取れなくなったのだ。
 スマホは常に電源が切られているし、いくらラインを送っても既読が付かない。
 ならばと高校・大学の友人にあたってみたが、誰一人として行方を知っている者はいなかった。
 勿論、淳にも全く心当たりがない。
 変わったことと言えば一か月ほど前に、効率がいい高額のバイトが見つかったと喜んでいたくらいだろうか。
 (井上くん、どこに行っちゃったの?)
 淳の瞳から自然と涙が溢れていく。
 そんなことをしているうちに、いつしか淳は実家の前に辿り着いていた。
 (いけない。まだ事件とかって決まったわけじゃないし、家族に変な心配は掛けられない)
 淳は溢れた涙をハンカチで拭うと、無理やり気持ちを奮い立たせていく。
 そして、いつも以上に明るい声で「ただいま」と声を出して、自宅へと入っていくのであった。
 「おかえり、淳。あなたに宅急便が届いていたわよ」
 「宅急便?ありが・・・」
 母から荷物を渡された瞬間、淳は思わず言葉を失っていた。
 差出人の名前が誰あろう井上だったからだ。
 淳は母との会話もそこそこに切り上げ、荷物を抱えて自室に入っていく。
 そして、部屋の中からドアに鍵を掛けると、乱暴な手つきで封をこじ開けていった。
 「なに、これ?」
 蓋を開き箱の中身を見た淳は思わず声を上げ、可愛らしい美貌に困惑の表情を浮かべる。
 箱の中身は一見しただけで布地が少ないと分かるビキニの水着、そして大判の封筒だけであった。
 (なに、この水着・・・すごく大胆・・・)
 淳は入っていた水着を手に取ると、マジマジと観察した。
 どぎつい赤のビキニトップは肩紐が無く、細い帯状の布はギリギリ乳輪を隠せる程度の幅しかない。
 さらにボトムはもっと大胆で極小の赤い三角形と頂点から伸びた紐だけで構成されており、ヒップを覆い隠す布が存在しない過激な代物である。
 外国のビーチではさほど珍しくないビキニかもしれないが、日本の浜辺で着用するのはまだまだ場違いなデザインに淳には思えた。
 ギリギリ大事な部分を隠すことで、かえってその中身を強く想像させてしまう。
 これを着るくらいならヌードで歩いたほうが健康的ではないか。
 淳はこのビキニを着けて浜辺を歩く自分を思い描き、頬を紅く染め上げていった。


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