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俺「ストライクウィッチーズと洒落込もうか」

1名無しさん:2013/04/07(日) 02:07:57 ID:qhlpEsaY
ストパンの世界に俺を入れてイチャイチャしようずwwwwwwwwww っていうスレ
         ∧
         / |
        〃 .|
       .//  |           ___ _,. イ
      / |  /  _ __     /       /
      ( |. /; ; ; ; ; ; ; ;.;.;>、/ /    /
      ヽ.! /; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; < ̄ ̄
      / V; ; ; ; ; i; ; ; ; ;.;.丶; ; ; ;ヽ
     .///; ; ;./; ;/|; ; ; ; ; ;.;.;l; ; ; ; ;.i
     |/; ;./ ; ;/; ;/ .l .ト、; ; ; ;.;ト; ; ; ;.;\ _,
    ノ ; ; |; ;ノイ/⌒l | | ; ;7⌒| ; ; ! ̄
   /!|; ;A ; ; l∧|⌒リ  ! ; ;/ ノヘ!. ; ;l
      |.!/{ ト、 ト弋シア ノ/弋シア; ;ノ
      |.!; ;ヾ; ;\ ,.,.,.     ,.,., !イヽ
      l; ; ;.| ; ; ト、   rt.、_’ ノ ノ ; ;}
     /; ;l ヽ、; ;\>` ー´.ィ /イ /
   ./; ;/; ; ; ;>ーヽー穴t;. |  '´
   /; ;/ ; ;/ヽ、 \ /《ム,\⌒≧
 /イ; ;/ミ>/!L_>< {ミh,,入_}
   //⌒ヽ<   ノノ    マミhV フト、
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  妄想を垂れ流すのもよし、初SSに挑戦してみるのもよし
  そこのお前も書いてみないか?


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前スレ
俺「ストライクウィッチーズ、ブレイクナウ」
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14336/1352033747/

100名無しさん:2013/06/03(月) 01:34:40 ID:UPWc69a.
≫99
その書き方だと虚偽になるから、お前が逆に訴えられる可能性があるぞ

101名無しさん:2013/06/03(月) 01:39:55 ID:RhSOUhDw
うわぁ
誰もIP抜いてそれを元に犠牲者を出していくなんて書いてないのに怖いわぁ
冤罪擦り付けられそうですわぁ
>>99を通報しますわぁ

102管理人:2013/06/03(月) 01:39:58 ID:???
寝ようと思ったらレス数爆発してて、ひょえーと思いつつ見てみたら逆の意味で驚きの展開。
皆さん詳しいですね。ありがたいです。

とりあえず今日削除した分のホスト情報は管理画面に残ってますし
同一人物がいろんなやり方で荒らしてきて困ってます、って感じで
したらばの運営会社に通報するところからやろうと思います。
(こっちで削除しちゃった文章、運営会社なら確認できるよな…?)
それまでは対症療法だけしかできませんけどご勘弁くださいまし。
とりあえず後からキレイにだけはできるから、しばらくは我慢してくだされ。

管理人として動ける事ならいろいろやってみるから、有効な方法はやり方教えてね。

寝ます。
とりあえず最後に削除した後にきちゃったもんの処理はまた今度まで待って下しあ。

103名無しさん:2013/06/03(月) 01:41:44 ID:Im4rcgvU
その程度でいちいち起訴処分にしてたらムショが満杯なんですがそれは…

管理人氏乙ーおやすみー
俺も寝よう

104名無しさん:2013/06/03(月) 02:00:13 ID:69oLm2ZU
一部のお馬鹿さんのせいで話がややこしくなりすぎ




荒らし程度じゃ警察は動いてくれない

したらば運営に過度の期待はしない方が吉
大抵は荒らし対策の設定しろか無理サポシで終わる
wikiも同じような結末だったのは記憶に新しいはず。所詮は無料掲示板

無計画なホスト規制で一部が既にとばっちりを食らってた

こんなもんだ。期待はあまりするな。警察がどうにかしてくれると思ってる頭がお花畑なやつらは書き込む前に勉強してこい
馬鹿が真に受けて延々警察ループする

こんなもんだ。寝る


あと関係ないけど携帯類のID固定設定してくれ
じゃないとほぼ書き込む度にIDが変わっちまう

105名無しさん:2013/06/04(火) 23:53:02 ID:AQP7rZaw
管理人氏、衝撃波の人乙乙

106管理人:2013/06/05(水) 01:04:29 ID:???0
>>104
携帯まわりの設定ってIDに識別符号をつけるとか、端末固有番号を発しない端末をNGにする
くらいしか設定が見つからなかったんですけどこれのこと?
とりあえず設定はしておきました。確認出来る人はよろしくです。

ちなみに、通報云々でちょっと盛り上がっているようなので、念のため管理人さんの考えをお伝えしておきます。
俺がこの前言った「運営に通報」云々は、あくまで掲示板を保護するため、くらいにしか考えてません。
運営さんのほうで奴さんをシャットアウトしてくれればホスト規制も解除できますし、みんなの利用性も高まるからね。
2chみたいに、とはいかんでしょうが「シーサーさん、(可能なら)奴さんのプロバに警告とか、なんかして止めてくださいよ」的な。
サービスの利用者として、利用の妨げになる状況については報告するべき、という大義名分もありますし。

くだらないコピペ荒らし、というのは確かにムカつく存在ではありますが「犯罪の構成要件」は満たしてなさそうですから
警察が絡むことは、恐らくないと思います。

そのあたり、自分がとる行動の方針についてはざっくり説明してみました。
…と、いうことで。
今は別にいいけど、投下する人が来たらこの手の話題は管理スレほかに移動おねがいいたしますわね。

107名無しさん:2013/06/05(水) 01:55:46 ID:0.Ry5OJo0
管理人おつ
うまくいくことを祈るばかり

108名無しさん:2013/06/05(水) 23:03:03 ID:/QMUrHhU0
乙乙

114名無しさん:2013/06/10(月) 23:58:23 ID:r7q0ujEM0


115短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:17:15 ID:RT1ivZK20
>管理人様へ
返事が遅くなってしまい大変申し訳ないです。
ありがたく使わせていただきます。

短編『あくび』1話&2話↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14336/1365006625/?q=%A4%A2%A4%AF%A4%D3

116短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:20:27 ID:RT1ivZK20
落ちかけている夕日がガリアの山脈から俺達を垣間見ている。

彼女によって雫を帯びた花壇に囲まれた場所。

そして照らされた二人の影が周りに溶けてゆきそうな時間。
仄かに暗く、ほどよい静寂があり、この花壇を所有する近くの復興途中である大きな屋敷から心地よい旋律のクラシックが流れていた。

まるで舞台装置の照明と音響による演出でもあるかのような雰囲気。
先程まで走っていた為の呼吸が落ち着いた自分にとって嘘のような状況を再発見した瞬間だった。

それらの空気感が今、眼に映る自分の一番好きな人を一層引き立てていた。

彼女に対し「胸を焦している」という恥ずかしい喩えが脳裏に浮かんだ。
同時にこれからとろうとする自らの行動が子供びていて今更後悔と悲愴を感じた。

ウィルマ「大事な話…?」

俺「はい」

普段の消極的な感情を殺して、今はただ口を開く。

俺「…ファラウェイランドの将校さんと結婚すると聞いて」

ウィルマ「え、あぁ…うん。決めちゃった。あはは、まさか退役して直ぐに結婚するなんて自分でも思わなかったよー」

相変わらずの明るい声にどこか心が落ち着き、自然と後ろの花壇へと逸らしていた眼をやや無理に彼女へ合わせた。

俺「俺だって思いませんでしたよ。しかも…」

しかし、直ぐにまた眼を逸らしてしまった。

俺「………本当に、好みの…齢の差がある御方と結婚するだなんて…」

118短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:23:33 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「……俺…?」

互いに沈黙があった。といっても俺の発言とその仕方に原因がある。気づかれただろうか。
あぁ、いや、既に彼女は気づいているのだった。アメリーちゃんが言っていた、好意のことを彼女は既に。

俺「………」

この間に恐怖を感じ、時が進むのが酷く長く感じた。早く言葉を発したかった。
しかし何と言えばいい。分からない。脳が働かない。眼はうわのそらの方向を泳ぐばかり。

それでも歯を食いしばって伝えたいことがある。本当はどうにもならないとしても、我慢しなくてはならないとしても。

ただ、口にすることが出来ない。彼女に初めて出会った時からの回想を無闇に繰り返し言葉を捜してしまう。
見つからない。でも本当は見つかっている。しかしその見つかっている実直な言葉だけではきっと駄目だろう。

好きだと。

この言葉だけでは今の彼女の心を動かすことは出来ない。どうしても、動かしたい。たとえ無理でも。
今の俺に彼女を動かす言葉さえあれば。

ウィルマ「…私ね」

俺「…え」

先に彼女の口が動いた。

ウィルマ「元々魔法の素養が高くなくて、スナイパーの家系なのに能力もそこそこで…これは前、俺に話したよね」

俺「……はい、あの時の取材で」

ウィルマ「だから自分のことより…他の人が頑張る姿を見るのが好きだった…」

優しく囁くように彼女は続けた。

124短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:26:28 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「でもそれじゃ駄目だって、シールドが使えなくなった時、助けてもらったフランに教えられたの。私も頑張らなくちゃって」

俺「…はい」

ウィルマ「…だけどフランだけじゃなくて、俺にも…教えられてたんだ…」

俺「えっ?」

ウィルマ「海辺でのレクの時、今続けている記者の仕事を一生したいって聞いて…その時、ちょっと嫉妬しちゃったけど、私も頑張ろうと思ったんだ」

俺「…あの時の……」

ウィルマ「自分の魔法力がじきに無くなるのは気付いていたけど、でも後悔なんてしないよう、ウィッチであり続けることを最後まで頑張ろうって…ねっ」

覚えている。どこか哀しげな表情をした水着の彼女の写真を撮った時を。

あの時、確かに俺は一生の仕事にしたいと言っていた。
でも今となってそれは銘文などではなく、彼女が結婚を決めてしまった今、意味が消えかけた後生を仕方なくとの皮肉にもなっている。
取材を通して恋をした日々を、取材によって変わってしまった惰性的な日々の中で引きずっている。記者を止めたいとも思う。しかし過去に囚われて、だから続けてしまう。

ウィルマ「…あー安心したっ」

俺「安心?」

ウィルマ「だって俺、まだしっかり記者を続けてるから」

そう言って彼女は俺の脇腹辺りに吊るされていたカメラを指差した。

131短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:29:29 ID:RT1ivZK20
俺「あ…」

気が付かなかった。部屋を飛び出した時、俺は咄嗟にカメラを肩に掛けていたようだった。カメラを外出時に必ずぶら下げるのは仕事によって習慣付いてしまったようだ。
自分の手で触れてみて確認する。そうだ、このカメラはあの時の取材からずっと持ち歩いていたんだ。俺の一生の仕事として。

きっと、彼女の前で誓ってしまった約束を破ることが出来ず、彼女を忘れられないから。

だから俺は記者であり続けるのかもしれない。

ウィルマ「好きだったよ…カメラを持って頑張ってる俺の姿」

俺「……えっ」

頭を上げた俺の目の前に、あの夕日の前で写真を撮った時と同じ笑みの大人っぽい彼女の表情があった。

思わず呼吸を忘れて見とれてしまう。
頬が熱くなってくるのは当然のことだった。

しかし、彼女のその言葉の意味が分かった俺にとって、この反応は胸にだけ冷たい痛みを残した。

好きだった。そう、もう遅い。全ては分かっている。どんなに意地汚い子供であっても分かることだろう。

でも、俺は。

ウィルマ「それに、またこうやって会えるなんて私は」

俺「俺はっ…」

ウィルマ「……」

俺「俺は…まだ好きですよ」

涙が込上げそうな程、情けない声で呟いた。

137短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:32:30 ID:RT1ivZK20
俺「卑怯ですよ、そんな…結婚するだなんて」

俺はなんて場を読まない男なんだろう。どうして大人になろうとしないのだろう。大人になる方法は分かっているのに。

全部、自分の我が儘に彼女を巻き込んでしまっている。

ウィルマ「……」

俺「ずっとあなたが好きだから、此処まで来たのに…」

ウィルマ「…私のこと、好き…なの?」

俺「知っているくせに…っ」

ウィルマ「……うん」

彼女の頬が赤らんだ。

そのまま見つめることが出来ず、先程よりもかなり暗くなってきた周りへ意地を張るように言葉を投げかける。

俺「好きです。ずっと……そう…想っていました…。だから俺と…」

ウィルマ「……」

俺「だから………俺と…っ…」

軍人として誤った行動を取っているに違いない。
上官との結婚が決まった相手への告白なんて。殺されても文句は言えない。

だとしても言ってしまった。

それに言葉は見つからなかった。彼女を動かす言葉は。俺の正直な気持ちしか言葉に出来なかった。

それでも俺は彼女の返答を、自分にとってこれしかなかった告白の返事を待った。

とても長い静寂があった。
気が付けば屋敷から流れ漏れていたクラシックは別の曲へと変わっていた。

ウィルマ「私は…」

俺「っ……」

俺は眼を瞑った。

141名無しさん:2013/06/17(月) 23:34:06 ID:gvM.kquI0
おつおつ

143短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:35:02 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「私っ…」

上官「なっ、何をやっているんだお前はっ!!」

な。

上官「きっ、貴様、何故此処にいる!貴様は此処に来る筈が…!」

声のした方向を見ると、そこにはブリタニアの本部の客人室で見かけたファラウェイランド人が銃を構えていた。
あの空軍将校の部下だ。怒りの形相で俺を睨め付け、銃を握り直しじりじりと近づいていく。

空気が逆転し唖然とする。

俺「あ…あんたは…」

その突如訪れた別の緊張感から足が竦み、若干血の気が引いていくのが分かった。

上官「奥様、そいつから離れてください!」

ウィルマ「待って!この人は私の」

動揺した頭を正し、あいつが「此処にいる筈が」と言っていたことを聞き逃さなかった。
やはり俺への手紙が届かなかったことは奴らが原因で。俺が厄介だからといって悪戯の度を越え過ぎている。

また邪魔する気なのか大人の連中は。でも今日だけは絶対に歯向かわせてもらう。

俺「手紙が来なかったから確認しに着ただけですよ。あなたそっくりの王立側のヤギが食べちゃってたみたいで」

上官「なっ、お前……しかし聞いていたぞ。奥様を誑かそうと口説きを入れていたようだな」

俺「奥様…って」

上官が更ににじみ寄り、銃口からの射線が俺の頭を捕らえる。しかし退けはしない。
彼の言った言葉を否定はできないし、何より彼女へ伝えなければならないことがある。

146短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:36:47 ID:RT1ivZK20
上官「連行させてもらう」

俺「…俺が此処にいたら貴方の面子が潰れてしまいますからね」

上官「お前は違反を犯したからだ」

俺「好きだから好きといって何の問題が」

上官「このガキが、減らず口もいい加減にしろ!」

ここで退いたら彼女への想いが無駄になってしまう。

上官「私の上官の愛人に対し、好きです、ずっとそう想っていた、としっかり耳にした。これは重大な規律違反だ。戯言を抜け抜けと…」

俺「戯言なんかじゃない」

ウィルマ「……」

上官が銃を構えなおす。

撃たれてもいい。でも想いだけは伝えたい。

きっと一生に一度しかないこの瞬間だけは見逃したら絶対に後悔する。たとえ俺が死んでも。

俺「それに違反を犯しているのはあなた方ではないでしょうか。いい歳のくせして」

上官「貴様!」

俺「…うるせぇ、どうしても好きなんだよ、俺は!!」

ウィルマ「……俺」

俺「大好きなんだ!!子供で悪かったな!!」

150短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:38:41 ID:RT1ivZK20
何としてでも彼女に伝えたい。

ウィルマさん、あんな年増との結婚を止めて、俺と一緒になってくれ、と。

ずっと好きだった、そして今も好きだ、と。

俺「撃てるもんなら撃ってみろクソ野郎!!」

上官「このっ…!」

ウィルマ「も…もう止めて…俺っ!!」

必死に俺を止めようとするウィルマさんと眼が合った。

俺「あ…」

ウィルマ「…俺」

俺「……くそ…っ」

あぁ、ちくしょう。この人は明日結婚するんだ。

なのに俺は何をやっている。
どうしてなんだ。なんて情けない。どうしてこんなことになってしまった。

俺「…撃てよ!!」

上官「…っ!!」

ウィルマさんは俺に振り向いてくれるのか。振り向いて欲しい、でも。

ウィルマ「……俺っ」

きっと無理だろう。しかし「無理であっても」という自分がいる。
彼女が年上が好きだとしても、それは変えられないことであっても、足掻きたい。

俺「……そうだとしても」

“ウィルマ・ビショップはおじ様好き”か。

そうだ。たとえ無理だとしても。

告白する時ぐらい。
あの将校のオヤジみたいに、笑って出来たらよかった。

空気を読めて。
格好良く、余裕を持った大人みたいに。

子供の俺でも、大人みたいに出来るのであれば。

俺「それでも…俺は本当に……誰よりも好きなんだ」

ウィルマ「…えっ」

ただ彼女を見つめた。
その時だけは、目の前にある銃なんて、彼女の眼なんて、何も怖いものは無かった。

俺「愛してます」


――

154短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:41:02 ID:RT1ivZK20
?「…ありがとう」

上官「…………は?」

上官が俺の頭に銃口を押し当てて止まった。静止した間に気が付き、咄嗟に瞑ってしまった眼を開く。

今の声はウィルマさんの声ではない。
荒く呼吸をしながら体制を崩している俺は、白銀の髪色の彼女が遠くで立っているのを見た。

俺「ら…ラウラ?」

ラウラ「こんなところで告白されたら、照れる」

花壇の奥の壁の方から歩いてくる。懐かしい彼女の静かな声。

ラウラ「明日は友人の結婚式だっていうのに…それに…」

その声が近づきながら聞こえてくる。

ラウラ「どうせするのならもっと近くで告白してもらいたかった」

上官「な…ラウラ少尉、一体何を」

ラウラ「そいつを離してもらえない…?今度はしっかり聞こえるように傍でしてもらいたい」

上官「い…いけません!こいつは奥様に」

ウィルマ「ラ、ラウラ…?」

ラウラ「?」

惚けた顔をして、ラウラは話を続けた。

ラウラ「何を言っているの…?こいつは離れたところから私に叫んで告白してきた。ウィルマにも手伝ってもらって…全く…臆病」

上官「はぁ!?そっそんなわけが…!」

ラウラ「私はあの花壇の後ろにずっといた。あなたは気付いていなかったみたいだけど…」

上官「しかし、好きです、ずっとそう想っていたとこいつは奥様に…!」

ラウラ「だからそれも遠くにいる私に言っていた。俺と私の間にウィルマに被ってそう見えていただけ」

上官が動揺して、掴んでいる俺の襟元を離した。それと同じくして俺も事態を飲み込めていない。

158短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:42:56 ID:RT1ivZK20
ラウラ「そうでしょ、ウィルマ。俺の告白の手伝いをしていたんだよね」

ウィルマ「…え、えっ?…うっ…うん…」

ラウラ「一人じゃ告白する勇気がない…それに魔女に好きと明かすなんて。違反といえば違反だけど」

上官「ごっ…誤魔化すのもいい加減にしろ!」

ラウラ「誤魔化してなんかいない。そうでしょ、俺も」

俺「………」

ラウラ「ウィルマの結婚式に当然同席する私を追って此処まで来た。それでも告白する勇気が出ないからウィルマに手伝ってもらった、違う?」

俺「…いや、俺は…」

ラウラ「…違う?」

俺「………」

ここまで鋭い眼のラウラを見たのは初めてだ。

やっと事態を飲み込めた。

そういうことか。まさかラウラに助けられるなんて。自棄になりながらも告白を果たそうとした自分にやっと気が付いた。
心は勝手に落ち着いた。いや、醒めてしまったのかもしれない。

服は肌蹴て、ぶら提げていたカメラも肩から抜け、花壇の外の草木へと飛んでしまっている。

俺「……うん、その通りだよ」

冷静になった途端、腰から力が抜けていってその場に座り込んだ。

プライドも何もがズタズタだった。

夕日が落ちたあの時、その場にはクラシックだけが流れていた。
今になっても、あの曲だけは忘れることが出来ない。


――

161短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:45:53 ID:RT1ivZK20
挿入曲 バッヘルベル カノン (ttp://www.youtube.com/watch?v=MOBYK_reo-4)


ラウラ「連行されなくてよかった」

眉を顰めた納得のいかない上官が渋々去った後だった。
ラウラが誤魔化しを後押しするように「彼が私に告白したことを摘発してもいいけど、そうした場合、明日の式は彼と共に欠席させてもらう。同時に手紙の件について調査させてもらう」と上官の背に進言した。

昨日いたワイト島分遣隊の旧友が、式当日にいないことに空軍将校が気付けば不審に思うだろうし、何より手紙の件が暴露されるのであれば上官の首はハネられるだろう。

処分は免れたと言っていいか。

ラウラ「それで、どうする…?」

俺「……」

俺とウィルマさんはその場に力が抜けたように座り込んで互いに俯いていた。
夜で暗くなった視界に眼が慣れてきた中、俺は地面の土の方だけを向いていた。周りの様子が気になるが頭が上がらない。

だが不思議と気持ちは、何か引っ掛かっていたものが取れたような少しの開放感があった。

ラウラ「…私が此処にいると邪魔かな」

そう溢し、ラウラは振り返って屋敷へと歩いて行こうとする。

俺「…なぁ、ラウラ」

ラウラ「ん…」

俺「俺がワイト島を去る前の宴の時、ふと起きた俺に“言わなくていいの?”と言ったことはこのことだったのか」

ラウラ「……」

俺「それと…告白をしないであろう俺に対して“そのほうがいい”と言ったことも」

ラウラ「……」

さすが「感覚加速」の固有魔法の持ち主だ。俺が取材で彼女の個性を見抜いていると思ったら、逆に早計に見抜かれていたとは。
しかし俺に後悔は無い。

俺「…言っちゃったよ」

ラウラ「俺は…後悔してる?」

俺「するもんか」

ラウラ「そう…ならいい…」

彼女は微かな笑顔を見せた。きっと今までの俺がこの笑いを見たら、その意味を理解することは出来なかっただろう。
でも今なら理解できる。つられて笑ってしまう程に。

166短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:48:19 ID:RT1ivZK20
ラウラ「任務…完了」

俺と自分に対するであろう本音と冗談を混ぜ、ラウラはまた歩き始めた。

俺「あぁ、後一つ」

ラウラ「…?」

俺「助かった。ありがとう、ラウラ」

ラウラ「……話はこっちでつけとく、俺も前夜祭に参加しよう。明日は式なんだ、空軍将校だって酒を飲めば見逃してくれる」

俺「…そうだな」

ラウラは屋敷の中に入っていった。

今、この花壇に囲まれた敷地に残されているのは俺とウィルマさんの二人。

静寂を遮るよう口が勝手に開いた。

俺「ウィルマさん…ごめんなさい。あなたに迷惑をかけてしまった」

ウィルマ「……」

彼女も頭を上げる。

俺「でも、そんなしおらしい謝罪なんかする前に、渡したいものがあるんだ」

ウィルマ「…渡したいもの?」

俺「うん。始めて会ったあの時の」

彼女は少し驚いたような仕草をした後、クスッと笑った。
そうか、彼女も覚えていて、気付いたようだ。

胸ポケットに手を入れ、古ぼけた一枚の写真を取り出した。

初めてカメラを使って、初めて取った写真。
使い慣れない定着液によってふやけ、あの時からの日々を想わせる写真。

大好きだった人の写真。

169短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:49:54 ID:RT1ivZK20
俺「他の写真はみんな上層部に持ってかれて…でも、この写真だけはどうしても渡したくて。まぁこんな古ぼけたの、渡されても」

ウィルマ「…覚えてるよ。ふふっ…懐かしいな、俺が撮った写真」

俺「…俺が初めてカメラを使って撮った写真」

ウィルマ「えっ?そうだったの?」

俺「だから余計、渡したかったんだ」

ウィルマ「ぷっ…あはははっ」

俺「笑うなよ……ぷっ…」

そう言いながら俺も笑ってしまう。

ウィルマ「あぁー…そっか、大事な写真…」

俺「貰ってくれますか?」

ウィルマ「…貰わないっていったらっ?」

俺「皆に黙ってウィルマさんをベルギガまでかっさらいます」

ウィルマ「あっはっはっ!それって脅迫ー?」

俺「みたいなもんかな」

俺は写真を差し出す。彼女はゆっくりとその写真を受け取った。

俺「よかった…」

173短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:51:33 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「……さっきの俺に、動かされちゃったなー」

俺「…?」

ウィルマ「だって眼が合ったまま、あんな告白されるなんて…」

愛してます、と。

俺「………もう二十代なのに…子供っぽかったな」

ウィルマ「うぅん、あの時は大人だったよ…俺」

俺「そうかな?」

ウィルマ「うんっ、すごく……だけど私は明日…」

目を逸らし、少し黙り込んでしまう。
彼女のその仕草は、あの時の取材ではきっと分かりえるものではない。

でも今なら分かる。正解ではないが、俺の返しはこれで良いと思う。

俺「俺はもう、写真を渡せて満足です」

きっと、これで正しいだろう。

俺「…ウィルマさん、どうかお幸せにっ」

ウィルマ「……………くすっ…じゃあ、私もお礼しなくちゃねっ」

俺「お礼?」

ウィルマ「うん…眼をつぶって?」

俺は眼を瞑る。何か渡したいものでもあるのだろうか。

ウィルマ「……」

俺「…あ」

柔らかい感触があり、眼を開けると彼女は俺の額にキスをしていた。

ブロンドの髪が頬にかかる。

それはワイト島での起床から就寝の全ての出来事を思い出し、そして決着が付いた。

177短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:53:08 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「……」

唇を離し、暗くて見え難いが、互いに頬が赤く染まった顔を合わせた。

ウィルマ「こんなことしたら…忘れられなくなっちゃうかな?」

ウィルマめ、最後まで俺を子ども扱いして。

でもウィルマ。

俺は前よりもきっと、大人になれたんじゃないかと思うよ。

俺「……いいえ」

あの時が甦る。

“えっ?いや、俺はいいですよ”

“こーいうのは後々いい思い出になったりするから、ねっ?”

“思い出…”

俺「貴女の言ったとおり、いい思い出になりましたよ」

そしてこれからも、こうやって俺は大人になっていくんだろう。


――


アメリー「ご結婚おめでとーございまーす!!」

遠くで鐘が鳴っている。

仲間や親族達からの祝福を受け、将校と手を繋いだ彼女は嬉しそうに笑っている。
ひらひらと花びらが舞い、ブーケを片手にダンスをしているようだった。

ペリーヌ「まさか私の敷地で式を挙げるだなんて、思いもしませんでしたわよ?いくら教会の復興が進んでいないからって…」

リーネ「えへへ、私が勝手に許可しちゃって…」

ペリーヌ「もうっ!…でも、今日ぐらいは良いかしらね…」

雲一つ無い晴天の下、ウィルマ・ビショップの結婚式は行われた。

家族や戦友、ペリーヌが預かった孤児達も手を叩いて歓迎する。

179短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:54:08 ID:RT1ivZK20
ウィルマ「みんなー!ありがとーっ!!」

婿と腕を組み、ウェディングドレスを纏った彼女が大きく手を振っている。
式の最中は真面目に清楚さを保っていたというのに、一通り終えると天真爛漫の幼い彼女の笑顔がそこにはまだ残っていた。

きっと彼女はいつまでもああなのだろう。とても微笑ましいことだ。

角丸「あぁいいわねぇ…私もあんな風に…」

フラン「何、隊長も結婚したいの?」

角丸「へっ!?いいいや別に私は…」

フラン「ふーん…」

フランシーは不満げに頬を膨らませた。

アメリー「どーしたんですか、フランさん?」

フラン「いや別にー。ちょっとウィルマがあんなお年寄りと結婚するのが気に入らないだけ」

アメリー「そっ…そんな言い方…」

角丸「ひょっとしてフラン、ウィルマが結婚することが寂しいの?」

フラン「ちがうわよっ!い、いやちょっと違わないけど…。私はてっきりあいつと…」

リーネ「みなさーん。引き続きパーティーを始めますので、準備をお願いしまーす」

リーネが屋敷の入り口から呼びかける。将校の部下の上官達や話を聞きつけた取材班も続々と入っていく。

角丸「あっ、はーい。さっ皆、今日は美味しいもの沢山食べるわよー」

アメリー「はいっ!……って、あれっ?」

フラン「ん?どーしたのよ、アメリー」

アメリー「いや、さっきから俺さんとラウラさんの姿が見えなくて…」

角丸「あら?本当……どうしたのかしら…。俺さーん!ラウラー!」


――

182短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:55:22 ID:RT1ivZK20
俺「んー…んーっ」

俺は屋敷の裏の木に凭れていた。そして昨日の忘れられないクラシックの曲を口ずさむ。

久々の大勢の人前で疲れたのだろうか。

ラウラ「違う…根性なし」

そしてラウラも木陰で休んでいる。

俺「違うって何だ」

ラウラ「疲れたんじゃなくて、緊張して彼女の前に出れないんじゃないの?」

俺「ぐ…アメリーちゃんといい、お前らワイト島の連中は勘が鋭いな」

ラウラ「鋭いんじゃなくて、俺が分かりやすいだけだよ」

図星を突かれ、そっぽを向いてしまう。

折角あの宿主から燕尾服を貸してもらったというのに、これでは意味が無いな。
まぁ、少し大きくてぶかぶかしているからあまり他の人に見せたくも無いが。

俺「…で、なんでラウラは此処に居るんだ」

ラウラ「私は疲れただけだから」

俺「ラウラこそウェディング姿のウィルマに会いに行くべきじゃないのか」

ラウラ「彼女とはいつでも会える」

俺「……慰めか?」

ラウラ「そんなじゃない」

そう言って、ラウラは俺の傍に寄ってきて座った。

俺「…やっぱり慰めじゃないのか?」

ラウラ「俺がウィルマに会いに行かないから」

俺「っーあー分かった!会いに行くよ!」

俺は衣服を整え始める。ネクタイを引き締め、靴を正し、髪を整え、眼をはっきりと開ける。
せめて、姿だけでもと。

185短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:56:41 ID:RT1ivZK20
俺「……なぁラウラ」

ラウラ「ん…」

俺「もし、あの時俺が本当にラウラに告白していたら……いや、なんでもない。野暮なことを聞いたな」

ラウラ「……」

俺「……」

ラウラ「はぁーっ……」

俺「ん?」

ラウラの蹴りが俺の尻に届いた。

俺「いっ痛てぇ!!何すんだ、せっかくしわを伸ばしたのに…!」

ラウラ「…行くよ」

ラウラは俺の手を曳いて、屋敷の入り口へと向かって行く。

ラウラ「俺…」

俺「ん…何だ?」

ラウラ「今日は飲む?」

吹き出しそうなぐらい当たり前のことを聞いてきたので、少し大きな声で返した。

俺「ふふふ……当たり前だっ!!」


――

186名無しさん:2013/06/17(月) 23:56:43 ID:XJRZ1LqQ0
支援ー
荒らしの奴焦ってやがるw

189短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:58:06 ID:RT1ivZK20
俺「あ、ちょっと待ってくれラウラ」

入口の前で俺は立ち止まって上を見た。雲一つ無い、潔い青。

変わることの無い、誰もが憧れる、広い空を。

肩にぶら提げてあったカメラを構えて、シャッターを下ろした。

俺「…相変わらずだな」

大きく手を広げ、身体をぐっと伸ばした。

そして口を開き、大きなあくびを一つ。

ラウラ「もう行くよ」

これで猫背は直ったはずだ。

俺「あぁ」


――おわり――


エンディングテーマ 堀江由衣 Romantic Flight (ttp://www.youtube.com/watch?v=N2pa2tlj9kw)

192短編『あくび』最終回:2013/06/17(月) 23:59:15 ID:RT1ivZK20
短編『あくび』全三回、完結しました。EDが堀江さんなのはwikiのイメージするウィルマの声を参考にしています。
ここまで読んでくれて本当にありがとう!!


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