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俺「ストライクウィッチーズと洒落込もうか」

1名無しさん:2013/04/07(日) 02:07:57 ID:qhlpEsaY
ストパンの世界に俺を入れてイチャイチャしようずwwwwwwwwww っていうスレ
         ∧
         / |
        〃 .|
       .//  |           ___ _,. イ
      / |  /  _ __     /       /
      ( |. /; ; ; ; ; ; ; ;.;.;>、/ /    /
      ヽ.! /; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; < ̄ ̄
      / V; ; ; ; ; i; ; ; ; ;.;.丶; ; ; ;ヽ
     .///; ; ;./; ;/|; ; ; ; ; ;.;.;l; ; ; ; ;.i
     |/; ;./ ; ;/; ;/ .l .ト、; ; ; ;.;ト; ; ; ;.;\ _,
    ノ ; ; |; ;ノイ/⌒l | | ; ;7⌒| ; ; ! ̄
   /!|; ;A ; ; l∧|⌒リ  ! ; ;/ ノヘ!. ; ;l
      |.!/{ ト、 ト弋シア ノ/弋シア; ;ノ
      |.!; ;ヾ; ;\ ,.,.,.     ,.,., !イヽ
      l; ; ;.| ; ; ト、   rt.、_’ ノ ノ ; ;}
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719ミーナの幼馴染な俺:2016/07/03(日) 22:49:57 ID:sB6VQk8Q0
俺は二人に会うのを避けるようになった。クルトに変に責任を感じさせたくはなかったし、
俺自身、俺の弱い心が囁く、
「クルトは俺に命の借りがあるのだから、ミーナを俺に譲って身を引くべきだ」
という声を恐れていた。


心まで鉄でできていたらよかったのに。
誰を傷つけることもなく、誰に傷つけられることもない鉄の心であれば。

俺は強い男になりたかった。
一人でどんな痛みにも耐えられる男になりたかった。

だから誰にも今まで話さなかったし、気取られもしなかった。

俺は耐え切った。
今日、ようやくひとつの区切りがつく。

今日、ミーナとクルトが結婚する。

720ミーナの幼馴染な俺:2016/07/03(日) 22:53:04 ID:sB6VQk8Q0
19XX年、よく晴れた日。
中天にかかろうという太陽が輝いている。木々の新緑が柔らかな影を落とす。
どこかから子供たちの歓声が聞こえてくる。

今日、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケはクルト・クラッハフェルトと結婚する。

彼女は、教会で、真っ白なドレスを着て、同じく真っ白なタキシードを着た恋人とキスをしている。

信じられないくらい真っ青な空に、白い鳩が飛んでいく。
幸せという言葉を絵にしたら、きっとこういう光景だろう。

俺は教会の外、道一本隔てた庭園から、その様子を見つめている。

俺の話はここまで。
思い出話はハッピーエンドでおしまいだ。

じゃあな。

721名無しさん:2016/07/03(日) 22:57:57 ID:sB6VQk8Q0
ミーナルートに見せかけたやせ我慢は男の美学ルート、おしまい。

722名無しさん:2016/07/05(火) 17:38:58 ID:TpT2ehoQ0
乙乙

723名無しさん:2016/10/08(土) 01:30:13 ID:xp8Sf8vI0
ブレイブウィッチーズ開始で少しは人が増えないものか

724名無しさん:2016/11/12(土) 21:26:04 ID:VNvzfwSg0
ブレパン放送でここのこと思い出して、何年かぶりにきたけど…まだ残ってたかー

725名無しさん:2016/11/25(金) 00:45:09 ID:hgUzOB3o0
直ちゃんが可愛い…ニパも可愛い…502結成小説を参考に何か書いてみようかな…

726名無しさん:2016/12/02(金) 21:24:25 ID:24G8kbHA0
「はっはっ……はぁっ、はっ」

白い息を吐き出しながら智子は基地内の廊下を走る。
その足取りは、彼の部屋へ向かっていた時のそれとは比にならないほど軽やかなものだった。
伝えられた言葉が、自身の息遣いとともに脳裏に蘇る。
それは、心の底から欲しかった言葉だった。
妹としてじゃない。いまの彼は、自分を一人の女として意識している。
ならば、彼が自分のことしか考えられないようにしてみせよう!
そのためにも今日一日、ずっと彼の傍にいよう!

727名無しさん:2016/12/02(金) 21:27:29 ID:24G8kbHA0
―――
――


そのような期待に胸を膨らませていた数時間前の自分を叱咤したい衝動を抑え、智子は物陰に半身を潜めていた。
恨めしげな光を宿す瞳に映るのは、想い人が他の女との談笑を楽しんでいる光景だった。
話によると彼は戦闘時以外は基地清掃の仕事を与えられ、平時は掃除用具を片手に基地内を徘徊しているらしい。
一部の基地職員の口からは彼がモップ片手に天井や基地外壁を歩いていたという信じ難い情報が飛び込んできたが、おそらく何かと見間違えたのだろう。

彼の姿が見えなくなっていることに気がついたのは朝食後だった。
同じ場で食事を摂っていた502の魔女たちですら彼が退室したことに気づかなかったのだから、驚きである。
慌てて基地内を探し回ること数十分。
ようやく彼の姿を発見できたものの、その隣には先客がいた。
そして彼は、その先客と楽しげに談笑していた。
先客である少女もまた、彼との語らいを楽しんでいるのか弾けんばかりの笑みを口元に湛えていた。

728名無しさん:2016/12/02(金) 21:30:32 ID:24G8kbHA0

智子「(何よあの子……あんなに大きいなんて)」

反則じゃないと後に続く言葉を胸裏に零し、目を細める智子。
視線の先で自身の想い人と話す少女。
きめ細やかな白い肌。短めに切られた金の髪。
そして、身に纏うニット生地の軍服の下から押し上げて自己主張している連山。
その二つの山は少女の微かな動きにも敏感に反応し、小さく揺れたわんでいた。
余りの迫力に、思わず半歩ほど後ろに退いた智子は、反射的に視線を自分の胸元へと落とす。
視界に入るは陸軍服を下から押し上げる自身の双丘。決して小さいほうではない。
むしろ今の自分ならば当時同じ部隊に所属していた武子たちとも、良い勝負が出来るのではと確信できるほどには成長している。
しかし、

智子「(俺も、あれくらい……大きいほうが良いのかしら……)」

少女――ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンの胸は余りにも、強大過ぎた。
ただ膨れ上がっているのではない。
むしろ、大きいだけならば自分にも勝ち目はあっただろう。
だが少女のそれは大きさと形が完璧に両立している。
天は二物を与えぬという言葉は嘘だったのか。
どうみても完璧なものが二つもあるじゃないと口のなかで叫びつつ観察を続ける。

729名無しさん:2016/12/02(金) 21:33:40 ID:24G8kbHA0

ラル「二人とも寒いなかご苦労」

ニパ「あっ、隊長」

智子「……なッ!?」

どうにか怪しまれぬよう自然なタイミングで会話に入り込めないかと画策していると、不意にラルが加わった。
昨日、初めて対面した際は意識すらしなかったが、彼女の連山もまたニパに負けずとも劣らぬ姿を軍服の下から見せつけていた。
しかも身に着けているコルセットのせいで余計にサイズが強調されているような気がしてならない。
現に俺を見れば不躾な視線を送らぬよう目線を泳がせているではないか。
それは、自分よりも若い彼女らを女として意識している何よりの証であった。

智子「ぐぬぬ」

悔しさの余り声が漏れる。
朝はあれほど自分の魅力を伝えてくれたのに。
あれほど自分の魅力に戸惑っていると言ってくれたのに。
それなら、それなら……

智子「もう少し……私だけ見てくれても、いいじゃない。ばかっ」

「やぁ、穴拭中尉」

智子「んひゃぁ!?」

730名無しさん:2016/12/02(金) 21:37:31 ID:24G8kbHA0

切なげな想いが冷えた風によって掻き消された矢先のこと。
背後から声をかけられ、思わず裏返った悲鳴を上げてしまう。
情けない姿を見られたことに対する羞恥心に頬を微かに紅潮させながら振り向く。
目の前にはペテルブルグ基地で最初に出会ったウィッチの姿があった。

智子「い、いきなり何よ。悪いけど夜のお誘いならお断りよっ」

出会って早々、晩酌を共にしないかと誘われたことを思い出し、先手を打つ。
どうもこの人間は自分の後輩と同じ類に属している気がしてならない。
うっかり誘いに乗ってしまった日には、どうなることやら。

クルピンスキー「えー、まだ何も言っていないじゃないか」

ほら、残念そうに口を尖らせる。

智子「それで何の用なの? まさか本当に懲りずに晩酌の誘いに来たわけじゃないでしょうね?」

クルピンスキー「いやなに散歩をしていたら、綺麗な後姿を見つけたものでね」

口元に微笑を浮かべるなり、クルピンスキーは片膝をついて智子の指を手に取った。

智子「ちょ、ちょっと……」

クルピンスキー「麗しい巴御前殿。どうか、その優美な黒髪を……この伯爵めに触れさせてはいただけませんか?」

731名無しさん:2016/12/02(金) 21:41:33 ID:24G8kbHA0

姫君に愛を誓う王子、あるいは守護騎士を思わせるほどに真っ直ぐで、熱っぽい声色で想いを紡ぐ。
一瞬でここまで距離を縮めてくるとは。
自身の後輩よりも手練であると認識した智子はそっと指を払った。

智子「じょ、冗談はやめてちょうだい」

クルピンスキー「連れないなぁ。ところでさ、穴拭中尉」

智子「だから晩酌には付き合わないって――」

クルピンスキー「彼のこと、好きなの?」

言いかけた言葉は、それまでの芝居がかったものから一転して親しみやすい陽気さを帯びた声によって遮られた。

智子「は……はぁぁ!? いきなり何を言い出すのよ!?」

クルピンスキー「あれ、違うのかい?」

智子「違うわけがないでしょう! ……っ!?」

反射的に彼女の言葉を否定してしまった智子は一瞬でその美貌を赤らめた。
搦め手に嵌り、彼に抱く自身の恋慕を肯定してしまったのだ。
立ち上がったクルピンスキーは満足げな笑顔を浮かべていた。

732名無しさん:2016/12/02(金) 21:45:18 ID:24G8kbHA0

クルピンスキー「はははっ、扶桑海の巴御前は素直だねぇ」

智子「ううううう、うるさいっ!!」

頬を紅潮させ、声を荒げる智子を前にクルピンスキーはその笑みを濃いものへと変えていった。
彼を見つめる智子の瞳は、大人びた見た目とは裏腹に年端もいかぬ少女のように純粋で美しかった。
想い人を見つめる智子の横顔を目にした瞬間、自分は魅了されていた。
熱を秘める黒の瞳、寒さによるものなのか心の昂ぶりからなのか桜色に染まる頬。
乾燥させぬよう舌で湿らされた形の良い唇。
それら全てに心を奪われていたクルピンスキーは知られぬよう、あえて背後に回って声をかけたのだ。

クルピンスキー「それで、答えはYESってことでいいんだね?」

暫く視線を泳がせていた智子であったが、観念したのか息を深く吐いた。
そして、照れたようにはにかみながら想いを編み込んで、口を開く。

智子「えぇ、好きよ……あの人のことが。どうしようもないくらい、愛しいの」

それは、幼少の頃から抱いていた恋慕の念。
それは、成長するに連れて増していった一途な想い。
彼の周囲にどれだけの女が現れても。自分にどれだけの男が言い寄っても。
変わることがない、変わるはずのない感情だった。

733名無しさん:2016/12/02(金) 21:48:27 ID:24G8kbHA0

智子「だから、彼が生きていて……また会えたことがね。どうしようもないくらい嬉しいの」

クルピンスキー「……あぁ」

凍えた風に黒髪を弄ばれながら、微笑む智子を前にクルピンスキーは静かに嘆息した。
花が咲いたような笑みとは、きっと目の前にいる彼女が浮かべるそれを差す言葉なのだろうと確信する。
寒空の下にいるというのに、見ていて心が温まって、和らいでいく微笑みに知らずと自身の口元まで綻ばせてしまった。
それと同時に、思い知った。
これは口説けない。
これは堕とせない。
仮に男女問わず自分以外の人間が彼女に言い寄ろうと、穴拭智子にとっての特別な人間は、彼一人なのだ。
それは今までも、今も、そしてこれからも変ることはない。
智子とは昨日に出会ったばかりで、彼女の人となりもクルピンスキーはまだ殆ど知らなかった。
にも拘わらず、そう確信させるほどに智子の瞳に宿る光は眩くて、美しいのだ。

734名無しさん:2016/12/02(金) 21:51:36 ID:24G8kbHA0

クルピンスキー「負けたよ……まったく、貴女みたいな人を放って置くなんて。俺も罪な男だよ。辛くなったら、いつでも僕の胸に飛び込んでいいよ?」

智子「お生憎様、彼はそんな酷い人じゃないわ」

クルピンスキー「酷い人じゃない、か。君や、僕たちにとっては……ね」

口から漏れた言葉は巴御前の耳に届かぬよう意図して小さく呟かれたものだった。
航空歩兵でありながら不穏分子を斬って回る彼。
もしも彼女がその事実を知ったら、どうなるのだろうか。
もしも愛した男の裏の顔を見てしまったら、どうなるのだろうか。
自分が見蕩れた笑みは消えてしまうのだろうか。

智子「ねぇ? 聞かせて欲しいの。あの人が此処に来てからどんな風に過ごして来たのか」

クルピンスキー「もちろんさ。その代わり、トモコって呼んでもいいかい?」

一縷の不安を胸に抱くクルピンスキーであったが、自身に詰め寄る智子を前に胸裏をざわめかせる胸騒ぎを押し込めた。
ネウロイ襲撃の警報が鳴り響いたのは、談笑を始めてから五分と経たないときのことだった。

735名無しさん:2016/12/02(金) 21:55:33 ID:24G8kbHA0
―――
――


外の景色から風が吹く音が聞こえる。
それに伴い、全身を包む空気が一層その温度を下げていくのを感じ取れた。
格納庫――そこは魔女たちが有する、機械仕掛けの箒とも称せる戦闘脚が保管、管理されている場所。
彼女らが空を、大地を縦横無尽に駆け巡るために必要な箒が日夜整備されている工房。
そこに智子は手近にあった鉄製のコンテナの上に腰を降ろしていた。
工房を彩る戦闘脚は殆どが先に鳴り響いた警報後すぐに格納庫から目の前の滑走路へと飛び出し、大空へと飛び立って行った。
その中には自身が長年想いを寄せる男のものも含まれていた。
残っているものがあるとすれば、司令でもあるグンドュラ・ラルのそれだけだ。
息を吐き、瞼を閉じて、智子は風の音に意識を向ける。
そのなかに飛び立って行った戦闘脚の音が混ざるのを聞き漏らさないために。
そうしている内に出撃前の出来事が脳裏に蘇った。

――

「駄目よ! 危険過ぎるわ!!」

襲撃に対する編成を伝えられたとき、智子は真っ先に後衛を任された彼に喰ってかかった。
既に俺は成人を迎えている。
飛行はもちろん、固有魔法である衝撃波の使用も可能だが、航空歩兵として致命的な能力が欠落していた。
敵の攻撃から身を守る障壁だ。
障壁を展開する能力を失えば、ネウロイから放たれる熱線を防ぐ術はない。
連中に置き換えれば常時、心臓であるコアを剥き出しにしているようなものである。
未来予知の固有魔法持ちならば障壁など無用の長物に過ぎないのだろう。
現にスオムスから501に派遣されたウィッチはそういった固有魔法を持っていると智子も耳にしていた。

736名無しさん:2016/12/02(金) 21:58:51 ID:24G8kbHA0

「確かに障壁は張れなくなっちまったな」

智子の剣幕とは対象に俺は困ったような笑顔で返すだけだった。

「それなら――」

「だけど、俺の力の根源は残ってる。俺の衝撃波は大勢の敵を消し飛ばすためにあって、それはまだ使える。まだ、まだ戦えるよ」

詰め寄る智子の頭に彼はそっと手を乗せた。
昔から駄々を捏ねると決まって彼は頭を撫でて自分を宥めてきた。
けれど、これは駄々なんかじゃない。
障壁を失ったのは事実で、身を守る術を持たない者が戦場に出たところで逆に危険なだけではないか。

「残り少ないからといって、燻らせるなんて勿体無いだろう? 全部使い切るわけじゃない。それに俺には、仲間がいるからな」

そう反論しようと開きかけた口は、強い意思の光を弾く瞳と言葉によって閉じてしまった。

「大丈夫ですよ。穴拭中尉」

先ほどまで彼を独占していたニパが笑みを作る。彼女ら502の実力を見くびっているわけではない。
ただ、何が起こるか分からないのが戦場ではないか。
彼のことだ。もしも彼女らに危険が迫ったとき、きっと身を呈して守るだろう。
あの日、自分を庇って撃墜されたときのように。

737名無しさん:2016/12/02(金) 22:02:22 ID:24G8kbHA0

「ニパ君の言うとおりだよ、トモコ。大丈夫、必ず僕らが連れて帰るさ」

「というわけだ。頼もしい仲間がいるんだから大丈夫さ」

――わかってよ。
――貴方、もう限界なのよ? いまは飛べて、衝撃波も撃てるけど……それだっていつまで続くかわからないのよ?

「じゃ、行ってくる。ちゃんと全員無事に帰ってくるからな」

「ま、待って! あ、あぁ、行かないで……いかないでよ……」

静止の声は戦闘脚の駆動音によって、掻き消された。
滑走路から飛び立つ魔女たちに紛れた彼の姿が、遠ざかっていく。
もしも、あと数年早く彼を見つけていれば、自分もあの輪のなかに加わることができたのだろうか。
彼が502の面々を眺めたときに見せた信頼の眼差しを、自分も受けることができたのだろうか。
彼と一緒に、あの空へ飛び立つことができたのだろうか。
胸のなかには、もう痛みしか残っていなかった。
かつて扶桑海の巴御前と呼ばれ、銀幕の主役を飾った女は、ただ独り格納庫に取り残された。
徐々に空へと溶け込んでいく想い人の背を、智子は見送ることしかできなかった。


――

738名無しさん:2016/12/02(金) 22:05:43 ID:24G8kbHA0
――

「……ッ」

惨めな思いを振り払うかのように頭を振って瞼を開く。
まるで彼が、もう手の届かないところに行ってしまったみたいだ。
ほんの数年前までは、自分もその輪に加わっていたというのに。
居場所を取られた子どものような、寂寥感を胸の内に秘める智子は不意に背後へと振り返った。

ラル「私を恨むか」

智子「……恨んだって仕方ないじゃない。そんなこと、彼が望まないわ」

足音を伴って声をかけてきたラルに返す。
彼がガランド少将預かりの戦力だという説明を受けた以上、口を挟むつもりはない。
が、それは軍人としての意見であって彼に恋慕の情を抱く女としては今回の出撃は到底受け入れられるものではなかった。

ラル「あいつの力は本物だ」

――そんなこと貴女に言われなくたって、子どもの頃からずっと知っているわよ。
喉下まで出掛かった言葉を無理に飲み込んだ。
彼女に苛立ちをぶつけても仕方がない。

ラル「大型どころかネウロイの部隊すら一撃で殲滅できる破壊力と範囲。もはや戦略兵器の域だ」

智子「そんな、に?」

739名無しさん:2016/12/02(金) 22:09:55 ID:24G8kbHA0
智子「そんな、に?」

告げられた言葉に智子は目を丸くした。
かつて扶桑皇国陸軍として同じ部隊に所属していた際は中型が精々だったはず。
それがこの数年で、ここまで成長するものなのか。
単機で軍勢相手に渡り合うなど、質と量の隷属関係を完全に破綻させているではないか。
そう胸裏で零す智子は知らぬ間に自身の背が粟立っていることに気がついた。
それは決して寒さによるものではないのだろうと思った。
出撃前に自身の頭を優しく撫でていたあの掌から、一体どれだけ強力なエネルギーが放たれるというのか。

ラル「一対多ですらあいつにとっては何ら障害ではないだろう」

陽気な人となりとは反対に、その固有魔法が司る属性は破壊を齎す暴力。
力で以て全てを捻じ伏せる暴君の力だ。
その暴力は間違いなく戦略的価値があるし、いざとなったとき部隊の切札として十分に機能する。
だが、とラルは一つの疑問を抱いた。
どこまでが彼の全力なのだろうか。彼の力はどこまでのものなのだろう。
部隊はおろか大型すら容易く呑み込む彼の異能。
それは、人類を脅かし遥か天空に座する異形の牙城をも滅相し得るほどのものなのか。
疑問が尽きることはなかった。

740名無しさん:2016/12/02(金) 22:12:57 ID:24G8kbHA0
―――
――



戦闘脚の駆動音を耳にした瞬間、格納庫を飛び出した。
速度と高度を徐々に下げ、滑走路へと降り立つ502の魔女たち。
少女たちの無事な姿を捉え安堵しつつ、彼女らとともに出撃した想い人の姿を探す。
しかし、帰還した魔女たちのなかに、男の姿は何処にも見当たらない。
段々と智子の全身を、悪寒が蝕みはじめる。
それは単に外気によるものなのか、それとも忌むべき過去の記憶が蘇ったことによるものか。
もしかしたら――が胸裏を過ぎる。

智子「(ちゃんと帰ってきてよ……。帰ってくるって、自分で言ったじゃない……!!)」

息苦しさを感じ始めたなか、視界の片隅に小さな黒い点を見つけた智子は自然と駆け出していた。
背後からロスマンが放つ静止の声を気にも留めずに。
駆け寄る自分の姿を見つけた男が、口元に笑みを落とす様を見つけ。
智子は両手を広げて彼の胸元へと飛び込んだ。

智子「俺ぇ!」

俺「おっとと! 随分と熱烈なお出迎えなことで……どうした?」

自分の胸元に飛び込むなり、両の手を背中へ回す智子の抱擁に驚きつつも、彼女の頭と背に手を添えてあやすように撫でる。
押し付けられる母性の柔らかさと温もりに多幸感を抱きながら。

741衝撃波:2016/12/02(金) 22:17:50 ID:24G8kbHA0

智子「無事よね!? どこも、怪我とかしてないわよね!?」

俺「あぁ、大丈夫だよ。俺もみんなも」

智子「よかっ……た。よかったぁ……」

それまで自身の胸元に埋まっていた智子の顔がその姿を覗かせた。
瞬間、俺は息を呑んだ。心臓が一際強く脈動する様を確かに感じた。
黒真珠を潤ませながら、安心し切ったように頬を綻ばせる智子の微笑みに、心奪われていた。
自然と指先が、手が彼女の端整な頬へと移る。
そんな自分の手の平が心地よいのか智子は一度短く“んっ”と呟くなり、身を委ねた。
瞼を閉じた際に浮かび上がった涙が零れ、俺の指が静かに濡れた。

俺「ごめんよ……心配かけさせたな」

智子「いいのっ……みんなが、あなたが無事なら……いいのっ」

端正な美貌を涙で濡らしながら見せる笑みに、俺は心臓を潰されたような息苦しさを覚えた。
彼女から視線を注がれると気恥ずかしさにも似たむず痒さが背筋を走るのに、目を背けることが出来ない。
気恥ずかしい感情を抱きながらも、もっと彼女の笑みを見つめていたいと思ってしまっているのはきっと、

俺「あぁ……ただいま、智子」

穴拭智子に完全に惹かれてしまっているからなのだろう。

742名無しさん:2016/12/02(金) 22:20:57 ID:24G8kbHA0
もう誕生日間に合わないけど、一区切り着くまで待ってたら時間かかり過ぎるから先に書いちゃおう

そんなわけで12話はこれにて終了、ハーイチャイチャイ

743名無しさん:2016/12/03(土) 11:17:20 ID:OM06isgg0
乙乙

744名無しさん:2016/12/05(月) 02:16:24 ID:DY9.S6fk0


745名無しさん:2017/02/05(日) 18:37:30 ID:3.42e2Cs0
偉く懐かしいところだ……まだ機能してたのか
何か書いてみようかしらん

746名無しさん:2017/02/08(水) 01:42:27 ID:93F0k3.s0
>>745
まってるぞー

747名無しさん:2017/02/26(日) 21:34:21 ID:QQwVnXfQ0
ケーブルテレビで見た1期2期とブレイブウィッチーズ、
後同人誌のアフリカの魔女くらいしか見たこと無いんだけど、書いてもいいのかしら……
設定面とか不安が多くて踏ん切りがつかない……
キャラ愛があればいい、のかね……

748名無しさん:2017/02/26(日) 21:59:35 ID:zmCSQdik0
どうぞどうぞ、待ってるよ

749彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:13:17 ID:dHC0sQBk0
もう設定の整合性とか何とかぶん投げて、思うままに書いたことを初投下させてもらいます。
芳佳ちゃんは可愛い。後宮藤博士はイケメン。生きてないのかなぁ

750彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:16:52 ID:dHC0sQBk0
それが部屋に現れた時、予感がした。
これは、向こう側への扉なのだと。

歪む空間を前に、その予感を得た時、俺は、ありったけの準備をした。
持てるだけの、科学技術や『魔法』技術に関する資料と文献。莫大な量のデータを取り込んだハードディスク、SDカード、その他の記録媒体。
それを閲覧する為のスマートフォンやパソコンと、バッテリーを充電するための手回し式の充電器。

以前には伝えられなかったことを伝える為に。
あの人に、もっと色々な事を伝える為に。
そして、遂には為し得なかった、あの娘との約束を果たすために。

あらゆるものを詰め込んで、ギチギチになったリュックや鞄を背負う。
その重みは、そのまま、向こう側に残してきた心残りの重みでもあった。

次に、何時戻れるかは分からない。そもそも、戻れるかすらも怪しい。
遺書を書く心持ちで、家族に向けた書き置きを残し、
鍵を閉め、電源ガス栓水道の元栓に至るまで、全てのインフラを根から止め、
使えないとは分かっているが、財布などの貴重品を念の為に持つ。

これで、後始末は成った。
もう、此方側に残した心配事はない。

荷物を引きずるように走り出し、そして、俺は其処へ向かって、意を決して飛び込んだ。

751彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:20:17 ID:dHC0sQBk0
……それから、通り過ぎていった場所には、微かに見覚えがあった。
異空間。
向こう側と、現実を繋ぐ場所。

一度目に此処を通った時は、パニックのままに通り過ぎただけだった。
二度目には、悲しさと辛さで泣きじゃくり、とても風景を見る余裕は無かった。
だから、この空間をまともに見るのは、これが始めてになる。

うねる様な動きを見せる其処は、透明だった。厳密には、そして理論的には、色がついているのだろう。
そうでなければ、人間が視認することは出来ない。しかし、それを視認することが難しいほどに、一面は澄み渡っていた。

飛び込んだ勢いのまま、ふわふわと前へと進む。何もない異空間を、どこまでもまっすぐ、まっすぐ。

それから暫くして、光が見えた。
出口だ。異空間から抜け出す為の、出口。

速度は変わらぬままに、其処へと引き寄せられる。
きっと、出口の向こうにあるのは、
あの場所だ。あの時、あの人と出会った、あの森だ。
あそこに、もう一度行けるのだ。

近づく。光は、どんどんと大きくなる。
それはやがて、視界を覆い尽くし、目が眩みそうになるほど強くなる。
思わず、目を瞑ったその瞬間、光は極限まで強まり、身体はその中へと投げ出された。

752彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:25:32 ID:dHC0sQBk0
そして、立っていた。
嘗て見た、木漏れ日の差す草の絨毯。広がる森からは、木の葉の囁く声が聞こえる。
こんな場所が、『日本』にはないことは、散々に調べ尽くして確認している。
何よりも、強く感覚に訴えてくる既視感。此処は間違いなく、あの森だった。

ただ、あの時とは、違うことが一つ。
俺の前に居たのは、あの人ではなかった。
短く切り揃えた、黒の髪。くりくりとした、茶色の瞳。花束を持った小さなその手は、微かに、震えていた。
忘れられようものか。
あの人と共に俺がこの国を離れて、それから、一度も再会することなく別れてしまった、あの娘だった。
彼女は、花束をぽとりと取り落とし、そして、信じられない、といった響きを隠すことなく、震える言葉を紡いだ。

「おじ、さん?」
「はいはい、おじさんですよ」

そういえば、あの頃もこんな風に話をしたっけな、と、前に来た時のことを思い出す。
おじさんという呼ばれ方も懐かしく、あの頃は、背丈も自分の半分ほどしか無かったこの娘が、
今や、青年の年頃かと思わしきほどの成長を見せていることには、不思議な感動があった。
しかし、それを、再会の言葉にしようと思うと、些か気恥ずかしいものがある。

だから、取り敢えず、これだけは言おうと腹を決めていたことだけは伝えることにした。

「遅うなったけど、約束通り帰ってきたよ」

753彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:30:07 ID:dHC0sQBk0
途端、この娘は、宮藤芳佳は、普段は全く無縁だった涙を目に一杯溜めながら、俺の元へ飛び込んでくる。
以前の小さかった頃のそれとは全く違う、成長を感じる重みを受け止めてやれば、わんわんと泣きじゃくっている。
それだけ、俺が帰ってきたことを喜んでくれている、ということになろうか。
不覚にも、眦が熱くなる。
一時の逗留者に過ぎなかった俺を、これだけ歓迎してくれるとは、思っても見なかった。
或いは、約束のことなど、忘れられているのではないか、とも。
それだけに、感じ入るところは、一入のものでもあった。

ぽろぽろと、涙で服を濡らしながら抱きついてくる芳佳ちゃんの背を軽く叩き、自分の声の震えを努めて抑えながら、
笑みを作って……実際に作れているかは、少々怪しかった。何しろ、今まさに涙が流れそうな心持ちでもあったから……語りかける。

「久し振り。ただいま、芳佳ちゃん」

服の袖で目元を拭い、そして、にっこりと笑って返してきたその笑顔は、
記憶の中に残る、幼い頃の芳佳ちゃんのそれと、何ら変わるものではなかった。

「……お、かえりなさい。おじさん」

754彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:34:28 ID:dHC0sQBk0
これは、二回目の物語だ。
世人の聞けば、嘲けりを以て一笑に付されるであろう、不思議な物語。
向こう側と、俺がそう呼ぶパラレルワールドで起こった、人々との再会と、それに纏わる諸々に関する物語だ。

755彼方より、もう一度:2017/02/27(月) 01:38:26 ID:dHC0sQBk0
以上プロローグです。
また近いうち続きを書きます。
意味が分からないところはその内分かるように書いていきたいです

756名無しさん:2017/03/01(水) 01:11:28 ID:VjaWqMIo0
乙乙

757名無しさん:2017/03/02(木) 20:39:38 ID:gL2a2tCo0
おっつー

758名無しさん:2017/03/04(土) 19:16:09 ID:7fsRiM3U0
おつ

759短編『これから』:2017/03/16(木) 09:40:05 ID:uBNHz4S20
俺「俺が代わりに死ぬー!」

森に墜落し負傷した管野直枝を地上型ネウロイの集中砲火から庇うため、身を呈して彼女の前へ躍り出た。

当然俺は魔法を使えるわけもなく、というかさっきまで鉄橋の上から自殺しようと川へ身を投げたはずなのに気付けばブレパンの世界にいて、彼女の危機が迫っている状況に遭遇したのだった。

管野「お、おいっ…お前!」

俺「まじでなおちゃん大好き過ぎる本当に愛してるバンザーイ!!」

咄嗟に動いて、自分の死を有意義にしようとした。

不細工で、ちゃんとした仕事も恋愛もこなせず今迄中途半端な人生を辿ってきた終止符としては贅沢なぐらいだ。と、にっこり笑って俺は迫り来る攻撃を受け止めようとする。

俺「…ぐぶぉあっ!!」

しかし衝撃は後ろから飛んできた。彼女の拳だった。

管野「バカかテメー!オレはシールドぐらい張れる!」

そういって傷だらけの身体でシールドを急展開し、俺と自分を守る管野。

760短編『これから』:2017/03/16(木) 09:45:58 ID:uBNHz4S20
俺「え、ちょっと…」

管野「誰だか知らねぇが、すっこんでろ!」

俺「あ、で、でも…」

管野「邪魔なんだよ…!」

ズカーンと俺の脳天を貫く言葉。それが今の「邪魔なんだよ」だった。過去のトラウマが沸沸とよみがえる。

せっかく会えた彼女にもこんなこと言われるのか、悲壮感で泣きそうになり唇が震える。

だが、どうせ死ぬんだ。なら最後に!

俺「…っぷりぶおおおおおお!!」

汚ったない声を上げてネウロイに突っ込んだ。

一番近い1体に、振り上げた拳をおもいっきり当てる勢いで非常にカッコ悪く駆けていく。

761短編『これから』:2017/03/16(木) 09:49:52 ID:uBNHz4S20
俺「ちゅるぎいいいいいいい!!」

彼女のように、この拳で打ち砕いてやる。たとえ出来損ないでも、死ぬ前に。

俺「いっしぇえええええええんんん!!!」

ペコォン。

と、金属に生身の手がぶつかった音がし、ただそれだけだった。

そして鉄を殴ったような感触で俺の手は多分骨折し、ネウロイの瘴気により黒くボロボロに。

俺「いたああああああいっ…!!」

その場にいるネウロイは全員「は?」のような空気に。俺に対し彼らでもそんな反応を…

管野「今だ!」

そのネウロイの隙をついて、管野は落ちていた機関銃を拾い上げ連射し、次々を撃墜していった。

俺「うわああああっ…」

銃の音に怯えて蹲る俺。

762短編『これから』:2017/03/16(木) 09:53:16 ID:uBNHz4S20
管野は最後の1体を蹴散らす前に弾切れになった為、銃を投げ捨てる。

管野「ったく」

そしてシールドを圧縮していき、超硬化した拳でネウロイへ突っ込んでいく。

管野「こうやんだよ!」

そのネウロイのビームを弾く真っ直ぐな拳は、俺の鬱屈とは真逆で、光り輝く美しい力強さだった。

管野「剣、一閃!!」


--


管野「やめろ、抱きつくな気持ち悪い!」

俺「…だって…だってええええ」

管野「ああっ!クソっ!」

俺は膝をついて彼女の腰に泣きながら抱きつく。自分の醜さで自棄になっていた。

763短編『これから』:2017/03/16(木) 09:56:51 ID:uBNHz4S20
管野「…ところで、お前は誰なんだよ」

俺「知らない…勝手にここに来た」

管野「なんだそれ、バカか」

俺「でも、なおちゃんが好き…」

管野「……」

彼女は俺を引き剥がして、突き飛ばした。
俺は水溜りに尻餅をつく。

管野「本当にバカで気持ち悪いな、おめぇは」

俺「くうぅ…」

管野「オレを好きになるんだったら、ちったぁ強くなることだな」

俺「…え?」

管野「そしたら考えてやるよ」

俺「…………あ」

水溜りの筈なのに、身体がずぶずぶと沈んでいく。

764短編『これから』:2017/03/16(木) 10:00:00 ID:uBNHz4S20
俺「や、いやだ」

管野「?」

俺「まって、やだ、ここにいたい」

元の世界に戻ってしまうのだと分かった。

俺「俺はここにいたい、ここで強くなりたい、いやだぁっ!」


--


抵抗しても無駄で、水溜りに沈みきって意識が遠のいていった。

しかし足掻けば、まだあちらの世界に残れる気がする。

その中で、

「バーカ、どこでだって強くなれんだろ」

という声が聞こえたような気がした。

その声で、俺は元の世界に戻る覚悟を決めた。

川の岸で目が覚めて、ずぶ濡れ身体を起き上がらせると握り拳が水でキラキラと光っていた。

765短編『これから』:2017/03/16(木) 10:04:49 ID:uBNHz4S20


--


そして5年後、強くなった俺は管野に会いにいく為、また自殺を試みたが、本当にそのまま自殺してしまいそうなので、バカらしくてやめた。

強くなったら、俺は気付けばブレパンから離れていたらしい。

あの時もし、強さより彼女を欲していたら…

俺「ふ〜」

1日の疲れを癒す風呂に入りながらそんなことを考える。

俺「そろそろ寝るか」

そう言って栓を抜く。すると渦巻く排水口に足が吸いつき、身体ごと回転しながら吸い込まれていった。

あまりの出来事に整理がつかないまま、俺は熱湯の中を泳いだ。

しばらくすると光が見える。

その光を目指して泳ぎ、頭をあげると、唇が柔らかい小さな割れ目に当たった。

管野「うぇっ!?///」

これから、これからなんだ。

終了

766名無しさん:2017/03/17(金) 00:49:08 ID:3cWATjQg0
最後の「割れ目」で多分作者の意図とは異なる想像をした。
俺の心は汚れてる。

ともあれ乙乙。
読みやすくて良かったよ

767名無しさん:2017/03/17(金) 03:37:34 ID:uB/L3gqI0
おつおつ

768名無しさん:2017/04/16(日) 06:10:34 ID:94GWF/R.0
ほあぁ…まだスレ残ってたんすねぇ
たまにwikiの方覗いてたけど動き無いからてっきり消えたもんだと

769名無しさん:2017/04/17(月) 01:54:04 ID:2neEuiPk0
ときどき短編が投下されるからブックマークから外せない

770短編『作俺』上:2017/05/03(水) 15:48:06 ID:hBxbThhY0
俺「全く書けない」

脳の中を隅々まで潜り抜けても何一つ出てくるものはない。本当の本当に今度こそ空っぽだ。

口が開きっぱなしのまま座った半開きの目でディスプレイを見つめ、手足の筋肉は重力に従うまま脱力している。霊魂というものがこの世に存在するのであれば、まさにそれが抜けた状態が今の自分だろう。このまま動かず自分は死んでいくのだろうか。まるで売れない安っぽい服を着たマネキンにもなったようだ。

そういった安っぽい想像はいくらでもできるのに、目の前のシナリオプロットは一文字も進まない。〆切、二時間前。これを期限内に提出できなければ今後の仕事が真っ白になり、代わりに真っ黒な不安が到来する。大変おぞましい。

俺「……全く書けない」

また同じことを言ってしまった。周りには誰もいないのに、そんな弱音を何度も吐く自分が誰かに監視されているようで、恥ずかしさもあって恐る恐る背後を気にして振り返る。当然誰もいない。埃をかぶった透明な観賞用ケースの中に飾られているフィギュアの笑顔が自分を馬鹿にしているように感じた。いつもは応援してくれているはずなのに。

771短編『作俺』上:2017/05/03(水) 15:51:14 ID:hBxbThhY0
俺「……だって書けないんだもん」

そう空に呟いて、パソコンの画面と再度にらめっこ。

俺「………そうだ、過去にSSでボツしたやつを引っ張って参考にすれば」


--


「男の俺」

ストライクウィッチーズの女は強い。

でも現実の世界では、男の方が正直強いのかもしれない。
暗黙として男が幅を利かせているかもしれない。

そんな差別的なことを前までは考えてなかったけど、この仕事を始めてから不思議と感じるようになった。

772短編『作俺』上:2017/05/03(水) 15:54:17 ID:hBxbThhY0
店長が彼女達を雇う面接で最後に「映像の方も紹介できるから」と推し、その反応で合否を決める方法は、金を搾り取れる人かどうかを見極めていた質問だったと気付いたし、そういえば過去に父が「女はな、実は全員バカ。男が賢い」と母に内緒で話をしてきたことも思い出した。

自分はそんな風に思いたくはないが、心の底では女に対してそういう意識があるのかもしれない。

俺は男だから。
全然弱いけど。
本当は弱いから差別してしまう。

とにかく男よ、とりあえず優しくあれ。


第1話「彼女は女」


「生きてますか?」

小鳥のさえずりと、知らない女の子の声が聞こえてくる。次第に目が覚め、朝陽で明るくなった周囲を眺めると、そこは海岸の側で、草木が潮風で靡いていた。

773短編『作俺』上:2017/05/03(水) 15:58:25 ID:hBxbThhY0
俺「え…海?」

まさか、海まで来ちゃったか。

繁った草の上に身体は寝転んでいて、起き上がろうとすると鈍い痛みが頭に響いた。

俺「いだっ…!」

「大丈夫ですか?」

飲み過ぎた。確実に二日酔い。おまけに帰る駅を乗り過ごして海の方まで来ちゃってたんだ。ベロベロのまま電車に乗ったのはいいけど、それからの記憶が無い。

海ってことは横浜とか江ノ島の方か。

俺「あの、すいません…ここってどこですか?」

「ここは佐世保ですけど…」

俺「…さ?」

佐世保。佐世保って、長崎、佐世保バーガーの佐世保?九州?

俺「佐世保…?」

「はい、そうですけど」

俺「そんな冗談…」

酔っ払って東京から長崎まで来たなんてあり得ない。無意識のままフェリーか飛行機だぞ、アホか。

774短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:03:07 ID:hBxbThhY0
「立てますか?」

俺「あ、ありがとう…」

ふらつく身体を支えてくれた彼女に感謝し、まだ覚めきってない意識をしっかりさせようと顔を手で揉む。

顔を揉んでいると、頭痛だけでなく頬の痛みにも気が付いた。
昨日殴られた頬が寒気を伴うほど腫れている。

「こ、これどうしたんですか!?」

俺「え?ああ」

「すごい紫ですよ…!」

俺「えぇ…そうなんだ…」

自分でも笑うしかない。

俺「…殴られて。あ、女の子に」

「へ?」

俺「告白して…ふられちゃった」

「ええっ!?」

いきなり見ず知らずの子に何を打ち明けてるんだろうと自嘲しながら、それでも吹っ切れて話し続けてしまう。

俺「働いてたとこで出会ったんだけど、割と…そういうとこではかなり明るい方で、アニメとかが好きの子で。何度か飲みに誘われたり、一緒に映画とかアニメとか観たりしたんだけど…俺が勘違いしちゃってたのか、あっちが仕事的に…気を使っちゃったのか分かんないけど、店の外で告白したら殴られちゃった、グーで」

775短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:06:51 ID:hBxbThhY0
「と…とにかく大変だったんですね…」

俺「うん…ひかりさんっつってね」

「……」

俺「ま、源氏名なんだけど、本名教えてくれなくて」

「ひかり?」

俺「うん」

「わっ、私もひかりって名前です」

俺「…は?」

この声、そうだ聞いたことがある。
確か休憩室でひかりさんに見せてもらって、俺も目覚めてしまった、あのアニメ。

ひかり「私は扶桑皇国佐世保航空予備学生、雁淵ひかりです!」

今日はコスプレDAYなのか。

俺「俺は俺って名前です」

ひかり「俺さんっていうんですね!えっと俺さんは…なにをしてる方?」

俺「ピンサロのボーイです」

ひかり「…え?」

776短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:10:42 ID:hBxbThhY0
俺「お金が無くて、ピンサロで、ボーイのバイトしてます」

ひかり「ピン…サロ?」

俺はまだ眠りから覚めてないようだ。


--


俺「うーん……これを元に風俗で働いていたボーイが異次元に行った話を……」

いや、こういった変化球ものは大抵後からクレームが来るかもしれない。キャラにそういった風俗的な背景を絡めるのはあまり良くない気がする。先方からも明るめと言われているし。

俺「ならもっと、バカバカしく元気が出るものを…」


--

777短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:13:59 ID:hBxbThhY0
「ラル隊長、ママになってください」


ラル「お前は何をいっている」

俺「いやだから、ママになってもらいたいなって」

ラル「そのママとは一体何のことだ」

俺「赤ちゃんの世話をしたり、おっぱいをあげたり、することです」

ラル「一応聞くが、誰のママだ」

俺「俺のママです」

ラル「……消えろ」

俺「まま、ママァーーーーーッ!!!」ガバッ

ダァン

俺「うう…」ピクピク

ラル「訓練弾だ…そんなところで仰向けになってないで早く出ていけ。ん?」

俺「」ボッキーン

778短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:17:06 ID:hBxbThhY0
ラル「……これは」

ボッキーン

ラル「…///」


--


俺「いやダメだろ…これ的なの出したら先方に殺されるわ…」

このままだと同人誌的な展開が予想でき、見慣れた大衆は鼻をほじりながら馬鹿にするだろう。

俺「どうすりゃいいんだ」

引き出しを開け、禁煙していたタバコに手を伸ばす。完全に無意識な行動だった。

俺「あ…」

しかし自分は今こんな切羽詰まった状態なんだと封を切り、しっかりタバコの箱を掴み、別の引き出しからライターも取り出して、溜息をつきながらベランダに出た。

779短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:20:37 ID:hBxbThhY0
俺「もうダメだ」

外はありきたりといえるような満天の星空。

タバコに火をつけようとするも、なかなかライターが着火しない。久々に繰り返す親指の擦れに焦燥感がつのる。自分の「あー…あー!」という声が大きくなっていった。

俺「もおおおお!」

あまりの着かなさにベランダの床にライターを叩きつけた。自分は思い切り投げたはずなのに、コンクリにぶつかる音が意外に小さく余計ストレスを溜める。

壊れていない頑丈なライターを見つめていると、ていうか外はもう夜だったっけと、今更感じた。

そして外の景色を見て、そんなものでは安らがない自分の心とでもいえるような部分が冷めていく。

そんな時に、大きな風が吹いた。

780短編『作俺』上:2017/05/03(水) 16:24:36 ID:6yjpPXYs0
俺「…は?」

その安らがない空のはずなのに、あるものが俺の目を捉えた。

幻覚なのか、分からない。

ただ咄嗟に手に持ったタバコを捨て、ベランダから玄関へ駆け出し、靴のかかとを踏んでアパートの外へと繰り出した。

不慣れな運動で苦しくなる呼吸と興奮で高鳴る心臓を同期させながら、耳に聞こえるレシプロの音を頼りにその方向を探した。

ただの飛行機だろう。そんな疑問を吹き飛ばした理由は、

俺「絶対、俺に笑った…!!」

ここにいるはずのない筈の人物が俺に空から笑いかけたからだった。

ありえないのは当然だ。だけど確かなんだ。

ここから見える二つのレシプロと、人の影をした低空飛行をするその光を信じて、見慣れた町並みを過ぎ去っていく。

靴も脱ぎ捨てて。

幻覚でもなんでもいい。

今まで完結できなかった物語の続きが、目の前にある気がした。

つづく

781名無しさん:2017/05/04(木) 03:28:53 ID:LE3YiuqQ0
おつ

782名無しさん:2017/05/06(土) 00:32:54 ID:GJOvRrRk0
ボツ原稿にはかつての夢とロマンが眠っている

乙乙

783名無しさん:2017/07/08(土) 18:23:28 ID:FolBcXEE0
久しぶりに来たけどまだ続いていることに感謝だな〜

784名無しさん:2018/02/23(金) 08:20:17 ID:ebWAkYZ20
久々に来たけど、まだ残ってんだ、良かった

785名無しさん:2018/07/08(日) 18:29:04 ID:7AMgccFA0
ttp://w-witch.jp/
501再び

786名無しさん:2018/07/08(日) 23:41:44 ID:A94./bK20
新たな作戦が動き出したようだ私もここに戻ってきた

787名無しさん:2018/09/04(火) 19:27:04 ID:bP1Vrti60
まだ残ってたのにびっくりだよ
懐かしいなあ

788名無しさん:2018/12/13(木) 22:21:04 ID:U2P6FncM0
まだ、俺の青春のフィラデルフィアが残っていたとは・・・

789名無しさん:2020/09/12(土) 03:59:57 ID:6eD/mbDc0
まだあったのか…

790名無しさん:2022/03/21(月) 22:47:15 ID:hst0aUow0
この掲示板には2000年代の頃の空気が少しだけど感じられていいね。
数年前に3期が放映されたのにあまり書き込みがないということは
すっかり忘れ去られたか。
ネット上にこういう創作物を書いて後で黒歴史だののたまう連中は
死ぬほど見かけるけど、二次創作は何だかんだ言って楽しいから
こういう意見は寂しい。
俺もいつかこの掲示板に一本は投稿したいけどその時まで残ってるかな。
その時掲示板が無くなってたらハーメルンか自分のサイトにでもあげるかな。


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