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仮投下スレ
166
:
正義の在処
◆WqZH3L6gH6
:2015/08/10(月) 07:00:14 ID:joh5PNzo0
ほの暗い闇に覆われた映画館が証明によって照らされる。
外部に明かりがもれない構造なのは衛宮切嗣は確認済みだった。
何も写していないスクリーンを前に煙草を手に彼は席に腰掛ける。
(どうしたものか)
煙草を一本取り出し口に咥え、溜息のような息を吐きながら思案に暮れ、自らの腕輪を調べた。
腕輪やカードに何らかの力のようなものは感知できるが、魔術師である彼がよく知る魔力かと断ぜない不可解な力。
先ほどの白い部屋といい、催眠術に完全に掛かったか、あるいは何らかの方法で異界に落とされたとしか材料不足で
無理やりでも判断しなければ彼にとって動きようのない状況だった。
(……サーヴァントが3体、僕と元マスターの言峰綺礼を含めマスターが確認出来るだけでも3人か)
名簿確認しながら切嗣は苛立ちを吐き出すかのように煙草を噛む。
スタートの場に自らのサーヴァント セイバーの姿が確認したのを思い出し、また煙草を噛んだ。
切嗣は繭に生殺与奪権を握られているだけに、殺し合いに対して取るべき手段は優勝狙いが一番効率がいいと思っていた。
仮に切嗣が参加者内で随一の力を持つなら、女子供を含め鏖殺するのに支障などないだろう。
衛宮切嗣は感情と行動を切り離せる男だ。
だがサーヴァントが参加者であるなら話が変わってくる。
切嗣は繭にさらわれる前、聖杯戦争というバトルロイヤルに参加していた。
奇跡を起こし得うる願望機を使用するために、7人のマスターと7体の英霊――サーヴァントと最悪最後の一組以下に
なるまで殺しあう争奪戦、それが聖杯戦争。切嗣も願望機の使用が参加理由だった。
切嗣の知る限り願いを叶えるだけの力を聖杯が発揮するには6体の英霊の脱落が条件である。
ここでセイバー、ランサー、キャスターのうち2体以上が脱落してしまえば、聖杯戦争が成たたなくなってしまう懸念が彼にはあった。
その理由は死んだ参加者の魂はカードに封じられるという事実。
聖杯戦争においてサーヴァントが倒されると、その魂が元の場所に戻る際に空間に孔が開く。
その孔を利用して聖杯を起動させるのに、その魂がカードに封じられてはどうしようもない。
優勝者には願いを叶えると言っていたものの、初対面ということもあり願いがどれだけの範囲まで適用されるか判断できなかった。
その上、あの時の繭の楽しそうな様子から察するに、敗者の魂の解放の要求は容易に受託されるものではないと思えた。
手間が掛からない、例えば優勝者のみ元の居場所への帰還などは、よほど機嫌を損なわない限り叶えられそうな感じだが、
切嗣にとってそれは受け入れられるものではない。
衛宮切嗣は人間的には外道と見なされる魔術師である。だが冷血ではない。
彼はこれまでの人生で、何年かの休止があったもののより多くの人を救う為に独自に鍛錬を重ね、心を砕きながら戦場や裏社会で活動していた。
だがその手段と思想は、より多くを救うために必要最小限の犠牲を見極め、容赦なくそれを駆逐するというもの。
それはかつて災厄になりうる幼なじみを前に選択を放棄したがゆえに、惨劇を引き起こしてしまった負い目が原点であった。
そうした行為の繰り返しは現実の過酷さと合わせ彼の心を痛めつけ、遂には超常の聖杯を求めるまでに至った。
そんな彼が聖杯を、自らの意思で願いを叶える事を簡単に諦められる筈がない。
切嗣は思案の前に腕輪から出した黒のカードを取り出して呟いた。
「詳しく調べさせてもらうよ」
声を受け1枚の黒のカードが微かに動き、何枚ものファンタジックなイラストが描かれたカードが現出した。
支給品確認はここに飛ばされた直後に既に行っている。目当ての武器はなかった。
代わりにあったもので目を引くものは有益とは思えない面倒臭そうなアイテム。
1枚のカードが蠢き、それを指に挟んで正面へ向けた。
衛宮切嗣は英雄が嫌いだ。人々のヒロイズムを刺激し戦争を助長する存在であるから。
それは自らのサーヴァントであるセイバーにも向けられ、一度しかこちらから話しかけた事がないくらいだった。
故にここに置いても彼がサーヴァントに話しかける気はない。
だから指に挟んだあれも煩そうなのもあったが、サーヴァントの一種の可能性を考え早々に黒カードに収納していた。
そのカードに写るは1人の女性。
茶色のツインテールに、ドクロのような帽子、胸元にでかいリボンという格好の十代前半の少女だった。
それはただのイラストなどではなく。
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