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俺「ストライクウィッチーズと洒落込もうか」

1名無しさん:2013/04/07(日) 02:07:57 ID:qhlpEsaY
ストパンの世界に俺を入れてイチャイチャしようずwwwwwwwwww っていうスレ
         ∧
         / |
        〃 .|
       .//  |           ___ _,. イ
      / |  /  _ __     /       /
      ( |. /; ; ; ; ; ; ; ;.;.;>、/ /    /
      ヽ.! /; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; < ̄ ̄
      / V; ; ; ; ; i; ; ; ; ;.;.丶; ; ; ;ヽ
     .///; ; ;./; ;/|; ; ; ; ; ;.;.;l; ; ; ; ;.i
     |/; ;./ ; ;/; ;/ .l .ト、; ; ; ;.;ト; ; ; ;.;\ _,
    ノ ; ; |; ;ノイ/⌒l | | ; ;7⌒| ; ; ! ̄
   /!|; ;A ; ; l∧|⌒リ  ! ; ;/ ノヘ!. ; ;l
      |.!/{ ト、 ト弋シア ノ/弋シア; ;ノ
      |.!; ;ヾ; ;\ ,.,.,.     ,.,., !イヽ
      l; ; ;.| ; ; ト、   rt.、_’ ノ ノ ; ;}
     /; ;l ヽ、; ;\>` ー´.ィ /イ /
   ./; ;/; ; ; ;>ーヽー穴t;. |  '´
   /; ;/ ; ;/ヽ、 \ /《ム,\⌒≧
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  妄想を垂れ流すのもよし、初SSに挑戦してみるのもよし
  そこのお前も書いてみないか?


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2名無しさん:2013/04/07(日) 02:08:37 ID:qhlpEsaY
俺スレのお約束

1、他の人が投下してるなら割り込まないでね
2、投下予約できるならしてね
3、長時間にわたるようなら分割するか、一旦切り上げて再度予約しよう
4、予約のすっぽかしは迷惑がかかるからやめよう 予約キャンセルの時は一声かけてね
5、>>1の一行目を第一に考えてほしいな

 (クロス・パロディについて)
書き手は、読み手のことをよく考えて設定を練っていこう
過剰なクロス・パロ要素は、読者を置いてけぼりにしてしまうかも
また、読む側にも「気に入らないなら読まない」という選択肢がある事を忘れないで

批判、スルーされても泣かないで!
ストパン愛を忘れない ←重要

3名無しさん:2013/04/07(日) 02:11:35 ID:qhlpEsaY
一応作っとく
いつ使うかはまだ分からないけど

4<検閲>:<検閲>
<検閲>

5衝撃波:2013/06/02(日) 05:46:51 ID:n/.S.IuY
せっかくなので、使わせていただきます。ラル√幕間です

6衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:47:46 ID:n/.S.IuY

廃棄都市を賑わせていた勝利の凱歌が止み、誰もが眠りに就いた夜更け。
都市を這う夜風の音が耳朶を嬲るなか、教会の戸口に通じる壊れかけの階段に俺は独り腰を落としていた。

「まだ動く、か」

雲の切れ間から姿を見せる月から、煤で汚れた手に視線を落とす。
ジグラット内部で意識を喪失する寸前まで、僅かにでも動かせば激痛を生んだ五指も今では思うように動く。
護符で囲んだ空間を自在に創り変える能力だけあって見事に完治しており、男は改めていまこの場にいないかつての仲間に感謝した。

「…………っくし!! あー、ちくしょう」

凍えた音を伴った風に身体が自然と震える。遥か頭上を仰げば月を隠していた雲は消え失せ、天蓋の彼方に座る黄金色の満月がその姿を曝け出していた。
巨大で丸い月。
時に青白く、時に金色へと身に纏う光を変える天体は今宵もまた人間たちの営みを見下ろし続ける。
それが希望に満ちていようと、絶望に染められていようと。変わらずに。

「あー……」

徐に手を伸ばす。届きそうで届かない月に。
ストライカーを開発し、遥か大空を舞うことはできても人類の指は未だ月にかからない。
尤もネウロイなどという異形がこの惑星に蔓延っている以上、月に到達することなど夢物語でしかないのだが。

7衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:48:49 ID:n/.S.IuY

「そういえば薔薇十字の婆様が言っていたな」

淡く朧げな月の光を前にふと己に自ら編み出した術式を授けた魔女の存在を思い出す。
薔薇十字。
偶然にも友人の妹と同じ名を持つ稀代の魔女が、かつて自分や他の仲間たちに囁いた言葉が脳裏に反響する。

――月、ねぇ。安心なさい。あと50年も経たない内に到達出来るわよ――

当時は自分も他の仲間たちも、彼女が洩らした言葉を真っ向から信じようとはしなかった。
生身の膂力で以ってネウロイを撃砕する血気盛んなあの男にいたっては正面から食って掛かったほどだ。
けれどもこと魔法、魔術に関して群を抜いた才を持つ彼女の言葉は。
中世の時代から今日まで存在し続ける正真正銘の魔女の言葉は、今になって思えば不自然なほどの説得力を秘めていた気がしてならない。
あたかも予言者の如き、あの口ぶり。もしかすると彼女は……

「こんなところにいたのか」

音を立てて開くドア。背に投げかけられた言葉に思考が途切れる。
聞き慣れた恋人の声音に口元を緩めながら振り返った途端、俺は息を呑んだ。
月明かりに照らされながら後ろ手に扉を閉めるラルの姿に。
形の良い唇から白く染まった吐息を洩らし、夜風に弄ばれる髪を繊手で押えつける恋人の姿に。
視線が吸い寄せられていることを自覚しつつも、目を逸らすことが出来なかった。
一秒でも長く、この光景を脳裏に焼き付けておきたいという欲求が俺の身体を拘束していた。

8衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:49:55 ID:n/.S.IuY

ラル「どうした?」

絡み合う視線。
見惚れていたことに気づかれたことへの気恥ずかしさと澄んだ瞳が自分だけを見つめている心地良さが混ざり合った奇妙な感覚に苛まれながら、俺は熱を帯びる顔を背けてしまった。

俺「いや。なんでもない」

恋人同士なのだから別段恥ずかしがることでもないのではと彼女への返答を口にしつつ、胸裏に零す。
それでも視線を逸らしたのはきっと彼女の美しさが原因なのだろう。再び月を見上げ、しみじみ思う。
未だ両想いであることも信じられず、もしやこれは夢なのではと俺は頬を摘みあげた。
指が摘んだ部分に宿る熱と痛みから紛れも無い現実であることを実感する。

ラル「姿が見えなくなったから心配したぞ?」

俺「少し考えごとを」

無事生還を果たし、彼女と――ラルと思いを通じ合わせたその後。第502統合戦闘航空団との合流を終えたその後。
自分の姿を捉えるや否や感極まったニパに抱きつかれ、生還の褒美と称されクルピンスキーから頬への口づけを贈られ、すぐさま恋人から鋭い視線を突き立てられるなど何かと騒動は耐えなかった。
口々に自身の帰還を喜び、安堵してくれた仲間たちに囲まれる俺は自らの帰るべき場所がどこなのかを改めて思い知った。
今まで世界中を彷徨ってきたが、もうそろそろ根を下ろす頃合かもしれない。

9衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:50:48 ID:n/.S.IuY

ラル「まったく、こんなに身体を冷やして……風邪でも引いたらどうするつもりだ?」

不意に温かな感触が背中を覆った。後ろから腕を回され、身体を密着させられながら耳元で囁かれる。
叱りつけるような言葉とは裏腹に弾んだ口調。目に見えずとも彼女がいま笑みを口元に携えている姿が容易に想像できる。
背に当たる母性溢れる柔らかな感触に意識を奪われ、耳朶と首筋を交互にくすぐる蜜味の吐息に身を捩らせながらも、

俺「そのときは恋人の手厚い看病に期待するかな」

ラル「……ばかっ」

冗談めかした言葉で反撃に躍り出ると恋人の羞恥を孕んだ愛らしい罵倒が耳元を撫でた。
その耳に心地良い声色を楽しみつつ、胸の前まで伸ばされたラルの手を取る。
瑞々しく柔らかな繊手を握るとすぐさま握り返され、そのことが俺の口元に深い笑みを浮かび上がらせた。
世の恋人たちにとっては当たり前のことなのかもしれない。けれども彼にとって、そんな当たり前が大きな幸せに感じられるのだ。
思えばここまで来るのに随分と遠回りしてきた。
もっと早くに想いを伝えていれば悲しませることも無かったのだろうか。独り物思いに浸りながら手の平を満たす感触に瞼を閉じる。

10衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:52:00 ID:n/.S.IuY

俺「あったかい……」

ラル「お前が冷え過ぎているんだ。どうしてこんな夜更けに出た? 寝付けないのか?」

俺「そんなところかな」

ラル「……なにか悩みごとか?」

俺「……」

ラル「俺?」

俺「……どうして、許してくれたんだ? 俺がまた戦場に出ること」

――無理を承知で頼む。もう一度……もう一度だけ、俺を出させて欲しい

502との合流を終えた俺は彼女たちに頭を下げて自身の前線参加を頼み込んだのだが当然、部隊員の大半は難色を示した。
先の戦闘で死に掛けた事実を踏まえれば俺自身も許可が降りるとは思っておらず、彼女らの反応も想定内だった。
しかし、そんな彼に助け舟を出したのが他ならないラルであったのだ。故に俺は疑問を抱く。
自身に基地待機を命じた彼女が何故、次の作戦への参加を認めたのか。

11衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:53:17 ID:n/.S.IuY

ラル「…………正直、今すぐにでもお前を基地に送り返してやりたいよ。だけどお前のことだ。何をしてもどうせすぐに引き返してくるんだろう?」

本音を言えばラルとて初めは彼の作戦参加を容認することはできなかった。
魔法力の喪失に近づきつつある彼を再び戦場に出すなど恋人として、戦闘航空団の司令として認められるはずが無く、だからこそ基地待機を命じたのだ。
しかし俺は基地を飛び出し、戦闘脚無しでネウロイと渡りあったとはいえ結果として命を落としかけた。
彼の仲間が現れなければ今もこうして温もりを感じることも無かっただろう。
基地に送り返すことは簡単だ。
けれども目に見えぬところで好きに動かれるより、目の届く範囲で行動させたほうが得策であると判断し断腸の思いで彼の作戦参加を認めたのである。

俺「……ごめんよ」

ラル「いいさ……ただ」

身体を抱く腕に篭った力が強まる。
耳朶をくすぐるその声色が、背中に密着する身体が、自然と震えていく。

ラル「もう。あんな真似は…………しないでくれ」

零れ落ちた声音が悲痛な感情を含んだ。
耳にする者の胸を引き裂くほどの鋭さを湛えた声色。
俺の返事を待たずに、そのまま抱き殺す勢いでラルは更に腕の力を強める。
いま自分が身を摺り寄せている男の身体の感触が、温かさが現実であることを確かめるかのように。
きつく、強く。抱きしめる。

12衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:54:35 ID:n/.S.IuY

ラル「あんな思いは。もう、いやだ……」

固く閉ざした瞼の裏側に投影される光景は崩壊していくジグラットと、その内部で命運を共にする俺の姿。
そのとき胸裏を蝕んだ喪失感。それは大切な宝物を池に落としてしまった感覚に近い。
伸ばした手は届かないどころか、泣き叫ぶ自分の意思とは裏腹に宝物は瞬く間に水底へと吸い込まれていく。
死にいく恋人に手を伸ばすことも叶わぬ無力感。
軍人とはいえ十八の少女にとって、それがどれだけ悲痛な体験だったか。逆の立場だった場合を考え、俺は表情を歪めた。
改めて自分がしでかしたことを思い知り、己に対して憤る。

俺「今度からは、お前の目が届く範囲で動くよ。約束する」

ラル「……」

俺「グンドュラ?」

ラル「…………約束、だぞ?」

耳朶をくすぐる震え声。すすり泣く恋人を少しでも安心させようと俺は彼女の繊手を握る力を強める。
すぐさま握り返されるも、これだけではどうにも心もとない。

俺「……いま、そっち向いていいか?」

ラル「な、なんだ?」

俺「約束のおまじない、しようか」

ラル「ま、待て!」

13衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:55:57 ID:n/.S.IuY

抱擁を解くなり恋人の愛らしい悲鳴を切り捨て、背後の彼女へ振り返った瞬間に硬直する俺の身体。次いで彼の口から嘆息が零れ落ちる。
眼差しの先に佇んでいたのは涙で滲んだラルの青い瞳。
それは、どの宝玉でも宿すこと叶わぬ、優美かつ儚げな光を湛えていた。
それは、たとえ歴史に名を残した探険家が世界中を探し歩いたとしても決して手にすることができない、自分だけの宝玉。
ありとあらゆる宝石が安物の硝子細工に映るほどの尊い輝きを宿す恋人の双眸を前に俺はただ深い吐息を洩らすことしかできなかった。

ラル「だ、だから言ったんだ! こんな顔…………見せたくない」

呼吸すら忘れた恋人の直視に耐え切れなくなった少女が赤らめた容貌を背ける。
滲み出てきた涙を乱暴に拭いながら泣き顔を隠すも、すぐさま腕を掴まれ涙で濡れた顔から引き離される。

ラル「やぁ、ん。み、見るな……」

俺「きれいだ……」

泣き濡れた美貌が再び月の光に照らされた途端、か細い声に惚けた言葉で返すも自分でさえ何を告げたのかを俺は正直よく判っていなかった。
自分が放った言葉すら瞬時に忘却の彼方へと置き捨てるほどに、涙を湛えた彼女の面持ちは映えていたのだ。

ラル「変じゃ、ないか……?」

俺「変な顔ならこうまでして拝もうとは思わないよ。本当に……綺麗だ」

泣き濡れる自身の顔を見つめる黒の眼差し。
寒さが厳しい季節とは裏腹に少女の全身は真夏の日差しを浴びているかのような熱を発しはじめていた。
恋人の眼差しにむず痒さまで覚えたラルは何とか話題の転換を図ろうと脳を回転させる。
もしもこのまま見つめ続けられたら気恥ずかしさのあまり身悶えしそうだ。

14衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:56:46 ID:n/.S.IuY

ラル「そ、そうだ! どんなおまじないなんだ!?」

俺「……ん? あ、あぁ。小指出してくれないか?」

ラル「小指? こう、か?」

おずおずと差し出された右手。
ぴんと立てられた細い小指に、俺は同じように立てた自身の小指を絡めた。
直後、薄桃色の唇から迸る愛らしい悲鳴。

俺「ゆびきりだよ。扶桑の約束のおまじないだ」

きゅっと絡めた小指の感触に青年はある記憶を呼び起こす。
まだ彼女に惹かれるよりも前のこと。
まだブリタニアを拠点とする第501統合戦闘航空団の一員として戦場を飛翔していたころのこと。
ペテルブルグへと帰還する当日、俺はひとりの少女と再会の約束を交わした。部隊のなかで最も幼く、親しかった少女と。
泣きじゃくる彼女に再会の約束のゆびきりを交わした俺は、自身が肌身離さず持ち歩いていたお守りを貸した。
歴史さえ容易に捻じ曲げる正真正銘の“魔女“が創り上げた魔具。
きっと今も彼女を守ってくれているだろう。
が、今になって思えばあの魔具さえ手放さなければ瀕死の重傷を負うこともなかったのではないか。
“黄金の夜明け“と”銀の星“、回収を終えた四大元素武器の内の二つも現在は凍結次元に封印されている手前、過ぎたことをいっても仕方ない。

15衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:58:06 ID:n/.S.IuY

ラル「おれ……?」

恋人の不安げな声に視線を絡め合った指からラルへと移す。急に黙り込んだ自分を心配しているのか青い瞳には不安げな光が漂っていた。

俺「あぁ、悪い。こうして小指を絡めたあとで『ゆびきりげんまん、うそついたら針千本飲ます』っていうんだ」

ラル「約束を破ったら針千本も飲まされるのか。案外恐ろしいことを考えるんだな、扶桑の人間は」

俺「だからこそ約束を守らなくちゃいけないって思うんじゃないか?」

ラル「強迫観念みたいなものか?」

俺「そういうこと」

ラル「なら俺は気をつけないといけないな」

くすくすと鈴を転がしたような笑い声を零しながら微笑む恋人に思わず苦笑いで返してしまう俺。
先ほどまで彼女の瞳を覆っていた涙はいつの間にか消えていた。
恋人が涙を流す姿は目にしたくないのだが、涙で濡れたラルの容貌に思わず見惚れた自分もいて、どこか嬉しいような惜しいような……――

俺「っははは……はい。本当に気をつけます……」

どちらともつかない複雑な感慨に浸りつつ、俺は恋人との指切りを楽しむのだった。

16衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:59:08 ID:n/.S.IuY





背を覆う冷えた感触に身体を震わせつつ自分を押し倒す少女を見上げる俺。
ほんのりと紅潮する端正な頬が、夜風に弄ばれる茶の頭髪が、白い息を吐く唇がいつになく扇情的に映り、思わず生唾を飲み込んでしまう。
突如このようにラルに押し倒されたのは夜空に広がる暗闇が一際濃く、厳しさを増した寒さから逢瀬を切り上げようとした矢先のことだった。
押さえつけられる両腕。しかし決して振りほどけないほどの力は込められていない。
加えて今の彼女は魔法力を行使しているものの自身が習得した術式には非術式習得者の固有魔法、魔法力を任意で無力化する力も付与されている。
例え彼女が本気で押さえつけていたとしても脱せられる自信もある。
にも関わらず俺が一切身体を動かす素振りを見せなかったのは偏に見上げる恋人の美しさに息を呑んでいたからだった。

俺「えっと……グンドュラ?」

呼びかけるも返事はなく、無言のまま自分を見下ろす恋人の碧眼。
月を背に使い魔の耳と尾を発現させるその姿は気高くも凛々しい狼を髣髴させた。

ラル「……今の時間なら他の隊員たちも寝ているぞ」

片手を頬に添え、顔を近づける。
互いの吐息がかかるまで。互いの鼻先が触れ合うまで。互いの心が更に重なり合うまで。

ラル「こういうときは……その、察してくれても……良いんじゃないか?」

気恥ずかしそうに身を捩りながら遠回しに自分の欲求を吐露した途端、少女の頬に差し込む紅色が、かあっと濃くなった。
求めている。それも自分から。
はしたないだろうかという不安を半ば無理やり押さえつけ、愛しい男の体躯の上に寝そべるようにして身を摺り寄せる。
逞しい胸板に乳房が押しつぶされ、やや圧迫感を覚えるも恋人の口から迸る小さな悲鳴を聞き逃さなかったラルはさながら悠然と獲物に迫る狼のように身体を一際密着させた。

18衝撃波 ラル√幕間:2013/06/02(日) 05:59:53 ID:n/.S.IuY

ラル「なぁ俺。知っているか?」

頬を密着させ耳元に唇を近づけた状態で囁くように言葉を紡ぐ。

ラル「よく一匹狼なんて言葉を聞くが、本来狼は群れを成して行動する獣だ」

御伽噺などで孤高の象徴として描かれる狼。
ラルも幼い頃、自身の使い魔と同じ動物が登場する絵本を何度も両親にねだっては読み聞かせてもらった。
数ある物語のなかでも最も印象に残った絵が月夜に吼える狼の姿。
たった一匹で彷徨い、獲物を狩る。たった一匹で世を生き抜いていく。そんな孤狼の姿は幼かった彼女に一人で生きる力強さを刻み込んだ。
しかし、

ラル「私は……一匹狼は嫌いだよ」

たった一人で世を生き抜く。たしかにそれは逞しいことなのかもしれない。
けれど、それでは周囲に誰もいないではないか。
悲しみを分かち合い、喜びを共有する仲間もおらず誰にも看取られず朽ちていく。
そんな生き方は悲しすぎやしないか。

ラル「仲間がいて、そしてお前がいてくれないと……嫌だ」

両の手を彼の頬に伸ばし、その顔を背けられないように固定する。

ラル「俺。私は一匹狼にはなれないんだ……」

自分は一匹狼にはなれない。なりたくもない。自分はそんなに強くない。
愛する仲間に囲まれ、愛おしい男の傍で生きていきたい。
だから二度と離れるな。二度と置いていくな。


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