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392
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【腐注意】お湯神様のあるばいと3
:2018/09/29(土) 20:12:06 ID:oSOgU/Wo
サクトの倍くらいはありそうな、がっしりした体格のその客は――
(猪……?)
摩利支天の眷属か、和気神社ないし護王神社の神使か、はたまた何処かの山神だろうか。
それはまさに、『二足歩行する猪』だった。
頭は普通に猪と同じ姿をしている。風呂に入るからか薄い藍の浴衣を纏い、浴衣から覗く手足は茶色い毛に覆われている。手は意外なことに、偶蹄ではなく普通に人間の手をしている。
男が二言、三言話し掛けると、その猪神は笑顔で快諾し、鷹揚に頷いた。
男に手招きされ、サクトが猪神に駆け寄る。猪神はサクトの幼い容姿に一瞬驚いた様な顔を浮かべたが、すぐに穏やかな顔で目を細めた。
「サクト・オオガミと言います! 宜しくお願いします!」
「戦神四十七柱の御方をお付きにするなど、畏れ多いことですなあ」
ぺこり、と頭を下げるサクトに、猪神はうんうんと頷き、
「じゃあ早速風呂に付き合って貰おうか。――私は一応こんな手をしているが、元は蹄だから手拭いを絞ったりするのが苦手でね。お願いしてもよいか」
「勿論です、お任せください!」
無理難題を要求されたらどうしようと思っていただけに、ほっとしながらサクトは番頭の男に頭を下げてから、猪神と並んで歩き出した。
「――あ、この場合、ボクが先に立って案内した方がいいんですかね? それとも、後ろを歩いた方がいいんでしょうか……しまった、さっきの方に確認しておけば良かった……」
「なに、気にすることはない。初めての客なら先に立って案内する必要も在ろうが、慣れた客なら案内されるまでもなく勝手に浴場へ向かうさ」
「そんな感じでいいんですかね?」
「気難しい客なら気にするのかもしれないが、あまりそういった客の話は聞いたことが無いなあ」
首をひねる猪神に、サクトは『思ったより気さくな神様だな』、という印象を覚えた。
猪神が向かったのは、中くらいの浴槽が衝立で仕切られた区画だった。
歩きながら中を覗き込み、空いていた浴場を見付けてから、入り口に掛けられた札をひっくり返す。
「一応、入っている時はこの札をひっくり返すのが決まりだが、今覗いて来た様に返し忘れや戻し忘れが多いから、ま、言ってみればただの気休めだな」
ふんふん、と興味深そうに頷いてから、サクトは猪神に続いて浴場へ入る。
明確に区切られた脱衣所は無いらしい。浴場の片隅に無造作に置かれた籘製の篭の前で、猪神が浴衣を脱ぐ。
慌ててサクトが猪神から浴衣を受け取り、畳んで篭に置く――と、猪神が不思議そうにサクトを見る。
「サクト、お前さんは脱がないのか?」
「あっ――そっか。このままじゃ背中を流せませんね」
気が付いて、サクトは慌てて軍服の釦に指を掛けた。
ちょっと恥ずかしい気もするが、これも仕事だとサクトは上着とシャツ、ズボンを脱ぐ。
「――お前さんは風呂に入るのに褌をつけたまま入るのか?」
「あ、いえ、でも、さすがに裸になるのは……」
「いや、私は構わないのだが……びしょ濡れになった褌の上からその袴を履くのは大変ではないか?」
「それもそうですね……」
少し悩んでから、サクトは躊躇しつつ褌に手を掛けた。
一糸纏わぬ姿になったサクトに、猪神が「ほぅ……」と感嘆の吐息を零す。
「戦神というのは随分と綺麗な体をしておるのだな」
「き、綺麗……ですか?」
「もっと勇猛果敢に戦斧を振り回し、筋骨隆々の傷だらけの体をしているのかと思っていた」
「ボクとしてはむしろ『そう在りたい』んですけどね……」
「いやいや、サクトのその珠の様な肌に傷を付けるのは勿体無かろう。無粋の極みだ」
「えぇ……」
やるせない表情を浮かべるサクトを、猪神は豪快に笑い飛ばす。
「はっはっ。気にしておるのか。若いのう」
猪神は、壁際に並べられた様々な大きさの風呂椅子と手桶から、自分にあったサイズを取り、浴槽の傍らに置く。
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