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【DQ3】やる夫達は幸せを掴み取りたいようです 41【ドラクエ3】

1： ◆HD5ItXoLGM：2017/04/05(水) 00:10:08 ID:NZ7bntdU0
・SFC版ドラゴンクエストⅢ;をベースにしておりますが、かなりの設定を改変、または付け足しております。

・展開の都合上、性表現や暴力描写が少しある場合がございます。

・R-18的描写がたまにあるかも知れません。未成年の方は、残念ながら閲覧をご遠慮願います。

・厨ニ病がたまに全開です。

・リアルの都合上、更新速度は遅くなってます。ご容赦下さい。

・投下間隔も基本遅めです(セリフをAAに貼って行く投下パターンが多い為)

・原作に忠実では無い箇所も御座いますが、ご容赦下さい。

・深夜投下が多いです、ごゆるりとお読みになって下さい。



その他にも、様々な至らぬ点があると思いますが、どうかご了承下さい。

それでは、よろしくお願い致します
706： ◆HD5ItXoLGM：2018/08/12(日) 08:36:41 ID:UWmq34WY0



　　　┌────────────────────────┐
　　　│ノエルは、一見するまでもなくのどかな光景に、　　　　　......│
　　　│若干の不思議な疑問を抱かざるをえませんでした。　　 　 │
　　　└────────────────────────┘

　　　　　　　┌────────────┐
　　　　　　　│ですが、それ以上に。　　　　.│
　　　　　　　└────────────┘



　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　　　 ._, l　 '/　　　　(……楽しそう、だなぁ)
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　`　´　 　.イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧　　　　　(……ボクなんかには、似合いそうにないけどね……)
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}



　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　│素直な興味と、あこがれと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
　　　　│決して自分には得られないだろうという、　　　　　　　　　　　　│
　　　　│染み着いてしまったあきらめの感情とが折り混ざった、　　　 │
　　　　│複雑な重い思いが、ノエルの白く透明な心を、　　　　　　　　 .│
　　　　│さまざまな色で濁らせていました。　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　└─────────────────────────┘


.

707： ◆HD5ItXoLGM：2018/08/12(日) 08:37:48 ID:UWmq34WY0
ちょっと時間ギリですが、キリも良い？のでこの辺りで〜
色々バタバタしてますが、何とか時間作って、
1hぐらいでさっさっとやって行きたいですね

ではでは

708：どこかの名無しさん：2018/08/12(日) 09:59:07 ID:BHrDJyvo0
乙です！

709：どこかの名無しさん：2018/08/16(木) 22:18:19 ID:Xd.HxBtU0
乙です！！

まだまだ暑い日が続きそうなので
体調に気を付けてくださいね。
次回の投下も楽しみにしてます。

710： ◆HD5ItXoLGM：2018/11/05(月) 07:18:21 ID:JKF0GBMk00
ちょっと私事で引っ越しやら生活スタイルがガラッと変わったので、
しばらくやる夫から離れてたんですが、久々に進めようかと思ったら、
どこまでやってたか、軽く忘れているという(・・;)
まあ、ぼちぼちやってく予定なので、気長によろしくです。

711：どこかの名無しさん：2018/11/07(水) 22:39:38 ID:0YfoDdCc00
わーい
待ってまーす

712：どこかの名無しさん：2018/12/14(金) 05:24:52 ID:pr1o0zCI00
待ってます

713：どこかの名無しさん：2019/01/14(月) 17:50:29 ID:.mzzp.u200
あけましておめでとうございます

714： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/18(金) 03:14:43 ID:mVdgxmo200
あけおめです(^oヘ)

年末年始に色々あってやれなかったので、
今月の週末でぼちぼち再開する予定です
なかなか投下可能な時間と体力が揃う事が無くてきっつーですが、
なるべくやってみますね

715：どこかの名無しさん：2019/01/18(金) 18:58:19 ID:4oRuG7CM00
おおっ！
まだ寒い季節ですが全裸で待機させていただきます

716： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/28(月) 02:25:25 ID:f1ncJBYo00
やる事やって部屋戻ったらこんな時間に…
週末予定だったけど、とりま明日か明後日で、すみません

717：どこかの名無しさん：2019/01/28(月) 03:05:17 ID:Ozlng98g00
承知しました！
とりあえず本日は服を着させていただきます。

718： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:08:07 ID:WOP/25og00
やる事やっと終わった(；・∀・)多分3時ぐらいまで
中途になりそうなので、明日か明後日もやろうかなーと
大体半年ぶりの投下ですが、今更ながらあややビュアーってのを
導入してやってみるけども、色々手間取ったらごめんね

719： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:12:00 ID:WOP/25og00

　　　　　　　 ＿＿＿＿
　　　　　γ::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　／::::::::人::人:::人::::::::ヽ　　　　　「あはは！ なに寝言をほざいてるんだい？」
　　 γ::::::::::／_ノ　　ヽ､＼::::::::ヽ
　　（:::::::::／（ ●） 　（●）＼:::::::）　　　「何が地域交流だよ、アンタらはただ
　　＼:／　　　（__人__） 　 　＼ﾉ　　　 サボりたいだけじゃないか！」
　　　 |　　　　　 (　 (　　　　　 |
　　　 ＼ 　　 　 `ー´　　 　 ／


　　 ┌─────────────────────┐
　　 │内心落ち込むノエルをよそに、年輩の女性が　　　.│
　　 │ニヤニヤした笑みを浮かべながら、　　　　　　　　　│
　　 │兵士に乱暴な言葉を投げつけました。　　　　　　　..│
　　 └─────────────────────┘


　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／ 　 ⌒　　 ＼
　　　　　　（ へ）（ へ）　　｜
　　　　　　.（__人__）　 　 　 |　　　「はぁ？ サボリの口実だって？
　　　　　　　ｌ｀ ⌒´　　　　.｜　　　ハハッ、バカも休み休み言うんだな……オバサン♪」
　　　　　　　{　 　 　 　 　 .｜
　　　　　　　{　　　　　 　＿ |
　　　　　　（ヽ、ヽ　　　/ 　）|
　　　　　　 |　｀`ー―‐'|　..ヽ|
　　　　　　 ゝ　ノ　　 　ヽ　 ノ


　　　　 ┌────────────────────┐
　　　　 │兵士もまた、なぜだか妙に楽しそうに、　　　　　 .│
　　　　 │あまりよろしくない言玉を投げ返しました。　　 　 │
　　　　 └────────────────────┘

　　┌────────────────────────┐
　　│息の合っているような、やっぱり合っていないような、　　　.│
　　│なんとも微妙に絶妙なタイミングで。　　　　　　　　　　　　.....│
　　└────────────────────────┘


.

720： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:17:57 ID:WOP/25og00


　　　　 ┌──────────────────────────┐
　　　　 │そこまで広くもない応接間兼作戦会議室兼全体会議室兼　　.....│
　　　　 │第二食堂兼集会所兼音楽室休憩所を行き交う、　　　　　　　　..│
　　　　 │他愛も無い悪言の応酬は。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .│
　　　　 └──────────────────────────┘



　／::::::::;　＜ ￣ 　 　 　 ∨:::::::::::::::::l
/:::::::::／ -――　、　　　　∨:::::::::::::::!
ー　´/ 　 　 f⌒ヽ}　　　　　V::／｀ヽ!
　　　　　 　 戈,シ 　 　 　 　 / 　 /　',
　　　｀ ー―‐　´　,　 　 　 　 　 ∧
　　｀ミ　 _　 　 _ ノ　　 　 　 　 /　　　:}
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 〈 　 　 /
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 ﾉ　　 /
　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　 /
　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 /　　　 「ヘヘヘッ……ほ〜んと、ここのボンクラ兵士共は、
＼　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ロクでもねぇ連中揃いだからなぁ」
　 ｀ ー- 　 - 、　　　　　　 ト-ｲ
　　　　　 　 　 i　　　　　 l　!　　　　　　「兵士のクセに、ロクに訓練はしねーし、
――――クﾍ |　 } 　 　 ｌ　|　　　　　　　いっつも茶を飲んでるか、パブで酒飲んでは騒いでるし、
￣ ￣ ￣ 　 / |　,'　　 　l　:|＞- ､　　　 .その上基地に住民を平気で招きやがるしよぉ」
　　　　　 　/ 　 /　 　 　!　:!:///∧
　　　 　 ／　　/　　　　 　 :|:////∧　　「いやぁもう、本当にありえねーよなぁ〜」
=-‐　 ´ 　 　 　 　 　 　ﾉ 　∨////∧



　　　　　┌───────────────────────────┐
　　　　　│ノエルが陰で、裏で、時には表でぶつけられてきたものと、　　 　 .│
　　　　　│表面の形だけは似ていて。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
　　　　　│でもその中身は、まるで違っていて。　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　└───────────────────────────┘



　　　　　 　 　 　 ＿＿__
　　　　 　　 　 ／_ノ 　ヽ＼
　　　　 　 　／ （ ●）　（●）、　　　　　「ケッ、しけた酒とそれなりのつまみと、
　　　　　 ／::::::::⌒（__人__）⌒＼　　　　 後はしなびたババアウェイトレスしかいねー
　　　　　 |　　 　　　|r┬-|　　　 |　　　　安酒場にも金落としてやってんだから、感謝してほしーぐらいだお」
　　　　　 ＼ 　 　 　 `ー'´　　／
　　⊂⌒ヽ　〉　　　 　　　 ＜´/⌒つ　　「ってか、んなありえねー連中のトコにノコノコと来ちゃあ、
　　　 ＼　ヽ　 /　　 　 　 　 ヽ　/　　　　適当にダベって帰ってくヤツラってのは、一体どんなボンクラなんだおー？」
　　　　　＼_,,ノ　　　　　　|､＿ノ

　　　 ┌────────────────────┐
　　　 │少なくとも、ノエルにはそう思えてしまって。　　　..│
　　　 └────────────────────┘

.

721： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:23:14 ID:WOP/25og00



　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|　　　 (……不思議だな、こういうの)
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　　　 ._, l　 '/
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　`　´　 　.イ/: l　/　　　　　 (今まで、こういう人達が、
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧　　　　　　本当にいるなんて……
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ　　　　 ボク、知らなかった……)
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}



　　　　┌──────────────────────────┐
　　　　│今まで出会ったことのないような、　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　│良く言えば珍しい、悪く言えばダメダメな大人の人たちを、　　....│
　　　　│ノエルが少し興味深そうに観察していると、　　　　　　　　　　　　│
　　　　└──────────────────────────┘


.

722： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:25:18 ID:WOP/25og00



　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌───────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ふいに、肩を指で突かれた、ような気がしました。　　　...│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　└───────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　 ＼　　　　　　／ 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ　　　　 　 ＼　　　　 ＼／ ／>
　　　　　　　　　 　 /　　　　　/　　　　　　　　　　 }　 　 　 　 　 ヽ　　　　　 <／
　 　 　 　 　 　 　 / /　　　　::　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽ　　　　┌─┐
　　　　　　　　　 / /　　　　.:::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└─┘
　　　　 　 　 　 ,′　　　|　::/:| 　 　 | /　│l　　　 |　　　　　　　｝
　　　　 　 　 　 　 |　 　 |　 |: |ｉ:: 　 │-‐=l∧　 　 |　　　　　　　　　　｝
　　　　　　　　 |　 |八_|八　|｀|ﾊ＿:Ｎ　＿　　＼{∨　　　　　　　j:::　 ﾘ　　　　　　f´￣￣｀ヽ
　　　　　　　　 |　 　 iﾊ ｘ气ミ　　　　　ィ弍≧x　/　　/　 　 　 /::::../　　　　　　 .|　チョン .＞
　　　　　　　　 |　　　::::. 　 Vｿ　　　　　　V)ソ'"/ 　 /　 　 　 /:::::./　　　　　　　 廴＿＿ ノ
　　　　　　　　 |　:|　 i::::　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　/:::::./
　　　　　　　　 ヽ∧　ｉ:::i　　　'　　 　 　 　 　 /　／　　　　 /:::::ｲ
　　　　　　　　　　　＼八　　　　　　　 　 　 /／|　　　　　.:::::八{　　　　　　　　　　　　 f´￣￣｀ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　|　 ヽ 　 ‘ ヽ　　　　 ´　　|　　　　/∧｛　　　　　　　　　　　　　　|　チョン .＞
　　 　 　 　 　 　 　 　|　 　 ＼　　　　　 　 イ　 |　　　://　　　　　　　　　　　　　　　　 廴＿＿ ノ
　　 　 　 　 　 　 　 　| ∧　　个:::--r　´　　　　|　　.:/|:|＼
　　 　 　 　 　 　 　 　l/ ハ 　 |厶-ハ＿,／⌒Yﾚ|　::| jﾉ　 ｝
　　　　　　　　　　　　　 　 j_／ 　 ⌒／〈　　/ |　|　∧　　〈
　　　　　　　　　　　　　　〈　　　　　/　 人_ノ,,人 ∨ 　＼.　＼
.　　　　　　 　 　 　 　 ＿人　 ＿_,/　　　ﾉ￣　／⌒⌒＼〉　　＼
　　　　　　　　　　　／　ー‐'´ 　 /　　／　＿/＿_＿_＿_ ＼　　ﾉ
　　　　 　 　 　 　 〈　　　　 　 ／{__／　／:::::::::::::::::::::::::::::::￣＼｛
　　　　　　　　 　 　 >　　 　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼

723： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:26:46 ID:WOP/25og00



　　　　　　┌──────────────────┐
　　　　　　│振り返ってみると、ちょうど、　　　　　　　　　.│
　　　　　　│ノエルのちっちゃな(失礼)胸ぐらいに、　　.....│
　　　　　　│ちいさな子どもの、頭がひとつ。　　　　　　....│
　　　　　　└──────────────────┘



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ー ､　}V　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｀ー--≧ 　 V　ﾚ´{
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _,フ'　　　　　　　 　　__｀ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　_..　-´――ヘヘ 　 -､　　　＼｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　´　　　　　　　　 　 ＼　 }　 　 　｀フ
　　　　　　　　　　 ／　／　/　　　　　　　　　＼|　　 　 ｀ヽ
　　　　　　　　　／　 /　／⌒ ／　　｛　　　　　 ヽ{ヽ.　＼ヾ
　　　　　　　 ／/　　{／___|／｛　　 ｲ⌒ヽ　　　　 i　　ﾉ　ヽ._
　　　　　　　　/　　 / '~⌒`　　＼/ |八　　　'　　 |　 　{´￣
　　　　 　 　 /　　 ⊂⊃　 .　　 　 -=ミ ∨ /　　　| ,ｲ 人
　 　 　 　 　 ′ /Y　　　　　　　　　　　ヾ∨　　　│/.ﾉ'
　　 　 　 　 |／ |人　　 /`ー┐　　 ⊂⊃′　 　 ﾘ从
　　　　　　　　　　　 >､　､_:::::ﾉ　　　　　/　 　 ｲ /
　　　　　　　　　　　 　 ＞　,...＿＿＿_/　 ∠ノ|/
　　　　　　　　　　　 ／:::::／　＼:::::::::厶イ　　　　　　　「……おねえちゃん、だーれ？」
　　　　　　　　 　 ／::::::/ ￣￣￣＼::::彡ﾍ
　 　 　 　 　 　 ／:::::::/　　　　 　 　 | :::::::::ヽ
　　　　　　　　く:::::: /　　　　　　　　 ∨:::::::::ハ
　　　　　　　　　 ∨　　　　　　　　　 ヽ、:::::::::::＼


　　　┌────────────────┐
　　　│くりっとした丸い目が印象的な、　　　　.│
　　　│かわいらしい女の子でした。　　　　　　.│
　　　└────────────────┘


.

724： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:32:38 ID:WOP/25og00
///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ 二 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　 　 　 　 ／　　　/　　/ /
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ
///////|ヽ　　　　　　 U　ｉ　 　 　 　 ﾊ {
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {　　　　　 「……ボク、の事……？」
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉


　　　 ┌──────────────────────┐
　　　 │この見知らぬ少女が、本当に自分のことを……　　.....│
　　　 │自分のことなんかを示して、声をかけたのか、　　　.....│
　　　 │ノエルは自信なさげに、問いかけました。　　　　　　.....│
　　　 └──────────────────────┘




　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≦＞　＜≧
　　　　　　　　　　　　　　　　_　≦ ＝∨== ≧、
　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　:.:. :.:. ヽ、
　　　　　　　　　　　　/ :.:.　:.:.　:.:.　:.:.　 :.:.　:.:.　:.:. :.ヽ
　　　　　　　　　　　/:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　 :.:.　:.:.　:.:. . ミx_
　　　　　　　　　　　:.:.　:.:.　:.:/ l:.:.　:.:.　:./ :.:.　:.:.　:.:. :.:
　　　　　　　　　　 l/l :.:. --/ーl ´l:.:. :.:./ヽ:./＿:.:. :.:.l:.: ﾄ
　　　　　　　　　　　 l:.　:.:./ |／|ヘlﾍ:.: l　|/ﾍ/ ﾘ :.: :l :.:l
　　　　　　　　　　　 ﾊ:.:/ヽ≡≡　　丶|　ミ≡ /:.: / :人
　　　　　　　　　　　 从ミ=-::::::::　　　　　:::::::: /:.:/:.:/:.:{
　　　　　　　　　　　　　ハ　　　　ゝ＿ｧ　　／イ:.:/ :.:从　　　「うん、そーだよ！」
　　　　　　　　　　　　 /ヘl＞ 、　　　　　　, /:.:イ :.: :.:ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　/ 三三三三三7ﾍ从　∨∧　　　「おねえちゃん、初めてみる人だ！」
　　　　　　　　　　　　　　　三三三三三三ﾘ;＼
　　　　　　　　　　　　　　　|;;;;;y- ｭ-y-、;;;ヽ ;;;;;;＼
　　　　　　　　　　　　　　　l;;;;;;l　 ﾖ:::ﾄ　ﾘ;;;;;l＼ ;;;;; ＼
　　　　　　　　　　　　　　　.l／;=-l:::::ゝ,ｲ;;;/　 ＼ ;;;;;; ＼
　　　　　　　　　　　　　　　 l;;;;;;;;;;;l::::l;;;;;;;;l;l　　　　￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　 l;;;;;;;;/::::::ヽ;;;;;;;l




　　　　┌────────────────┐
　　　　│少女は、あっさりと、元気に、　　　　　...│
　　　　│しかしはっきりと、肯定しました。　　　...│
　　　　└────────────────┘



　　　　　　　┌────────────────────────────┐
　　　　　　　│見慣れた兵士たちの中に、一人だけ見覚えのない人がいる。　　　 .│
　　　　　　　│しかも歳が近そうで、他の人ともなんか違う。　　　　　　　　　　　　　...│
　　　　　　　└────────────────────────────┘


　　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　　│好奇心旺盛な少女が、興味しんしんで　　　　　....│
　　　　　　│声をかけるには、じゅうぶんな理由でした。　　.....│
　　　　　　└────────────────────┘


.

725： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:38:32 ID:WOP/25og00


　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾍ ≧ヘ　|} ／ ＼
　　　　　　　　　　　　　　,, ''"´　ミ　　　　　ミ　ヽ ＼
　　　　　　　　　　　　 イ　 ／　　￣　￣-≧ﾍ 　ヽ ミ
　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ ﾄ
　　　　　　　　　／　　　　/　/　　　　　　　　　　　　 ﾍ
　　　　　　　　/　／　　,斗ー-　/　　　　l　 l　ﾍ　　　ﾊ
　　　　　　　　 //　　　/　/　　/　　　　 l ーl-k　　　　 l
　　　　　　　l / /　/　/／|/ヽ/|　　　　/l　/l　　ヽ　　　l
　　　　　　　l/　l　　　/,ィf斤夊|/l　　/　|/- ヽ　 l　　　ﾘ
　　　　　　　　　l l　l /　 込ツ　　|　/ ィ示気 ﾘヽl　　 人
　　　　　　　　　ﾊ|ﾍl＼　::::::::　　 レ 　 乂iソ /　/　　/
　　　　　　　　　　ﾉ／ミ=-　　　、　　　 :::::::::/／　 ／
　　　　　　　　　　/ /ﾊﾍ　　　　　　　　　 _／イ/イ
　　　　　　　　 　ﾉ/ハ从/ヽ　 ､　__　　 .イ/　/ l　　　　　　 「ねぇお姉ちゃん！」
　　　　　　　 　／ 三三三 ヽ`＿ -=≦/::≧　{　ﾊ
　　　　　　　　l　三三二二二三三二/二二＼ハ从　　　　 「お姉ちゃんの名前、なんてゆーの？」
　　　　　　　　| 三三三三三二二二三三三三＼
　　　　　　　　l　三三三二二二三三三 _ 三 l三ﾍ
　　　　　　　　l　三三三三三三三 ／ /　|ュ-l--,ﾘ
　　　　　　　　l三三三三三三三ﾆ.l　　　 ヽ￣V;;/
　　　　　　　　l 二二---　ヽ ／　ｲ-- 　 　 |二l;;;}
　　　　　　　　ヽ／ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ::::|;;;;;;;;;;;;;;;;＼ﾉ_　|;;;7
　　　　　　　　　ﾏ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾍ/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;>　 /;;/
　　　　　　　　　 ﾍ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/`-ｲ;;;;/
　　　　　　　　　　 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7;;;;;;/;/



　　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　　 │少女はノエルの目下から、彼女に問いかけます。　　　...│
　　　　　 └───────────────────────┘

　　　　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　　　　 │ノエルを見つめるその目には、嘘や悪意など、　　　　│
　　　　　　　 │欠片も見いだせそうにありませんでした。　　　　　　　.│
　　　　　　　 └──────────────────────┘


.

726： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:44:15 ID:WOP/25og00
///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ ＼ 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　 　 U 　 ／　　　/　　/ /
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ
///////|⊃　　　　　　　 　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {　　　　　 「な、名前……」
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼　　　　　　「……えっと、その……ボク、は……」
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉




　　　　┌──────────────────────────┐
　　　　│それでもノエルは、迷います。迷ってしまいます。　　　　　　　......│
　　　　│少女を疑っているわけでも、疑いたいわけでもないのに。　　　..│
　　　　└──────────────────────────┘


　　　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　　　 │けれどもノエルは、迷ってしまうのです。　　　　　　 　 .│
　　　　　　 │たかだが聞かれた名前を答えるだけの、　　　　　　　.│
　　　　　　 │とても、とっても、本当に、簡単なことでさえも。　　 　 .│
　　　　　　 └──────────────────────┘


.

727： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 02:53:53 ID:WOP/25og00



　　　　　　┌────────────────┐
　　　　　　│けれども、少女はノエルのどこか　　　..│
　　　　　　│怯えた様子に気がつくこともなく、　　　.│
　　　　　　└────────────────┘




　　　　　　　　　　　　　　ィミ∨=--　≧、
　　　　　　　　　　　　　ｲ彡　:.:.　:.:.　:.:.　:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　/　:.:.　:.:.　:.:. :／:.:.　:.:.:ミ
　　　　　　　　　　　 /:.:.　:.:.　l:.:.　:.|＼l＼,ﾚ:.:. ﾊ
　　　　　　　　　　　　:.:.　:.:. :,イヘ:.:l　彳=-l:.:l:.:ﾘ
　　　　　　　　　　　 l:.　:.:.:／_,ｭｧ ﾍl　　:::::::l/l:.:.ﾄ
　　　　　　　　　　　 ﾊ:.:. :.从´/:::::: ,ィ ´ﾍ　 /ﾍﾘ
　　　　　　　　　　　　ヽ :.:. :.ミ=-　 ヽ、_ｿ ,ｲ∧　　　　「んー……まーいーや！」
　　　　　　　　　　　　　 `ト=- ﾄ= 　,,　イ三三ﾍ
　　　　　　　　　　　　　 ｲﾍ/:.:.:ﾊ/三三三三三ミ　　　「ねぇお姉ちゃん、私といっしょに――あそぼっ♪」
　　　　　　　　　　　　　/ 从 ハ/三//ﾍ;;<　ﾘ;;;;;l
　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;; l;;;;;;>、l::l;;;;;;ヽｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;; /l/;;;;;;;;l::l;;;;;;;;/:l
　　　　　　　　　　　　　　　/ ;;;; / .ﾉヽ;;;/::::ヽイ:::;


　　　 ┌─────────────────┐
　　　 │ノエルがなかなか進めない一歩を、　　.....│
　　　 │あっさりと踏み出したのでした。　　　　 　 │
　　　 └─────────────────┘


.

728： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 03:02:07 ID:WOP/25og00
　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／　　　　　　　　　l　　　　ﾍ
　　　　　　　　/　　　　　　　　／／　　　　　　　　　　 l　　　　　ﾍ
　　　　　　　 /ｲ　　　　　　　/ /　　　__/　　　　　　　l　　　　　l　ﾍ
　　　　　　　/ l　　　　　　　/ _,, -''"´ / `　l　　　　　l　　　　　 l　ﾍ
　　　　　　　　j　　　　　　 / /　　　　 l　　 l　　　 　 l　　　　　　l　 ﾍ
　　　　　　 　 l　　　　　　/ /　ﾊ　　/ l　　/　　　　 /　　　` kx　l　　ﾍ
　　　　　　　　l l　　　　　l/　/　 l　/　l　 /　　　　/l　　　　 /　　lヘ　 ﾍ
　　　　　　　　ﾘ l　　　　 l／　　ソ　　l　/l　　　 /　l　/l　　/　　　l　　　 ﾍ
　　　　　　　　　 l　　／ l 彡三三ミﾐ l/　l　　 /　　l /　l　/ヽ　　 l　　　　ﾍ
　　　　　　　　　 iﾍ　　　l　　　　　　　　　l 　 /　　 ｿ　　l/- 、ヽ　l　　　　/
　　　　　　　／　　 ヽ　 l　　:::::::::　　　　 /ノ　　　　ｲ三x　　　　ヽl　　　/　　　　 「それじゃあ今日は、なにをしてあそぼっか？」
　　　　　／　三三　 ヽ　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　`气x　 l　 l　／　／
　　　　l　三三三 =k.[l　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::　 ミ /　／　イ　　　　　「えっとね、私はね〜」
　　　ﾉ　三三三.l　y　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 l　　　 ／从
　　　l　三三三 l　l　 y ^ヽ　　　　 l ` ‐　、　　　　　　　／　　　　l ノ ／三三
　　　＼三三三 l ﾉ　/　 ／.　　　　 ヽ --'　　　　　 ／　イ_,,. -''"/／三三三
　　　　　＼三三l　 i　 /　　、＼　　　　　　　　　　___ 　-= y- 、三三三三三
　　　　　　/＼三＼　　　　'　-　＼　　__　 y-￣Y　　`　　/　　/三三三三三
　　　　 　 j:::::::::::　三ヽ　　　　　　　ﾉ /　　l_/　　l　　/ 　/　 /三三三三三三
　　　　　 l:::::::::::::::: 三 l ﾍ　 =-　　/三　　　 '　　’　　!　　 ／三三三三三三
　　　　　l::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::ヽ　　　ｲ}:::/　　　　　　　　　 ／三_,,. -‐''"´　　　 ヾ


　　　　┌───────────────────┐
　　　　│少女は、ノエルの「……う、うん」という、　　 　 │
　　　　│消極的な承諾すらも取らずに、　　　　　　　 　 │
　　　　│自分の希望をまくしたててきました。　　　　　　│
　　　　└───────────────────┘


.

729： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 03:04:12 ID:WOP/25og00



　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝　っ
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /　　　っ
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　u.　 _, l　 '/　　　　　 「えっ、いや、その……」
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.u　 c 　 　 .イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧　　　　　　「……ちょっと、待って……ね？」
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}


　　　　┌────────────────────────┐
　　　　│慣れない状況にとまどいながらも、　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　│空回りし始めている頭をなんとか落ち着かせようと、　　......│
　　　　│一歩を踏み出すまでの猶予をもらおうとしましたが、　　　 .│
　　　　└────────────────────────┘


.

730： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 03:14:12 ID:WOP/25og00



　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　 │よくもわるくも、子どもな少女に、　　　　　　 　 .│
　　　　 │ノエルの重い思いが伝わるはずもなく。　　　　│
　　　　 └───────────────────┘



　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ ／　　　 /=ミ､ヽ_／/厶　　　 　 ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　 　 /_／　 　 　 厶≦二二ミく.:｀ヽ.　　　　､_　 ',
　　　　　　　　　 　 ､__／　／ 　 ,　 ￢…'"´　｀`丶､ヽ､.:', 　　､　',｀ヽ}
　　　　　　　　 　 　 ｀￣/　　／　　 　 　 　 　 　 　 ヽ.ﾍ:}　ﾉ 　ヽ}
　　　　　　　　　　　　　/, '　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ソ.ィ.:. .　 ヽ.
　　　　　　 　 　 　 　 / /　 |　.'⌒| .∧ 　 　 ! '⌒ヽ　　Vﾊ.:. .:.　 ..＼　　　　「あっ、そうだ！ 今日はお絵かきをしよっか！」
　　　　　　　　 　 　 　 /|　 .|　./　|/　 ＼ 　 !＼{　　 　 Vﾊ.:.:.:.:. ..:ﾄ^`
　 　 　 　 　 　 　 　 |/ :|　: j∨　　　　 　 ＼| 　 ＼|　　 :}/}.:.:.:.!:.:.:}　　　　　「ねぇお姉ちゃん、クレヨンもってる？
　　　　　　　　　　　　　 |: : ハ `ー'"　　　　`ｰ=彳│　　 ﾊ7.:.:.ﾊ:.厶　　　　 もってないなら貸してあげるよっ！」
　　　　　　　　　　　　　 | :/＾ﾘ　　　　'　　　　xxx　 |　　/./.:.:./　}
　　　　　　　　　　　　　 |/::::人　　　 ､　__　　　　　 |　 V.:i:.:.:,′　　　　　　 「あーでもでも、今日は私、お空さんをかきたいから、
　　　　　　　　　　　　 　 ゝ、::::::＞　._　　　　 _　　ィ| ././.:l:.:.{　　　　　　　　 あお色と白はつかっちゃダメだよっ！
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ∨::ﾉ::::::E二ﾆﾆﾆ7:::::::::::|/_|:.:八:.!　　　　　　　　 でも栗はいーっぱいあまってるから、
　　　　　　　　　　　 　 　 　 .У　　　　　 　 　 ヾ:::::::::::::::＞ー-､　　　　　　　おねーちゃんは黒、好きなだけつかっていいよっ！」
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 〃　 　　 У　　　　　 {::::::::::::::::::::::::`┐
　　　　　　　　　　　　　　　{{: : : .　　｛　　 　 　 　 ､＿＿_...__ﾉﾆﾉフ
　　　　　　　　　　　　 　 　 ゝ: : : : : 人: : : : : : : . ハ　　　　 ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　{: : : : : : : : : : : : : : 　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　 /＼　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ）





　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテっﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　u　 _, l　 '/　　　　　　　 「……だから、ちょっと……待って……ね？」
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.u.　へ　 　 .イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}


　　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　　│次々と言葉と好奇心の花を咲かせる少女に、　　....│
　　　　　　│ノエルはすっかりたじたじで。　　　　　　　　　　　　....│
　　　　　　└─────────────────────┘

　　　┌─────────────────────────┐
　　　│少女が、ワリと自分勝手な要求を言っていることにも、　　　...│
　　　│ほとんど気がつかないぐらいでした。　　　　　　　　　　　　　.....│
　　　└─────────────────────────┘


.

731： ◆HD5ItXoLGM：2019/01/30(水) 03:15:24 ID:WOP/25og00
3時過ぎたから、今夜はこの辺で〜短かったけども(；・∀・)
なるべくはよ、部屋戻って投下出来る様にしたいですね
ではではまた〜

732：どこかの名無しさん：2019/01/30(水) 03:21:57 ID:hsRJnPmw00
更新乙でした！ノエルｗｗｗ
やっと服が着れる

733： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/06(水) 02:31:44 ID:hp10B1xQ00
明日ぐらいやります、
今日予定だったけど、思ったより部屋戻るの遅くなったという
3時ぐらいまでコマ貼っときます(；・∀・)

734： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 02:39:57 ID:YKRf1iWs00
1hぐらいやります
735： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 02:40:17 ID:YKRf1iWs00

　　　　┌─────────────────────┐
　　　　│助けを求めようと、思わず兵士達や、ノエルを　　　│
　　　　│ここに連れてきた張本人の方に向いて、　　　　　　.│
　　　　│助けを求めようとしましたが、　　　　　　　　　　　 　 │
　　　　└─────────────────────┘



　　 ／￣￣＼
　／　　 ⌒　　＼
　|　　　 （ ⌒）（⌒）
.　|　　　　 （__人__）
　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
.　 |　　　　　　 　 }　　　「おっ、ノエルちゃんもう仲良くなってるじゃないか」
.　 ヽ　　　　　 　 }
　　 ヽ　　　　　ノ　　　　「さすが若い子同士は違うよな〜」
　　　/　　　 く
　　　|　　　　 ＼
　 　 |　　　　|ヽ、二⌒)




.　　 　 　 /.:::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::.:.:. ハ
　　　 　 /.:::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::.:.:.ハ
.　　 　 /::::::::::::::::::::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::__:::::::::::::::::::.:. l
　　　 /.:::::::::::::::::l::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::|＼:/ ∧:::::::::::::::::.:.|
　　／イ:::::::::::::::::l::::ﾉ八:::::::::::::::ハハ :::::|　〈 / /::::::::::::::::::::.|
　　 　 |::::::::::::::::/lｰ|-‐ '＼::::::::|　 ＼l:::::|　　∨::::::::::::::::::::::.|
　　 　 |／)::::::::i 八|　　 　 ヽ:::|　 　 ｀ト|　 　 }::::::::::::::::::::::.;　　　「もうっ、いくらノエルちゃんだからって、
.　 　 /　/:／ﾉ｣　ミ≡　ヽ　ハ| ‐　　　　　 ノﾚ'⌒ヽ:::::::::/　　　 あの子ほどちっちゃくは無いですよ〜」
　　　|　〈/ /´人 ､ 、　　　　　　 ≡=彡　　　 ｆ⌒　}::::::ｲ　
　　　|　/　| 〈::::::＼　　　'　　　　､ 、　 　 　 ｒ' 　 ノ:::∧|　　　　「でもきっと、ノエルちゃんがとっても良い子だってのが、
　　　〈 {　　　＼ト--‐　　　　 　 　 　 　 　 ,､_ イ::::::〈　　　　　　あの子にも伝わったんですよ〜♪」
.　　 　＼　　　　＼　　 　ヽ　つ　　　　　 /::::::::八トミヽ
　　　　　|＼　　　　＼ 、　　　 　 　 　 .イ:厶イ|　 ヽ
　　　　　|.:.:::＼　　　　Y＼＿ 　 .　イ　人/ﾆﾆ{
　　　　 x≦三/　　　 /ﾆニ|　　　 　 　 |/ﾆﾆﾆヽー,.― ､＿__
　　　／ﾆﾆニ{　　　 /〈￣ノ　　　 　 ｘ<ニニﾆﾆ/〉乂__彡三三＼
　 ／ﾆﾆﾆﾆニ＼　.∧/ー――┬<⌒ヽ＼ニﾆ//: : : : ￣｀ヽ三三ヽ



　　　　　　┌───────────────────┐
　　　　　　│などとほざ――おっしゃっており、　　　　　　　..│
　　　　　　│ノエルを助ける気なんてなさそうでした。　　　 .│
　　　　　　└───────────────────┘

　　　　　　　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　　　　　　　 │もっとも、なにから助けよう、あるいは　　　 　 .│
　　　　　　　　　　 │どうしたら助けたということになるのか、　　　　│
　　　　　　　　　　 │という話ではあるのですが。　　　　　　　　　　...│
　　　　　　　　　　 └───────────────────┘

.

736： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 02:45:49 ID:YKRf1iWs00


　　　┌─────────┐
　　　│結局、ノエルは、　　　│
　　　└─────────┘


　　　　　　　　　　　　　　ィミ∨=--　≧、
　　　　　　　　　　　　　ｲ彡　:.:.　:.:.　:.:.　:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　/　:.:.　:.:.　:.:. :／:.:.　:.:.:ミ
　　　　　　　　　　　 /:.:.　:.:.　l:.:.　:.|＼l＼,ﾚ:.:. ﾊ
　　　　　　　　　　　　:.:.　:.:. :,イヘ:.:l　彳=-l:.:l:.:ﾘ
　　　　　　　　　　　 l:.　:.:.:／_,ｭｧ ﾍl　　:::::::l/l:.:.ﾄ　　　 「ねぇ、お姉ちゃん！」
　　　　　　　　　　　 ﾊ:.:. :.从´/:::::: ,ィ ´ﾍ　 /ﾍﾘ
　　　　　　　　　　　　ヽ :.:. :.ミ=-　 ヽ、_ｿ ,ｲ∧　　　　 「私は今日もお空をいっぱいかくけど、
　　　　　　　　　　　　　 `ト=- ﾄ= 　,,　イ三三ﾍ　　　　お姉ちゃんはなにをかきたいの？」
　　　　　　　　　　　　　 ｲﾍ/:.:.:ﾊ/三三三三三ミ
　　　　　　　　　　　　　/ 从 ハ/三//ﾍ;;<　ﾘ;;;;;l　　　 「あっ、そうそう、絵をかいたらすぐに私に見せてね！
　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;; l;;;;;;>、l::l;;;;;;ヽｿ　　　 お姉ちゃんの絵、見てみたいな〜」
　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;; /l/;;;;;;;;l::l;;;;;;;;/:l
　　　　　　　　　　　　　　　/ ;;;; / .ﾉヽ;;;/::::ヽイ:::;


　　　　　 ┌──────────────────┐
　　　　　 │見知らぬ少女と二人で絵を描くという、　　　│
　　　　　 │ノエルにとっては、かなりの難局に　　　　　..│
　　　　　 │置かれるはめになってしまいました。　　　....│
　　　　　 └──────────────────┘



　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 　 ／ /　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼
　　　　　　 　 　 　 , 　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　/　/　　 　 /　　　　　　∧　　　　 i　　　　　　 ﾊ
　　　 　 　 　 　 /　/　　 　 /　　 　 　 　 l　',　　　　 　 　 　 　 　 i
　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 i| ,ｲ　　 　 ,ｲ｜ 斗 ト
　 　 　 　 　 　 '　i　　　 ,ｲム| |　　　｜凵　　V　＼　　　　　　　　 l
　　 　 　 　 　 ,　 |　　　「'ﾘ ＿ Ｗ＿_」　 　 　 　 　 ＼!
　　　　　　　　　　| ﾄ　　|　 ,-==､　　　　　　,≠＝xiiji　| 　 　 　 |　 |
　　　　　　　　| 　 ﾘ　＼| 〃 :О　　　　　　´　О:　ゝ./　　　 　 |　　　　　「……ああ、うん……」
　　　　　　　　|∧　 　 　 　 -=-　　　　　　　 -=- '　/　　　　　 | /
　　　　　　　　ﾘ :|　　　ヽ　　 　 　 　 ､　　　　　　　/ 　 　 　 　 N　　　　 「するでしょ、って言われても……
　　　　　　　　　 |　　　　',　　　　 　 　 　 　 　 　 / イ 　 　 　 /|　　　　　特に、描きたいものとか、何も無いんだけど……」
　　　　　 　 　 　 ､　　　 ﾄ　u.　　　 　 　 　 　 　 ´ /　　 　 ／V
　　　　　　　　　 　　　　 | ヽ　　　　　 ‐-､　　　u.　|　　 　/´
　　　　　　　 　 　 i 　 　 ! 　 ＼ 　 　 ￣　 　 　 ／l　 　 / ヽ　　　　　　　「……とりあえず、よろ、しく……」
　　　　　　　 　 　 | 　 ｀↓ﾍ /　｀　 ､　　　_　＜.　 |　　/　　 〉
　　　　　　　 　 　 | .ﾊ　｜　{ 　 ､　ハ｀　　　　,　- |　 ハ＿∧
　　　　　　　　　　 ﾚ　l　 !　 l＼　＼＿＿,　７´　　 |／_/　　 ￣ヽ


　　　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　　　 │その場から、そっと立ち去るタイミングすら、　　　　　..│
　　　　　　 │するりと逃してしまったノエルは、　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　　 │きわめて消極的な覚悟を抱きながら、　　　　　　　　....│
　　　　　　 │少女の遊びにつきあってあげることにしました。　　　 │
　　　　　　 └──────────────────────┘


.

737： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 02:55:05 ID:YKRf1iWs00


　　　　　　　　　　　　　　 |＼_ ￣ﾄ､ｰ―-､
　　　　　　　　 ＿＿＿＿_＞　＼| Ｌ＿＿_|
　　　　　　　　 ＞＿＿＿__　　　　__＿　＜
　　　　　　　　l／　 　 　 　 ヽ　／ 　　 ＼!ゝ
　　　　　　 ／　　　 　 ／ﾐヽ Vr勿＼　　 ＼ヾ
　　　　　／／　　＞-―┴┴-　∠.:＼lVVV＼＼
　　　 ∠／　／　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ゝ　》
　　　 /:/: ./　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　}: | ﾉ
　　　/　//　　 　 /　__/　　 {　　:ir―　､　 　 ∧|
.　　　　 / 　 /　 '／ ./'｀ ィ.ハ　 :|＼. 　 |　　　ハ
　 　 　 ′, /　　|　 ./_|/　|′ ､　|, __＼.:i.　　　　 .
　　 　 i　/}′.　:|　/＿___､　　 ヽ|_´_＿_ﾄ:.　　　　 i
　　 　 |/　'!　:..:∧《ん;;;ｎ|　　　　 |:. ;;;ｎ|》 V 　 ﾊ｜　　　　「はい、これっ！ クレヨンねっ！」
　　　　　/ |　 :ハ　乂__ソ　　　　 乂__ソ'　ﾊ.　 |:ﾊﾄ､
　　　 ／.:　ヽ i人i　 ///　 　 '　 　 ///　 iﾉi.　.i　　　　　　「ちょっぴりチビっちゃってるけど、
　 　 　 　 　 ｲ{.:.人　　　　（` 　 ´） 　 　 人:|:..:|　　　　　　 大事につかってね！」
　　　　 　 　 トイ＞＞　.　 　ー　　 .　＜_厂}i/
　　 r‐yｧァ＝ ´:::::::: { {{ 　 i￣￣/　 ﾉﾉ}::::::::｀¨¨:::::TTY ﾌ
　　 `{ { {:::::::::::::::::::::: `iﾐ ､　､　 / ／.イ:::::::::::::::::::::::::} } |´





　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　u.::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|　　　 「……う、うん……分かった……」
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　u　 _, l　 '/
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　 〜　 　 .イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ　　 (……どうして……どうして、こんな事に……？)
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}



　　　　┌─────────────────────┐
　　　　│気分はメツレツ破れかぶれ。　　　　　　　　　　　　　│
　　　　│もはや、もうどうにでもなれという心境で、　　　　　...│
　　　　│ノエルは近くの席に座り、少女から、　　　　　　　　 .│
　　　　│偏った色のクレヨンを何本か借り受けました。　　....│
　　　　└─────────────────────┘


.

738： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:05:36 ID:YKRf1iWs00

　　　　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　　　　│少女から借りた、というか貸されたクレヨンを　　　　　　　　　..│
　　　　　　　│握りしめたまま(手に色がついてしまうのに)、　　　　　　　　　..│
　　　　　　　│ノエルは、他の人たち……特に、ここに連れてきた　　　　 　 │
　　　　　　　│張本人、まさしく原因、あるいは現況の元凶である　　　　 　 .│
　　　　　　　│ところのカナタの様子をうかがってみることにしました。　　　..│
　　　　　　　└─────────────────────────┘



　　γ:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ
（:::::::::／　─　 　 ─　＼:::::::）
＼:／ 　（⌒）　　（⌒） 　＼ﾉ　　 「ねぇアンタ、このお茶はどんな感じだい？」
　|　　　 　（__人__）　　 　　|
　＼　　　　｀ ⌒´　 　 　／　　　 「今朝摘んだばかりのお茶葉で淹れてみたんだけどさっ」
　／　　　　　 　 　 　 ／
　＼　　　　　　　(_＿ノ




　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／.:./.:.:.:.:.:.:.:.八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.
.　　 　 　 　 　 　 　 ＿ノ.:.:.:./.:.:.:.:.:ｲ.:/　|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. i／〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　 　 ⌒了.:.{.:.:.:./_｣.:.L　|.:|.:.:.:.:.:.:.:}.:.:.:.:.:.:|／〉.:.:.:.:.:.:.:.:.}
　　　　　　　　　　　　 　 {.:.:.| .:./´ ヽ{　｀|∧.:.:.:.:.:.ﾊ.:.:.:.:.:.}∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ;.:.:.:.:.｛　 ＿　　{　 ､.:.:.:/ ﾊ.:.:ﾊﾉ　}}.:.:.:.:/.:.:.:. |
.　　　　　　　 　 　 　 　 人.:.:.:.:.乂x＝ﾐx　　 }.:./二｣ノ　　ﾉ厶=x.:.:.:.:}.:|
　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ／ﾉ⌒, ,　 　 　 |/´￣ヾ 　 　 ｨ⌒)}.:.:.ハl
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｛　{{　　　 　 ,　　 　 , , ,　　　 ノ ／|／　 }　　　 「む〜〜……んーっ！ よしっ、グッドだねっ！」
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　ヾ､　　　)､　　　　　　 　 .ｨrく.:（.:{
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 {　 　 ＼　 　 ￣　　　 　 .ｲ.:}ハﾉ ヽ　　　　　　 「オバちゃんの淹れてくれるお茶は、
　　　　　　　　　　　 　 　 　 |＼　　　丶　　 　 　 ＜)⌒ハ　　　　　　　　　　いっつも美味しいよっ！」
　　　　　　　　　　　　　　＿」.:.:.|）　　　　〕ｰ　　　　/ 〉' 　 ＼＿
　　　　　　　　　　　 ／　　　）.:/　　　 .イ）　 　 　 ／　　 　 人(⌒＞､
.　　　　 　 　 　 　 /　￣￣7⌒｝　　 /八　　　 ∧　 ∧ 　 /　 ＼　 　 ＼
.　　 　 　 　 　 　 ｛　 　 ／　　 ＼_ //　　ー=ｲ　 ＼∨　/　　 　 ＼　 　 ＼



　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　│……よくも悪くも、ノエルのことなんて、　　　　　....│
　　　　　│まるで気にしていないかのように、　　　　　　　　..│
　　　　　│住民の人たちと楽しそうに、　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　│本当に楽しそうに、話していました。　　　　　　......│
　　　　　│他の兵士たちも、住民も、大体、同じ感じ。　　.....│
　　　　　└────────────────────┘


.

739： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:12:05 ID:YKRf1iWs00



　　　　　　　　　　　　-‐ｧ=ー-ミ
　　　　 　 　 　 ／　 　〈 　 　 　 ＼
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 /　　/.　　 |　　　　 i 　∧
.　　　　　 　 |　　 |｜ |/|　　|i|　 |　　 |
.　　　　　 　 ｌ　　 |人_|‐L.」_j七ﾉ|　　 l
　 　 　 　 　∧　　、‐tｯ　 　 tｯ‐|　 |/　　　　　 (……ボクも、他の人と同じ様に、
　　　　　　　　ﾍ ＼〉::::..... , ...:::::..i|　 |　　　　　　 好きな様に、やればいいのかな？)
　　　　　 　 　 ハ　|、 　 __　　 ﾉ|　 |
　　　　　　　　　 |　|_〕ト　_ . イj/| |/　　　　　　 (どうせ、誰も止めないだろうし……
　　　　　 　 　 ノ}ヽ|￣＼___,ノ⌒|ﾉ⌒＞　　　　 逃げた所で、怒られる事も、無いだろうし……)
　　　 　 ,x＜二＼　　　　 　 　 〈　7´二>､
.　　 　 /　　　　　 ＼＿＿　　／∨　　　｜
　　　　|　　 ',　　　 　 　 ＼／　　　　 /　 |
　　　　|　 　 ∨　　　 　 　 |　　　 　 /　　l|
　　　　|　　　 [￣￣]　　　 |　 [￣￣]　｢　|


　　　　　┌───────────────────┐
　　　　　│こんなことは、ノエルにとって初めてで。　　　　│
　　　　　└───────────────────┘

.

740： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:15:02 ID:YKRf1iWs00



.　　　　 　 / : : : : /:.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : :＼
　　　　　 / : : : : /:.: : : : : : : : : : : : : : :./: : :/: : : : : : : : : : : : : :＼: : : : :ヽ
　　　　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : :/: : : : : : : : : : : : : : : :i ヽ: : : : : :
　　　 　 : : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : /: : :/ : : : : |: : : : : : : : : : : :i : i: : : : : : :
　　　　 : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : /: : :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : i : i : : : : : : :
　　　　l: : : : ′: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : : : : : : / !　!: : : : : !: :
　　　　| : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ｉ..: : : : : : : /:/　|: :|: : : : : |: :
.　　 　 !: : : :|:.: : : : : : : : : : : : : : :l : : : : : / : : : /|:.: : : : : : /:/ 　:|: :|: : : : : |: :!
　　　　 |: : : :. : : : : : : : : : : : : : : :|: : : :__/: : : :/-|: : : : : :./'7￣ 了 |: : : ;.ィ: :.|
　　　　 |:./: : ', : : : : : : : : : : : : : :.i: : /:./: : : ;.'　/: : : : : /|/　 　 |/ | イ : : : : !
　　　　 |ハ::::::::. : : : : : : : : : : : : : ｉイ//＿／　 ￣￣￣　,xrや㍉　/.: i:.: : : : :
　　　　 |　 ヽ::::::.: : : : : : : : : : : : : i. ≪¨て::うヽ　　　　　　 いﾉ '　.: : : !: :|: : ,′　　 (……でも、絵を描くなんて、本当に久しぶりだ……)
.　 　 　 　　　＼::.: : : : : : : : : : : : :ｉ.　　 乂_り 　 　 　 　 　 ¨´　.: : : : i: :.|: :,′
.　　　 　 　 　 　 ', .: : : : : : : : : : : :.＼　　　　　　　　　　　　 　 ; : : : :.i: /|:/　　　　　(……たまには、やってみても、良いのかも……)
.　　　　　　 　 ＿ ', : : :|:.:: : : : : : : |　 丶　　　　　　　　'　　 　 {: : : : :|/ .|'
　　　　　　／:. :. :. ', : : !' : : : : : : : |　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 八 : : : l
.　　　 ＿/:. :. :. :. :. ', : :! ', : : : : : : |　　　　　 　 　 ,..　 　 　 .ｲ:.: : : : :.!　　　　　　　 (……うん、ちょっとだけ……楽しみ、かな……？)
　　／:. /:. :. ＿＿:.: ' : |:. ', : : : : : :|`　.　　　　　　 　 　 イ:::::::::: : : i : |
.　/ :. :. :. :. :. :. :. :. : : ', | :. ', : : : : :.:丶　`　　　　 　 ／　 l:::::::::: : : :|', |
. /:. :. :._,､ -――‐--...',|.:.:. ', : : : : |:. :.＼＿{__ ｀¨´ヽ: ＼ !::::::::: : : :! ':|
/:. :.／＼///////＼:::::::｀`: ', : : : :! :. :. :. :. :. :. :. :. : }ヽ:.:ヽ::/|:: : : :!



　　　　　 ┌───────────────────────────┐
　　　　　 │けれども、こういう風に思うのも、ノエルにとっては初めてで。　　　│
　　　　　 └───────────────────────────┘


　　　　　　　 ┌────────────────────┐
　　　　　　　 │少しずつ、少しずつ、ノエルの周りも、　　　　　　 │
　　　　　　　 │ノエル自身も変わり始めていることに、　　　　　...│
　　　　　　　 │彼女はまだ、気がついていませんでした。　　　　│
　　　　　　　 └────────────────────┘


.

741： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:17:25 ID:YKRf1iWs00



　　　　 　 　 　 　　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


.

742： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:18:02 ID:YKRf1iWs00



　　　　┌──────────────────────────┐
　　　　│こうして、ノエルは時折首をひねりつつも、　　　　　　　　　　　......│
　　　　│少女といっしょに、白い海に色達(やや少ないですが)を、　　 　 │
　　　　│走らせてみました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
　　　　└──────────────────────────┘



　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ..::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::＼::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..::::::::::::　:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 :::::::::::::　::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:: |　i
　　　　　　　　　　　　　　|　　　 :::::::::::::　:::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::/ ::: |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::/　::::::::::::::::::::|/: ／|::::::::j::::::::::::::::: /:|::::: |　|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::/　 .::::::::::::::::::::|: /ノ|　::/|::::::::::::/:/　|:::::ｉ|　j
　　　　　　　　　　　　　　　∨:｝　:/　..:::::::::::::::::::::::爪＾ｱ尓ミ Ｌ:::::::/l/へﾚ::::ﾘ /
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨:::/　.::::::::::::::::::::::::::|　 弋(ソ　　　　 y≦ｧ从/i/
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 厶:∧　 :::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　ﾋ(ﾝ,:'::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 j人::ヽ　 :::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 、　 .::::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _｝:::',　 :::::::::::::::::::|　　　　　　 　 　 /:::/ /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 __厂V__:∧　::::::::::::::i:::|　　　　　　　　 ..::::/ /
　　　　　　　　　　　 　 ／　/　　 : : : :Vﾍ ::::::::::i:::|、　　　 ´' .イ:::::::／　　　　　　「かき、かき、かき……」
　　　　　　　　　　　　/　ｰ┴　　_: : : : : : ＼::::::i:::|/＞: :-＜｝::::::/|/
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　｀: :ー-: : :＼i:::|＼_人/⌒|::::∧|
　　　　　　　　　 〃　　 　 　 　 : : : : : : : : :＼: ヽ|: : : : : ）: :j／: :｝
　　　　　　　　 r┴─―＜　　. : : : : : : : : : : : 丶、: ＿八: : : : : :j
　　　　　　　　厶＿＿__／｀⌒丶、_: : : : : : : : : : : : : : : : :＼ : : ,′
　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　 　 ｀⌒丶、: : : : /￣￣＼/ヽ∧　　　　　　　　　　　　 _
. 　 　 　 　 /　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　ー‐/　　 　 　 ＼}　|　　　 　 　 　 　 　 ／/
　　　　 　 ,′　　　　　　　ヽ　　　　　　　　| 　 /　　　　　　　　￣/`ー────'7´　/
　　　　　 ｛　　　　　　　　　　　 　 ＿＿＿｣._ /　　　　　　　　　 /　　　　　　　　/ 　 /

743： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:25:03 ID:YKRf1iWs00

　　 　〃!　　　　　　 　　　　　/ 　 |__　　　　　　　　|
　　　 i　|_|」 _　 　 　 |　　　 ,厶-‐（　｀ ｰ-=ﾆ､　 　｜
　　　 |´「八{　　　　| |　,　´〃￣￣｀ヽ‐- ､ 　 ＼　 |
　　八| ,.ニ ミト ､ハ| j '-‐'　-‐＝　 　 ＼　＼, -‐ ､|
　　|　く(´ん心ヾ　　 .′　ｘｆ云心ミメ、　 ヽ / 　 _　＼
　　|　　 弋::ツ　　　 l　 　 ん:::::）:}　 )::> 　}/ 　/ 　 ｀　ヽ　　　　　「……こんなもので、良いの……かな？」
　 八　　　　 　 　 　 '.　　弋)つツ　'"　　,' }　/　　, -､ 　ヽ
　 　 ＼　　　　　 　 　 .　 　 ｀ﾟ゛　 　 　 /　しｊ 　 /´￣　, 　＼
　　 ト　＼　　　　　 ′ ＼　　　　　　 .ｲ　／ しノ　 ,-‐く　 　 |
　　 ﾄ､　　u.　　 　 　 　 　 ＞‐-= =-‐　´　　　｜_ﾉ＼　　 　├- 、
　　 |　＼　　　　　(::::)　　（＿＿__ . ＿　　　　　´　　　　　 　 |ﾆニ＼
　　 |　　 l丶.　　　　　　　　 　 .イ /　　 ｀ヽ　　　　　　　　　　|ﾆニ二＼
　　 ∨ハ| 　 丶　　　 　 　 ＜〃/　　　　 /｀¨广＾ヽ､ 　　　　|ﾆニニ二ヽ
　　　 ヽ.｜　　　 ｀ ｰ=≦　　|/ / 　 　 /l/`ヽ/ﾆﾆﾆﾆ}｀　　　├ニニニ二}



　　　　　┌────────────────────────┐
　　　　　│たまーに、ノートの隅に加えてしまう落書きや、　　　　　　　│
　　　　　│機械をいじる時に書くこともある、　　　　　　　　　　　　　　...│
　　　　　│簡単なデザイン絵を除けば、　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│ノエルにとって、純粋に絵画を描いたのは、　　　　　　　　 .│
　　　　　│彼女がまだ、目の前の少女ぐらいの頃以来でした。　　 　 │
　　　　　└────────────────────────┘


　　┌─────────────────┐
　　│ひさかたぶりのお絵かき……　　　　　　　│
　　│はたして、その出来映えはいかに？　　　│
　　└─────────────────┘


.

744： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:28:44 ID:YKRf1iWs00



┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃.._.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.....┃
┃　 ｀"ﾞ";':':';':.,.,_　　　　　　　　　　 _...:;;:''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;:.,..,;:;:;:,.,._,　...,,,..　　　　 ┃
┃　'"ﾞ''ﾞ"　　　　　　　　　　　　.,.,;:;゛:;:,.,.,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,......,,,,,;:;''"''':::..　　　　　　　　　　.┃
┃.,;:　_...　　　　　　.....,,,,,;:;'''"'''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....,,／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼　　　....┃
┃　　　　　 ,.,;:;:;:;:;'''""""""　　　　　　　　　　　　..,.,;:':';',,,..;:.;:;';:;';''""...|　　 ――おお〜〜っ！？ 　 　 |　　　...┃
┃　　.,;:,.'""　　　　,.,..,.;:';';':':':.':.:.　　　　　　　　　　　""'''''''::::;:;:;;,..,,.,.,　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／　　　 ..┃
┃"''''''""""""''"'";:;:;,.,＿,.　　　　　　　　　　　　　　.....,,,,__...,,;:;'''""''''::;;;;.......,,,,...;:;:;;''''"　　　　　　　　　..,:　　　　..┃
┃　　　　.,,.,;:;:;:;;:'""''''''''''''''""""　　　　.,:;:.:;:';';';';';'''''''"""'''""""　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::;　　　　　....┃
┃　　　　　;:,.,.,.,....__....,,__,...._......__.._._..,...._,,,.._....,,___.._....,,__,....,_,..,,_....,,__,,,..::::;;;;;;,,,.....　　ヾy　　　　.......　　　　　　　.....┃
┃,,,..,,.,.､､.,;:'''"""ヾｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　""'''''"'''" i:レ´..;,_..;;::..............__,　　　.....┃
┃　　　　　､ 丶　}:l,/ー´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´￣｀i:|　_/‐'　　　　　　　　　　....┃
┃　　　 　 ´￣＼|;{　　/ ,　　　　　　　　　　　　　　 ..　　　　　　　　　　　　　ｰ、　 {:レ'　　　　　　　　　　　　....┃
┃　　 　 　 _;>ｰ=}i|ー'￣_ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ...　　　｀￣ヽ.}:|,.-'￣　　　　　　　　　　.....┃
┃　 　 　 ､＼ 　 |!l='ー<_　　　　　　　　　　　　　　　 . ...　　　　　　　　　　　 　 　 !:i|　　　　　　　　　　　　　....┃
┃　　　　 ￣｀ｰ=|:;{　 l　 ,_　　　　　　　　^　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　　　　　　　　　　　...┃
┃　　　　　　　　}i!;|／￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .┃
┃　　　 　 　 　 |:;!il　　　　　　　　　.... ..　　　　　　　　　　　　 ／ヽ ＿ /ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .┃
┃　　　　　＾　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　..:::'l ::.:　.:.::＼　　　　　＾　　　　..,,;:.,..　　　　　...┃
┃　　...,,..,;:..　　　　　　　　　r‐､　 　 　 　 　 　 　　　　　 　 '"'"''"'　￣ "''"''"　　　　　　　　　　　　　　　　　....┃
┃　　　　　　　　　　　　　　｀"""　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


.

745： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:33:46 ID:YKRf1iWs00


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 : : : : : : : : : : |: : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 /.: .: .: .: : :/|.:|: : |＼| : : : : : : :
　　　　　　　　 　 　 　 　 ／:/ : : :| :_j厶|∧: :廴｣_,ﾊ/ 〉: : |
　　　 　 　 　 　 　 　 　 "⌒|.:.:|: .:|.:y=ミ|　丶|≠ミ. ∨ : |:.|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ∧.:|: .:|〈　ﾋ}　　　| ﾋ}　〉 |: : :|/
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 `|: .:ト ゝ /:/:'/:/:　　　'＾Ｙ:|
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |: .:ﾄ､　／)くヽ＼__ｕ..ノ人|　　　　 「ふ、普通にめっさうまい……
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |: .:｢｀7　∧ ', 　 | |/爪|　　　　　　 まるで写真をそのまま描いたようだよ〜！」
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |: .:| ∧　　| 　 　 ハ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .斗: :l〈ｉ∧　 |　　 /　 |― --ミ
　　　　　　　　　　　 　 　 ∠／|／ .>.-〉　',　 〈＼.√￣＼　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 /⌒ヽ　　／　 {　 ∧　 ∨ヽ 　　／´￣}
　　　　　　　　　　　　　| 　 　 ＼|　　 ∧/ ∧／　 ∧　　 　 _,/
　　　　　　　　　　　　　| 　 　 ／|　　　 ﾍ ／/ 　 / ∧　 　 __|
　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 /　 ∨ /　　 |　 　 　 /　}、　〃_|
　　　　 　 　 　 　 　 　 l 　 ,'　 　 ∨　 　 |/ 　 　/　　 l＼{Ｘｿ
　　　　　　　 　 　 　 　 |　/　　　　 ＼＿_|　 /／　　　 　 ∨





　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）　　　　　「何故か暗い色ばかりで、白黒チックなのは
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　気になるが……普通に大したモンだろ」
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　　 「ひょっとして、ノエルちゃんは
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,　　　　　絵の勉強もやってたりしたのか？」
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__



　　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　　 │まるで、写真を下敷きにして、　　　　　　　　　　　　　....│
　　　　　 │正確に模写したかのようなノエルの風景画は、　　 　 │
　　　　　 │好評というよりは、驚愕の出来でした。　　　　　　　　...│
　　　　　 └──────────────────────┘


.

746： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:39:10 ID:YKRf1iWs00

　　　 　 　 ＿＿＿＿＿
　　　　γ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　γ:::::::::::人::::人::人:::人::::::::ヽ
　 （:::::::::::／　　＼　　 ,＿＼:::::::）
　　＼:／　　 （ ●）　 （●） ＼ﾉ　　「こりゃあ大したもんだね……
　　　|ﾉ　∪　　　（__人__）　　　|　　　噂の天才少女とやらは、
　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　　 ／　　　絵も達者に描けるんだねぇ！」
　　　(　 ＼　／ ＿ノ　　 |　 |
　　　.＼　“　　／　 ＿＿|　 |
　　　　　＼ ／　 ＿＿＿ ／


　　　 ┌──────────────────────┐
　　　 │いつの間にか、見ず知らずだった人たちにまで　　......│
　　　 │広まっている評判と、何故かそれを、まるで　　　　 　 │
　　　 │自分たちのことのように誇る兵士たち。　　　　　　　.....│
　　　 └──────────────────────┘


　　　　　 　 　 　 ＿＿__
　　　　 　　 　 ／_ノ 　ヽ＼
　　　　 　 　／ （ ●）　（●）、
　　　　　 ／::::::::⌒（__人__）⌒＼　　　　　「カッカッカッ……どうだ、すげーだろ」
　　　　　 |　　 　　　|r┬-|　　　 |
　　　　　 ＼ 　 　 　 `ー'´　　／　　　　　「これが、ウチのノエルちゃんの実力だお！」
　　⊂⌒ヽ　〉　　　 　　　 ＜´/⌒つ
　　　 ＼　ヽ　 /　　 　 　 　 ヽ　/
　　　　　＼_,,ノ　　　　　　|､＿ノ

747： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:44:39 ID:YKRf1iWs00


　　　　　 ┌──────────────────┐
　　　　　 │彼らの行動原理は、他人をだしにした　　.....│
　　　　　 │経験などないノエルには、　　　　　　　　　　..│
　　　　　 │ちょっとよく分かりませんでした。　　　　　......│
　　　　　 └──────────────────┘


///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|　っ
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}　　っ
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ 二 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　　/// 　 ／　　　/　　/ /
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ　　　　　「……そ、そんなことは……ない、よ」
///////|ヽ　　　　　　u　　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {　　　　　　　「ボク、そのままでしか、描けないから……」
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉



　　　　 ┌────────────────────┐
　　　　 │だけど、そんな彼らの、好意的とも　　　　　　　.....│
　　　　 │とれる行為が、ちょっとだけ、嬉しくもあり。　　　..│
　　　　 └────────────────────┘

　　 ┌─────────────────────┐
　　 │でもやっぱり、とっても恥ずかしいのでした。　　 　 .│
　　 └─────────────────────┘


.

748： ◆HD5ItXoLGM：2019/02/07(木) 03:51:53 ID:YKRf1iWs00
4時前ぐらいになったので、今日はこの辺りで〜来週ぐらいにはやりたいですね

後、私事ですが、先日既婚者になりました
その関係で、引越しやらでバタバタしてたり、
自室にいる時間が減ったりで、去年夏から時間なかなか取れませんでした

最近は少し落ち着いてきたので、相変わらずのマイペースにはなるけども、
ぼちぼちやってけれたら良いなーって感じです
ではでは(^oヘ)

749：どこかの名無しさん：2019/02/09(土) 22:57:25 ID:ZVgKhDoo00
墓場おつ

750：どこかの名無しさん：2019/02/11(月) 18:11:23 ID:j5LNWBWI00
更新乙でした！

751： ◆HD5ItXoLGM：2019/03/26(火) 07:31:55 ID:Ty/Ctu6Y00
リアルの用事済ませてたら、大体一ヶ月ぐらい…？
まあ、今週のどっかで続きやります(^oヘ)

752： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/01(月) 03:05:34 ID:Nb3LEaTY00
今日の2:00か3時ぐらいかなーと、予定してたものの、
まだ仕事方面の会計処理が終わって無いので、明日か明後日に順延で(；・∀・)
まあ、リアルのイベントもある程度終わったので、少しはペース上がるかも…？

753：どこかの名無しさん：2019/04/02(火) 01:15:15 ID:FI24HyS600
報告乙です

754： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:28:22 ID:aF5Zdqu200
用事終わったので、ちょっとやります
多分キリのええとこまで
755： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:28:40 ID:aF5Zdqu200

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≦＞　＜≧
　　　　　　　　　　　　　　　　_　≦ ＝∨== ≧、
　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　:.:. :.:. ヽ、
　　　　　　　　　　　　/ :.:.　:.:.　:.:.　:.:.　 :.:.　:.:.　:.:. :.ヽ
　　　　　　　　　　　/:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　:.:.　 :.:.　:.:.　:.:. . ミx_
　　　　　　　　　　　:.:.　:.:.　:.:/ l:.:.　:.:.　:./ :.:.　:.:.　:.:. :.:
　　　　　　　　　　 l/l :.:. --/ーl ´l:.:. :.:./ヽ:./＿:.:. :.:.l:.: ﾄ
　　　　　　　　　　　 l:.　:.:./ |／|ヘlﾍ:.: l　|/ﾍ/ ﾘ :.: :l :.:l
　　　　　　　　　　　 ﾊ:.:/ヽ≡≡　　丶|　ミ≡ /:.: / :人
　　　　　　　　　　　 从ミ=-::::::::　　　　　:::::::: /:.:/:.:/:.:{
　　　　　　　　　　　　　ハ　　　　ゝ＿ｧ　　／イ:.:/ :.:从　　「ほぇ〜……お姉ちゃん、
　　　　　　　　　　　　 /ヘl＞ 、　　　　　　, /:.:イ :.: :.:ﾘ　　 とってもうまいお絵かきさんだったんだね……
　　　　　　　　　　　　　　　/ 三三三三三7ﾍ从　∨∧　　 とってもおどろいたよ〜！」
　　　　　　　　　　　　　　　三三三三三三ﾘ;＼
　　　　　　　　　　　　　　　|;;;;;y- ｭ-y-、;;;ヽ ;;;;;;＼
　　　　　　　　　　　　　　　l;;;;;;l　 ﾖ:::ﾄ　ﾘ;;;;;l＼ ;;;;; ＼
　　　　　　　　　　　　　　　.l／;=-l:::::ゝ,ｲ;;;/　 ＼ ;;;;;; ＼
　　　　　　　　　　　　　　　 l;;;;;;;;;;;l::::l;;;;;;;;l;l　　　　￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　 l;;;;;;;;/::::::ヽ;;;;;;;l




　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾍ ≧ヘ　|} ／ ＼　　　　　　　／＼
　　　　　　　　　　　　　　,, ''"´　ミ　　　　　ミ　ヽ ＼　　　 ／ 　／
　　　　　　　　　　　　 イ　 ／　　￣　￣-≧ﾍ 　ヽ ミ　　　＼／ ／>
　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾍ ﾄ　　　　 <／
　　　　　　　　　／　　　　/　/　　　　　　　　　　　　 ﾍ　　　　┌─┐
　　　　　　　　/　／　　,斗ー-　/　　　　l　 l　ﾍ　　　ﾊ　　　 .└─┘
　　　　　　　　 //　　　/　/　　/　　　　 l ーl-k　　　　 l
　　　　　　　l / /　/　/／|/ヽ/|　　　　/l　/l　　ヽ　　　l
　　　　　　　l/　l　　　/,ィf斤夊|/l　　/　|/- ヽ　 l　　　ﾘ
　　　　　　　　　l l　l /　 込ツ　　|　/ ィ示気 ﾘヽl　　 人
　　　　　　　　　ﾊ|ﾍl＼.　　 　 　 レ 　 乂iソ /　/　　/
　　　　　　　　　　ﾉ／ミ=-　　　、　　　 　　 /／　 ／
　　　　　　　　　　/ /ﾊﾍ　　　　　　　　　 _／イ/イ　　　「あっ、でもでもでも――」
　　　　　　　　 　ﾉ/ハ从/ヽ　´｀ ヽ　　 ,　イ/　/ l
　　　　　　　 　／ 三三三 ヽ`＿ -=≦/::≧　{　ﾊ
　　　　　　　　l　三三二二二三三二/二二＼ハ从
　　　　　　　　| 三三三三三二二二三三三三＼
　　　　　　　　l　三三三二二二三三三 _ 三 l三ﾍ


　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　 │ひとしきり騒ぐ大人たちをよそに、　　　　　　　　　　......│
　　　　 │少女は口を開けながら、ノエルの絵を　　　　　　　　　.│
　　　　 │まじまじと眺めたあと、ポツリとつぶやきました。　　.....│
　　　　 └──────────────────────┘


.

756： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:30:03 ID:aF5Zdqu200

　　　　　　＿＿ィﾍヽ　,イ￣ ㍉
　　 　 ／　　 　 ｀ヽ} Y　 イ＝ヽ
　　 ∠ ,ォ――-＿　＿＿ミ、　＼
　 　 イ　　／´/　/　/　 丶 ｀ ミヽヽ
　 ./　, - /　 /　　　　　　　　　　　 ヽ
　/ ｲ　 /i ／　　　　　　　　　　　　　 ヽ
ｲ'　,{　/　'　　 i　　　ｨ　　　　　　　　　　ヽ
　 / }ｲ　ｉ　　　|　　/.| ./|　　　,　　ﾉ .i　　 i
. /　{ i　.|　 | . |　./　|/ .| 　 ィ　 ィ　 |　　 l
/イ 7ﾍ ﾘ　 | .ｲ / 　 '　 |.／ |.／ | ./　 ｨ .|
'　 /　 >,i　 |/.|/　┃ 　 ' 　 .!'┃ |/ 　/ }/
　/-イヽ{　 {　, 　 ┃　　　　　┃ ! .／
　　　| ./|　 |ヽ、　 　 _　　　　　ノ /　　　　 「……この絵、なんだかとっても、さみしそう……
　　　|/ .| .∧　|ぅr-,、-r 、 ＜ｲ /
　　　 　 l/　 ヽl /｀" ム　 ヽ/ |/　　　　　　「ううん、さみしい絵、だよねー……」
　　　　　　　　 ｲ　　　　i
　　　　 　 　 　 |　　　　|
　　　　 　 　 　 |　　　　|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　----　、
　　　　　　＿＿ィﾍヽ　,イ￣ ㍉　　　　　　く　 ,. --- ､ ＼
　　 　 ／　　 　 ｀ヽ} Y　 イ＝ヽ　　　　　　　｀´　　　　＼ ＼
　　 ∠ ,ォ――-＿　＿＿ミ、　＼　　　　　　　　　　　　 }　 }
　 　 イ　　／´/　/　/　 丶 ｀ ミヽヽ　　　　　　 /｀ ー‐ '　 ﾉ
　 ./　, - /　 /　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 く__/｀¨¨¨¨´
　/ ｲ　 /i ／　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　i⌒ヽ
ｲ'　,{　/　'　　 i　　　ｨ　　　　　　　　　　ヽ　　　ー '
　 / }ｲ　ｉ　　　|　　/.| ./|　　　,　　ﾉ .i　　 i
. /　{ i　.|　 | . |　./　|/ .| 　 ィ　 ィ　 |　　 l
/イ 7ﾍ ﾘ　 | .ｲ / 　 '　 |.／ |.／ | ./　 ｨ .|
'　 /　 >,i　 |/.|/　￣￣ ' 　 .!'￣ |/ 　/ }/
　/-イヽ{　 {　, ＝≡≡　　≡≡ ! .／
　　　| ./|　 |ヽ、U 　 _　　　　　ノ /
　　　|/ .| .∧　|ぅr-,、-r 、 ＜ｲ /　　　　 「うーん、どこがさみしい、って言ってるんだろうなぁ……」
　　　 　 l/　 ヽl /｀" ム　 ヽ/ |/
　　　　　　　　 ｲ　　　　i
　　　　 　 　 　 |　　　　|
　　　　 　 　 　 |　　　　|

　　　┌───────────────────┐
　　　│ノエルという少女の本質をついた――　　　 　 │
　　　│かもしれない、ある種の残酷な評価を。　　 　 │
　　　└───────────────────┘

.

757： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:31:35 ID:aF5Zdqu200

　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／::.::.::.::.::／::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　::.::.::.::.::.::〃::.::.::.::.::.::.::.|::.::.::.::.::.::.::.::.::.:＼:.::.:＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /::.::.::.::.::.::.:{ｉ :.::.::.::.::.: /:.:|::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:ヽ::.:__ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　,′::./::.::.::.::.:: ::.::.::.::.::. ｉ::.::|::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.:∨/〉ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　::.::.:/:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::./|::.∧::.::.::.::.::.::.:ｉ.::.|::.::.::.::.| /::::.::.
　　　　　　　　 　 　 　 　 ｛::.:/: ::.::.::.::.::.::.::. |::.: /_:|:.:!_ノ::.. ::.::.::.::.|::人|::.::.::几::.::.::｝
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨::.:.::.::.::.::.::.:i::./|.::/￣∨´　∨::.::.::.::j/　 |::.:ｰﾄ│}}::/
　　　　　　　　　 　 　 　 ／::.::.::／::.::.::.::|/´∨　＿,　 　 |/| ::.::./　 _,|_/iﾉ　|.::./
　　　　　　 　 　 　 　 ∠::.:;.:ィ´ｉ::.::.::.::.::i::|　　〃 ⌒ﾞヾ　　 |.::.:/　ィ⌒ヾ　 /:; ′
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {::八ﾘ::.::.::.::.::i::|　 ｛{.　ん.ﾊ　 　 |／ 　 んﾊ }} /ｲ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ∨ :.::.::.::.::::.::..　 　 弋.::ｿ　　　　　　弋.:ｿ　　 j　　　 「えっ、さみしい？」
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /:: ｲ::.::.::.::.::.i::.＼　 ､､､　　 　 　 　 　 ､､､ ﾑｲ
　　　　　　　　　　　　　　　/／│::.::.::.::. |_ ⌒u 　　　　　　　′　　　　j::.ﾘ　　　　「うーん、そうかなぁ〜？ 私には、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::.::.::.::.::i:|人　　　　　　　 　 )　　 rー-'∨　　　　 ふつーに上手な絵にしか見えないんだけどなぁ……」
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ',::.::.::.::i:ﾄく ＼　　　　　　　′　　`ｧ‐-、＼
　　　　　　　　　　　　　　-‐=≠ﾆﾍ::.::.::.ﾘ//＼　丶､　　　　 　 . イ┬‐-ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　／////（＿_）∧::.::.:|/////≫┐｀:ｧz-＜// j|_/￣´　　　）
　　　　　　　　　 ／///////二ﾆ=-}::.::.:|/////人_j__厶く/////ﾘ厂￣　　 　 |ヽ


　　　　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　　　　│少女の子供らしいとも、らしくないともとれる、　　　..│
　　　　　　　　│つかみどころのない評価を受けて、　　　　　　　 　 .│
　　　　　　　　│他の人たちは首をかしげます。　　　　　　　　　　　 .│
　　　　　　　　└─────────────────────┘


　　　　 　 　 ＿＿＿＿＿
　　　　　γ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　γ:::::::::::人::::人::人:::人::::::::ヽ
　　 （:::::::::::／　　 ⌒　　 ⌒＼:::::::）
　　　＼:／　　　（ ●）　（ ●）ヽﾉ
　　　　 .l　 　 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　 　 ＼　　　　　 ) ⌒´ 　 ／　　　「ああ、そうだねぇ。ノエルちゃんと言ったっけ？
　　　　　／ ＿＿／)　　　　 ヽ　　　　 まだ若いのに大したモンじゃないか。
　　　　/　　-≠ｰ￣''}二＝=　∧　　　 これのどこが寂しい絵なんだい？」
　　　　| 　ヽ /　　　,/　　 ＿＿ｎ_
　　　 .|　　 / 　 /￣　　　ヽ＿＿/)
　　　　 } ＼＿／　 　 　 　 (⌒´ ノ
　　　　.i　　　　,,───　　'''─,,,,

758： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:34:17 ID:aF5Zdqu200

　　　　 ／￣￣＼
　　　／　　 _ノ　　＼
　　　|　 　 （ ●）（ー）
　　　|　 　 　 （__人__）
.　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　「まぁ、ほとんど黒しか使ってないし、
　　　 |　 　 　 ∩ ノ ⊃　　　 カラフルじゃないって意味では、
　　／ 　 　 .／　＿ノ　　　　 確かに少し寂しくはあるかな」
　 (.　 ＼ ／　.／_ノ │
　　＼　 "　／_＿_|　 |　　　　「どの道俺らにゃ絶対描けねぇ代物だとは思うけどよ」
.　　　 ＼／ ＿＿＿ /





　　　　 　＿＿＿
　　　　／　　 　　＼　　　　　 「でも、さすがにいきなしさみしー絵
　　 ／　 _ノ ''　'ー　＼　　　　呼ばわりはちょっとかわいそうだお」
　／　　（●）　 （●）　 ＼
　|　 　　　 （__人__）　 　　|　　「ガキの言うことだし、どーせ深い意味も
　＼ 　 　 　｀ ⌒´　　　／　　クソもミソもねーんだろうけど……」
　／　　　　　ー‐　　　　＼


　　　 ┌───────────────────┐
　　　 │大人たちは、集団で異論を挟むという、　　 　 │
　　　 │やや大人げないやり方で、　　　　　　　　　　　 │
　　　 │少女の感想を否定しようとしました。　　　　 　 │
　　　 └───────────────────┘

　　┌─────────────────────────┐
　　│けれども、それもいたしかたないことかもしれません。　　　　.│
　　│だって大人たちは、ノエルの描いた絵を、　　　　　　　　　　　 │
　　│本当に達者で出来の良いものだと感じたのですから。　　　　│
　　└─────────────────────────┘

.

759： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:36:11 ID:aF5Zdqu200

　　　　　　＿＿ィﾍヽ　,イ￣ ㍉
　　 　 ／　　 　 ｀ヽ} Y　 イ＝ヽ
　　 ∠ ,ォ――-＿　＿＿ミ、　＼
　 　 イ　　／´/　/　/　 丶 ｀ ミヽヽ
　 ./　, - /　 /　　　　　　　　　　　 ヽ
　/ ｲ　 /i ／　　　　　　　　　　　　　 ヽ
ｲ'　,{　/　'　　 i　　　ｨ　　　　　　　　　　ヽ
　 / }ｲ　ｉ　　　|　　/.| ./|　　　,　　ﾉ .i　　 i
. /　{ i　.|　 | . |　./　|/ .| 　 ィ　 ィ　 |　　 l
/イ 7ﾍ ﾘ　 | .ｲ / 　 '　 |.／ |.／ | ./　 ｨ .|
'　 /　 >,i　 |/.|/　￣￣ ' 　 .!'￣ |/ 　/ }/　　 「ん〜〜……そーなのかぁ……」
　/-イヽ{　 {　, ＝≡≡　　≡≡ ! .／
　　　| ./|　 |ヽ、　U　 _　　　　 ノ /　　　　　　「私、お姉ちゃんにわるいことを
　　　|/ .| .∧　|ぅr-,、-r 、 ＜ｲ /　　　　　　　 言っちゃったかなぁ？」
　　　 　 l/　 ヽl /｀" ム　 ヽ/ |/
　　　　　　　　 ｲ　　　　i
　　　　 　 　 　 |　　　　|
　　　　 　 　 　 |　　　　|




　 　　　　＿＿＿_　　　　　　　「ああ、そーだお。分かったら、
　　　　／_ノ 　 ヽ_＼　　　　　　 さっさとノエルちゃんに謝るこったお」
　　 ／（ ●）　（ ●）＼
　／ ::::::⌒（__人__）⌒:::::＼　　 「大丈夫だお、ノエルちゃんは……
　|　　　　　　 ￣　　　　　 |　　　多分優しいから、きっと許してくれるハズだお」
　＼ 　 　 　 　　 　　　 ／


　　　　　　┌────────────────────────┐
　　　　　　│大人たちにやんわりと否定されて、　　　　　　　　　　　　　 .│
　　　　　　│少女はあっさりと、自らの素直な意見をまげました。　　　...│
　　　　　　└────────────────────────┘

.

760： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:38:50 ID:aF5Zdqu200


　　　　　┌──────────────────────┐
　　　　　│年頃の少女らしい若干の無遠慮さと、　　　　　　　 　 .│
　　　　　│素直に反省できる割り切りのよさをあわせ持つ　　　 .│
　　　　　│少女は、ノエルにペコリと頭を下げました。　　　　　　 │
　　　　　└──────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　 ＿　 　_,
　　　　　　　　　　＿__,＞ Ｙ´'ー-､
　　　　　　　　＿>ｚ二_　＿__`ー≧＿_
　　　　　　　　＞┴'´￣｀ ‐-､￣ ７ ＜
　　 　 　 　 ／　　　　　　　 ヽ ｀Ｙ′之＞
　 　 　 　 /　 ,　　l、　、 ,　､ |　 ヽ　}<
　 　 　 　 ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸 |　　}ノ
.　　　　　　 l　r==　　 ==ｧ　 |　i 　l |　　　「……ゴメンなさい、お姉ちゃん！」
　　　　　　 j　弋ﾘ　　弋ﾉ lll/ / ,/ﾚ′
.　　　　　　　、＿r‐ｭ__　u<_ / /　　　　　 「私、ヘンなことを言っちゃったみたいだよー……」
.　 　 　 　 　 u j /Z〈 　,ﾆr‐=〈
.　　　　　　　　 ７　.ﾄ､ｧ'ﾟ/　　ハ
　　　　　 　 　 / 　 Ｌ.ｉﾟ/ 　 /　 |


　　┌─────────────────────┐
　　│みんなが言うものだから、　　　　　　　　　　　　　 　 │
　　│自分が言っちゃった、言ってしまったことは、　　 　 │
　　│きっと間違った、悪いことだと思った少女は、　　......│
　　│心から、ノエルに申し訳ないと思いました。　　　　....│
　　└─────────────────────┘

.

761： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:42:58 ID:aF5Zdqu200



　　　　　┌──────────────┐
　　　　　│ただひとり、ノエルだけが。　　 　 .│
　　　　　└──────────────┘



　　　　　　　　　　┌──────────────────────┐
　　　　　　　　　　│まだ年端もいかぬ少女に、　　　　　　　　　　　　　　　 .│
　　　　　　　　　　│真実を見抜かれ、見透かされ、打ち抜かれて。　　　 .│
　　　　　　　　　　└──────────────────────┘




　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 /　　　　 /　/　 ＼　　　　　　　　:::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 /　/　　　　 /|　　　　　　∧　　　ヽ　　　　　 　 :::::::::::
　　　　　　　　　　　 /　/　　　　 / :|　　　　　 /::::|　　　　';　　　 　 　 :::::::::::|
　　　 　 　 　 　 　 /　/　　　 　 　 :|　　　　 i/ :::::|　　　　:|　　 　 丶　 :::::::::|
　 　 　 　 　 　 　 ,′　　　:i 　 　 /:|　　 　 │:::::::|　　　　:|　　　　　 ヽ::::::::::|
　　　　　　　　　　ｉ　 :|　　 :|　　 /::::|　　 　 │ 　 |　　　　:|　　　　　　　::::::::|
　　　　　　　　　　|　 :|　　 :| ｉ　│　| i　　　i |　　 | |＼　　|　　　　　 　 ::::::::|
　　　　　　　　　　|　/|　　/| ｉ　│　| i　　　i |　＿| | 　＼│　　　　　　:::::::::|
　　　　　　　　　　| ::八ｉ　|八|　 {ｰ-|八＿__N´ __ | 厂 ｀ﾌｲ　　　 　 　 :::::::::|
　　　　　　　　　　| i:　　ｰﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　 :::,'| ::|　　　.「……別に、いい……よ」
　　　　　　　　　　|ハ::.　　 ｉ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　/　　　　 .:::/ |::/
　　　　　　　　　　|　　::. 　 iハ　　　　 　 　 　 　 　 　 /　/　　　　　::::i　j/　　　　「……本当のこと、だから……」
　　　　　　　　　 　 　 ヽ:: 　 i::::.　　　　 ,　　　　　　　/　ｲ　　　　　八｛
　　　　　　　　　　　　　 ∨　i::人　　　　　　　 　 　 /／│　　　　（　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　|::　ｉ::　:丶、　　 ‐-　 　 　 ／　|　　 　 厶-- ､
　　　　　　　　　　　　　　| i　　　::::j:::＞　、　　　 イ:::::／|　　　/⌒ヽ::::.::＼
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ|　　　:::∨ ＼::::厂::::::::: _／　│　　ハ＼/　:.::.::.:｀⌒＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　::/|　　　￣￣￣´ 　 　 | 　 /::.::.::.:ヽ　　　.::.::.::.::.:）
　　　　　　　　 　 　 　 　_人|　　::|八　　　　　 　_＿＿ノ|　i/　　　::.::}￣ﾉ⌒＞＜
　　　　　　　　　　　　／｛　八　 ::|　　ー─=ﾆ二　 　 　 |　|　　　..::.ノ'´⌒＼////＼


　　　　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　　　　 │無表情の仮面の下に、動揺と言う名のさざ波を、　　　　│
　　　　　　　 │静かに、だけど確実に、立たせていました――　　　　.....│
　　　　　　　 └───────────────────────┘


.

762： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:43:45 ID:aF5Zdqu200





　　　　 　 　 　 　　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●




.

763： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:43:59 ID:aF5Zdqu200
　　　　　　.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. . :, :.: . ;. :. :. :. . . . . 　 "''‐､_, ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
　 . .. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . 　 . . .　.　. : ::. ;,: , ;. :;.: ,;:, 　　"''.: 　.　.
　　　　　　　"';,. :.: .: .:.::.:. .　. ,'. :. :. .. :. :... :' . .. .　 : . :. . ."'';:,.; : .: .:. .: .:. . .:; .,: . ,: '　　　 .: .:,.;:'　　.
　. :. : .:..::::::.: :.　　. :.: . .. .. . :. :.: .. . .　"'';:,..　　.　. . . "ﾞ‐ : :. :. . . . : .: .: :　 :. :. :. :. :.:. : .: . . :. :.. . . . .
　　　`　,,,. ,.,　' ,. . :. .: .　　　. . :.: ... 　　: .: .. . . ."';,_,　　.　　.　　. : . :. . ,.,.,... . . : ..　 　 　 :. :.:. :.
'""''''';:;:;,., ::,.　.:: -‐-　 :. ...::: ..::..　::...':::::......"""''''''"""''''　　 :. .. .　　: . :. .. :..:.:..:::.: .: .:.::.:. .　. .: .: .: . ..
::::::::.....: .. : ,r'´.　　 　 ｀ヽ: .. ......:..:.:::::::::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. .　　: .:. :. .. . :, :.: . ;.::.., . . . .: .: .: . .. . . .: .:
:::::::.:: .: ..: :'　..:.　　　　 　 ﾞ;:::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. .　　: . :. .. :..:.:..::::::::::::.., . . . .: .: .: . ..　　　　...::::::
::::::::::::.: ..: :.　::..　　　　　　 .: .: .. :　　;,　.: .. .　 ...: ::: .. .::::. : :: :::::... ..... :. :.: .:. . . :. . . :.. : . . .: .:. :. .. :. :.: .
::::::.......: ..: :ヽ　::::...　.....　,.': :.. :. :......:::::::..:.: :.: ::.';:,:,.: :,,; , ,; ;'...:..:. :. ....　. :;,; ,;.:. .,:; ;,:;; .:. , ,,...: .:. :. .. :.


　　　 ┌────────────────┐
　　　 │――その夜、ノエルは珍しく、　　　　　..│
　　　 │なかなか寝付けられませんでした　　....│
　　　 └────────────────┘


.

764： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:44:31 ID:aF5Zdqu200


　　　┌─────────────────────┐
　　　│夜想うは当然、少女のこと。　　　　　　　　　　　　......│
　　　│おそらく、この基地にいる人たちや、　　　　　　　　 .│
　　　│まわりの人たちよりも、誰よりも、　　　　　　　　　......│
　　　│ノエルの本質に近づいたあの子のことです。　　 　 │
　　　└─────────────────────┘


　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　 　 　 /　　　/　　　　　　　.:/　　　 　 　 ＼　　 ヽ
.　　 　 　 /　　　/　　　　　　　.:/::/　　　　　　　 ヽ
　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　 　 jﾊ　　ハ
　　　　　　 　 :/　　　　　　　　　　/　　　 　 　 　 ｉ |　　　:i
　 　 　 ｛　/ :;′　 　 　 　 /　　 /　　/}　 　 /　/| |　 |　 |
　　　　　V　.:{: 　　　 　 　 i　　 /　　/ﾒ　　 /|: /⌒|　 |　 |
　　　　　八 .::.　　　　　 　 |　イｉ|: ／/＿__/i_j厶:/厶イ　│
　　　　　{:ハ::ﾊ　　　 　 　 |/斗七=ﾐ　　　　 ﾋﾂﾉ/ .:i:ﾉ　 ﾘ　　(……あの子……
.　　　　　　　':∧:::｛　　　!八ヽ弋)ｿ　　　　 　 　 　 ::|: |: /　　 一体、なんだったんだろう？)
.　　　　 　 　 j:ハ :::.　　 |丶:＼　　 　 　 　 '　　 '　 :|/|/
　　　　　　　/⌒ﾍ　|)、　 　::l⌒　u.　　 _　　　 厶ｲ::|　　　　　(ただの当てずっぽう……
.　　　／⌒ﾌ　　　ヽ|ハ:.　　::ﾄ　　　 　 ´　　 イ　　!::|　　　　　だったら、いいけど……)
　　 /　 ´￣￣￣＼!　 :. 　 ::|　＞　 _..､＜　|::i::　:八|
.　 /　　 ／::::￣｀丶＼∧　　|`ー┴'⌒｝　ヽ|::i::　l
　/　 ／＼::::::::::::::::::＼ヽﾍ　│　　　　人　　)人:│


　　　 ┌───────────────────────┐
　　　 │たとえ偶然でも、悪意をまとった故意による　　　　　　　 │
　　　 │必然だったとしても、ノエルが、無表情と　　　　　　　　.....│
　　　 │無感情の仮面の下に隠していた……つもりの、　　　 　 │
　　　 │彼女自身もあまり見たくない、認めたくない本当の　　.....│
　　　 │ところを、見られてしまったコトは確かでした。　　　　 　 .│
　　　 └───────────────────────┘

.

765： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:48:07 ID:aF5Zdqu200



　　　　　┌──────────────────────────┐
　　　　　│ノエルは、勉強をいっぱいしてきましたが、　　　　　　　　　　　　.│
　　　　　│その中に、絵の勉強は特に含まれてはいませんでした。　　　　│
　　　　　└──────────────────────────┘


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃　 ｀"ﾞ";':':';':.,.,_　　　　　　　　　　 _...:;;:''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;:.,..,;:;:;:,.,._,　...,,,..　　　　 ┃
┃　'"ﾞ''ﾞ"　　　　　　　　　　　　.,.,;:;゛:;:,.,.,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,......,,,,,;:;''"''':::..　　　　　　　　　　.┃
┃.,;:　_...　　　　　　.....,,,,,;:;'''"'''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....,,_,,,...;:;::''""''''"　　　　　　　　　　　　　　　 .┃
┃　　　　　 ,.,;:;:;:;:;'''""""""　　　　　　　　　　　　..,.,;:':';',,,..;:.;:;';:;';''""　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...┃
┃　　.,;:,.'""　　　　,.,..,.;:';';':':':.':.:.　　　　　　　　　　　""'''''''::::;:;:;;,..,,.,.,　　　　　　　　　_,,...;:;:;;:'''""'''';:;;:,.,.,...　　　　.┃
┃"''''''""""""''"'";:;:;,.,＿,.　　　　　　　　　　　　　　.....,,,,__...,,;:;'''""''''::;;;;.......,,,,...;:;:;;''''"　　　　　　　　　..,:　　　　..┃
┃　　　　.,,.,;:;:;:;;:'""''''''''''''''""""　　　　.,:;:.:;:';';';';';'''''''"""'''""""　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::;　　　　　....┃
┃　　　　　;:,.,.,.,....__....,,__,...._......__.._._..,...._,,,.._....,,___.._....,,__,....,_,..,,_....,,__,,,..::::;;;;;;,,,.....　　ヾy　　　　.......　　　　　　　.....┃
┃,,,..,,.,.､､.,;:'''"""ヾｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　""'''''"'''" i:レ´..;,_..;;::..............__,　　　.....┃
┃　　　　　､ 丶　}:l,/ー´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´￣｀i:|　_/‐'　　　　　　　　　　....┃
┃　　　 　 ´￣＼|;{　　/ ,　　　　　　　　　　　　　　 ..　　　　　　　　　　　　　ｰ、　 {:レ'　　　　　　　　　　　　....┃
┃　　 　 　 _;>ｰ=}i|ー'￣_ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ...　　　｀￣ヽ.}:|,.-'￣　　　　　　　　　　.....┃
┃　 　 　 ､＼ 　 |!l='ー<_　　　　　　　　　　　　　　　 . ...　　　　　　　　　　　 　 　 !:i|　　　　　　　　　　　　　....┃
┃　　　　 ￣｀ｰ=|:;{　 l　 ,_　　　　　　　　^　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　　　　　　　　　　　...┃
┃　　　　　　　　}i!;|／￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 .┃
┃　　　 　 　 　 |:;!il　　　　　　　　　.... ..　　　　　　　　　　　　 ／ヽ ＿ /ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .┃
┃　　　　　＾　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　..:::'l ::.:　.:.::＼　　　　　＾　　　　..,,;:.,..　　　　　...┃
┃　　...,,..,;:..　　　　　　　　　r‐､　 　 　 　 　 　 　　　　 　 　 '"'"''"'　￣ "''"''"　　　　　　　　　　　　　　　　......┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


　　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　　│ノエルは今までしてきたたくさんの勉強の中に、　　　　　　 　 │
　　　　　│「製図」や「設計」、あるいは「測量」などは　　　　　　　　　　.....│
　　　　　│あっても、「お絵かき」なんて代物はありませんでした。　　　...│
　　　　　└─────────────────────────┘


.

766： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:48:20 ID:aF5Zdqu200



　　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　　 │ノエルが、まるで写真をそのまま転写したかの様な　 　 │
　　　　　 │正確な風景画を描けた理由は、主に二つ。　　　　　　　 │
　　　　　 └───────────────────────┘


　　 　〃!　　　　　　 　　　　　/ 　 |__　　　　　　　　|
　　　 i　|_|」 _　 　 　 |　　　 ,厶-‐（　｀ ｰ-=ﾆ､　 　｜
　　　 |´「八{　　　　| |　,　´〃￣￣｀ヽ‐- ､ 　 ＼　 |
　　八| ,.ニ ミト ､ハ| j '-‐'　-‐＝　 　 ＼　＼, -‐ ､|
　　|　く(´ん心ヾ　　 .′　ｘｆ云心ミメ、　 ヽ / 　 _　＼
　　|　　 弋::ツ　　　 l　 　 ん:::::）:}　 )::> 　}/ 　/ 　 ｀　ヽ　　　　　 「……見たまんま、なら描けるけど……」
　 八　　　　 　 　 　 '.　　弋)つツ　'"　　,' }　/　　, -､ 　ヽ
　 　 ＼　　　　　 　 　 .　 　 ｀ﾟ゛　 　 　 /　しｊ 　 /´￣　, 　＼
　　 ト　＼　　　　　 ′ ＼　　　　　　 .ｲ　／ しノ　 ,-‐く　 　 |　　　　　　　 .┌───────────────────────┐
　　 ﾄ､　　　　　 　 　 　 　 ＞‐-= =-‐　´　　　｜_ﾉ＼　　 　├- 、　　　　　│一つは、ノエルの記憶力が、他の能力と比べても、　 　 │
　　 |　＼　　　　　(::::)　　（＿＿__ . ＿　　　　　´　　　　　 　 |ﾆニ＼　　　　│ひときわ高く、優れていること。　　　　　　　　　　　　　 　 │
　　 |　　 l丶.　　　　　　　　 　 .イ /　　 ｀ヽ　　　　　　　　　　|ﾆニ二＼　　 └───────────────────────┘
　　 ∨ハ| 　 丶　　　 　 　 ＜〃/　　　　 /｀¨广＾ヽ､ 　　　　|ﾆニニ二ヽ
　　　 ヽ.｜　　　 ｀ ｰ=≦　　|/ / 　 　 /l/`ヽ/ﾆﾆﾆﾆ}｀　　　├ニニニ二}

　　　　　　　　　　　　　　　 ┌─────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　 │一度見た風景、光景、あるいは場面ならば、　　　 .│
　　　　　　　　　　　　　　　 │僅かな差異まで含めて、ノエルの果てもない　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　 │かもしれない頭脳に蓄積されていきます。　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　 └─────────────────────┘


　　　　　　　　 ┌────────────────────┐
　　　　　　　　 │それらを取り出すことも、彼女にとっては、　　　 .│
　　　　　　　　 │ごく当たり前の、簡単な作業です。　　　　　　　　 │
　　　　　　　　 └────────────────────┘


.

767： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:50:21 ID:aF5Zdqu200



　　　　　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　　　　　│そしてもう一つは、記憶力ほどすぐれてはいませんが、　　　 │
　　　　　　　　│ノエルの手先は、かなり器用な部類に属することです。　　　..│
　　　　　　　　└─────────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　ｒュ_／　　o　　|＿＿＿＿／ｏ　　　Ｏ＼＿＿＿
　　　 ┌─''´￣　＿r─────────────┐ 　 ＿|
　　　　＼_[□]　/ : : （（〔0＼:: :: :: :: :: :: :: :: _lﾆl_　rｚｚｚｚ |　　|
　　　　　　 Ｌ三」 r七 "￣＞､ rrvrr会今Ml!韮|l.」|ﾖＺＺＺ|＿_| ﾊ-ﾍ　　 ∧-ﾍﾍ
　　　　　　√ r三|Ｅ| : : f　 f彡彡|五五互 j l l ||ｌ :|ﾖＺＺＺ|―〈 い巳=ﾍﾊ　Y=N=ﾍ
　　 　 ┌ｉ　　ｆ三|Ｅ| : : |　 |彡彡ll伍伍l目 |l ll l||| .|ﾖＺＺＺ|　　| | 〕己l　| |　l|己|彡ｖーr-----､
　 　 　 { {　　{三|Ｅ{ : : {　 {彡彡{{王王|目 |l ll l||| :|ﾖＺＺＺ｝ 　 l l 〕己|　} }　l|己|彡1　 }　　　　}
　　 　 └ｉ　　ｔ三|Ｅ| : : |　 |彡彡ll玉玉l目 |l ll l||| :|ﾖＺＺＺ|　　j | 〕弓l　| |　l|弓|彡ﾒｰ┴── '
　　　　　 ﾞｔ.＿ｔ三|Ｅ| : : ｔ　 t彡彡|玉玉尽 l l l j|ｌ :|ﾖＺＺＺ|―〈_ ﾘ元ﾉ=ｽﾉ ﾘ弓ハ==ﾍ
　　　　　　　,-―ｘ`'‐更__ ＞kＸＺ米爿爿>＾|韭|「 ljﾖｚｚK〈 [Ｏ]〈Ｋ´　　 ∨-Ｖ　.:ﾊミ ミ､
　　　 / ￣/ｘ＼7ﾍ─z──ドミド||ドミミト‐┴┴―iドミミｉ〈￣｀N公､　 　 　 |　 .:::|ミ ミ|Eﾄ-、
　　　ｌ: : : :|＼＼|　　 i　:　　ドミド||ドミミ|l : : : : : : : :|ドミミｌ| : : :| |己|￣￣￣￣ﾊ :|ミ ミ|E| | i
　　　ｌ: : : :|＼＼|　　 l　:　　ドミド||ドミミ|l : : : : : : : :|ドミミｌ| : : :| |弓|　:　: : : : : :ﾉ..|ミ ミ|E| l j
　　　 N＿l|`､＼t._,r‐＾――ドミド||ドミミ|r―――‐jドミミｌｊ＿_,ﾑ倪ﾉ￣￣￣|￣.:.:jミ ミｊEj-'''
　　　 |￣　＼＼ゝﾉ::: ::: ::: ::::ドミド||ドミﾐﾘ :: :: :: :: :: ゜ーー|￣￣ |　　　 　 　 |　..::jミ ミ;!
　　　 `!　　 |￣￣ :　:　:　:　:`ｰ`ｰ^ｰ`-''　:　:　:　:　:　:　: |　 |￣　　　　　　　ゝ::ﾉ￢ヲ
　　　　|　o　ゝ―――一⌒ー―――一⌒ー―一⌒ー‐'　└─┐
　　　 └─―┐ o 　 　 ○　 　 　 　 　 ○　 　 　 ◎　　　ｏ　＿_|
　　　 　 　 　 │　 　 　 　 　 ┌────､＿＿＿＿/⌒ー´
　　　 　 　 　 └─────┘



　　　　　　　┌──────────────────────────┐
　　　　　　　│彼女が武器や兵器の整備を平然とこなせるのは、　　　　　　　 │
　　　　　　　│決して頭でっかちな知識だけによるものではありません。　　......│
　　　　　　　└──────────────────────────┘


.

768： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:52:23 ID:aF5Zdqu200



　　　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　　　│ある種の異常な記憶力と、優れた小手先の技術。　　　　 　 .│
　　　　　　│ノエルのきわめて写実的な絵図が生まれた源であり。　　　　│
　　　　　　└─────────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ..::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::＼::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..::::::::::::　:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 :::::::::::::　::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:: |　i
　　　　　　　　　　　　　　|　　　 :::::::::::::　:::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::/ ::: |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::/　::::::::::::::::::::|/: ／|::::::::j::::::::::::::::: /:|::::: |　|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::/　 .::::::::::::::::::::|: /ノ|　::/|::::::::::::/:/　|:::::ｉ|　j
　　　　　　　　　　　　　　　∨:｝　:/　..:::::::::::::::::::::::爪＾ｱ尓ミ Ｌ:::::::/l/＼ﾚ::::ﾘ /
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨:::/　.::::::::::::::::::::::::::|　 弋(ソ　　　　 y≦ｧ从/i/
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 厶:∧　 :::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　ﾋ(ﾝ,:'::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 j人::ヽ　 :::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 、　 .::::/ /　　　　 (……「寂しい絵」……だよね、やっぱり)
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _｝:::',　 :::::::::::::::::::|　u 　　　　 　 　 /:::/ /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 __厂V__:∧　::::::::::::::i:::|　　　　　　　　 ..::::/ /　　　　　　(だって、ボクが描かなくたって、写真か、
　　　　　　　　　　　 　 ／　/　　 : : : :Vﾍ ::::::::::i:::|、　　　 ´' .イ:::::::／　　　　　　　 風景をそのまま見れば、良いんだから……)
　　　　　　　　　　　　/　ｰ┴　　_: : : : : : ＼::::::i:::|/＞: :-＜｝::::::/|/
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　｀: :ー-: : :＼i:::|＼_人/⌒|::::∧|
　　　　　　　　　 〃　　 　 　 　 : : : : : : : : :＼: ヽ|: : : : : ）: :j／: :｝
　　　　　　　　 r┴─―＜　　. : : : : : : : : : : : 丶、: ＿八: : : : : :j
　　　　　　　　厶＿＿__／｀⌒丶、_: : : : : : : : : : : : : : : : :＼ : : ,′
　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　 　 ｀⌒丶、: : : : /￣￣＼/ヽ∧　　　　　　　　　　　　 _
. 　 　 　 　 /　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　ー‐/　　 　 　 ＼}　|　　　 　 　 　 　 　 ／/
　　　　 　 ,′　　　　　　　ヽ　　　　　　　　| 　 /　　　　　　　　￣/`ー────'7´　/
　　　　　 ｛　　　　　　　　　　　 　 ＿＿＿｣._ /　　　　　　　　　 /　　　　　　　　/ 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　 }　 / ハ, 　 　 /　　　　　　　　　 /　　　　　　　　/ 　 /


　　　　 ┌─────────────────────┐
　　　　 │同時に、ノエルに悲しい自虐をさせてしまう、　　 　 │
　　　　 │切ない理由でもあるのです。　　　　　　　　　　　　.....│
　　　　 └─────────────────────┘

.

769： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:54:53 ID:aF5Zdqu200



　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　｀￣｀丶、
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 _　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　_　　　　　 ｀＼　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　/　　　　　　　　 ヽ　　　　　　'、
　　 　 　 　 　 　 /　/　 　 ｛ 　 |＼　　　　　　　ヽ　 i
　　　　　　　　　 ′　 　 　,'|　　|　 ヽ＼│　　　 :|　 |
　 　 　 　 　 　 /　　 　 | / |l　 i|　七ト-│　}　　:|　,′
　　　　　　　　/ｲ　　|　 N-八__ﾘ　 '弋氿|　/　　 i /
　　　　　　　　　| l 　|ﾊ_|{代心　　　　　　|　　 　 八　　　　　　 「……はぁ……」
　　　　　　　　　|八　　 i＼｀´　　,　　u.　ﾚ|　　:/⌒
　　　　　　　　　∨ ' 、　　 ヽ　　　､-，　　|　　厂＾＞
.　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　 个ト　　..__　イ|　 ∧_/
　　　　　　　　 　 (⌒'彡' 　　|'Ｖ⌒ハ　 ／|　ん'　>‐ ､
　　　　　　　　 (⌒　 ｀)|人　 |人　　┴〈　 ∨ﾑイ　　　ヽ
　　 　 　 　 　　`ｰ〜′ .∧│　　　　_人　|::::::::|　　　　 '.
　　　　　　　　　　　　　 /　Vﾄ､　　　　／∨ ::::::|　　　　　'.


　　　 ┌─────────────────────────┐
　　　 │ノエルは、年端に似合わぬ深いため息をつきながら、　　 　 .│
　　　 │自らが描いた絵を、じっと見すえました。　　　　　　　　　　 　 .│
　　　 └─────────────────────────┘


.

770： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:56:04 ID:aF5Zdqu200



　　　　　　　┌──────────────────┐
　　　　　　　│我ながら、とても写実的で、技術的で。　　　│
　　　　　　　└──────────────────┘


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃　 ｀"ﾞ";':':';':.,.,_　　　　　　　　　　 _...:;;:''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.;:.,..,;:;:;:,.,._,　...,,,..　　　　 ┃
┃　'"ﾞ''ﾞ"　　　　　　　　　　　　.,.,;:;゛:;:,.,.,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,......,,,,,;:;''"''':::..　　　　　　　　　　.┃
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┃,,,..,,.,.､､.,;:'''"""ヾｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　""'''''"'''" i:レ´..;,_..;;::..............__,　　　.....┃
┃　　　　　､ 丶　}:l,/ー´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´￣｀i:|　_/‐'　　　　　　　　　　....┃
┃　　　 　 ´￣＼|;{　　/ ,　　　　　　　　　　　　　　 ..　　　　　　　　　　　　　ｰ、　 {:レ'　　　　　　　　　　　　....┃
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┃　 　 　 ､＼ 　 |!l='ー<_　　　　　　　　　　　　　　　 . ...　　　　　　　　　　　 　 　 !:i|　　　　　　　　　　　　　....┃
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┃　　...,,..,;:..　　　　　　　　　r‐､　 　 　 　 　 　 　　　　 　 　 '"'"''"'　￣ "''"''"　　　　　　　　　　　　　　　　......┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　 │そして、無感情な絵が、そこにはあって。　 　 .│
　　　　 └───────────────────┘


.

771： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:57:03 ID:aF5Zdqu200



　　　　　　　　┌───────────────┐
　　　　　　　　│ふいにノエルは、自らの絵を、　　......│
　　　　　　　　│自らの手で、引き裂きました。　　　...│
　　　　　　　　└───────────────┘



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 「l「l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾄｲ　 ｨﾚｧl」l」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | |／／
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━.| ／　,ｨァ.━━━━━━━━━━━━━┓
┃　 ｀"ﾞ";':':';':.,.,_　　　　　　　　　　 _...:;;:''"　　　　　　　　　　　　　| | ／／　./7 /7　...,.;:.,..,;:;:;:,.,._,　...,,,..　　　　 ┃
┃　'"ﾞ''ﾞ"　　　　　　　　　　　.,,,,＿_,.:;:,.,.,_　　　 　 　 　 　 　 　 　 レ／ 　　// //.,,,,,;:;''"''':::..　　　　　　　　　　.┃
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┃　　.,;:,.'""　　　　,.,..,.;:';';':':':.':.:.　　　　　 　 　 ｀''ｰ ,,、　て..、.;;,..,,.,.,　 　 　 　 　 ﾛﾛ/７.;:;:;;:'''""'''';:;;:,.,.,...　　　　.┃
┃"''''''""""""''"'";:;:;,.,＿,.　　　　　　　　　　　　　　.....ﾞﾞ'ｰ ､,｀'ｰ..、'''::;;;;.......,,,,...;:;:;;'.く／　　　　　　　　..,:　　　　..┃
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┃　　　　　;:,.,.,.,....__....,,__,...._......__.._._..,...._,,,.._....,,___.._....,,__,....,_,..,,_....,,__.｀'ｰ..,ﾞ'-､,....　　ヾy　　　　.......　　　　　　　.....┃
┃,,,..,,.,.､､.,;:'''"""ヾｲ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀''-､ ＼'" i:レ´..;,_..;;::..............__,　　　.....┃
┃　　　　　､ 丶　}:l,/ー´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 .｀'-､＼､ _/‐'　　　　　　　　　　....┃
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┃　　 　 　 _;>ｰ=}i|ー'￣_ﾉ　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ...　　　｀￣ヽ.}:|,..｀'-､ﾞ'-、　　　　　　　 .....┃
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


.

772： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 02:57:56 ID:aF5Zdqu200



　　　 ┌────────────────┐
　　　 │無表情の仮面を、顔に被って。　　　　..│
　　　 │無感情の仮面を、心に被せて。　　　　.│
　　　 └────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 /　　　　 /　/　 ＼　　　　　　　　:::::::ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 /　/　　　　 /|　　　　　　∧　　　ヽ　　　　　 　 :::::::::::
　　　　　　　　　　　 /　/　　　　 / :|　　　　　 /::::|　　　　';　　　 　 　 :::::::::::|
　　　 　 　 　 　 　 /　/　　　 　 　 :|　　　　 i/ :::::|　　　　:|　　 　 丶　 :::::::::|
　 　 　 　 　 　 　 ,′　　　:i 　 　 /:|　　 　 │:::::::|　　　　:|　　　　　 ヽ::::::::::|
　　　　　　　　　　ｉ　 :|　　 :|　　 /::::|　　 　 │ 　 |　　　　:|　　　　　　　::::::::|
　　　　　　　　　　|　 :|　　 :| ｉ　│　| i　　　i |　　 | |＼　　|　　　　　 　 ::::::::|
　　　　　　　　　　|　/|　　/| ｉ　│　| i　　　i |　＿| | 　＼│　　　　　　:::::::::|
　　　　　　　　　　| ::八ｉ　|八|　 {ｰ-|八＿__N´ __ | 厂 ｀ﾌｲ　　　 　 　 :::::::::|
　　　　　　　　　　| i:　　ｰﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　 :::,'| ::|
　　　　　　　　　　|ハ::.　　 ｉ:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　/　　　　 .:::/ |::/　　　 「……こんなもの、下らないや……」
　　　　　　　　　　|　　::. 　 iハ　　　　 　 　 　 　 　 　 /　/　　　　　::::i　j/
　　　　　　　　　 　 　 ヽ:: 　 i::::.　　　　 ,　　　　　　　/　ｲ　　　　　八｛　　　　　　「……まるで、ボクみたいだし……」
　　　　　　　　　　　　　 ∨　i::人　　　　　　　 　 　 /／│　　　　（　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　|::　ｉ::　:丶、　　 ‐-　 　 　 ／　|　　 　 厶-- ､
　　　　　　　　　　　　　　| i　　　::::j:::＞　、　　　 イ:::::／|　　　/⌒ヽ::::.::＼
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ|　　　:::∨ ＼::::厂::::::::: _／　│　　ハ＼/　:.::.::.:｀⌒＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　::/|　　　￣￣￣´ 　 　 | 　 /::.::.::.:ヽ　　　.::.::.::.::.:）
　　　　　　　　 　 　 　 　_人|　　::|八　　　　　 　_＿＿ノ|　i/　　　::.::}￣ﾉ⌒＞＜
　　　　　　　　　　　　／｛　八　 ::|　　ー─=ﾆ二　 　 　 |　|　　　..::.ノ'´⌒＼////＼


　　　　　┌─────────────────┐
　　　　　│ノエルの無情な視線は、あてもなく、　　....│
　　　　　│何もない宙の中を、しばらく間、　　　　　...│
　　　　　│さまよっていました――　　　　　　　　　......│
　　　　　└─────────────────┘



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　……　… ────────────── …　……
　　　　 …　　─　──　─── ──────────────── ───　──　　─…
・　　━　　━━　━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━　━━　　━　　・

773： ◆HD5ItXoLGM：2019/04/02(火) 03:00:45 ID:aF5Zdqu200
キリが良いので、この辺りで終わり
今年中に埋めるぐらいを目標に、
少しずつでも確実に進めてこうかなーとは思います

とりま今日は、もうちょいコマ貼り貼り作業してからおやすみです
ではでは〜

774：どこかの名無しさん：2019/04/07(日) 09:56:01 ID:JcBJnYHc00
乙。そして結婚おめ。

ちょいちょい原作のネタとセリフを被せてくる所が
ソラノヲト愛が伝わってくる。

775： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/10(月) 02:05:50 ID:6POh6XcY00
GW挟んだとは言え、何やかんやで2ヶ月ぐらい経ってるんだなーと…
火曜日ぐらいにちょっと続きやります、よろです

776： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 01:46:36 ID:1GJZMUf.00
ちょっと、1時間後ぐらいに、
やる事済ませてからやります

777： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 02:53:36 ID:1GJZMUf.00











　　　　 　 　 　 　　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●






　　　　　┌────────────────┐
　　　　　│それからそれから、次の日から。　　.....│
　　　　　└────────────────┘




ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆi
　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　,　''￣,r''"´⌒｀"'ヽ、
[] [] [] [] [] [] [] [] [] [|__　　　　　　　　　 r'´　　r'´_____　＿＿_ ヽ
ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ;ﾆ].................................|￣￣:|: 　 　┌─┐　 |
,','| | |,',',',',',',',',','| | |,',',','|卅卅卅卅卅卅卅卅卅ij|:　　　 |　:i:. |　　.|卅卅
┌´￣`┐´￣`┐￣￣´´゜゜'""''´｀''""''´´゜゜'""''￣￣￣￣￣￣´｀''""'"
　｀´　｀´ ｀´　｀´

778： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 02:54:15 ID:1GJZMUf.00





　　　　┌────────────────────────┐
　　　　│もともと、よく遊びにきていた(らしい)少女でしたが、　　 　 .│
　　　　│彼女の行動が、少しだけ変わりました。　　　　　　　　　 　 .│
　　　　└────────────────────────┘


　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　　,ｲ　　　　　,ｲ
　　　　　　　　　/ム―７　 /ム―７　 /ム―７
　　　　　　　　.//ニ７/.　.//ニ７/.　.//ニ７/
　　　　　　　　/'￣７/ 　 /'￣７/ 　 /'￣７/
　　　　　　　　　　//　 　 　 .//　 　 　 .//　,ｲ,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　 /'　　　　　/'　　　 　 ./' 　 ﾚﾚ //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/'


　　　　　 ､-ー'｀Ｙ ＜,__＿
　　_＿≦ー`__＿　_二ｚ<＿
　　 ＞ ７ ￣､-‐ ´￣｀'┴＜
　＜之′Ｙ´／ 　　　　　　　＼
　　 >{　 ,' 　| ､　,　,.　 ,.l　　, 　ﾞｉ　　　　　 「――おねーちゃん〜」
＝　|　!､{　　| 寸寸T　ハT７} ｨ,ｌ
　　 ′Ｊｉ, ﾞｉ ﾞｉ （ ●）　 （●）|ハ|　　　　　 「ノエルおねえちゃ〜ん〜〜どこ〜？」
　　　　i⌒ヽ'(1. ''' 　＿'　 ''' ﾉ川／⌒)
.　＝ 　ヽ 　ヽx＞､（_.ノ__,イ ｌ |::::ヽ／
　　　　 ∧　人lﾊ:::::l,三|:::/ｌ|　,:::::ﾊ

779： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 02:55:03 ID:1GJZMUf.00
///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ 二 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　 　 　 　 ／　　　/　　/ /　　　 「……誰？」
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ
///////|ヽ　　　　　　 　　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {　　　　　 「さっきから、うるさいなぁ……」
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼　　　　f´￣￣｀ヽ
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_　　　|　…ﾇｯ　|
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼　廴＿＿ ノ
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉






　　　　　　　┌──────────────────────┐
　　　　　　　│少女は、ノエルの姿を探すようになりました。　　　 　 .│
　　　　　　　│そして、ノエルの姿を見かけたら、　　　　　　　　　　　..│
　　　　　　　│なぜかうれしそうにかけ寄るようになりました。　　　　.│
　　　　　　　└──────────────────────┘


　　　　　　　　　　 　 　 ＼　　　　ヽ　V/　/ /
　　　　　　 ＿＿ , ．イ　　　　　　　V }　　イﾆミー- ﾉ
　　　　　　￣¨ー .,　　　　　 ／ヽ　　　／　ヽ　r-イ
　　　　　 　 　 ／　　　　　./:::...:.＞＝<_＿:.:ハ ＼
　　　　　　 .／　　　　　 i / ＜´　　　　　　 ＞::>　＞..._
､＿＿ , ィ　　　 ／　　 ﾊ !　　,, -　　　　　　　 ハ 从 ＜
　 ￣￣＝ ≠　 { i　　 /八! ／　　　　　　　　　　 }/　ヾﾐ;､
　　　　　　　 /　　　!i!　 //　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　／
　　　　　 　 ,'　　　 ﾊ　 川　/　,　　　　 　/ 　　　 　 　 　 　 ハ　　―
　　　　　　/　　　　 ∧ |　 ,　　,' 　 　 　,ｨ 　 　 　　,'　　 i　　　 .　 .＼
　　　　 ／　_ 　　　　　}!　i　　,'　　　,／ ,'　　 　/ /i 　 /| 　 　 |
　 　 ／　イ7　　　　　 |　 |　 ,'　´／　 /　 　 ／／彡ミ　i 　 　 i
　　　￣ 　 i　 　 i!　 从　 | .i l　,∠三ミ　 ／　　　!:{;;}::｝ .! 　 　 !
　　　 　 　 |　 / .|. 　 ∧　| | l. /｛::{;;;}:::｝ 　 　 　 弋::タ　ﾅ　　　|
　 　 　 　 人 八 {､　 ,' ∧ >　! 　ヾ三ノ　　　　　　　〃/ 　　　ﾉ
　 　 　 ／　| {_ ノ!　 　 |::|{ ＼!　〃〃　　　　　′ 　　ｲ　 　／
　　　　　 　 Vーイ{ 　　|::|　ト､> 　　　　　　　　　__　イ　 ／　　　 「あっ、ノエルお姉ちゃん、いたーっ！」
　　　　　　　 　 ,/　　　.|::|　|::|::|　　　　　　 (　 　ノ ／!／
　　　　　 　 　 /　 ／Yﾟ|::|　|::|::| 　　　　＿＿￣_／r ､
　　　　 　 　 ,/..／ 　 ﾄ.|::| _川 |─‐､,,　 　/ 　 　 　＼＼　彡
　　　　　　 'ー"　　　ﾉ/!_| ;;;; |_| ;;;;;;;;;;＞,,,'､　　　　　　＼＼
　　　　　　　　　　　 　 /;;;;;;;;;;;....::::::::::::.....;;;;;;＼　　　 (ヽr－'"´ヽ、
　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;.:.:.:.:.:.::;;;;;;;;;;;;;;;;＼　 　｀､j f'" ∠ ヽ
　　　__,,.. ．-‐　'''""~　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／´￣"￢、 　 ヾＬi´ rｭ

780： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 02:56:53 ID:1GJZMUf.00
///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ ＼ 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　 　 U 　 ／　　　/　　/ /
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ
///////|⊃　　　　　　　 　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {　　 「……ああ、あの時の子、かぁ……」
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ　　　 「……ぼ、ボクに何の……用、かな……？」
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉


　　　 ┌────────────────────┐
　　　 │年下でも、他人は他人。　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　 │その上子どもという、ある意味大人よりも　　　　 │
　　　 │やっかいで、相手をするのが難しい相手。　　　...│
　　　 └────────────────────┘

　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　│子どもが苦手で、今までふれあう機会自体も　　　 .│
　　　　　│ほとんどなくて、おまけに自らの本質を　　　　　　.....│
　　　　　│見抜かれた(と、ノエルは思っている)　　　　　　　......│
　　　　　│少女なら、なおさらです。　　　　　　　　　　　　　　......│
　　　　　└─────────────────────┘


　　┌───────────────────┐
　　│ノエルはいつも以上にもじもじうじうじな　　　　.│
　　│態度で、彼女を出迎えました。　　　　　　　　.....│
　　└───────────────────┘


.

781： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 02:59:22 ID:1GJZMUf.00
　　　 ノ: : : : : : : : il: : : : : : : : : /＞-= ､:､: : l: : : : i: : : : :i: : : : : : ∧
　．´´/: : : : : : : : :ll: : : : : : : : // .心` ､ヽ＼i: : : /: : : : :.l: : : : : : : :i
　 　 ,': : : : : : i!: : :l ヽｊヽ、: : / ′レ:::::::i　i　ﾉ'i: /: : : : li :l: : : : : : : :l
.　　 i: : : : : : ::l >´心　 　＼ｊ 　　 V:し::; /　 ノ:': : : : : :l!/ヽ: : : : : : l
.　　 l: i: : :i!: : l l　ﾚ::::i　　　　 　 　 `ー'　　　　/: : : : /′ i: : : : : : l
.　　 ｌ/l: : l.ｌ: ::l. ',　Vﾉ　　　　　 　 　 　 ヽヽヽ/: : : : /　／: i!: :,
　　　　＼! l: :l　　 ｀´　　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : ／<´: : : :!i:
　　　 　 　 l: :いヽヽ　　`　　　　　 　 　 　 /: :.／/: : : : : :./
　　　　　　 ヽ.',　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / ／／: :/: : : :/
　　 　 　 　 　 ヽ.　　　　 i`´ヽ　　　　 　 ' ,.イi､: : :i: : : :/　　　　「ねぇノエルお姉ちゃん、
　　　　　　 　 　 !＞．. 　 `ﾆ´ 　 　 　,. イ三三ヽ/l: : :/　　　　　お姉ちゃんは、今忙しい？」
　　　　　 　 　 　 　 　 !＞．._　.．＜´三三三三三ﾆ.ｿ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .．＜i三三三三／三三ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ｒ'´三三三三三三i三三三三ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 /k＞'´ゝ、人三lllく´ヽ三三三三i
　　　　 　 　 　 　 　 　 /k/　 ′　＼__＼lll/三三三三彡i
　　　　　　　　　　　　 /k/　 　 　 ,'　） 　 /三三三三彡/
.────────┴┴──‐‐＾.′──────┴





　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.　　　　,ィ
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ　 ／　'--ｧ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝　ﾍ　 　'-ｧ
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /　　 ﾍ=-┴
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　　u. _, l　 '/　　　　「……えっ？ えっと、それは、その……」
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　 c 　 　 .イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧　　　　 「ぼ、ボクは……その、えっと……」
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}


　　　　┌────────────────────┐
　　　　│急に、自信のない自身のことを問われて、　　　 .│
　　　　│ノエルはしどろもどろになってしまいます。　　　....│
　　　　└────────────────────┘

　　 ┌───────────────────────┐
　　 │まったくもってたじたじに、どうしようもないほどに。　　.....│
　　 └───────────────────────┘

.

782： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:02:31 ID:1GJZMUf.00
　　 /　　　　　　　 }　　　　　 　 　 ∧　　　　　　　ヽヽ　　　|
　　 |　　　　∧　　从　　　　　 　 /　 ヽ　　　　　　　|　|　　 }
　　 |　　　　{　l　 ∧ハ　　　　７寸 ￣_∨ヽ　 　 }ヽ }　}　　 |
　　 {　　　 十弋寸云　ヽ　　/ 　 了77/ｉ} }　　　}ゝ 、/　　N
　 　 }. 　 　 | 了///ｉ} 　 ＼/　　　乂//ノ |..　　/⌒ .} 　 ｲ
　　ノ へ　　{　乂//ﾉ　　　　　　　　 ￣　 ﾘ　 ./　　ノ　　 {
　　　　　 ヽ ＼　 ￣　　　　　　　　　´´　ム／ 厂´　　 ト !　　　　 「じ〜〜……」
　　　　　 　 丁´´　　　　 　 　　　　　　 　 ｨ爪 　 　 　 }
　　　　　　　 ヽ　　　 　 　 　ー 　 　 　 イ}} 　 }　　 　 /
　　　　 　 　 　 ≧=-r― ｧｚｚr-r=≦ｚァ }辷ﾆ_ﾉ　　ﾍ/
　　　　 　 　 　 　 　 |　イ（（〃//////ﾑ|　|　　　./
　　　　 　 　 　 　 　 !/　ヽ＼〈/／ヽ///ﾑﾘ／!／


　　　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　　　 │大人なのに。少なくとも、少女よりは年上なのに。　　 　 │
　　　　　　 │あたふたとあせるノエルが珍しいのか、　　　　　　　　　 .│
　　　　　　 │少女は上向きにノエルをのぞきました。　　　　　　　　　 .│
　　　　　　 └───────────────────────┘






.　　　　　　 .／　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　 　 　 　 /　/ 　　　　|　　　　　　　ヽ
　　 　 　 /　　　　　 　 l!
.　 　 　 /　　　 |　　　 ハ　　 l　 　:ﾄ､　i　　　 　 　 l
　 　 　 ′ :| 　 l!　　　l　|　　 |､　　|　'. | 　 　 　 　 l
.　 　 　{　　|　 八--=イ八 　 ト＼N-､lィ 　 　 　 　 l
. 　 　 ∧　 |＼|　＞＜　　＼_j 　＞- 、!　　　 　　　|
　　　 {　 ,　|　 ',〈 　ﾋ} }　　　　　{ ﾋ}　 〉　 　 l/ 　|　;　　　　 「……あう……ううっ……」
　　 　 　 　 　 ハ　　　　　　　 　　　 ﾚ′ 　 　 ﾊ/
　　　　　　∧　　ﾄu　　　　'　　　　　ｕ/.　 　 　 /
　　　　 　/ ∧　 ヽ　ｕ　 ＿＿ 　 　 /イ　　　 /
.　　　 　/ 　 ∧ 　 ＼　‘ー― ’　　 イ|　　　/　　　　　　　　　　 (ど、どうしよう……ボク、
　　　　 {:　　　 l　　 | ｀　　 　 　 ＜／ |:　　/⌒) ､　　　　　　　　こんな時、どうしたらいいの……？)
. 　 　 　∨　　 l　　 l//,ゝ｀ﾆ´　＜///:!　 //7///＞
　　　　　 V　　ハ　 |// γ　 ∨/////|　 l｀ ＜///////＞､　　 (……嘘をつく、とか？
　　　 　 　}. 　 　 ＼!/　 ゝｲ　.|V////:|ハl　　　￣￣／　　 ＼　ああ、いやでも、そんな事は、さすがに……)
.　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 ! ∨/／　 .|　　　　　/
　　　　 /　　　　　　　　　　 　 | 　 ´　　　　　　　　/


　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　 │少女の大きく、つぶらで、混じり気のない　　　.│
　　　　 │純粋な感情で満ちた瞳は。　　　　　　　　　　　.│
　　　　 └───────────────────┘

　　 ┌───────────────────────┐
　　 │どこまでも純粋に、ノエルを責め立てているようで。　 　 │
　　 │少なくとも彼女には、そう思えてなりませんでした。　　.....│
　　 └───────────────────────┘



.

783： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:05:03 ID:1GJZMUf.00


　 ┌────────────────────────┐
　 │ノエルの内なる苦悩にまでは気がつけない少女は、　　　...│
　 │屈託も、遠慮も無い言葉を紡ぎ続けます。　　　　　　　　　..│
　 └────────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　|＼_ ￣ﾄ､ｰ―-､
　　　　　　　　　　＿＿＿＿_＞　＼| Ｌ＿＿_|
　　　　　　　　　　＞＿＿＿__　　　　__＿　＜
　　　　　　 　 　 l／　 　 　 　 ヽ　／ 　　 ＼!ゝ
　　　　　　　　／　　　 　 ／ﾐヽ Vr勿＼　　 ＼ヾ
　　　　　　 ／／　　＞-―┴┴-　∠.:＼lVVV＼＼
　　　　　∠／　　／　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ゝ　》
　　　　　/:/: . : /: . : . : . : . : . : . : . : . : . : .. :ヽ: . :}: | ﾉ
　　　　 /:/|: . /: . : . : . : . :/: . : . : . : . : 　.　　 ',:.:| :∧
　 　 　 |/ :|: /: . : .:/: . : . ﾊ:: . : . : . : . : . :　 . 　', |'　 |
　　　　　j:/!: . : .,': . : .:／: .|: . : .// /ﾚ'|i ト､|:　. Ｎ　　ｌ
　　　　　　ハl 　 l i.〃　　__＼　|. , _´_　＼ヽ l i |.| l　l|　　　　　「ねぇお姉ちゃん、もしお姉ちゃんが
　　　　　 ヽ!　 ハ 〃_,r=＝ﾐ　ヽ! 　r＝=､　　l l !.| l　|　　　　　　ほかの兵士さんたちみたいにヒマだったらさ、
　　 __　 　 i Y/ 　 Y　　 　 　 　 　 　　　 / 》 ///i |.　|　　　　　 きょーは私といっしょに遊ばないっ？」
　　 i ヽ　　.| l !　 .ハ ´´ 　　 _'＿　　´´ イ/ ./ﾚ'| .i ト､|
　　　ヽ ヽ　.ハ〜､ゝ＞.、 　　{´　ｿ 　 ∠/ //ﾚﾍ ﾄヽﾊﾉ
　　　　ヽ .ヽ,_ｒ ､,､､　 --｀＞ｧ ｀ _´　´ﾑ ム/r ､
　　　　 ﾉr'^ヽr‐､_,-'ヽ: ヽ'' ~　　　　　~-y/　ヽ_
　　　　 i ー‐､冫-i 、　ヽ: ヽ_　　　　　 ／:/　　 ヽ
　　　　 | -ーｖ'　 ﾄ　､　　丶 ヽ _: -_／: ／　　　 ﾉ,ヽ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　----　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く　 ,. --- ､ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀´　　　　＼ ＼
　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.　　　　　　　　　　}　 }
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ　　　　　/｀ ー‐ '　 ﾉ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝　　　　く__/｀¨¨¨¨´
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /　　　.i⌒ヽ
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//　　　　.ー '
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　U　 _, l　 '/
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　 c 　 　 .イ/: l　/　　　　　「……あそ、ぶ？」
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}

784： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:08:31 ID:1GJZMUf.00



　　 　 　 　 　 　 　 ／ ／　　　 /=ミ､ヽ_／/厶　　　 　 　 ｀ヽ、
　　　　　　　 　 　 /_／　 　 　 厶≦二二ミく.:｀ヽ.　　　　　､_　 ',
.　　 　 　 　 ､__／　／ 　 ,　 ￢…'"´　｀`丶､ヽ､.:', 　　　､　',｀ヽ}
　　　　　 　 　 ｀￣/　　／　　　 　 　 　 　 　 ヽ.ﾍ:}　 .ﾉ 　ヽ}
　　 　 　 　 　 　 / /〃　　　　　　　　　　 　 　 Vﾊ.:. .:.　 ..＼
　　　　　　　　　 |/|/ 　　　/{　 　 　 　 　 　 　 Vﾊ.:.:.:.:. .:.:.:ﾄ､＼
　　　　　　　 　 　 ′　/ /　{　 i　 ﾄﾍ__　　　　　}/}.:.:.:.:.:!:.:.:}　｀^`
　　　　　　　 　 　 i　　ｉ≦-_ﾍ　i､_ L. ｣_ i|　 　Ｙ/.:.i.::.:./ ヾ/
　　　　　　　 　 　 | 　 i 下ｨﾀi　| |/　__　 「　ﾙく/}:.:|:.::.i
　　　　　　　 　 　 | 　 ﾘ ﾞ ￣ ∨　　'"⌒ﾒ　　/ ﾍ｝:|八!
　　 　 　 　 r‐､-八.　 ヽ　 　 '　　　　 // 　ん)ノﾚ|　｀　　 「うん、そうっ！」
　 　 　 　 　 ＼＼Yﾍ:个ヽ　　 ー　　//　　/|::l　ｌ:::|
.　　　　　　　　 ＼⌒ヽ｀ヽ r≧ｧ=＜//　　厶|::|　i:::|　　　　「いつもはねー、ほかの兵士さんが遊んでて
　 　 　 　 　 　 〈了了＞r｛r:::::::::::::/´ .へ´　.∨　ヾ}　　　　くれてたんだけどねっ、今日はね、
　　　 　 　 　 　 _｝::::::::::::::::::>￣￣￣ヾ::::::_ヽ　　　　　　　　ノエルお姉ちゃんと遊んでみようかなーってね♪」
　　　　　　　　く::::::::::::::::::::::/　　　　　　ヾ:::´::〕
　　　　　　　　　｝::::::::::::::::人}　　　　　　 ヾ:::ヾ
.　　 　 　 　 　 /::::::::::::::::::::〈　　　　　　　　ヽ:::＼
　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 　 ＼::
　　　　　　〈:::::::::::::::::::::::::::::::::{　　　　　　　　　　 ヽ

785： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:08:41 ID:1GJZMUf.00


　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ..::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::＼::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..::::::::::::　:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 :::::::::::::　::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:: |　i
　　　　　　　　　　　　　　|　　　 :::::::::::::　:::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::/ ::: |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::/　::::::::::::::::::::|/: ／|::::::::j::::::::::::::::: /:|::::: |　|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::/　 .::::::::::::::::::::|: /ノ|　::/|::::::::::::/:/　|:::::ｉ|　j
　　　　　　　　　　　　　　　∨:｝　:/　..:::::::::::::::::::::::爪＾ｱ尓ミ Ｌ:::::::/l/＼ﾚ::::ﾘ /
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨:::/　.::::::::::::::::::::::::::|　 弋(ソ　　　　 y≦ｧ从/i/
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 厶:∧　 :::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　ﾋ(ﾝ,:'::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 j人::ヽ　 :::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 、　 .::::/ /　　　　「……いや、だから……
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _｝:::',　 :::::::::::::::::::|　u 　　　　 　 　 /:::/ /　　　　　それ、本気で言ってる……の？」
　　　　　　　　　 　 　 　 　 __厂V__:∧　::::::::::::::i:::|　　　　　　　　 ..::::/ /
　　　　　　　　　　　 　 ／　/　　 : : : :Vﾍ ::::::::::i:::|、　　　 ´' .イ:::::::／　　　　　　　「……今、一応、仕事中だし……」
　　　　　　　　　　　　/　ｰ┴　　_: : : : : : ＼::::::i:::|/＞: :-＜｝::::::/|/
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　｀: :ー-: : :＼i:::|＼_人/⌒|::::∧|
　　　　　　　　　 〃　　 　 　 　 : : : : : : : : :＼: ヽ|: : : : : ）: :j／: :｝　　　 (……なんで？ どうして？ なぜボク……なんかを、誘うんだろ……？)


　　　　　┌────────────────────────┐
　　　　　│「他の兵士さん達みたいに」という、　　　　　　　　　　　　　 .│
　　　　　│場合によっては聞き捨てならない形容詞はさておき、　　....│
　　　　　│少女の心裏の心理が読めないノエルの頭の中は、　　　　.│
　　　　　│はてなマークでいっぱいです。　　　　　　　　　　　　　　　　...│
　　　　　└────────────────────────┘


　　　　　　　　 ┌────────────────────┐
　　　　　　　　 │どうやら、頭のとっても良いノエルにとって、　　....│
　　　　　　　　 │とっても苦手な問題なようです。　　　　　　　　　....│
　　　　　　　　 └────────────────────┘


.

786： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:10:17 ID:1GJZMUf.00


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　----　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く　 ,. --- ､ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀´　　　　＼ ＼
　　　 ノ: : : : : : : : il: : : : : : : : : /＞-= ､:､: : l: : : : i: : : : :i: : : : : : ∧　　　　　　　　　 }　 }
　．´´/: : : : : : : : :ll: : : : : : : : /　 　 　 　 ＼i: : : /: : : : :.l: : : : : : : :i　　　　 /｀ ー‐ '　 ﾉ
　 　 ,': : : : : : i!: : :l ヽｊヽ、: : /　γ ⌒ヽ　　ﾉ'i: /: : : : li :l: : : : : : : :.l　　　　く__/｀¨¨¨¨´
.　　 i: : : : : : ::l >´　　 　＼ｊ 　　i　　　　ｉ 　 ノ:': : : : : :l!/ヽ: : : : : : i.!　　　i⌒ヽ
.　　 l: i: : :i!: : l γ⌒ヽ　　　 　　ヽ ___,ノ　　　 /: : : : /′ i: : : : : : l::l　　　 ー '
.　　 ｌ/l: : l.ｌ: ::l. 'ゝ __ノ　　　 　 　 　 　 ヽヽヽ/: : : : /　／: i!: : : : :i!:.l
　　　　＼! l: :l　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : ／<´: : : :!i: : : : ll: l
　　　 　 　 l: :いヽヽ　　`　　　　　　　　 　 /: :.／/: : : : : :./l: : : :,/l/
　　　　　　 ヽ.',　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / ／／: :/: : : :/ .l: : : /
　　 　 　 　 　 ヽ.　　　　　　-－　　　 　 ' ,.イi､: : :i: : : :/　.l: : :/
　　　　　　 　 　 !＞．.　　　　　　　　 ,. イ三三ヽ/l: : :/ 　.l: :./　　　 「ふぇっ？」
　　　　　 　 　 　 　 　 !＞．._　.．＜´三三三三三ﾆ.ｿ　　.l; ´
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 .．＜i三三三三／三三.ヽ　 ′　　　　 「どーしてって、言われてもなー……」
　　　　　　　　　　　　　　 ｒ'´三三三三三三i三三三三.ヽ
　　　　　　　　　　　　 　 /k＞'´ゝ、人三lllく´ヽ三三三三i
　　　　 　 　 　 　 　 　 /k/　 ′　＼__＼lll/三三三三彡i
　　　　　　　　　　　　 /k/　 　 　 ,'　） 　 /三三三三彡/



　　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　　│ノエルの、やや抽象的で、なかなかに個人的な　　　　　　 　 .│
　　　　　│感情が混ざった質問に、少女は細い首をひねりました。　 　 │
　　　　　└─────────────────────────┘



.　　　 　 　 /　 i| 　 　 　 　 　 ﾄ､/　V|　/　ヾ　丶 ＼
　　　　 　 /　　 ｌ { 　l＼ﾄ､|＼､l　＼川 r 　、||　　 ￣
.　　 　 　 i | 　 / 乂 l 　 r＝彡′ ﾉ ∨/⌒ v　　　ﾄ､
.　　 　 　 l | 　i |r彡｀　 　 　 　 　 　 　 ) 　 ﾊ　 　 }
　 　 　 　 ',ﾄ､ 从　 ヽ　　　 　 u　　　　　_ ｲ::|　/　′
.　　　 　 　 ヽ＼ヽ　　　　　 　 　 　 　 爪|::l:::| /人|　　　　　　「ん〜〜えっとね〜、そうだなぁ……」
　　　　 　 　 　 　丶 　 ⌒´　 　 　 　 ′ ! l:::l//
　　　　　　　　　　　 ＼　　　　 　 　 　 ｲ |::lノ/
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ー- 　 　 　 ∧i ﾑ:! ′
　　　　　　　　　 　　　　　 　 〕∧人/　.|　ﾚ′
　　　　　　　　　　　　　 　 　 |:::::::::::::::::::::ヽ　＿　__
　　　　　　　　　　　 　 　 　 /::::￣:::¨ ¨::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶

787： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:14:17 ID:1GJZMUf.00




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,ｨ⌒｀`　､|ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨¨￣￣¨¨　　　　　　{
　　　　　　　　　　　　　　　''ﾞ~´　　　　　　　　　　　　　　｀`　　ー――ｧ
　　　　　　　　　　／　　　　''´　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　’
.　　　　　　　 　 　 ⌒ ／　　　　　 ,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ’
　　　　　　　　　　　／　,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　''　 　’
　　　　　　　　　　 ' . ／ |　 十/､.　　 ／　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　’
　　　　　　　　　　|／　　'　./}/　　 ／! _ /|　　 |　　　　　　　　　　　　　　ﾍ}
　　　　　　　　　　　　　　∨_.|　:.／　 |: / :|｀ヽ ''　　　　　　　|　　　　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　ﾉ以!／　　　|/　 |　 /　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　 ／_,ノ {　　　､zx_　 i|: /|　 /　　　　　/　　　 　　　从
　 　 　 　 　 　 　 　 / ﾊ　　 　 　 　 _)ヾ :i|/ i|: /　　　　　/　　　 ,,　　　{⌒
　　　　　　　　　 　 /　　:. 　 　 　 　 乂ｯふ､ i|/　.!　　./|/　　　　　　　　 ，
　 　 　 　 　 　 　 /／　 } ､　 　　　　　　¨¨／　　! ./リ　　　　　　　　∧
　　　　　　　　　 /´　 　 |　　ー 　 　 　 .／　　／|/　　　,,　ｲ./ !　　/　 ｀　＼　　　　 「……お姉ちゃんと、遊びたいだけだよっ！」
　　　　　　　　　　　　 　 ﾆ=- 　 ＿＿／　　／､イ　　　 ﾍ　 /　|　 /　　　　 ｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　-==}i―/　　／--..ﾐ/´　　　.:| /　　ヽi{
　　　　　　　　　　　　　　／ニﾆ_}:::: |　／＿＿,ィi〔ニミ　 :| i
　　　　　　　　　　　　 ／ニニ｀￣￣￣ニニニニニニﾆ＼
　　　　 　 　 　 　 　 _{ニニニニニニニニニニニニニニﾆヽ　　　　　　 　 ┌─────────────────┐
　　　　　　　　　-=ﾆ圦ニニニ=-｡s≦￣￣￣｀`-=ニニニニ}　　　　　　　 │しばしの間、考えたのち。　　　　　　　　.....│
　　　　　　　　 {ニニ￣￣ニニニニ=-=ニニ=-ミニ｀`〜､ﾆ/　　　 　 　 　 │まだまだ発展途上な少女が出した、　　....│
　　　　　　　　 {ニニニニニニニニ-=ニニニニニヾニニニ＼　　　　　 　 │簡潔に完結した答えは。　　　　　　　　 　 │
　　　　　　　　 ﾏニニニニニニニ＞''ﾞ¨￣｀ヾニニニニニﾆ=-.＼　　 　 　 └─────────────────┘
　　　　　　　　　ﾏニニニニニ>''ﾞ´:::::::::::::::::::::::∨ニニニニニﾆ=-.＼
　　 　 　 　 　 　 〉---...''ﾞ´:::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::,ニニニニニニニﾆﾆ＼

788： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:16:14 ID:1GJZMUf.00



.　　　　　　 .／　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　 　 　 　 /　/ 　　　　|　　　　　　　ヽ
　　 　 　 /　　　　　 　 l!
.　 　 　 /　　　 |　　　 ハ　　 l　 　:ﾄ､　i　　　 　 　 l
　 　 　 ′ :| 　 l!　　　l　|　　 |､　　|　'. | 　 　 　 　 l
.　 　 　{　　|　 八--=イ八 　 ト＼N-､lィ 　 　 　 　 l
. 　 　 ∧　 |＼|　＞＜　　＼_j 　＞- 、!　　　 　　　|
　　　 {　 ,　|　 ',〈 　ﾋ} }　　　　　{ ﾋ}　 〉　 　 l/ 　|　;
　　 　 　 　 　 ハ　　　　　　　 　　　 ﾚ′ 　 　 ﾊ/　　　　 「……いや、だから、ね……？」
　　　　　　∧　　ﾄu　　　　'　　　　　ｕ/.　 　 　 /
　　　　 　/ ∧　 ヽ　ｕ　 ＿＿ 　 　 /イ　　　 /　　　　　　「ど、どうして……ボク、なのか……な？」
.　　　 　/ 　 ∧ 　 ＼　‘ー― ’　　 イ|　　　/
　　　　 {:　　　 l　　 | ｀　　 　 　 ＜／ |:　　/⌒) ､
. 　 　 　∨　　 l　　 l//,ゝ｀ﾆ´　＜///:!　 //7///＞
　　　　　 V　　ハ　 |// γ　 ∨/////|　 l｀ ＜///////＞､　　　┌───────────────┐
　　　 　 　}. 　 　 ＼!/　 ゝｲ　.|V////:|ハl　　　￣￣／　　 ＼　 │ますます、考えすぎなノエルを、　 　 │
.　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 ! ∨/／　 .|　　　　　/　　　　　　　│とっても困らせるのでした。　　　　　..│
　　　　 /　　　　　　　　　　 　 | 　 ´　　　　　　　　/　　　　　　　 └───────────────┘

789： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:18:19 ID:1GJZMUf.00

　　　　　　＿＿ィﾍヽ　,イ￣ ㍉
　　 　 ／　　 　 ｀ヽ} Y　 イ＝ヽ
　　 ∠ ,ォ――-＿　＿＿ミ、　＼
　 　 イ　　／´/　/　/　 丶 ｀ ミヽヽ
　 ./　, - /　 /　　　　　　　　　　　 ヽ
　/ ｲ　 /i ／　　　　　　　　　　　　　 ﾟ．
ｲ'　,{　/　'　　 i　　　ｨ　　　　　　　　　　ヽ
　 / }ｲ　ｉ　　　|　　/.| ./|　　　,　　ﾉ .i　　i
. /　{ i　.|　 | . |　./　|/ .| 　 ィ　 ィ　 |　　l
/イ 7ﾍ ﾘ　 | .ｲ / 　 '　 |.／ |.／|/./　 ｨ |
'　 /　 >,i　 |/.|/ ∩　　 '　　i∩　|/　/ }/
　/-イヽ{　 { . 　 ∪　　　　　∪　!.／!
　　　| ./|　 |ヽ、'' 　　､＿ 　 　 ノ ∧!　　　　「それじゃあいこっか、お姉ちゃん！」
　　　|/ .| .∧　|ぅr-,、---r ､＜ｲ/　`
　　　 　 l/　 ヽl /｀"Ｖﾑ' / ヽ/|/
　　　　　　　　 ｲ　　　　|
　　　　 　 　 　|　　　　│つ
　　　　 　 　 　|　　　　丿


　　　　　┌──────────────────────┐
　　　　　│自分を恐れ、少女にもとまどうノエルを後目に、　　　..│
　　　　　│少女はかけだしました。　　　　　　　　　　　　　　　　......│
　　　　　└──────────────────────┘





　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､-ー'｀Ｙ＜,__＿
　　　　　　　　　　　　　　 　 _＿≦ー`__　_二ｚ<＿
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞ ７￣､-‐´￣｀'┴＜
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＜Ｙ´| , '　, ､ , ,.　　,＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 >|`､|　| 寸TﾊT７}ﾄi
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 Vl l |（＞）（＜）|ﾊ|
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 V|(^j　 ▽' 　!　(⌒1
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 丶i--､┌ '　　/::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／´.:.:::::::へ::｀ヽ/::::/　　　　 「……ぴゅ〜〜んっと♪」
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／.:::／}:: ノ´￣|＼::::/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 {::::::く_　|　　　 　:
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ( ﾉ⌒}j 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／´　　 ｌ　　 ヽ　ー=､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ 　 　|　　　　／.::::/
　　　　　　　　　　　　　　／　　　 　 ｀'i‐┼一= " /:::::/
　　　　　　　　　　　／／ 　 　 　 ＿ノ.:::/　　 　 /:::::/
　　　　　　　　　 ／／　　　　　/　(::::／　　　　/⌒ー=､
　　　 　 　 　 ／／　　　　／　{＿/　　　　　　(二ニﾆ) )
　　　　 　 　 　 　 　 　 ／／
　 　 　 　 　 　 　 　 ／／
　　　　　　　　　　　 ／／　　　／


　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　│ノエルの疑問に、答えずに、　　　　　　　　　　　....│
　　　　　│そもそも疑問があったとも、気がつかずに。　 　 │
　　　　　└────────────────────┘

.

790： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:22:04 ID:1GJZMUf.00



　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ..::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::＼::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..::::::::::::　:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　|　　 　 :::::::::::::　::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:: |　i
　　　　　　　　　　　　　　|　　　 :::::::::::::　:::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::/ ::: |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::::/　::::::::::::::::::::|/: ／|::::::::j::::::::::::::::: /:|::::: |　|
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::/　 .::::::::::::::::::::|: /_ノ|　::/|::::::::::::/:/　|:::::ｉ|　j
　　　　　　　　　　　　　　　∨:｝　:/　..:::::::::::::::::::::::爪＾ｱ尓ミ Ｌ:::::::/l/　斗::::ﾘ /
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨:::/　.::::::::::::::::::::::::::|　 弋(ソ　　　　 y≦ｧ从/i/
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 厶:∧　 :::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　ﾋ(ﾝ,:'::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 j人::ヽ　 :::::::::::::::::::::|　　　 　 　 　 、　 .::::/ /
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _｝:::',　 :::::::::::::::::::|　　　　　　 　 　 /:::/ /　　　「……なんだよ、もう……」
　　　　　　　　　 　 　 　 　 __厂V__:∧　::::::::::::::i:::|　　u.　　　　　　 ..::::/ /
　　　　　　　　　　　 　 ／　/　　 : : : :Vﾍ ::::::::::i:::|、　　　 っ .イ:::::::／　　　　　「……あの子は、いったい……なんなの……？
　　　　　　　　　　　　/　ｰ┴　　_: : : : : : ＼::::::i:::|/＞: :-＜｝::::::/|/　　　　　　 子供とは、言え……人の話を、聞かな過ぎるよぅ……」
　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　｀: :ー-: : :＼i:::|＼_人/⌒|::::∧|
　　　　　　　　　 〃　　 　 　 　 : : : : : : : : :＼: ヽ|: : : : : ）: :j／: :｝


　　　　　　 ┌──────────────────────┐
　　　　　　 │良くも悪くも、ノエルにとっては、　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　 │悪くもあまり良くも無い、少女の無邪気すぎる　　　 　 │
　　　　　　 │態度は、無感情なはずのノエルにも、　　　　　　　　.....│
　　　　　　 │少しの怒りと、大いなる戸惑いを抱かせました。　　.....│
　　　　　　 └──────────────────────┘


.

791： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:24:10 ID:1GJZMUf.00


　　　　　┌───────────────────────┐
　　　　　│……とは言え、少女の誘いをまるっきり無視して、　　　 │
　　　　　│このまま薄暗い格納庫の中、作業を続ける気にも　　　 │
　　　　　│なれなかったので、ノエルはしばしのあいだ、　　　　　.....│
　　　　　│(本人的には)ばしばし、ばりばり、考えたのち。　　　　.....│
　　　　　└───────────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　　 　　″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′
　　　　　　　　　　　　　, ′　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　′　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ′
　　　　　　 ./　　 　 /　　,　　　　　　 　 　 　 　 　 '.
　　　　　　/　　 　 /　　 '　　　　　　　 　 　 ⅰ　　　.　　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　/　/　 　,′　/　　　　!　　　　　　　　 ｜
　　　 .／　ｲ i　 　{　//　/{　 "/　／'　/　 　 ｌ ⅰ　　}　　 　, ￤
　　　　／　i :|　　　/,'{ト㌣!　}/／ /　/ },′/ ｌ　；　　　　　 / ⅰ
　　..′　　八|　　ⅰi ik冬ミメv'　 ′'　‐‐-　.」　'　 /　　 　 　 ;　　　 「……まあ、いいや、仕方が無い……」
　　 {　　　'　 | 　 八i { 乂::::ｯヽ　　　　 　- -　}ノ　/ 　,
　　..! 　（ 　 ｜ 　　 ＼　　　　　　　　 艾::::茨｀ y 　／/　　　　　　　 「……とりあえず、ついていこっと……」
　　　　　 ヽ ｜　 {　,∧＼　　　 　 　 　　　　 _ノイ　 / 　 .　'
　　　　　　　｜　∧ {: : :.、　 　 ｀　 　 　 U 　 小ﾘ　/　 ｲ-‐‐ｧ
　　　　　　　..|　（: :ヽ: : : :＼ 　 _　　　　 　 . ｲ/　 　 ／ ;. :: :
　　　　　　　/,: : ＼: :＼: : （　 、 ｀ 　 ..:＜)）/　　xく. :_/_彡'　 　 　 　 -‐-､
　　　　　　 / （: :: :: :＼: : : : ℃o｡二.,,_彡'　/　／ }ノ¨¨ ヽ 　 　 　 ´　　´￣)
　　　　　　,′　＼: : : : . . . . . . _＿._._._:_ : /／ : : {: :ヾ: : : :.　　／　／　／ )
　　　　　　　　　 {_＼: : : : . . . . . . . . . -= : : : : : :∧: : : : : : } ,:'　　 　／ ／
　　　　　　　　　　 　 丶: : : : . . . .‐------‐. : :/ 　 、: : : ._/　　　　 .／




　　　　　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　　　　　 │きわめて消極的な形で、　　　　　　　　　　　　...│
　　　　　　　　 │少女の誘いに乗ってみることにしました。　　　│
　　　　　　　　 └───────────────────┘


　　　　┌─────────────────────────┐
　　　　│どうやらノエルは、意外と流されやすい性格なようです。　　　│
　　　　└─────────────────────────┘


.

792： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:27:26 ID:1GJZMUf.00




　　　　 　 　 　 　　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●




　　　┌───────────────────┐
　　　│――暑さではなく、明るさ的な意味で　　　　......│
　　　│溶けてしまいそうな、昼下がりの空の下。　 　 │
　　　└───────────────────┘



,.:,; ' ''..　.,;.'..:⌒`;,: .　　..;;.,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀ ､　　'
　,,.;. ; :.,　　　.. .''... .. '　　 ..;,):.,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　‐―　 ○ －　‐
　　　　　　 　''　　'.': ;,::.　. 　..., ;)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, '　ヽ
　.''.:.:´⌒`.: .: ...　　　　. ...,. . ,;　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,.　　　 ヾ
.''':.　.,'''.:;.　.::　.'.　,.:,;　　...,; ''　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '
-'' ' '　　　ー''　ｰ　 '''　''
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　.:: ..'...:⌒`　　: .: ..,,;.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.: ...:::⌒`　''　　　　　　　　　 　'.':. .,.; ,..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　　　 .: .....:　　　...:.: .: ⌒` .: ..:.: .: ...　.　 .:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(.,　.: ...　: .　 .:　 .　　::: ....::..　: 　.　.:　... .. .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　.　:. .;;,　　.:;. 　 .　　.　 .: 　　　.　..::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'' ' 'ー　'''　　''　―'''　''　‐-''

　　　　　　　;"ヾ;　　　;"ヾ ;"　　　　　;:;:.;:ヾ　　　　　ノ ;ヾ
　　;"ヾ　 ;":;:.;:ヾノ)) " ;";　　"ヾ ;"　"　 ;ヾ "　; 　ヾ ;ヾ 　　　;;;ヾ ";;;ヾ";""
　　　　;ヾ ;ヾ ;";ヾ;"　 ;ヾ ;ヾ ;　　r""ヾ ;))ヾ ;":;:.;:ヾ ; ;ヾ 　　　　;ヾ ;;: ノ
　　;"ヾノ:;:.;: ;ヾ r:;:.;:;":;:.;:;ヾ ;ヾ ;"ヾ ;:;:.:;:))　　　　　 ";ヾ 　　":(^);r ;ヾ　 ;　　　";:""; ";
:;:.;: ; " ;;" ヾ((ヾ:;:.;:　;" 　;ノヾ" ; ;:(^)　ヾ ;";ヾ ;ヾ　 　"〃;ヾ　;ヾ":;:.;: ; ;ヾr ;;" 　..,,

793： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:30:06 ID:1GJZMUf.00


　　　　　 ､-ー'｀Ｙ ＜,__＿
　　_＿≦ー`__＿　_二ｚ<＿
　　 ＞ ７ ￣､-‐ ´￣｀'┴＜
　＜之′Ｙ´／ 　　　　　　　＼
　　 >{　 ,' 　| ､　,　,.　 ,.l　　, 　ﾞｉ　　　「ぴゅ〜〜♪」
　　 |　!､{　　| 寸寸T　ハT７} ｨ,ｌ
　　 ′Ｊｉ, ﾞｉ ﾞｉ （ ＞）　 （＜）|ハ|
　　　　i⌒ヽ'(1. ''' 　＿'　 ''' ﾉ川／⌒)
.　　 　 ヽ 　ヽx＞､（_.ノ__,イ ｌ |::::ヽ／
　　　　 ∧　人lﾊ:::::l,三|:::/ｌ|　,:::::ﾊ


　　　　　　 ┌──────────────────┐
　　　　　　 │少女は、風が吹く音を模したような　　　　　 │
　　　　　　 │擬音を口にしながら、風のように、　　　　......│
　　　　　　 │僻地の基地の中庭を駆けていきます。　 　 │
　　　　　　 └──────────────────┘





















　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　　　 ′　　　u. _, l　 '/
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　 c 　 　 .イ/: l　/　　　　　「……子供って、元気だなぁ……」
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}


　　　　　 ┌──────────────────┐
　　　　　 │そのかなり後ろを、自身の若さを　　　　　.....│
　　　　　 │投げ捨てるぼやきをつぶやきながら、　　.....│
　　　　　 │ノロノロトコトコと付いていくノエル。　　　　.....│
　　　　　 └──────────────────┘

　　 ┌────────────────────┐
　　 │その様子はまるで、貴重な休日を　　　　　　　　 .│
　　 │元気な子供たちに振り回される、　　　　　　　 　 .│
　　 │どこかの平和な家庭の父親みたいでした。　　.....│
　　 └────────────────────┘


.

794： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:34:52 ID:1GJZMUf.00

　　　　　／´￣ ｀　　　　＿　　＼
　　 　 //　　　　　イ´　⌒ヾ―-　＿
　　　/ ／´ 　　／ 　　,　-‐-　　 _ ﾆ= 、
　　/ / ィ　 　/　　／　　　　　　　　　　｀ヽ
　/ｲ./　 　　/　　´　　 　　/　/ 　/　i　　　　ヽ
　　}/　 　 /　　　/　　　 /　/ 　 /　 .|　　 i　　｀
　 /　　　　　　　 ／ l/ l/　 　　./　　　　　l　　l
　　　　　 l　　　l/l匕￣ l　 　　/　　:i
　l　　　　l　　　l ｨf==zx,l j　　/l /l :j　　/　　 l
　,　　　　l　　　l 弋ツ　 l/l ::/ ﾘ　l/l　　　　　　　　　　「ほらっ、お姉ちゃんも早くっ♪」
　|ﾊ　　 ∧　　从　　　 　 l/ ｨ≠ﾐxﾘ　/　/　 i
　　 ヽ /　 ﾊ　　 ヽ　　　　 '　　　／ｲ/　/　 /
　　　 }　 ハ　　トﾐヽ　< _　ｧ　　　/ /　/ ／
　　　{ﾊ/　 ヽ　 / ,＞、 　　　 イ/／ 从ﾊ
　　　 ／ﾆ三ﾆ/ ´／/ ｀,l二二二二 ﾍ, 　　 lヽ　彡
　　 /／三三ﾆ＼　 　 ヽ'三三三三ﾆﾑ　　 l　i
　　l　二二二三ﾆ＼　　　ヽ三三三三 ﾊ 　 l　l _ _
　　 l/::::::::::::::::＼ヽ二ヽ_ ィ:::l二二二 ヘヽ.　 l　li .} l Yヽ
　　　:::::::::::::::::::::::ヽ: : : :l:::::::::i: : : : : : i:::::::::ﾑ　| ﾉ　しJゝ'
　　　ﾏ::::::::::::::::::::::::ヽ: ::|:::::::::|: : : : : ::ﾊ::::::::ヽ .l　　i ヽ .}


　　　　┌────────────────────┐
　　　　│ノエルがいる所からだいぶ先で振り返り、　　 　 .│
　　　　│少女は弾んだ声でノエルを呼びました。　　　　　.│
　　　　└────────────────────┘












　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 　 ／ /　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼ ；
　　　　　　 　 　 　 , 　　　　　 /　　　　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　/　/　　 　 /　　　　　　∧　　　　 i　　　　　　 ﾊ
　　　 　 　 　 　 /　/　　 　 /　　 　 　 　 l　',　　　　 　 　 　 　 　 i ；
　 　 　 　 　 　 　 /　 　 　 i| ,ｲ　　 　 ,ｲ｜ 斗 ト
　 　 　 　 　 　 '　i　　　 ,ｲム| |　　　｜凵　　V　＼　　　　　　　　 l
　　 　 　 　 　 ,　 |　　　「'ﾘ ＿ Ｗ＿_」　 　 　 　 　 ＼!
　　　　　　　　　　| ﾄ　　|　 ,-==､　　　　　　,≠＝x　　| 　 　 　 |　 |
　　　　　　　　| 　 ﾘ　＼| 〃 :О　　　u.　　´　О:　ゝ./　　　 　 |
　　　　　　　　|∧　 　 　 　 -=-　　　　　　　 -=- '　/　　　　　 | /
　　　　　　　　ﾘ :|　　　ヽ　　 　 　 　 ､　　　　　　　/ 　 　 　 　 N ；
　　　　　　　　　 |　　　　',　u.　　 　 　 　 　 　 　 / イ 　 　 　 /|　　　　「……ゴメン……」
　　　　　 　 　 　 ､　　　 ﾄ　　　　　 　 　 　 　 　 ´ /　　 　 ／V
　　　　　　　　　 　　　　 | ヽ　　　　　 ‐-､　　　u.　|　　 　/´　　　　　　「……ちょっとだけ、待って……ね？」
　　　　　　　 　 　 i 　 　 ! 　 ＼ 　 　 ￣　 　 　 ／l　 　 / ヽ ；
　　　　　　　 　 　 | 　 ｀↓ﾍ /　｀　 ､　　　_　＜.　 |　　/　　 〉
　　　　　　　 　 　 | .ﾊ　｜　{ 　 ､　ハ｀　　　　,　- |　 ハ＿∧
　　　　　　　　　　 ﾚ　l　 !　 l＼　＼＿＿,　７´　　 |／_/　　 ￣ヽ ；
　　　　　　　　　　　　 ＼|　∧　i　　　　 　 /　　　　厂　＼　　　　＼


　　　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　　　│割合運動不足なノエルは、少女の　　　　　　　　　　│
　　　　　　　│軽やかな足取りに付いていくのがやっとです。　　　│
　　　　　　　└─────────────────────┘

　　　┌─────────────────────┐
　　　│少しは普通の軍人らしく、走り込みやら　　　　　　....│
　　　│行軍の訓練でもしておいた方が良かったと、　　 　 │
　　　│絶賛無念、後悔中です。　　　　　　　　　　　　　　　 .│
　　　└─────────────────────┘


.

795： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:37:20 ID:1GJZMUf.00


　　┌───────────────────────┐
　　│だがしかし、けれどもやっぱり、ところがどっこい。　　　..│
　　└───────────────────────┘


　　　　　　┌───────────────────────┐
　　　　　　│少女は、待ってと言われて待てるほど、　　　　　　　　　 .│
　　　　　　│元気が有り余ってないわけではありませんでした。　 　 .│
　　　　　　│というかそもそも、ノエルのお願いも　　　　　　　　　　 　 │
　　　　　　│ロクに聞こえてないぐらい、全力疾走してました。　　 　 .│
　　　　　　└───────────────────────┘



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ､-ー'｀Ｙ＜,__＿
　　　　　　　　　　　　　　 　 _＿≦ー`__　_二ｚ<＿
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞ ７￣､-‐´￣｀'┴＜
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＜Ｙ´| , '　, ､ , ,.　　,＼ っ
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 >|`､|　| 寸TﾊT７}ﾄi　　　〜♪
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 Vl l |（＞）（＜）|ﾊ|
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 V|(^ju. ▽' 　!　(⌒1
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 丶i--､┌ '　　/::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／´.:.:::::::へ::｀ヽ/::::/
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／.:::／}:: ノ´￣|＼::::/
　　　　　　　　　　　　　　　 　 {::::::く_　|　　　 　:　　　　　　　 「どっぴゅーっ♪」
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ( ﾉ⌒}j 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／´　　 ｌ　　 ヽ　ー=､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ 　 　|　　　　／.::::/
　　　　　　　　　　　　　　／　　　 　 ｀'i‐┼一= " /:::::/
　　　　　　　　　　　／／ 　 　 　 ＿ノ.:::/　　 　 /:::::/
　　　　　　　　　 ／／　　　　　/　(::::／　　　　/⌒ー=､
　　　 　 　 　 ／／　　　　／　{＿/　　　　　　(二ニﾆ) )
　　　　 　 　 　 　 　 　 ／／
　 　 　 　 　 　 　 　 ／／
　　　　　　　　　　　 ／／　　　／

796： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:39:17 ID:1GJZMUf.00


.　　　　　　 .／　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
.　 　 　 　 /　/ 　　　　|　　　　　　　ヽ
　　 　 　 /　　　　　 　 l!
.　 　 　 /　　　 |　　　 ハ　　 l　 　:ﾄ､　i　　　 　 　 l ；
　 　 　 ′ :| 　 l!　　　l　|　　 |､　　|　'. | 　 　 　 　 l
.　 　 　{　　|　 八--=イ八 　 ト＼N-､lィ 　 　 　 　 l
. 　 　 ∧　 |＼|　＞＜　　＼_j 　＞- 、!　　　 　　　| ；　　　　「……はぁ、はっ、はぁ……」
　　　 {　 ,　|　 ',〈 　ﾋ} }　u.　　　{ ﾋ}　 〉　 　 l/ 　|　;
　　 　 　 　 　 ハ　　　　　　　 　　iiji ﾚ′ 　 　 ﾊ/　　　　　　 「……だ、だか、ら……
　　　　　　∧　　ﾄu　　　　'　　　　　ｕ/.　 　 　 /　　　　　　　 まって、って、言って……」
　　　　 　/ ∧　 ヽ　ｕ　 ＿＿ 　 　 /イ　　　 / ；
.　　　 　/ 　 ∧ 　 ＼　‘ー― ’　u. イ|　　　/　　　　　　　　　「……ばたん、きゅー……」
　　　　 {:　　　 l　　 | ｀　　 　 　 ＜／ |:　　/⌒) ､
. 　 　 　∨　　 l　　 l//,ゝ｀ﾆ´　＜///:!　 //7///＞ ；
　　　　　 V　　ハ　 |// γ　 ∨/////|　 l｀ ＜///////＞､
　　　 　 　}. 　 　 ＼!/　 ゝｲ　.|V////:|ハl　　　￣￣／　　 ＼ ；
.　　　　　/　　 　 　 　 　 　 　 ! ∨/／　 .|　　　　　/
　　　　 /　　　　　　　　　　 　 | 　 ´　　　　　　　　/


　　　　　┌────────────────────────┐
　　　　　│結局ノエルは、少女の目的地らしき、　　　　　　　　　　　　..│
　　　　　│基地はずれの少し小高い丘の上まで、　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│全力でランニングするハメになってしまったのでした。　 　 │
　　　　　└────────────────────────┘

　　 ┌─────────────────────────┐
　　 │出不精故に運動不足、覚悟不足故の不測な運動は、　　　....│
　　 │ノエルには相当こたえたようです。　　　　　　　　　　　　　　　...│
　　 └─────────────────────────┘


　　　　　　　 ┌──────────────────┐
　　　　　　　 │汗はダラダラ、喉はカラカラ、　　　　　　　　..│
　　　　　　　 │息はゼエゼエ、体はクタクタに　　　　　　　　│
　　　　　　　 │なってしましました、ばったんきゅー。　　　　│
　　　　　　　 └──────────────────┘


.

797： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:41:05 ID:1GJZMUf.00


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -─-- ミ ＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ 　 _-‐ ￣　　　　二￣ . ミ
　　　　　　　　　　　　　　 _,. .-──＜￣￣＼Уx＿＿ ｀ヽ ｀ヽ、
　　　　　　　　　　 　 , .＜　　　　　　　　｀　＜y　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 　　ヾヽ、
　　　　　　 　　 イ｀　 、 　　　　　　　　　　　　　　V　　　　　　　ヽヽ、
　　　　　 　 .／　 ／　　　ヽ　　　 　　　　　　　　　V　　　　　　　ム ヽ
　　　　　　./ 　　/　　　　 ／i 　　　　　　　へ　　　ﾊ　　　　　　　 ﾊ　Y
　　　　　 /　　 /　　　 ／　　V /　　 /　　　　　　　 !　　　　　　　　!.ﾉ
　　　　　,　　　!　 乂_/　　　 !i　　　,ｲ　　　　　　　　} 　　　　　　　 !
　　　　　!　　,.ｲ　.／ i `"　　!,!: :七丁　　　　/　　　.!　　　 　　　　.!
　　　　　|　/　! ,ｲ　　.i　 　 / レ'　　|　　　 ,ｲ ／　/　　　　　　∧/
　　　　　 V　 .人!　＼i　　/ 　 ＿＿.|　 .∠,ｲ　 ／　　　　　　/　 '
　　　　　　　　　人''''　レ' 　　　　,,,,u.!／　　)イ　　　　　　／
　　　　　　　　　　　＞　_　　-っ　 ＿_＿_イ　/　λ 从　/
　　　　　　　　　　　　｀>｀二二二´-― ,´《.　i　/　ｿ　 ソ
　　　　　　　　　　　　 ｀ t二二二二二／:::＼V
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　.r `"!　.ﾉ .ﾑ.、::. ＼　　　　　　　　 「……ついた〜〜〜！！！」
　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾏ.！ ！ /　　.! y .::.　)
　　　　　　　　　　　　　 /　!　!　.! /　　 ,!　ﾍ::／
　　　　　　　　　　　　／　　!_i　.!_/　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　 ／ ./　　 V　V　　 　　 　 　_>　　　　.┌────────────────────┐
　　　　　　　　　　 ＼/ 　　　　　　　　　　＿／　　　　　 │目的地っぽい所についた喜びと達成感を、　　　.│
　　　　　　　　　　　　｀"｀ヽ＿＿＿__イ￣　　　　　　　　.│少女は、大声と笑顔と全身で、表現して。　　　　.│
　　　　　　　　　　　　　　 .i::::::::,　!:::::::/　　　　　　　　　　└────────────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　！:::::,　,:::::::/
　　　　　　　　　　　　　　 .!:::::i ./:::::/
　　　　　　　　　　　　　　 廴」 廴./









///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i ；
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ ＼ 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　u.　　　　　 ｀ iiji ´　 　 ′　/　　　ﾘ
///////|　　　　　　　　　 　 　 ／　　/　　/ /
///////|　　　 　 　 　 U 　 ／　　　/　　/ /
///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ　　　　　「……子供、って……元気だなあ……」
///////|⊃　　　　　　　 　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {
///////| 　 　 　 　 u, 　 イ |　　　　　 {
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ ；
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :. ；
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉


　　　　　┌──────────────────────┐
　　　　　│まだまだ、少女と言える年齢のノエルは、　　　　　 　 .│
　　　　　│年齢にそぐわないぼやきをつぶやきながら、　　　 　 .│
　　　　　│そそくさと大きな木の陰にもたれかかりました。　　　...│
　　　　　└──────────────────────┘


.

798： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:44:30 ID:1GJZMUf.00




　　　 ┌──────────────────┐
　　　 │ノエルのいる基地から外を眺めた時、　　.....│
　　　 │たまーに見えた、大きなのっぽの木。　　　 .│
　　　 └──────────────────┘


　　　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　　　│そう言えば、遠くから見たことはあっても、　　　....│
　　　　　　　│実際に近くまできたのは、はじめてでした。　　　 │
　　　　　　　└────────────────────┘




　　　 `　　　　　　　`　　　　;;ゞ ;" "ヾ; ;ヾゞ: ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞゞ:; ;ヾ ;;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛"ゞ ;　　　　.
`　　　　　　　　　`　　　　 "ゞ ;ゞ゛ ; ;ゞ:ヾ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;",,ヾゞ:ヾヾ.: ;;;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞ　　 `
　　　　　　`　　　　　 　 　 ;ヾ ; ;;;ゞゞゞ,,ヾ;;ゞ ;""ゞ ;ゞ゛　; ; ゞ,ヾ;;ヾヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., ;　　　　　　　　 `
　`　　　　　　　`　　　 ;;ゞ ;;ゞ ;"ヾ.:,,ヾ ;";ヾ.: ;ヾ ; ;;;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ; ;;　 ::;
　　　　　　　 `　　 　 "ゞ ;ゞ゛ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;"; ;ヾ ;ゞ ;"ヾ.: ; ;ヾ;;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞ "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞ
　　 　 `　　　　　　　 ;ヾ ; ;;;ゞゞ ;" "ゞ; ; ; ゞ:ヾヾ.: ;ゞ;; ;ヾ ; ;ゞヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., ;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ;　　　　 　 　 `　　　　　　　`
　　　 　 　 　 　 ;;ゞ ;" ;ゞ ;"ヾ.:;ゞ;ゞ ;ヾ ;ヾ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞゞ:ヾヾ.:; ;ヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ; ;ヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., ;　　　`　　　　　　　　　`
　　　　 　 　 　 "ゞ ;ゞ゛,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;" "ゞ;;ゞ ;" "ゞ ; ,,ヾ ;";;ゞゞ:ヾヾ.: ;ゞ;ゞ ;ヾ ;ヾ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞ　　 　 　 　 　 　 `
　　　　　　`　;;ヾ ; ;;;ゞ;ゞ ;" ";;ゞ ;" "ゞ ;ゞヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ.:,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;" "ゞ ;ヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., ;
　　　　　`　　ヾ;ゞ ;"ヾ.:;ゞ;ゞ ;ヾ.: ; ;ヾ ; ; :; ;ヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ;; ;ヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ; ;ゞ;;ゞ ;" "ゞ ;ゞ゛ ; ; ゞ;　 　 　 　 　 `　　　　　　　`
　` 　 　 　 　 ; ;,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;"; ;ヾ ; ;ゞ ;"ゞ:ヾヾ.: ;ゞ;ゞ ;ヾ ;ゞ:ヾヾ.: ;ゞ;ゞ ;ヾ ;ヾヾ.: ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., ;
　　　　　　`　ゞ: "ゞ ;ゞ゛ゞ ;ヾゞ:ヾヾ.: ;ゞ"ゞ ;ゞ゛ヾ;;;;|iiiiiiii::"ゞ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;" "ゞ ;ヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ; ; ;
　　　　　`　　,,ヾ;ヾ ; ;;;ゞゞ ;" ",,ヾ ;";ヾ;ヾ ; ;;;ゞゞ ; |iiiiiiii::::::ゞ;;ノ;ノ　 ゞ:ヾヾ.: ;ゞ:ヾヾ.: ;ゞ;ゞ ;ヾ ;ヾ　　　　 　 `
　　　　　　　　 ::;;ゞ ;"ヾ.:ヾヾ.: ;ゞ;ゞ ;ヾ ;;ゞ ;"ヾ.:.　 |:iiiiiiii:　 :::ゞ;;ノ;ノ″,,ヾ ;";ヾ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;" "ゞ ; 　 `
　　　 　 　 　 　 　 　 ,,ヾ ;";ヾ; ;ゞ ;" "ゞ ;Y　　　　|:iiiiiiii::::::::: |　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 `
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 　 　 　　 |:iiiiiiii:.　 :::::|,　 　 　 `　　　　　　　`
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,....,,.,　 ,,,,,.,.. ,,.,.. ,....,....,,.,　 ,,,,,.,.. ,,.,.. ,.... ,.,.. .. ,....,,.M|M|iMiiii;;ii:;iii;;|,,.. ,,.,.. ,.... ,.,..,.. ,,.,.. ,......`,.,.. .. ,....,,.,　 ,,,,,.,.. ,,.,.. ,.... ,.,.. .. ,....,,.,

799： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:45:33 ID:1GJZMUf.00


　　　　　　　　　　　　　　　／≧　V　≦＼
　　　　　　　　　　　　　　 _ ‐'"´　 ¨¨　　ミﾐ＿
　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　 ﾐ=-
　　　　　　　　　　 ／　ィ　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　／ イ/ 　 /　　　　l　　　　　　　 ＼ ﾐ=-
　　　　　　　　　　　 /　//　　/　　l　　l　　 l　　　 ＼ﾍ
　　　　　　　　　　 /　/ l　 // 　 l　l　 l　 l　l 　l ﾍ　丶ﾐ
　　　　　　　　　　　　　l　レlﾌﾍ　lﾊ　lﾍ 7-=l_　l　l　ﾑ　l
　　　　　　　　　　l ﾊ　ヽィf刋气 ﾘ　l .lｲ斤気 l l 　l 　 .l
　　　　　　　　　　| lヽヽ 从 込ﾂ　　 l/　込ツｿ 　/ﾊ　 l
　　　　　　　　　　liヽlﾍ＼＼,,,,　　　、　　,,,,　// /　l ./l　　 「ねぇ、ノエルお姉ちゃん！
　　　　　　　　　　　　　ﾍ ﾍﾍ　　 、‐-,　　／//l/　l/　　　　 今日はなにしてあそぶー！？」
　　　　　　　　　　　　　 l＼.≧　.、_　 _　ィ≦/l
　　　　　　　　　　　　　　从／::::|-----|≧ﾊ 从
　　　　　　　　　　　　　 ＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞
　　　　　　　　　　　　／;;;;;;l `　、::::::::_,,. -‐''"´l;;;;ヽ


　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　│疲れ知らずで遠慮知らずな少女は、　　　　　 　 .│
　　　　　│ぐったり休んでるノエルを誘ってきました。　　　　│
　　　　　└────────────────────┘




　　　 　 　 　 　 /　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　　　　 　 ' 　　/ 　 　/　 　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　 　　ｉ　 　' 　 　/l 　 　 l 　 ﾄ.　　　　　　 l　｝
　　　　　　　 　l　　 　ﾊ-/‐l , 　　|、 」_!　 ,　　　　 | /
　　　　　　 　 八 　∨ ｊノ　.|ﾊ. 　 | ヽﾊlヽ/　　　　//
　　　　　　　　　 ヽ ハ ヾﾋテ'　＼|｀ﾋテ>ﾊ　　　 /, |
　　　　　　　　　　 |　 ゝ　:::::　 　 　 :::::　厶ｲ　 /∧|
　　　　　　　　　　 | 　∧　u.　 ′　　　　 _, l　 '/　　　　 「……ゴメン、ボク、ちょっと……疲れたんだ」
　　　　 　 　 　 　 И　　ト.　　 c 　 　u.イ/: l　/
　　　　 　 　 　 , -‐ﾍ. 　|l　｀≧=-＜__|_厶　 ∧　　　　　「だから、遊ぶのは……少し、休んでからね……」
　　　　　　　 ／＞ ､　ヽ|｀丶､　　　　/　/　∧厶ヽ
　　　　　　 /⌒′　 ＼　 　 　 ー=≠＼^ ｲく/　＼>､
. 　　　　　/　　 　 　 　 丶 、　　　 　 ／ヽ 　}　 　 }∧
　　　　　 {　＼　　　　 　 　 |｀ ーｒ‐ ´ 　 | ＼!　　 /　}




　　　　　 ┌────────────────────────────┐
　　　　　 │ぐったりな上にだるいノエルは、ふたつだけ、嘘をつきました。　　......│
　　　　　 └────────────────────────────┘


　　　　　　　　　┌───────────────────────┐
　　　　　　　　　│一つ目の嘘は、ちょっとどころじゃなく疲れたこと。　　　 │
　　　　　　　　　│二つ目の嘘は、「少し休む」時間が、　　　　　　　　　　　..│
　　　　　　　　　│おそらく少女が予想している長さとは　　　　　　　　　　.....│
　　　　　　　　　│大幅にズレがあることでした。　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　└───────────────────────┘


.

800： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:47:27 ID:1GJZMUf.00



　　　　　＿__　　　 ＿__
　　　＿＞　｀＞'´　＜
　＿>,　　 ,. -─-ー-
　＞　　.-'"　／　|　　　｀ヽ、
　 /　 /　　,.ｲ:＼ |　　 ﾄ､　,ヽ
　 |　 ｲ-'"ゝ｀ヽ、|　ノﾘ-|　|　',
　 }　/: :／　|￣｀　　 ＿_ ﾘ　 |
　そ|: /: : : : ヽ/￣　､ ｀ヽ Y　|
　　 ヽ!: : : : : : ＼＿ ﾉ　〃/　!
　　　 `'､: : : : : :{: △ 二ﾘ ﾙ|/　　　「……うんっ、わかったー！」
　　　　　',: :　　　　　|: ＼　 　ﾉ
　　　　,.-':　　　　　　 ',: :＼
　　　 くヽ　　　　　　　ヽ: :ｲ
　　　　 ゝ､　　　　/_,.イ-'"
　　　　{ノ　`ー─┤=j
　　　　　　　　　　 `ｰ'



　　　　　┌────────────────────┐
　　　　　│遠慮はないけど、聞き分けがないわけでも　　　..│
　　　　　│ない少女は、ノエルのちょっとした嘘を、　　　　....│
　　　　　│素直に信じて、一人でかけだしました。　　　　　...│
　　　　　└────────────────────┘


　　　　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　　　　│本当に元気いっぱい、疲れ知らずな子だと、　　　...│
　　　　　　　　│まだ幼いころから運動不足なノエルは、　　　　　　 .│
　　　　　　　　│ちょっぴりだけ、関心しました。　　　　　　　　　　　....│
　　　　　　　　└─────────────────────┘


.

801： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:50:42 ID:1GJZMUf.00


　　　　　　　　　　　 ＿　 　_,
　　　　　　　　　＿__,＞ Ｙ´'ー-､
　　　　　　　　＿>ｚ二_　＿__`ー≧＿_
　　　　　　　　＞┴'´￣｀ ‐-､￣ ７ ＜
　　　　　　 ／　　　　　　　 ヽ ｀Ｙ′之＞
.　　　　　 /　 ,　　l、　、 ,　､ |　 ヽ　}<
　　　　　 ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸 |　　}ノﾍ　））
　　　 （（　,ﾍ, |（＞）　（＜）　/ / ,/　/
　　　　　　'､ `|'''' r-‐‐┐''''.「)'/|/　/　　　　　「……どどっぴゅー♪」
　　 　 　 　 ＼ヽ､ヽ､__,ﾉ　_,.ィT/=/
　　　　　　　　<　l 7Eニ::ィ1　 　 〉
　　　　　　　　　ゝ'ｲ／ヽ::::｀ ､ ／　　＝
　　　　　　　　　　 i´￣ ｀ヽ::|
　　　　　　　　　　j| 　 　 　 <　　　　＝
　　　　　　　　　／　　　 ヽ　 ＼


















///////|　　　　 　 　 　 　 　 　　 　ヽ　　　　 ヽ
///////|　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｙ　　　 　 .
///////|　　　　　　　　　　　　　 ｉ
///////| 　 　 　 ′　　 　 　 　 ｉ}　　　 　 　 Y　　i
///////|　　　　/　　　　　 　 　 ﾘ　　　}　　　 ｉ　　|
///////|　　/ 〃　　　　　　 　 /　　　　 　 　 |　　}
///////|　イ_/ {＿　　 　 　 ｲ/ 　 　 /　　　　|　 /
///////| 　 　 　 　 ￣_ 二 」〈　　 //　　　 　i| ./
///////| 　 　 　 　 〃(ｒ:::::ﾉﾘ＾≫ｲ/　　　　　ｌ}/
///////|　　　　　　　 ｀ ー ´　 　 ′　/　　　ﾘ
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///////|　　　　　　　 　 ＜ ＿　. イ　　/イ
///////|ヽ　　　　　　 　　 ｉ　 　 　 　 ﾊ {
///////| 　 　 　 　 　 　 イ |　　　　　 {
///////|＿　　　 -‐　　／: :|　　　　/ハ
///////|　　 　 　 　 ／: : : :ｉ　　　 /＼
///////|＿＿_ 　 ／: : : : : :ｉ　 　 /: : : 〉_
///////|: : : : : : : : : : : : : : :.　　 /: : ／: : :＼
///////|: : : : : : : : : : : : : :.ﾉ　 }/: : : : : : : : : : :.
///////|: : : : : : : : : : : : :ー:イ/: : : : : : : : : : : : 〉




　　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　　 │なにが楽しいのかよく分からないけど、　　　　　　　　　....│
　　　　　 │なにか楽しそうに走り回って遊ぶ少女を、　　　　　　　　..│
　　　　　 │ノエルは木の陰の下で、じーっと眺めてみました。　　......│
　　　　　 └───────────────────────┘

　　　　　　　　 ┌───────────────────┐
　　　　　　　　 │少女にとっては、けんめいでいそがしく。　　　 │
　　　　　　　　 │ノエルにとっては、のんびりだらだらな　　　 　 │
　　　　　　　　 │時間が、ぼーっと過ぎていきます。　　　　　 　 │
　　　　　　　　 └───────────────────┘


.

802： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 03:53:11 ID:1GJZMUf.00



　　　　　┌──────────────────┐
　　　　　│まったりした時間とぐったりした体は、　　......│
　　　　　│隙さえあれば、ノエルを夢の世界へと　　　 .│
　　　　　│連れて行こうとします。　　　　　　　　　　　　..│
　　　　　└──────────────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　 _..　　 　￣　｀　　 ､
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　 　　 　 l　　ヽ
　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　 　ﾊ　 　 　 　 l　',　,ﾊ
　　　　　　　　 /　　　　　　　　 　,'　} 　　 i　,　|　 l　　',
　　　　　　 　 ,'　　　　　　 {　　　iv‐jﾙ―'＾ｰ' ┤　j　　 :.
　　　　　　　　　　　　　　 rﾍ-‐‐'　　　　　　　　 ｀ヽ 　　l　　　　　、. ,
　　　　 　 　 l　　 　 　 　 |　,x=＝ミ｀　　　´r＝ミ　从　i{　　　　　 。
　　　　 　 　 | ｌ　　　　 　ｌi　　　　　　　　　 ､　　　 |　　 h　　　〜
　　　　 　 　 ! l 　 | 　　 八　　　　 　 　 　 　 　 　 i 　　 |
　　　　 　 　 ',　　 }　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　 ,　 　 |
　　　　　 　 　' , V　　　 　　 ＼　 　　　r'つ　　　 八　 N
　　　　　　　　　)ﾉ{　　　　　|⌒　　 　　 ´　　　 . '　　 /
　　　　 　 　 　 　 ﾄ. 　 　 　｢ヽ.　　　　　　　 ／l　　V　　　　　 「……こくり、こっくり……」
　　　　 　 　 　 　 j八　　　 |　　 ｀　　..__　イ∧}i　　 }
　　　　　　　　　　 厂j∧ 　 |　　　　　　｢｀ヽ,'　 !　 v'＼
　　　　　　　　　_/ 　｛　‘， ｢｀ヽ　　___厶イ 厂 |　/＞　＞
　　　　　　　／　 　　 ヽ　ヽ{　　 　　　　　　 Y´j/ ＜"´
　　　　　　｛　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,ｲ 　 ', 　〉、
　　　　 ／::｀ヽ　　　　　　　＼　　　 　 ／　|　　 ﾚﾍ::::＼
　 　 ／::::::::::／＼　 　　　　　 ＞-‐一′ ,∧ 　 | : : ＼:::ヽ
　　/´ ヽ::::/ : : : : ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼/: : : : : :Y^}


　　　　　　 ┌──────────────────────────┐
　　　　　　 │うつらつらつら、もう眠ろうともうろうとする　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　 │自身の意識に、ノエルは思わず身をまかせたくなります。　　　..│
　　　　　　 └──────────────────────────┘

.

803： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 04:00:37 ID:1GJZMUf.00


　　　　　┌──────────┐
　　　　　│でも、そのたびに、　 　 .│
　　　　　└──────────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／＼
　　 　 　 　 　 　 　 _ 　 ‐ 　 　 ¨¨¨¨¨　 　 ‐　 _　　　　　　 ／ 　／
　　　　　　／´￣｀ヽ　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　　　　＼／ ／>
.　　　 　 /　　　　　 }── ´　　　　　　　　　　 　 　 ＼　　　　　<／
　　　　 / 　 　 　 　 }───　　　 　 　 　 /|　|　 　 　 '　　　　┌─┐
. 　　　/　　　 　 　 / 　 　 　 ./ 　 　./　　/ .|　|　　　　　'　　　 └─┘
　　　/　　　 　 　 ∧　 　 　 / 　 　./　　/ -‐- ､ 　 　 　 ',
　 　 |　,　　　　　 |　＼　　　| 　 　 .! 　´　 　 Ⅵ |　 　 　 !＼
　 　 |/|　 　 　 　 ',　　 ヽ　│　　　|　/ 　_ｨ=ﾐ､! ﾄ､　│|│ヽ}
　 　 | ｛ 　 　 　 ＼',　　　　│　　　|　!　〃　 ヾ}｀　＼|∧|
　　　　|　 /　　　 | ＼　　　│　　　|　! f7 　 　 }　　 　{
　　　　|. /　 ｛　　|　　 　 r‐.|　! 　 .|V .{i{　　 　 __ 　 　',　　　　 「……あれー？」
　　　　|∧　　＼. |＼　　 {　.!∧　　|.　　　　　 /　 ¨ j 　' ,
　　　　l .∧　 　 ＼　｀ ｰ ＼| | Ⅳ.│　　　　　{　　 ノ　 ノ　　　 「お姉ちゃん、ねむたいのー？」
. 　 　 　 {　＼　　　＼ ______r┤! ∨!＿＿＿ ,. ゝ　z　'´
　　 　 　 ＼　|｀ ￣￣　　 　.〉!/　 ＼　ﾆ=‐　　 　 ﾌ
　　 　 　 　 ヽ〉　　 　 　 　 'z─‐ z‐.z────〈 ,r‐ r‐､
　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /: :/: : : : : :＼_:／: : : :〉´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -――…　─‐-
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　　　　　　　　　　 : ｉ　/　　　　│　 　 | 　 │ｉ:　　　 |:ハ:. 　 ! 　 :|　　　i
　　　　　　　　　. : : |　ｉ　　　　　　　　/| 　 │ｉ| 　 　 | ゝ| i　_|　　:|　　　|
　　　　　　　　: : : : :|　|　　　　　|　 lＶ ｣ 　 イ│　　 ｉ|　_j厶斗　　|　　　|
　　　　　　　 : : : : : ∨l　　 　 　 　 j／仏....⊥从＿/ﾘ　ィぅ:::ｿ└rﾘ　 　 |　　 「……ううん、ちょっと目をつぶってた、
　 　 　 　 　: : : : : : :j八　　 　 　 ∨≪　う:::ﾝヾ　　　　　　　　　 ﾊi　　　　　　 だけだから……問題はないよ、うん……」
　 　 　 　 　: : : : : : :|/ハ　　　　　丶、 　 ､､､　　 　 　 　 　 　 　 　 /:/
　　　　　　　: : : : : : : : : :.＼|:::.　　 　 ＼　U 　 　 　 ｀ 　 　 　 厶 イ|/
　　　　　　　　: : : : : : : : : : :|::::: 　＼ 　　＼　　 　 _＿_＿_....イ::::::　|
　 　 　 　 　 　 : : : : : : : : : :|::i:　　　　ト､￣..::::::'"´　　　　 　 ￣ ＼|


　　　　 ┌───────────────────────┐
　　　　 │ノエルの様子を、ちょこちょこっと見に来る少女に、　 　 │
　　　　 │無自覚で無意識な牽制をさされたり。　　　　　　　　　 　 │
　　　　 └───────────────────────┘

804： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 04:04:30 ID:1GJZMUf.00


　　　　┌─────────────┐
　　　　│あるいは、ノエル自身の、　　.....│
　　　　└─────────────┘


　　　　　　　　　　　　-‐ｧ=ー-ミ
　　　　 　 　 　 ／　 　〈 　 　 　 ＼
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 /　　/.　　 |　　　　 i 　∧
.　　　　　 　 |　　 |｜ |/|　　|i|　 |　　 |
.　　　　　 　 ｌ　　 |人_|‐L.」_j七ﾉ|　　 l　　　(……ひと眠り、しちゃいたいけど、
　 　 　 　 　∧　　、‐tｯ　 　 tｯ‐|　 |/　　　 こんな小さな子供を放っておいて、
　　　　　　　　ﾍ ＼〉::::..... , ...:::::..i|　 |　　　　自分だけぐっすり、寝ちゃうのもなぁ……)
　　　　　 　 　 ハ　|、u　 __　　.ﾉ|　 |
　　　　　　　　　 |　|_〕ト　_ . イj/| |/
　　　　　 　 　 ノ}ヽ|￣＼___,ノ⌒|ﾉ⌒＞
　　　 　 ,x＜二＼　　　　 　 　 〈　7´二>､　　　(……ボク、一度眠ったら、なかなか起きられないし……
.　　 　 /　　　　　 ＼＿＿　　／∨　　　｜　　　そしたら、外が暗くなっちゃうし、この子にも、置いてかれそうだし……)
　　　　|　　 ',　　　 　 　 ＼／　　　　 /　 |
　　　　|　 　 ∨　　　 　 　 |　　　 　 /　　l|
　　　　|　　　 [￣￣]　　　 |　 [￣￣]　｢う|


　　　　　┌───────────────────┐
　　　　　│できれば、なるべくなら居眠りねむねむ　　　....│
　　　　　│したくない思いも、あったりなかったり。　　　.....│
　　　　　└───────────────────┘


.

805： ◆HD5ItXoLGM：2019/06/12(水) 04:08:18 ID:1GJZMUf.00


　　　　　┌─────────────────────┐
　　　　　│……その時です。ふと、ノエルは思いました。　　　 │
　　　　　└─────────────────────┘


　　　　 /.. .: : : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : 丶
　　 　 ,′.: : : : : : : : : : : : :::|: : : : : : : : : : : : : : : : : : i}: : : : : : : :::.
　.　　/ . .: : : : : : : : : : : : : ::|: : : : : : : : : : : : : : : l : : i}: : : : : : : : :::.
　 　 ′.: : : : : : l: : : : :/| : /|: : : : : : : : :|: : : : : :｜: ::i}: : : : : : : : : ::i
　　/ . .: : : : : : ::! : : : :{ | /　: : : : : : : : :l: : : : : : :ﾄ; : ｉ}: : : : : : : : : :::l
　 ,'. . .:: : : : : : : ! : : : :| l;′ i: l : : : : : : ｌ: : l: : : : | '; :ｉ}: : : : : : : : : :::|
　 l. . .:: : : : : : :/! : : : :|　 　 И: : : : : : :| : ;i: : : : |　ﾚl : : : : : : : : : : |
　 |. . . : : : : : : | ￣￣　　　　 ｌ : : : : : : |／l_:_:_:_:| 　 !: : : : : : : : : : :|
　　. . l}: : : : : : l　　　__ノ …　￣￣￣ …　＼__　 　!: : : : : : : : : : ;
　 ヽ. .l: : : : : : :| 〃＾f炊卞、　　　　　　rf炊ﾃ坏｀ヽ.,': : : : : : : : : : ,
　　 ∨: : : : : : :!　　 弋zツ　　 　 　 　 　 弋zツ　　′ : : : : : :｜:/
　　　|. . : : : : : |　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 / : : ; : : : : : :|:,′
　　　ｌ. . : : : : : ﾄ, 　ﾍﾉﾍﾉ　　　　 、 　 　 ﾍﾉﾍﾉ　': : ::/: : : : : : :;′
　　　|. . : : : : : |ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　 / : ／: : : : : : :/　　　 (……あれ？ どうしてボク、「寝ちゃうかも」とか、
　　　|. . : : : : : |込　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ムイ: : : : : : : ;ｲ{　　　　外が暗くなる事とかを、心配しているんだろう……？)
　　　|. . : : : : : |/∧　　　　　 　 __ __　　　　.u　　从: : : : : : ハヽ、
　　　|. . /i : : : |//'{ﾍ、　　　　　 　 　 　 　 　 ／//i}: : : : :/　 丶 ﾆ=-
　　　|. /　l : : ::!/　∨≫ 、　　　　　　　　 ィ//}'///|: : /l/
　　　|/　　l : : :|　／∨i}/|　　　　_ 　 　 　 |'/ ﾚiﾙ'/!: /⌒ヽ、　
　. 　 　 　 l/l／　{ 　 ＼ir! 　 　 　 　 　 　 !／　　ﾚ| ;′　／⌒ヽ＿
　　　　　　 ＿＿yv　　　||ー‐==ニニ＝彡'ｌ|,へ　　　ヽ　　　　／⌒ヽ
　　　　　／⌒ヽ／ 　 　 ||　　　　　　　　　 ||　　＼　　}-＝-≪
　 　　／　　　　 ＼　　　||　　　　　　　　／~　　　 ヽ〃　　　　＼


　　　　┌───────────────────┐
　　　　│それは、ノエルの、自分自身の、　　　　　　 　 │
　　　　│心の動きに対する、素朴な疑問でした。　　　 .│
　　　　└───────────────────┘


.
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