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仮投下スレ

495和を以て尊しと為す(上) ◆3LWjgcR03U:2015/11/15(日) 21:33:31 ID:UtG9Nc7s0
「ついでに言うと、俺がここに来る前は『殺人鬼ハリウッド』って名前の連続殺人犯が世間を賑わせてたんだけど……やっぱり誰も知らないって感じだよね。
 こうなると、俺たちは『全く違う世界から連れてこられた』って考えるしかないんじゃないかな」

世界が違う。
この場にいる70人――今は53人――は、それぞれ違う平行世界のような場所から連れてこられたということだ。

「あの白い部屋の女の子――彼女には、俺たちの住んでる色んな世界を移動する力があるとする。
 そう考えていくと、俺たちを『全く違う世界から連れてくる』と同時に、『全く違う時間から連れてくる』ことができても不思議じゃないと思わない?
 時間が違うとしたら、さっきのジル・ド・レェだのジャンヌ・ダルクだのがいるのも、このスマートフォンを知らない人がいるのも説明がつく。
 チノちゃんとシャロちゃんの場合だと、シャロちゃんは貧乏だったことがばれちゃったときの時間からここに来て、チノちゃんはその後の時間から来たってことになるね」

臨也の言っていることは、本来ならば少女たちには難しいものだったかもしれない。
しかし、3人ともここに来てから十分すぎるほどに不思議な経験を積んでいる。理解はできなくても、何となく受け入れることはできる。

「時間が、違う……」

臨也の言葉に、考え込んだのはチノだった。

「リゼさん。自分の記憶だと、クリスマスパーティーのあと、ココアさんが熱を出して倒れてしまったことがあるんです。
 そのこと、リゼさんは覚えていますか?」

その言葉に、明らかに困惑した顔でリゼは答える。

「いや、自分にはココアが倒れたなんてことは記憶にない……
 というか、クリスマスパーティー、って……間違いない! 自分の記憶じゃそんな季節になってもいなかったはずだ!」

「――ビンゴだ」

やり取りを聞き、してやったりという顔で指を鳴らす臨也。

「どうやらはっきりしたね。繭ちゃんには、全く違う世界を移動すると同時に、全く違う時間を移動する力がある」

「違う時間、か……厄介なことをしてくれるぜ。これはちと面倒になってきやがったな」

時間軸の違いという話を聞き、俄かに色めき立ったのは承太郎だった。

「覚えてねえかもしれねえが、名簿に載ってる俺の仲間、花京院典明とジャン=ピエール・ポルナレフ――
 こいつら2人はな、最初に会った時はDIOに肉の芽を埋め込まれて俺たちと敵対してたんだよ」

「な……それでは」

雄二の反応を受け、続ける。

「ああ、もしその敵対していた時間から来てるなら、今ごろは他の参加者を殺して回っていても不思議じゃねえ。
 ……そういう可能性があると分かっちゃ、これ以上ゆっくりはしてられねえな。
 俺はすぐにでもここを出て、DIOの館へ向かうぜ。歩いていくか……いや、俺だけなら電車のほうが早ええな」

承太郎は立ち上がり、7人の中のある人物に眼を向ける。

「衛宮。あんたは吸血鬼について色々と知ってると話してたな。危険だろうが一緒に来てもらえねえか」

言葉をかけられた切嗣は、わずかに臨也と目配せを送り合い、頷く。

「……わかった。僕でよければ力になろう」

俄かに慌ただしくなってきた空気を断つように、臨也が再び言葉を発する。

「さてと、情報交換もあらかた終わったし、僕らも空条君が出ていく前に今後どうするか決めないとね。
 レディーファーストで行こうか。蛍ちゃん、君はどうする?」

「私は……」

臨也の言葉に、あまり会話に参加していなかった蛍がゆっくり口を開く。


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