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「だが―――『こうなったら』……どうする?」
七つのうち二つのコマが持っていた遺体がカーズのコマに加わり、カーズが持つ遺体の総数は三つになる。相対する集団は周りに存在しない。
今度はムーロロが様子を伺われる番だった。ディエゴはカーズのコマを指で弾き飛ばし、ムーロロの方へよこした。
「消耗したカーズ―――本当に消耗していればの話だが―――相手でも、俺とお前じゃ相性が悪い。
やつは稀代の大食いだ。油断したらカードでも恐竜でもなんでも食われるぜ」
しばらくの間、二人は無言のまま見つめ合う。保身と策略が言葉もなく二人のあいだを飛び交った。
部屋の真下でごそごそと誰かが動く気配がした。ムーロロは黒いコマを取り上げ、やれやれと小さく呟いた。
「作戦は弾切れか、司令官」
「いや、あるぜ。ただリスクがある。懐柔に自信は?」
「イタリアマフィアを一人手懐けたという実績はあるが」
「よっぽどお人好しなんだろうな、そいつァ。それかお前が知らんうちに裏切ってる可能性もあるぜ、気をつけな」
ムーロロは緑のコマを二つ作ると中央の参加者二人の傍に動かした。そのまま二人を挟み込み、四つのコマが北へと向かう。
ディエゴはその一団がDIOの館にたどり着くのをじっと眺めていた。ムーロロは視線をコマに向けたまま、小さく言った。
「コイツは文字通り、俺たちにとっての爆弾になるぜ、ディエゴ」
「爆弾ならもうすでに一つ抱えているさ」
ディエゴはムーロロが持つコマにかかれた名前に目を落とす。不安と疑いに皮肉な笑みが浮かぶのを抑えられなかった。
「対カーズ最終兵器―――『キラ・ヨシカゲ』、か……」
◆
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その一室は膨らみきった風船のようであった。
「周りに敵は?」
正面の壁にもたれたナランチャは興味なさげに発言者―――プロシュートを見つめ返した。しばらく待ったが答えは帰ってこなかった。
ナランチャ、とトリッシュがたしなめるように言ったが、ナランチャは黙ったままだった。トリッシュの目線から隠れるように顔をうつむかせた。
トリッシュが間を取り持つかのように、プロシュートに目線を向けた。プロシュートはソファに座りなおすと肩をすくめた。
「俺がアンタに危害を加えることを恐れているらしい」
「そんな気はないのよね?」
「顎先の餌より背後の虎の方が気になるたちでね。シーザー、もう一度説明を頼む」
風が唸りをあげると、ガタガタと建物全体が震えた。シーザーは窓の外を一瞥すると向き直り、出会ったばかりの仲間たちを見た。
緊張感と不安が部屋の中に漂っている。かつて相対していたギャングの二人がその中心にいた。
机をはさんで傾きかけた混乱を支えていたのは二人の少女たちだった。トリッシュは背後に立つナランチャをたしなめ、千帆は隣に座る男の自制心をつっついた。
シーザーは唇を噛み、細ばった隙間からゆっくりと息を吐きだした。足元でイギーが眠たげにあくびをひとつした。
「トリッシュたちと合流したのはほんの偶然だったんだ。
フーゴ―――はぐれた俺たちの仲間のひとりで、トリッシュの仲間でもあるらしい―――を探して東に向かってる途中、気づいたら恐竜たちに囲まれてしまっていた。
とても敵わない……って敵じゃあない。ただとにかく数が多かった。埒があかないと思って強引に包囲網を切り抜けたら……」
「私たちと出くわした、ってわけ」
トリッシュがあとを引き継ぎ、そう付けくわた。隣で玉美が大きく、励ますように頷いていた。
「私たちがアナタたちと会ったのはその直後。恐竜に襲われて、最初にナランチャがスタンド攻撃をくらってしまった。
恐竜化が始まってしまうと戦いはジリ貧で―――玉美のスタンドは戦闘向きじゃないし、一人でも仲間が必要だと思って……」
「それであの茶番か」
プロシュートの声は抑えていたが、皮肉げだった。ナランチャは壁から背を離すとトリッシュを庇うように前に進んだ。プロシュートにむかって凄んでみせる。典型的な威嚇の態度だった。
そんな態度をプロシュートは鼻で笑った。トリッシュはうつむき、次に言うべきことをひっこめてしまった。
慌ててシーザーがその場を取り繕った。二人の会話に割ってはいると、説明を引き継いだ。
「俺が柱の男―――カーズを見かけたのはだいたいそれぐらいの時だ。
カーズは五匹程度の恐竜に囲まれていた。それほど苦戦しているようには見えなかった。
ただ俺たちも恐竜に追いかけられていた。戦いながらで、ちらっとしか見ていない。だから詳しくはよくわかってないってのが正直なところだ」
「カーズについて、もう少し詳しく教えてくれ」
「柱の男たちは不老不死、驚異的な柔軟性と筋力をもった種族だ。太陽の光とこの俺が持つ技術―――波紋以外弱点はない。
力でも能力でも奴らを押し込むのは至難の業だ。奴らは速く、強く、固く、鋭い――― 一対一で戦えば死を覚悟して挑むしかない」
「で、そんなカーズやら恐竜やら波紋使いやら―――そんな戦いのど真ん中に俺たちはノコノコ迷い込んじまったってわけだ」
プロシュートは一息をおくと、頬の筋肉を強ばらせた。
「これが誰かに仕組まれたものじゃなければな」
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