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セクゾでストーリー

1赤哀:2013/03/04(月) 17:33:02 ID:EYd3.WX.
初めまして!赤哀です。

他の板でアヤという名前で少しだけ書いてたので、知っている人もいるかなと思います。
とはいっても、ここの板で小説を書くのは初めてなので知らない人がほとんどだと思います。
よろしくおねがいしまっす!!

182赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 20:23:25 ID:EYd3.WX.
風「ぅわぁあああぁぁあ!!」

すぐさま雑誌を拾いあげ、傷をついていないことを確かめ抱きしめる。
たかが雑誌、されど雑誌。
大切な中島なことに、変わりはない。
聡は「風磨先輩おおげさすぎー!」とケラケラ笑っていた。
俺は初めて、聡を恨みたくなった。


聡に無理矢理ひきずられ、学校に行く。
俺はもう開き直って、一時間目の授業をしているクラスに堂々と入った。
………怒られたけど。

そして、説教があまりにもウザかったからスマホをいじっていると、スマホを奪われた。
一日一回昼の12時に、ツイッターで『神席願望』を探しRTしまくってる俺にしたら、これは死亡と同じだ。

『これで神席逃したらどうすんだよ、責任とれんのかよ!』

こう言いたかったけど言わなかった。
理由は、めんどくさいのと、鞄につけてる神席お守りまで取られたらどうしようと思ったからである。

183赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 23:06:19 ID:EYd3.WX.
それから、二時間目、三時間目、四時間目……お昼の12時になった。

そして、スマホを見ようとしたが……
ポッケに手を入れて、初めてスマホを取られたことに気がついた。
本当にマヌケだ。
何か情報が入っていたら…と思うとうじうじして堪らない。
こういう日に限って新しい情報が出る。
俺の鉄板なのだ。

しかも、神席の画像のRTも出来ない…。
『チリは一粒でもつもらなければ山にはならない。』
これは俺の好きな言葉。
『永遠とは、いつもの積み重ね。一瞬でも気を抜いたりスタートを出遅れたら、永遠などにはなれない。だから、永遠を手にする者は、人ではない』
これは、中島が好きな言葉。
少し意味が似てるな、なんて思ったよ。
どっちも神席を取るための意気込みみたいだなって。

今回はチリを一粒減らしてしまった。
それは遅れたせいであって…
遅れたのは中島を見てたためであって…

中島のせいで中島を失った…?
ややこしい。
俺も以外とポエマーなのかな。
そんなことを思っていると、聡が話しかけてきた。

184赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 23:18:34 ID:EYd3.WX.
聡「風磨先輩、こんにちはっ!」
風「えっ!?」

座っている状態で聡を見上げると、やけに上機嫌。

風「ちょっお、お前、ここ3年の教室…!」
聡「知ってますよ!!でも、一つ話したいことがありまして。」

コホンと咳払いする聡。
一つ一つの仕草が、女子の反応を誘う。聡って、年上キラー……

聡「あの、『コンサート会場の謎のスタッフ』って知ってますか?」
風「んー…知らない…」

と、興味無さそうに返事をするが、本当は結構気になる。
“謎のコンサートスタッフ”
響きからしてカッコ良い……

聡「えっとですね、ツイッターで騒ぎになってt」
風「ああ゙?お前今ツイッターって言ったぁ?」
聡「ぇ…な、何か地雷ふみましたか…?」
風「踏み踏みだよ!」

説明すると長くなりそうだから……
聡には黙っておこう。

185赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 23:27:59 ID:EYd3.WX.
風「で、謎のコンサートスタッフが何?」
聡「えっ?」
風「は?」
聡「は?」

聡は赤面をして黙りこんだ。

聡「えっと、あの…僕の話聞いてましたか?
『コンサート会場の謎のスタッフ』ですよ…?」

え、俺が名前を勘違いしてたってこと?
うわっ、大したことじゃないけど何か妙に恥ずかしい……
赤くなっていく顔を隠すようにそっぽを向いた。

風「な、名前なんてどうでもいいから」
聡「あっ、そうですよね……すみません。」

聡がひょこひょこ頭を下げる。
そろそろ顔の赤みがとれてきた、というところで前を向いた。

聡「で、本題に移りますね。」

186赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 23:45:07 ID:EYd3.WX.
聡「そのスタッフとは……
まず、中学生らしいです。」
風「中学生?」
聡「はい。そして、ハーフで、天使のように可愛いのだとか……」
風「へーぇ。」
聡「しかも、そのスタッフを見ると、皆一瞬天国に行ける、とか」
風「はあ。」

メルヘンだなぁ……。
そう思ったけど、目を輝かせてうっとりしている聡と、そんな聡を見てきゃあきゃあ騒いでる女子を見ると、
何も言えない……。
こういう雰囲気は、苦手だ。

聡「で、そのスタッフさんは、SexyZoneにも気に入られているらしいですよ!」
風「マジでえええ!?」

さすが、俺。
食らいつきが早い!

マ「勝利くんとは大の仲良しで、健人くんには誕プレに高級な時計を貰ったらしいんです!!」

え、う、うっそおおお!!!!
勝利は良いとして、あの中島に高級な時計を貰ったなんて、ただ者じゃないな……!


それからは、授業も上の空だった。

187赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/12(金) 23:56:27 ID:EYd3.WX.
中島が気に入るコンサートスタッフ。
可愛くて、天使みたいな……。

それに対し、俺は悪魔で可愛くない。
恋に悩む女みたいだけど、ファンたるもの自担には気に入られたい。
俺じゃ、一生無理なんだろうな……。

分かってたのに、目頭が熱くなった。
いくらファンレターの返事を貰っても、昔からのファンでも、貴重な男ファンでも、中島にとってはただのファン。
大切なファンの中の、小さな小さな一人。
中島が守り続ける、永遠の中の一つ。
当たり前すぎることに、唇を噛みしめた。

「そこっ!!!!話聞いてんのかああ!!この問題解いてみろっ!」

鬼瓦が俺を指差す。
やべっ、今は鬼瓦が担当の数学だった…
鬼瓦が黒板をバンと叩く。
チョークの粉がキラキラと舞い降りた。
チョークの粉は、スタッフ。
黒板は、俺。

俺は、その『俺』の前に立って、スタッフの結晶を握りしめた。
チョークで黒板に文字を書くと、中島の俺という存在が、スタッフに変わっていく気がした。

188赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/13(土) 18:36:35 ID:EYd3.WX.
部活が終わり、聡と一緒に帰る。
俺は返してもらったスマホをいじりながら、むしゃくしゃして歩いた。

風「ああーっもう!!!マジで最悪!!!!」
聡「そうですね。最悪ですね。」
風「くっそ!!」

やけに冷静な聡を見下ろす。
もうマッジでイラつく!!

風「このチビ!!」
聡「なっ、」
風「キモいキモいキモい」
聡「風磨先輩、口悪いですよ!」

真剣な顔つきでツッコム聡を冷たい目で見下ろす。そして、前を見て溜め息をついた。

風「なんでお前ばっかり女子に人気あんのー。意味分かんないんすけどー」
聡「それは風磨先輩がヲタクだからでしょ。」
風「それ答えになってないけど。」
聡「でも本当のことじゃないですか」

……返しが上手くなったな。
そう思いながら聡と別れ、秘密ルートを通って帰ることにした。

189赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/14(日) 18:24:05 ID:EYd3.WX.
吹奏楽部の山田先輩の家の塀の上を歩き、そこで寝てる猫とじゃれあう。それから、空き地を全力で走り、神社の中へ入る。神様に神席をあたるようにお祈りし神社を出て、小さな山の上に登る。そこからスーパーマンのようにカッコよく飛び降りて、川沿いの倉庫へ向かう。
その倉庫には……

SexyZoneのポスターがはってあるんだ。
歴代に並べられていて、中島のも勝利のも、二人が揃っているのもある。

この倉庫を一通り見て、満足して家に帰る。

「きっみっへー、テェーレップォーツェーショォンー!」

中島の歌い方を真似しながらテレポーテーションを歌っていると……

「ぅわっ、何あれ!」
「えっ、健人くんのファン?」
「えーイケメンなのにもったいない…」
「キモッ!」

通りすがりの女子四人組に笑われた。
うわっ、恥ずかしすぎる…!!
とっさに口を閉じて全力で家に入る。

風「はあ、はあ、はあ……」

肩で息をしながら恥ずかしくて真っ赤になった顔を押さえる。
あーヤバかった…

190赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/14(日) 23:36:15 ID:EYd3.WX.
風「はあっ…もー何であんな所にいんだよっ!」

またむしゃくしゃして髪を掻き回す。
今日はすごく最悪な日。
こんな日に、チケットが届くなんて……。

テレポーを歌って思い出したんだ。
チケットのこと。
『どうなんだろなぁ。でも今日運悪いからな…』
頭で呟く、自己的ツイッター。
そういえば、最近本物のツイッターに呟くことなかったな…

そんなことを思いだしつつ、おそるおそる玄関から出てポストの前に立った。
開けるのをためらったが、ポストの前でうじうじしてて、また『キモイ』って思われたら…と思ったら寒気がする。
もう、それだけは避けたいから、どうにでもなれ!とすぐ取り出した。


部屋に入って青い封筒を机に置く。
ヤバい、心臓がバクバク言い過ぎて苦しい…!
本当は明日にでも見たかったけど、このままでは中島と会える前に他界してしまいそうなので、震える手でカッターを持ち、封筒を開封することにした。

191赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/16(火) 00:13:46 ID:EYd3.WX.
チケットを切らないように、ゆっくり、ゆっくり…と。
気が狂いそうなほどドキドキして、鼓膜が狂いそうなほど静かだった。

風「ふう。」

深呼吸をして、チケットを出す。
俺がいつもコンサートに行くのは一回。これは、サマリー、東京シティホールだ一回分。この一回分が、どうなのか。
…あーどうしよう、見たくねぇな。
でも…………

あーもう、いじったしいっ!見ちゃえ!!

バッと取りだし見ると、
アリーナSブロック、1番で7列目だった。

微妙っ!
心の底からそう思った。
一度行ったことあるから分かるけど、アリーナなものの端の一番後ろ。
しかも、端なわりに誰も通らない。

中島との握手は捨てた、と思った。
どれもこれも、
今日神席画像をRTできなかったせいだ!!

192赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/16(火) 00:24:57 ID:EYd3.WX.
捨てゼリフを心の中でキッパリと吐いて、ベッドに飛び込んだ。

行けるだけ幸せだと思う。
会えるだけ幸せだと思う。

でも、その幸せが普通になってしまっている。俺は、何て寂しい人間なんだろう。
たまに、思うんだ。
俺もアイドルになりたいって。
絶対に笑顔でいれる。何だって頑張れる。声援に答えて、ポーズ決めちゃったりして…。
でも、きっと無理でしょう?
俺には気質がない。中島ほどイケメンでもない。
踊るより、ダラダラ派。
会わせるより、会いたい。
伝えるより、伝えてほしい。

ただの欲張りだ。
ねぇ、中島。こんな俺をファンとして認めてくれる?
中島の幸せより、自分の幸せを考えるような俺を……
人間らしいといえば人間らしい。
でも、自己的という言葉が出てきたら、それに勝る言葉はない。
改めて、身勝手さに身を震わす。
本当は、キツい言葉なんて言いたくない。
だけど、悔しいんだ。
誰も幸せにできない、俺が。

193赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/18(木) 18:42:23 ID:EYd3.WX.
ねぇ、中島、中島……
ファンなんて悲しすぎるよ……
ねぇ、中島ぁ………





パァァアア!
窓から覗く目映い光に目を擦った。

風「ん……」

起き上がり時計を見ると、長針が0、短針が6を指していた。つまり、6時ジャスト。
夜だ!とも自分に言い聞かせたが…この明るさは間違いなく朝だ。
…。
もう現実逃避は止めようと、今まで寝過ぎたせいかいつもになく重い足で無理矢理立つ。
枕は、俺の涙でビシャビシャに濡れていた。

もう、何も考えたくない。
頭をからっぽにして、宿題のことか全部忘れよう。
明らかに現実逃避な行動だが、自分的には必死に現実と向き合っていた。

そして、ダラダラ準備をして、学校へ向かう。

194赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/19(金) 00:26:31 ID:EYd3.WX.
ー学校ー

教室に入りダラダラと椅子に座ると、先生が怒った顔つきで迫ってきて、机の上にボンと原稿用紙を置いた。

風「…何すか、コレ。」
先「見て分からない?反省文よ、反省文!」

机の上に置いた原稿用紙を指でつまんで持ち上げ、ヒラヒラと俺に見せつけるようになびかせる。
それが凄い形相でするものだから、せっかくの美人が台無しだぜ?

先「先生恥ずかしかったのよ!櫻井先生にスマホのことを聞かされて!」

ああ、櫻井先生か。
櫻井先生とは、鬼瓦のこと。鬼瓦はイケメンで優しいのに、授業になると豹変したかのようにスパルタになる。
うちの先生はそんな鬼瓦を狙っていて、生徒に恥をかかされたことが気に入らないって訳か……
こっちもこっちで、都合があるってのによ。

気付けば目の前に先生はいず、教室にもいなかった。
ただ残ったのは原稿用紙だけ。俺は、仕方なくシャーペンを握った。
今日も、最悪な日だ。

195赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 01:50:33 ID:EYd3.WX.
それから、しばらくして。
気づけば、明日はサマリーという所まできた。

風「ヤバいヤバいヤバイ……」

机につっぷしてぶつぶつ呪文のように言葉を発する俺に、聡が面倒くさそうに答える。

聡「あのー…俺、自分の教室に戻っても良いですか?」
風「ダメ!!!」

顔をあげて、聡をギンと睨む。

風「分かってんの!?明日サマリーなんだよ!健人とまた会えると思ったら心臓がバクバクして止まらねーなんたよ!!分かる!?」
聡「はいはい。」

溜め息まじりに俺の手を握る聡。なんか、生意気。

風「もーマジでヤっバい。このまま死ねる…」

聡の手をぎゅっと握った。
本当は、死にたいくらい、健人と会いたい、しゃべりたい…

チャイムがなって、聡は俺の手を振り払い、あわてて教室に戻っていった。
起立の声がかかって立とうとしたけど、緊張から重い腰がそれをさまたげるように俺の心をつきさした。

196赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 01:53:13 ID:EYd3.WX.
間違えたああああ!!!
風磨に、健人って呼ばせてしもたあああ!!!

そこは、中島に変換して読んでくださいorz
まじでまじですみません!!!

197赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 15:17:13 ID:EYd3.WX.
その日、部活が終わってすぐ、会場近くを見て回ることにした。
まずは、ジャニショに行く。
女ばっかりの環境って、いつもコンに行くから慣れてるっちゃ慣れてるけど、やっぱり恥ずい。ジロジロ見られるこの感じに、目のやり場を失う。
そういう時は、目線を落として、スマホをじーっと見るんだ。シャイだよな、これって。
そう言えば、中島って卒業する時、学校の校門前に集まったファンに手を振りながら堂々と歩ききった、というエピがある。中島らしくて、さすがラブホリック!なんて思った。
憧れるよ、そういうの。

しばらくして俺はやっとジャニショの中に入った。ツイで見たとおり、新しい写真が入っていた。

風「ぅおっ!これも可愛い…ぅゎ〜、やっべ。」

こそこそ一人言を言いながら紙に印をつけていく。さすがに全部は買えないから、すごく気に入った写真だけを買うことにした。

写真を買って、ルンルン気分で歩いていると………

え、中島!?

198赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 15:28:43 ID:EYd3.WX.
ドキドキをこえて過呼吸状態になりながら、アメコミ店の前に立っているその人を見つめる。
大きめの黒ぶちメガネをかけて、小さい頭には大きすぎるキャップをすっぽりとかぶっている。青いTシャツにはダッサいプリントがあり、長い足には不釣り合いの短いジーパンをはいて無駄に派手な靴をはいている。

中島は、財布を開いて……慌ててる?あ、何かガックリしてる!
絶対中島だ!!!
いつものキラキラが消えているせいか、皆して素通りしていくけど、俺にはハッキリと分かった。

どうしよう、話しかけようか、素通りするか……。
少し悩んだけど、ここで話さなかったら一生話せないかもしれない。
もし人違いだったとしても、ここでお金を貸してあげれば善をこなすことになる。

俺は決断し、拳に力をこめた。

199赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 15:37:41 ID:EYd3.WX.
近づくと、中島は鞄をあさって大慌てしていた。小声で何かぼそぼそ言いながら、オーバーリアクションを繰り広げている。

「なんでだよー、これレアなのにー!絶対買うって決めてたのにー!金足りないしっ!もーショック…」

しょぼーんと肩を落とすなんとも愛らしい姿。それを中島だと確信した俺は、何のためらいもなく話しかけた。

風「あのー…」

声をかけてその華奢な肩を叩く。

健「ん?」

振り替えってはてな顔をする中島は雑誌とかテレビでいつも見ている顔なのに、それ以上にドキドキして、ワクワクして。
話しているということに喜びを抱く。

健「あ、ごめんなさい邪魔でしたか?」
風「ぃやっあの、違くて……」

おどおどする俺を、中島は真剣な瞳で見つめてきた。
ずっと、俺が見てきたその瞳に。

200赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 15:46:55 ID:EYd3.WX.
ちょっと前まで、遭遇したとき『生声だああああ!』とか『触ったああああうわああああ』とか思うんだろうと思ってたけど、そんなこと考える余裕なんてなかった。
このまま中島が離れていったら元もこもないと、必死に財布を探す。焦りすぎて訳が分からなくなって、鞄の中を整理しとけば良かったと後悔した。
……あっ、あった。俺は中島を見ると同時に震える手で財布を出した。

風「お金、足りないんですよね…」

そう言って小銭を出そうとすると、中島が優しく、ふわっと俺の腕をつかんだ。

健「良いよ、そんなの。お金なかったのは俺のせいだし。ファンの子はただでさえ金欠なのに、これ以上お金をかけられないよ」

………………え?

201赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 15:59:25 ID:EYd3.WX.
ま、待って。
ファン、ファン、ファン………

風「は、はあああああああ!?」

何それ、ファンって、ファンって、ファンって!
わたわたしまくる俺に、中島は余裕な笑みでぼんぼん爆発発言をした。

健「菊池くん、でしょ?」
風「なっ何で名前までっ」
健「だって、いつもコンサートに来るとき学ランに名札ついてるじゃん。菊池って。」

ハッとして、学ランを見る。
確かに、『菊池』と名前プレートをはってあった。
でも、何で……

健「俺、ラブホリックだから。ファンの子の名前は覚えてるんだ。」

衝撃すぎて話についていけない俺に、中島はこれでもかと言わんばかりに話を重ねていく。

健「ここで会えたのも運命だよね。レアなアメコミより何より、昔からコンサートに来てくれた貴重な男ファンの菊池くんと出会えたことが凄く幸せだよ。ありがとう。」

俺が求めてもいなかった握手を率先してやる中島。
触れあう手と手が、俺の独占感と優越感と戸惑いをヒートアップさせた。

202赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 16:08:57 ID:EYd3.WX.
健「あっ、もしかして明日のコンサート来てくれるの?」
風「あっ、はい……」
健「やったー!絶対見つけてファンサするからね!」

ぎゅっと力一杯、健気な笑顔を見せる中島。

健「俺、ずっと菊池くんと会ってみたかったんだ」
風「俺と、ですか…?」
健「うん。いつもファンレターをくれるし、礼儀正しいし、コンサートで君を見つけると、テンションが上がってすっげぇ興奮したんだ。握手会のときのじゃんけん大会も、菊池くんギリギリまで残ってたのに、負けちゃってすごく残念だったんだよ、俺。」
風「は、はあ……」

何か、話しかける所か話されてる…?
少し置いていかれながらもペースに流されている自分に驚く。

健「じゃあ、コンサート終わったら、一緒にアメコミ買いにいこう!」
風「えっ!?」

話がぶっとんでさらについていけない。

203赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/20(土) 16:18:58 ID:EYd3.WX.
健「20時にコンサートが終わるから、21時くらいにここ集合ね!あ、かたずけは大丈夫!マリウスがしてくれるから!って、リハ始まってるじゃん!ヤバい、遅れたっ!ごめん、また明日っバイバイ!!!!」

手を離して、その自慢の脚で走りさる中島。
俺は財布を手にもったまま、呆然として動けなかった。

覚えてくれてる?
菊池くん?
買い物?

頭を整理して、やっと事の凄さに気付いた。
あの国民的なアイドルと、プライベートで会えるなんて……。


ファンになった当時、俺は自分が男なことがねたましかった。
女の中に一人男がいるという環境も、皆の冷たい目も、幼い頃の俺には恐ろしかった。
だけど、それが役に立った。
きっと、男ファンというだけで中島を元気つけていた。買い物っていうのも、男は恋愛として見られないから誘ってくれたんだ。

ありがとう、中島。
こんな俺を、覚えてくれていて。
涙が、止まらなかった。

204赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/22(月) 23:19:07 ID:EYd3.WX.
〜健人目線〜

レィディー、レィディーダイヤモーンド♪
健「はあ、はあ、はあっ……」

スタジオから音が漏れ、廊下にまで微かに聞こえる。
広い廊下にむらかる衣装の山をかきわけ、全力で走る。

しかし、俺は急ぎつつもついさっきのことでニヤけていた。
たしかに、会った瞬間は分からなかったけど、名札を見たとたん、急に心臓の鼓動が高まった。
あの菊池くんなんだって。
ずっと、ずっと探していたファンの一人。何より、ジャニショの袋を持ってくれていたことが嬉しかった。

って、こんなこと考える場合じゃない。スタジオへ向かって走り、やっと見えてきた扉。
少しためらいを持ちながら、『少しでも早く』と扉を凄い勢いであけた。

健「迷惑をかけてすみませんっ遅れました!!」

申し訳ない気持ちでいっぱいになり、頭を深く下げた。ざわめきの中音楽が消え、皆の荒々しい息だけが音をたてた。

勝「健人くんっ!」

声が聞こえて頭をあげると、不安そうな顔をした勝利が駆け足で近づいてきた。

205赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/22(月) 23:32:43 ID:EYd3.WX.
勝「何かあったんですか?」
健「うん…まぁ。ちょっと」

苦笑いをして、首を少しかく。
周りのジュニアからは、あの健人が遅れるなんて…と、俺の行動を不思議がる声がちらほら聞こえた。
止めてよ、罪悪感が大きくなるじゃんか…
こぼれそうな涙をこらえ、頭をもう一度深く下げた。

健「とりあえず、本っ当にごめんなさい!俺が遅れたことで、大変迷惑をかけたと思います!」

大声をあげると、周りの声もなくなり、嫌な沈黙が続いた。
時計の音も聞こえず、妙な息づかいとカタカタという風で動いた窓の音だけが鳴る。俺はただ頭をさげ、この沈黙が消えるときをただひたすら待った。
シーンとして、頭に血が登り始めたとき、勝利が一言でその沈黙を晴らした。

勝「……健人くんも来たことだし、レッスン続けよう。こうするだけ時間の無駄だよ。」

勝利がポンポンと手を叩いて立ち位置につくと、ジュニアも「はい!」とカツをいれた返事をした。

206赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/22(月) 23:49:16 ID:EYd3.WX.
勝利の指示に、勝利より幾つも歳をとっている大きいジュニアが後をつくように自分の居場所へ足を運んだ。
その圧倒的な景色を呆然と見ていると、勝利が俺を鋭く睨んだ。

勝「健人くん、はやくして。健人くんが時間ロスしたんだから責任とって」

威嚇したネコのように責任を背負った顔。初めて見たその表情に、抱いたことのない勝利への『怖い』という感情がこみあげた。
そんな勝利はかなり頭にきているようで、俺が立ち位置につくと無表情のままラジカセのボタンを押した。
ぽちっと押すと、ラジカセから流れ出すレディダイの軽やかなメロディー。その音がなるかならないかの間に、いつの間にかアイドルスマイルになる勝利。
ゾクッとするほど、完璧だった。

勝利が、遠く、高く見える。
横にいるのに、すぐ近くにいるのに。
きっと、僕がいないレッスンは、泣きそうなくらい辛かっただろう。さっき近寄ってきた勝利の目は、あきらかに潤っていた。
でも、勝利は強かった。
皆のために、と頑張った。

右も左も分からなかった勝利はもうどこにもいないのだと、ちょっとした寂しさに身を沈めた。

207赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/25(木) 16:07:17 ID:EYd3.WX.
〜コン当日〜

健「ひぁ〜!あーもう、ヤッバい。緊張する!冷や汗かいてきた!っつーか寒ぃっ!」

手を不安気に擦り合わせて、背中を丸くする。夏だというのに…。
この寒さは、がんがんかけてるクーラーが原因なのだ。寒さゆえに、汗じゃなく緊張からの冷や汗が出てくる。クーラーの温度を上げようと思ったが、どうやらリモコンをマリウスが持ってったぽくて……
勝利と二人で凍えてる。

勝「それにしても寒いですよね…」
健「だよな!マジで寒い。マリウスのこんちきしょー!!」

寒気のせいで鳥肌が立った腕を、机にバンバン叩きつける。
マリウスとは、コンサートスタッフ。歴代最年少で、年のわりには大人顔負けのプロ。コンサートのタレント目当てで見に来たファンも、人目みたとたん見ぼれる可愛さを持っている。
しかし、サマリーには出ないらしい。
『何で?』って聞いたら、『水が冷たい』だって。
そこらへんは、やっぱりまだ子供。

208赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/25(木) 23:50:46 ID:EYd3.WX.
俺が色々回想していると、勝利がガタッとわざとらしい音をたてて立ち上がった。

勝「じゃあさっ、こっそり会場のぞこうよ!!」
健「ええ!!!!!?????」
勝「まぁまあ。」

あっと言う間に…というか、『え』は言ってるけど。
ってそうじゃなくて、俺が否定するかしないかの間に、勝利から楽屋をひつぱり出された。

健「ちょっ、勝利痛い痛い!!!」

腕をかなりの力でひっぱられ、肩がはずれそうになる。だが、勝利は聞こえないかのようにずんずん前に進み、百人マンションに待機しているジュニアに挨拶をする。そして、ほんの小さな隙間を開けて、観客をのぞいた。

勝「わ、いっぱいいるなー」
健「おい、大丈夫かよ。」

小声でぼそぼそと話す勝利の肩を叩くと、『健人くんも見てよ!』と無理矢理のぞかされた。
それで、仕方なく観客を覗くと、アリーナの端っこに、菊池くんがいた。

うああああ!!
嬉しくなって、その場で跳び跳ねた。
本当に来てくれてる。本当に、ありがとう。

209赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/04/29(月) 22:08:45 ID:EYd3.WX.
〜赤哀から大切なお知らせ〜

こっちのスレの進みが遅いというのに、もう一つスレをたててしまいました!
なので、このスレの更新が遅れる場合があると思いますが、できる限り書き込みます。
ちなみにもう一つのスレは、
『禁断の果実を、かじりながら。』
というスレです。
もしよろしければ、リク等よろしくお願いします。

以上、赤哀から大切なお知らせ。

210赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/07(火) 18:11:36 ID:EYd3.WX.
勝「ちょ、揺れる揺れる!」

ジュニアマンションの二階で跳び跳ねる、俺の腕を叩いてツッコむ勝利。

勝「落ち着いて。ここにいることがバレたら大変なんだから!」

お前が連れてきたんだろうが…と思いながら、跳び跳ねた自分も自分だと、口を尖らせて返事をした。

健「はぁ〜いっ」
勝「もぉ……じゃあ、そろそろ戻りますよ」

また俺の手をひっぱりながら、階段を降り、廊下を歩き、と勝利はぐんぐん進む。
そんな勝利が、本当に愛しくて。
年下なのに、意地を張ってるところとか。
少し筋が通ってないところとか。
色々色々、可愛すぎて。
俺は、その細すぎる腕をひっぱり、勝利を抱きしめた。

勝「おぅえっ!!??」

最初は変な声を出したものの、その後は「健人くん…?」と甘えた声を漏らした。

211赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/07(火) 18:23:00 ID:EYd3.WX.
健「んん〜〜〜〜」

勝利の、異常なくらい華奢な肩に顔を埋めた。力の限り、抱きしめる。
これはBLでも、何でもない。
『メンバー愛』っていうと思うんだ…。

健「はぁっ!!」

大きく声をあげて、勝利をパッと離す。勝利は、耳まで真っ赤になっていた。

健「ははっ充電終了!今回もコンサート頑張るぞー」

背伸びしながら、勝利に背をむける。勝利が向いている方の、反対側にある楽屋へ足を進めた。

勝「ちょっ、どういうことですか!?健人くん、健人くん、答えてくださいっ。ねぇ、ねへぇえ〜、ねえってばぁ!」

後ろからトコトコとついてきて、俺の腕を揺さぶる勝利。
やっぱりこの形がしっくりくるなと、俺しか味わえない優越に浸った。

212赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/14(火) 18:04:28 ID:EYd3.WX.
〜勝利目線〜
だんっ!

「キャアアアア!!!!!」

始まった!!!
照明が暗くなると同時に、ファンの子の叫びが聞こえる。そして、それと同時にワクワクとドキドキがヒートアップした。
ファンの子に、感謝を伝えるため…。
とっさに健人くんの左手と俺の左手を合わせた。

健「どーも!中島健人です!!」

健人くんが言葉を発するだけで、さっきのような叫びが聞こえる。俺が聞き取れたのはそれだけで、その後は何を言おうか、失敗しないだろうかとドキドキしていた。
何回目のコンサートだろうと、何回目のサマリーだろうと、決して慣れはしない。

健人くんが、合わせてあっただけの僕の手を握った。『勝利の番だよ』と囁きが聞こえて、僕はとっさにマイクを口に当てる。

勝「佐藤勝利でーす!!」

また、叫びが心の中を突き刺した。
やっぱり、好き。
この空間が、好き……!!

213赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/14(火) 18:26:43 ID:EYd3.WX.
※最初は俺なのに途中から僕になってる!すみません!!正しくは、俺です!!

ーーーーーーーーーーーーーー
そう思った瞬間、スラスラと言葉がでてきた。不思議なくらい、スラスラと。
ファンの皆の顔が見えてきた。回りながら上がるステージは、まるで僕の心を形にしたみたい。
感動と興奮で胸がいっぱいになりながらも、俺は気持ちを精一杯言葉にした。

勝「今日1日、盛り上がっていくぞーー!!」

泣いてる子、盛り上がってる子、落ち着いている子……
赤と白のペンラが、俺達を輝きの場へと導きだす。


迷う、暇はない。
飛び出せ……











皆の元へ!!

214赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/22(水) 23:16:28 ID:EYd3.WX.
健「さぁさぁ、ちょっとお姫様には座っていただいて、俺たち執事のトークを聞いてもらいましょうか」
勝「何それ」

健人くんのボケ(?)と俺のツッコミで始まる、セクゾン恒例のMC前振り。今日も、いつものように笑いがおこる。
俺はファンの方々が皆座ったのを確認して、この前でたテレビの裏話でも話そうとした。

勝「えっと、じゃあ、このm」
健「あ、勝利ちょっと待って。」

いきなり健人くんが俺の口を塞ぐ。キャーという歓声を耳に、健人くんのドアップが目に入った。

健「僕ですね、どうしても皆に聞いてほしい話があるんです。いいですか?」

リスのような可愛い顔で客席に問いかける健人くんに、ファンは力一杯うなずいた。

健「俺、色々用があって、昨日のリハかなり遅れちゃったの。しかも、夜遅いリハだから、岸とかはいないわけ。で、まぁとりあえず、急いでスタジオに入ったの。そしたら、勝利が俺より少し年上くらいの、たっっっくさんのjrを一人でまとめてて。一人でだよ?一人で。さらに、遅れてきた俺をちゃんと叱ってくれたの。すごく成長したと思って、俺感動しちゃったんだよね。」

215赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/22(水) 23:28:46 ID:EYd3.WX.
健人くんがくるっと振り返って俺の頭を撫でる。キャーという声なんて耳に入らず、昨日のことだけが頭の中を駆け巡った。

いつになっても来ない健人くん。
喋ったこともない大きなjr。
不安より、恐怖の方が大きかった。
踊っている間も、指導している間も。顔は笑ってても、心の中では怯えていた。
健人くん、早く来て。早く来て。早く来て。
来て、来て、来て、来て、来て!
リハの内容が頭に入らなかった。
いつもとは違う冷や汗が大量に出る。
初めての環境がこんなに怖いなんて、思ってもいなかった。

健「あのときはごめんな?勝利、辛かったよな…」

健人くんが微笑むと同時に、鼻がツーンとして目頭が熱くなった。だけど、絶対泣かないように唇を噛む。
なのに、健人くんはまだ優しい言葉を俺にかけた。

健「勝利、我慢しなくていいんだよ?辛いときは、泣いていいんだよ?」

もう、無理だ。
俺のプライドはぷつんと弾かれ、その言葉によっていとも簡単に涙が溢れた。健人くんは、その涙を隠すように俺を抱きしめてくれた。

216赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/22(水) 23:43:22 ID:EYd3.WX.
耳をつんざくような悲鳴が耳を通る。

勝「け……とく…!うっ…ああ…!ひっく、うっ……あああ…!」

俺の泣き声が、地声という形で微かに響きわたる。
俺の頭を撫でる大きな手も、俺にすぽっとかぶさる大きな体も、怖いくらい綺麗なその笑顔も、今は全てが全て癒しになった。
時たまはそれが羨ましかった。背が高くて大きな体に、嫉妬なんて何百回もした。でも、羨ましがられるのは俺の方かもしれない。こんなに完璧な人が近くにいて、その人に守られてるんだから…

ここがステージの上だとか、この時DVDが入っていたとか全部忘れて、俺は本気で泣いた。
それからは普通にコンサートを行い、DVDの後半は俺の目が少し腫れたまま映像化されることになった。
でも、それで良い。
0にして、また責任を背負える。
俺はSexyZone。
ジャニーズの新星。
この世界が軽い物なんて思ってない。
どんとこい、何でも。
俺には、皆がついているから。

217赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/05/29(水) 23:34:20 ID:EYd3.WX.
〜赤哀より大切なお知らせ〜
すみません!
これから、更新が遅れることが多々あると思います…!
でも、絶対に続きは書きますので、安心してください!!
他のところでも書いているので、みたい方はSexyZoneストーリーと検索してください!!
少年愛の方ですよー

218赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/06/07(金) 23:00:13 ID:EYd3.WX.
※台詞の前につける名前表記を無くします!!

ーーーーーーーーーーー

〜風磨目線〜
現在、21時ちょうど。
中島との、約束の時間。
心臓がはちきれそうなくらいドキドキして、しまいには涙まで出てきた。俺は多分予定よりだいぶ早くあっちの世界にいきそうだ。
『もしかして、来なかったらどうしよう…』
と思ったけど、案外すぐ中島は来た。

自慢の長い手を振って、走りよってくる。
もうアイドルの中島健人ではなくて、ただ単にちょっとイケメンな中島健人のオーラだった。当然、誰も気づかない。
俺はドキドキというかワクワクして、必死に手を振り返した。

「きく、ちくんっ」

中島が俺の右肩をポンと叩いた。
右肩、右肩、右肩ポン、右肩ポ……
自分の顔が赤くなるのが思いっきり分かった。
右肩が焼け焦げたように熱くなる。
何かもう泣きそうで、とろけそうな幸福だった。

219赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/06/12(水) 23:10:04 ID:EYd3.WX.
「あのさ……、いきなりだけど、アメコミは諦めるから、どーーーーーしても行きたいところがあるんだ。菊池くん、ついてきてもらってもいい?」
「いいいい行きますっ!!!!」

声が裏返って、中島が苦笑した。
だって、中島からの頼みだもん。冷静になれる、わけが、ない。

「ありがとう。じゃあ、ついてきてね。……あ。」

歩き出そうと向こうを向いた中島が、ふりかえってこっちを見た。

「はぐれるかもしれないからね。」

そう言って、中島の右手が俺の左手を握る。
またボンッと顔が熱くなる。

「えっ、んなっ、手っ手っ手……!」

動揺する俺なんて中島は気にもとめず、どんどん進む。
右を曲がって、左に曲がって、「あ、間違えた」って来た道を戻って…
薄暗い、都会から少し外れたような街に出た。
なんかここらへん見たことあるな…なぁんて思いながら歩いていると、やっぱり見たことある家の前に立たされた。

220赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/06/12(水) 23:22:22 ID:EYd3.WX.
「松島聡ってやつの家でさ。最近っていうか、一週間前のジュニアのオーディションに受かって期待の新人なんだ。あの有名な松松コンビとの3人グループも決まっていて、サマリーの終わり頃からジュニアの新グループとして活動す…」
「待って待って待ってください!!」
「へ!??」

頭が混乱する。
聡がジュニア?松松とグループ?中島の知り合い?

「え、あ、あの、松島聡って人、俺の仲良い後輩なんですけど……」

中島が目を見開いて、口パクで「マジで?」とする。手で口を抑えながら、一回しゃがんでまた立った。

「うわーマジかよ、せっかくペラったのにー。先越されたぁー」

俺をチラッと見て、あははと笑う。俺も合わせてなんとなく笑った。

「まあ、中に聡も勝利もいるからさ。取り合えずお茶してきなよ。ね?」

こくんこくんと精一杯頷く。
これから俺は、どうなるのだろうか…

221ココナッツ:2013/06/21(金) 20:06:07 ID:rZURTCPo
続きが気になります。頑張ってください!!

222赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/06/30(日) 12:30:08 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
ありがとうごさいます!!また今度続き書きますね!

>>皆さんへ。
実は今まで展開をメモしたメモ帳をなくして更新できませんでした!!
すみません……
あと、今テスト期間なので、3日までは書き込めないと思います。
それまで待っててください!!

223ココナッツ:2013/06/30(日) 15:07:05 ID:AHXQle2E
はーい、続き待ってます!テスト頑張ってくださいね!!

224赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/07/05(金) 22:25:53 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
遅れてすみません!多分明日書きこみます!2日間DSの充電器なくしてて書けなかったんですよ><でも見つかったので、近頃書きます。

225ココナッツ:2013/07/06(土) 19:08:36 ID:LNY3SEgE
分かりました!赤哀さんってDSで書いてるんですね。

続き待ってます、頑張ってくださいね!!

226赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/07/06(土) 20:10:43 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
そうなんです!iです、i(笑)今からしますね♪

ーーーーーーーーーーー
「おじゃましまーす。勝利、聡ー!」

中島が声を張り上げる。俺は100回以上もこの家に来たことがあるのに、緊張して喉がカラカラだった。

「はーい」
「え?来たの?」

聡の声に、勝利の声…!胸が信じられないくらい高鳴って、クラクラする。思わず強く握った中島の手。「緊張する?」なんて少し背の高い俺に上目遣いで優しく微笑む。もう、混乱しすぎて何が何だか分かんねぇ…

「あ、本当だ!風磨先輩やっぱ来たんですね!」

その声で我に返る。前を見れば、聡と、勝利……
何だこの美少年は。コンサートで見たけど、それ以上に輝いてる。絵ですか写真ですか二次元ですか。ちょいちょい、マジでありえんのかよ…

「え?風磨先輩聞いてます?取り合えず中入りますよっ!ほら、ぼうっとしてないで!!」

いやいや少女漫画から間違えて出てきたのかよお前は。いやお前じゃない、勝利様だ。勝利様。美しい我らの薔薇よ…
腕をひっぱられてハッとした。

「まって聡、俺靴脱いでねぇよーー!」

227赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/07/12(金) 00:36:32 ID:EYd3.WX.
いつものリビングの椅子に腰をかける。俺の隣は中島、前は勝利、斜め前が聡だった。

「はい、風磨先輩コーヒーです。」
「あ、あリがと……」
「声裏返ってますよ。」

冷めたような目で見られて少しムッとする…どころか、もう緊張しすぎてそれどころじゃない。何で中島と会ったときより緊張してんだよ…

「あ、この人聡と一緒の学校なの?」
「そうです。先輩ですよー」
「へー」

勝利に目を見られて体が固まる。透き通るような瞳に、漆黒で綺麗な髪。綺麗な口と鼻、華奢な肩と小さな顔…。じっと見つめられるだけで、心臓までもが固まりそうだ。

「菊池くん緊張しなくて大丈夫だよ?」
「い、いや、そう言われてももも…」

勝利と中島のWパンチ。そうきて慌てないわけがないじゃないか。いわゆる、プチパニック。もし俺が聡の知り合いじゃなかったら、プチどころか大パニックだっただろう…。そう冷静に考えながらも体は逆らい、徐々に狂っていく訳でして。目の前が、輝きで眩しい…

228ココナッツ:2013/07/22(月) 19:49:50 ID:CpXfyShE
勝利くんと健人くんのWパンチはヤバいですね〜!
続き待ってます!!

229赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/07/25(木) 21:58:01 ID:EYd3.WX.
今管理人さんから新ルールが出たので、少しの間だけ書き込みストップします。

230赤哀 ◆3zNBOPkseQ:2013/07/29(月) 00:12:34 ID:EYd3.WX.
〜赤哀から大切すぎるお知らせ〜

管理人さんから、『小説を書くなら責任を持って書き続ける』という新ルールが出ました。
決して責任は無いわけではありません。
しかし、今スレを3つ持っていて、しかもどれも遅れがちです。
なので、2つにしぼって、それに力を入れようと思いました。
そこで、セクストにするか、果実にするか悩んだんですけど、長編の場合、ストーリーを考えてる間、書き込めない場合があります。しかし、短編の場合はいっきに思い付いた物語をザーッと書いていくので、そちらの方が都合がいいかと思い、こっちのスレを辞めることにしました。
『禁断の果実を、かじりながら。』の方は続けます。
ですが、このスレを辞めるということは当然ストーリーも途中で終わってしまうということです。
本っ当にすみません。
このスレを、今まで見てくださってありがとうございました。
これからは、果実の方をよろしくおねがいします。

231ココナッツ:2013/07/29(月) 10:02:25 ID:6n9Bk/3Q
このスレ辞めるんですね・・。
残念だけど、果実の方で、頑張って下さい!
私は赤哀さんの小説が好きだったので、残念ですが、果実は、書いて下さるとのことで本当に良かったです。果実頑張って下さい!!


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