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短編総合スレッド

1管理者:2013/09/01(日) 20:30:21
短編のSSはこのスレにどうぞ!いつでもご自由に投稿いただけます。
ただし、誰かが投下中の場合はお待ちください
細かい決まりとかは現在特にありません、基礎ルールを守っていただければ大丈夫です
コメントは執筆者さんが書き終わってからのほうがよいかと思われます。

※短編の定義はよくわかっていません。10レス以下ぐらいでしょうかね?

2名無人目のスタンド使い:2013/09/14(土) 15:13:58
僭越ながら、一番槍頂かせていただきます
普通男子赤塚君ジャーナリスト話です

***
 壮絶な破壊音が、薄暗い店内を吹き飛ばした。
 つんざく悲鳴。貫く弾丸。
 熱を持った鉛玉は店の調度を片端からなぎ倒し、ぶち壊していく。
 壁に掛けられた額縁は無残に砕け散り、カウンターに並ぶ酒瓶は中身を飛び散らせながら割れ落ちる。

 ようやく銃声が止んだ頃には、店内で原形を留めている調度品は一つもなかった。

 音の主たち――火器で武装し、揃いも揃って同じデザインの制服を身につけた覆面の男六人――は、動く者がないと分かるや、どやどやと店内に踏み込んできた。
 店の中には、まだ生きている人間が残っていた。
 弾丸を食らって呻いたり、恐怖に歯の根も合わないほど怯え震える彼らを無視し、男共は誰かを探して硝煙の立ち込める店内を歩き回る。
 しかし、見つけられなかったらしい。
 彼らはカウンターを向いて怒鳴った。

「おい店主! “例の二人組”はどこだ!」

 しかし、返事はない。というか、動く気配もない。
 流れ弾にでも当たったのか、と、彼らの内の一人が削り取られて前衛彫刻のようになったカウンターを覗きこむ。
 瞬間――。

「げぶっ!?」

 その彼のどう考えても普通ではない声に振り返った彼らは、目の前の光景に唖然とした。
 彼らの仲間は宙づりになっていた。
 もっと言うなら、体が薄い天井を突き破って、下半身だけが店内にぶら下がっていた。
 声や動きがそれ以上ないことから、彼が気絶ないし死亡、とにかく再起不能になっていることは明らかであった。
 そして、彼らがそれを呆然と眺めているその隙に、

「ぐぶぉ!」

 また一人、犠牲者が出た。
 まるで車にでもはねられたように吹っ飛んだ男は、店の粗末な壁ごと表に飛び出した。

「な、なんだぁ!?」

 狭く暗い店内。
 もちろん車などが侵入してくる場所などないし、それに準ずる威力を発揮できる道具や兵器なども置けるはずがない。
 混乱する男共の疑問を晴らそうとするかのように、犠牲者の開けた穴から太陽が差し込む。
 その眩しさに思わず目を細めたのは、大して鍛えたようにも見えないごく普通の東洋人。
 緊張した空気の中、彼は外に転がった男が動かないのを見ると、思わず、と言った調子で呟く。

「これぞカウンターパンチ――やべえ、ジョセフさんが感染った」

「あ、“アカツカ”か!? お前がそうなのか!?」

 くだらないダジャレを言ってしまったことに肩を落とした男に向かい、武装した男共は銃を向ける。
 彼はそれに気づくと、気を取り直すように肩をすくめて見せ、そして言った。

「確かに俺の名前は赤塚だが……一介のジャーナリストに、一斉を風靡するレジスタンスの皆さんがなんの用だ?」
「とぼけるな!」

 銃を突きつけて少し余裕が出たのか、赤塚にゲリラと呼ばれた武装集団は怒鳴り散らした。

「貴様が我が同志に行った数々の仕打ち! 忘れたとは――」
「覚えてねーから聞いてるんだぜ?」

 銃を突きつけられておきながら、赤塚は男の言葉をさえぎった。

「なんせここに取材に来てからと言うもの、一歩路地裏に入ればチンピラにまとわりつかれ、少し夜道を歩けば強盗が襲いかかってくるという具合だ」

 周りの威圧感や殺意に怯むこともなく、逆に周りの空気を揺らがせる炎のような存在感を以って、彼は言い放つ。

3名無人目のスタンド使い:2013/09/14(土) 15:14:54
「ちょいと銃持ってて同じ服を着ていると言うだけで、いちいち区別なんぞつくわきゃねえぜ」
「なにをぅ!」

 同志という言葉を使ったり、同じデザインの制服を着て存在を誇示していることから見て、彼らはなんらかの目的を遂行するために誇りを持って戦っている集団なのだろう。
 そんな者が“区別がつかない”などと言われてしまえば、頭に来るのは当然である。

「貴様!」
「殺せ!」

 一斉に銃が火を噴いた。
 先程のような連射性のある銃ではなく、映画でよく見るような拳銃の類である。
 だが人間が相手ならそれだけで十分であり、ましてや狙うべきは十メートルも離れていない成人男性一人である。
 それ鉛玉四発はむしろ過分――なのだが。

 ビシッ!

 銃の扱いに慣れた彼らですら聞いたことがないような名状しがたい音と共に、弾丸は明後日の方向に弾かれた。

「な――」
「ぼさっとしてていいのか?」
「――に」

 骨と肉が壊れる音が響く。
 その音源である赤塚に一番近い場所にいた男は、自分の頬に大きな拳が叩きこまれているのを感じた。
 めりめりと軋むような衝撃は、訓練した人間でも出せないであろうと言う相当なパワーを示している。
 だが彼の目の前にいる男はただ走っているだけであり、自分の手を彼の顔に向けてすらいない。
 しかし、男にはそれを疑問に思うまでの時間は与えられない。
 衝撃に意識を刈り取られた体が漫画のように宙に浮き、立っている仲間たちの間に落っこちる。

 残った三人が慌てて銃を乱射する。
 だが、赤塚はまるで動揺するそぶりも見せず、最低限の動きで弾丸をかわし、ちらりと転がっている椅子の残骸に目をやる。

「レッド・ガーランド」

 そんな呟きを彼らが耳にした瞬間、ふわりと残骸が宙に浮く。
 そして折れて尖った破片部分を容赦なく向け、男達に向けて力強く飛ぶ。
 一人は危うく避ける。
 だが二人は間に合わない。
 直後、さきほどの悲鳴よりもさらに絶望的な絶叫が空気をびりびりと震わせた。
 痛みで冷静な判断力をなくして転げまわる二人をちらりと見やり、男は視線を避けた男に戻す。

「仲間が来る様子がないってことは――残りはてめえだけか」
「ひっ――」

 明らかに人間業ではないものを見た男が、立ちあがるよりも先に反射的に銃を構える。
 だが、最後の一人に反撃など赤塚が許すはずもなく、彼自身の素早い蹴りが銃を弾き飛ばす。
 銃が壁にぶつかってがらくたの中に落ちるのと、強大な力が彼の襟首を掴んで持ち上げるのとはほぼ同時だった。

「おいおい……俺に用があったんじゃあなかったのか?」
「なんだ? なんなんだ!?」

 彼の襟首は強い力で絞められ、持ちあげられている。
 だが、彼の視界にはその掴んでいる人物はおろか、首元に見えるはずの手首すら映らない。

「なんだお前!」
「質問してるのはこっちだ」

 言いながら、彼は男の腰から、別にさしてあった銃を抜き取る。
 込められていた弾丸を全部出した後、なにかに渡すように持ち上げると、それは男と同じように宙に浮かび、彼の目の前で制止する。
 そして。

4名無人目のスタンド使い:2013/09/14(土) 15:16:34
 がきゅん

 潰れた。
 折れるわけでもなく、割れるわけでもなく。
 まるで世界の中心に一番近い海底の突然放りだされたかのように。
 粘土細工のおもちゃであるかのように、潰れた。

「――」

 男は錯乱しかけて喚いていたのも忘れ、言葉を無くして奇怪なオブジェを見つめる。
 武器として要をなさなくなったそれは男の前でふらふらと数回揺れると、ぽとりと落ちる。
 そしてゴミのごとく床に転がり、死体のように止まる。
 それは鷹揚で、なんの感慨もない行為。
 ロボットのように機械的で、離婚届のように事務的な所為。
 それは無言ながら“もし逆らえば自分も同じ目にあわされる”という印象を男に決定的に植え付けた。
 赤塚は、言葉少なに命ずる。

「吐け」



「――チッ、やっぱりこんな下っ端じゃあ情報なんざこんなもんか」

 喋り終わった途端恐怖で気絶した男を前に、聞きだしたことをメモにまとめた赤塚は溜息をついた。
 まだ怪我人はうめいているし、恐怖にうずくまっている者は腰が抜けて立てないようだが、ここから先はジャーナリストの管轄外である。

「仕方ない。他当たるか――っと」

 ぱぁん! と凄まじい音が部屋に響いた。
 音源は壁に当たって砕け散った酒瓶の下半分。
 その数センチ脇には、突然のことに凍りついてしまったこの店のマスター。
 この店に来た際変な動きをしているので問い詰めた後気絶させておいたのだが、思った以上に回復が早かったらしい。

「どこ行く気だ?」
「ひ、ひいいいいいいい!」

 彼は立ちあがる赤塚を――いや、その背後に立つもう一つの姿を見て震える。

「いったい、そいつはなんだ!? 馬鹿力で! 銃弾も効かねえ! 他の奴らには見えてねえ! 連中が手も足も出ないなんてどういうことなんだ!?」
「……なるほど、あんたにゃこいつが見えてたわけだ」

 ちらりと顔の横の赤いヴィジョンを見やり、赤塚は独り言ちる。

 警察が機能しない場所や治安のよろしくない場所において、自分の身を守ることは大変なことである。
 そういう時彼らが頼るのは犯罪組織や武装集団であり、その代償として彼らは金銭や情報を要求する。
 この店もそういう手合いであって、なおかつ男には一般人には見えない力、スタンドが目視できたのだろう。

 ――あの武装集団が探している男が普通ではない恰好の男といっしょに店にいる。

 なにも知らない人間ならば、そういう風に考えるだろう。
 赤塚はそんな風に思いながらゆらりと立ちあがる。
 そしてスタンドを出したままゆっくりと近づき、腰が抜けた男にもよく見えるように顔を覗きこませた。

「い、いぎいいいいいいいいいい!」
「いいかおっさん、あんたはこの先、俺のように他人には見えない能力のようなものを手にするかもしれない」

 情けない悲鳴を上げる男の少ない髪の毛を掴み、無理矢理目を合わせる。

「だが、もしそれで誰かに迷惑をかけるようなことがあったら、どこにいても聞きつけてあんたを探しだして、さっきの野郎よりひっでえ目にあわせるぜ。分かったか?」

 男はがくがく頷く。

「そうか、じゃあ連中に俺の居場所を知らせたのは許してやる。じゃあな」

 ぱっと手を離した男が床に顎をうちつけたのを気にも留めず、赤塚は店を出る。
 と、すぐに携帯が鳴る。

「もしもし? なんだ承太郎か。ああ、まぁまぁ元気でやってるさ――」

 修羅場の中でも普段通りだった声音に一片の嬉しさを滲ませて、赤塚は人ごみの中に溶けていった。

END

5名無人目のスタンド使い:2013/09/16(月) 15:20:20
>>2-4
ブラボー! おお ブラボー!
いい赤塚君でした!

6名無人目のスタンド使い:2013/09/16(月) 21:38:06
クーールッ!!
実にクールでかっこいい赤塚でした!

7名無人目のスタンド使い:2013/09/19(木) 01:53:38
何この赤坂くん格好良い惚れる!

8名無人目のスタンド使い:2013/09/20(金) 00:07:47
こういうのすっげえ読みたかった!
ありがとう・・・本当にありがとう・・・それしか言う言葉が見つからない・・・

9名無人目のスタンド使い:2013/09/21(土) 00:32:57
赤塚かっけぇ…ッ!

10名無人目のスタンド使い:2013/09/22(日) 23:54:21
二番手いきます
上がったハードルはくぐるもの

――――――――

 静かな路地に靴音が響く。
 日はとうに落ち、切れかけたわずかな電灯の光だけが革靴の足元を照らしていた。
 数歩先も見えない夜闇の中で耳に入るのはアスファルトを叩く乾いた音だけだ。
 真っ直ぐに歩いていた男性はふと足を止める。

「ふむ……」

 何の音も聞こえはしない。
 車のエンジン音も街中の喧騒も、あるいは虫の鳴き声でさえも、何ひとつだ。
 男性はぐるりと周囲を見回し、何かを確認し終えたように頷くとおもむろに携帯電話を取り出した。
 迷うことなくアドレス帳の一番上に表示された番号へコールする。

「……もしもし? ああ、私だ。少し残業が長引いてしまいそうでね……帰りは遅くなる。すまないな」

 ――かかった!
 無防備な背中。
 隙だらけのそれに大振りのナイフが突き立てられ、濃紺の背広は血の赤に、

 が き ん

「夕食は後で温めなおすから、君は先に休んでいてくれ。あまり待たせたくはない」

 染まらなかった。
 肉とも骨とも違う、あきらかに硬質の感触と音に襲撃者は飛び退く。
 ――なんなんだ、今のは?

「それじゃあ、おやすみ。……」

 ゆっくりと振り向いた男性の目には、何か底知れないものが宿っているようだった。
 ――こいつはなんなんだ。
 ――みんな、怯えた犬っころみてえなツラしてたってのに!
 ナイフを片手にじりじりと距離を詰める襲撃者の頬を、汗が一筋伝って落ちた。

11名無人目のスタンド使い:2013/09/22(日) 23:54:57

「……20年か。長かったような短かったような、不思議な気分だ」
「あぁ? どういう意味だ、テメェ」
「いや。ただの独り言だ。おまえが気にすることじゃあ、ない」

 食ってかかる襲撃者――まだ学生であろう歳格好だった――を意に介さず、青年を過ぎたころの男性は悠然と立つ。
 少しずつ、だが確実に彼我の距離は近付いているというのに、まるで握られた凶器に微塵の怯えすら抱いていないかのようだ。

「リシュリュー曰く、『ペンは剣よりも強し』だそうだ」

 まったく脈絡のない言葉に襲撃者の動きが止まる。
 ――何言ってんだ、こいつ?

「私の実体験では銃よりも強かった。……少なくとも、そんなおもちゃにはまず負けない」

 淡々とした語調とは裏腹に、内容は襲撃者を見下しきった挑発だった。
 ……少なくとも、襲撃者はそう受け取った。
  ――ブッ殺してやるッ!
 完全に頭に血が昇り、顔を紅潮させた襲撃者は一気に距離を詰める!
 そしてその勢いのままにナイフを振るい、

「バカが」

 先程も聞いたような、硬質の音を立ててたやすく受け止められた。
 数秒前まで男性の右手には何もなかったというのに、だ。
 ……しかし、よくよく目を凝らしてみれば、暗闇の中に「なにか」が見える。
 うすぼんやりとした輪郭をもった「なにか」だ。
 わずかにドクロのような意匠のある「なにか」自体は、細かいディティールこそわからなかったものの、その持ち方はまるで、
 ――ペン……?

「さっきも思ったが……20年ぶりにしては、なかなかうまく使えている方じゃあないか。しかし、どうも……」

 続く言葉は爆音の中に消え、聞き取ることはできなかった。


※ ※ ※


「まあ、ガス爆発ですって! ……ねえ、このあたりってあなたの通勤ルートよね?」
「……そうだな、残業のおかげで助かったかもしれない」
「そうね、学生さんも一人大怪我したみたいだもの。あなたが無事でほんとうによかった……」

 朝食を食べ終え、原因不明のガス爆発を報じるニュースを横目に見ながら、男性――火野は小さくためいきをついた。

「加減がきかないとは、歳は取りたくないものだな……」
「え? 何か言った?」
「いや。……いってきます」

 穴の開いていない黒の背広を羽織って、火野はいつも通りドアを開けた。

―終―

12名無人目のスタンド使い:2013/09/23(月) 09:31:41
>>10-11
これはいい火野君・・・!
奥さんとも上手くやってそうだね。

13名無人目のスタンド使い:2013/09/23(月) 12:29:30
>>10-11
火野さんかっこいい!
奥さんにきっちり連絡してるのがらしいw
きっとスタンド見えない女性なんだろうなー

1456 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/26(木) 23:48:53
諸注意

・とあるEDのIF
・別の時空では7人目だったかもしれない人が出てきます。
・スタンド使いとしての性格より、性格診断寄りの性格(実機で再現可能)
・短編ですが、続き物として日をおいて投稿させてください。
(ご意見を参考に注意書きとコテハンを付させていただきました)

以上の覚悟をお願いします。




男一匹、暗い路地 所はイタリア 時は深夜で今宵は半月
細かい時刻はわからない。時計は持ち歩くべきだと教訓になった。

「(道8人、向かい2階に2人。3階にも2人か)」

わかりやすく配置されているのはこれくらいだろう。
おそらく部屋の奥にも潜んでいる。本当、用意周到な事ことで。
月が出ているとはいえ、街頭が設置されていない裏路地では完璧には把握できない
全くうざいったらありゃしない。

黒いスーツが重く体に纏わりつく。そのおかげか道しるべになっていないのが不幸中の幸いだった。
俺の脇腹に風穴が空きかけた経緯に心当たりはない。

まっとうな職業ではないけれど、お上の中枢に関わりのない依頼のみ請け負ってきた自信がある。
消されそうな依頼は話を聞く前にトンズラこくのが一番だ。
下っ端、ゴロツキ、底辺。プライドのない糞のような存在だと言われようとそれだけは譲れなかった。
危ない橋はできるだけ渡らないよう根回しだって上手くやっていたはずだった。
女だって金で口を滑らすようなその辺にいる軽い女を相手にはしていない。
いや、そのお上に囲われてるって可能性も無きにしも非ずだが、そんなこと今はどうでもいい


「(こりゃ完全にバレてるな)」


重要なのは、逃げ道を把握されていること、この一点に尽きる。
でなければこの人数を集結させる訳がない。
追っ手を撒くために必ずこの道を通ると相手はわかっている様だ。。
その相手が誰だかは知らないが、頭が切れるやつだと盛大な拍手を送って褒めちぎりたい。
この状態は詰みだ。路地を出れば弾丸が俺を襲う。
運よく当たらなくとも弾丸に集中している間に配置された追っ手どもの捕まる。
同士撃ちをためらう連中でないことは、ここまでの道中が語っており、それを理解していなかったが故にこのザマだ。
捕まるとは言ったのものの、良い意味での捕まるではないことはお察しの通り。

いずれにせよ、抉られた腹をくくらなければならない。

間違えればジ・エンド、正解すれば朝日をバックにトゥービーコンテニュード 
ここが俺の『分岐点』だ。

1556 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/26(木) 23:49:57


俺はワンマン。助けが絶対に来ないことはわかりきっている。
降伏だと両手を挙げても、その場で動かない俺はさぞ滑稽な的だろう。
手っ取り早い方法をとって終了だ。俺も逆の立場ならそうする。誰だってそーする。
道中が生死問わずだったのは言わずもなが。話し合いの余地すらない。
余地があったとしても、俺を襲う理由がわからない以上リスキーな行動だ。
移動すれば、内心面倒であっても確実にこちらに向かってくる。
ある程度は倒せるとしても、最終的には数の暴力により、ただでは済まないだろう。
それをこなせるだけの要素は俺にはない。


『要素』とは自分の才能であり、運であり、財産だ。
持ち合わせる全ての物が、出来事が自分を取り巻く要素の一つであり、切り札なのだ。

足が速ければ、デートの待ち合わせに寝坊しても間に合うしだろうし
足が遅くとも車に乗ればもっと早くに到着できる。
予報はずれの雨が降っても傘を持っていれば濡れることはない。
傘を忘れたとしても買い物袋くらいあれば酷く濡れることはないはずだ。
これさえ出来ればなんとかなる。これさえあればどうにでもなる。それが『要素』だ。
違う見方をすれば、人はこれを安心と言うのだろうか。

だが、待ち合わせに間に合わないからとクロールをして何になる。
雨が降ってきたとペンを掲げて何になる。
山札から引いたカードと手札のカードで役が作れなくてはなんの意味も成さない。
俺の手持ちのカードで状況を打破するための鍵を生み出さなくてはならない。

やはりどこか妥協しなければいけないのだろうか。
焦ってはいけない。現状待機はありえない、見つかる前に早く。
どちらにしろ行動はしなければならない。
心臓の音がけたたましくうっとおしい
早く、早く決めなければ
でも決めたとして本当に




「無事、かな?」



―――右手に力が籠もる


「驚かせてごめんね。でもこの状況でそれは愚策だよ」


一般人?追っ手か? 朗らかな 声  知らない女 若い 不釣り合い 悠長に
場合じゃあない 後ろから 深夜に? この状況で 不釣り合い
ルート 逃げ道 
知らない女 振り向いてはいけない? どうする どうする どうする どうする
区域外逃げる 追っ手 走る 見つかる どうする
冷たい 壁が 女 追っ手 イレギュラー 想定外 
イレギュラー わからない 弾切れ 傷が 
苦しい



―――左手を添える

「それしまってくれる?話したい事が――」




「面倒くせえッ!」


静かにブチかますか盛大にブチかますか、それだけの違いと思えば何ら問題ないと思えた。

1656 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/26(木) 23:53:54


「こ、これは夢?」

大きな振動により目覚め2階路地の住人は目を疑った。
壁がない。部屋の壁一面が屋根と床、左右の壁を残してごっそりなくなっているのだ。
部屋の中に荒れた後は一切ない。
まるで大きなガラスが設置されたかのように、月明かりに照らされる向かいの家を映し出していた。

住人はナイトキャップを深く被り直し、片手を前にバランスを探りながら、ゆっくりと壁が存在していた場所へ近づく。
前触れもなく壁がなくなったという、現実からかけ離れた事象に思考が停止していたのだろうか。
ありえなくはないと、未確認生物、魔法、超能力、自分はそんなことに巻き込まれたと。
あわよくば、と期待に胸を膨らませていたのだろうか。
いや、頭の片隅で想像はしていたであろう。予想もしていたはずだ。

そこにあったものが、いきなり消失する訳がない。

壁はそのまま石畳に散乱していた。


「ふあぁぁぁああああああ!」


中途半場に残された現実はそう甘くはなく、美しくなかった。
まるで道化の舞台のように壁が歪な床へと変貌しているのみ。
うっすらと漂う噴煙と壁だったもので元の石畳の様子すらわからない。
住人は座り込み叫びを上げるだけ。
故に気付かなかった。

噴煙が晴れ、全容が見渡せるようになった事に
一か所だけ丸く、正しい姿を見せる石畳に
その中心に住人の望んだ存在がいたことは、だれもしらない

1756 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/27(金) 00:05:28



現状待機はありえない。といったのはどの口か。
行動が遅いのでは見つかるのは当たり前じゃあないか。
思わず道に出てしまったがこれはかなりまずい。『移動』を選択させられた!

「いたぞッ!」
「追えッ!逃がすな!」
「タマ残して死ねると思ってんのかァ!」

道行く人皆俺を見ているというのもなかなかシュールだ。
周りを観察しなくともわかる。予想以上の人数がそこにはいた。
目立つのは苦手だが、もう文句は言ってられない。

これは賭けだ。



「このビチグ、ッうわあぁぁぁ!」
「何だッ!?」
「わからねえ、いきなりぶっ飛びやがった!」
「どういうことだ!?」
「う、撃て!撃てぇぇぇぇッ!」


直線状に立つ障害物を吹き飛ばし、その隙に通りを走り抜ける。
発砲音を背景に、目指すは一等、俺の前に佇む者をすべて追い抜かす。
いつの間にやら脇腹の痛みはほとんどない。
後ろから上から裂傷が薄く刻まれる感覚はあるが走れないほどではない。

今日の俺は悪運が強いのか、それとも最後の幸運か。


「(そうなればあの女が女神ってか?ないわ)」


たかが女ひとりと侮ったつもりはないが、どうも女に手を挙げるのは抵抗を感じ直接狙えなかった。
あの場で呑気に会話しようとしたところに不気味さを感じたのもある。
数秒の邂逅ではあったが、警戒に値する凄みのような恐ろしい何かがあいつにはあった。
そして最大の理由がもう一つ、


「お、おい止まったぞ…」
「行き止まりでもないのにか…?」




俺の『右手』にある


「(エネルギー充填、開始)」

1856 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/27(金) 00:07:59









あいつには俺の『右手』がどんな状態なのか視えていたのだろう。
でなければ愚策とも、しまえとも言わないはずだ。



―――セイフティーロック、解除



チャカでも持っていれば話は別だったろうが、俺のスターム・ルガーは弾切れ
そして今や『右手』の餌となっている。


―――ターゲットスコープ、オープン


これがどういった仕組みかは知らないが、これも才能の要素に入るらしい。



「手品のネタが尽きたのかァ」
「(エネルギー充填90%)」



視えない人間には何が起こったのか全くわからない。


「構うもんかァ!やっちまえ!」」


そして視えるやつには必ず厄介な能力がある。
漫画によくある強い力には反動があるとかそんな甘いもんはない。


「撃てぇ!」
「腹から漏らして死ね!」


「(エネルギー充填100%)」


―――右手を構える


ヘタに直接狙ってみろ、絶対にロクなことにならない。

―――左手を添える




「エネルギー充填120%!はど」


「ごめんなさいね」


「えっ?」

真横からの
この場に
不釣り合いな
朗らかな笑みの女
添えられる「右手」

『右手』の光は迫る弾丸を飲み込み 斜めの軌道を描いて消えた

1956 ◆ccD2EoFwqg:2013/09/27(金) 00:13:56
諸注意の書き忘れ
・スタンド説明には書かれていますが、実際のゲームでは使われていない技を使う描写があります。
・とある技を使う際、パロディが入っています。

このタイミングで申し訳ありません。
本文は以上となります。ありがとうございました。

20名無人目のスタンド使い:2013/09/27(金) 19:00:51
投下乙ー
続き待ってる

21名無人目のスタンド使い:2013/09/28(土) 00:34:56
気になるところで切れたねえ
続き待機

22鈴蘭:2013/09/30(月) 16:21:19
はじめまして。
このようなものを書くのは初めてなので、へなちょこなのですが…誰が書いてもいいんだよ!って空気を作りたいので頑張りました。

旅から10年後、とある7人目の杜王町での暮らしです。
自分は小柄君のつもりですが、これと言った描写は特に入れていないと思うので、普通君や個性君でイメージしても恐らく大丈夫です。

【注意事項】
・文章が稚拙。日本語がおかしくてもスルーしてください。
・よって全体的に長いというより長ったらしい。
・一応確認はしていますが、誤字脱字矛盾…あったらすみません。
・原作及び7人目のキャラは主人公以外出ません。
・ベタなので途中で、きっとオチが読めてしまう。

…以上の点にご注意下さい。
あと、すっごく分かりづらい上にどうでもいいのですが、舞台となる公園は某M県S市にあるK公園のつもりで書いてます。杜王町にあるかどうかは別の問題…すみません。

****

特に予定もないので日中は家で寝ていようと思っていたその男も、窓の外に広がる、真夏のようにからりと晴れた青空を見ると、そうするには少々勿体無い1日であると判断して、軽い身支度を済ませて玄関のドアを開いた。

家から少し歩いたところにあるその公園は、散歩には打ってつけの場所だった。まだ昼休みには早い時間であり、公園内に人は少なく、子供の笑い声だけが聞こえてきた。日に照らされて輝く木々の緑色や、噴水の水で楽しげに足を濡らす子供達も、夏の訪れを物語っているようだった。男は木漏れ日の心地よいベンチに腰掛け、背伸びをする。

ーーー散歩に来て正解だったな…うん。たまにはこんな日もいいな。

心地よさから大きな欠伸をして仰け反った際、ふと噴水横の階段の上の小さな影が目に入った。男が見る限り、小さな子供が地面に座り込んでいるようだった。何をしているのか気になるという旺盛な好奇心と、噴水ではしゃぐ子供達の楽しげな様子との比較から抱いた少しの心配、それから元々子供好きな性分が後押しして、男はその子供に直接尋ねてみようと思い、ベンチから立ち上がった。

23鈴蘭:2013/09/30(月) 17:58:44
(続きです。キリが悪いですが。)


「どうしたんだ?こんなところで。空を…見ているの?」
影の正体は4歳か5歳くらいの少女だと分かったので、男は可能な限りの優しい声で声を掛けた。

ーーーもしかしたら傍目には変質者か誘拐犯に見えるかもしれない。

男は少し心配になって周りを見渡したが、周りにいるのはハトばかりで、男の心配は杞憂にすぎなかった。少女も怯えたり悲鳴をあげたりはせず、丸い目を三日月のように細くして、「こんにちは!」と元気に挨拶をしてくれた。男はホッと安心して再び問う。
「あぁ、こんにちは。何をしているの?」
「あのね、ミチ、『アメ』が降るのを待ってるの。」
少女の言葉を聞き、男は首を傾げた。

ーーー俺の記憶では、今日の降水確率は0%だった筈なんだけど…今だって空には雲ひとつないし、雨なんて降るか?

「残念だけど、こんな青空だし…今日は雨、降らないと思うな。」
男の言葉に少女はムッとほおを膨らませた。
「降るよ!『皆』が降るって言ってたもん。今日こそ『アメ』が空から降ってくるって。『皆』は忙しいから、降ってきたらミチが教えてあげるの。結局いつも降らないんだけど…今日こそは絶対降る、って言ってた!」
男は、傾げた首を今度は捻る事になった。

ーーーここは日本だし雨が降ることは別に珍しい事でもない。いくらこの子が小さいからって雨が降るのを見たことがない訳が無い。もしかして、この子が言う『アメ』は…いや、まさかな。

男は自身の冗談半分な予想を冗談だと確信するために口に出した。
「違うと思うけど、まさか『アメ』って、あの甘い、キャンディの事……ではないよね?」
「そうだよ!その『飴』だよ!ミチ、飴好きだから、早く降ってきて欲しいなー。」
ふざけた予想が当たってしまい、男は少し戸惑う。

ーーー冗談だったのに…この子は本当に『飴』が降るのを待ってるってのか!?でも…飴が降るわけがないよな。ファンタジーやメルヘンじゃあないんだから…。

この年頃の子供が、月のうさぎやサンタクロース、お菓子の家なんかを信じていることはありがちな光景であり、微笑ましい光景でもある。しかし、男は先程の少女の言葉にもう一点引っかかる所があったので、今度はそちらを少女に尋ねてみることにした。
「ところで、さっきから言ってる『皆』って誰のこと?」
「ほら、そこにいる。ジュンちゃんでしょ、タクちゃんでしょ、あとチエちゃん。」
噴水の方を指差す。全てを悟った男は、眩暈を覚えた。男には、少女が仲間外れにされていると今までの話から推理することができた。しかし少女は騙されていることにも、仲間外れにされていることにも気づいていない。ただひたすらに降るはずのない『飴』を待っている。

ーーーやれやれ、最近の子供は怖いな…懲らしめてやりたいが、小さい子供をボコボコにするわけにもいかない。かと言ってこの子にこの事を言うわけにはいかないし…さて、どうしたものか。

突然何も言わなくなってしまった男を見て、少女は不思議に思ったが、声をかけてはいけないような気がして、再び『飴』を待つために空を仰いだ。

それから数分後、男は突然バネのように立ち上がって何処かに立ち去って行ったが、退屈して微睡んでいた少女は気がつかなかった。

それから更に数分後、男に肩を叩かれて、少女はハッと目を覚ました。男は目をこする少女に何かを確認するように問いかける。
「君は…奇跡とか魔法とか…あ、あと妖精さんとか信じる?」

24名無人目のスタンド使い:2013/09/30(月) 19:40:27
おお面白い!
そんな謙遜しなくてもいいのに
主人公のスタンドが途中で分かるのとか個人的にすごい好みだ
単に自分に作品を先を予想しながら読むスキルが無いだけかも知れんが
続き待ってます

25鈴蘭:2013/09/30(月) 22:13:00
(先程完成致しました。確認が甘めなので誤字脱字、ヘンテコな表現があったらすみません。)

男の突然の質問にも、少女は考えながらゆっくりと答えてくれた。
「えっ、うーんと…悪い事する魔法使いは、怖いからいて欲しくないけど…シンデレラを助ける魔法使いさんとかは、信じてる。ミチのところにも来て欲しいな。」
「そうか…あ、じゃあ妖精さんは、好き?」
「妖精さんかあ…好きだよ!この前絵本で見た妖精さん、可愛かった!大好き!」
男は少女の答えに満足したようで、うんうんと頷いた。
「そうか!魔法も妖精さんの事…これからも、ずっと信じていてくれよ!」
「特に妖精さんの方。」と最後に付け加えると、男は一息ついてから再び言葉を続けた。
「…そろそろ『飴』が降るかもしれない。」
「本当!?どうしてお兄さんはそんな事がわかるの?」
男はニヤリと笑うと両手を仰々しく揚げてみせた後、少女の耳に口を近づけて囁いた。
「俺は『魔法使い』だからね。」
少女の目がパッと輝くのが分かった。どうやらすぐに信じてくれたようだ。

ーーーこの子…本当に人を疑う事を知らないんだな…。

「ほら、急いで『皆』を呼んできなよ。」
「分かった!」
男は階段を降りる少女の背中を見届けると、樹下は近くの物陰に移動して、『最後の準備』に取り掛かる事にした。
「ピクシーズ!」
男が呼びかけると、男より少し高いくらいの樹木が現れた。
男ーーー樹下に10年前に目覚めたスタンドと呼ばれる能力、『ピクシーズ』。その樹木から放たれる『妖精』と名付けたエネルギーを駆使して、樹下はマジシャンをしていた。

ーーー確かに、ファンタジーやメルヘンの出来事がこの世界に起こることはあり得ないと言ってもいい。でも、イリュージョンなら…起こすことができる。

樹下はピクシーズの近くに先ほど買ってきた沢山の『飴』をセットした。準備を終えら物陰からでる。その後すぐに、少女が他の子供達を連れて戻ってきた。
「大丈夫。この魔法使いのお兄さんが言ってたから、間違いないよ。『飴』が降るの。」
「『飴』が?降るの?これから?本当にィ〜?」
子供達は少女の言葉を信じていないようだった。彼等が元々付いた嘘なので、彼らの反応は当然のものだ。
「まあまあ、待ってれば分かるよ。」
「そもそもあんたが魔法使い、っていうのも嘘じゃあないの?」
樹下が割って入っても、全く臆さない。子供達は『飴』が降るはずがないという確固たる自信に満ちていた。

ーーー夢のない子供だなあ…。

元々合図を入れてから始めようと思っていたのだが、子供達の鼻を明かしてやろうという目論見から、不意にそれを始めることにした。樹下は『ピクシーズ』による沢山の『妖精』に、先ほど準備した『飴』を持たせて上空に一気に放った。スタンドは普通の人間には見えない。つまり、少女たちには『飴』だけが空を舞っているように…『飴』が降っているように見せることができるのだ。
「ん…?空から何かキラキラしたものが…あれは銀紙?銀紙に包まれているのは…あ…ま、まさか『飴』ェ!?」
「信じられない!!『飴』が降るなんて…本当に降るなんて…。」
「他の場所には降ってない…こ、此処だけ!この場所にだけ…何なんだ!?」
ゆっくりと空に漂う『飴』の幻想的な様子に子供達が戸惑いを隠せない中、少女だけが笑顔だった。
「私には分かるわ!これ…『魔法』ね!?お兄さんの『魔法』なのね?凄い!!凄いわ!」
「あ、分かっちゃった?町に『飴』を降らせると皆混乱しちゃうからね。今日、此処だけ、特別に、ね。」
そう言いながら樹下は、無邪気に笑って空中で人差し指をくるくると回して見せる。その様子は年不相応なくらい無邪気だった。
「お、お、お兄さん、本物なの!?本物の『魔法使い』なの!?」
「そういえば、俺の事嘘つき呼ばわりした奴がいたなァ〜。…誰だっけ?恐〜い魔法をかけようかなァ〜。」
「ひ……ヒィ〜ッ。」
笑顔のまま樹下が凄むと、子供達はすっかり怯え切ってしまった。

ーーーこのままじゃ泣かせるだけだし…よし、反省させるなら今かな。

26鈴蘭:2013/09/30(月) 22:13:48
(ラストです。)

樹下は、打って変わって子供達に淡々と語りかける。
「『飴』が降るわけがないって思ってたんだろ?」
子供達は無言で頷いた。
「そう思ってたのにも関わらず、『飴』が降るって言って、この子を騙して、仲間外れにした事…この子に謝れるか?」
子供達は頷いて、少女の方を向いた。
「ミチちゃん…嘘ついて、ごめんなさい。」
「ミチちゃん、何でも信じてくれたから、面白くなっちゃって…それで…もうしないね。ごめんね。」
「ミチちゃん、許してくれる?また一緒に、遊んでくれる?」
口々に謝る子供達に、少女は静かに首を振った。
「皆、ミチは大丈夫だよ。1人で『飴』が降るのを待つのは寂しかったけど…。『飴』は降ったんだもの。ミチはそれでいいよ。」
少女はそう言った後、「あっ」と言って付け加えた。
「やっぱり…1つだけ、いいかな?ミチと一緒に、お兄さんにお礼を言ってくれないかな?お兄さんの『魔法』のおかげで、『飴』が降ったんだし、…ね?いいでしょ?」
子供達は「いいよ。」と口々に言うと、少女と横一列に並んで、樹下の方を向き、声を揃えて「ありがとう」と言った。樹下は、再び無邪気に笑いながら、
「どういたしまして。」と言うと、興奮した様子で空を指差した。
「そんな事より、もっとよく見ろよ!ほら、『飴』が綺麗だろ?あ、後、この『飴』、持ち帰ってもいいけど…俺の事は内緒だぞ。『魔法使いのお兄さんに貰った』…とか言わないでね?」
とだけ言って、後は冷めたように何も言わずに『飴』を見つめていた。樹下がかなり沢山準備した『飴』は、『妖精』によって、少女や子供達の掌や足元に運ばれる。子供達は『飴』を拾うことを心から楽しんでいたようだった。ほんの数分の出来事だったのだが、少女達にも、樹下にも、とても長い時間に感じられた。

ーーー所詮イリュージョン、所詮幻想…その感動は、ほんの一瞬かもしれない。けれども、その一瞬の感動に全てをかけることが…マジシャンの誇りであり、俺の誇りでもある。

最後の『飴』が落ちた時、樹下は少女達に向かって、「ありがとう」と呟いた。


「流石に…買いすぎたかな。まあ…当分喉が渇く事が少なくなる…かな。」
帰り道、樹下は子供達が持ちきれなかった分の大量の飴を抱えていた。
日頃からマジックでスタンドは使っているものの、これほどまでに『妖精』を酷使したことは久しぶりであったため、樹下は強烈な疲労と空腹感に苛まれていた。時間は正午を過ぎた頃。昼食には丁度良い時間帯であった。
「昼は何を食べようかな…。」
そう呟いた時、樹下は、少し遠くに見覚えのある懐かしい人影を見つけたのであった。

27名無人目のスタンド使い:2013/10/01(火) 01:47:08
樹下カッコイイ!!
アホの子から怪盗キッドにイメージが変わってしまいました(o゚▽゚)o
最後の文からすると、このままジョセフルートなんですかね?

28名無人目のスタンド使い:2013/10/01(火) 02:46:28
次は樹下使う、絶対使う
なにこれ超素敵!
いいもの読ませていただいたぜ

29名無人目のスタンド使い:2013/10/01(火) 18:29:15
ブラボー!!
すごくほっこりした、ラストも素敵

30名無人目のスタンド使い:2013/10/02(水) 23:07:14
平和な話素敵です・・・!

31名無人目のスタンド使い:2013/10/06(日) 11:45:16
しばらく見ないうちに素敵なSSが二つも・・・! ブラボー!!

32名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:40:52
駄文失礼します。
煙崎君のつもりですが、かなりスタンド関係なくなってしまいました。
駄文、股間、劣化カワカミン注意でお願いします。



     ●

夏の暑い日だった。
 気温は30度オーバー。なのに締め切られ、蒸し風呂というよりサウナ状態の室内で、仰向けに伸びた男がいた。
 煙崎だ。太陽が最も輝く時間にもかかわらず、煙崎はいまだ寝間着姿だった。
 何をするでもなく、ただ寝ころぶだけの時間を過ごしていた煙崎は、突然上体を起こすと、

「腹減った」

 呻いた。
 ――そういえば昨日の昼からなんも食ってねぇなあ・・・。気付くとこれ、どうしようもねぇなあ・・・。なんか食いたいけど、動きたくないしぃ・・・。あ、でもこれ腹減ったていうよりなんかいたたたたた。

「・・・・・・・・・」

 煙崎は動くことにした。
 動くなら、いっそ豪快にいってしまおう、そう考えた。

「・・・肉にするか。国産」

33名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:41:33

     ●

 煙崎は台所にいた。
 フライパンを火にかけると、油を入れる。
 脇に積み上げられたのは、肉の山。
 国産、外国産とそろっているが、共通しているのはすべてが牛、ということだ。
 さっき、スーパーで買ってきたものだ。
 油が熱されたのを確認すると、煙崎はまず外国産、切落としを手に取り、

「それ」

 フライパンにひっくり返した。

34名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:42:09

     ●

 煙崎は不満だった。
 せっかく買ってきた肉だが、おいしくない。
 ほぐれずに中身が生だったり、味も減ったくれもない生臭さがあったり、なんか金払った意味あるのコレ? みたいなことになってた。

「ううむ・・・・・・」

 これはいけない。せっかく豪遊気分で肉にありつこうとしたのに、なんでこんなしょっぱい気持ちにならなくてはいけないのか。

「・・・・・・待てよ?」

 しょっぱい? そうか、しょっっぱさか!

 煙崎は得心した。
 この肉に足りないのはしょっぱさ、つまり塩加減だ!
 塩コショウをとり、焼いた肉にふる。そして口に入れる。

 ――――おお。

 臭みの消失に気付き、煙崎は感嘆を上げた。
 これは求めていた肉の味に近い。
 なんてこった。塩を振る。それだけの行為でマズ肉は美味に変わるのか。人生観変わるわ。
 気をよくした煙崎は、次に投下する外国産、カルビにも塩コショウを振り、一枚一枚丁寧に焼き始めた。

35名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:42:47

     ●

「肉うまぁ! カルビいい!」

 思わず声を上げた。
 噛みごたえのある肉感と、脂。肉独特の臭みを消し去った、強めの塩コショウ。
わずかに残ったレアもいいが、カリッとした触感もまた素晴らしい。
久しぶりの笑顔で、肉を食い進める。
途中、全身から滝のような汗を流していることに気付き、透けてまとわりつく服を脱ぎ捨てた。

全裸だ。

湿った体をなでる換気扇の空調が心地いい。
満足そうにうなずくと、贅沢に肉を数枚重ねて口に放り込む。
箸を進めた。

36名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:43:26

     ●

「ふ・・・。ふへへ」

 煙崎は笑っていた。
 手には黒毛和牛の文字がある。
 肉もクライマックスだ。
 今までの肉の油でテカるフライパンに、しっかり塩コショウを施した黒毛和牛を、一枚入れる。

「お」

 直後、脂が爆ぜた。
 さすが黒毛和牛、脂の量も格が違うか。
 うなずき、さらに肉を入れる。
 大体肉が敷き詰められ、さて、ひっくり返すか、その前にひと押し、と割り箸を肉の一切れに押し付けた。

 直後、

 今までになく、脂が大きく爆ぜ、

 脂が全裸の股間を直撃した。

 悲鳴。

37名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 20:44:13

     ●

『いやさー、その悲鳴がさーなんていうの? 「マンマミーヤ!」 って感じのマジ悲鳴で。マンマっつーかマ(ム)マって感じの発音。俺もしかしたらイタリア人かもしれねーわ』

「・・・・・・・・・・・・」

『おい、承太郎、聞いてるのか? せっかく国際料金払って電話してんだ、なんか反応返せよ』

「・・・・・・・・・・・・」

『おーい』

「・・・。次は、エプロンをつけて焼け」

『ああ、うん。保冷剤入れてくるわ』



 失礼します――――以上。

38名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 22:21:00
駄目な方にアクティブな煙崎ですねww
たくさん笑いました!

…シリーズ化とかしませんかね?

39名無人目のスタンド使い:2013/10/08(火) 23:04:09

駄目な七人目シリーズとかなら考えてたりします
タイガーバームでパンツ晒して勝利する大神さんとか、
アルハートを中に入れてボコられる変態と、ワイハさんに轢かれるグラなしさんとか、
おじいちゃん監修の元二代目テキーラになって女走りする毒島君とか

怒られるかもしれないけど妄想楽しいです (^p^)

40 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:10:52
音崎のDIO戦で一つ投下。一応承太郎ルートで追いかける側だった設定です。

41 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:13:34

音崎「がァッ! くそ、痛ぇ…!」

思い切り背中を強打しながらも、なんとか受け身をとった。体中が痛いと悲鳴を上げている。
骨が何本か逝った音がした。着地がめちゃくちゃだったせいもあるが、主な原因はそれではない。あのDIOのスタンド、『世界』の攻撃を受けたせいだ。
さすが近距離パワー型だ。自分のスタンドを挟んでいなければ、冗談抜きに再起不能になっていたかもしれない。

音崎「はっ、ポルナレフは…!? さっきまで一緒に戦ってたってのによ! ま、まさか死んじゃいねえだろうな!? ちくしょ〜〜〜〜ッ! おいそこのあんた! ここはどこだっ!」

「きみ、そ、空から降ってきただと…!? 一体どういうことだ!?」

そばを歩いていた通行人に声をかけたが、いきなりだからか気持ち良い返事ではなかった。普段なら気にならなかったが、今は一分一秒が惜しかった。

音崎「ここはカイロのどのあたりだって聞いてんだよ! 仲間の命がかかってんだ、さっさと答えろっ!」

装備していたナイフを通行人の男に向けた。それに気づいた男は顔を真っ青にして一歩引きながらも答えた。

「ヒイッ、こ、ここはカイロの市内北東部です!」

音崎「北東部…くそ、いまいち地理が分からん! 結局オレは今あいつらからどのくらい離れた場所にいるんだッ! どこまでふっとばされちまったんだッ!?」

カイロの地理などあまり詳しくない。ホテル周りならある程度わかるが、適当にふっとばされた先の場所ではお手上げだ。体感ではかなりの長さ風を感じていた気がするが、自信がない。

42 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:17:34

音崎「だめだ…こーゆー時こそクールにきめねーとな…『ソニック・ユース』! 音波探知機だぜ」

音を司る己のスタンド、ソニック・ユースを出現させ、音で周囲を調べてみた。今までの旅でも何度も役に立った技だった。音は振動で、そこにいれば反射が起きる。それを感じ取るのだ。
成長したソニック・ユースはかなりの精度で広範囲を探知できるようになっていた。

音崎「…だめだ、反応が全くねえ。要するにものすご〜〜〜〜〜〜く離れたとこまで来ちまったってことだ。ダメじゃねえか! 俺のスタンドは中距離型! 砂漠じゃ4キロ先まで音は届いたが、今は町中だ。障害物も多けりゃ雑音も溢れてるッ! 仲間が苦しんでるってのに俺は助けることすらできねえのか!?」

何か使えるものはないだろうかと見渡した。このままでは、承太郎が、みんなが死んでしまうかもしれないのだ。

音崎「――あれだッ!! おいそこの通行人! あんたはこのあたりの地理に詳しいか!? はいかいいえで答えろっ!」

「は、はいぃ〜! 生まれも育ちもカイロですっ!」

音崎「そうか…じゃあ最後にもう一つ「お願い」がある。金なら払う(SPW財団が)。案内してほしいとこがある」

「はい……はい?」

音崎「案内してくれって言ってんだよ〜ッ! 今からめちゃんこ離れた承太郎たちのところに行って間に合う可能性と、どこにあるかも分からんお目当ての場所に行って間に合う可能性! 俺は後者にかける! 仲間のためだ、ちと手荒だがさっさと案内してもらうぜーッ!」

43 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:22:39





承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」

DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

近距離パワー型、お互いのスタンドをフルに使ったラッシュ合戦。一瞬でも隙を見せればやられてしまいそうな戦況だった。

承太郎(ちっ、半端ねえパワーとスピードだぜ…負けられねーけどよ)

DIO「甘いなァ〜、承太郎!」

承太郎「なッ!」

振り上げられるDIOの腕。生身で波紋の使えぬ自分がが吸血鬼のDIOに単体で勝てるはずはない。
しかしラッシュを続けるスタープラチナを防御に回せば今度は『世界』が致命傷を与えてくるのは容易に想像できた。

承太郎「…これはマジでヤバイかもな」

DIO「かもではない! 死ね、承太郎!」

スタンドのラッシュはやめなかった。スタープラチナが『世界』にラッシュで押し勝つちっぽけな可能性のほうに賭けたからだ。

しかしそれはかなわなかった。
100年前自分の祖先の体を奪った吸血鬼の攻撃によって、承太郎の四肢無残にもバラバラに…

44 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:26:50



《俺の歌を聞けぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!》



…は、ならなかった。

夜のカイロには若干合わない『フォークソング』が鳴り響いた。
元気だがゆったりとしたテンポのその曲は、思わず「スピードを下げてしまいそうな」力を持っていた。

フォークソングの影響か『世界』の動きが若干遅くなったその隙に、素早くスタープラチナを引き寄せDIOの攻撃を受け流してほんの少し距離をとった。

承太郎「この歌…この声…、音崎か…!?」

DIO「何ィ!? 確かにあの小僧は遥か遠方までふっ飛ばしてやったはず!?」

相手を警戒しながらあたりを見渡したが、誰もいなかった。
効果からして音崎に違いないが、あいつのスタンドは中距離型のはずだ。スタープラチナの目をごまかせるほど遠くから攻撃できるはずがない。どこに隠れているのだろうか。

音崎《見えなくても感じるぜっ! てめーら今『音崎はどこにいる!?』って感じで上京したての田舎もんみてーにきょろきょろしてるだろ〜!?
確かによォ〜俺のスタンド『ソニック・ユース』は中距離型よ! だが、それはあくまでスタンド本体の話! 『音』の方はちと勝手が違うよな〜ッ!》

その言葉を聞いてようやく悟った。音崎はこの歌声を直接聞かせているわけではなかったのだ。

承太郎「カイロ市内に設置されたスピーカーやラジオからか…!」

スピーカー! ラジオ! 放送を受信できる機械すべて!
音崎はそれらからスタンドの音楽を流していたのだッ!

45 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:29:50

音崎《音とはすなわち振動っ! 熱〜いハートの痺れッ! この感動は4km先にいるやつだろうが地球の裏側にいるやつだろうが誰だって共有できるのさッ!》

音崎《俺は今っ! カイロ市内北東部に位置する放送局にいる! 「あいつら」のやり口を真似するのはちょっぴり気が引くが、仲間の危機にそんなこと言ってられねーよなぁ〜! 
ご丁寧に近くにブッ飛ばしてくれて感謝するぜぇ〜DIO! ツキは俺に味方したッ! 「放送局は北東部にあったんだ」! 

カイロ市民よ夜分失礼、だがそれだけの価値のある歌を送るぜ! 
放送予定は変更! 今からはこの音崎様のオールナイトコンサートだッ!》

承太郎「…やれやれだぜ。派手なことをしやがる」

音崎《カイロ市民ッ! 承太郎ッ! そして吸血鬼DIOよッ! 俺の歌を聞きやがれぇぇぇぇーッ!》



『 世 界 』 に 響 け ッ !  ソ ニ ッ ク ・ ユ ー ス ッ ! !」

46 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:36:33


そして曲調が一気に変わった。さっきのフォークソングとは打って変わった激しいビートが刻まれる。

DIO「がァッ、この音はッ! この振動は! 100年前と同じッ…波紋だとぉ!」

音崎《ジョースターさん直伝の波紋奏法だぜぇ〜ッ! 片付けられずに放置された道端の犬の糞みてーに腐ったてめーの心も震えたんと違うかッ!?》

波紋。じじいの得意とする対吸血鬼用の呼吸法…だったはずだ。
やたらとゾンビの現れたこの旅の途中のホテルで、音崎はよくじじいとなにやらこそこそやっていた。なるほど、これを練習していたらしい。

DIO「ぐぅうッ! だが甘い! このDIOが、この程度の波紋で再起不能になると思ったか!?」

承太郎「いいや、てめーはここで再起不能だ」

DIO「なっ、承太郎! 貴様ぁぁぁっ!!」

波紋を受けて体制を崩したDIOを見逃すほど自分は甘くない。
俺はすでにスタープラチナの射程圏内まで距離を詰めていた。

じじいのためにも、音崎のもたらしたこの最高のチャンスをキチッと決めてやらねばなるまい。


音崎《いけええええええっ! 承太郎ォォォッ!!!》




承太郎「てめーの敗因は…たったひとつだぜ…DIO…たったひとつの単純な答えだ…



『てめーは おれたちを怒らせた』」

47 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 01:58:02



そして、全てが終わった。
ジョースターさんはなんとか一命をとりとめた。そして俺は俺の最終決戦を無事終えた。
みんなで怪我を治療し、空港でポルナレフと別れ、そしてついに日本に帰る日がやってきた。

…ちなみにSPW財団にはものすごく迷惑をかけたがカイロでの放送ジャック事件によるお咎めはなしになった。
カイロで承太郎やDIOといった名前から、スタンドや中距離型といった様々な情報を垂れ流してしまったので、ジョースターさんからはこっぴどく叱られてしまったが。



【日本行きの飛行機内】


音崎「…終わった、んだよなー。なんか実感ねーなぁ。なんつーか今でもどこか周りの人み〜んな敵だと警戒する癖がぬけないっつーかさあ。なー承太郎」

承太郎「うるせえ」

音崎「ひっでえな〜。にしても母ちゃんも父ちゃんも怒ってんだろうなー。おみやげあるし姉ちゃんは味方してくれっかな〜、無理かな〜…なー承太郎」

承太郎「うっとうしいぜ」

音崎「またうっとうしいって言う! せーっかく助けてやったのにひどくねえ?」

承太郎はだんまりだ。こういうやつだというのは知っているが、拗ねずに入られなかった。

音崎「…あれ? 承太郎、何聞いてるの? 珍しいな」

ふと承太郎が何かカセットで聞いているのに気がついた。カセットなんて持っていたのかと驚く。
ひょいとイヤホンの片方を外し、自分の耳に当てた。

音崎「…! あー…これってもしかして…?」

その曲は、すごく聞き覚えがあった。と言うかつい最近歌った。
イヤホンから流れてきたのは、カイロで俺が熱唱した波紋奏法のベースにした曲だった。

音崎「なんで承太郎がこの曲をっ、というか結構マイナーなやつなのに…いや、そうじゃなくてどうしてわざわざこの曲をチョイスしたんだッ!?」

承太郎「…旅の途中はいちいちうるせえ演奏だと思ってたが…なるほど、こーゆーのも悪くねぇかもな、と思っただけだぜ」

音崎「マジで!? 承太郎このグループ気に入ったのか!? じゃあ他にもおすすめの曲あるだけど聞くか!? 家にあるから聞きに来いよ!」

承太郎は俺の言葉をスルーして、やれやれだぜと言いながら帽子を深くかぶり直した。

48 ◆SnIgrdw0Fc:2013/10/09(水) 02:00:24
以上です。
音崎のサクリファイスエンドを見た衝撃で書きました。
音崎は攻撃方法から波紋奏法などロマンにあふれてますよね。

49名無人目のスタンド使い:2013/10/09(水) 21:35:51
面白かった!
音崎かっこいいです

しかしデフォルト名って音峰では・・・
意図的だったらすみません

50名無人目のスタンド使い:2013/10/10(木) 01:05:40
かっけえ!
スタンド別のシチュエーション妄想はよくするけど音峰便利だなー


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