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( ・∀・)ヒート・オブ・ザ・ソウルのようです

1ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 20:02:19 ID:NuFaU0o.
ラノベ祭り参加作品。No.34の絵より。
五話構成になってます。三日間で順番に投下してく予定がギリギリになってしもうたんや……
休み休み投下してくよー

75ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:09:07 ID:Hf7f3q6s
4.
最初の絵は見慣れない衣服を身につけた男たちが、光の中から小箱を取り出しているシーンだった。


(U'A`)「遠い昔、まだ神と人との境目が曖昧だった時代、時の神官たちは自らの繁栄を盤石なものにするべく、願望機……

   つまり、例の何でも願いが叶う箱を作り出した。

   それは空前絶後の超文明をもたらしはしたが、やがて彼らは自らの欲望のために願望機を使うようになり、結局は自滅した」


 次のシーンではゴミ捨て場のような場所に、みすぼらしい格好の男が屈み込み、箱を拾い上げている。


(U'A`)「箱は果てしない年月の中で次々に持ち主を変え、紆余曲折を経てとある男の手に渡った。

   彼は貧しく、みにくい姿をしていた。

   両親を含めた誰もが彼の姿と愚鈍さを軽蔑し、嫌っていた」


 男が手にした箱から、光とともに様々なものが飛び出す。

宝石、金、美女、車、武器とブージャム・ドールの兵隊たち。

76ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:12:29 ID:Hf7f3q6s
5.
(U'A`)「当然ながら、男は自らの願いを片っ端から叶え始めた。

   最初はせいぜい金や、美貌を手にするという程度だった。

   巨万の富を得、家来を従え、毎週のように自分の顔を変えるっていうようにな。

   だが彼は徐々にそのねじくれた本性を現し始めた。

   この箱を持つ自分が世界の頂点に立つのが当然だと考えたのだ」


 次のシーンでは、王様の格好をして王冠をかぶった男が、女性を前に箱を掲げている。


(U'A`)「世界の王となった彼はかつて恋した女性を振り向かせようと、ありとあらゆる贈り物をした。

   だが彼女が心を開くことはなかった。男の腐った本性に気付いていたからだ。

   王は激怒した」


 世界各国の都市に侵攻するブージャム・ドールとヴォイドたち。

77ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:16:30 ID:Hf7f3q6s
6.
(U'A`)「王は女が思い通りにならない鬱屈を紛らわすかのように、残虐な行為に取り憑かれるようになった。

   慰みに戦争を始めて遠くの国を滅ぼし、人々を思うがままに拷問し、処刑した。

   女は耐えきれず、とうとう一身を捧げると誓ったが、王の心が満たされることはなかった」


 荒れ果てた町と、がれきの城の上に立つ王の姿で、この一連の物語は終幕となっている。


(U'A`)「文明はたった一人の男によって滅ぼされ、この世界に残されたのはヴォイドとブージャム・ドールだけとなった。

   今となっては王とその女がどうなったのか知る者はいない」

( ・∀・)「お前、何でそんなに詳しいんだ?」

川 ゚ -゚)「わたしは戦後生まれだけど、みんな知ってることだよ。語り継がれてきた有名な話だし。

    これがみんなここ数十年間のこと」


 クーが付け足した。

78ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:19:27 ID:Hf7f3q6s
7.
川 ゚ -゚)「王は世界地図にダーツを投げて、刺さった場所に十日間の猶予を与えて、それからブージャム・ドールを引き連れて

    攻め込んでたんだって。

    暇つぶしという以外に、何の意味もなしに」


 モララーは絵の中の王を凝視した。

背が低く、くせっ毛で、潰れた鼻をしている。

いかにもコンプレックスの塊で偏屈といったふうだ。


( ・∀・)「何でも願いが叶うようになったら、みんなこうなっちゃうのかな」

(U'A`)「人間なんてそんなもんだ。天井知らずで底なし沼ってやつさ」

( ・∀・)「僕はそんなことしないよ。今でもけっこう満足だしさ」


 歩きながら、ふとクーが言った。


川 ゚ -゚)「モララーはその何とかって言う女の子のこと、どのくらい憶えてるの?」

79ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:22:54 ID:Hf7f3q6s
8.
( ・∀・)「それが全然。こないだ話したことでほとんど全部なんだ。

     日暮れの見晴台で柵に座ってたことと、あと、手がきれいだったってことだけ。

     不思議だよね、顔はまったく思い出せないのにさ」

川 ゚ -゚)「……ふーん」

( ・∀・)「何でだろうな。彼女が僕の顔に触れたとき、すごく嬉しかった」

川 ゚ -゚)「恋人だったとか?」

( ・∀・)「わかんない。けど大事な人だったとは思う」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 マンションについた。

 エントランスの案内板によると一階層につき四世帯、十二階建てとのことだった。

オートロックは開かれたままで、奥に警備員の詰め所がある。


( ・∀・)「お邪魔しますよっと」

80ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:29:04 ID:Hf7f3q6s
9.
 ヴォイドは見あたらず、床にそのしるしもなかった。

一階はエントランスと駐車場で、住居は二階からになっている。

ふたりは非常階段を上がり、最初に目に付いたドアをこじ開けて中に入った。


川 ゚ -゚)「……?」


 モララーに続いて中に入ろうとしたクーがふと振り返った。


( ・∀・)「どうかした?」

川 ゚ -゚)「ううん、何でもない」


 クーは台所に行き、モララーはクローゼットに衣料を探しに行った。

歩き詰めで靴がぼろぼろに擦り切れていたので、そろそろ新しいのが必要だった。


( ・∀・)「おお、これアルマーニじゃない?!」

(U'A`)「何しに来たんだ、お前?」

81ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:31:12 ID:Hf7f3q6s
10.
( ・∀・)「まあまあ、たまにはいいじゃんか。すごいな、この靴。鮫皮だよ!」


 さっそく今の服を脱ぎ捨て、着込んでみた。

サイズはぴったりだった。ロレックスもあったのでそれを付け、姿見の前で気取ってみる。


(*・∀・)「おお、イケメン! どうよ、ジョニー・デップみたいじゃね?」

(U'A`)「……」

( ・∀・)「いや、マフィア映画のロバート・デ・ニーロのようなシブさも持ち合わせているな、これは」

(U'A`)「ああ、今のお前ならヴォイドも一発でホレちまうだろうよ」


 呆れたドクオは投げやりに言ったが、モララーは気にした様子もなく、ニヤニヤしている。

色んなポーズを取ったり、ネクタイの色を変えてみたり。


川 ゚ -゚)「水はないな、ブランデーがあったけど……何やってんの?」

( ・∀・)「かっこいいだろ?」

82ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:33:36 ID:Hf7f3q6s
11.
 きっとドキッとするに違いないと思っていたが、クーは呆れた顔をしただけだった。


川 ゚ -゚)「ああ……うん」

( ・∀・)「ドレスもあったよ、ほら」


 モララーはベッドに投げ出した青いイブニングドレスを彼女に差し出した。

彼女はいぶかしげにドレスとモララー、両方を交互に見た。


川 ゚ -゚)「どうしろっての?」

( ・∀・)「きっと君に似合うと思って」

川;゚ -゚)「よしてよ」

( ・∀・)「そんなこと言わずにさ、ほら、出てるから」

川 ゚ -゚)「あ……ちょっと!」


 モララーは彼女にドレスを押しつけ、部屋を出た。

ドアに背をもたれかけさせながら、モララーはドクオにニヤついた。

83ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:35:58 ID:Hf7f3q6s
12.
(*・∀・)「彼女、イイよな。あの影があるとこがさー」

(U'A`)「ああ、ヴォイドの巣でパーティごっこしたくなるくらいステキだよ」

( ・∀・)「お前が言ったことだろ、人はパンだけ食って生きてるわけじゃないって。

     これも魂の熱量を維持するのに必要なことさ」

(U'A`)「何でも自分に都合よく取りやがって。羨ましくなるくらい脳天気だな、お前」


 部屋の中から「いいよ」という声がした。

ワクワクしながら入ると、ドレスを身につけたクーが所在なげに突っ立っていた。

モララーが凝視すると、恥ずかしげに視線をそらす。


川 ゚ -゚)「……」

(*・∀・)「似合うよ! すっごくきれいだ」

川;゚ -゚)「よしてよ、からかわないで」

(*・∀・)「嘘じゃないよ」

84ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:37:31 ID:Hf7f3q6s
13.
 モララーは真剣に言った。

真っ白な肌にシルクのドレスが映えている。


川;゚ -゚)「ハイヒールなんか初めて履いた」

( ・∀・)「手袋も付けてみたら?」

川 ゚ -゚)「え?」

( ・∀・)「確かこのへんにさ……あった、これ」


 モララーはクローゼットをあさり、肘の上まである手袋を見つけた。

彼女の手を取る。


川 ゚ -゚)「あ……」


 火傷と切り傷の跡、それに長年の風雪にさらされて荒れ果てた手だった。

彼女は真っ赤になって手をふりほどき、モララーを部屋の外に押し出した。

85ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:39:33 ID:Hf7f3q6s
14.
川;゚ -゚)「はい、着せかえごっこはおしまい! 出てって!」

( ・∀・)「え、あ、うん」


 ばたんとドアが閉じた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 お互いに着替え、探索に戻った。

部屋をひとつずつ調べてゆき、四階にまで上がった。

収穫は今のところ高そうなトレーニングシューズに、ブランデー、牡蛎の薫製の缶詰、食塩。

油断なく銃を構えたクーは妙に無口で、どことなく怒っているように見える。

 モララーはそっとドクオにささやいた。


( ・∀・)「あの子、なに怒ってんだろ」

(U'A`)「お前はバカなのか?」

(;・∀・)「な……何が?」

86ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:41:41 ID:Hf7f3q6s
15.
(U'A`)「キュートの話をしただろ、彼女に。手がきれいだったって」


 モララーは不思議そうに首をひねった。


( ・∀・)「それが?」

(U'A`)(ほんとにバカだなこいつ)

川 ゚ -゚)「モララー」

( ・∀・)「ん!? なに」


 ぎょっとして振り返ると、彼女は背後に顎をしゃくった。


川 ゚ -゚)「尾けられてる」

( ・∀・)「え? マジ?」

川 ゚ -゚)「うん、この建物に入ってからずっと。そろそろ切り上げて出たほうがいい」

( ・∀・)「まだ水が見つかってないよ」

川 ゚ -゚)「別のところで探そう」

87ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:43:42 ID:Hf7f3q6s
16.
( ・∀・)「わかった。じゃ、次の部屋で最後にしよう」


 彼女は同意し、ふたりと一匹は中に入った。

キッチンに入ってすぐ、ウォータークーラーが目に付いた。

タンクは空っぽだが、戸棚をあさると未開封の予備が見つかった。

十リットルはあるだろう。


(*・∀・)「おお、グレート! これで当分困らないね」

川 ゚ -゚)「よし、出よう」


 部屋から出ようと玄関まで行ったとき、突然、ドアを突き破って何かが飛び出してきた。

先端に鋭利な穂先を持つサソリの尻尾のようなものが、モララーの胴に巻き付いた。


( ・∀・)「!?」


 すぐにドアごと蝶番を引き千切って引っ込み、廊下を抜けて非常階段へ飛び込んでゆく。

88ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:45:48 ID:Hf7f3q6s
17.
モララーは何が何だかわからないまま引きずられてゆき、最上階に入ると同時に投げ出された。


(;・∀・)「ぐえっ?!」


 床を転がり、目が回るのをこらえながら立ち上がって相手と対峙する。

サソリのような姿をしたブージャム・ドールで、先端に穂先のある長い尻尾を持っていた。


( <●><●>)


 そのとき、モララーは手の中が空っぽなことに気付いた。

剣をどこかで落としたらしい。


(;・∀・)「くそっ、やべえ!!」

( <●><●>)ゼェー、ゼェー


 振り下ろされた尻尾を間一髪でかわす。

穂先がタイルの床をえぐった。

89ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:47:05 ID:Hf7f3q6s
18.
( <●><●>)ゴボッ

( ・∀・)「食らえ!!」


 ベルトに差したサバイバルナイフを抜き、隙を突いて相手の顔面に向かって投げつけた。

銀光が閃き、左目に直撃する。


( <●><×>)


しかし相手はまったく怯まず、モララーの体を腕ごと両方のハサミで押さえつけた。


(;・∀・)「ぐぐぐ……」

( <●><×>)


 万力のような力で締め上げられ、骨が軋む。

 巻き上げられた尻尾の穂先が、モララーの眉間に狙いを定めた。


( ・∀・)(死ぬ……)

90ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:49:04 ID:Hf7f3q6s
19.
 体感時間が圧縮され、スローモーションのように見える。

あの子に二度と会えなくなる……


(;・∀・)「ああああ!!」


 その瞬間、彼の肉体は限界を超えて稼動した。

両腕でハサミを開くと、逆にそれを掴んで相手の体を振り回し、背後の壁に叩き付けた。

ブージャム・ドールはコンクリートの壁を突き破り、隣の部屋に転がり込んだ。


( <●><×>)「!?」

( ・∀・)「ハァッ、ハァッ」


 唖然として自分の両手を見下ろす。


( ・∀・)(何だ、今のパワー……?)

川 ゚ -゚)「モララー!」

91ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:51:14 ID:Hf7f3q6s
20.
 やっと追いついたクーとドクオが姿を現した。

クーが槍投げの要領で剣を投げ渡す。


川 ゚ -゚)「受け取れ!」

( ・∀・)「おっしゃあ」


 ブージャム・ドールが立ち上がるのと、モララーがキャッチした剣を振るうのがほぼ同時だった。


( <●><×>)「!!」

( ・∀・)「うおおお!」


 胴体を一閃する。

しかし相手はとっさにハサミで胴体を守り、それと引き替えに致命傷を避けた。

モララーに体当たりをかける。


( ・∀・)「うわっ」

92ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:53:22 ID:Hf7f3q6s
21.
 そのまま彼を吹っ飛ばし、ブージャム・ドールはクーに突進をかけた。


( <●><×>)ゼエゼエ

(;・∀・)「クー!」

川;゚ -゚)「くそっ」


彼女はショットガンで散弾を浴びせた。

一発は相手の肩を吹き飛ばし、もう一発が胴体に手を突っ込めるくらいの大穴を開けた。

しかしそれでも勢いを止められなかった。


川;゚ -゚)「うわああああ!!」

( <●><×>)

(#・∀・)「野郎! その子に近付くんじゃねえ!!」


 ブージャム・ドールはクーの首筋に噛みついた。

その口からこぼれる黒い血と、彼女の赤い血が混ざってほとばしる。

93ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:55:16 ID:Hf7f3q6s
22.
川 > -<)「う……」


 横に回り込み、モララーはブージャム・ドールの頭を一刀の元に切断した。

 すさまじい断末魔を挙げて身をくねらせながら振るった相手の尻尾が、モララーの胴体を貫く。

そのまま壁に叩きつけられ、昆虫標本のように縫い止められた。

 
( ・∀・)「あ……」


 自分の胴体を貫通しているものをぼんやり見下ろした。

全身が痺れ、それから糸が切れたように力が抜けてゆく。


(  ∀ )「ごぼっ」


 吐き出した血が上着を汚した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

94ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:57:23 ID:Hf7f3q6s
23.
 モララーはあの団地にいた。

夕暮れ時で、まだ遊び足りない子供たちの笑い声が公園から聞こえる。

家路につく人々が早足に見晴らし台を通り過ぎてゆく。


( ・∀・)「……ん?!」


 モララーはそこに立っていた。

頬がなぜか妙に痛む。


( ・∀・)


 見晴らし台の柵のところに少女がひとり、腰かけていた。

夕日を浴びて、短く切りそろえた髪も、鉄柵を掴む真っ白な指も、学校の制服も、みんな赤みを帯びて見える。


( ・∀・)(あの娘は……)


 彼女が振り返ったが、夕闇が迫りつつある上、逆光になって顔がよく見えない。

95ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 12:59:05 ID:Hf7f3q6s
24.
o川*  )o「どうしたの?」

( ・∀・)

o川*  )o「怪我してるの? 大丈夫……?」


 彼女は柵を降り、こちらにやってきた。

ハンカチを取り出し、モララーの頬に押し当てる。

この世の何よりもきれいな手をしていた。


( ・∀・)「君は……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 すさまじい苦痛がモララーに覚醒をもたらした。

激しくせき込みながら、あえぎあえぎあたりを見回す。

マンションの廊下だった。

96ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:01:21 ID:Hf7f3q6s
25.
( ・∀・)「夢……?」

(U'A`)「そうでもないと思うがな」


 ドクオの声に、自分の胸を見下ろす。

もはやぴくりとも動かないブージャム・ドールの尻尾の穂先が、そこに突き刺さったままだった。


(;・∀・)「くそ……こっちは現実か」


 意識を失っても握ったままだった剣を落とし、両手で穂先を掴んだ。


(  ∀ )「うぐ、あああ……!!」


 あまりの苦痛に再び意識が飛びかけた。

それでもこらえ、一息に引き抜く。

ズブッ!


(;・∀・)「ぐっ……」

97ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:04:07 ID:Hf7f3q6s
26.
 そのまま床に倒れた。

苦しいのはほんの一瞬だけで、たちまち苦痛が引いてゆく。

モララーは仰向けになり、呆然と自分の腹に開いた穴を見た。


(;・∀・)「なんだ……?」


 みるみるうちに肉が盛り上がり、傷が塞がってゆく。


(;・∀・)「どうなってんだよ、これ!?」

(U'A`)「お前は外傷で死ぬことはない。くたばるのは魂の熱量が失われた時だけだ」

( ・∀・)「何てこった……じゃ、マンティスの時も……?」


 何がなんだかわからないという顔をしていたが、そこでやっとクーのことを思い出した。


( ・∀・)「はっ! クーは!?」


 立ち上がると、床に伏したクーは苦しげなうなり声を上げていた。

98ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:06:06 ID:Hf7f3q6s
27.
 あわてて駆け寄り、抱き起こす。


川  - )「うう……」

(;・∀・)「良かった、生きてる」

(U'A`)「お前が気絶してたのはほんの数秒だ。だがその女が助かるかどうかは微妙なところだな」

( ・∀・)「と、とにかくどっかに寝かせなきゃ」


 適当な部屋に入り、ベッドに寝かせて傷の手当てをした。

きれいな水で傷口を洗い流し、消毒液を噴いて包帯を巻く。


川  - )「ゲホッ、ゲエッ!!」


 クーが吐き出した胃液には、わずかに黒い血が混じっていた。


( ・∀・)「!!」

(U'A`)「ヴォイドになりかけてる」

99ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:08:17 ID:Hf7f3q6s
28.
( ・∀・)「どうすればいい?!」

(U'A`)「その女は魂の熱量を失いかけてる。手当をして、呼びかけてやるんだな」


 彼女はうわ言のように誰かの名を口にしていいた。


川  - )「ショボン……ショボン」

( ・∀・)「弟のことか。大丈夫、きっと生きてるよ」

川  - )「うう……」

( ・∀・)「きっと、きっと生きてるよ……」


 モララーは彼女の手を取り、夜を徹して励まし続けた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 二日目の朝。

煮沸消毒した包帯を抱えてモララーが部屋に戻ると、クーがベッドで上体を起こしていた。

100ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:10:29 ID:Hf7f3q6s
29.
川 ゚ -゚)「おはよ」

( ・∀・)「クー!!」

(U'A`)「ツイてたな。流れ込んだ黒い血が少なかったのと、弟の存在に助けられたか」

( ・∀・)「まだ寝てたほうがいい」


 無理矢理彼女をベッドに押しつけ、毛布をかけてやる。


川 ゚ -゚)「モララー」

( ・∀・)「ん? なに」

川 ゚ -゚)「聞こえてたよ」


 彼女はむき出しの手でモララーの手を握り、ほほえんだ。


川 ゚ー゚)「君がずっと励ましてくれてたこと」

(*・∀・)「ああ、いや……」

川 ゚ -゚)「ありがとう」

101ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:12:46 ID:Hf7f3q6s
30.
( ・∀・)「うん……その、僕はさ……その」

川 ゚ -゚)「ん?」


 もじもじしながら、ずっと口にしようと思っていたことを言おうとした。

だが彼女の眼を見ていると、喉の奥に引っ込んでしまった。


(;・∀・)「あ、いや。何でもない。さあ、今日は一日休んだほうがいい」


 クーは再び眠りに落ちていった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 傷そのものは大したことはなく、クーは翌日になるとすぐに元気を取り戻した。

大事を取って更にもう一日休んだ方がいいとモララーは言ったが、彼女は頑として譲らない。


川 ゚ -゚)「弟を助けに行かなきゃ」

( ・∀・)「ん……わかった。でも無理はしないでよ」

102ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:16:48 ID:Hf7f3q6s
31.
川 ゚ -゚)「わかってるよ、もう。すっかり保護者気取りだな」


 荷物をまとめ、マンションを出る。

 ドクオがイヤな笑みを浮かべた。


(U'∀`)「そいつ、お前の下着を変える時、ずっと目をつぶったままやってたんだぞ」

( //∀//)「やっ……やめろバカ! そ、それを言うな、バカ! バカァア!!」

川////)










つづく……

103ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:18:09 ID:Hf7f3q6s
残り二話 続きは夜に

104ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 13:33:39 ID:xOZcrR1Q
仕事場から乙んこ

105ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:29:24 ID:Hf7f3q6s
何か本スレじゃすでに閉会の言葉みたいなの言ってっけどとにかく四話を投下すんぞオラ
ワイという男の閉会はあの地平線じゃけえのう!!

106ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:31:37 ID:Hf7f3q6s
1.
 モララーが団地で目覚めてどのくらいの時間が過ぎただろう。

乾いた川にかかる橋を渡るとき、ふたりはとうとう間近にまで迫った王の城を見上げた。


( ・∀・)「すげえなあ」

川 ゚ -゚)「こんな近くで見るのは初めてだな」


 天を突くその建造物は、城と言うより塔と呼ぶほうがしっくり来る。











( <●><●>( <●><●>)ヒート・オブ・ザ・ソウルのようです

第四話 狂信者の町

107ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:33:27 ID:Hf7f3q6s
2.
 橋を過ぎ、町に入った。

元はオフィス街で、城の周囲にはビルが寄り添うにように林立している。

いずれも高層なものばかりだが、それですら城の足下にも及ばない。

 ビルの峡谷に入ると、壁や地面の落書きが目に付き始めた。


( ・∀・)「何だろう、これ」


 以前見た王の物語もあったが、大半は意味のわからない文字に絵を組み合わせたものだった。

いずれも曲がりくねり、象形文字じみていて、もはやモララーたちの知る言語ではなくなっている。

 ねじくれた絵はブージャム・ドールを描いたものらしい。


川 ゚ -゚)「!」


 それを見ていたクーが、ふと立ち止まった。

頭がふたつある人形の絵が壁に書かれている。

腕が四本あり、両足はヤギに似た蹄になっていた。

108ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:36:31 ID:Hf7f3q6s
3.
( ・∀・)「これが君の言ってた……?」

川 ゚ -゚)「こいつだ」


 ドクオがそちらを一瞥した。


(U'A`)「そいつは〝ジグザグ〟と呼ばれていたやつだ。

   王が作り出した最強のブージャム・ドールで、人々にもっとも恐れられていた」

( ・∀・)「何のために人間をさらっていくんだ?」


 ドクオはその質問には答えなかった。


( ・∀・)「大丈夫。きっと君の弟は生きてるよ」

川 ゚ -゚)「うん。そうだね、きっと……」


 モララーが肩に手を置いて笑いかけると、クーは不安げに微笑み返した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

109ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:38:38 ID:Hf7f3q6s
4.
 倒壊したビルを迂回し、城に向かう。

ヴォイドは姿を見せなかったが、代わりに奇妙なオブジェが目に付きはじめた。


( ・∀・)「うわっ……!」


 切り落としたヴォイドの頭部が、葉の落ちた街路樹の枝にいくつも突き刺してあった。

悪趣味なクリスマスツリーのようになっている。


( ・∀・)「何だこれ? ヴォイドがやったのかな」

川 ゚ -゚)「狂信者たちだ」

( ・∀・)「え?」

川 ゚ -゚)「父さんに聞いたことある。頭のおかしくなった奴らが徒党を組んでるって」

( ・∀・)「ゾンビもののお約束か」

川 ゚ -゚)「どういう意味?」


 担いでいた剣に巻いておいた布を取り払い、刃を親指で撫でながらモララーはつぶやいた。

110ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:41:30 ID:Hf7f3q6s
5.
( ・∀・)「結局、人間の敵は人間ってこと」


 再び歩き出す。


( ・∀・)「クーは弟を助けた後はどうする?」

川 ゚ -゚)「元いたアジトに帰るよ。そこで畑を作るんだ。ジャガイモとかソバとかさ」

( ・∀・)「ソバ? 好きなの?」

川 ゚ -゚)「収穫が早いし、痩せた土地や日当たりが悪いところでも育つんだって。救荒食って言ってね。

    モララーはどうするの?」

( ・∀・)「どうしようかな……箱に頼んで、何か願いを……」

(U'A`)「あー、言ってなかったんだが」


 ドクオが口を挟んだ。


(U'A`)「叶えられる願いはひとつだけだ」

111ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:43:45 ID:Hf7f3q6s
6.
 モララーは思わず立ち止まった。


( ・∀・)「何で? だってどんな願いでも、いくらでも叶うって……」

(U'A`)「詳しい説明は省くが、とにかくひとつしか出来ない。実際に見ればわかるが」

(;・∀・)「何でそんな大事なこと黙ってたんだよ!?」

(U'A`)「言い忘れてた。何とかなるって、心配するな」

(;・∀・)「バカ言うなよ! 根拠は何だよそれ!」


 ドクオは真っ直ぐにモララーを見た。


(U'A`)「ここに俺がお前を選んだ理由があるんだ。

   玉座の間にまでたどり着いた時、お前はすべてを知ることになるだろう。

   たどり着ければだが」

(#・∀・)「まったく、大事なことは何にも教えてくれないんだからな。

     うーん、ひとつだけ……ひとつだけかあ……」

112ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:45:05 ID:Hf7f3q6s
7.
川 ゚ -゚)「何を叶えるの?」

( ・∀・)「わかんない。どうしよう」


 モララーが首をひねっていると、クーがおずおずと口にした。


川 ゚ -゚)「ねえ、良かったらさ……その願いを叶えたあとにさ……」


 ここで一息入れる。


川*゚ -゚)「わ……わたしと一緒に、アジトに来ない? 畑を作るのに男手がいるし」

( ・∀・)「えっ?」


 顔を赤らめているクーを見ていると、モララーも急に気恥ずかしくなってきた。


(*・∀・)「あ……う、うん。もちろん。いいよ!」

(U'A`)「今度は堂々と下着が拝めるな。下着の中身もか」

(#・∀・)「鍋にして食っちまうぞてめー!!」

113ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:47:21 ID:Hf7f3q6s
8.
 そのとき、わずかに空気が震える音がした。

その瞬間、モララーは振り返りざまに剣を振るい、飛来した矢を切り落とした。

ギィン!!


川 ゚ -゚)「!」

( ・∀・)「誰だ!」


 ビルの上のほうの階に複数の人影が見えた。

弓を構えていて、新たな矢をつがえるところだった。


( ・∀・)「くそっ」


 降り注ぐ矢をかわし、ふたりと一匹はビルに向かって走り出した。

角を曲がって物陰に飛び込もうとした時、みっつの人影が雄叫びをあげて飛びかかってきた。


( ∵) ギィィエエァァア―――!!!

114ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:50:46 ID:Hf7f3q6s
9.
モララーがふたりを切り伏せ、クーのショットガンが残りのひとりを吹っ飛ばす。


( ・∀・)「狂信者って奴らか」


 ぼろ布も同然の服を身にまとい、CDや金属部品などを紐に連ねて腰から垂らしている。

複雑な幾何学模様のペイントを顔に塗っていた。


川 ゚ -゚)「モララー、あっちからも!」


 手作りの槍や斧を持った男たちがこちらに駆けつけて来た。

口々に獣じみた絶叫をあげている。


( ∵)キェェァァア!!

( ∵)ウギイイイイ!!

(;・∀・)「獣に退化してやがる」


 ぶら下げた飾りがじゃらじゃらと不気味な音を上げている。

115ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:52:03 ID:Hf7f3q6s
10.
クーが時々振り返って散弾を浴びせたが、彼らはものともしなかった。

仲間の屍を踏み越え、死に物狂いで追ってくる。


川 ゚ -゚)「弾が……!」

( ・∀・)「僕に任せろ」


 彼女の銃は装填の際、キャップを開いて弾丸を詰め直し、撃針を交換するという手順を踏むため、時間がかかる。

彼女がガンベルトに常に六丁も差しているのはそのためだ。

モララーたちは路地を抜けて大通りの交差点に出た。


( ・∀・)「あっ」

川 ゚ -゚)「!!」


 ふたりは追い込まれたことに気付いた。

奥と左右の通路は車やバスで塞がれ、更に槍襖が築かれている。

116ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:53:43 ID:Hf7f3q6s
11.
( ∵)( ∵)( ∵)


 狂信者たちは来た道を埋め尽くし、周囲のビルでは射手が鏃をこちらに向けて構えている。

口々にわめき声を上げているが、それ以上は近づいて来ようとしなかった。


( ・∀・)「襲って来ない……?」


 その時初めて、モララーはこの広場の異質さに築いた。

地面にタールで何やら文様が書かれ、ところどころに血の跡がある。


川 ゚ -゚)「祭壇……?」


 その時、あのぜぇー、ぜぇーという苦しげな息づかいが聞こえた。

かちかちという金属がアスファルトを踏む足音がし、だんだんこっちに近づいて来る。


( ・∀・)「!」

( <●><●>( <●><●>)

117ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:55:54 ID:Hf7f3q6s
12.
 そのブージャム・ドールが姿を現したとき、狂信者たちは地面にひざまずいた。

祈るようなうめき声を上げ、顔を伏せる。


( ∵) オオー、オオー……!!

川 ゚ -゚)「あいつ……!」


 頭がふたつ、腕が四本あり、足が蹄になっている。

他と比べるとやや小柄で、背の高さはモララーより少し高いくらいしかない。

 ジグザグは立っていたバスの上から飛び降りた。

と、同時にその背後に引き連れていた無数のブージャム・ドールもそれに続いた。


( <●><●>)ゼエゼエ

( <●><●>)

(U'A`)「お前らは生け贄ってことだな」


 他人事のようにドクオがつぶやいた。

118ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:57:55 ID:Hf7f3q6s
13.
( ・∀・)(クソ、多すぎる! 僕はともかくクーを守り切れないぞ)

(U'A`)「噂が本当なら、連中はお前らを生け捕りにして連れ帰るはずだ」

( ・∀・)「クー、降参しよう」

川#゚ -゚)「うわああああ!」


 クーはいきなりジグザグに向かってショットガンをぶっ放した。

激しい金属音を上げ、外骨格が散弾を弾き返す。

 もう一丁を抜こうとした時、隣に回り込んだブージャム・ドールがクーを抱え上げた。


( <●><●>)ゼエゼエ

川;゚ -゚)「離せ、この野郎!!」

(;・∀・)「クー! ちっくしょう」


 もはやヤケクソで剣を振るうが、数が多すぎた。

相手を寄せ付けないのに精一杯で、クーを担いで引き上げるブージャム・ドールに近づくこともできない。

119ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 15:59:31 ID:Hf7f3q6s
14.
(;・∀・)「待ちやがれ、クソ……ぐっ!?」

( <●><●>( <●><●>) ヒュッ!!


 そちらに気を取られた時、ジグザグが投げた剣がドクオの胴体を貫いた。

 ひざまずき、剣を取り落とす。


(  ∀ )「がはっ……」

川 ; -;)「モララ―――!!!」


 ジグザグはモララーを一瞥し、部下たちと来た道を引き返していった。

その際、ブージャム・ドールの一体が彼の胴体から剣を引き抜き、回収してゆく。


( ・∀・)「くっ……」


 傷が塞がるころにはもう、広場には誰もいなくなっていた。

狂信者たちも姿を消している。

120ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:01:07 ID:Hf7f3q6s
15.
 モララーは腹を抱えながら、地面に落ちていたクーのガンベルトを拾い上げた。


(;・∀・)「ちっくしょう、クー!! ちっくしょう……」

 
 絶叫する彼にドクオが歩み寄ってきた。

いつも通り、他人事のような態度で言った。


(U'A`)「喚いてる場合か?」

( ・∀・)「ああ、そうだ……このままで済ますもんか、あの野郎!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 城の入り口にまでたどり着いた。

中は鬱蒼として暗く、壁にかけられたほのかな灯りが点々と奥へ続いている。


(U'A`)「覚悟はいいか? ここから先はブージャム・ドールの巣だぞ」

( ・∀・)「ああ、やってやる! 王の野郎もついでにぶっ飛ばしてやるぞ」

121ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:03:30 ID:Hf7f3q6s
16.
 剣をしっかりと握り締め、ごくりと唾を飲み込む。

モララーは意を決し、中へと入っていった。


( ・∀・)(待ってろ、クー)


 入ってすぐはエントランスホールになっていた。

二重螺旋を描く壮麗な階段が中央にあり、上へと伸びている。

いずれも真っ白で、金で縁取りがしてあった。


( ・∀・)「う、うわ……」


 そこらじゅうにブージャム・ドールの亡骸が転がっていた。

切断され、あるいは壁に串刺しにされている。


( ・∀・)「王が暇つぶしに自分を襲わせてたって言う……」

(U'A`)「そうだ。人間を相手するのに飽きてからはな」

122ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:05:35 ID:Hf7f3q6s
17.
 階段を上がってゆく。

天井が見えないくらい高い。モララーはそれをひたすら上がり続けた。

ふつうのビルならもう30階分は上がっただろうか?


(;・∀・)「王はずいぶん足腰が強かったみたいだな」

(U'A`)「昔はこれがエスカレーターみたいに動いてたんだよ」

( ・∀・)「お前、何でそんなことに詳しいんだ?」

(U'A`)「王のそばにずっといたからだ。正確には箱のそばにだが」


 モララーは足を止めた。


( ・∀・)「そろそろ話してくれ。お前は誰なんだ?」

(U'A`)「俺は箱の一部だ。管理者とか護衛とか言うのとはちょっと違うが」

( ・∀・)「どういう意味だ?」

(U'A`)「話してる暇はなさそうだな。ほら、来たぞ」

123ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:07:08 ID:Hf7f3q6s
18.
 あの苦しげな息づかいがした。


( <●><●>)ゼエ、ゼエ


 風を切る音とともに、翼を持つブージャム・ドールが舞い降りてきた。

ムカデのように長い胴体にトンボのような羽根が連なっている。


(;・∀・)「あれは……?!」

(U'A`)「〝ドラゴンフライ〟か」


 同時に上から飛び降りてきた二体のブージャム・ドールが、モララーを挟み撃ちにした。


( <●><●>)ゼエゼエ

( <●><●>)ゴボォッ


 手にしたねじくれた槍で同時に突いてきた。

モララーは身をよじってかわし、片方の胴体を剣で突いた。

124ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:09:58 ID:Hf7f3q6s
19.
( <●><●>)ゴボ……

( ・∀・)「オラア!」


 同時に後ろのもう一体に蹴りを食らわせ、階段から叩き落とす。

すぐに剣を振るい、串刺しにしていた方も投げ捨てた。


( <●><●>)ゼエッ


 新手が群れを成し、階上から雪崩れ込んで来た。


(;・∀・)「うわっ、くそ!」


 剣で蹴散らすが、数に押されて徐々に後退してゆく。

その時、周囲を回遊していた羽根を持つブージャム・ドール、ドラゴンフライが突っ込んできた。


(;・∀・)「!!」

( <●><●>)

125ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:11:27 ID:Hf7f3q6s
20.
 顎が階段を削り取る。

モララーは寸前で壁を蹴り、相手の上に飛び乗っていた。


( ・∀・)「うらああああ!!」


 眉間に剣を突き立てる。

相手はすさまじい悲鳴を上げ、身をくねらせて彼を振り落とそうとした。

 モララーはその節くれ立った背の上を走って勢いをつけると、尻尾の先端を蹴って再び階段に舞い戻った。


( <●><●>)ブギャアアアア……

(;・∀・)「うおっと、あっぶねえ」


 手すりに捕まり、はるか下へ落ちてゆく相手を見下ろす。


(U'A`)「まだ終わってないぞ」


 階段の上から降りてきたドクオが言った。

126ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:13:17 ID:Hf7f3q6s
21.
雑魚のブージャム・ドールたちが駆け降りて来ると、ドクオをよけてモララーに殺到した。


(#・∀・)「うおおおおお!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 数時間後、モララーは階段の一番上の段に手をかけた。

ふたつの階段は大きな丸盆に到達して終わっている。


(;・∀×)「ぜえ、ぜえ」


 何とか体をそこまで持ち上げ、ごろりと仰向けになった。

体には何本もの槍やブージャム・ドールの腕が突き刺さり、全身を返り血で真っ黒にしている。

左目はえぐり出されてなくなっていた。

 肘から先のない腕を呆然と見上げた。


(;・∀×)「ぜえ、ぜえ……ちっくしょう、腕どっかに落っことしてきちゃった……」

127ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:15:29 ID:Hf7f3q6s
22.
(U'A`)「すぐに生えてくるさ。じっとしてろ」


 言われた通りにした。

城はまだまだ続き、天井はかすんで見えない。


( ・∀×)(何だろう、昔もこんな目に遭ったような……?)


 荒く呼吸をしていると、またキュートのことを思い出した。

右手で自分の頬に触れる。

彼女の手がそこに触れた瞬間の感覚が、今もまだはっきりとそこに残っている。


( ・∀×)(君は誰なんだ? なぜ僕の心に焼き付いているんだ?)


 丸盆から周囲八方向に渡り廊下が伸び、それぞれ壁に開いた通路に続いている。

白い床に横たわっていたモララーは、かすかにその震動を感知した。


( ・∀×)(なんか来る)

128ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:17:42 ID:Hf7f3q6s
23.
 バランスを崩しながらも何とか立ち上がると、奥の通路のひとつに人影が現れた。

頭がふたつ、腕が四本、ヤギの足を持ち、背に四本の剣剣を背負っている。


( <●><●>( <●><●>)

( ・∀×)「ジグザグ! あの野郎……」


 たちまち左腕の傷がうずき、肉が盛り上がってまっさらな腕が生えた。

同じく再生された左の眼球で相手を見据える。


( ・∀・)「クーをどこにやった!」

( <●><●>( <●><●>)


 相手は無言で剣を抜き、モララーと相対した。

 たちまち剣戟が火を噴く。


(;・∀・)(クソッ、強い!!)

129ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:19:54 ID:Hf7f3q6s
24.
 ただ力任せに振り回しているだけではない。

綿密なシミュレーションに裏打ちされた、れっきとした剣術だ。


( ・∀・)「ハァッ、ハァッ」

( <●><●>( <●><●>) シィィイッ


 モララーは自分の体に刺さっていたブージャム・ドールの腕を引き抜き、それを相手に投げつけた。

ジグザグが剣で叩き落とした瞬間の隙を突き、腕の一本を切り落とす。


( <●><●>( <●><●>)「!!」


 返す刀を浴びせようとした時、相手はくるりと背を向けた。

足が跳ね上がり、モララーは蹄の後ろ蹴りをみぞおちに受けた。

自分の内側で肋骨が粉々になり、内臓が破裂する音がした。


ボギボギ(  ∀ )「ごほっ……」

130ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:21:51 ID:Hf7f3q6s
25.
 柵まで吹っ飛ばされ、叩き付けられる。

すかさず間合いを詰めた相手の三本の剣が心臓を貫いた。


( ・∀・)「がはっ」

( <●><●>( <●><●>) グワッ


 間髪入れずふたつの頭が噛みついて来る。


( ・∀・)「うおおおおお!!」


モララーはガンベルトからショットガンを抜いた。

ズドン!!

ジグザグの頭の片方が吹っ飛ぶ。


( <●><●>(*';";;"';)「!!」


 相手は悲鳴を上げ、モララーを投げ捨てた。

131ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:23:52 ID:Hf7f3q6s
26.
虚空を舞い、丸盆が遠退いてゆくのを、モララーはどこか意識の遠くで感じていた。


(  ∀ )(登り直しかよ、ちくしょう……)



















つづく……

132ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 16:24:26 ID:Hf7f3q6s
最終話は飯食ってからだ!

133ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:03:48 ID:JFYH15n2
おつ

134ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:41:45 ID:Hf7f3q6s
そいじゃあ最終話を投下してこう

135ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:42:49 ID:Hf7f3q6s
1.
 自分の視界に覆い被さっているものがドクオの顔だと気付くまでに、相当の時間がかかった。


( ・∀・)「う……」

(U'A`)「気分は?」

( ・∀・)「最高だよ。ペプシ持ってないか?」


 たっぷり食べ、ぐっすり眠った後のように爽快な気分だった。

立ち上がり、自分の体を見下ろす。

服はぼろ切れになっていたが、肉体は生まれ立てのようにまっさらだった。


(U'A`)「お前、さっきまで車に踏まれたカエルみたいになってたんだぞ」

(;・∀・)「イヤなこと言うなよ……」



o川*゚ー゚)oヒート・オブ・ザ・ソウルのようです

最終話 魂の熱量

136ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:44:53 ID:Hf7f3q6s
2.
 剣は少し離れた場所に落ちていた。

こちらも無傷だったが、ガンベルトの銃はすべて駄目になっていた。

ストックが砕け、弾丸は分解している。

無事なのはパイプ爆弾だけだった。


( ・∀・)「あの高さから落ちたからなあ……クーに怒られるな」


 ともかくベルトを拾い上げ、急いで階段を駆け上がる。


( ・∀・)「僕、どのくらいくたばってた?」

(U'A`)「一昼夜くらいか。さすがに時間がかかったな」

(;・∀・)「くそっ、あの野郎! クー、大丈夫かな……」


 ブージャム・ドールの残党を薙ぎ払い、何時間もかけて丸盆にまで戻った。

黒い血の跡が通路のひとつへと続いている。

137ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:47:01 ID:Hf7f3q6s
3.
( ・∀・)「あっちか。クーもいるといいんだけど」


 渡り廊下を越え、通路に入った。

しばらく進んだあと、奇妙な施設に入った。


( ・∀・)「……!?」


電球のような瓶が天上から大量にロープでぶら下がっている。その中に真っ黒な液体が満ちていた。

瓶のひとつが割れている。

その下で黒い液体にまみれたブージャム・ドールがびくびくと身を痙攣させている。


( <●><●>)ゴボッ、ゴボッ


剣でつつくと、脱皮後の昆虫のように柔らかい。


( ・∀・)「これは……!?」

138ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:48:50 ID:Hf7f3q6s
4.
モララーは改めて瓶を見回した。

透明な液体のものから灰色、黒とある。

どうやら時間の経過とともに少しずつ黒くなっていくらしい。

 そして透明な液体の瓶の中で身を丸めて眠っているのは、普通の人間だった。


(;・∀・)「人間からブージャム・ドールを作ってやがったのか?!

     箱に願えばいくらでも作れるのに、何で……」

(U'A`)「王の趣味さ」

( ・∀・)「趣味?」

(U'A`)「人間誰しもそうだろ? 買ってきた方が早いのに、わざわざ自分で作りたがる。料理とか家具とかな。

   王にとっちゃ、こうして人間をわざわざ苦しませるのが暇つぶしの趣味だったんだよ」


 モララーは怒りのあまり噛みしめた歯を鳴らした。


(#・∀・)「何て野郎だ……じゃ、クーもここに?」

139ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:52:34 ID:Hf7f3q6s
5.
(U'A`)「かもな」


 比較的透明な瓶を見て回るとやや灰色がかった瓶のひとつに彼女がいた。

全裸で膝を抱き、目を閉じている。


川  - )

( ・∀・)「クー!! くそっ、今出してやるからな」


 剣で瓶を叩き割ろうとした時、そのガラスにふっと影がよぎった。

振り返った瞬間、両側から挟み込むようにして四本の剣が振り下ろされた。

とっさにかわし、床を転がる。


( <●><●>( <●><●>) ゼエー、ゼエー

( ・∀・)「野郎!」


 腕が四本に再生し、頭もふたつに戻っている。

140ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:56:25 ID:Hf7f3q6s
6.
(;・∀・)「クソッ、治ってやがる! この工場で自分を修理してたのか」


 斬撃を受けた瓶にビビが走って砕け、クーが液体とともに流れ出た。

小さくうなり声を上げ、まぶたを痙攣させる。


川 ' -`)「う……」

( ・∀・)「クー!」


 彼女はうつろに目を開いた。


川 ゚ -゚)「モララー……?」

(U'A`)「大した女だ。こんな世の中でここまで強く希望を持っていられるとは」

( ・∀・)「良かった、無事だった」


 心からほっとし、荷物を捨てて身軽になってから、ジグザグに向き直る。


(#・∀・)「てめえだけはぶっ殺す!」

141ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 18:59:34 ID:Hf7f3q6s
7.
( <●><●>( <●><●>)


どれほどの決意を固めようとも、ジグザグが強敵であることは変わりない。

一撃一撃は鋭く、炎のような攻勢で追い詰めて来る。


(;・∀・)「ううくそ、くそっ……」

( <●><●>( <●><●>)ゼエー、ゼエー……ゴボッ


 相手は笑うようにして口から黒い血を吐き出した。

瓶の林の中を逃げ回っていたが、やがて壁際にまで追い詰められた。


( ・∀・)「くっ……」


 荷物まで這っていったクーは、ガンベルトからパイプ爆弾とジッポライターを抜き取った。

それを彼に向かって床を滑らせる。


川 ゚ -゚)「モララー!!」

142ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:01:31 ID:Hf7f3q6s
8.
( ・∀・)「!」


 モララーは受け取りはしたが、そちらに気を取られた瞬間、剣が相手に弾き飛ばされた。。

がら空きになった胴体を二本の剣が同時に串刺しにする。


川;゚ -゚)「モララ―――!!」

(;・∀・)「ぐあ……」

( <●><●>( <●><●>)


 相手が噛みつこうと口を大きく広げた時、モララーは逆に相手の頭を抱き寄せた。

火をつけたパイプ爆弾を、さっき吹っ飛ばしたのと同じ右側の頭の口に突っ込む。


( ・∀・)「計画通り、ってか? 普通に投げたって避けられちゃうもんな」

( <●><●>( <●><●>)「!!」


 爆弾が炸裂した。

143ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:04:01 ID:Hf7f3q6s
9.
散弾と化した釘はモララーとジグザグの双方を吹き飛ばす。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 クーは倒れたモララーの方へ張っていった。

爆弾を握っていた右腕は根本からなくなっている。


川 ; -;)「モララー、モララー……ぐ、ゲホッ、ゲホッ……!!」


 せき込む彼女の唾液は黒みを帯びていた。

だが構うことなくモララーの元へ向かう。


川 ; -;)「モララー……」

( ・∀・)「ぐ……」

川 ゚ -゚)「! モララー!」

(U'A`)「大丈夫だ、死にはしない。お前には言ってなかったが、そういう奴なんだ」

144ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:08:12 ID:Hf7f3q6s
10.
 クーの見ている前でたちまち傷口が塞がり、わずかずつではあるが肉が盛り上がってゆく。


川 ゚ -゚)「これは……?」

( ・∀・)「僕もよくわからないんだ。まあ、便利だけどさ」


 朦朧としたままモララーは言った。


( ・∀・)「それより君の方は?」

川 ゚ -゚)「だいじょう……ぶ……」


 そこで彼女は再び激しくせき込んだ。

喉を押さえて苦しげに喘ぎ、大量の黒い血を吐き出した。


川  - )「オエッ、ゲエ……!!」

(;・∀・)「クー!」


 重い体を地面から引き剥がすようにして起き上がり、クーの背をさすった。

145ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:10:27 ID:Hf7f3q6s
11.
( ・∀・)「どうすればいい?」

(U'A`)「どうしようもない。その量じゃ助からん。

    ま、瓶の外ではブージャム・ドールにはならんだろうが、ヴォイドにはなるだろうな」

(#・∀・)「冷静に言ってんじゃねーよ! どうすればいいんだ……」

川  - )「弟……モララー、わたしの弟は……?」

( ・∀・)「そうだ、弟だ! きっと君の弟もこのへんにいるよ!」


 モララーは彼女の肩に上着をかけてやり、抱き起こした。


( ・∀・)「希望を捨てちゃダメだ! 彼はきっと無事だよ、君だって無事だったんだから、だから……」


 その時、クーは弾かれたようにジグザグの破片の方を見た。

モララーを突き放し、ふらふらとそちらに歩いてゆく。


( ・∀・)「クー?」

川 ゚ -゚)

146ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:12:39 ID:Hf7f3q6s
12.
 彼女はしゃがみ込み、震える手でばらばらになった頭部に触れた。

モララーが吹っ飛ばした頭の片方で、半分ほどなくなっている。

砕け散った陶器のような表層の下に、血の気の失せた人間の顔があった。

 彼女はゆで卵の殻を剥くようにして、顔面の表層を一枚ずつ剥いでいった。


(´ ω `)

川 ゚ -゚)「ショボン……」


 モララーはありとあらゆる慰めの言葉をかき集めた。

だが全部胸につかえてしまい、ひとつも口から出て来なかった。

 クーは大きく息を吸い込むと、これまで以上に多くの黒い血を吐き、そして倒れた。


川  - )「ゴボッ……」

( ・∀・)「望みを捨てるな! そうだ、箱があればきっとみんな元に戻せるよ、だから……だから……」


 抱き起こされたクーは、泣いているような笑っているような声で囁いた。

147ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:14:46 ID:Hf7f3q6s
13.
川  - )「希望なんか持つんじゃなかった。そうすれば、こんなに苦しむこと……なかったのに……」

( ・∀・)「……!」

川 ; -;)「ショボン……」


 モララーの腕の中で、クーの魂の熱量は急速に失われてゆく。

吐息からは温もりは失われ、変わってひたすら黒い液体を吐き出しながら激しくえづく。


川  - ) ガハッ……ゲホ、ゲボォッ

(  ∀ )


 激しく痙攣する彼女をきつく抱いたまま、モララーは凍り付いたように動かなかった。

絶望が流れ込んでくる。


( ・∀・)「ああ、……ああ」


 腕の中からクーが滑り落ちた。

148ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:16:40 ID:Hf7f3q6s
14.
頭を抱え、モララーはふらふらと立ち上がり、壁の前でひざまずいた。

そこに手を当て、額を思い切りぶつける。


( ;∀;)「ああああ―――――――――!! ちっくしょおおおおお!!!」


 胸につかえていたすべてが悲鳴になってあふれ出す。


( ;∀;)「みんな僕のせいだ、みんな……僕の……」

(U'A`)「頭を切り落としておけ」

( ・∀・)「何てこと言うんだ……!」

(U'A`)「いずれヴォイドとなってよみがえるぞ。そっちのほうがかわいそうだろ」

( ;∀;)


 涙を拭い、床に彼女を寝かせた。


( ;∀;)「許してくれ。みんな僕のせいだ……」

149ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:18:10 ID:Hf7f3q6s
15.
(U'A`)「その通りだ。みんなお前のせいだ」


躊躇や迷いが体を凍りつかせてしまう前に、モララーはクーの首を跳ねた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 再び階段を見つけ、モララーはひたすら頂上目指して上がり続けた。

ひどく体が重い。

ちぎれた右腕は再生を止め、傷口からしたたる血は黒みを帯びていた。


( ・∀・)「何で腕が戻らないんだ……?」

(U'A`)「ジグザグに噛まれたときに入った黒い血のせいだ。

   量はわずかだったが、お前の絶望が排出を妨げてるんだ」

( ・∀・)「……」

(U'A`)「今にお前もヴォイドになる」

150ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:20:41 ID:Hf7f3q6s
16.
 言い返す気力もない。

たったひとつの希望だけが、モララーを動かしてた。


(;・∀・)(まだだ! 箱があれば……ひとつだけ願いが叶うんだ……!!

     クーを生き返らせることだって……)


 そんなモララーの後をドクオはのんびりついてきた。


(U'A`)「ついでだから少し王のことを話してやろうか。

   そいつはこの町で生まれ、高校に通う少年だった。

   性格は暗くて後ろ向き、顔は醜く、家族にも学友にも教師にも嫌われ、見放されていた」

( ・∀・)「僕には関係ない話だろ……」

(U'A`)「そいつはある日、学校の裏手のゴミ箱で箱、つまり願望機を偶然拾った。

    最初はまあちょっとしたことだった。金とか、ゲーム機とかな。

    後に自分の顔や姿かたちを変えることに躍起になり始めた」

151ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:22:17 ID:Hf7f3q6s
17.
(U'A`)「そいつは自分の姿形をひどく憎んでいたからな」

( ・∀・)

(U'A`)「そして自分の都合のいいように周囲をコントロールし始めた。

   誰にでも好かれる、快活で明るく、スポーツ万能、喧嘩に強くて優しい自分、というような虚像を作り出してな。

   まあ、このころはまだマシだった。そこまで他人に迷惑をかけてはいなかった。

   だが自分をイジメていた奴らへの報復に執心し始めてからは、どんどんおかしくなっていった」


 モララーはうつろな意識のままそれを聞いていた。

ただひたすら、機械のように足を動かして体を上へ上へと進めながら。


( ・∀・)「ペプシが飲みたい……ペプシがありゃあな……」

(U'A`)「思いつく限りのことをした。串刺し、火責め、水責め。

   お互いを殺しあわせ、生きたまま脳をえぐり出して残らず食えば許すと命じたりした。

   ま、実際にやっても許しはしなかったが。

   一万回苦しませて殺し、一万回生き返らせては同じことをした」

152ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:24:57 ID:Hf7f3q6s
18.
( ・∀・)「ペプシが……飲みたい……」


 もうどのくらい登っているだろう。

時々気を失い、目が覚めるたびにドクオは同じ話をえんえん繰り返した。


(U'A`)「王は箱を手に入れる前、とある女の子に恋をした。

   イジメられてボコボコにされたところで、ハンカチを貸してくれたそうだ。

   汚物扱いされ、誰も触れようとしなかったあばた面の彼に、文字通り手をさしのべたただ一人の存在だった」

( ・∀・)

(U'A`)「王は彼女の心を動かすために何でもした。

    ありとあらゆる贈り物をし、王侯貴族のような暮らしをさせてやるとまで言った。

    だが彼女が聞き入れないとなると、彼女の両親や友人を拷問にかけ、戦争で無関係な人々を皆殺しにしたりした」


 再び丸盆に出た。

これでいくつめだろう?

153ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:26:30 ID:Hf7f3q6s
19.
だが上に行く階段はもうなく、城はここで尽きていた。


( ・∀・)「屋上……」


 雲の上から突き出した玉座の間には、背もたれの長い豪華な椅子があった。

その後ろには大きな氷柱がそびえている。


(U'A`)「ありとあらゆる残虐な行為を見せつけて、少女はやっと王に屈服した。

   だが王は満たされることはなく、その憂さを晴らすように凶行に走り続けた。

   世界中にブージャム・ドールを率いて攻め込み、十年かけてすっかり文明を廃墟に変えてしまった。

   何もかも願いを叶え尽くしたあと、いかなる希望も失った王は箱を叩き壊し、自らをその剣で刺した。

   だが不老不死の願いを叶えていたから死ぬことすら出来なかった。

   ヴォイドすら王を相手にしなかった。ふらふらと城を出ていって、それっきりだ」


 モララーは服をまくり、自分の胸元を呆然とさすった。

そこに痣が……剣で貫かれた跡のような痣があった。

154ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:28:16 ID:Hf7f3q6s
20.
真っ青な空に太陽が浮かんでいる。


( ・∀・)「ああ……」


 モララーはふらふらと玉座の前まで行き、そこでひざまずいた。

叩き壊された小さな宝石箱の残骸があり、背後の氷柱の中にはひとりの少女が氷漬けになっていた。


o川*  )o


〝(:::::::::::)「わたしを愛していると言えばいいのだ!」〟

〝o川*  )o「愛しています、王様」〟

〝(:::::::::::)「心からだ! 貴様の言葉はうわべに過ぎない」〟

〝o川*  )o「わたくしはあなただけを愛しています、王様……わたくしは、あなただけを……」〟

〝(:::::::::::)「……!」〟


( ・∀・)「〝箱よ、この女を永遠に氷漬けにしてしまえ〟」

155ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:31:29 ID:Hf7f3q6s
21.
 呆然とつぶやきながら、モララーは頭を抱えた。

こぼした涙は真っ黒だった。


( ;∀;)「それが最後に叶えた望みだ。大バカだな、そいつは」

(U'A`)「同感だ。良くわかってるじゃないか」


 両親や、友人や、部活、家族、学校のことがろくに思い出せないのも当然だ。

あれはみんな後付の虚構だったのだ。

ただ、キュートだけが―――あの娘の存在だけが現実だった。だから、記憶に残っていたのだ。


( ・∀・)「そうか。何となく、そうじゃないかとは思ってたけど。やっぱり、僕が王なのか……」

(U'A`)「スッキリしただろ?」

( ;∀;)「ああ……」


 頭をかきむしり、髪を引きちぎる。

156ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:33:10 ID:Hf7f3q6s
22.
( ;∀;)「クーが死んだのも、世界が滅びたのも、キュートがこんなことになったのも、みんな僕のせいなんだ」

(U'A`)「そうだな」

( ;∀;)「お前、ここまで来たらどうにかなるって言ったよな? 僕はどうすればいいんだ?」


 ドクオはのんびりその場に伏せた。


(U'A`)「俺は箱が作られた時に同時に創造された、箱の安全装置だ。

   もし箱の持ち主が望むのならば、最後にひとつだけ願いを叶えてやれる。

   ただしそれは〝過去にさかのぼってすべての願いを帳消しにする〟という願いだけだ」

( ・∀・)「すべてを……?!」


 一瞬モララーの表情に希望が差したが、すぐにまた視線を伏せた。


( ・∀・)「元の自分に戻るってことか?」

(U'A`)「そうだ。箱を拾った瞬間にまで時間がさかのぼる」

157ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:35:23 ID:Hf7f3q6s
23.
 昔の自分に……?

あの何にも出来ない、世界のすべてと自分自身の両方を狂おしいほど憎んだ無力な自分に戻るというのか?


(;・∀・)「出来るもんか、そんなこと!! できるもんか」

(U'A`)「じゃあここでくたばって、お前もヴォイドになれ」

( ;∀;)「出来ない!! 出来ないよ! 昔の自分に戻ることだけは出来ない!

     あんな自分に戻るくらいならここでくたばったほうがマシだ!」


 泣きじゃくりながらモララーは激しく首を振った。


( ;∀;)「こんな世界クソ食らえだ! 親も教師も、他のバカどもも苦しんでくたばって当然だ!

     僕は箱を手にしたんだぞ、王になる権利がある! あんな奴らは復讐されるべきなんだ!」

(U'A`)「ああ、そうだろうよ」

( ;∀;)「……なぜだ? なぜ僕をこんなに苦しめる?!」


 ドクオは呆れたような笑みを浮かべた。

158ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:37:13 ID:Hf7f3q6s
24.
(U'A`)「この後に及んでまだ被害者のつもりでいるとは恐れいったよ。

   本当なら俺の裁量でお前を見捨てても良かったんだぞ」

( ・∀・)「じゃあ何でここまで導いた?」

(U'A`)「お前はバカだ。卑屈で、クズで、横暴で、本当に惨めな奴だ。しかも残忍と来てる。

   だが……こちらからひとつ聞くが、なぜ箱にこう願わなかった?

   〝キュートの心が欲しい〟と。

   なぜあんな遠回しな手を使ったんだ?」

( ;∀;)「それは……」


 再び視線を伏せた彼を、ドクオは真っ直ぐに見ながら言った。


(U'A`)「お前、本当はわかってたんだろ?

   それをやってしまったら、自分の本当の望みは叶わなくなってしまうって」

( ;∀;)「……」

159ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:39:19 ID:Hf7f3q6s
25.
(U'A`)「先にも言ったがお前はどうしようもないほどのクソッタレだ。

   だが本当に何にもわかってないわけでもなかった……だから一度だけ、チャンスをやった。

   それだけだ」

( ・∀・)


 モララーは手でそっと箱の残骸に触れた。


( ・∀・)(どうすればいい……?)


 キュートのことも考えた。それにクーは?

どれほど世界が憎くとも、あのふたりだけはこんな目に遭わなければならなかった謂れはない。

 果てしない時間だけが過ぎ、モララーが吐く黒い血の量は徐々に増えていく。


( ・∀・)「ゴホッ、ゲエッ……!」


あるとき、モララーは顔を上げて言った。

160ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:41:12 ID:Hf7f3q6s
26.
( ・∀・)「ドクオ……ゴホッ」

(U'A`)「どうすればいい、何てもう聞くなよ」

( ・∀・)「いや」


 強く目を閉じ、意を決した。

顔を上げ、彼を見る。


( ・∀・)「もし……その最後の願いを叶えたら、クーは……キュートは、僕を許してくれるかな」

(U'A`)「贖罪とは善行で罪を帳消しにすることじゃあないんだと。同じ過ちを繰り返さないことだそうだ」

( ・∀・)「わかった」


 モララーはうなずいた。


( ・∀・)「最後の願いを叶えてくれ」


 ドクオは目を細めて笑い、立ち上がった。

161ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:43:22 ID:Hf7f3q6s
27.
(U'A`)「やっと正しい願いを叶えてくれたな、友よ」


 ドクオは背を大きく仰け反らせた。

深呼吸を一度し、大地を揺るがすようなすさまじい遠吠えを上げる。

彼から放たれた、白い波のような衝撃波が世界を覆ってゆく。

 宙を漂っていたモララーは、逆再生のように、何もかもが元通りになってゆくのが見えた。

焼き尽くされた建物は元通りに、ヴォイドたちは元の人々に、そしてモララーは……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ・∀・)「ハッ!」


 モララーはその場に突っ立っている自分に気付いた。

校舎の裏側で、ふだん人が来ることはない場所だ。

イジメっ子から隠れるようにして、放課後はよくここでひとりで時間を潰していた。

162ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:48:10 ID:Hf7f3q6s
28.
( ・∀・)「……」


 自分の手の中を見下ろす。

凝った彫刻が施され、留め金の部分に緑色の宝石が付いている宝石箱を手にしていた。

確かこの日、拾ったばかりのこの奇妙な箱を眺めて考えを巡らせていたはずだ。


( ・∀・)「戻ってきたのか」


 自分の顔に触れる。

ひどいにきび面で、首周りはやや肉が余りがちだった。

思わず笑う。元の自分の顔だった。


( ・∀・)「……うん」


 箱を手に校舎裏を出た。

部活の生徒たちで賑わう校庭を途中、体操服姿の女の子とすれ違った。

163ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:50:22 ID:Hf7f3q6s
29.
先日ハンカチ貸してくれた子だ。


o川*゚ー゚)o


 こちらには気付かず、行ってしまった。

 最初の願いは、彼女に「振り返れ」と命じることだった。

まだ箱の正体は知らず、ほんの無意識のうちに願ったことが現実となったのだ。


( ・∀・)

o川*゚ー゚)o


 彼女は立ち止まることも、振り返ることもなかった。

モララーは涙を拭った。


( ;∀;)(いいんだ。これでいいんだ……)


反対の校舎にまで来ると、ゴミ捨て場の焼却炉の前に立つ。

164ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:52:06 ID:Hf7f3q6s
30.
箱を手に躊躇していると、いきなり後ろから背中を誰かに蹴られた。


( ・∀・)「うわっ?!」


 男子生徒がふたり、にやにや笑ってこっちを見ていた。

クラスの不良たちだ。


( ^Д^)「おら、何やってんだブタ!」

<ヽ`∀´>「ホルホル! そん中に入って焼きブタになるつもりだったニカ?」

( ^Д^)「おら、何とか言えや」

( ・∀・)


 モララーは手の中の箱を強く意識した。

今、〝跡形もなく消えろ〟と願うことだって出来る。


( ・∀・)(……いや)

165ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:54:41 ID:Hf7f3q6s
31.
(;・∀・)「う……うるさい、お前らに関係ないだろ」

( ^Д^)「プギャー! 生意気に口答えですか? ん?」

<ヽ`∀´>「やっちまうニダ、こん中に放り込むニダ」

( ;∀;)「離せええええ!!」


 もみ合っていると、いきなりどこからかロケット花火が大量に飛んできた。

三人に降り注ぎ、パンパンと激しく弾ける。


(;^Д^)「プギャー?!」

<;`∀´>「ドクトォォオ?!」

(;・∀・)「?!」


 煙が上がり、火薬の臭いがしている。

振り返ると、制服姿の女の子があわてて走ってくるところだった。


川;゚ -゚)「ごめんごめーん、当たっちゃった?!」

166ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:57:48 ID:Hf7f3q6s
32.
( ^Д^)「何してくれてんだ、てめー」

川 ゚ -゚)「いやー、ごめんね。ちょっとこの連射砲の試作品をだね……」

(;^Д^)「こ、こっちに向けんな!」

川 ゚ -゚)「ん? あ、ごめん」


 バカバカしくなったらしく、不良たちは捨て台詞を吐いて去っていった。


( ^Д^)「ふん、行こうぜ」

<ヽ`∀´>「ニダニダ」

( ・∀・)「あ……」

川 ゚ -゚)「ん?」


 モララーと女の子は顔をあわせ、お互いをまじまじと見詰め合った。


川 ゚ -゚)「どこかで……?」

( ・∀・)「いや、ううん」

167ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 19:59:22 ID:Hf7f3q6s
33.
川 ゚ -゚)「あーあ、ちょっと火薬の破片かかっちゃったね」


 彼女はモララーの肩を手で払った。

火傷や細かい傷が多く、バンドエイドをいっぱいに貼っている。

それにモララーが気付くと彼女は顔を赤らめ、照れ笑いして手を引っ込めた。


川*゚ -゚)「あっ……汚い手だから恥ずかしいな」


 片腕におかしな武器だか何だかを両腕で抱えている。

ガトリングのような筒を束ねた物体で、そこからさっきロケット花火を連射出来る仕組みになっているらしい。


( ・∀・)「それは?」

川*゚ー゚)「あ、うん。わたし科学部なんだけど、これ、今作ってるの。試射してたとこ」

( ・∀・)「へええ、カッコイイな」

川 ゚ -゚)「とにかく、ごめんね」

168ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:01:28 ID:Hf7f3q6s
34.
 身を翻して来た道を戻ろうとする彼女の背に、モララーは胃を決して話しかけた。


( ・∀・)「あ、あのさ、もし良かったら……」

川 ゚ -゚)「ん?」

( ・∀・)「他にもそういうのあったら、見せてくれない?」

川*゚ -゚)「おっ、理解を示してくれる人は珍しいな。

    うちの弟なんか〝そんなんだから彼氏できないんだ〟ってうるさいんだけどさー」

( ・∀・)「弟……そっか」

川 ゚ -゚)「部室に色々あるよ」

( ・∀・)「楽しみだな……あ、その前に」


 モララーはため息をひとつつき、それから箱を焼却炉に放り込んだ。


川 ゚ -゚)「ゴミ?」

( ・∀・)「うん。僕にはもう、必要のないもの」

169ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:03:23 ID:Hf7f3q6s
35.
川 ゚ -゚)「うわっ、野良犬」


 言われて振り返ると、フェンスの向こうの道路に黒い犬がいた。


(U'A`)

( ・∀・)

川 ゚ -゚)「どうかした?」

( ・∀・)「……ううん」


 モララーはそっと犬に囁きかけた。


( ・∀・)「お前が引き合わせてくれたのか?」

(U'∀`)


 犬はまるで笑っているように眼を細めた。

モララーには彼がいつもの調子で〝かもな〟と言ったように聞こえた。

170ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:07:37 ID:Hf7f3q6s
36.
犬はのんびりと歩み去り、姿を消した。


川 ゚ -゚)「どうかした?」

( ・∀・)「何でもないんだ」


 小走りにクーの後を追う。

モララーは今、胸に新たな望みが湧き出すのを感じていた。










―――あの時伝えられなかった言葉を、今度こそ伝えなきゃ。

僕は君の手が好きだって。


おしまい

171ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:08:12 ID:Hf7f3q6s
というわけで終わりです。
なんか締め切り破って多方面に迷惑かけてすまんかった。

172ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:10:17 ID:???
乙 救いのある終わりでよかった

173ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:29:52 ID:???
おつ

174ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 20:48:58 ID:???
乙乙
面白かった


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