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セクゾでストーリー
1
:
赤哀
:2013/03/04(月) 17:33:02 ID:EYd3.WX.
初めまして!赤哀です。
他の板でアヤという名前で少しだけ書いてたので、知っている人もいるかなと思います。
とはいっても、ここの板で小説を書くのは初めてなので知らない人がほとんどだと思います。
よろしくおねがいしまっす!!
2
:
赤哀
:2013/03/04(月) 17:53:14 ID:EYd3.WX.
『スキすぎて、スキなのに』
〜勝利目線〜
今日は月曜日。また、学校が始まる。
けっこう、いやかなり憂鬱な気分で家を出た僕。
『また、イジメられる……』
こんな思いを胸に潜めながら。
〜〜〜〜〜〜〜
こんな感じのイジメ&恋愛系なので、裏は多分ないと思います……
が!読んでくださったら大変嬉しいです。
3
:
赤哀
:2013/03/04(月) 18:12:35 ID:EYd3.WX.
とぼとぼ歩いていると、
健「勝利っ」
と後ろから弾んだ声が聞こえた。振り返ると、こちらに手を振りながら走ってくる健人くんがいた。
あ、健人くんとは僕の恋人!
健「おはよう!こんなとこで会うなんて珍しいね」
勝「ね……。そうだね!」
落ち込んでちゃいけない!と思い声のトーンをあげる。
でも、健人くんはそれを見透かしたように僕の目をじっと見る。
健「…勝利、最近元気ないよ?何かあった?」
ぎくっ!
勝「えっなっ、なにもないよ!」
少し動揺するも、いつもどうりの態度をとる。
なのに、また健人くんは僕の心を完全に見透いてるような目で僕を見る。
健「本当に?」
勝「本当、本当!」
健「うーん……まあ、なんかあったら言えよ」
勝「うん。」
健人くんは諦めたように目をそらす。
健人くん、ごめんね。伝えなくて。
でも、イジメられてるなんてカッコ悪いし、健人くんに心配させたくない。
だから、僕なんてどうでも良い。
健人くんが幸せなら。
4
:
風海人
:2013/03/04(月) 18:29:38 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
風海人だよw
ここにきたんだねぇ
宜しくねぇ!
赤哀←名前なんって呼ぶの?
教えてくれるかなぁ撲難しい漢字は読めないので
呼び方を教えてくれるかなぁ?
あっ続き待ってるよ!
5
:
赤哀
:2013/03/04(月) 19:43:31 ID:EYd3.WX.
風海人、読み方は『あかあい』で良いよ!
分かりにくいうえに変なのでゴメンね!!
由来は(←聞いてない)、
赤は、大好きなしょりたんのイメージカラーで、哀は悲しい系の話が好きだから!
風海人ってもしかして、ジュニアの玉元風海人のこと?
違ったらごめん!!!!
6
:
赤哀
:2013/03/04(月) 21:35:10 ID:EYd3.WX.
遅れましたが年齢です!
☆勝利・高2
☆健人・高2
☆風磨・高2
☆マリ・高1
☆聡・高1
です!
7
:
赤哀
:2013/03/04(月) 22:08:15 ID:EYd3.WX.
そんなことを思っていると、学校の校庭に呼び出しの放送が流れた。
聡『2年生の佐藤勝利さん。陸上部部室に来てください』
それは、僕をイジメている聡の声だった。
部室ってことは……またイジメられる?
怖くなって、固まってしまった。
健「しょーり?呼ばれてるよ」
突然、視界いっぱいに健人くんの顔がうつりハッとする。
勝「あっごめん!ぼーっとしてた。」
僕がそう言って照れ笑いすると、健人くんはスピーカーの方を向いて喋り出した。
健「聡ってさ、甘え上手だし、可愛いし、優しいし。比の打ち所がないよね」
勝「……」
健「気づかい出来るし、明るいし、しっかりしてるし、声も可愛いし。本当良く出来てるよな。」
勝「……」
ねぇ、健人くん、僕聡にイジメられてるんだよ?なのに、なんで、そんなに可愛いとか言うの…?僕には絶対に言わない言葉を軽々と聡に言えるの…!?
勝「…そんなに聡がいいなら聡と付き合えば良いじゃん」
思わず口に出してしまった自分の気持ちにびっくりし、僕はうつむいて口をおさえた。
8
:
風海人
:2013/03/04(月) 22:13:16 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
わざわざ呼び方教えてくれてありがとうw
そうだよ私は、玉元風海人君が好きなぁ女なのよ〜
けどチャットでわ男女なの!
風海人君のほかにわセクシボーイの神寺宮君と嶺亜君と郁君とあむ君、
セクシゾンなら勝利君と聡君とマリウス君と健人君と風磨君、
ジニアだったら玄樹君、岸君、楓君、栗田君、水越君、鈴木君、本嵩君、
とかまァ色々と好きだよw
関西ジャニーズだったらなにわ王子の3人と、きんかの3人好きだよw
あっ優馬君と、セブンウェストンの重岡君とかも好きよw
でも風海人君が好きよ!
9
:
風海人
:2013/03/04(月) 22:15:40 ID:sTFDruFc
すげ続き楽しみだよw
待ってるぜっw
10
:
赤哀
:2013/03/05(火) 00:42:19 ID:EYd3.WX.
風海人、へ〜、そうなんだ!
私はジュニアでいうとげんげん(松田元太)が大好き!!
他にも、岩橋、岸、颯、松倉、くらもっちゃん、古林虹輝………と色々!
関ジュは全体的に好き!
11
:
赤哀
:2013/03/05(火) 01:00:31 ID:EYd3.WX.
健「勝利……」
切なくて、でも怒ったような健人くんの声に少し顔をあげる。
そこで見た健人くんの目は、あきらかに僕を疑っていた。
『こんな皮肉なやつだったんだ』って思ってるの?
違うよ、健人くんの勘違いだよ。
そう思ったけど、僕は健人くんに『勘違い』を被せてるだけ?本当は聡を嫌ってるんじゃないの?
でも、違う。
いい子ぶってる訳じゃない、そう思っている自分が大嫌いだ。
自分を大嫌いと思っている自分も、大っ嫌い。
勝「…ごめん 、可愛い聡を悪いみたいに言って。そりゃ、僕なんかより聡の方が良いに決まってるよね。ごめんね……」
目に涙が溜まり、またうつむく。
自分で言ったことなのに悲しくなって、頬が濡れるのを感じる。
聡は僕より愛想が良いし、人なつっこい。
それに、イジメられる僕にも原因があるんだ。
僕はその原因から逃れて健人くんといるの…?
それとも、原因を突き止めて皆から嫌われるの…?
どっちが良いのか、分からないよ。
12
:
赤哀
:2013/03/05(火) 16:21:22 ID:EYd3.WX.
健「勝利、泣いてるの?」
健人くんが口にした『僕が泣いている』という事実が悲しすぎて受け止められなくて、僕の足はなぜか自然に部室へ向かっていた。
気付くと目の前には部室のドア。
僕は操り人形のように無心でドアノブに手を伸ばす。
真っ暗で、まるで物置のような部室。すみっこには出っぱりがあって、そこには赤い染みが点々とついている。
その染みが自分の血だと思うだけで、身震いする。
13
:
赤哀
:2013/03/05(火) 16:37:00 ID:EYd3.WX.
その染みをまじまじと見ていると、視界がぐるっと回った。
聡「ばぁーか」
いつの間にか、目の前には聡の顔、背後には壁。聡の手は僕の首を閉めていた。僕は苦しくて顔を歪める。
勝「ゃ…め、て……ぅっ……!」
聡「何?止めてください、でしょ?」
ぎゅっ!
僕の首を閉める力がいっそう強くなる。
勝「ゃっ……めて…くっださ……」
僕が無我夢中でそういうと、聡はニヤリと笑って手を離した。そしてその手で、僕の腕を掴んだ。
14
:
赤哀
:2013/03/05(火) 16:53:01 ID:EYd3.WX.
勝「何するの…?」
僕はびくびくしながら聞く。でも、聡は何も言わない。
僕の手は聡の誘導によって、聡の首を掴んだ。
聡「そのまま離すなよ。」
聡はそう言ってポッケからスマホを出した。そしてかるやかにメールを打つ。僕は何も出来ないまま、つったっていた。
勝「もぅ、離して、良い……?」
そういうと、聡は「待てねぇの?」と僕を睨む。僕は頭をぶんぶんと横に振った。
そしてしばらく待っていると、聡はスマホを勢いよく床へ振り落とした。バリンと画面が割れる音がして、僕は思わず目を固くつぶった。それと同時に、走るような足音が聞こえた。
するとまた首を捕まれる感覚がする。僕が驚いてよろけた隙に、聡が僕達の体制を逆にした。
15
:
赤哀
:2013/03/05(火) 17:12:14 ID:EYd3.WX.
どう見ても僕が聡の首を閉めているような体制。僕が動揺していると、聡が苦しそうな演技をし始めた。
聡「しょぉりくんっ……ゃ、めて…!」
どういうこと…!?
僕が戸惑っていると、ドアがガラッと開いた。
健「聡っ…!!」
そこにいたのは、僕の大好きな健人くんだった。
聡「健人くんっ……!」
聡は僕の手を払い除け健人くんに抱きつく。僕がポカンとしていると、健人くんは僕を睨み付けてきた。
健「前から思ってたけど、お前酷すぎるぞ」
勝「え…?」
健人くんが聡をぎゅっと抱きしめながら僕をきつく睨む。僕は疑問より先に、胸がざくざくと痛んだ。
健「聡がお前をイジメてるように見せかけるために聡に呼び出しの放送させたり、被害者ぶっていつも元気ないフリしてたんだろ?そんなやつ、最悪だよ。最低。」
いつもになくキツい言葉を発する健人くん。
16
:
赤哀
:2013/03/05(火) 17:28:02 ID:EYd3.WX.
健「聞いてもなんもないって誤魔化したり、お前そうまでして俺と付き合いたいんだ」
健人くんの目が怖すぎて、僕は震える声で僕は告げる。
勝「違う…」
健「違うって何がだよ。言ってみろよ」
僕は絶句した。
何でそこまでして僕を疑うの…?
ねぇ、僕達は『恋人』でしょ?お互いに『好き』な関係でしょ?
健「はあ…何も言えないんだ。ハッキリ言うけど、お前のそういうとこ大っ嫌い。俺は、元からお前なんて嫌いだったんだよ。聡のために観察してただけ」
僕は驚いて顔をあげた。
健「何驚いてんの?イジメられてる子を助けたくなるのは当たり前だろ?お前なんて守る気にもならねぇ。」
酷すぎるよ、健人くん…!
17
:
赤哀
:2013/03/05(火) 17:44:49 ID:EYd3.WX.
僕は健人くんがいるからイジメられても頑張れた。
健人くんに何を聞かれても、心配をかけたくなくて大丈夫と言っていた。
健人くんも、ちゃんと僕を愛してくれていると思っていた。
心から心配して、僕にどうした?とか聞いてきてくれてるんだと思っていた。
それが全部『嘘』だったなんて、信じられないよ。
健「イジメられっ子はいつか自分に返ってくるんだよ。勝利、残念だったな。聡、保健室行こう?」
聡「うん…」
健人くんが聡の手をつかんで、部室から出ていく。
あの手は前まで僕の物だと思っていた。なのに、違ったんだ…。
勝「けん、とくん……健人くん、健人くん…!!」
真っ暗な部室で一人、僕はこれまでのことを全て思い出して泣き崩れていた。
18
:
赤哀
:2013/03/05(火) 17:50:24 ID:EYd3.WX.
わあああ!間違えた!
>>16
の
×『僕は震える声で僕は告げる』は
○『僕は震える声で告げる』です!
すみませんでした!!
19
:
no name
:2013/03/05(火) 17:51:04 ID:q6xQ6K7U
悲しい!!!゚(゚´Д`゚)゚けど
面白いです。続き待ってます♪
20
:
赤哀
:2013/03/05(火) 20:14:22 ID:EYd3.WX.
no nameさん、感想ありがとうございます!!
私自身悲しい話が好きなので、書くと悲しい系になってしまうんですよね…
(´∂`)アハハ…
『面白い』と言ってくださり嬉しいです!
お世辞でも何でも嬉しいです!!
∵∴∵o(>∀<)o∴∵∴
(↑浮かれすぎっ)
あと、名前の読み方分からなくて…
英語が苦手なもんで…
教えてください!!
21
:
風海人
:2013/03/05(火) 21:28:20 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
私も松田君と松倉君とあらん君と朝日君たちも
好きやでw
続き待ってるで〜
22
:
赤哀
:2013/03/06(水) 18:16:44 ID:EYd3.WX.
風海人もげんげん好きなの!?
嬉しいっ(^ω^)/¨°*¨*¨°¨
(〃☆ o ☆〃)v
23
:
赤哀
:2013/03/06(水) 18:28:51 ID:EYd3.WX.
勝「行ってきます……」
僕はガチャンと家のドアを閉めた。
いつもならこのまま歩きだすのだが、今日は歩く気になれない。
僕は元気を出すため携帯を開いた。
待ち受け画面には僕と健人くんがピースをして笑っている。この笑顔が嘘なんて信じられない。
そして受信メールを調べる。もしかして…と思ったけど、そんなことない。いつもある健人くんからの新着メールがなかった。
やっぱり、嫌われてたんだ……
そう思うと、さらに元気が無くなってしまった。気付くと、画面が僕の涙で少し濡れていた。
仕方ない、今日は学校を休もう。
そう思い涙をぬぐう。あちらこちらをフラフラさ迷っていると、ふいに腕を引っ張られた。
24
:
風海人
:2013/03/06(水) 19:14:34 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
うんもちろん
げんげんも好きよ!
25
:
風海人
:2013/03/06(水) 19:15:30 ID:sTFDruFc
↑書き忘れ
続き待ってるよ☆
26
:
紫勇勝
:2013/03/07(木) 16:15:11 ID:q6xQ6K7U
19の者です。
名前考えてなかったので書かなかったらno nameでした。テヘペロ(ゝω・)
上の名前は『しゆか』って読みます^^今度からこの名前で行くので!!!
続き待ってます。
27
:
赤哀
:2013/03/07(木) 19:55:25 ID:EYd3.WX.
風海人、ささいなことだけど嬉しいよ♪♪
紫勇勝さん、そうですか!あれ無名だったんですね…(恥)
これからよろしくお願いします!
28
:
赤哀
:2013/03/07(木) 20:18:09 ID:EYd3.WX.
勝「ぅわあっ……!!」
僕は思いっきりバランスを崩し、固いアスファルトの上に体をうった。
目をうっすら開けると、目の前のアスファルトが軽く赤色に染まっていた。足元で聞こえる車の音がいつもになく遠く聞こえる。まるで蟻になったみたい……
そんなことを思ってぼうっとしていると、腰あたりに激痛が走った。
勝「ぅっ…!!!」
蟻なんかじゃない、ちゃんと腰があるじゃんか…。
そう思って痛さを誤魔化そうとするも、だんだん痛みは強くなっていく。
瞳をぎゅうっと閉じて痛みに堪えた。強く噛んだ唇から血の味がする。
頑張って堪えていたら、ふっと痛みが消えた。僕はまだビクビクしながらもじっとしていた。
聡「登校拒否なんてしても、僕には全く通じないんだけど。」
耳元で低く囁く、聞き覚えのある声に驚いて目を見開く。
やっぱり、聡が僕をきつく睨んでいた。
29
:
赤哀
:2013/03/07(木) 20:20:46 ID:EYd3.WX.
別にナリがあったとかじゃないんですけど、トリップを付けてみようと思います。
なので、どなたかトリップの付け方を教えてください!!
30
:
風凛
◆noQlW0USwA
:2013/03/07(木) 21:00:49 ID:MSY09nmo
トリップのつけ方は、#のあとに自分の好きな文字を入れれば出来上がりですよ!
例))風凛#ふまあい
31
:
風海人
:2013/03/07(木) 21:39:48 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続きまってるよw
32
:
赤哀
:2013/03/07(木) 23:48:11 ID:EYd3.WX.
風凛さん、ありがとうございます!!
次やってみます!
風海人、OKっ♪
33
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/07(木) 23:49:44 ID:EYd3.WX.
トリップ(?)テスト。
34
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/07(木) 23:53:00 ID:EYd3.WX.
風凛さん、ありがとうごさいます!
トリップ付けられました^^
良ければ、ついでにこの小説も読んでいただければ……(←ちゃっかり宣伝?)
とりあえず、本当にありがとうございました!
35
:
ShoWMa
◆NjaS1NYoh.
:2013/03/08(金) 00:06:46 ID:DVaeFOPQ
来たよ〜☆
こういう系の話、うちの大好物←
聡が悪いのってちょー新鮮!
続きまってるよん^^
36
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 00:12:49 ID:EYd3.WX.
勝「なんで、こんなこと…っ」
僕が痛む体を丸めながら聡に問いかけると、聡は見下ろすように笑った。
聡「ねぇ、健人くんに嫌われてるって分かって悲しいんでしょ?そうなんでしょ?」
勝「……」
僕がうつむいて黙っていると、聡が僕の顔をあげるように前髪を鷲掴みして引っ張った。頭の皮膚が引きちぎられるような激しい痛みが身を震わせる。
勝「っっ!!!!!」
聡が離したものの、激しい痛みは収まらない。狂いそうな痛みの中聡を見上げると、聡は僕の苦痛な顔を見て狂ったように笑いながら僕のお腹を蹴り始めた。
聡「ひゃはははははは!!きゃはははははははは!!」
痛いを越える、気持ち悪い感覚。
僕は苦痛な声で叫びながら、激しい嘔吐を必死に堪えた。
だけど、
もう…ダメ…………
僕は聡の笑い声を聞きながら、喉の奥から込み上げてくる何かを吐き出し気絶してしまった。
37
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 00:16:16 ID:EYd3.WX.
しょーちゃん(TOT)/“““
来てくれてありがとう〜〜!!!
これからも頑張って書くよ!
(`n´〃)ゝ
38
:
風凜
◆noQlW0USwA
:2013/03/08(金) 01:03:21 ID:40JnScuw
いえいえ、大丈夫ですよ^^
見てます!!見てます!!
私、こーゆうの意外に好きなんで(笑)
続き待ってます!!
39
:
風海人
:2013/03/08(金) 18:03:42 ID:sTFDruFc
続き待ってます
40
:
風海人
:2013/03/08(金) 18:06:26 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
↑すまんなんか、敬語になったわ
小説書くのがんばれー!
41
:
かーたん
:2013/03/08(金) 18:28:45 ID:RuIWDDD6
頑張ってください!応援しています!
42
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 18:44:43 ID:EYd3.WX.
風凛さん、こういうの好きとか嬉しいです!。(>o<)/
今から書きます!
風海人、敬語になったくらい大丈夫!!
いつもありがとう♪♪♪
かーたんさん、初めまして!!
読んでくださる方がまた増えて、すごく嬉しいです!
これからよろしくお願いします。
43
:
かーたん
:2013/03/08(金) 20:42:26 ID:RuIWDDD6
初めまして!これからいろいろとよろしくお願いします。頑張って(≧∇≦)
44
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 22:37:48 ID:EYd3.WX.
すみません!あの後寝ちゃって、続き書けませんでした…orz
なので、今から書きます!
あと、
かーたんさん、ありがとうございます♪
頑張りますねっ^^
45
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 22:55:45 ID:EYd3.WX.
ぶーん、ぶーん……。
耳の近くでハエの鳴く音が聞こえて目が覚める。
ここは、どこ?
赤色の染みを作った地面、僕を覆い被さる建物の影、天井いっぱいに広がる雲……
座りこんでやっと気付いた。
僕あのまま、聡においていかれたのか……。
意識が朦朧とするなか口回りに触れてみると、やはりべたついていた。
制服は血とげぼでぐちゃぐちゃになっている。
今、時刻は午後2時ごろ。そして、ここの路地の向こうの広い道は生徒がよく通る道。しかも今日は学校が早く終わる日。
このままだと誰かに気づかれてしまう。
どうすることも出来ずしばらく座りこんでいると、男子生徒の笑い声が聞こえた。
46
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/08(金) 23:20:47 ID:EYd3.WX.
聞こえる話と足音を聞く限り、多分この男子生徒は三人くらい。声が聞こえる方向によると、僕と同じ学校の生徒だろう。
このいつも聞こえる笑い声が、今は僕を焦らす悪魔となる。
『じゃあ俺こっちだから!』
「あ〜、お前そっちか。」
『何?寂しい?』
「別にっ」
『ははっ!じゃあ明日な。』
足音が急に少なくなった。今は一人の足音がトットットッと聞こえる。
その音がだんだん近づいてくるが、僕は本当にどうも出来ず、出来る限り路線の奥にいた。とはいっても真昼の熱の下。奥で身を縮め影をかぶっている程度じゃバレるだろう。だから、
どうか見逃してください…!!
と願ったけど、神様は答えてくれなかった。その男子生徒は路線の奥にいる僕に気付き、僕の方へ向かって歩いてきた。
僕は体育座りをしてとっさにうつむく。バレているのは知っているけど、こうしなければいけない気がしたから。
そして足音が僕の前で止まる。
男子生徒はしゃがんで、僕の肩をポンポンとした。
47
:
あやね
:2013/03/08(金) 23:30:16 ID:YOnk2SDg
はじめまして。
あやねといいます。
あたし、このタイプの小説大好きです!!!楽しみにしています。
頑張ってください。
48
:
紫勇勝
:2013/03/08(金) 23:35:59 ID:q6xQ6K7U
勝利が可哀想すぎるよぅ・・・
だけど救いの手が!?男子生徒は誰だ!?
続き気になります><
49
:
風海人
:2013/03/09(土) 12:15:41 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続き待ってるよw
50
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/09(土) 12:35:35 ID:EYd3.WX.
あかねさん、初めまして!!
このタイプの小説が好きと言ってくださると、大変嬉しいです♪♪
これからよろしくお願いします^^
紫勇勝さん、感想ありがとうございます♪
可哀想とか大変な誉め言葉です(´ω`〃)
∵∴∵\(o^∀^o)/∴∵∴
風海人、うん!!時間があったら即かくよ!!
51
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/09(土) 12:38:34 ID:EYd3.WX.
あやねさんすみません!
書き間違えであかねさんになっていました……
すみません!!!!!!
皆様へ
これから祖母の家にいくので、日曜日まで更新できません。
早く続き書きたいよぅ(T_T)
52
:
no name
:2013/03/09(土) 12:45:16 ID:Vy26TBvM
美少女エロ画像
ht tp://tutlyuyhk.blog.fc2.com/
53
:
紫勇勝
:2013/03/10(日) 15:30:47 ID:q6xQ6K7U
いつまでも待ちますよー^^
続き楽しみにしてます
54
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/10(日) 20:32:57 ID:EYd3.WX.
紫勇勝さん、こんな時までありがとうございます♪
ほっこりしました(o´∀`o)
55
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/10(日) 21:01:19 ID:EYd3.WX.
「大丈夫?」
耳の近くで聞こえる声。それは、すごく柔らかくて優しい声だった。僕は、すごく嬉しかった。
でも………
顔をあげた瞬間、殴られたり蹴られたりされたらどうしよう。また、信頼して裏切られたらどうしよう……。
僕がそう思ってうつむいていると、その人はまた優しい声で喋り出した。
「俺の事、信じられないか……。」
その声を聞いて、もしかして良い人なのかもと思ったけど、最悪の場合を考えて僕は軽くうなづいた。
「そうか。分かった。じゃあ俺いくから。あ、良かったらこれ使えよ」
その言葉を聞いたすぐ後、頭の上に何かが被さったのが感じた。走り去っていく足音が消えた頃、僕は顔をあげて頭の上の何かを取った。
それは、花柄でピンクの女性物のハンカチだった。
でも、男の子の声だったし、何でだろう…
そう思ってハンカチの裏を見ると、名前が書いてあった。
『菊池風磨』と。
56
:
風海人
:2013/03/10(日) 22:21:22 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続き待ってるよw
57
:
風凜
◆noQlW0USwA
:2013/03/10(日) 22:59:04 ID:40JnScuw
風磨きたー!!
続き待ってます!!
58
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/12(火) 01:22:17 ID:EYd3.WX.
風海人、多分、今日は無理かな……。
提出物があるの知らなくて、全くしてないの(T・T)
明日は更新出来ると思う!!
風凛さん、久しぶりです^^
これからもちょいちょいと風磨を出すんで、楽しみに読んで頂けると光栄です☆
59
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/12(火) 20:26:33 ID:EYd3.WX.
僕はそのあと、のろのろと家に戻った。
歩く人からは軽蔑した目で見られたが、僕はその『菊池風磨』のおかげであまり気にしないですんだ。
この単純さは自分でも自覚できるほどだった。
そして、この単純さで健人くんに騙された。
でも今はこの『菊池風磨』を疑う気力もなく、ただただ助けが欲しかった。
勝「ただいまー…って言ってもいないよね。」
僕は家にかえってすぐ寝室に行き、ブレザーを脱ぎ捨てベットに身を投げた。
天井を見れば、空ではなく真っ白な壁。
あのうるさい車の音は風の音。
僕にかぶさった大きい影は、頭にかかるか、かからないかくらいのカーテンの小さな影。
この平和すぎる空間に僕はほっとして、眠りについた。
そしてこんな夢を見た。
60
:
風海人
:2013/03/12(火) 21:38:29 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続き待ってるよw
61
:
紫勇勝
:2013/03/12(火) 21:56:57 ID:q6xQ6K7U
風磨登場!!!わーい\(^o^)/
続き待ってまーーーす^^
62
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/12(火) 23:14:27 ID:EYd3.WX.
風海人、OK!今から書くよ〜♪♪
紫勇勝さん、風磨担なんですか?
そこらへん詳しく知りたいです!!
皆さん、設定書き忘れ!!
高3・風磨
高2・勝利、健人、聡
高1・マリウス
です!!現実と違いすぎますねww
63
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/12(火) 23:28:24 ID:EYd3.WX.
僕は誰かの背中を追って白い空間の中走っている。
限りなく、ずっと、ずっと。
疲れるはずなのに疲れなくて、ふわふわと空中で歩いているみたい。
楽しくて楽しくて、僕は恐ろしいほど笑っている。
「勝利っ」
その誰かが振り返った。
それは、健人くんだった。
優しくて柔らかい笑顔で……
僕は聞いた。
勝「僕のこと嫌いじゃなかったの……?」
健人くんは走ってきて僕を抱き締める。
健「何言ってるの。勝利が大好きだよ。大好き、だーいすき…」
感じる体温が妙にリアル。抱きつかれたこともないのに、これが健人くんだって分かる。
今までのが、嘘だったんだ……
健人くんは、僕を愛している……
ウソナンテ……ツカナイ。
気付けば、現実世界に戻っていた。
この夢さえも、記憶から儚く消えていた。
64
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/13(水) 00:02:54 ID:EYd3.WX.
>>62
設定書き忘れじゃなくて、設定書き間違えでした。
すみません。
65
:
紫勇勝
:2013/03/13(水) 01:27:32 ID:q6xQ6K7U
紛らわしい発言ごめんなさい><
私は勝利担です!
でもみんな好き^^
赤哀さんは誰担ですか?
66
:
紫勇勝
:2013/03/13(水) 12:47:23 ID:q6xQ6K7U
書き忘れ↑
続き待ってます^^
67
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/13(水) 17:02:46 ID:EYd3.WX.
紫勇勝さん、私も勝利担です!
いっしょでテンション上がりました^^
あ、でも、jrのげんげん(松田元太)も大好き!
つまり、掛け持ちですw
あの、良かったらタメになりませんか?
68
:
風海人
:2013/03/13(水) 18:25:52 ID:sTFDruFc
続き待ってます
69
:
風海人
:2013/03/13(水) 18:27:43 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
↑なんか、敬語になちゃてすまん
小説書くのがんばれー!
70
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/13(水) 23:50:57 ID:EYd3.WX.
風海人、うん。頑張るね(o`v´o)b
71
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/14(木) 00:07:21 ID:EYd3.WX.
何か残酷な夢を見たような……
そう思いながらも無意識に携帯を取る。
そして、思わず新着メールを調べた。
あ……。そっか、あるわけない。
無駄に胸を踊らせた自分が恥ずかしい。
やけに悲しくなって、気持ちがモヤモヤする。
ふと時計を見ると、もう朝の7時30分。
知らないうちに朝になっていた。
何時間眠ったかと思うと頭がクラクラする。
計算してても暇がないので、朝ご飯を食べようと冷蔵庫を開けた。
だけど、食欲がわかない。
これで二日間は何も食べていない。
でも………仕方がない。
僕は汚れたブレザーを洗濯機にほうりこんだ。
そして、予備に買っておいたもう一枚のブレザーを羽織って、寝癖をつけたまま登校した。
72
:
紫勇勝
:2013/03/14(木) 00:24:27 ID:q6xQ6K7U
タメ全然OKです^^
続き待ってるね〜
73
:
あやね
:2013/03/14(木) 07:20:09 ID:YOnk2SDg
赤哀さん、コメ遅くなってすみません
ふーまが出てきて、キュンキュンしてます!!
これからも、楽しみにしています。
頑張ってください。
一応、自己紹介します。←ムシして、
OKです
年齢 小6
在住 大阪
担当 神担 潤くん
担当 ふーま
副担 神ちゃん
神担がセクゾのメンバーじゃなくて すみませんm(_ _)m
でも、この掲示板に居させてくれた ら、嬉しいです。
74
:
風海人
:2013/03/14(木) 17:50:06 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続き待ってるよ!
75
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/14(木) 18:29:33 ID:EYd3.WX.
紫勇勝さん、じゃあタメ口で^^
私のことは赤哀とかで良いよ!
紫勇勝さんのことは何て呼べば良い?
何かあだ名的なものでもあったら教えて!!
76
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/14(木) 18:33:56 ID:EYd3.WX.
あやねさん、私と同じ小6なんですね♪
頑張って風磨沢山出します!!
あと、神担がセクゾじゃなくても大丈夫ですよ!
私もjrのげんげんと掛け持ちで勝利の神担ですからww
この掲示板、そしてこのスレに居てください!!!
77
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/14(木) 22:01:05 ID:EYd3.WX.
学校について、教室に入る。
また、机に酷い落書きが…
そう思ったけど、違った。
席に座ろうとすると、僕の席…ではなく、僕の隣の聡の席が荒れていた。
勝「なにこれ…」
いつもは僕の席が荒れているのに、おかしい。
聡がイジメられた?
いや違う。聡の罠?
おそるおそる聡のノートを見ると、
『バカ』『死ね』『ウザい』
などの僕がいつも言われている言葉が書いてあった。
勝「どういうこと……?」
僕が悩んでいると、ある人の声がした。
健「勝利」
僕はその大好きな声に驚き、振り返る。
だけど、愛しい人は、僕を睨みつけていた。
健「いつまで聡をイジメる気?」
聡の罠に、引っ掛かった
78
:
あやね
:2013/03/14(木) 22:21:07 ID:YOnk2SDg
赤哀さんも、小6なんですね。
よかったら、呼び捨て&タメでお願いしたいんですが、良いですか?
79
:
no name
:2013/03/15(金) 16:05:28 ID:2QWIfxKU
続き待ってます
80
:
風海人
:2013/03/15(金) 18:30:53 ID:sTFDruFc
続き待ってます
81
:
風海人
:2013/03/15(金) 18:34:52 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
また↑敬語になちゃてるわ
すまん・・
小説を頑張って書いってねぇ!
82
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/16(土) 11:47:07 ID:EYd3.WX.
あやねさん、タメですか!!
そうしましょう!!
そうしよう! じゃあ、あやねって呼べば良い?
私の事は赤哀で良いよ^^
83
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/16(土) 11:50:41 ID:EYd3.WX.
>>79
さん、no nameになってますよ!
でも、ありがとうございます。
風海人、最近敬語になりやすいね!
大丈夫だけどw
これからも頑張って書くよ!!
84
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/16(土) 12:04:59 ID:EYd3.WX.
僕は手に持っていたノートを落とした。
健「こんな酷いことして楽しいわけ?」
健人くんがすごい形相で近づいてくる。僕はあとずさりした。
健「蹴ったり」
言わないで…
健「殴ったり」
言わないで…
健「される人のこと考えろよ!」
言わないで…!
ごんっと背中に壁が当たった。もう、逃げられない。
健「聡はあんなに悩んでるんだよ!あんなに泣いてるんだよ!なのに、何でイジメるんだよ!」
健人くん、勘違いしないで…
イジメられているのは僕なんだよ…
僕はまた嘔吐がして、健人くんを押し退いて教室から飛び出した。
85
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/16(土) 12:23:01 ID:EYd3.WX.
教室から飛び出したら、何故か嘔吐は消えた。でも、その変わりに目眩がした。
フラフラする足取りでどこかへ向かう。目の前に星が飛び交い、夢のような空気が僕をおおう。
最悪……
そう思ったとたん足が絡まり、僕は倒れかけた。このまま頭を打って死ねれば楽なのかな…
そう思ったのに、僕は誰かに支えられていた。
「大丈夫…?」
すぐに分かった。だって、あの時聞いた声と同じだったから。
僕はうつろな目でその人を見つめる。
あの人は、こんな綺麗な人だったんだ。
勝「菊池、風磨…ですか……?」
風「当たり。」
『菊池風磨』は、優しく微笑んだ。
86
:
紫勇勝
:2013/03/16(土) 13:52:26 ID:q6xQ6K7U
<<75 特にあだ名とかないから
フツーにしゆかとか・・・?でいいよー^^
ふーまかっこいい!!!続き待ってるね♪
87
:
あやね
:2013/03/16(土) 15:47:13 ID:YOnk2SDg
うん。
あやねでいいで。
あっ、あたしタメやったら、関西弁やから。
ふーま超絶カッケー!!
赤哀、頑張って。
88
:
風海人
:2013/03/16(土) 17:44:10 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
続き待ってるよw
89
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/16(土) 18:42:22 ID:EYd3.WX.
しゆか、じゃあ『しゆか』にする!
あと、ふーまカッコいいって言ってくれてすごく光栄♪(´ω`〃)
時間があったら続き書くね!
あやね、じゃあ『あやね』って呼ばせてもらうよ!!
関西弁でも気にしないから大丈夫^^
もっと風磨をカッコよく出来るよう頑張るね!
風海人、OK!
なんか、風海人の感想とか聞いてみたいな…
90
:
風海人
:2013/03/16(土) 21:30:10 ID:sTFDruFc
赤哀へ、
感想なぁ・・・
うーん、凄くいいじゃあないの
赤哀らしい小説と思うでよぉwww
馬路でそう思うってるよ☆
それし、これから勝利君か、どうなるのかも、楽しみ
だよ!
91
:
あやね
:2013/03/16(土) 23:00:37 ID:YOnk2SDg
赤哀、続き楽しみにしてるで。
あと、カッケーふーま期待してるから。頑張って。
明日『プラチナデータ』見にくいねん。小説読んでて面白かったから、超絶楽しみ。
92
:
あやね
:2013/03/17(日) 16:47:35 ID:YOnk2SDg
赤哀、続き待ってるで〜〜〜
93
:
あやね
:2013/03/17(日) 16:50:56 ID:YOnk2SDg
読まなくて、いいです。
今日、プラチナデータを観に行きました。
ニノ、格好よかったです。
94
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/17(日) 17:56:11 ID:EYd3.WX.
風海人、感想ありがとう!
赤哀らしい…凄く嬉しい!!
やっぱり、自分らしい小説書きたいからね!
これから勝利はどんどん聡の罠にはめられるから、
そこを見てほしい☆
あやね、風磨をもっともっとカッコよくできるように頑張るよ!
これからマリウスも登場するからね^^
あと、プラチナデータ見にいったん?
母がニノ担(健人も)だから、見たがってるんだー!
面白かった?感想聞かせてね!
95
:
あやね
:2013/03/17(日) 20:34:56 ID:YOnk2SDg
プラチナデータ、めっちゃ面白かったで。
ニノは、格好いいし、可愛いいし、可哀想。
あたし、元々涙もろいのもあるけど、めっちゃ泣いた。
本間は、二時間十分あるけど、そんなにある感じしんかったで。
プラチナデータのことで、あと、三時間は話せるぐらい。
超絶よかった。
96
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/17(日) 22:05:39 ID:EYd3.WX.
あやね、やっぱ面白かったんだ!
ニノの可愛いシーンとかどんなのかな…(´o`)
あと、感動系なんてしらなかった!
タイムトラベラーズ(3DSのカセット)みたいなのかなぁ?
3時間も話せるくらいって、そんなに凄い映画だったんだね!
見に行きたいけどお金が…(T^T)
セクゾ担は一年中金欠ww
DVD出るまで気長に待とう!
97
:
あやね
:2013/03/17(日) 22:22:28 ID:YOnk2SDg
あたしも、金欠やで。
でも、嵐とセクゾには、出し惜しまない。
ってか、それ以外に使わんし。
98
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/17(日) 22:23:04 ID:EYd3.WX.
〜赤哀より大事なお知らせ〜
このスレが雑談やコメで見にくくなっているので、コメスレを作らせていただきました。
なので、これからコメをする方はそちらの方にお願いします。
\(_ _)/ (←土下座ですw)
あと、この話はまだまだ続くのですが、終わったらすぐ新しい話を書けるように、リクを受付します。
設定は、『アイドルと一般人が恋に落ちる』みたいな話です。
リクしておきながら設定なんて図々しくてすみません。
こちらは悲しい系より、奇跡みたいな話になると思います。
ということで、アイドル役と一般人役を誰にするかのリクをお願いします。
すみませんが、セクゾの中の2人にしてください。
どの2人になっても結局はセクゾ全員でますので、誰がその役に合うのかを考えてリクしてください。
どうか、よろしくお願いします。
99
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/18(月) 00:03:22 ID:EYd3.WX.
〜書き忘れ〜
リクもコメスレにしてください。
よろしくお願いします。
ーーーーーーーーーー
風「保健室行く?」
勝「……ぃゃ……」
風「じゃあ、どうする?」
僕はふらふらな指で音楽室を指差す。
勝「……ぉんがくしつ…」
風「分かった。じゃあちょっと肩貸せ。寄りかかってろよ」
『菊池風磨』は、僕の肩を組んで音楽室へ歩き出す。僕は歩く気力もなく、ほとんど引きずられている状態だった。
音楽室について中に入るなり、僕はへろへろと倒れた。
風「ちょ、待てよ……」
『菊池風磨』はしゃがみながら僕を肩からおろし、僕の横であぐらをかいた。
100
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/18(月) 00:04:11 ID:EYd3.WX.
100\(^o^)/
101
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/18(月) 00:17:45 ID:EYd3.WX.
風「あ、そういえば自己紹介まだだったよな。
俺は菊池風磨。3年生で、えっと…中島の親友です。質問ありますかっ」
勝「…ww…ないです。」
おどけたように言う姿に、僕は少し気がやすらいだ。そしていつの間にか、気がハッキリしてた。
勝「えっあの、僕はさt」
風「あっ、知ってるから言わなくて良いよ。」
風磨先輩の言葉に僕は『えっ』と言った表情をする。
風「えっと、1年のマリウスって知ってるか?」
勝「はい…」
風「そいつと付き合ってて。」
勝「はい……って、ええ!?」
僕は驚いて上半身をあげる。
男同士の恋愛って、僕達意外にもいたんだ…
風「あのハンカチもマリウスからの贈り物で。女物くれるなんてセンスおかしいよな…って、そういうことじゃなくて、あの、マリウスの兄貴とお前の兄貴が仲良いらしくて。それで知ってるんだ。」
102
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/19(火) 20:43:27 ID:EYd3.WX.
勝「そうだったんですか……」
僕は呆然として風磨先輩を見つめる。
風「つーか、兄貴に教えて貰わなかったのか?」
勝「いや、マリウスに兄がいるということすら知らなかったので、話はたまに聞きましたけどまさかマリウスのお兄さんだったなんて…」
風「何だ、そういうことか。」
風磨先輩は「ほら」と僕に手を差し出す。
勝「えっ?」
風「立てよ」
そう言って僕の手を握る。僕は風磨先輩に手を引っ張られ、しぶしぶと立った。
風「ちょっと、心配だったんだ。」
何が…?
そう思ったけど、あえて口にせずいた。
すると、風磨先輩は切ないような笑顔で微笑みながら言った。
風「お前がもし家族と仲悪かったらって……」
103
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/19(火) 20:59:15 ID:EYd3.WX.
風「家では立場があるんだろ?それだけでも幸せだよ。」
その言葉に、心の中の何かが砕けた。
僕は『幸せ』なのに、『不幸』だと思ってるんだ。
食べる物がなくて飢えている子や戦争に悩む子もいるのに、『辛い』なんてすぐ思っちゃうんだ。
それは、その子たちにも大変失礼な思いにいたる。
なら、僕はどうしたら良いの?
幸い中の不幸は、ぬくわれないの?
また深く考えすぎて、涙が出そうになる。
歯をくいしばって耐えていると、風磨先輩は僕の頭を撫でた。
風「大丈夫。」
その言動が心に染みて、僕は何故か泣きだしてしまった。
その言葉を待っていた。
ずっと、ずっと待っていた。
風磨先輩は、泣きじゃくる僕の頭を撫で続けてくれた。
人を信頼するって、こういうことなんだ。
104
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/20(水) 18:24:48 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
風『俺、勝利が好きだ。』
え?何で?風磨くんと僕は付き合ってるんだよ?
勝『風磨くん、僕も好きです』
ええ!?勝利くんまで!?
風『勝利……』
戸惑っている間に、二人が抱きついた。
い、い、……
マ「いやああああああ!!」
自分の叫び声に驚き、目が覚める。
夢だったのか……
僕は胸を撫で下ろし、ほっとする。
この夢を見た理由は多分これだ。
昨日、風磨くんが勝利くんの頭撫でてるとこ見ちゃったんだよね…
しかも、一緒に帰ってたし。
不安で不安で、仕方ない。
105
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/20(水) 19:02:27 ID:EYd3.WX.
その後せっせとしたくして、家を出た。
『今日は快晴だなぁ』なんて思いながら空を見上げて歩いていると、後ろから突然誰かにどつかれた。
マ「きゃっ!」
僕はよろっとよろけたけど、背中に激痛が……
もう、痛い!
睨みながら振り返ると、風磨くんがいた。
風「何その女みたいな反応w」
マ「えっ、あっ、ふ、風磨くんがいきなりするからぁ!」
ニヤつきながら言う風磨くんに怒るフリをするけれど、内心そわそわして落ち着かない。
その後も風磨くんはずっと喋ってたけど、全く耳に入らず。
僕は、あのことの疑問しか上がらない。
『もしかして、浮気?』とか、
『それとも、僕に飽きた?』とか、
『聞いてみるべきか?』とか、
色々、たっくさんでぐちゃぐちゃ。
あーもう!!
どうしよう!!!!
風「マ……マリ………マリウス!」
マ「はっははははいい!」
いきなり呼ばれて、声が裏返る。
やっばい、話聞いてなかった……
106
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/20(水) 22:11:42 ID:EYd3.WX.
風「ちょ…ww声裏返りすぎw」
お腹を抱えて笑う風磨くんに僕はほっぺたを膨らませた。
マ「笑わないでくださいよ!」
風「ごめん、ごめんw」
風磨くんは自分を落ち着かせるためにか、咳払いを数回した。
そして、僕の肩を掴んだ。
風「あのさ、」
マ「?」
風「お前何かあった?」
マ「!!」
う、嘘ぉ……
バレてるじゃん……
マ「ナ、ナ、ナンデッデスカ……」
風「いや、何でも何もお前の態度があからさま過ぎるんだよ」
図星をつかれて戸惑う。
こんな時ってどうすれば良いんだろう。
分からなくてぐるぐるして、僕は逃げることしか出来なかった。
後ろから声が聞こえる。
風磨くんが僕を読んでいる。
ごめんね…。
疑うことしか出来なくて。
その無力さに、涙が止まらなかった。
107
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/21(木) 11:07:01 ID:EYd3.WX.
×読んでいる
○呼んでいる
です。
108
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/21(木) 16:28:07 ID:EYd3.WX.
玄関、一階の廊下、二階の廊下……。
そして、二階の端の教室、『美術室』についた。
僕は、そこにいる『あの人』に会いに行く。
『あの人』なら、きっと、不安をぬぐいとってくれる。
僕は勇気を出して、ドアをカラカラと開けた。
マ「失礼します……」
そこには、やっぱり『あの人』がいた。
本人は自信が無いみたいだけど、すごく整っている横顔。
パレッドに伸びている腕捲りをした綺麗な手。
パレッドに塗りたくっている、イメージカラーの青色。
その全てが鮮やかで切なくて、色とりどりで、思わずうっとりと見とれてしまう。
僕が見つめていると、『あの人』は一呼吸して僕の方を向いた。
聡「………マリ。」
そう、聡ちゃんだ。
聡ちゃんは、昔からいつも隣にいた。
いつも笑っていた。
そんな聡ちゃんを見ていると、なんだかほっとして、また涙が溢れた。
109
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/21(木) 20:55:59 ID:EYd3.WX.
〜聡目線〜
マ「そぉ……ちゃんっ……!!」
聡「えっま、マリ?」
突然現れたかと思うと、突然泣き出すマリ。
僕は弟のように可愛いマリが泣いているのを見て、ほっとく訳にはいかなかった。
イスから立ち上がってマリの方に駆け寄ると、マリが抱きついてきた。
マ「聡ちゃんっ…!ぼっ僕、ふーまくんに…っ…浮気されたかもしれなぃ……」
聡「えっ?」
嘘……だろ?
あんなに仲良かったのに。
不思議に思って、聞いてみた。
聡「よしよし。何があったの?」
マ「なっ何かね……昨日っ、風磨くんが音楽室で…っ勝利くんの頭撫でてたの…!それで…二人で一緒に帰ったりしてたの……!」
そういうことか。
勝利の奴、いよいよ甘えやがいったのか。
イラつく。
マジでイラつく。
お前なんかが甘えるなんて気色悪い。
だから、イジメられるんだよ。
中性的で、男なのにべたべたして。
見てるとイライラする。
あーなんか、ムシャクシャしてきた。
そこで、僕はあることを思いついた。
聡「ねぇ、マリ。悔しいなら、言うこと聞いてね…?」
110
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/22(金) 12:47:26 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
マ「うん。分かった」
聡「じゃあ言うね。」
聡ちゃんが僕の耳元で囁いた。
聡「仕返しする。勝利を、酷い目に合わせるの」
マ「……えっ…!?」
聡ちゃんは僕から離れて、僕を見つめた。
僕も目を見開いて聡ちゃんを見つめる。
マ「ダメだよ、そんなの!人を傷つけるなんて…」
僕が精一杯反対するも、聡ちゃんはゆるまなかった。
聡「なんで?マリは傷つけられたんだよ?マリだけ傷つくなんて不平等じゃん。」
マ「だけど……」
もう、無理だ。
言い返す言葉が出てこない。
だって、聡ちゃんの言っていることは間違ってないから。
でも…僕は誰も傷つけたくない。
どうすればいいの?
111
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/22(金) 12:57:34 ID:EYd3.WX.
聡「迷わなくていいんだよ?勝利はマリと同じだけ傷つくの。残酷なことじゃない。一緒なんだよ、仲間になるんだよ。同じ痛みを分かち合える、仲間。」
優しい口調で優しい笑顔で言うから、僕は騙された。
『天使のような、悪魔の笑顔』
そんな歌が、あったような気がする。
そして僕は、催眠術をかけられたみたいに「はい」と言った。
そうすると、聡ちゃんに頭を撫でられる。
あの時の勝利くんみたいに。
結局僕は、弱愛した風磨くんの愛が欲しいどろどろな愛のかたまり。
聡ちゃんを利用して他人を傷つけるんだ。
なのに、それが気持ちいい。
こんな感情は、初めてだった。
ねぇ、それって、病気なの…?
112
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/23(土) 12:15:44 ID:EYd3.WX.
〜勝利目線〜
朝、5時。
プルルルル……プルルルル……
勝「ふぇ……?メール?」
僕は寝ぼけながら携帯を手に取る。
メールなんて何日ぶりか分からない、久しぶりすぎて感覚がおかしい。
勝「誰…マリウス……?」
ーーーーーーー
勝利くんへ
ーーーーーーー
335555888
ーーーーーーー
……………何コレ?
意味不明な数字が並んだメール。
僕は訳が分からないまま、一応保存をした。
受信欄は、健人くん、健人くん、健人くん……………………マリウス。
増えただけで、何も変わらないと思っていた。
だから、マリウスに返信しようと思った。
『何を言っているの』と。
そして、打とうとして気づいたんだ。
『335555888』
これを数字から文字に直すと
『死ねよ』
になることを…………。
113
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/23(土) 12:33:37 ID:EYd3.WX.
嘘……!!!
びっくりして、思わず口を押さえる。
あのマリウスに、何があった?
ニコニコしてて、優しくて、自分より他人が優先のマリウスに。
裏切られた気がした。
希望が消えた気がした。
絶望が僕を待っている?
すると次は、電話のメロディ。
名前は、『風磨くん』
見るだけで、冷や汗が出てくる。
ーーーもしかして、風磨くんもマリウスも聡の仲間だったの?
そうだ、きっとそうなんだ……
結局、僕なんてぬくわれない。
嫌われているだけだ。
こんなこと、前から分かってた。
真と嘘の白黒は、誰にも分からない。
本人だけが知っている。
114
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/23(土) 12:59:40 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
ぽちっ。
送信ボタンを押す。
すると、聡ちゃんが頭を撫でてくれる。
昔みたいに。
聡「よしよし。良い子だねー」
マ「えへへっ」
ここは、聡ちゃんのお家。
昨日あれから聡ちゃんのお家に泊まって、作戦を実行してるんだ。
マ「ねぇ、今頃勝利くんビックリしてるかなぁ?」
聡「ビックリどころじゃないんじゃない?泣いてたりして。」
クスクスっと笑う聡ちゃん。
僕もつられてクスクスと笑う。
聡「あっマリ。今日の朝ご飯僕が作ろうか?」
マ「本当に!?やったぁ!じゃあ特製チェーハンが食べたい!」
聡「『チャーハン』ねww。分かった。今日はそれを食べよう!」
僕達は階段を降りる。
僕は風磨くんや聡ちゃんと一緒に居ることが楽しくて、そのためなら1人くらい傷つけるなんて軽いものだと思っていた。
それがあんなことになるなんて、誰も思わなかっただろう。
115
:
玲美
:2013/03/23(土) 14:52:58 ID:GCVBVgv.
わぁーお!とても歪なお話ですね!こういう新鮮でいいと思います!頑張って下さい!
116
:
大貴+侑李=最強
:2013/03/24(日) 21:19:25 ID:mrdLMH1U
どうもはじめまして
コメントしてませんが今までのみました
サイコーです
続き気になります
117
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/24(日) 21:44:41 ID:EYd3.WX.
玲美さん、初めまして!
新鮮ですか!?!?
嬉しいです (о^∀^о)/∴∵∴
これから、小説共々よろしくお願いします。
あと、すみませんが、これからコメをくださる場合がありましたら、コメスレの方にお願いします。
大貴+侑季=最強さん、初めまして!
コメントしてなかったけど今まで見てくれていたってことですか!?
だとしたら(そうじゃなくても)、嬉しいです(^∀^)
サイコーとか本当に嬉しいです!
私、お世辞でも喜んじゃうような人なんで…(笑)
これから小説共々よろしくお願いします。
あと、すみませんが、これからコメをくださる場合がありましたら、コメスレの方によろしくお願いします。
118
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/25(月) 14:32:58 ID:EYd3.WX.
〜風磨目線〜
勝利なかなか出ないな…
心配になるも、一応待ってみる。
・
・
・
もう…出ないでしょ!
そう思って切ろうとした時、“プルルルル”という音が消えた。
風「勝利っ!?」
俺は思わず電話に食らいつく。
だが勝利の返事はなく、勝利のものと思われる妖艶な吐息が聞こえた。
勝『はあはあはあ……っ』
風「おい、大丈夫か!?おい!」
俺がそう必死になって伝えると、勝利の息の吸う音が聞こえた。
勝『ふぅま、せんぱっ…』
風「どうした!?」
勝『はあ、ねぇ…風磨先輩も……そ、聡の仲間……なんですよね……』
119
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/25(月) 14:50:19 ID:EYd3.WX.
風「……………………えっ?」
その意味深い言葉に言葉を失う。
俺、何かした…?
一瞬の内に、すごい量の疑問が脳内を駆け巡った。
勝『皆、聡の手下なんでしょっ…!』
その言葉に、俺は意味のないため息を漏らす。
風「……勝利どうした?俺がそんなことすると想うか?だっt」
勝『健人くんも同じこと言った』
風「…だから、中島と一瞬にすんなっt」
勝『お母さんも、お父さんも同じこと言った』
勝利が黙り混む。
しばらくして、泣き声が聞こえた。
勝『お父さんは僕とお母さんが大好きって言ってたのに、浮気して、出てったの…っ。お母さんはその後、お父さんがいなきゃ生きていけないって、自殺したの……!』
風「…」
勝『お父さんの浮気相手には、子供がいた…僕と同じくらいの年齢だった…っ。それでね、お父さんは家を出る時、お父さんは……お前や母さんより、あっちの家族の方が魅力的だって言った…!』
こういう時何もできない自分に、もどかしさしか沸かなかった。
同情も出来ず、励ましも出来ない。
こんな自分が疑われるのも当然だ。
本当に、本当に、情けない。
120
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/25(月) 15:03:14 ID:EYd3.WX.
勝『……何も…言わないんだね…』
勝利の絶望な声に、俺は声をしぼろうとしたが……かける言葉がなかった。
今更励ましても遅い。
勝利の心の傷は、相当深いんだ。
風「…」
勝『……お母さんは、お前なんかじゃ役に立たないって僕に言ってから死んだよ』
風「…」
勝『この話、健人くんにもしたんだぁ…。そうしたら、ぎゅうってしてくれた。暖かい言葉をくれた。この人しかいないと思った…』
ヤバい、勝利の声がおかしい…!
勝利の感情をなくした声に少し動揺する。
勝『僕は今、1、2、3、4、5、6、7……七回目の罠にかかったんだ。』
え?…七回目?計算が合わない。
だって、父、母、勝利、聡、健人、俺(本当は俺は違うけど)……
勝『…マリウスだよ。朝、メールがきた。』
風「それって…!」
俺がふいに言葉を発っそうと思ったが、勝利の言葉に途切れた。
勝『これ以上聞かないで…』
プー、プー、プー……
電話が、切れた。
121
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/25(月) 15:11:56 ID:EYd3.WX.
風「きれ…た…………」
俺は携帯を机に置くと同時に、涙が頬をつたった。
風「くそっ…くそっ……!!」
何で何も言えなかったのか、と。
俺はあの日イジメられている勝利がほっとけなくて、声をかけた。
子犬のような目も、汚れているのにどこか儚く綺麗な姿も、嫌いではなかった。
恋愛とは違う感情で、助けたいと思った。
俺の中の正義が見逃す訳にはいかなかった。
なのに……傷つけることしか出来なかったんだ。
風「俺が泣いてどうすんだよ…!勝利のが、辛いんだよ……!」
泣くな、泣くな、俺。
これは俺が悪い。
全て俺が悪いんだ。
だから………
泣くな。
122
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/26(火) 14:14:47 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
朝ご飯が食べ終わり、僕達は早めに家を出た。
早め、いや早すぎるくらい。
だって朝の7時だもん(笑)
でもね、これには意味があるんだ…
それは、勝利くんの家に行くこと。
聡ちゃんの案だ。
…そして今、勝利くんの家の前にいる。
マ「ねぇ、本当にいいの?」
聡「何今更おじけてんの。大丈夫だって」
マ「でも……」
不安がる僕の頭を、聡ちゃんが優しく撫でた。
聡「僕の言うことを聞いていれば、大丈夫。」
僕は笑って『はい』と言った。
もう、僕は壊れている。
もう、聡ちゃんの手下だ。
そう自覚しているのに、止められない。
悪いことだと分かっているはずなのに、僕は僕に嘘をついている。
『僕は何も知らない』と。
123
:
裕麗
:2013/03/27(水) 01:01:43 ID:2bYDcuOE
はじめまして!この小説面白いのでたくさん更新してください!私も小説書いてるので良かったら来てください。
124
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/27(水) 18:40:13 ID:EYd3.WX.
裕麗さん、初めまして!
はい、どんどん更新したい…んですが、春休みの宿題が(ToT)
でも、頑張って更新します!
裕麗さんの小説、読んでみます!!!
あと、裕麗って何て読むんですか?
頭悪くてすみません、教えてください!
125
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/27(水) 19:03:30 ID:EYd3.WX.
>>124
書き忘れ
これからコメをくださる場合は、コメスレの方でコメをしてください。
お願いします!!!!!
あと、探したんですけど裕麗さんが書いているスレが分からなくて…
コメスレの方で教えてください!
126
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/28(木) 20:12:45 ID:EYd3.WX.
僕は勝利くんの家のチャイムを押した。
ピーンポーン
聡「…やっぱり、返事無いね」
マ「ねー」
そう言いつつも何度もチャイムを押す。
ぽちぽちぽちっ
ピンポンッピンポンッピンポーン…
ぽちぽちぽちっ
ピンポンッピンポンッピンポーン…
……………。
ずっとこれの繰り返しで、勝利くんが出てくることはなかった。
聡「マリ、もう学校に行こうか」
マ「…そうだね」
そう言って僕達が勝利くんの家から離れた時……
パリーン!!!!
そう音がした。
その音のした方へ向くと、
勝利くんの部屋と思われる場所から地面へガラスが降ってきていた。
マ「えっ何あれ…ねぇ、聡ちゃん…」
そう言って横を向いたけど、聡ちゃんがいない。
え!?どこにいるの!?
そう思ってキョロキョロ見渡すも、どこにもいない。
そんな時…地面から、消えそうな声が聞こえた。
聡「ったぁ………」
下を見ると、頭から血を流して倒れている聡ちゃんと
ひとつのトロフィーがあった。
127
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/28(木) 20:32:54 ID:EYd3.WX.
マ「聡ちゃんっ!!」
しゃがみこんで、聡ちゃんの顔を除き混む。
聡ちゃんは、目をつぶっていた。
まさか……気を失ってる!?
救急車を呼ばなきゃ!
そう思って鞄やポケットをあさったけど……
なんとしたことか、携帯を忘れていた。
血の気がさーっとひく。
僕は、無我夢中になって声を張り上げた。
マ「誰か!誰か!来てください!!人が、人が倒れています!」
そう助けを求め続けると、人影が見えた。
風「大丈夫か!」
風磨くんの声だ…!
走りかけよってくる風磨くんを見ていると、涙が溢れてきた。
マ「風磨くん、聡ちゃんが…!」
そう言って無意識に抱きつく。
風磨くんは僕の背中をポンポンと二回叩いて、僕から離れた。
風「ここから病院までかなり近いし俺運んでくから、お前は学校に行け」
マ「分かった…」
風磨くんは聡ちゃんを抱き上げ、病院へ走って行った。
128
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/28(木) 20:43:05 ID:EYd3.WX.
……ごめんね、風磨くん。
僕はまだ学校に行けない。
僕は今、怒っているんだ。
あの人に。
腕時計を見ると、7:30。
あとから学校に行っても、充分間に合う。
だから……
勝利くんに…………。
僕は勝利くん家のドアが閉まっていないことを確認し、ドアを開けた。
そして、階段をかけ上がる。
ガラスが落ちていたのは玄関側だから……多分こっちの部屋だ。
その部屋のプレートを見ると勝利くんの部屋ではなく、『寝室』と書いてあった。
決心も何も無しにドアノブを握りしめる。
今はただ怒りしか、
頭に無いんだ。
129
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 20:42:22 ID:EYd3.WX.
ギィイイイ………
ドアが怪しい音をたてて開く。
シーンと静まりかえる中、時計の動くカチカチといった音だけが響いた。
カーテンがふわりと舞い上がり、心地よい風が通る。
大きな部屋の隅に、白いベッドが、1つ。
真っ白だからか、殺風景。
そんな中、小さな背中が見えた。
白いパジャマを身にまとっていて、周りに沢山のガラスの破片が落ちている。
ベッドには、血まで……見えた。
マ「……っ」
思わず唇を噛み締める。
爽やかなのに緊張する空気感が、時間を長くさせる。
そして、その少年が振り向いた。
マ「!!!!!!」
僕は思わず後退りした。
感情という物がひとかけらもなく、顔には切れ後。
服にはガラスが飛び散りキラキラしてる。
額から肩へポタ……と血が落ちた。
パジャマは点々と赤く染まっている。
怖いけど、すごく綺麗。
僕は勝利くんのそんな姿に、ドキドキした。
130
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 22:18:38 ID:EYd3.WX.
って、何で僕ドキドキしてんの!?
この人は聡ちゃんを傷つけたんだよ!
僕から風磨くんを奪ったんだよ!
マ「ねぇ、勝利くん!!」
僕は勝利くんに近づく。
勝利くんはただ真っ直ぐに僕を見る。
でも、その目は何も写っていなかった。
マ「勝利くんは、何がしたいの!?
僕から風磨くんを奪って、聡くんをあんな目に合わせて。
最悪だよ。最低」
そう言いきった途端、勝利くんの目が変わった。
一瞬潤ったかと思うと、ぐるぐる回り始めた。
勝「そ……そんな………」
勝利くんは目を見開いた。
勝「健人くんと同じこと言うなあああああああああああああああああ!!!!!!!」
狂ったように僕を押し倒し、僕のシャツを破り始めた。
131
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 22:43:05 ID:EYd3.WX.
マ「しょ、勝利くん!?」
ビリビリと音が聞こえて目を開くと、勝利くんの涙がぼろぼろ落ちてきた。
勝「……うっ……くっっ……!」
泣きながら無我夢中で服をひっかくように破く。
僕の体にも、ネコに引っ掛かれたような傷がついた。
マ「止めてよ!ね、勝利くん!何してるの!ねぇ、ねぇ、
ねえっ!!!!!!」
僕が大声をあげると、勝利くんは手を止めて僕の胸元にすがりついた。
破られたシャツはほとんど残ってなく、僕は半裸のような状態だった。
勝「マリ………ゥスッ…!」
声を裏返させて泣きつく勝利くん。
マ「どう……したの…!?」
イラつきなんて消えて、子犬のようにすがりつく勝利くんに戸惑いしか出なかった。
132
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 23:24:44 ID:EYd3.WX.
僕が上半身を起こすと、勝利くんは僕にすがりついたまま座り、顔をあげて僕を見つめた。
きゅるるんとした目に心が動く。
勝「…」
ずっと黙って真っ直ぐに僕を見つめる。
そんなしばらくの沈黙のあと、勝利くんは僕の顔に手を伸ばした。
その綺麗な指先が、僕の唇をなぞる
マ「んっ……」
思わず声が漏れる。
くすぐったいような、でも気持ち良いような触れるか触れないかの感覚に心を迷わせていると……
マ「!。ふぁっ……」
僕の目を手で隠して、キスをしてきた。
僕達はまた床に倒れこむ。
マ「っ……!」
ただ唇を押しつけるだけの、深い深いキスだった。
僕はただ、されるがままにしか出来なかった。
ーー僕、やっぱりおかしい。
聡ちゃんの言うとおりに出来ないのかもしれない。
勝利くんを、傷つけたくない…
誰も、傷つけたくない…
でも………
聡ちゃんや風磨くんに、嫌われたくないよぉ…
僕は何故か、涙を流していた。
133
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 23:40:00 ID:EYd3.WX.
マ「ふっ……ぅんツ、ぁっ……」
角度をかえて、何回も何回もキスをしてくる。
正直、嫌じゃない訳でもない。
風磨くんっていう彼氏もいるし、元々キスはそんなに好きじゃないし。
でも、これで勝利くんの気が少しでも安らぐなら、なんてこともなかった。
舌を入れてこないのも、勝利くんの優しさだろうと思ったから。
だから、今はただ、受け止めようと決心した。
マ「んっ……はぁ、ぅ……」
しばらく耐えていると、勝利くんが唇を離した。
勝「…はっ……」
また僕を真っ直ぐな瞳で見つめる。
そして、唇をひと舐めした。
その妖艶な表情に、またひとつ心が動く。
勝「…………………ごめん」
勝利くんはそれだけ言うと、予備に買ったであろうシャツを僕に投げて、部屋から出ていった。
ガタガタと音がしたかと思えば、家のドアを閉める音が聞こえる。
ガラスの破片が散らかっているベッドに急いで飛び乗り、割れた窓から外を見るも、
勝利くんはいなかった。
134
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/29(金) 23:50:14 ID:EYd3.WX.
ため息ひとつ。
そして、カーテンを閉めようとして、あることに気づいた。
“何で、ここにガラスの破片があるの?”
ここからガラスを割っても、こんなに大量のガラスはベッドに落ちないはず。
なのに、何で、こんなガラスの破片が沢山あるの?
僕が不思議に思っていると、大きめのガラスの破片に文字が見えた。
マ「ん?」
ゆっくり手に取り、書いてある文字を見る。
透明のガラスに彫られた文字は見にくかったけど、よく見るとこう書いてあった。
『マラソン大会 優勝』
………と。
135
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/30(土) 00:07:58 ID:EYd3.WX.
嘘…
たしかに勝利くんはマラソンをしてるけど、タイムはそんなに速くない。
並々といった感じ。
…………って、待って。
勝利くんがこれを割ったとしたら、手にも傷がついているはず。
でも、傷をついているのは顔だけで、他の所にはついていなかった。
じゃあ………。
僕は唾液をごくりと飲む。
これを割ったのが勝利くんじゃないとすれば、ここにまだ誰かがいる…
辺りを見渡しても誰もいない。
でも、僕がキョロキョロしていると、突然ガタッと音がした。
僕は驚いてそこを見る。
そこは…、押し入れだった。
マ「だ、誰がいるの…?」
ガタガタッ
マ「きゃあっ…!」
怖くなって、目をつぶる。
ガタガタした音が消え、押し入れを開ける音と閉める音が聞こえた。
足音が、近づいてくる。
心臓バクバク、不安でいっぱい。
でも、足音は、なんとこの人のものだったんだ。
「…マリウス」
………………健人くん。
136
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/31(日) 22:46:45 ID:EYd3.WX.
マ「けっ健人くん!?」
健「へへっ…バレちゃった。」
健人くんはこちらに歩み寄り、マラソンのことが書いてあるガラスの破片を手に取った。
健「……」
うつむいて悲しそうな表情をしたかと思うと、涙を流し出した。
健「勝利…っ!」
その大きな手で、ガラスの破片をぎゅっと握りしめる。
ベッドに、ポタッと血が落ちた。
健「ごめんな、ごめんな、ごめんなっ……」
顔をぐちゃぐちゃにしてボロボロ涙をこぼす。
そんな姿は、いつも優しくてしっかり者な、健人くんの『弱み』に見えた。
マ「…どうしたんですか?」
僕がそう問うと、健人くんは僕の方を向いて、涙を堪えるように答えた。
健「ははっ、カッコ悪いな俺…。
………この前さ、俺、見ちゃったんだよね。
聡が勝利をイジメてる所。
なのに、まだ勝利がイジメられてるなんて信じられなくて…っ
137
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/31(日) 22:57:58 ID:EYd3.WX.
最初聡に泣きつかれたときはビックリしたよ…。俺の大好きな勝利にイジメられてるなんて言うからさ。
でも、良い都合だと思ったんだよ。
『勝利を見張るために付き合った』って言えば、男同士の恋愛だって大丈夫だと思ったし…。
で、でも、途中から、訳分かんなくなってっ……!
っ聡の話聞いてたら、本当に勝利がイジメてるんじゃないかと思えてきて…!
いざ、勝利にイジメられてる聡を見たとき…
演技をせざるはおえなかった…っ
なんか、それからおかしくなっちゃって…
勝利と会えば無意識に暴言が出た…暴力だって、知らないうちにしてた…っ!
そのたびに勝利の悲しそうな顔が見えて、すごく胸が締め付けられてるのに、もっと冷たい言葉を吐いて…
俺っ、知ってるのに……っ!!
勝利は俺がいないとダメだって、知ってるのに…!!!
138
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/31(日) 23:14:45 ID:EYd3.WX.
あのさっ……、お前知ってる?
…勝利、マラソンが凄く速かったんだよ。」
色々問いたいことはあったが、ぐっとこらえた。
マ「知らないです……」
健「だよな。お前ドイツにいたもんな。
…あいつ、東京の中でも注目されるほどの名選手だったんだよ。ハワイのマラソンにも出て、好成績を出してたんだ。
結構活躍してて、テレビとかにも少し出てたんだけど…
大事件が起きて…」
健人くんの涙は消えたけど、表情は曇っていた。
健「その大事件っていうのが、
勝利の好きな子が死んだことなんだ……
清楚なお嬢様のハーフで、華奢で可憐で、学校でも人気者の女の子だったんだ。
しかもその子は勝利が好きって噂まで出てて…本人同士も恋人のように仲良かったし、告白はしてないけど、付き合ってるとほぼ同じって感じで。
139
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/03/31(日) 23:30:29 ID:EYd3.WX.
なのに、勝利が大きなマラソン大会の日に死んじゃって。
本当は朝速く心臓発作で亡くなったんだけど、そんな大事な日に勝利に教えられないでしょ?
それで………………」
健人くんはぎゅっと目をつぶった後、少し微笑んだ。
健「その時のトロフィーが、このトロフィーなんだ…。
その後、勝利は引きこもりになって。
神経的に、最悪だったんだ。
なのに、またそれに重なるように両親の離婚とか、自殺とかで…
でも、なんとか自力で這い上がってきたんだよね。
だから、このトロフィーは、勝利にとって最後のトロフィーなんだ。
って、長い話ごめんね?」
最後はまた目をうるわせながら笑顔を向ける。
勝利くんに、そんな辛い過去があったなんて。
僕は知りもしなかった。
140
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 00:01:40 ID:EYd3.WX.
健「まぁ色々あって、恋をするのは男だし、マラソンは思いだしちゃうから苦手なんだって。」
男が男を好きになるのは、生まれつきで仕方ないことだと思っていた。
だけど、勝利くんは違った。
仕方ないことなんかじゃなかった。
悪くない。
勝利くんはちっとも悪くない。
大好きな人が死んで、大好きなマラソンができなくなって、大好きな両親が離婚して、大好きなお母さんが死んで………今朝僕がしたことだって、また1つ重なってるはずだ。
今は聡ちゃんが勝利くんをイジメてたとかどうでも良い。
僕だって、同じだから。
健「あと、その死んだ子の写真みせて貰ったんだけど、
マリウスにそっくりなんだ。
勝利、マリウスを見てると安心するんだって。
仕草とか、喋り方とかまで似てるんだって。」
さっきのキスは、その子に向けたものだったんだ。
………僕は、何をしたのだろう。
僕は勝利くんにとって、大切な存在だったのかもしれないのに…。
141
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 00:11:51 ID:EYd3.WX.
僕が泣きそうになっていると、健人くんは優しく微笑んだ。
健「マリウス、学校で勝利に謝ろう。
何を言われてもいいから、謝ろう。」
マ「うん。でも、健人くん暴力とかしちゃうんじゃ…」
健「あ、そっか…。ん〜…じゃあ、そこら辺はマリウスが止めといてくれるか?」
マ「あっはい。」
僕達はぐちゃぐちゃになった制服を着直して、家を出た。
僕は勝利くんのシャツがピッタリだったから良いんだけど、健人くんの制服にはガラスの破片で出来た傷が付いていた。
だけど、全く気にしなかった。
それは、勝利くんの血とげぼでぐちゃぐちゃになったシャツを目にしたから…
洗濯しても落ちないくらいの汚れ。
それだけ勝利くんが傷ついたって、分かったから……。
でも……………
もう少し早く学校に行ってたら
間に合っていたの……?
142
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 23:11:11 ID:EYd3.WX.
〜健人目線〜
健「……」
マ「……」
健「………」
マ「………」
チラッとマリウスを見る。
マリウスは前を向いて普通に歩いている。
だよなぁ…………
今思えば、俺達はそんなに話したことがない。
風磨を中心にちょこちょこ会ってちょこちょこ話してるって感じだし…
仲悪いとは言わないけど、積極的に会う仲でもない。
そいうことで、会話が続かない…!
何を切りだそう…と悩んでいたとき、マリウスがあっさりと喋り出した。
マ「ねぇ、健人くん、もうすぐ着くね」
健「そうだな。」
マ「何も…起きてないと良いね」
マリウスが複雑そうに微笑む。
健「ね。」
143
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 23:27:07 ID:EYd3.WX.
マリ「…………なんか、騒がしくない?」
健「えー?嘘!」
マ「嘘じゃないよ!良く聞いてみて!!」
そう言われ、じっくり耳をすます。
すると、かすかに騒ぐ声が聞こえた。
健「本当だ…。ってこれ、学校の方から聞こえない?」
マ「そうなんだよぉ…」
マリウスが困ったように眉を寄せた。
健「心配か?」
マ「うん…。ねぇねぇ、学校まで走って行こう?」
マリウスが俺の袖をちょんと引っ張る。
健「…分かった。」
そうして軽く走っていると、
だんだん騒ぎ声が学校の方からハッキリ聞こえてきた。
やばい、本当に心配になってきた。
一刻も早く行きたい…!
健「ごめんマリウス、先行くっ!」
マ「えっまっ健人くん!?」
俺はマリウスを置いて全速力で走る。
後ろから、「もー!待ってよ!!」とマリウスの声が聞こえる。
今は申し訳ないけど、立ち止まる訳にはいかない。
少しずつ、学校が見えてきた。
144
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 23:38:52 ID:EYd3.WX.
健「はあはあはあっ…………
何だよコレ…」
校舎のすぐ前で、人が一ヶ所に集まってざわざわしていた。
何かを囲んで、見下ろしている。
俺は息切れしながらもその集まりに近づく。中に入ろうとしたところ、腕を誰かに掴まれた。
聡「けけ健人くん!!!」
振り向くと聡が涙を流し体を震わせ、蒼白な顔をして近づいてきた。
健「聡、どうした!?」
俺がそう聞いて肩を支えると、聡は過呼吸状態になりながら伝えてくる。
聡「あの、ねっ……けっとくん…!あのねっ、あっのね……!!
しょ、りくんがっ……!!」
俺は聡を優しく抱きしめてから離し、人混みの中に入っていった。
145
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/01(月) 23:52:24 ID:EYd3.WX.
健「ちょっ、すみません!どいてくださいっ…」
謝りながら中へ中へと行く。
学校の不良に睨まれたり女子に話しかけられそうになったが、頑張って避けて出来る限り内側に行った。
もっと早く、早く、早く……!
やっと前が見えてきた頃、先生が止めに入ってきた。
先「おいお前ら何してんだ!離れろ!!」
都合よく皆が離れだす。
でも俺は離れる訳もなく、その内側のものへ近づいた。
それはやっぱり……
勝利だった。
健「勝利いいいいっ!!!!」
もっと近づこうとすると、複数の先生にとらえられる。
何でだよ!何でこうなるんだよ!!
健「離せっ離せよ、離せよおお!!」
俺が無我夢中になって暴れるも、先生達の力には叶わなかった。
146
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 00:01:42 ID:EYd3.WX.
健「勝利いぃっ勝利っ勝利!!!何でこうなってるんだよおおっ!嫌だ、嫌だあああああっ」
何もかも分からなかった。
自分が乱れ狂っているということも、今まで何があったかも、
勝利がなぜ血だらけで倒れているかということも……。
頭の中も目の前も真っ白になった。
救急車のサイレンが聞こえる。
マリウスが俺を呼ぶ声が聞こえる。
耳元で怒鳴る先生の声が聞こえる……
最後に聞こえたのは、俺の頭と地面がぶつかる音。
そこから、俺の記憶はとだえてしまった。
147
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 00:17:46 ID:EYd3.WX.
〜風磨目線〜
※かなり前に戻ります※
「少し頭を打って頭を切っただけです。包帯を巻いて学校に行ってください。」
風「そうですか。ありがとうごさいました…」
ウイィィィィン……
自動ドアが開き、病院から外に出た。
聡「風磨先輩、迷惑かけてごめんなさい…」
風「そんな迷惑かかってねぇよ。無事だったし。」
聡「うん……ありがとう。」
あれから俺が病院へ向かう途中、聡は目を覚ました。
そして今は何もなかったかのように学校へ向かって歩いている。
聡「学校、遅刻ですよね…」
風「そうだろ」
聡「……」
あ、やばっ!
聡は完璧主義だからこういうこと言っちゃダメなんだ…
風「あっでも病院から学校近いしっ、大丈夫だって!」
聡「………」
風「………」
聡「……どこが近いんですか」
風「あー…だよな、ごめん。」
148
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 00:29:18 ID:EYd3.WX.
これを拍子に、聡が吹き出した。
聡「ぶはっ!!」
風「えっ何笑ってんの!?」
聡「あははははwwだって、風磨先輩があまりにも心配そうだったからっ…!!くっ……あはははっww」
俺の顔を見て、また笑いだす。
風「お前、年上に失礼だぞー!」
そう言って聡のほっぺをひっぱる。
聡「いたぁっ!ひゃめてくらひゃいっ」
風「へっへー!変な顔!」
そう言って手を離す。
聡はほっぺをおさえて俺を睨んだ。
聡「もう、痛いじゃないですかぁっ!」
風「ふふっ…お前の顔マジでひっでぇ…!くっw……」
聡「もう……本当に…ww」
それから話が弾み、遠いはずの学校が近く感じた。
聡「はぁーっ面白かった。もう着きましたね。」
風「なあ。速く感じたなー」
聡「って、ん?屋上に誰かいません?」
聡はそう言って屋上を指差した。
149
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 00:46:49 ID:EYd3.WX.
風「え?あ、誰かいる。」
聡「何するつもりなんですかねー?」
屋上の人をじっと見つめていると、その人は丁寧に靴を脱いだ。
聡「え、風磨先輩、なんか怖い…」
そう言って聡が俺によりそった。
その人はじっと外を見たかと思うと、屋上の策を越えた。
風「ちょっと危ねぇぞ、あれ…」
聡「あ、あの、風磨先輩…。
間違いかもしれませんが、あれ…
勝利くんじゃないですか?」
風「マジかよ!!!」
嘘だろ、勝利が……?
目を凝らしてじっくり見る。
風「うわ、勝利だ…」
聡「え、ど、どうしよう!!」
聡が目をうるわせて俺の腕にしがみつく。
聡「僕のせいだ…!!!」
二人の関係を知っている俺はなぐさめの言葉が出ず、聡の頭を撫でようと聡の方を向いたとき、
何かが落ちる音がしたのを、俺は聞き逃さなかった。
150
:
ココナッツ
:2013/04/02(火) 20:51:15 ID:XrPl2x7U
Sexy Zoneストーリーの時から見てました!ココナッツです。
赤哀さんの小説大好きです!続きがとっても気になります・・・!続き待ってます!
151
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 23:36:40 ID:EYd3.WX.
ココナッツさん、初めまして!!
SexyZoneストーリーのときから読んでたんですか!?
すっっっっごく嬉しいです♪♪♪
小説大好きとか本当に嬉しいです!
ソファーの上で跳び跳ねてますっw
今から続き書きますよぉー^^
あと、これからコメをくださる場合は、コメスレの方にお願いします。
それから、小説共々よろしくお願いします。
152
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/02(火) 23:55:48 ID:EYd3.WX.
風聡「!!!!!!」
かすかな鈍い音だったが、俺達は過激に反応した。
遠い遠いグラウンドの向こう。
校舎のすぐ前で……
赤色に染まった地面の上で転がっている勝利がいた…
複数の生徒が窓を開け、その光景を見て悲鳴をあげ出した。
沢山の生徒が窓から顔を出したと思うと、我先にとグラウンドへ走り出す。
これの動作を呆然と見ていると、聡が俺の胸板を押した。
聡「っ……!」
風「聡っ!?」
俺の腕の中にいたはずの聡が、勝利に向かっていちもくさんに走り出した。
風「何する気だよっ!おいっ!!」
俺はそう言いながら追いかける。
聡の足が遅いのか、俺の足が速いのか。俺は聡にすぐ追い付いた。
聡の腕を掴み、聡の動きを止める。
聡「離してくださいっ!!」
無我夢中で腕を振り回す聡。
風「危険だから近づくな!」
聡「ダメですっ!ダメですそんなのっっ!
あのままじゃ、勝利くんが死んじゃうっ!!」
そのとたん聡とは思えない力で俺の腕ははがされ、聡とは思えない速さで勝利の元へ駆けていった。
153
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/03(水) 00:13:05 ID:EYd3.WX.
〜聡目線〜
気がつけば、勝利くんの元へ走っていた。
無意識に自分の頭の包帯を取り、無我夢中で勝利くんの元へ駆ける。
何故こんなにも嫌いな人間を助けようとしたのか分からない。
でも確かに分かったのは、
“自分のしたことの、事の重大さ”
勝利くんは屋上から落ちているのに、綺麗な形のままだった。
でも、お腹から、ドクドクと血が流れ出ていた。
このままじゃ、本当に、本当にっ……!!
僕は知っている限りの知識で勝利くんのお腹に包帯を巻く。
巻き終わったところで、沢山の生徒が勝利くんの元に集まってきた。
怖くなって、勝利くんの元から離れる。
ふっと風磨先輩を探すと、僕が拒絶したところで、呆然と立っていた。
前を見れば、もう人が集まっている。
先生が出てきて、救急車を呼ぶ電話をしている。
怖くて怖くて怖くて。
ここまで起こさせた『自分』が怖くて。
もうどうかしそうになるくらいの怖さが込み上げてきたとき、健人くんが見えた。
154
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/03(水) 00:22:03 ID:EYd3.WX.
その人を見た途端、涙が溢れた。
怖くて怖くてはち切れそうだった。
健人くんに教えなきゃ、もっともっと怖くなってしまいそうで。
聡「けけ健人くん!!!」
一生懸命言い寄ると、健人くんは僕の肩を掴んで「聡、大丈夫か!?」と言った。
違う、僕じゃない。
苦しんでるのは、僕じゃないよぉ…っ
苦しくなってきて、呼吸困難になる。
それでも言わないといけないと思い、これは健人くんのためにと告げた。
すると、健人くんは僕を優しく抱き締めた。
『大丈夫だよ』というように。
そのあと、健人くんは僕からゆっくり離れ、人混みの中に紛れていった。
155
:
ココナッツ
:2013/04/03(水) 13:14:43 ID:XrPl2x7U
赤哀さん、すみませんがコメスレって何ですか?
何も知らなくてすみません・・。教えてください。
156
:
あやね
:2013/04/03(水) 18:53:11 ID:ImNVa0Ls
赤哀の代わりにお答えします。
コメスレは、コメント専用の掲示板のコトです。
『掲示板に戻る』のところから、「ジャニーズbl掲示板」のトップに来てもらうと、コメスレがあります。
そこに来てください。
赤哀本人じゃなくてすみません。
長々と失礼しましたm(_ _ )m
157
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/03(水) 23:09:23 ID:EYd3.WX.
ココナッツさん、分かりにくくてすみません!!!
やっぱり、約すと良くないですよね(´n`)
あやねのレスを見てください(oω<)
あやね、変わりに答えてくれてありがとう!!
とっても助かったよ♪
本当にありがとうねo(〃^∀^〃)o
158
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/04(木) 16:14:09 ID:EYd3.WX.
〜風磨目線〜
起こったことの意味が、いまだに分からなかった。
聡も、マリウスも、中島も、
勝利を嫌ってたはずなのに。
校門に姿を現し、ハッとした表情になるマリウス。
顔を真っ青にし、自分の包帯で勝利を助けようとした聡。
あんなに大人しかったのに、今じゃ乱れ狂って泣き叫んでいる中島……
勝利を見た女子生徒が泣き崩れている。
勝利を見た男子生徒まで泣いている。
なぁ、お前はこんなに愛されてるんだよ。
なのに、何で、飛び降りるんだよ…?
救急車の音でハッとする。
気がつけば、中島は倒れていた。
勝利が救急車に運ばれたかと思うと、中島も運ばれた。
その光景を唖然と見ていると、聡がくるっと振り返って俺らの方を見た。
聡「風磨先輩、来てください!」
風「え?お、おう!」
聡は俺を呼んだ後、マリウスの手をひいて救急車に乗り込んだ。
俺は何が何だか分からないまま、取り合えず救急車に乗った。
159
:
ココナッツ
:2013/04/04(木) 16:39:24 ID:qs8XdmwA
あやねさんへ
教えてくださってありがとうございました!コメスレを探してみます。
赤哀さんへ
私の知識が足りなかっただけですから!ていねいに挨拶までして頂いて・・・!
お2人とも、ありがとうございました!
160
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/04(木) 21:43:56 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
風磨くんが乗り込んだ後、ドアが閉まった。
外のざわめきが消えて、静かな部屋の中にいるみたいになる。
あのときの勝利くんの部屋みたいに……。
そしていよいよ動き出した時、聡ちゃんが頭を抱えた。
聡「っ!はあ……っ」
マ「ど、どうしたの!?」
聡「ちょっと頭痛くて…!…くっ……ぅ…!…ぁっはあ………え?」
縮んで苦しむ聡ちゃんを、風磨くんが優しく抱きしめた。
風「包帯とったんだから痛いに決まってんだろ。ばぁーか!」
背中をポンポンと叩き、どこか優しく暴言を吐く風磨くん。
聡「だ、大っ丈夫……!」
だけど、聡ちゃんは風磨くんから体を離した。
聡「こん、な……僕まで迷惑かけらんなぃっ…」
一生懸命、笑顔を作る聡ちゃん。
改めて強い人だと感じられる。
風磨くんは一瞬悲しそうな目をしたが、すぐに「そうか」と微笑んだ。
振り返れば、眠る健人くんと勝利くん。
健人くんは大丈夫だと思うけど、
勝利くんはどうなるか分からない……
何も言われてないのに、なぜかハッキリとそう分かった。
161
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/04(木) 21:54:20 ID:EYd3.WX.
車から外を見てみれば、病院が見えた。
だから僕は、とっさに勝利くんの手を握った。
でも、心の中は勝利くんだけじゃない。
健人くんも無事ですように。
聡ちゃんの頭痛も治りますように。
心から、心へ。
出せる限りの気持ちを込めて、目をつぶり十字を切った。
神様、神様、神様……!!!
風が吹いた。
幸せが通った気がした。
目を開けると、看護婦さん達が顔を合わせてはてな顔になっていた。
ねぇ、神様。
力をくれて、ありがとう…。
162
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/05(金) 09:29:52 ID:EYd3.WX.
〜風磨目線〜
風「聡、頭痛はもう大丈夫か?」
聡「うん。」
風「マリウスも何もないか?」
マ「うん。」
捨てられた子犬のような聡マリを両脇に抱え、二人の結果を待っている。
あれからどれだけたっただろうか…
こうやって冷静に聡マリを支えているが、本当は心臓が壊れそうなくらい鳴っている。
絶対的に助かる状態ではないことを、皆薄々分かっていた。
でも、『いなくなる』ということが、考えられなくて、全て夢だと思いたかった。
聡「ふぅまくん…」
ぎゅっと力を入れて抱きつく聡。
俺もその中学生ばりに小柄な体を抱きしめる。
マ「僕もっ……」
マリウスも俺に抱きつく。
俺は二人の肩を持つように、ぎゅっと抱きしめた。
俺より何回りも小さな背中で不安を背負っている。
イジメっ子だって、罪悪感を感じないわけじゃないのだろう。
小刻みに震えしがみついてくる聡とマリウス。
俺もこんな風に誰かに抱きつけたら良いのになぁと目を潤す。
昔は、中島にこうして貰ってたっけ…
なぜか儚く、寂しい気がした叶わない望みに感じた…。
163
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/05(金) 21:51:36 ID:EYd3.WX.
こうして俺らが結果を待っていると、綺麗な看護婦が一人歩いてきた。
看「来てください」
ニッコリ手招きをされて、俺達は立ちあがった。
聡「ぃょぃょだ……」
足をガクガクさせて歩けない聡に肩をかし、看護婦で医者の後をついていった。
二人の心臓の音が聴こえる。
俺の音と重なって、3つの鼓動が体に伝わった。
1つ階段を上がり長い廊下の真ん中の部屋。看護婦は313号室の扉を開け、「どうぞ」と俺達を中に入れた。
そこには、勝利と中島が眠っていた。
164
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/05(金) 22:06:26 ID:EYd3.WX.
〜聡目線〜
部屋に入ると、ちゃんと二人が眠っていた。
でも……
健人くんの周りに、数名の看護婦と医者が集まっていた。
どういうこと…!?
驚きに声が出ない。
想像していなかった状況に唖然としていると、医者がくるりとこちらを向いて真剣な表情をした。
風「…………………何があったんですか?」
沈黙に耐えられなくなった風磨くんが問うと、医者は冷静に口を開いた。
医「…簡単に言いますと、
佐藤勝利さんは命に別状はないですが意識不明の重大です。
ですが、中島健人さんは………
…脳震盪です。」
『のうしんとう』
この言葉の意味を深くは分からなかったけど、
この状態から、健人くんが勝利くんを越える重症だということが分かり、
涙が溢れた。
165
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/05(金) 22:26:33 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
『のうしんとう』
そんなはずない。
たかが脳震盪だけで、こんなに、大変なことになるものなの…?
この言葉のじてんで、聡ちゃんはもう泣いていた。
この次に言われる言葉を想像したのだろうか……
医「……脳震盪…ですが、頭を強く打ったことで、脳の細胞が明らかに前の状態より悪化しています。
このまま目を覚まさない状態が一時間続けば、
脳死ということになります。」
ハッキリ告げられたその言葉に、僕まで涙が溢れた。
でも、ボロ泣きする僕達を、風磨くんがぎゅうっと包みこんだ。
風「お前ら泣くなよ。まだ脳死と決まったわけじゃないんだから」
風磨くんが僕達の頭をポンポンする。
見上げて見えた風磨くんの瞳には、涙がうっすらとにじんでいた。
風「今は中島を信じて待とう?な?」
この言葉を信じていた。
それから、一時間がたった。
信じただけじゃ、ダメだった。
166
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/07(日) 19:54:42 ID:EYd3.WX.
〜聡目線〜
それから、5年がたった。
ハッキリしたことは、健人くんが勝利くんに暴力をふるったりしていたのは脳死の前ぶれの頭痛のせいだったということ。健人くん以外にもこういうケースはあるらしい。
そして、あの後この事件が学校で問題になり、僕は停学となった。今でも冷たい目を少し受けるが、仕方ないと思っている。
そして今のことを言うと、
風磨先輩は慶応大学に入学し無事卒業した。今はバンドを組んで、芸能からスカウトが来たところ。
マリウスは、大学に入らず伸びた身長を生かしてドイツのモデルになった。皆を幸せにしたいという一心で、オーディションに受かったとか。
僕はというと、健人くんが入りたいと言っていた明治学院に入った。英語は難しいけど、これを機会に頑張ろうと思う。
勝利くんと健人くんは眠ったままだ。
一刻も早く目を覚ましてほしい。
覚ましたら、謝りたい。
167
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/07(日) 20:10:56 ID:EYd3.WX.
あの時の僕は、壊れていた。
勉強についていけずイライラして、何でも出来る勝利くんに嫉妬した。過去のこともあり皆に守ってもらえる勝利くんが羨ましかった。
そしてこの嫉妬心がイライラに変わり、いつしか健人くんを奪って勝利くんを傷つけようという考えになった。健人くんには勉強も教えてもらえるし、丁度良いと思った。
でも、屋上から落ちた勝利くんを見たとき、間違いだって気付いたんだ…
勝利くんに憧れていた。
その持ち前の優しさが欲しかった。
ちょっと女々しくて、なよなよしい所も、やっぱり少しイラッとくるけど、嫌いではなかった。
今は、ちゃんと反省している。
だから、そろそろ目を覚ましてよ…!
今日、マリウスが日本に帰ってくる。
日本のファッションショーに出るための下見もかねてらしい。
そして、少し期待している。
もしかして勝利くん達や健人くんが目を覚ますかもしれない……と。
168
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/07(日) 22:13:46 ID:EYd3.WX.
×勝利くん達や健人くん
○勝利くんと健人くん
間違いすぎてすよね…
169
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/08(月) 16:40:34 ID:EYd3.WX.
〜マリ目線〜
マ「えっと、あの病院は、学校の近くだから………こっちだ!!」
指の差した方へ全力で走る。
僕は今、3年ぶりに東京に来ている。ファッションショーの下見……というか、お見舞いにきた。手紙によれば、まだ二人は目覚めてないらしい。
でも、僕が来たからには絶対目覚めさせてみせる。
どちらかだけでも、記憶を取り戻してみせる。
病院に入り、『面会』の形でエレベーターに乗る。
扉が閉まり3階のボタンを押すと、急に実感が沸いてきた。
また、会えるんだ……!!!
嬉しさで胸が一気に高まる。ドキドキうるさくて破裂しそう。
勝利くんと健人くんはいない訳じゃない。いるんだ、この世に。ちょっと居眠りさんで、めんどうくさがりなだけ。改めて、ポジティブで良かったって思った。
ピーン……
エレベーターのドアが開く。
いよいよか、と足を踏み出した。一歩一歩、期待をのせて進んでいく。
マ「失礼しまーす…」
僕は、興奮で震える手で313号室のドアを開けた。
170
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/08(月) 21:42:35 ID:EYd3.WX.
聡「あっ!マリ!!!!」
男性が僕にすごい勢いで抱きついてきた。
マ「えっ?なっ……聡ちゃん?」
聡「へっへー♪久しぶりっ」
僕を見上げるように顔を上げて、無邪気に微笑む。
そ、聡ちゃん………?
会えたの?
僕、会えたの…?
感動と嬉しさでどうしようもない気持ちになる。
どうしようっ僕、嬉しすぎるよ…!
マ「聡ちゃん……っ!」
僕より10cmは小さい聡ちゃんをぎゅう〜っと抱きしめる。
身長差も、抱きしめた感じも、何も変わっていなかった。
聡「………じゃあ、二人と面会しようか。」
マ「うん。」
僕達は勝利くんと健人くんのベッドの横にあるイスに座った。
171
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/08(月) 21:52:59 ID:EYd3.WX.
マ「ねぇ、聡ちゃん身長何cmなの?」
聡「う〜ん……167くらい?」
マ「わ!高くなったね!」
聡「上から目線だなwそういうマリは何cmなの?」
マ「181cm!!」
聡「うっわ〜高いな!」
たわいもない話で盛り上がる。
少しシンとしたかと思うと、聡ちゃんはゆっくり勝利くんを見た。
聡「………勝利くんは、伸びてないんだよね…」
寂しそうに、その長く綺麗なまつ毛を下に向ける。
マ「ね。」
聡「健人くんも、マリウスに抜かされちゃったよ?勝利くん、僕こんなに成長したんだよ?マリウス、風磨先輩よりおっきくなったんだよ…?
ねぇっ、目を覚ましてよっ!!!」
透き通った瞳から、ポロポロ涙を流す聡ちゃん。
背中を丸めて、嗚咽する姿。
もう、見てられない。
こんな、辛そうな顔をしている聡ちゃんは嫌だ。
もう、やるしかない。
マ「聡ちゃん、ちょっと向こう行ってて」
聡「なんd…」
マ「いいから!」
ね?と聡ちゃんを廊下におしやる。
もう、引かれたって良い。だから、そんな顔をしないで…?
僕は、十字を切った。
172
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/08(月) 22:08:55 ID:EYd3.WX.
マ「神様、よろしくお願いします…。」
手を握って、精一杯祈る。
二人が目を覚ましますように…!!
どちらかだけでも、目が覚めますように…!!
僕は何のためにここにきたの。
皆を助けるためでしょ?
だったら、力を使わない訳にいかない。
ドイツで生まれて、7歳の時一ヶ月だけ日本に来て。
そこで、一番目に聡ちゃんと仲良くなって。
ドイツに戻ってからも、沢山善をこなした。
好きな子を守るために死ねたことは大切な思い出。
今、こうして天使として人間界にこれて良かったと思う。
風磨くんと恋に落ちて、天使でもキスやいけないことが出来ると知って。
気付けば、ドイツに戻って、モデルにいなっていた。
家族には、ちゃんと言ったよ?
でも、名前を変えて、友達にはバレないようにした。
この力は、正直役に立っている。
あの時、幸せの風を吹かすことが出来なかったら、二人は今ここにいなかった。
でもね、これは恩返しなの。
僕を大切にしてくれた、恩返し。
ちゃんと、受けとってよ…?
また、幸せの風が吹いた。
173
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/09(火) 23:53:53 ID:EYd3.WX.
〜勝利目線〜
勝「ん……」
暖かくどこか強い風に、目を覚ます。
ぼやける視界のピントを合わせるように目をこす……え、何か手が繋がれてる!?
って、誰…?
目の前には、綺麗なモデル体型の男性。
何で何で!?
僕、飛び降りたのに……
見た限り、明らかに天国ではなかった。
病院…とか?
って何なのコレ!!
心の中であたふたしていると、男性は目を開いた。
「……あ!」
頭を撫でられて、ピクッと体が反応する。
誰なの?背中に、羽がはえてるよ…
天使?神様?天国へのお誘い??
『?』マークでいっぱいになっていると、羽はふわぁ〜と消えていった。
「勝利くん、おはよう。」
ふわりと天使みたいに微笑む。
天使、天使、天使…
も、もしかして………
マリウス!?
174
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/10(水) 00:03:29 ID:EYd3.WX.
な、何で……!?
一生懸命首をおこし前を見ると、カレンダーは『2013』ではなく『2018』だった。
嘘ぉ…タイムスリップ?
飛び降りて異世界にとんじゃった?
また悩んでいると、男性は口を動かした。
「ねぇ、僕マリウスだよ。分かる…?」
その言葉を、半信半疑で受け止めた。
でも、安心感があって。
やっぱり、マリウスだったんだ…って。
安心したのか、不安なのか、涙が流れる。
マ「あ〜もう、泣かないの!」
マリウスは僕の頬を手でぬぐった。
それは完全に人肌で、前の体温とさっぱり変わらなかった。
マ「勝利くんね、飛び降りてからずーっと、5年間眠ってたんだよ。」
………は?
いきなり告げられた真実に耳を疑う。
マ「お医者さん呼ぼうね。」
マリウスは病室を出ていって……
聡が入れ違いに入ってきた。
175
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/11(木) 22:07:04 ID:EYd3.WX.
聡「勝っ…利くん」
聡は目を拭いながら、目の周りを真っ赤にさせて僕に近寄ってきた。
勝「!!!」
怖くて、気持ちが後ずさりした。
機械と繋がっている手足に冷や汗が伝る。
何せ、あれから5年もたっているらしい。あのときの小柄さは消え、完璧に『大人』という雰囲気だった。
初めて見たに近いような男性が、僕をイジメていた男性が、今、僕の手を握った。
聡「あの、ね……ごめんね……っ」
勝「…」
ふわっと握られた力がぎゅっと強くなる。冷や汗の上に、聡の涙が落ちてきた。肩を震わせ泣く姿を、首を精一杯動かし目にした。
勝「聡…?」
聡「ぼっぼく、勝利くんの事っ嫌いじゃないから…。あのあと、ちゃんと…っ僕、反省したから…!ごめんなさい…本当にごめんなさっ……」
僕の手を強く繋いだまま、毛布のようにおおいかぶさってきた。
聡「……っ…!」
あの聡が優しいなんて、どうすれば良いか分からなくて、もっと現実だとは信じられなくなった。
176
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/11(木) 22:24:36 ID:EYd3.WX.
でも、本当だと信じたかった。ずっと、ずっと待っていたんだ。
人間関係に耐えられなくなって、飛び降りた僕。でも、本当は、飛び降りたら誰かが泣いてくれると思った。誰かが僕を必要にしてくれていると、心の片隅で信じていた。小さい頃兄弟を見て身に付けた技が、こんなことに役立つなんて思わなかった。今では海外に行ってしまって行方も分からない兄弟だけど、そんなところも君らしい。
聡「ねっ、勝利くん…」
僕に被さる布団に顔を埋めたまま、ぐもってるけど芯のある声で聡は言った。
聡「もぅ、無理かもしれないけど…僕のしたことっ悪いことだけど……っ、僕達……っ仲良くなれるかなぁ…?」
勝「…………うん。」
目を閉じて、色んな思い出をかき集めた。
辛くて、酷くて、憎かった毎日が、今日になってやっと晴れる。『自殺して』なんて、こんなやり方、決して正しくはないけど、間違いだらけの僕らにはこの道しか進めなかったんだ。
大切な青春を、僕は眠って過ごしたけど、その期間が、僕達を繋ぎ合わせた。
聡が起き上がって、僕を見下ろす。
僕もゆっくりと聡に微笑んだ。
177
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/11(木) 22:36:15 ID:EYd3.WX.
〜1年後〜
勝「風磨くんっ!」
大急ぎで、楽屋のドアを開ける。バンッ!!という音が響くと同時に、僕は勢いよく風磨くんに抱きついた。でも、勢いをつけすぎたのか…風磨くんはいそのまま尻もちをついた。
風「いった…勝利勢いつけすぎっ!」
勝「へへっ(笑)。ごめんなさぁーい!でも、ライブ最高だった!!」
溢れる嬉しさを出しきって笑い、風磨くんにぎゅーっと抱きつく。すると、足音が聞こえて、また誰かが楽屋に入ってきた。
マ「あっ!勝利くんっずーーるーーいーー!風磨くんは僕の風磨くんなのにっ!」
聡「まあまぁw」
振り向けば、ぷんぷんと怒るマリウスと、それをなだめるように笑う聡。
それと、ここにはいない一人……。
風「じゃあ、行くかっ!」
「「「うんっ!」」」
風磨くんのバンドのメンバーにバイバイして病院へ急ぐ。四人で手を繋いで、東京の町を全力で走った。
178
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/11(木) 22:48:06 ID:EYd3.WX.
ドタドタドタ……
四人の影が、313号室に入る。さっきまでのテンションはどこへやら、真剣な表情で黙り込んだ。
僕達が真っ先に見たのは、窓側のベットで、眠りについている健人くん。廊下側のベッドは、1年前まで僕が貸しきっていた。
誰よりも緊張しているであろうマリウスが健人くんの方へ歩き出すと、皆も後をつくアリのように後ろについた。
風「……準備は出来たか?」
マ「うん。」
面会用のイスに座るマリウス。でも、集中する所か妙にもじもじした。
あ……そうか。
僕が照れ笑いをしてマリウスに背を向けると、皆もハッとしてマリウスに背を向けた。
きっとマリウスは今、幸せそうに微笑んでいるだろう。
マ「じゃあ行くよ…」
病室が、さっき以上にシンと静まり返る。
時計の音も聞こえず、異世界のような空気感。
その平和な静けさに心を委ねていると、猛烈な風がふいた。
勝「!!!!」
聡「!!!!」
風「!!!!」
振り返ると、マリウスがにこやかに笑っていた。
マ「終わったよ…」
健人くんの手が、ピクリと動いた…。
179
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/11(木) 23:16:54 ID:EYd3.WX.
〜3年後〜
僕達は、平和な日々を取り戻した。
風磨くんは国民的バンド、マリウスはドイツでモデルを続けた。聡は大学を卒業した後結婚し、イジメ相談所で働いた。僕は眠っていた分の足りない勉強を、大学に入って学ぶことにした。
そして、あの人はと言うと……
「あっ勝利!おはよー!」
うわっ、良いところできた…。
振り向いたら、やっぱり………
健人くんがいた。
勝「おはよ」
僕が微笑むと、健人くんも微笑む。
僕達は自動的に、手を繋ぎ合った。
健人くんは、僕と一緒に明治学院に通っている。まあ、健人くんからのお誘いだけどね。
そして、僕達5人はちゃんと話合い分かち合った。これは、思春期がうみだした一種の事件だと思っている。
過去を思い出せば、辛いことばかり。
でも、未来を想像したら輝きしか見えない。
ねぇ、今からでも遅くないよね?
恋も、友達も、将来も……
スタートから出遅れて、途中で転んでしまったけど、皆精一杯走り続けている。
だから……
これからも皆が、ずっとずっと、幸せになりますように。
ーーENDーー
180
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 19:59:56 ID:EYd3.WX.
【Realなドリームストーリー】
風「ぅっわー!この中島やべぇ!」
表紙をパラッとめくり、ポスターを開いた。
そこには、胸元を大胆にひろげた青いシャツを身にまとい、まさに『妖艶』という感じの男性。
それが中島、中島健人だ。
中2の頃、たまたま見た学園ドラマ。画面に写った不良役の中島を人目見てファンになったのが、始まりだった。王子様な所も、不器用な所も、変人な所も、全てがいとおしい。
………あ、俺ホモじゃないよ?
BLとか興味ないし、ただの憧れ。こんな風に生まれたかったなぁと、罪のない両親に不満を持つくらいの気持ち。
そして今度、コンサートに行きます!
まぁ、俺の家は幸い金持ちだから、これまでのコンサートはほとんど行ってるんだけどね。
だから、『もしかして覚えてもらってるかな?』って夢を見てしまう。
でも、アイドルって夢を見させるアイドルだから、少しくらい夢を見たって良いよな?
181
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 20:10:03 ID:EYd3.WX.
バシッ!!!
聡「風磨せんぱぁいっ!」
固い本みたいないもので頭を叩かれ振り返る。
俺の後ろで、聡がぷんぷんしていた。
聡「遅刻ですよ、ち・こ・く!!」
そう言われ時計を見ると、09:15。
完っ全に遅刻だ…
聡「先生に言われて、仕方なく呼びに来たんですよ!そしたらまた、健人くんを見てニヤついてるし」
ニヤついてねぇよ!と言い返そうとしたけど、思い直すとニヤついていたかもしれない…
俺、キモッ!
聡「取り合えず、学校行きますよ!」
聡は俺の頭を叩いた雑誌を下に置き、俺の手をつかんで立たせた。
そして俺は、あることに気づいた。
風「あ……な、な、中島ぁ!!」
なんと聡が俺を叩いた雑誌の表紙が、中島率いるSexyZoneだったのだ。
182
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 20:23:25 ID:EYd3.WX.
風「ぅわぁあああぁぁあ!!」
すぐさま雑誌を拾いあげ、傷をついていないことを確かめ抱きしめる。
たかが雑誌、されど雑誌。
大切な中島なことに、変わりはない。
聡は「風磨先輩おおげさすぎー!」とケラケラ笑っていた。
俺は初めて、聡を恨みたくなった。
聡に無理矢理ひきずられ、学校に行く。
俺はもう開き直って、一時間目の授業をしているクラスに堂々と入った。
………怒られたけど。
そして、説教があまりにもウザかったからスマホをいじっていると、スマホを奪われた。
一日一回昼の12時に、ツイッターで『神席願望』を探しRTしまくってる俺にしたら、これは死亡と同じだ。
『これで神席逃したらどうすんだよ、責任とれんのかよ!』
こう言いたかったけど言わなかった。
理由は、めんどくさいのと、鞄につけてる神席お守りまで取られたらどうしようと思ったからである。
183
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 23:06:19 ID:EYd3.WX.
それから、二時間目、三時間目、四時間目……お昼の12時になった。
そして、スマホを見ようとしたが……
ポッケに手を入れて、初めてスマホを取られたことに気がついた。
本当にマヌケだ。
何か情報が入っていたら…と思うとうじうじして堪らない。
こういう日に限って新しい情報が出る。
俺の鉄板なのだ。
しかも、神席の画像のRTも出来ない…。
『チリは一粒でもつもらなければ山にはならない。』
これは俺の好きな言葉。
『永遠とは、いつもの積み重ね。一瞬でも気を抜いたりスタートを出遅れたら、永遠などにはなれない。だから、永遠を手にする者は、人ではない』
これは、中島が好きな言葉。
少し意味が似てるな、なんて思ったよ。
どっちも神席を取るための意気込みみたいだなって。
今回はチリを一粒減らしてしまった。
それは遅れたせいであって…
遅れたのは中島を見てたためであって…
中島のせいで中島を失った…?
ややこしい。
俺も以外とポエマーなのかな。
そんなことを思っていると、聡が話しかけてきた。
184
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 23:18:34 ID:EYd3.WX.
聡「風磨先輩、こんにちはっ!」
風「えっ!?」
座っている状態で聡を見上げると、やけに上機嫌。
風「ちょっお、お前、ここ3年の教室…!」
聡「知ってますよ!!でも、一つ話したいことがありまして。」
コホンと咳払いする聡。
一つ一つの仕草が、女子の反応を誘う。聡って、年上キラー……
聡「あの、『コンサート会場の謎のスタッフ』って知ってますか?」
風「んー…知らない…」
と、興味無さそうに返事をするが、本当は結構気になる。
“謎のコンサートスタッフ”
響きからしてカッコ良い……
聡「えっとですね、ツイッターで騒ぎになってt」
風「ああ゙?お前今ツイッターって言ったぁ?」
聡「ぇ…な、何か地雷ふみましたか…?」
風「踏み踏みだよ!」
説明すると長くなりそうだから……
聡には黙っておこう。
185
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 23:27:59 ID:EYd3.WX.
風「で、謎のコンサートスタッフが何?」
聡「えっ?」
風「は?」
聡「は?」
聡は赤面をして黙りこんだ。
聡「えっと、あの…僕の話聞いてましたか?
『コンサート会場の謎のスタッフ』ですよ…?」
え、俺が名前を勘違いしてたってこと?
うわっ、大したことじゃないけど何か妙に恥ずかしい……
赤くなっていく顔を隠すようにそっぽを向いた。
風「な、名前なんてどうでもいいから」
聡「あっ、そうですよね……すみません。」
聡がひょこひょこ頭を下げる。
そろそろ顔の赤みがとれてきた、というところで前を向いた。
聡「で、本題に移りますね。」
186
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 23:45:07 ID:EYd3.WX.
聡「そのスタッフとは……
まず、中学生らしいです。」
風「中学生?」
聡「はい。そして、ハーフで、天使のように可愛いのだとか……」
風「へーぇ。」
聡「しかも、そのスタッフを見ると、皆一瞬天国に行ける、とか」
風「はあ。」
メルヘンだなぁ……。
そう思ったけど、目を輝かせてうっとりしている聡と、そんな聡を見てきゃあきゃあ騒いでる女子を見ると、
何も言えない……。
こういう雰囲気は、苦手だ。
聡「で、そのスタッフさんは、SexyZoneにも気に入られているらしいですよ!」
風「マジでえええ!?」
さすが、俺。
食らいつきが早い!
マ「勝利くんとは大の仲良しで、健人くんには誕プレに高級な時計を貰ったらしいんです!!」
え、う、うっそおおお!!!!
勝利は良いとして、あの中島に高級な時計を貰ったなんて、ただ者じゃないな……!
それからは、授業も上の空だった。
187
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/12(金) 23:56:27 ID:EYd3.WX.
中島が気に入るコンサートスタッフ。
可愛くて、天使みたいな……。
それに対し、俺は悪魔で可愛くない。
恋に悩む女みたいだけど、ファンたるもの自担には気に入られたい。
俺じゃ、一生無理なんだろうな……。
分かってたのに、目頭が熱くなった。
いくらファンレターの返事を貰っても、昔からのファンでも、貴重な男ファンでも、中島にとってはただのファン。
大切なファンの中の、小さな小さな一人。
中島が守り続ける、永遠の中の一つ。
当たり前すぎることに、唇を噛みしめた。
「そこっ!!!!話聞いてんのかああ!!この問題解いてみろっ!」
鬼瓦が俺を指差す。
やべっ、今は鬼瓦が担当の数学だった…
鬼瓦が黒板をバンと叩く。
チョークの粉がキラキラと舞い降りた。
チョークの粉は、スタッフ。
黒板は、俺。
俺は、その『俺』の前に立って、スタッフの結晶を握りしめた。
チョークで黒板に文字を書くと、中島の俺という存在が、スタッフに変わっていく気がした。
188
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/13(土) 18:36:35 ID:EYd3.WX.
部活が終わり、聡と一緒に帰る。
俺は返してもらったスマホをいじりながら、むしゃくしゃして歩いた。
風「ああーっもう!!!マジで最悪!!!!」
聡「そうですね。最悪ですね。」
風「くっそ!!」
やけに冷静な聡を見下ろす。
もうマッジでイラつく!!
風「このチビ!!」
聡「なっ、」
風「キモいキモいキモい」
聡「風磨先輩、口悪いですよ!」
真剣な顔つきでツッコム聡を冷たい目で見下ろす。そして、前を見て溜め息をついた。
風「なんでお前ばっかり女子に人気あんのー。意味分かんないんすけどー」
聡「それは風磨先輩がヲタクだからでしょ。」
風「それ答えになってないけど。」
聡「でも本当のことじゃないですか」
……返しが上手くなったな。
そう思いながら聡と別れ、秘密ルートを通って帰ることにした。
189
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/14(日) 18:24:05 ID:EYd3.WX.
吹奏楽部の山田先輩の家の塀の上を歩き、そこで寝てる猫とじゃれあう。それから、空き地を全力で走り、神社の中へ入る。神様に神席をあたるようにお祈りし神社を出て、小さな山の上に登る。そこからスーパーマンのようにカッコよく飛び降りて、川沿いの倉庫へ向かう。
その倉庫には……
SexyZoneのポスターがはってあるんだ。
歴代に並べられていて、中島のも勝利のも、二人が揃っているのもある。
この倉庫を一通り見て、満足して家に帰る。
「きっみっへー、テェーレップォーツェーショォンー!」
中島の歌い方を真似しながらテレポーテーションを歌っていると……
「ぅわっ、何あれ!」
「えっ、健人くんのファン?」
「えーイケメンなのにもったいない…」
「キモッ!」
通りすがりの女子四人組に笑われた。
うわっ、恥ずかしすぎる…!!
とっさに口を閉じて全力で家に入る。
風「はあ、はあ、はあ……」
肩で息をしながら恥ずかしくて真っ赤になった顔を押さえる。
あーヤバかった…
190
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/14(日) 23:36:15 ID:EYd3.WX.
風「はあっ…もー何であんな所にいんだよっ!」
またむしゃくしゃして髪を掻き回す。
今日はすごく最悪な日。
こんな日に、チケットが届くなんて……。
テレポーを歌って思い出したんだ。
チケットのこと。
『どうなんだろなぁ。でも今日運悪いからな…』
頭で呟く、自己的ツイッター。
そういえば、最近本物のツイッターに呟くことなかったな…
そんなことを思いだしつつ、おそるおそる玄関から出てポストの前に立った。
開けるのをためらったが、ポストの前でうじうじしてて、また『キモイ』って思われたら…と思ったら寒気がする。
もう、それだけは避けたいから、どうにでもなれ!とすぐ取り出した。
部屋に入って青い封筒を机に置く。
ヤバい、心臓がバクバク言い過ぎて苦しい…!
本当は明日にでも見たかったけど、このままでは中島と会える前に他界してしまいそうなので、震える手でカッターを持ち、封筒を開封することにした。
191
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/16(火) 00:13:46 ID:EYd3.WX.
チケットを切らないように、ゆっくり、ゆっくり…と。
気が狂いそうなほどドキドキして、鼓膜が狂いそうなほど静かだった。
風「ふう。」
深呼吸をして、チケットを出す。
俺がいつもコンサートに行くのは一回。これは、サマリー、東京シティホールだ一回分。この一回分が、どうなのか。
…あーどうしよう、見たくねぇな。
でも…………
あーもう、いじったしいっ!見ちゃえ!!
バッと取りだし見ると、
アリーナSブロック、1番で7列目だった。
微妙っ!
心の底からそう思った。
一度行ったことあるから分かるけど、アリーナなものの端の一番後ろ。
しかも、端なわりに誰も通らない。
中島との握手は捨てた、と思った。
どれもこれも、
今日神席画像をRTできなかったせいだ!!
192
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/16(火) 00:24:57 ID:EYd3.WX.
捨てゼリフを心の中でキッパリと吐いて、ベッドに飛び込んだ。
行けるだけ幸せだと思う。
会えるだけ幸せだと思う。
でも、その幸せが普通になってしまっている。俺は、何て寂しい人間なんだろう。
たまに、思うんだ。
俺もアイドルになりたいって。
絶対に笑顔でいれる。何だって頑張れる。声援に答えて、ポーズ決めちゃったりして…。
でも、きっと無理でしょう?
俺には気質がない。中島ほどイケメンでもない。
踊るより、ダラダラ派。
会わせるより、会いたい。
伝えるより、伝えてほしい。
ただの欲張りだ。
ねぇ、中島。こんな俺をファンとして認めてくれる?
中島の幸せより、自分の幸せを考えるような俺を……
人間らしいといえば人間らしい。
でも、自己的という言葉が出てきたら、それに勝る言葉はない。
改めて、身勝手さに身を震わす。
本当は、キツい言葉なんて言いたくない。
だけど、悔しいんだ。
誰も幸せにできない、俺が。
193
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/18(木) 18:42:23 ID:EYd3.WX.
ねぇ、中島、中島……
ファンなんて悲しすぎるよ……
ねぇ、中島ぁ………
パァァアア!
窓から覗く目映い光に目を擦った。
風「ん……」
起き上がり時計を見ると、長針が0、短針が6を指していた。つまり、6時ジャスト。
夜だ!とも自分に言い聞かせたが…この明るさは間違いなく朝だ。
…。
もう現実逃避は止めようと、今まで寝過ぎたせいかいつもになく重い足で無理矢理立つ。
枕は、俺の涙でビシャビシャに濡れていた。
もう、何も考えたくない。
頭をからっぽにして、宿題のことか全部忘れよう。
明らかに現実逃避な行動だが、自分的には必死に現実と向き合っていた。
そして、ダラダラ準備をして、学校へ向かう。
194
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/19(金) 00:26:31 ID:EYd3.WX.
ー学校ー
教室に入りダラダラと椅子に座ると、先生が怒った顔つきで迫ってきて、机の上にボンと原稿用紙を置いた。
風「…何すか、コレ。」
先「見て分からない?反省文よ、反省文!」
机の上に置いた原稿用紙を指でつまんで持ち上げ、ヒラヒラと俺に見せつけるようになびかせる。
それが凄い形相でするものだから、せっかくの美人が台無しだぜ?
先「先生恥ずかしかったのよ!櫻井先生にスマホのことを聞かされて!」
ああ、櫻井先生か。
櫻井先生とは、鬼瓦のこと。鬼瓦はイケメンで優しいのに、授業になると豹変したかのようにスパルタになる。
うちの先生はそんな鬼瓦を狙っていて、生徒に恥をかかされたことが気に入らないって訳か……
こっちもこっちで、都合があるってのによ。
気付けば目の前に先生はいず、教室にもいなかった。
ただ残ったのは原稿用紙だけ。俺は、仕方なくシャーペンを握った。
今日も、最悪な日だ。
195
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 01:50:33 ID:EYd3.WX.
それから、しばらくして。
気づけば、明日はサマリーという所まできた。
風「ヤバいヤバいヤバイ……」
机につっぷしてぶつぶつ呪文のように言葉を発する俺に、聡が面倒くさそうに答える。
聡「あのー…俺、自分の教室に戻っても良いですか?」
風「ダメ!!!」
顔をあげて、聡をギンと睨む。
風「分かってんの!?明日サマリーなんだよ!健人とまた会えると思ったら心臓がバクバクして止まらねーなんたよ!!分かる!?」
聡「はいはい。」
溜め息まじりに俺の手を握る聡。なんか、生意気。
風「もーマジでヤっバい。このまま死ねる…」
聡の手をぎゅっと握った。
本当は、死にたいくらい、健人と会いたい、しゃべりたい…
チャイムがなって、聡は俺の手を振り払い、あわてて教室に戻っていった。
起立の声がかかって立とうとしたけど、緊張から重い腰がそれをさまたげるように俺の心をつきさした。
196
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 01:53:13 ID:EYd3.WX.
間違えたああああ!!!
風磨に、健人って呼ばせてしもたあああ!!!
そこは、中島に変換して読んでくださいorz
まじでまじですみません!!!
197
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 15:17:13 ID:EYd3.WX.
その日、部活が終わってすぐ、会場近くを見て回ることにした。
まずは、ジャニショに行く。
女ばっかりの環境って、いつもコンに行くから慣れてるっちゃ慣れてるけど、やっぱり恥ずい。ジロジロ見られるこの感じに、目のやり場を失う。
そういう時は、目線を落として、スマホをじーっと見るんだ。シャイだよな、これって。
そう言えば、中島って卒業する時、学校の校門前に集まったファンに手を振りながら堂々と歩ききった、というエピがある。中島らしくて、さすがラブホリック!なんて思った。
憧れるよ、そういうの。
しばらくして俺はやっとジャニショの中に入った。ツイで見たとおり、新しい写真が入っていた。
風「ぅおっ!これも可愛い…ぅゎ〜、やっべ。」
こそこそ一人言を言いながら紙に印をつけていく。さすがに全部は買えないから、すごく気に入った写真だけを買うことにした。
写真を買って、ルンルン気分で歩いていると………
え、中島!?
198
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 15:28:43 ID:EYd3.WX.
ドキドキをこえて過呼吸状態になりながら、アメコミ店の前に立っているその人を見つめる。
大きめの黒ぶちメガネをかけて、小さい頭には大きすぎるキャップをすっぽりとかぶっている。青いTシャツにはダッサいプリントがあり、長い足には不釣り合いの短いジーパンをはいて無駄に派手な靴をはいている。
中島は、財布を開いて……慌ててる?あ、何かガックリしてる!
絶対中島だ!!!
いつものキラキラが消えているせいか、皆して素通りしていくけど、俺にはハッキリと分かった。
どうしよう、話しかけようか、素通りするか……。
少し悩んだけど、ここで話さなかったら一生話せないかもしれない。
もし人違いだったとしても、ここでお金を貸してあげれば善をこなすことになる。
俺は決断し、拳に力をこめた。
199
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 15:37:41 ID:EYd3.WX.
近づくと、中島は鞄をあさって大慌てしていた。小声で何かぼそぼそ言いながら、オーバーリアクションを繰り広げている。
「なんでだよー、これレアなのにー!絶対買うって決めてたのにー!金足りないしっ!もーショック…」
しょぼーんと肩を落とすなんとも愛らしい姿。それを中島だと確信した俺は、何のためらいもなく話しかけた。
風「あのー…」
声をかけてその華奢な肩を叩く。
健「ん?」
振り替えってはてな顔をする中島は雑誌とかテレビでいつも見ている顔なのに、それ以上にドキドキして、ワクワクして。
話しているということに喜びを抱く。
健「あ、ごめんなさい邪魔でしたか?」
風「ぃやっあの、違くて……」
おどおどする俺を、中島は真剣な瞳で見つめてきた。
ずっと、俺が見てきたその瞳に。
200
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 15:46:55 ID:EYd3.WX.
ちょっと前まで、遭遇したとき『生声だああああ!』とか『触ったああああうわああああ』とか思うんだろうと思ってたけど、そんなこと考える余裕なんてなかった。
このまま中島が離れていったら元もこもないと、必死に財布を探す。焦りすぎて訳が分からなくなって、鞄の中を整理しとけば良かったと後悔した。
……あっ、あった。俺は中島を見ると同時に震える手で財布を出した。
風「お金、足りないんですよね…」
そう言って小銭を出そうとすると、中島が優しく、ふわっと俺の腕をつかんだ。
健「良いよ、そんなの。お金なかったのは俺のせいだし。ファンの子はただでさえ金欠なのに、これ以上お金をかけられないよ」
………………え?
201
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 15:59:25 ID:EYd3.WX.
ま、待って。
ファン、ファン、ファン………
風「は、はあああああああ!?」
何それ、ファンって、ファンって、ファンって!
わたわたしまくる俺に、中島は余裕な笑みでぼんぼん爆発発言をした。
健「菊池くん、でしょ?」
風「なっ何で名前までっ」
健「だって、いつもコンサートに来るとき学ランに名札ついてるじゃん。菊池って。」
ハッとして、学ランを見る。
確かに、『菊池』と名前プレートをはってあった。
でも、何で……
健「俺、ラブホリックだから。ファンの子の名前は覚えてるんだ。」
衝撃すぎて話についていけない俺に、中島はこれでもかと言わんばかりに話を重ねていく。
健「ここで会えたのも運命だよね。レアなアメコミより何より、昔からコンサートに来てくれた貴重な男ファンの菊池くんと出会えたことが凄く幸せだよ。ありがとう。」
俺が求めてもいなかった握手を率先してやる中島。
触れあう手と手が、俺の独占感と優越感と戸惑いをヒートアップさせた。
202
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 16:08:57 ID:EYd3.WX.
健「あっ、もしかして明日のコンサート来てくれるの?」
風「あっ、はい……」
健「やったー!絶対見つけてファンサするからね!」
ぎゅっと力一杯、健気な笑顔を見せる中島。
健「俺、ずっと菊池くんと会ってみたかったんだ」
風「俺と、ですか…?」
健「うん。いつもファンレターをくれるし、礼儀正しいし、コンサートで君を見つけると、テンションが上がってすっげぇ興奮したんだ。握手会のときのじゃんけん大会も、菊池くんギリギリまで残ってたのに、負けちゃってすごく残念だったんだよ、俺。」
風「は、はあ……」
何か、話しかける所か話されてる…?
少し置いていかれながらもペースに流されている自分に驚く。
健「じゃあ、コンサート終わったら、一緒にアメコミ買いにいこう!」
風「えっ!?」
話がぶっとんでさらについていけない。
203
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/20(土) 16:18:58 ID:EYd3.WX.
健「20時にコンサートが終わるから、21時くらいにここ集合ね!あ、かたずけは大丈夫!マリウスがしてくれるから!って、リハ始まってるじゃん!ヤバい、遅れたっ!ごめん、また明日っバイバイ!!!!」
手を離して、その自慢の脚で走りさる中島。
俺は財布を手にもったまま、呆然として動けなかった。
覚えてくれてる?
菊池くん?
買い物?
頭を整理して、やっと事の凄さに気付いた。
あの国民的なアイドルと、プライベートで会えるなんて……。
ファンになった当時、俺は自分が男なことがねたましかった。
女の中に一人男がいるという環境も、皆の冷たい目も、幼い頃の俺には恐ろしかった。
だけど、それが役に立った。
きっと、男ファンというだけで中島を元気つけていた。買い物っていうのも、男は恋愛として見られないから誘ってくれたんだ。
ありがとう、中島。
こんな俺を、覚えてくれていて。
涙が、止まらなかった。
204
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/22(月) 23:19:07 ID:EYd3.WX.
〜健人目線〜
レィディー、レィディーダイヤモーンド♪
健「はあ、はあ、はあっ……」
スタジオから音が漏れ、廊下にまで微かに聞こえる。
広い廊下にむらかる衣装の山をかきわけ、全力で走る。
しかし、俺は急ぎつつもついさっきのことでニヤけていた。
たしかに、会った瞬間は分からなかったけど、名札を見たとたん、急に心臓の鼓動が高まった。
あの菊池くんなんだって。
ずっと、ずっと探していたファンの一人。何より、ジャニショの袋を持ってくれていたことが嬉しかった。
って、こんなこと考える場合じゃない。スタジオへ向かって走り、やっと見えてきた扉。
少しためらいを持ちながら、『少しでも早く』と扉を凄い勢いであけた。
健「迷惑をかけてすみませんっ遅れました!!」
申し訳ない気持ちでいっぱいになり、頭を深く下げた。ざわめきの中音楽が消え、皆の荒々しい息だけが音をたてた。
勝「健人くんっ!」
声が聞こえて頭をあげると、不安そうな顔をした勝利が駆け足で近づいてきた。
205
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/22(月) 23:32:43 ID:EYd3.WX.
勝「何かあったんですか?」
健「うん…まぁ。ちょっと」
苦笑いをして、首を少しかく。
周りのジュニアからは、あの健人が遅れるなんて…と、俺の行動を不思議がる声がちらほら聞こえた。
止めてよ、罪悪感が大きくなるじゃんか…
こぼれそうな涙をこらえ、頭をもう一度深く下げた。
健「とりあえず、本っ当にごめんなさい!俺が遅れたことで、大変迷惑をかけたと思います!」
大声をあげると、周りの声もなくなり、嫌な沈黙が続いた。
時計の音も聞こえず、妙な息づかいとカタカタという風で動いた窓の音だけが鳴る。俺はただ頭をさげ、この沈黙が消えるときをただひたすら待った。
シーンとして、頭に血が登り始めたとき、勝利が一言でその沈黙を晴らした。
勝「……健人くんも来たことだし、レッスン続けよう。こうするだけ時間の無駄だよ。」
勝利がポンポンと手を叩いて立ち位置につくと、ジュニアも「はい!」とカツをいれた返事をした。
206
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/22(月) 23:49:16 ID:EYd3.WX.
勝利の指示に、勝利より幾つも歳をとっている大きいジュニアが後をつくように自分の居場所へ足を運んだ。
その圧倒的な景色を呆然と見ていると、勝利が俺を鋭く睨んだ。
勝「健人くん、はやくして。健人くんが時間ロスしたんだから責任とって」
威嚇したネコのように責任を背負った顔。初めて見たその表情に、抱いたことのない勝利への『怖い』という感情がこみあげた。
そんな勝利はかなり頭にきているようで、俺が立ち位置につくと無表情のままラジカセのボタンを押した。
ぽちっと押すと、ラジカセから流れ出すレディダイの軽やかなメロディー。その音がなるかならないかの間に、いつの間にかアイドルスマイルになる勝利。
ゾクッとするほど、完璧だった。
勝利が、遠く、高く見える。
横にいるのに、すぐ近くにいるのに。
きっと、僕がいないレッスンは、泣きそうなくらい辛かっただろう。さっき近寄ってきた勝利の目は、あきらかに潤っていた。
でも、勝利は強かった。
皆のために、と頑張った。
右も左も分からなかった勝利はもうどこにもいないのだと、ちょっとした寂しさに身を沈めた。
207
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/25(木) 16:07:17 ID:EYd3.WX.
〜コン当日〜
健「ひぁ〜!あーもう、ヤッバい。緊張する!冷や汗かいてきた!っつーか寒ぃっ!」
手を不安気に擦り合わせて、背中を丸くする。夏だというのに…。
この寒さは、がんがんかけてるクーラーが原因なのだ。寒さゆえに、汗じゃなく緊張からの冷や汗が出てくる。クーラーの温度を上げようと思ったが、どうやらリモコンをマリウスが持ってったぽくて……
勝利と二人で凍えてる。
勝「それにしても寒いですよね…」
健「だよな!マジで寒い。マリウスのこんちきしょー!!」
寒気のせいで鳥肌が立った腕を、机にバンバン叩きつける。
マリウスとは、コンサートスタッフ。歴代最年少で、年のわりには大人顔負けのプロ。コンサートのタレント目当てで見に来たファンも、人目みたとたん見ぼれる可愛さを持っている。
しかし、サマリーには出ないらしい。
『何で?』って聞いたら、『水が冷たい』だって。
そこらへんは、やっぱりまだ子供。
208
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/25(木) 23:50:46 ID:EYd3.WX.
俺が色々回想していると、勝利がガタッとわざとらしい音をたてて立ち上がった。
勝「じゃあさっ、こっそり会場のぞこうよ!!」
健「ええ!!!!!?????」
勝「まぁまあ。」
あっと言う間に…というか、『え』は言ってるけど。
ってそうじゃなくて、俺が否定するかしないかの間に、勝利から楽屋をひつぱり出された。
健「ちょっ、勝利痛い痛い!!!」
腕をかなりの力でひっぱられ、肩がはずれそうになる。だが、勝利は聞こえないかのようにずんずん前に進み、百人マンションに待機しているジュニアに挨拶をする。そして、ほんの小さな隙間を開けて、観客をのぞいた。
勝「わ、いっぱいいるなー」
健「おい、大丈夫かよ。」
小声でぼそぼそと話す勝利の肩を叩くと、『健人くんも見てよ!』と無理矢理のぞかされた。
それで、仕方なく観客を覗くと、アリーナの端っこに、菊池くんがいた。
うああああ!!
嬉しくなって、その場で跳び跳ねた。
本当に来てくれてる。本当に、ありがとう。
209
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/04/29(月) 22:08:45 ID:EYd3.WX.
〜赤哀から大切なお知らせ〜
こっちのスレの進みが遅いというのに、もう一つスレをたててしまいました!
なので、このスレの更新が遅れる場合があると思いますが、できる限り書き込みます。
ちなみにもう一つのスレは、
『禁断の果実を、かじりながら。』
というスレです。
もしよろしければ、リク等よろしくお願いします。
以上、赤哀から大切なお知らせ。
210
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/07(火) 18:11:36 ID:EYd3.WX.
勝「ちょ、揺れる揺れる!」
ジュニアマンションの二階で跳び跳ねる、俺の腕を叩いてツッコむ勝利。
勝「落ち着いて。ここにいることがバレたら大変なんだから!」
お前が連れてきたんだろうが…と思いながら、跳び跳ねた自分も自分だと、口を尖らせて返事をした。
健「はぁ〜いっ」
勝「もぉ……じゃあ、そろそろ戻りますよ」
また俺の手をひっぱりながら、階段を降り、廊下を歩き、と勝利はぐんぐん進む。
そんな勝利が、本当に愛しくて。
年下なのに、意地を張ってるところとか。
少し筋が通ってないところとか。
色々色々、可愛すぎて。
俺は、その細すぎる腕をひっぱり、勝利を抱きしめた。
勝「おぅえっ!!??」
最初は変な声を出したものの、その後は「健人くん…?」と甘えた声を漏らした。
211
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/07(火) 18:23:00 ID:EYd3.WX.
健「んん〜〜〜〜」
勝利の、異常なくらい華奢な肩に顔を埋めた。力の限り、抱きしめる。
これはBLでも、何でもない。
『メンバー愛』っていうと思うんだ…。
健「はぁっ!!」
大きく声をあげて、勝利をパッと離す。勝利は、耳まで真っ赤になっていた。
健「ははっ充電終了!今回もコンサート頑張るぞー」
背伸びしながら、勝利に背をむける。勝利が向いている方の、反対側にある楽屋へ足を進めた。
勝「ちょっ、どういうことですか!?健人くん、健人くん、答えてくださいっ。ねぇ、ねへぇえ〜、ねえってばぁ!」
後ろからトコトコとついてきて、俺の腕を揺さぶる勝利。
やっぱりこの形がしっくりくるなと、俺しか味わえない優越に浸った。
212
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/14(火) 18:04:28 ID:EYd3.WX.
〜勝利目線〜
だんっ!
「キャアアアア!!!!!」
始まった!!!
照明が暗くなると同時に、ファンの子の叫びが聞こえる。そして、それと同時にワクワクとドキドキがヒートアップした。
ファンの子に、感謝を伝えるため…。
とっさに健人くんの左手と俺の左手を合わせた。
健「どーも!中島健人です!!」
健人くんが言葉を発するだけで、さっきのような叫びが聞こえる。俺が聞き取れたのはそれだけで、その後は何を言おうか、失敗しないだろうかとドキドキしていた。
何回目のコンサートだろうと、何回目のサマリーだろうと、決して慣れはしない。
健人くんが、合わせてあっただけの僕の手を握った。『勝利の番だよ』と囁きが聞こえて、僕はとっさにマイクを口に当てる。
勝「佐藤勝利でーす!!」
また、叫びが心の中を突き刺した。
やっぱり、好き。
この空間が、好き……!!
213
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/14(火) 18:26:43 ID:EYd3.WX.
※最初は俺なのに途中から僕になってる!すみません!!正しくは、俺です!!
ーーーーーーーーーーーーーー
そう思った瞬間、スラスラと言葉がでてきた。不思議なくらい、スラスラと。
ファンの皆の顔が見えてきた。回りながら上がるステージは、まるで僕の心を形にしたみたい。
感動と興奮で胸がいっぱいになりながらも、俺は気持ちを精一杯言葉にした。
勝「今日1日、盛り上がっていくぞーー!!」
泣いてる子、盛り上がってる子、落ち着いている子……
赤と白のペンラが、俺達を輝きの場へと導きだす。
迷う、暇はない。
飛び出せ……
皆の元へ!!
214
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/22(水) 23:16:28 ID:EYd3.WX.
健「さぁさぁ、ちょっとお姫様には座っていただいて、俺たち執事のトークを聞いてもらいましょうか」
勝「何それ」
健人くんのボケ(?)と俺のツッコミで始まる、セクゾン恒例のMC前振り。今日も、いつものように笑いがおこる。
俺はファンの方々が皆座ったのを確認して、この前でたテレビの裏話でも話そうとした。
勝「えっと、じゃあ、このm」
健「あ、勝利ちょっと待って。」
いきなり健人くんが俺の口を塞ぐ。キャーという歓声を耳に、健人くんのドアップが目に入った。
健「僕ですね、どうしても皆に聞いてほしい話があるんです。いいですか?」
リスのような可愛い顔で客席に問いかける健人くんに、ファンは力一杯うなずいた。
健「俺、色々用があって、昨日のリハかなり遅れちゃったの。しかも、夜遅いリハだから、岸とかはいないわけ。で、まぁとりあえず、急いでスタジオに入ったの。そしたら、勝利が俺より少し年上くらいの、たっっっくさんのjrを一人でまとめてて。一人でだよ?一人で。さらに、遅れてきた俺をちゃんと叱ってくれたの。すごく成長したと思って、俺感動しちゃったんだよね。」
215
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/22(水) 23:28:46 ID:EYd3.WX.
健人くんがくるっと振り返って俺の頭を撫でる。キャーという声なんて耳に入らず、昨日のことだけが頭の中を駆け巡った。
いつになっても来ない健人くん。
喋ったこともない大きなjr。
不安より、恐怖の方が大きかった。
踊っている間も、指導している間も。顔は笑ってても、心の中では怯えていた。
健人くん、早く来て。早く来て。早く来て。
来て、来て、来て、来て、来て!
リハの内容が頭に入らなかった。
いつもとは違う冷や汗が大量に出る。
初めての環境がこんなに怖いなんて、思ってもいなかった。
健「あのときはごめんな?勝利、辛かったよな…」
健人くんが微笑むと同時に、鼻がツーンとして目頭が熱くなった。だけど、絶対泣かないように唇を噛む。
なのに、健人くんはまだ優しい言葉を俺にかけた。
健「勝利、我慢しなくていいんだよ?辛いときは、泣いていいんだよ?」
もう、無理だ。
俺のプライドはぷつんと弾かれ、その言葉によっていとも簡単に涙が溢れた。健人くんは、その涙を隠すように俺を抱きしめてくれた。
216
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/22(水) 23:43:22 ID:EYd3.WX.
耳をつんざくような悲鳴が耳を通る。
勝「け……とく…!うっ…ああ…!ひっく、うっ……あああ…!」
俺の泣き声が、地声という形で微かに響きわたる。
俺の頭を撫でる大きな手も、俺にすぽっとかぶさる大きな体も、怖いくらい綺麗なその笑顔も、今は全てが全て癒しになった。
時たまはそれが羨ましかった。背が高くて大きな体に、嫉妬なんて何百回もした。でも、羨ましがられるのは俺の方かもしれない。こんなに完璧な人が近くにいて、その人に守られてるんだから…
ここがステージの上だとか、この時DVDが入っていたとか全部忘れて、俺は本気で泣いた。
それからは普通にコンサートを行い、DVDの後半は俺の目が少し腫れたまま映像化されることになった。
でも、それで良い。
0にして、また責任を背負える。
俺はSexyZone。
ジャニーズの新星。
この世界が軽い物なんて思ってない。
どんとこい、何でも。
俺には、皆がついているから。
217
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/05/29(水) 23:34:20 ID:EYd3.WX.
〜赤哀より大切なお知らせ〜
すみません!
これから、更新が遅れることが多々あると思います…!
でも、絶対に続きは書きますので、安心してください!!
他のところでも書いているので、みたい方はSexyZoneストーリーと検索してください!!
少年愛の方ですよー
218
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/06/07(金) 23:00:13 ID:EYd3.WX.
※台詞の前につける名前表記を無くします!!
ーーーーーーーーーーー
〜風磨目線〜
現在、21時ちょうど。
中島との、約束の時間。
心臓がはちきれそうなくらいドキドキして、しまいには涙まで出てきた。俺は多分予定よりだいぶ早くあっちの世界にいきそうだ。
『もしかして、来なかったらどうしよう…』
と思ったけど、案外すぐ中島は来た。
自慢の長い手を振って、走りよってくる。
もうアイドルの中島健人ではなくて、ただ単にちょっとイケメンな中島健人のオーラだった。当然、誰も気づかない。
俺はドキドキというかワクワクして、必死に手を振り返した。
「きく、ちくんっ」
中島が俺の右肩をポンと叩いた。
右肩、右肩、右肩ポン、右肩ポ……
自分の顔が赤くなるのが思いっきり分かった。
右肩が焼け焦げたように熱くなる。
何かもう泣きそうで、とろけそうな幸福だった。
219
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/06/12(水) 23:10:04 ID:EYd3.WX.
「あのさ……、いきなりだけど、アメコミは諦めるから、どーーーーーしても行きたいところがあるんだ。菊池くん、ついてきてもらってもいい?」
「いいいい行きますっ!!!!」
声が裏返って、中島が苦笑した。
だって、中島からの頼みだもん。冷静になれる、わけが、ない。
「ありがとう。じゃあ、ついてきてね。……あ。」
歩き出そうと向こうを向いた中島が、ふりかえってこっちを見た。
「はぐれるかもしれないからね。」
そう言って、中島の右手が俺の左手を握る。
またボンッと顔が熱くなる。
「えっ、んなっ、手っ手っ手……!」
動揺する俺なんて中島は気にもとめず、どんどん進む。
右を曲がって、左に曲がって、「あ、間違えた」って来た道を戻って…
薄暗い、都会から少し外れたような街に出た。
なんかここらへん見たことあるな…なぁんて思いながら歩いていると、やっぱり見たことある家の前に立たされた。
220
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/06/12(水) 23:22:22 ID:EYd3.WX.
「松島聡ってやつの家でさ。最近っていうか、一週間前のジュニアのオーディションに受かって期待の新人なんだ。あの有名な松松コンビとの3人グループも決まっていて、サマリーの終わり頃からジュニアの新グループとして活動す…」
「待って待って待ってください!!」
「へ!??」
頭が混乱する。
聡がジュニア?松松とグループ?中島の知り合い?
「え、あ、あの、松島聡って人、俺の仲良い後輩なんですけど……」
中島が目を見開いて、口パクで「マジで?」とする。手で口を抑えながら、一回しゃがんでまた立った。
「うわーマジかよ、せっかくペラったのにー。先越されたぁー」
俺をチラッと見て、あははと笑う。俺も合わせてなんとなく笑った。
「まあ、中に聡も勝利もいるからさ。取り合えずお茶してきなよ。ね?」
こくんこくんと精一杯頷く。
これから俺は、どうなるのだろうか…
221
:
ココナッツ
:2013/06/21(金) 20:06:07 ID:rZURTCPo
続きが気になります。頑張ってください!!
222
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/06/30(日) 12:30:08 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
ありがとうごさいます!!また今度続き書きますね!
>>皆さんへ。
実は今まで展開をメモしたメモ帳をなくして更新できませんでした!!
すみません……
あと、今テスト期間なので、3日までは書き込めないと思います。
それまで待っててください!!
223
:
ココナッツ
:2013/06/30(日) 15:07:05 ID:AHXQle2E
はーい、続き待ってます!テスト頑張ってくださいね!!
224
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/07/05(金) 22:25:53 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
遅れてすみません!多分明日書きこみます!2日間DSの充電器なくしてて書けなかったんですよ><でも見つかったので、近頃書きます。
225
:
ココナッツ
:2013/07/06(土) 19:08:36 ID:LNY3SEgE
分かりました!赤哀さんってDSで書いてるんですね。
続き待ってます、頑張ってくださいね!!
226
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/07/06(土) 20:10:43 ID:EYd3.WX.
>>ココナッツさん。
そうなんです!iです、i(笑)今からしますね♪
ーーーーーーーーーーー
「おじゃましまーす。勝利、聡ー!」
中島が声を張り上げる。俺は100回以上もこの家に来たことがあるのに、緊張して喉がカラカラだった。
「はーい」
「え?来たの?」
聡の声に、勝利の声…!胸が信じられないくらい高鳴って、クラクラする。思わず強く握った中島の手。「緊張する?」なんて少し背の高い俺に上目遣いで優しく微笑む。もう、混乱しすぎて何が何だか分かんねぇ…
「あ、本当だ!風磨先輩やっぱ来たんですね!」
その声で我に返る。前を見れば、聡と、勝利……
何だこの美少年は。コンサートで見たけど、それ以上に輝いてる。絵ですか写真ですか二次元ですか。ちょいちょい、マジでありえんのかよ…
「え?風磨先輩聞いてます?取り合えず中入りますよっ!ほら、ぼうっとしてないで!!」
いやいや少女漫画から間違えて出てきたのかよお前は。いやお前じゃない、勝利様だ。勝利様。美しい我らの薔薇よ…
腕をひっぱられてハッとした。
「まって聡、俺靴脱いでねぇよーー!」
227
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/07/12(金) 00:36:32 ID:EYd3.WX.
いつものリビングの椅子に腰をかける。俺の隣は中島、前は勝利、斜め前が聡だった。
「はい、風磨先輩コーヒーです。」
「あ、あリがと……」
「声裏返ってますよ。」
冷めたような目で見られて少しムッとする…どころか、もう緊張しすぎてそれどころじゃない。何で中島と会ったときより緊張してんだよ…
「あ、この人聡と一緒の学校なの?」
「そうです。先輩ですよー」
「へー」
勝利に目を見られて体が固まる。透き通るような瞳に、漆黒で綺麗な髪。綺麗な口と鼻、華奢な肩と小さな顔…。じっと見つめられるだけで、心臓までもが固まりそうだ。
「菊池くん緊張しなくて大丈夫だよ?」
「い、いや、そう言われてももも…」
勝利と中島のWパンチ。そうきて慌てないわけがないじゃないか。いわゆる、プチパニック。もし俺が聡の知り合いじゃなかったら、プチどころか大パニックだっただろう…。そう冷静に考えながらも体は逆らい、徐々に狂っていく訳でして。目の前が、輝きで眩しい…
228
:
ココナッツ
:2013/07/22(月) 19:49:50 ID:CpXfyShE
勝利くんと健人くんのWパンチはヤバいですね〜!
続き待ってます!!
229
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/07/25(木) 21:58:01 ID:EYd3.WX.
今管理人さんから新ルールが出たので、少しの間だけ書き込みストップします。
230
:
赤哀
◆3zNBOPkseQ
:2013/07/29(月) 00:12:34 ID:EYd3.WX.
〜赤哀から大切すぎるお知らせ〜
管理人さんから、『小説を書くなら責任を持って書き続ける』という新ルールが出ました。
決して責任は無いわけではありません。
しかし、今スレを3つ持っていて、しかもどれも遅れがちです。
なので、2つにしぼって、それに力を入れようと思いました。
そこで、セクストにするか、果実にするか悩んだんですけど、長編の場合、ストーリーを考えてる間、書き込めない場合があります。しかし、短編の場合はいっきに思い付いた物語をザーッと書いていくので、そちらの方が都合がいいかと思い、こっちのスレを辞めることにしました。
『禁断の果実を、かじりながら。』の方は続けます。
ですが、このスレを辞めるということは当然ストーリーも途中で終わってしまうということです。
本っ当にすみません。
このスレを、今まで見てくださってありがとうございました。
これからは、果実の方をよろしくおねがいします。
231
:
ココナッツ
:2013/07/29(月) 10:02:25 ID:6n9Bk/3Q
このスレ辞めるんですね・・。
残念だけど、果実の方で、頑張って下さい!
私は赤哀さんの小説が好きだったので、残念ですが、果実は、書いて下さるとのことで本当に良かったです。果実頑張って下さい!!
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