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仮投下スレ
502
:
和を以て尊しと為す(下)
◆3LWjgcR03U
:2015/11/15(日) 21:37:08 ID:UtG9Nc7s0
そうなると、消去法で残るのは――衛宮切嗣。
越谷小鞠が死んだ瞬間、まだ姿の見えない平和島静雄と並び、全く『アリバイ』を持っていない男。
吸血鬼について知っているという彼ならば、DIOの討伐を理由に連れ出す口実も作りやすい。
ついでに言えば、DIOの館に行きたいというのも、最初からの目的であり6割方は本心だ。
最初は忌避していた電車を使用するのも、一刻も早く到着したいがため。
『容疑者』の筆頭は――定まった。
■
『容疑者』――衛宮切嗣の心中を占めるのは、全く別のことであった。
(DIO。……吸血鬼)
承太郎が追い求めている敵が吸血鬼であることは、最初に出会った時にすでに聞いた。
そのため、ラビットハウスに戻った後の目標は、2度目にあそこを発ったあたりからすでに決めていた。
吸血鬼といえば、多くの場合、魔術師にとっては吸血によって他者を自らの眷属としていく『死徒』のこと。
DIOは肉の芽という手法を用いるらしいが、感染を広げていくという点においてはその危険性は変わらない。
そして、万が一DIOが『真祖』に類するものであれば――その危険度ははね上がる。
衛宮切嗣はしばしば外道と称される男だ。
事実として、この場においてもすでに幼い少女をその手にかけている。
だがその行動原理は、常に多数の利となることを前提としたもの。
吸血鬼という、多数の脅威となる物がこの島にいるとなっては――それを放置しておくことはできない。
(そのためならば……空条君のことも『利用』させてもらおう)
だからこそ、『同盟者』である折原臨也と離れることになっても、承太郎の誘いに応じたのだ。
今の自分には妻のアイリスフィールも、助手の久宇舞弥もいない。
愛用してきた武器も絶対命令権である令呪もなく、さらにはあの女の細工によって術のいくつかも使えない。
普段の力を使うことができない以上は、利用できる手駒を増やすことが何としても必要だ。
空条承太郎。未だその底を見せてはいないが、スタンドという魔術とは異なる体系の力を持ち、何度も戦いを切り抜けてきたらしい。
風貌の似ている蟇郡苛とは違い、単純な直情型ではなく冷静さも持ち合わせている。
加えて今は、DIOを抹殺するという目的を共有してもいる。
利用する手駒としては、十分に価値があると当たりを付ける。
(僕にとって理想的なタイプではないだろうがね……)
舞弥のような自分の行動原理を理解して協力してくれる人材が都合よく現れるとは、この6時間あまりの経験も踏まえ、もはや毛ほども思っていない。
ならば、利用する。
聖杯戦争で、自分の一番嫌うタイプであるセイバーを利用していたように。
もっとも、先ほどの会合の中で彼が自分に鋭い視線を送ってきているのには気づいていた。
おそらくその原因は、越谷小鞠の死。
承太郎はそれについて必ず追及してくるだろう。
だが、折原臨也とのゲームセンターでの会談をやりすごしたように。
魔術師殺しの異名は伊達でも酔狂でもない。この程度の修羅場は何度も潜ってきている。
たとえ『信頼』は得られなくても、一時的な協力関係くらいには持ち込む自信は――ある。
(しかし、吸血鬼……。死徒か……)
脳裏に浮かぶのは、思い出したくない――
いや、彼の人生の全てを変え、魔術師殺しとしての道を踏み出す切っ掛けとなった、二つの記憶。
島を覆い尽くす死徒。炎を上げて墜落していく飛行機。
殺せなかった少女。殺してしまった師。
吸血鬼。
まだ見ぬその存在を前に、自らの心に少しずつ焦燥とざわつきが生まれ始めていることに、切嗣は未だ気付いてはいなかった。
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