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凍てつく殺意@読者参加型推理サスペンス

44二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/10/11(金) 17:45:19
修司が受話器を受け取り、何度か試してみたものの、一向に繋がる気配はない。
「おかしいな、今朝までは繋がっていたのに」
「電話線が切れたんじゃないか?」
亮が窓から外を覗き込んで言った。外の吹雪はさっきよりも更に強く、激しく吹き荒れている。
「断線か。まずいな、こんな吹雪の中じゃ業者も来てくれそうにないのに」
「どの道、電話が通じないんだから業者も呼べねえよ」
そうだ、この電話が途切れた今、他に外部への連絡手段は無くなってしまったも同然だった。
「他に連絡手段は無いのですか?」
蟻原の問いに、平林が答える。
「残念ながら、このお電話以外に麓へ連絡する方法はありません」
「そ、そんな・・・」
がっくりと項垂れる影山を、蟻原が慰めるように肩を叩く。
「仕方ありませんよ。しかし、これでは迎えを呼ぶ事もできない。鍵村さん、申し訳ありませんが吹雪が止んで麓まで降りられるようになるまで、こちらに御厄介になっても宜しいでしょうか」
蟻原の提案に、鍵村は快く頷いた。
「もちろんだとも。幸い、空いている部屋はいくつもあるし、しばらく滞在する予定だったから、燃料や食料も充分に用意しているからね。なに、1〜2日もすれば吹雪も止んで道も歩きやすくなるだろう。そうしたら平林に麓まで車で送ってもらいなさい」
そう言うと、平林に部屋の鍵を用意するように命じた。
「部屋は男部屋と女部屋の二部屋で良かったかな?」
「はい、色々とありがとう御座います」

命じられた平林は、すぐさま管理人室から鍵を取って戻ってきた。
「なんか修学旅行みたいだな」
鍵を受け取りながら、毒島が楽しそうに笑う。図らずも遭難登山ツアーが、豪邸宿泊プランに変更になったと、内心喜んでいたのだった。登山ツアーなんかよりも余程楽しいハプニングだ。
そんな浮かれた毒島の様子を見て、伊佐治が釘を刺す。
「言っておくけど、御厚意で泊めてもらうんだから、失礼のないようにね」
「そ、そんな事、言われなくてもわかってるよ」
「それならいいけど。部屋に入ったら枕投げでもしそうな顔してたから、ちょっと忠告しただけよ」
伊佐治の言葉に、毒島は思わずぎくりとした顔で固まった。
「・・・散々体を冷やしたんだから、部屋に行ったらすぐ寝なさい」
伊佐治は呆れた顔でそう言うと、守久と影山と一緒に平林の後へついて部屋へと案内されて行った。

「ははは!君達、面白いなー」
毒島の肩を叩きながら、亮が機嫌良さそうに話しかけてきた。近付く顔からは、ほのかに酒の匂いが漂ってくる。
「なに、あの子って君の彼女?付き合ってんの?」
「違いますよ、たまたま同じツアーで一緒だっただけで」
「それにしちゃ、すでに尻に敷かれてるな。頑張れよー、少年」
亮はげらげらと笑いながら、毒島の背中を叩いて奥の部屋へと去って行った。
それと入れ替わるように蟻原が歩いてくる。
「僕達の部屋も二階だそうだ、荷物を運ぼう」
蟻原に促され、毒島は客間に置いてある荷物を持って二階の部屋へと向かう。

「平林さんに聞いた話によると、トイレは各階の中央付近、お風呂は1階の奥、その隣にパントリーがあるそうだ。食事はさっきのダイニングルーム、朝食は8時、昼食は12時、夕食は7時。電気が通ってないから地下の燃料発電機で動力を賄ってるらしく、夜は無駄に燃料を使えないから消灯12時以降は電気が使えないそうだ。トイレに行く時は懐中電灯を使う。それと2階には僕達の他に、修司さん夫妻の部屋と亮さんの部屋がある。3階は鍵村さん夫妻の部屋と鈴さんの部屋だそうだ。僕達の部屋は二階の奥、その隣が影山さん達のいる女子部屋だ。間違えないように注意してくれ」
歩きながら蟻原が平林から聞いた情報をノンストップでまとめて話した。
「・・・えーっと・・・」
「分からない時は聞いてくれ」
毒島の顔を見て察したようで、蟻原はそれ以上説明するのをやめた。


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