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雑談・SS投下スレッド

1管理人 ◆HF/rUAjdsg:2013/01/09(水) 00:06:38 ID:zbnzpDMo0
雑談およびSS投下用にお使い下さい。
要は本スレ同様に使って頂ければおk。

300玄米茶:2020/05/09(土) 05:15:13 ID:rqT4Q1HM0
心に話す女にもう一人の女は煙草を吹かしながら聞いた。
「あのさ、ドーパミンが快感をくれるって言うけどさ、
 煙草を吸った時以外では、どんな時にドーパミンって出るわけ?」
『たくさんあるわよ。
 好きなことをしているとき、成功したとき、褒められたとき、
 やる気が出ているとき、美味しいものを食べたとき、
 恋愛しているとき、セックスしているとき、それから…」
「そんなに!?もう人間なんて、
 ドーパミンっていうご褒美をもらうために生きてるようなものね。
 ん?ということは?
 もしドーパミンを脳に溢れさせるクスリがあったら…
 いろいろしなくてもハッピーになれるってこと?」
『ある意味そうね。
 人間のなすことの多くがドーパミンによる快感のため。
 だとするなら、
 ドーパミンを出すクスリが人生の優先順位の1位になっても、
 何の不思議もないわ。
 モラルよりも、名誉や財産よりも、友達よりも、家族よりも。
 高邁な勉学や達成のための努力なんて、ゴミクズみたいに思えるかも。
 なぜならクスリが、
 それらを上回る幸福を与えてくれるんだから。』
「けはははは!」
聞いていた女はケタケタと笑った。
「なるほどね。
 あたし、知ってるかも。そういうクスリ、そういう連中!」
『でもそれは幸福の前借り。行く手にあるのは…
 そうそう、脳は一度覚えた強い快感を決して忘れはしない。
 覚えた快感を得る術を反復できないとストレスにすらなる。
 だから、また欲しくなるの。
 強烈な幸福を生むクスリならなおさらでしょうね。』
「あたしはニコチンで十分さ。」
女は口を大きく開けて、煙草の煙を吐いて見せた。

301玄米茶:2020/05/09(土) 05:15:36 ID:rqT4Q1HM0
プスリ

皮膚にステンレスの切っ先が突き刺さる。
人間を細菌などの感染から強固に防衛している皮膚。
その皮膚に容易に穴を開け、さらに皮下の奥へと沈み込んでいく。
先端は血管壁を破り、有害物に暴露されてはならない血管の中に顔を出した。

グググ…

シリンダーが押され、筒状の容器の内容液が針の先端から血流に乗る。
もはや回収できない。
放出された液体は血液に乗って心臓を経由し脳へと至った。
快の伝達物質であるドーパミン。
それは脳神経細胞抹消に存在する放出用の調整弁と回収用の調整弁、
すなわちトランスポーターと呼ばれる器官によって、
正常な噴射量が維持されている。
投与された物質の標的器官はまさにそれであり、
早々にそれらの器官の正常な動作は阻害された。
放出を担うトランスポーターはその調節機能を失い、
壊れた蛇口と化して、ドーパミンの異常な放出を始める。
回収を担うトランスポーターに至っては、
大きくこじ開けられてもはや回収の用をなさず、
逆にドーパミンを大量に漏洩させる放出口へと変貌する。
脳神経細胞の間隙に異常に噴射され、そして回収されずに充満するドーパミン。
受容体は通常の量を遥かに超えるドーパミンに暴露され、
脳神経細胞は途絶えることのない悲鳴のように快を連呼し続けた。
狂った量の快、狂った回数の快。
まるでオモチャのスイッチが、子供に壊れるまで押されるように。

… アア シアワセ …
… アア シアワセ …

人体の防衛機能、ホメオスタシス。
異常な量のドーパミンに対抗するため、脳神経細胞は受容体を減らす準備に入った。
同量のドーパミンの暴露を受けても、受容体が少なければ、異常な快は生じない。
しかしそれは、通常のドーパミンの噴射量ではもはや、
これまで得ていた通常の快が得られなくなることをも意味した。

常態的な倦怠。常態的な脱力。常態的な無気力。

そうなった時、逃れる術がひとつある。再投与。
もし今回と同程度の異常な快を欲すれば、今回以上の量の再投与。
もっと。もっと。もっと。

… アア シアワセ …

その人間は幸福の中にいた。

302玄米茶:2020/05/09(土) 20:31:47 ID:EaZDP6EA0
【追加 295と296の間に投下漏れがありましたので投下します】

それから数日後の夜。
バーで会話をする男女の姿があった。
徹と弥生である。
「メールをもらったときは驚いたよ。
 まさか俺と話しがしたいだなんて。」
「成人式でみんなと会っているうちに、徹君とも話しがしたいって思ったの。
 連絡先、友達にこそっと教えてもらっちゃった。」
「全然構わねぇさ。
 それにしてもすごかったぜ、成人式でのお前の演説。
 よく決意したよな、あんなこと話すの。」
「そう言ってもらえると嬉しい。
 でもみんなの晴れの成人式であんな暗いこと話してごめんなさい。」
「謝ることなんかねぇさ。
 どうしても伝えたかったんだろ?聞いてて伝わって来たぜ。」
「うん、ありがとう。
 私なんかのことより、徹君のこと聞きたいな。
 建設の現場で働いてるの?稼ぎもすごいとか。
「おうよ!仕事はキツイけど、他のやつよりいい稼ぎしてぜ。
 親分も俺のこと気に入ってくれてて。」
「へぇ〜そうなんだ!
 それで募金もたくさん振込んでくれたのね。
 すごい金額でびっくりしちゃった。ありがとう。」
「大したことねぇって。」
「これも噂で聞いたんだけど、結婚するの?」
「よく知ってんな。
 うちの親分に娘をもらってくれと言われてよ、
 トントン拍子に話しが進んじまってる。」
「すごいね、人生がどんどん先へ進んでる。」
二人は幾ばくか話しをして店を出た。


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