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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

144小閑者:2017/08/19(土) 12:06:28

 エイミィが指差す先を追った恭也が壁に掛けられた掲示物を見て即座に不可と答えた為、エイミィの方が驚いた。彼女にも読み取る事こそ出来ないが文字が書かれている事は分かるのに、目が良いと証言した恭也が読めないとは思わなかったのだ。だが、文字が読めなかった事で恭也の目の良さを否定するのは早計というものだ。

「エイミィ、慌てるな。見えないんじゃなくて、読めないんだろう」
「あ」
「…判定するならこれをどうぞ。地球で一般的に視力検査に使う方法です」

 赤面するエイミィをフォローするように、ユーノが取り出した紙片に何事か書き込み、それを隣にいるクロノに渡す。受け取ったクロノが確認すると無地の紙片の中心には1mm位の大きさで「C」と書かれていた。

「その途切れている部分がどちらを向いているかを識別するんだ」
「なるほど。見えるか?」
「ああ。上だ。その大きさなら部屋の両端に立っても見分けられると思う」

 互いに着席したまま2m程の距離で紙片を見せると恭也が躊躇無く答え、更には難易度を上げる発言をした。対角に立てば15mを越える距離で見分けられるとはクロノには信じ難いのだが本人がそう言う以上、確認することにした。

「下」
「…正解。提督、エイミィ、見えますか?」
「辛うじて黒い点が見えるわ」
「私は見えないや…」

 またしても、即答。念のために着席したままのリンディとエイミィに尋ねると、恭也の半分位の距離でありながら、2人には見えない様だ。
 至極正常な答えを得て、クロノはもう一度だけ確認する事にした。紙片を一度体で隠し、向きを変えると恭也に見せて尋ねる。

「これは?」
「何も書かれていない」
「は?」
「…正解」

 勘で答えている事を疑ったクロノは紙片の裏面を見せたのだが、断言された以上見えていると判断するしかないだろう。

「え〜と、なのはさんの下着の色だったわね。じゃあ、なのはさんだけに伝えて貰える?」
「わかりました」

 視力の確認が取れた事でリンディが審問を再開して恭也に発言の証明を求めると、部屋の隅に立っていた恭也はそのままなのはに歩み寄り耳打ちをした。

「…合ってます」
「恥かしいならスカートでの飛行は慎む事だな」
「うぅ…」

 フェレット形体とは言え、ユーノには着替えどころか一緒に入浴する事も気にしていないなのはだが、恭也が相手だと羞恥心が現れる。許容されているのか気にも留めて貰えていないのかでユーノが真剣に悩むが気付く者は居なかった。
 赤面したまま小さくなるなのはを少々気の毒に思いながらも、リンディが質疑を進める。


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