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カオスロワ避難所スレ3

1管理人 ◆WI16BozYZw★:2015/07/08(水) 21:45:14 ID:???0
前スレッドが1000間近のため新規スレッドを用意いたしました。

511隠されし邪念:2020/02/11(火) 11:45:14 ID:O9KqTJGo0


【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】決意、首輪解除、イグナイトフォーム
【装備】シンフォギア「イガリマ」、イグナイトモジュール@戦姫絶唱シンフォギアGX
【道具】支給品一式、クロエの首輪
【思考】基本:SATSUGAI、自分の生きた証として絶対にクラウザーさんを蘇らせる。
0:侵入した小町の仲間をSATUGAIする
1:みんなの希望であるクラウザーさんは必ず蘇らせる!
2:風鳴翼については大いに失望
3:同じ狂信者仲間としてレジーナを大事にしたい
4:フィーネになってしまう自分の危険性を考慮し、クラウザーさんが蘇り次第、自分の命を断つ
5:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
6:サイコマンへの疑念
7:提督は見つけ次第SATUGAI
8:え? あの影薄い人が言っていたことって確かサイコバッシャーが……!
※自分が新しいフィーネになると思い込んでいるのは勘違いです
 よって、自分がフィーネになると勘違いしている時期からの参戦です
※セルベリア・草加との情報交換により、この殺し合いがテラカオスを生み出すためのものであり、カオスロワちゃんねるの危険も知りました。救済の予言の意味はわかっていません。


【レジーナ@ドキドキプリキュア!】
【状態】ショック、首輪解除 変身中
【装備】ミラクルドラゴングレイブ、電子星獣ドル、シンフォギア「シュルシャガナ」
【道具】支給品一式、ギラン円盤
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
0:ステルスモモからマナのことについて聞く
1:クラウザーさんの為にすべての人や魔物をSATSUGAIする
2:切歌に友情を感じている
3:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
  ついでにサイコマンも警戒
4:提督は絶対に許さない
5:狂信者がマナを殺した……?
※月読調のギアの装者になりました
※セルベリア・草加との情報交換により、この殺し合いがテラカオスを生み出すためのものであり、カオスロワちゃんねるの危険も知りました。救済の予言の意味はわかっていません


【松本人志@現実】
【状態】ダメージ(小/回復中)、DCS状態+大日本人化、首輪解除
【装備】浜田雅功人形
【道具】支給品一式、メトロン星人人形、グラコスの槍
【思考】基本:浜田の蘇生
0:小町たちを殺し、蘇生装置を守る
1:狂信者のフリをしつつ、浜田蘇生の機を伺う
2:残り三つの組織が壊滅する寸前にビッグサイトの内部に侵入し、蘇生方法を奪って浜田を蘇らせる
3:浜田を生き返せないようなら一人でも多くの参加者をあの世に送る
4:? 何言ってるんやコイツ?
※巨人の脊髄液@進撃の巨人を取り込んだことで大日本人に変身できるようになりました
 DCSの効果などで原作の大日本人よりは遥かに強いです
※深雪によりビッグサイトの中にある黄泉レ○プマシンの位置を把握しました
※浜田の魂が消滅したことに気づいていません


【サーフ・シェフィールド@アバタールチューナー2】
【状態】健康、瑞鶴の提督、支給品扱いで首輪なし、全マントラ網羅
    マスタキャンセラ・オートソーマ常備(万能以外無効、戦闘終了or逃亡成功時全回復)
【装備】違法改造スマホ、四次元ポケット@ドラえもん(ディパック代わり)
【道具】カオスロワちゃんねるのサーバー、カピラリア七光線銃、結婚指輪
    深海棲艦イロハ級×190、深海棲艦鬼・姫級×9
【思考】
基本:蒼の源泉の力を手に入れる
0:物陰に隠れ、ステルスモモの話を伺う
1:今は狂信者のフリをしてディーに従うが、旗色が悪くなったらビッグサイトから逃げる
2:瑞鶴を操り、拳王連合軍に野球の試合を早急にさせる
3:真実を知った者は消す、そして殺し合いを加速させるものを助長させる
4:年増女(セルベリア)とシスコン仮面(ルルーシュ)は特に警戒
5:狙われると面倒なのでギリギリまで正体は隠す、必要のない戦闘は避ける
6:死んだ祐一郎の才能に嫉妬。ロックマンと翔鶴は必ず使い潰す
7:都庁に向かった深海棲艦たちはいったい何をしてるんだ?!
8:可能であればイチローチームとテラカオス・ディ―ヴァ(ツバサ)を助けに行きたい
※カオスロワちゃんねるの管理人です
※古代ミヤザキの末裔であり、蒼や蒼の源泉・テラカオスなどについて全て知っています
 ナノマシンに仕込まれたプログラムにより完成したテラカオスならば乗っ取ることも可能
 予言の中にある『歌』も所持
※悪魔化ウィルスによりリアルヴァルナへと変身可能
 サイヤ人の肉を食べたことで全スキルを網羅し、戦闘力が大幅増加しました
※まだ榛名によって都庁の軍勢に自分の正体が告発されたことを知りません
※ナノマシンからの信号を通じて深海棲艦は影薄組のステルス性を無視して攻撃できます
 また、深海棲艦が攻撃した場所を辿ることによって切歌たちも攻撃ができます

512クラウザーさん、やっと復活するの巻:2020/03/15(日) 19:05:04 ID:.3MasLDc0
「新バンドを組んじゃいかんのか?」
 巨人小笠原の一言がきっかけだった。
「構わないだろう」
 それにアンドリューW.K.が答えた。
「……そうだ、俺達6人の友情は不滅だ!」
 シンが主人公らしい台詞を叫ぶ。
「『僕は野球をやってるカス共を殺せればいい』」
 球磨川がカッコつけて言う。
「そう、そして私達が……」


「「「「「『正義だ!!!』」」」」」


 こうして正義の名の下に根岸崇一と野比玉子症候群予備軍の四人と球磨川はド派手にバンドを結成した。
 復活方法とは前の話に書いてある通りだ。
 そして、復活のエネルギーが少し余ったので死んだDMC狂信者達も復活した。
 初ライブの会場は東京ビッグサイト。コミケ会場だ。


【四日目・0時00分/東京都・東京ビックサイト】
【根岸崇一@デトロイト・メタル・シティ】
【状態】クラウザーさん
【装備】ギター
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
0:黒幕のサーフを殺す
1:新DMCと復活信者共を率いる
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

【田井中律@けいおん!!】
【状態】健康
【装備】拳銃@現実
【道具】支給されていない
【思考】基本:主役になる。
0:新バンドの結成だッ!!
1:私が正義だ。
2:けいおん!!の真の主役になり、世界を超越し、完全体になり、私の国を手に入れる。
3:騒音を撒き散らす連中は悪だ。
4:ちなみに私達は正義だ。
5:故に黒幕のサーフも殺す。
6:私達が正義だ。悪は許さん。
7:何度でも言う、私が正義だ。
8:だが、正義なんて言葉、チャラチャラ口にする奴も許さん。
9:もう私達は死ぬことはない、何故ならば正義だからだ。
10:正義は死ぬことはないからな!
11:しかし、本当に死んだらどうしようか?
12:そしたら、また復活するだろう!!
※ドラム担当
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

【巨人小笠原@なんJ】
【状態】アンドリューW.K.と合体中
【装備】バット、ベース
【道具】不明
【思考】基本:今度こそ生き残る!
0:(贔屓されちゃ)いかんのか?
1:(男と合体しちゃ)いかんのか?
※ベース担当
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

【アンドリューW.K.@現実?】
【状態】健康、巨人小笠原と合体中。
【装備】自前のギター
【道具】支給品一式
【思考】
基本:復活祭とか言うパーティーに参加する。
1:しかし、なんか快感だ!
※ギター担当
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

513クラウザーさん、やっと復活するの巻:2020/03/15(日) 19:05:18 ID:.3MasLDc0
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【状態】健康、ケツが真っ赤。
【装備】デスティニーガンダム
【道具】支給品
【思考】
基本:自分が主人公になって黒幕のサーフを倒す
1:しかし、なんか快感だ!
※ドラム(楽器)担当
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

【球磨川禊@めだかボックス】
【状態】健康
【装備】大螺子
【道具】支給品一式
【思考】
基本:???
1:『野球やってるカスどもを殺す』
※ピアノ担当
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
【三島一八@鉄拳6】
【蟹座のデスマスク@聖闘士星矢】
【明智光秀@戦国BASARA】
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
【デスマンティス@世界樹の迷宮4】
【ラージャン@モンスターハンター4】
【トキ@北斗の拳】
【KBSトリオ@真夏の夜の淫夢】
【比那名居天子@東方project】
【中野梓@けいおん!】
【柊つかさ@らき☆すた】
【その他DMC狂信者だった人たち全員@いろいろな作品】
※頭おかしい(褒め言葉)科学者によって復活しました。

514何が可笑しい!!:2020/03/16(月) 19:59:30 ID:4J8QErSA0
野比玉子症候群患者は復活不可なんだよなあ……(5270話参照)

でもインスピレーション湧いたから、これが通しで良いなら
あくまでルートの一つとしてのDMC完勝エンドを作ってみようかな

515クラウザーさんが復活すると言ったな? アレは多分まだ嘘だ:2020/03/17(火) 08:34:33 ID:rCr6FTDY0
ここは死者スレ。
未だに蒼の使者である黒き獣の影と死者の戦いは続いている。


「という作戦なのさ!」

前話(5289話)におけるクラウザーさん及びDMC狂信者軍団の大復活は田井中律による妄想……および作戦であった。
ご存じの通り、この世界の律はテラカオス化する前からデフォルトで狂ってるので雑でツッコミどころ満載で粗が目立つのも仕方がないことなのだ。

しかし、この作戦は狂った思考の持ち主であるネームド狂信者には意外と大受け。
一部修正すれば絶対に不可能ではないのではないか、という結論に至った。

「サーフが黒幕なのは死者スレでは既に周知の事実」
「狂信者すべてが復活すれば全員がサーフ処刑と大災害対策に動ける!」
「だがこの作戦にはクラウザーさんと(能力的な意味で)頭のおかしい技術者が必要不可欠だ」
「頭おかしい技術者には光裕一郎がいるじゃないか」
「「「それだ!!!」」」

死者の中には間違いなく今期最強の技術を持つ裕一郎さんがいる。
彼ならばごく短時間で黄泉レ〇プマシンを再現し、現世へ戻ることも不可能ではない……多分。
クラウザーさんはもちろん、蘇った時に狂信者たちを統制する必要があるので裕一郎さん以上に必要不可欠な存在である。

「だが、クラウザーさんも裕一郎も広い死者スレのゴタゴタの中で行方不明だ」
「ならばナイトである私と狭間が探してこよう」
「もうサーフは師匠とは思わん、カルナの前に突き出して尻穴に槍を突き刺してもらわないと気が済まない!」

ナイトと魔人皇は作戦の要である、行方知れずのクラウザーさん・裕一郎を探しに向かった。



「ところでりっちゃん、クラウザーさんや俺たちの復活のためのエネルギーはどうするんだ?」
「ああ、それならそこらじゅうにあるじゃねえか?」
「そこらじゅう……ああ、なるほど狂信者以外の参加者の魂を破壊して私たちの復活のためのエネルギーにするのですね?」

律の後ろには、ロープで縛られた罪のない死者の魂たちが怯え震えていた。

「……なるほど、やることは現世のそれと変わらないってことですね!」
「そうさ、残酷だが世界を守り、クラウザーを復活させ、私が目立つには仕方ないことだぜ」

つまるところ、ここにいる集団は現世でもやらかしていた狂信者の横暴を働こうというのだ。
復活エネルギー確保のために、味方以外の死者を虐殺するという忌まわしき暴力を。
その暴力を、ここにいない狭間と天子、律の作戦に乗り気じゃなかった狂信者を除いて賛同し、現世のように死者スレを血に染めようとしていた。


「そう、そして私達が……」


「「「「「『正義だ!!!』」」」」」







「何が正義だ! このバカモノども!!!!」

声高々に上げた根っこまで邪悪系狂信者と律達だったが、そこにブチ切れシグナム率いるまともな参加者軍団に包囲され、全員御用になった。

そして、カルナに尻の穴に槍をねじ込まれて魂を喰らわれ、宝具ブッパのエネルギーになりました。


「そんな、私が正義のハズなのに……」
「随分、尻の穴の小さい正義だな」

ドスッ

「アッーーーーーーーーーーーーー!!!(迫真)」


今日も死者スレは地獄です。

516クラウザーさんが復活すると言ったな? アレは多分まだ嘘だ:2020/03/17(火) 08:35:03 ID:rCr6FTDY0




※以下のキャラたちの魂が消失しました
 物語がどのような結末を迎えても復活できません

【田井中律@けいおん!!】
【三島一八@鉄拳6】
【蟹座のデスマスク@聖闘士星矢】
【明智光秀@戦国BASARA】
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
【デスマンティス@世界樹の迷宮4】
【ラージャン@モンスターハンター4】
【トキ@北斗の拳】
【KBSトリオ@真夏の夜の淫夢】
【中野梓@けいおん!】
【柊つかさ@らき☆すた】

※そもそも5270話において蒼の力で消滅しています
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【球磨川禊@めだかボックス】
【巨人小笠原@なんJ】
【アンドリューW.K.@現実?】


【二日目・23時30分/静岡県・富士樹海・死者スレ内部】
※根岸崇一(クラウザーさん)、狭間偉出夫、比那名居天子は復活していません
 すべて田井中律の妄想です


【カルナ@Fate/Apocrypha】
【状態】宝具ぶっぱで常に魔力消費
【装備】自身の槍、黄金の鎧
【道具】不明、同盟の悪魔将軍・アタル兄さん、正気に戻ったシグナム
【思考】
基本:使命に従い、死者スレを守る
1:罪人を魂喰いで魔力をチャージし、宝具コンボでシャドウであった者の影から死者を守る
2:オレの宝具は尻に刺す道具じゃないんだけどなぁ……
※死者スレにいる罪人(特に酌量の余地がないもの優先で)を魂喰いすることで魔力を補っています
 ただし、罪人だけの魂ではあと7時間しか持たず、それ以上は善人の魂を消費しなければいけません
 死者スレで魂喰いされた存在は物語がどんな結末を迎えても、二度と復活できません
 魂がないのでサイボーグ化復活も不可

517何が可笑しい!!:2020/03/17(火) 19:36:02 ID:mjsv5bok0
魂消滅させるなら全員やれよ……省いた奴贔屓したいの?

518何が可笑しい!!:2020/03/17(火) 20:13:56 ID:rCr6FTDY0
逆だ
全員消したらヘイトだと思われるだろ

519ズガン:ズガン
ズガン

520何が可笑しい!!:2020/03/17(火) 20:31:34 ID:PWXnNpKQ0
アレはゴタゴタになった辻褄合わせのために仕方なくそうするしかなかったって言ったでしょうに・・・
嫌なら他に良い案を出せば良かったでしょ

521ズガン:ズガン
ズガン

522何が可笑しい!!:2020/03/17(火) 21:52:33 ID:PWXnNpKQ0
付き合いきれん
おまえさんが単に狂信者が嫌いなだけじゃんか
文句があるなら似たようなことになってた他の組織にも言えよ

誤解なきように言っとくけど俺は全部好きだが

523何が可笑しい!!:2020/03/17(火) 22:19:33 ID:VLoSqlOw0
クラウザーさんなんて適当にズガンされた奴なんてほんとどうでもいいし、それを無理に持ち上げてる寒い連中としか思えないね>DMC狂信者

524何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 01:28:40 ID:ECkbG7Io0
この人に賛同する訳じゃないがやっぱし十期が長すぎるんじゃなかろうか
だから展開を伸ばしてしまうようなキャラにイライラするのかも
俺もあんま書いてないから偉そうなこと言えんし今まで書いてた人の作品を踏みにじりたい訳じゃないが
とてももう終わる気配はないし下手をすれば十年後もまだやってるくらいなら多少強引でも総集編的に纏めて終わらせても良いんじゃないか
何より十期が続くにしても莫大な主要キャラの多さや設定の膨大さと今はその辺のロワより書き辛いのもカオスロワの醍醐味が損なわれてると個人的に感じるし

525何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 06:22:51 ID:c3f9lxSs0
とてもとても悔しいけどリアル的な意味でも一年以内の完結は難しい
>>524の言うことはごもっとも、そもそもパロロワ界隈自体が色んな意味で限界だ
……賛同だけど、ちょっとお願いがある


どうしても書いてみたい話自体はまだまだある、他の人も今は展開上書けないけど書きたい人もいると思う
そこで総集編的最終回を投下をする→年表の詳細を作るように、最終回を補完する過程のSSや、もしくは別ルートで進行する物語を後から書ける形にしたい

むしろ10期を書かせてください! お願いします!

526何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 09:47:41 ID:j5nb41Ds0
なんか色々あったみたいなところ申し訳ないんだけど、予約って大丈夫?
都庁、都庁攻め主催者、ルルーシュなんだけど

野球さえどうにかなれば(+試合時間分のシャドウの足止め』頭の中ではエンディングまで駆けることも考えつくんだけどね……
そこは野球詳しい人ほんとお願いします

527何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 09:53:26 ID:c3f9lxSs0
自己リレーで良ければ…

528何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 10:05:23 ID:Koy1tj3Y0
妄想ロワみたいなダイジェスト化(ただしキャラの死亡が雑な処理となる)なら書けない展開自体はない

529何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 10:14:15 ID:Koy1tj3Y0
展開は考えてても俺が書くとどうしても激長文化して時間がかかるのよね...
それはそうとして予約乙

530何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 17:28:56 ID:Z//SRRsg0
形は何であれ10期に一旦一区切り付けて11期開幕でも良いかもね
パロロワに人が居ないのと書き手が分散して両方爆死するかもしれんけど

531何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 21:56:31 ID:.pHcVXxQ0
>>526
野球はともかく、シャドウの足止めなら一応考え付いてはいる
フロワロは別個に対策いるけど、シャドウ本体だけなら野球2試合分くらいなら
十分止められる予定
ただ、都庁がジャック達の奇襲を凌ぎきれた場合の前提なんで、そちらの話次第では駄目になるかも
今影薄の方も考えていることあったけど、様子みつつシャドウの方を深く考えるべきかな

532何が可笑しい!!:2020/03/18(水) 22:01:29 ID:zGtsbc2M0
もうそこまで持て余すのなら殺して良いんじゃないか?

533何が可笑しい!!:2020/03/19(木) 00:34:49 ID:r37Z8KYU0
ぶっちゃけシャドウやサーフが必ずラスボスである必要はない
流れ次第ではアナキン、拳王軍、魔女霧切、あと現状は対主催の誰かさんなどのチャートも俺の中にはある

534何が可笑しい!!:2020/03/19(木) 02:15:48 ID:LUWjuyzg0
サーフは書き手も読み手も皆が大好きな人気キャラだし、ラスボスしかありませんな。

535何が可笑しい!!:2020/03/20(金) 08:18:49 ID:JK847PXA0
>>531
黒フロワロはともかく、シャドウ本体はなのはのおかげで消耗はしているから
拳王軍VS聖帝軍の試合までは何もしなくてもなんとかなりそうだな

536何が可笑しい!!:2020/03/22(日) 07:17:30 ID:AZs7FRig0
拳王軍、聖帝軍で予約

537何が可笑しい!!:2020/03/22(日) 14:54:51 ID:hk/25/v60
>>536
トリ付け忘れてますぜ

538ズガン:ズガン
ズガン

539 ◆lgy5dogjeQ:2020/03/22(日) 23:23:36 ID:AZs7FRig0
トリ忘れてたので再予約>>536

540 ◆BkO6szdC.M:2020/03/24(火) 22:33:06 ID:8FR1VR0.0
やっべ自分もトリついてなかったですね…
でも投下はなかったようなので予約していた都庁、主催、ルルーシュで投下

541 ◆BkO6szdC.M:2020/03/24(火) 22:34:03 ID:8FR1VR0.0
(……)

都庁、世界樹。
その奥地で取り残された男、ルルーシュ。
彼はその頭脳を持って考える。
考えねば死ぬ。
しかし彼はそういった死線を潜り抜けて生き延びてきた。

(……都庁の戦力、竜は削れたようだが逆に言えばそれだけ。狂信者共はドリスコルを含め大敗したか)

戦況はそう判断せざるをえなかった。
自分達の作戦にミスは無かった筈だ。単純に相手の力量がそれを上回った。

(救助した魔物が半ば監視されているこの状況、潜り込んだことにも勘付かれた可能性が高い……)

そして自分達の存在がばれているかもしれないことにもたどり着いた。
ルルーシュとて戦えないことは無いが、あの大軍とグレートゼオライマーすら退ける連中だ。
仮にギアスを使ったところで対処しきれず、そもそも何名かはギアスに対して耐性すらあるかもしれない。

(そして、今の歌にあの榛名という女……)

何より、今まさに自分の前で起きた奇跡。
そこから導き出される、僅か十数秒後の必然。
ルルーシュの思考がまとまり行動に移るまで、僅か数秒。彼の思考速度は次の現象よりも早かった。
つまり。



「お見事だ、都庁の者達よ」


「「!?」」



自らその正体を、同盟軍に晒したのだ。
当然、場は混乱する。榛名の登場でただでさえ混乱しているのだから。
その隙をついて、攻撃される前に次の言葉を紡ぐ。

「我が名はゼロ。どうしても諸君らに伝えたいことがあり、悪いが魔物に扮して入らせて貰った」

「狂信者共を利用したことも詫びよう。私の他に……何名か狂信者も紛れてしまっているが、それももう問題ないだろう」

「後は……彼女達が始末してくれる」


ルルーシュの言葉に、共に潜入していたカギ爪団の面々は憤慨する。
裏切ったのかと、即座に飛び出てこの男を始末したかった。
しかしそれはもう、叶わない。ルルーシュの言葉通りに彼らは鎮魂歌が終わった時点で詰んでいた。


「……撃て!」


魔物の中から、少女の掛け声。
直後、救助された魔物の一部が同じく救助された魔物の一部を撃ち抜いていく。

「榛名さん!」
「あ、あなたは!?」

そして、魔物の中から現れたのは海兵のような格好の少女。そう……駆逐艦と呼ばれる少女であった。

(理屈はわからないが、要はサーフの持ち出した兵器はあの歌で浄化されたということらしい)

(ならば必然的に、紛れ込んでいたイ級とやらもその影響を受ける。この結果は当然のことだ)

さらに数名の駆逐艦が飛び出し、潜伏していたカギ爪団を蹴散らしていく。
同士討ちを避けるために密かにつけていた識別基準が仇となり、彼らは混乱の最中で全員が抹殺されるのであった。

542続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:34:54 ID:8FR1VR0.0
そして、少しして混乱が落ち着いた頃。


「……お前は、狂信者ではないというのか?」
「ああ、大丈夫だよダオス。ゼロは信用できるから。あたしに耳打ちで作戦全部教えてくれてさ。
こりゃ大変だって報せに来たところでなんか凄い現場に出くわしたわけだけど」

ルルーシュは既にギアスの支配下においたさやかに命じていた。
「絶対に俺が都庁に疑われない言動を心がけろ。それ以外は全てお前の自由だ」と。
ルルーシュとしては狂信者に潜伏していたのも、敵対しているのも、協力者が欲しかったのも、全て事実。
ここまでくれば身の安全のためにギアスも含めて正直に打ち明けてもよかったのだが、
何しろルルーシュも知ってのとおりここの連中は仲間意識が強い。
明確な害を加えたわけではないが、絶対遵守という人の精神を捻じ曲げる真似は反感……下手をすれば殺意を買う。
だからこそそこだけは伏せ、彼女への命令も極力今まで通りに過ごせるものにしておいた。
万が一の時の手段としてやはりギアスは隠しておきたいという思いもあったが。

「……榛名、と言ったな。この男、ゼロの言葉は本当なのか?」
「榛名も堕ちていた頃の記憶は不完全、全てを把握し記憶しているわけではありませんが……彼が一部狂信者から警戒されていたのは確かでしょう」

そしてここに深海……否、艦むすの証言も加わる。
全てが真実ではない。全てが嘘ではない。混ざり合った情報は非常に手強い壁になる。

「……ここに来るために、狂信者を欺くために、結果として多くの魔物を犠牲にしてしまった」

「……本当に、申し訳ない」

ルルーシュはその場で頭を下げる。
これも偽りではない、一部は本当の気持ち。
状況から都庁の犠牲はやむを得ないとは思っていたが、それ以前は元々可能であれば平穏な接触も考えていたのだ。
こうなってしまえば当初の予定通りに切り替えた方が早いし、何より忌々しい狂信者のフリもしなくてよくなる。

「……そこまでして、我らに会いに来た理由とはなんだ?」
「はい。……この殺し合いの真の狙い。主催者が計画したプロジェクト・テラカオスについて」


ルルーシュが重々しく口にした言葉に、同盟軍の誰もが反応を示す。
テラカオス。その言葉を知っている者は一握りしかいない筈なのだ。

「主催者の計画を何故……?」
「偶々、ではあったのですが。粛清されたらしい安倍首相の妻は善人であったらしく……
一縷の望みをかけて、参加者にことの真相を纏めたファイルを送信していたようです。
残念ながら、それが発覚したのか彼女も粛清されてしまったようですが……」

再び、嘘と真実を混じらせる。
大切なところはしっかりと真実を伝え、今は関係ないところは嘘を伝える。
ルルーシュも言葉を選びながら、慎重に信頼を勝ち取っていかねばならない。
最終的な目標、ナナリーの為に。
そしておそらくこの後語られる、サーフの正体を聞く為にも。







しかしルルーシュの計画は、思わぬところで中断を余儀なくされた。

543続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:35:36 ID:8FR1VR0.0
突如、空間に妙な裂け目が生まれる。
直後、その裂け目は大きくなり……中からは謎の存在が現れた。



その手に、何かを持ちながら。


「!!!」


怒涛の勢い。世界樹に予期せぬ来訪者、その3。
ミヤザキの巫女たる榛名。彼女は今や巫女まどかも認める協力者。
偽りの狂信者たるゼロ。彼もさやかの話と今後の話を合わせれば協力者なのかもしれない。
さて、この三人目は?

いや、三人目ではない。


追加の100名もご登場だ。



「おや? これは偶々なのか願いを叶えてくれたのか。いや、スキマ転移が座標指定できないと考えるより最速であの二人と戦えるお膳立てg


ドッ!



早口を言い切る前に、スキマより現れた仮面ライダー……
biim兄貴は密やかに戦ってみたかった相手の一人であるレストの拳で心臓を貫かれて死んでいた。
その死の速さは、まさに彼が好む最速であったかもしれない。
あまりの速さに残る100人もパニックを
起こすが、次の瞬間には彼らも兄貴の後を追う。
躊躇いの無い瞬殺、つまりは一緒にやって来た100人も殺すべき敵。
魔物達は示し合わせるでもなく、次々に群がりあっというまに喰らい尽くす。

「……ゼロ、これもあなたの作戦か?」
「ち、違う! こんな連中、私も見たことが無い!」

感情の無い声と共に手についた血を振り払うレストを見て、すかさずルルーシュは本当のことを口にする。
そしてすぐさま元深海勢の駆逐艦にも(見えないが)視線を送る。
自分達が元の姿に戻れた実感もまだ無いまま、怒涛の展開となる現状に彼女達の理解も追いついてはいないだろう。
しかし駆逐艦、子供故にこの状況下で嘘は口にできない。ただ勢いよく首を縦に振り続ける。


「こいつが持っていたのは、N2爆弾!ほむらが回収したものと全く同じだ!なっ……起爆まで30分を切ってる!?」


奪い取った物を見てレストの顔は青ざめる。
空間転移で進入してきた敵が持っていた代物は、かつて仮面ライダー斬月が持っていた爆弾と同じ型。
鍛えられたダオス達ならば耐えられないこともないが、世界樹は少なからず傷を負う。

「くそ狂信者連中め、最初から私も始末するつもりだったか……!」

ルルーシュも当然N2爆弾に対する知識を持つ。
このタイミングで内部にこんなものを持ち出してくるとなると、恐らくは潜伏させていた狂信者が密かに連絡を入れたのだろう。
保身の為に都庁に鞍替えした瞬間、恐らくは灰色だった自分は黒となり、すぐさま狂信者からの粛清を受けかけた。
こう考えるのが一番辻褄があうと同時に、ある悪寒が彼の全身を支配する。

「ま、まさか……」

そしてそれは、ダオスとまどかも同じく。
爆弾の脅威はあるが、僅かに猶予あり。襲撃者も迅速に葬った。しかしその襲撃者は、いきなり内部に転移してきたのだ。
氷竜が倒れ、彼の分の結界が消滅したことが原因なのか。本当にゼロの始末目的かどうかはわからないが、とにかく侵入を許した。
そして相手が狂信者であるならば、101人で済むわけがない!


「あっ……!?」


まどかは思わず叫ぶ。
今、この上層部には残された世界樹のほぼ全戦力が集結している。
だからこそ敵も処理できたが、もし他の場所に、例えば戦えない子供の魔物やきらり達の避難している場所に向かわれたら?
守りは固めているが、N2爆弾を持ち出されたのだ。絶対は無い。

「ごめんレストさん、お願い!」
「わかった!」

たまらずまどかはレストを護衛につけ、避難場所へと跳べる樹海磁軸を目指す。
かかる時間は僅かに十数秒。万一があってもまだ間に合うはず。



その願いは、直後打ち砕かれる。

544続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:36:12 ID:8FR1VR0.0
「そ……んな……」

がっくりとまどかは膝をつく。
その瞬間、彼女の膝は生暖かくぬめる血の海に沈んだ。

避難所は、地獄そのもの。
無数の魔物の亡骸、一人たりとて生存者がいないとわかる程の蹂躙具合。
むせ返る血の臭いは、さながらカオスロワの縮図のようにすら見えた。
無価値無意味無慈悲に彼らは殺されたのだ。

「……どうして、だよ……っ!!!」

そして亡骸の中にある二人の姿を見つけた瞬間。
まどかもレストも、自分の手を握りしめて、血を流した。
その程度の痛みはなんでもない。魔物達が、この二人が味わった苦痛の恐怖に比べれば。

大きな犠牲を払いながらも聖帝軍と共に助け出せた、間に合った筈の少女は首を刎ねられ。
そんな少女の亡骸を抱きしめながら、守るという誓いを果たせなかった戦士の無念はどれ程だったことだろう。

「……」


魔物達はもはや原型を留めず修復は難しい。
もっと、はやく気がついていれば。後悔の念を抱きながら、損傷が少なかったきらりと魔雲天をレストは修復する。
魔力の無駄遣いと言われようが、彼はこの二人をこのまま放置できなかった。
自分とサクヤのような……それと違い、間に合った筈の二人。
もう直接的な戦力とはなり得ない彼らが、魔物が、どうして犠牲にならなければならないのか。
狂おしい程の、影薄に出会う前の状態かそれ以上の憎悪と敵意の感情がレストの中に渦巻く。


「……っ!?」


だが、彼は直後に冷静さを取り戻す。
血溜まりの中で、必死に生存者を探していたまどかの手がいつの間にか止まっていたのが目に入ったのだ。
そして彼女の全身…いや世界樹全体から自分以上の強い怒りを感じ取ってしまった。

「ま、まどか!?」

「……まだ、いる」

ぽつりと呟かれた言葉。
それは生存者のことではなく、外敵のことであるとすぐに察しがついた。
まどかの背から伸びる魔力の翼は世界樹と繋がり、今の彼女はより深く世界樹の現状を理解し力を振るえる。
かつての魔王マーラ戦でも全方位攻撃を可能とし、そもそも地下に向かう際は敵位置を確認してから向かっている。

侵入者は、知らなかった。いや知ることができなかったというべきか。
温厚なまどかではあるが、怒りが限界を超えた際の攻撃に容赦は無くマーラが消し飛ぶ程であり。
世界樹そのものを用いて攻撃できるということを。
致命的な失策は、100人単位という人数の多さ。
まどか、世界樹からすれば土足でそれだけの人数が踏み荒らせば嫌でもその位置を完全に把握できる。

「……許さないっ!」
「まどか落ちつくんだ!君は手を汚さなくていい!僕が…」

静止を振り切り、世界樹とまどかがシンクロする。
こうなってはもはや誰も止めることはできない。
巫女の鉄槌が、異物に下される。

545続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:36:55 ID:8FR1VR0.0


中層に転移していたメガへクスは、ぞわりと嫌な気配を感じた。
本来感じない筈のもの、これは2度目の経験だ。そしてこれが最後の経験ともなる。

「なっ、なんだ!?」

ヘルヘイムのような…いやそれ上回る異様な速度で周辺の根や枝に葉が荒れ狂う。
たかが植物などではない。明確な殺意と尋常ではない魔力の込められたそれは、無数の刃と槍となり瞬く間に兵士を肉塊に変えていく。
メガへクスも応戦するも、全方位からの殺意には流石に分が悪い。
絡みついた根はそれぞれがあらぬ方向へと動き、彼の身体をバラバラにねじり切り、さらに全身を滅多刺しにした。





「こ、これは……!」

下層に転移していた紫はしかしまだ生きていた。
下層は他の階層と比べて空間が広かったのが幸いし、無数の根が兵士を葬る中で紫は回避が間に合ったのだ。
とはいえ流石の賢者も焦る。
この攻撃は罠の類ではなく、明らかに現在進行形で自分達に向けられている敵からの攻撃。
地下で魔物を葬ってから、まだ数分すら経っていない。それなのにもう自分達の侵入がばれたというのか。
とにかくわかるのは、今やこの世界樹内部全てが攻撃範囲ということのみ。

(これはいけませんわね……一度、退かなければ。スキマでの侵入が可能とわかった以上、この部屋に拘る理由はない……!)

爆発までの猶予は無い。
しかし下層に爆弾を仕掛けることは最早不可能である以上、作戦は変えざるをえないだろう。
根が伸びないであろう上層部に狙いをつけて、紫はスキマでの緊急撤退を行う。






「え?」


紫の…侵入者達の誤算と不運はいくつか存在する。
内部状況の未把握、作戦実行の為に引き連れた300の兵士。
彼女達も奮戦はしてきただろうが、乗り越えた明確な死地は疲弊した安倍首相戦のみ。
対して都庁の軍勢は、拠点から動かない故に次々に難敵に遭遇し、犠牲を払いながらもこれを乗り越えてきた。
ドラゴンハートの恩恵も加わり、殺し合いの中で影薄を筆頭に生き延びた参加者達はみなが精神面を含め大きく成長した。
参加者と主催者。成長という一点においてこればかりはどうしようもない。

最速退場した兄貴の骸が貪られるのを見つけた瞬間、紫は驚くと同時に頭に強烈な痛みを覚える。

「がっ!?」

スキマから出ると同時に、魔王に頭を掴まれたのだとはわかる。
だが何故こうも迅速に敵と見なされた?僅かでも喋ることが許されるなら、話術は自分の得意分野だったというのに。
鷲掴みにされた頭部に魔力が流されているのが嫌でもわかる。洗脳でもするつもりか?
妖怪の賢者もまた妖力でもってこれに抗ってみせるが、思考を掻き乱されるのは避けようがない。
頭の激痛に耐えながら、なんとか現状を把握し打破しようとする頃には、彼女の身体は宙に浮いていた。
紫を鷲掴みにしたまま、ダオスは世界樹の外へと飛び出していたのだ。
一瞬だけ、紫は外にいたセルの姿を目の当たりにする。
なんと恐ろしげな出で立ちか。なんとしてでもこいつだけは滅ぼさねば。

(私をセルの餌にでもするつもり?けれど私ならば、たとえセルの触手を受けたとて耐えきれる筈。
口内に入れられた瞬間、脱出と共にセルの体内にN2爆弾をしかければ……)

そこまで思考を巡らせ、紫の意識は消失する。
魔力と握力で頭に激痛を送られ続けながらにセル打倒の考えを巡らせる紫は、賢者と呼ぶに相応しい力の持ち主だろう。
確かに、アルルーナ等ならば世界樹を傷つける愚か者に相応の報いを…女であれば性的な陵辱を考えたかもしれない。
だが現在彼女の生殺与奪を握るは魔王。彼は敵対者に対して微塵の容赦も見せることはない。
そして何より、榛名とゼロというキーパーソンかもしれぬ者まで現れたのだ。
腹立たしいが…所詮は無数の『狂信者の一将』に過ぎないだろう女に、余計な時間をかけるつもりなどハナから皆無。


「ダオス、コレダーッ!!!」


掴んだ女の頭を地面に叩きつけると同時の爆光。ゼロ距離のそれは賢者を塵も残さず消しとばした。
奥義でもって完膚なきまでに迅速に息の根を止めたダオスはすぐさま引き返す。


紫達の不運は、タイミングが最悪であったことに他ならない。
特務機関ではなく、一山幾らの狂信者と思われては、最初から対話も何もありはしない。
せめて、狸組がもたらした主催陣営名簿に彼女達の情報が載っていれば、或いは?
しかしいくらイフを考えたところで、もう彼女達が動くことはない。




546続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:37:29 ID:8FR1VR0.0
「……っ!!!」

スコープで状況を直前まで確認していた ジャックは歯を噛み締めて声を抑えていた。

紫が殺された。

相手は魔王。そして紫を殺しながらすぐ様に引き返して行くその様。ここから推理できるのは……

(都庁の感知能力が我々の想定を遥かに上回り、彼女の…いや彼女達の潜入が露呈したというのか!?)

早過ぎる。
ジャックとしてもこの認識だが、実際の問題としてこれ以外は考えられないというのが、彼の導き出した結論だった。
紫がスキマによる逃走もできなかったとなると、他の二人の生存も厳しいだろう。
作戦は失敗?いや違う。まだ自分がいる。やり遂げなければならない!

(それこそが、手向けでもある……)

三人は死んだ。冷静にそう判断し、ジャックは最後の準備に入る。
確かに予定は狂ったが、三人はしっかりと都庁の中に置き土産を残している筈だ。
起爆寸前のN2爆弾3個。今から何処かに運ぼうとしても間に合いはしない。
デイバッグの中に入れても、意味はない。
元より自分が要。侵入がばれてしまっては、もう一刻も猶予は無い。
すなわち、今から防御の暇も与えない程の速攻を仕掛けるしか道は残されていない。


「総員退け!これより、最後の攻撃を行う!」



ジャックの勇ましい声に、それぞれの機体の中で兵達は敬礼した後にその場から距離をとる。
打ち倒さねばならない災厄、その力はまさに人智を超えた存在。
世界樹全体ならともかく、災厄を倒すとなると、いくら兵が武装したところでなんの役にも立たない。
ジャックと、この用意に時間のかかる最強のオーバードウェポンしか勝機は無いのだと、理解していた。

兵士の一人は、改めてこの超兵器を目の当たりにして冷や汗を流す。
これを考えた奴は、絶対に頭が狂ってるとしか思えなかった。

その姿ーー潔し!!!

何も知らない者がみれば、馬鹿みたいな大きさの鉄筋コンクリートの柱そのものだ。
対安倍首相に使ったマルチプルパルスもふざけているが、それ以上のインパクト。

「……よし」

ジャックは柱…『マスブレード』を目標に向けてセットする。
一度きり。チャンスは一度きりだ。
ジャックがこの無骨な柱を決戦の武器に選んだのには、いくつか理由がある。
もちろん威力は説明不要なレベルだが、マルチプルパルスには流石に及ばない。
とはいえあれは紫の協力があったからこそできた芸当であり、ジャック一人ではとても全弾命中は難しいのだ。
そしてその他のオーバードウェポンもあるが、威力はマスブレードを下回る。
何より、一撃必殺を狙うならばこれ以上の武器はない。
相手のセルはACではなく超巨大な怪物。何をしてくるかもわからない以上、戦闘は最短最速で済ませなければならない。
相手の防御よりも速く、これであいつを叩き潰す。
ジャックのその意志に呼応するように、爆炎を吹き上げながらチャージは進む。


そして。

547続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:38:15 ID:8FR1VR0.0
「っ!!!」


ガクンとジャックの身体が、いや機体そのものが揺さぶられる。
マスブレードの推進力はもはや、そちらが本体だと言わんばかりの圧倒的なもの。
常識から逸脱した超兵器。故に、常識から逸脱した災厄を討つことも可能となる!



「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



オーバードウェポンは当然、使用者への反動も尋常ではない。
それでもジャックは吠え、コンマ1秒も逃すまいと災厄へと挑んでいく。
紛れもない決意の顔。背負う者の顔。
バーダックやベイダー卿からひかれるような、ゲイヴンなどという馬鹿げた存在ではない。


(必ず、成し遂げてみせる……!!!)


そう、散った仲間の為。この世界の為。
彼はまさしく勇者であった。





「……幕を引くとしよう。飛んで火にいるなんだったか」
「こそこそ用意してたつもりだろーが、俺の元拠点の様子が変わってりゃ気づくってもんだぜ?」
「にしゃぁ……」



ーー攻撃目標は三人に増えていた。そしてその三人はそれぞれが爆炎の魔力を纏ったかと思えば、それを災厄の口の中に入れて混ぜ込む。
直後に吐き出されたのは、ジャックの視界を埋め尽くす程の煉獄の炎。
魔王の、神の名を冠する樹の、そして魔神の一閃は深夜の関東地方を一瞬で真昼の様に照らし出した。


(アナキーー)


刹那。敗北を悟ったジャックは最後まで未来を危惧したまま、この世から全ての痕跡を残さずに消えてしまう。
超火力兵器諸共に、超々高火力の熱閃は全てを消し飛ばす。
ジャックの敗北を認識するよりもはやく、最終着弾地点の首相官邸跡地にいた兵士も一人残らず消えていく。
ニャル子の生首も、何もかもを飲み込んで。


「狂信者どもの拠点の一つを消せたようだな。だが次の問題は…」


ダオスはこの世から完全抹消された首相官邸跡地を一瞥した後にすぐに引き返す。
彼や神樹、それにセルにとって。今し方熱閃で葬ったのはネームド狂信者の一人程度の認識でしかない。

まさか、この殺し合いに深く関わっていた存在だとは夢にも思わない。
形こそ違うが、共に世界の破滅に抗おうとしていた存在だとは気がつくことはない。

もしかしたら、彼らが対話できる…共に戦う未来もあったのかもしれない。

だが全ては遅すぎた。
最良の未来は崩れ果て、そして無慈悲に時間は進んでいく。

548続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:38:48 ID:8FR1VR0.0


世界樹内は騒然としていた。
目まぐるしい状況の変化もだが、何よりもきらり達の惨殺の事実は大きな衝撃と悲しみを与えた。
涙を隠すこともしないカヲルはせめてレクイエムの一つでも捧げたかったが、それさえ許されない。

まどかの怒りで侵入者は一人残らず世界樹と魔物の養分となった。
しかしその置き土産というか、切り札まではそうはいかない。
起爆寸前のN2爆弾。それが三つも見つかった。
この場に犬牟田かほむらがいれば爆発前の対処もできたかもしれないが、今となってはそれも不可能。

しかし、この未曾有の危機すらも。
この場の者達にとっては、通過点に過ぎない。
狂おしい程の怒りと同時に、それに匹敵する怒りを覚える存在、この殺し合いの黒幕。
その名を聞いてしまったのだから。

「…時間がないね。手荒だけど、こんなものに構っている時間も惜しい。神樹、頼むよ!」
「お、おう。まさかとは思ったが、確かにそれが一番早いかもな!」

レストが両手でN2爆弾を縦に積み重ねて持ち上げる。
様々な能力を持つ彼だが、このように『同一物なら質量を無視して絶対落とさず縦積み9個までなんでもかつげる』という妙なものまである。
そして爆弾を持ち上げた彼を、さらに神樹が持ち上げる。

緊急時の対応は、いかに迅速に行えるかが鍵だ。
そしてこの作戦は本来であればとんでもない外法だが、もはやこの世界の無事な地域が残り少ないことが幸いした。
つまり。


「うらああああああ!」


圧倒的巨大かつ、マッチョになりさらに飛距離を伸ばした神樹がその投擲力でレストを世界樹の遥か上空に発射。
投げられる側に凄まじい衝撃だが、丈夫さは随一かつ担いだものを絶対に落とさないから問題もない。
そして高空より、かつて桃子にも語られた投げレベル9999withドラゴンハートのレストの豪速球が炸裂する。

「…狙い目は北海道と青森の間かな」

もう人の残っていない東北地方目掛けて、躊躇いなく3個のN2爆弾が綺麗にまとめて投げられる。
着弾後、凄まじい爆発が起きるが世界樹からは遠く離れている。これで置き土産も処理できた。


「っ!!」


遠方処理の完了を目視し、魔法で帰還しようとするレスト。
しかしあまりにも高く投げ飛んだ彼は、地上の状況を見て愕然とする。
ああ、やはりこの爆弾『程度』はもはや脅威ではなかったのだと認識する。

海上。バラバラにされているが、巨大な龍の翼骨が見える。あれはまさか邪竜ギムレー?
あれ程の存在が殺された?狂信者にはまだ武器があるのか。影薄達は大丈夫なのか?
千葉方面。かなりの魔力を感じる。まさかイチリュウチームとほむら達にも何かあったのか?
関西方面。毒々しい色の花が咲き乱れている。ウォークライの話にあった、より強力なフロワロか。
そして……沖縄。以前よりも強く感じる混沌の気配。ノーデンスの話にあった黒き獣が、あそこにいる。

(本当に、時間がない……!)

同時期に発生している、無視できない異常事態。
達成感に浸ることも、悲しみに暮れることも許されない。
拳を握りしめたまま、彼は絶望の情報を持って世界樹へと戻ることとなった。

549続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:40:00 ID:8FR1VR0.0


仲間の死を悼むことも許されない中、世界樹内はさらに混沌とした混乱に陥る。
テラカオスを保護していたイチリュウチーム、その大戦力であっただろう邪竜ギムレーのまさかの死亡。
そればかりか、ほむら達が向かった千葉方面に渦巻く大きな魔力。下手をすれば残りのチームメンバーも危ういのかもしれない。
西からはフロワロに黒き獣が迫っている。
これらの問題は、予言の一節たる野球に大きな影響が出てくる。

『黒いフロワロは、俺が生み出せる赤いフロワロとは比較にならん!耐性の無い者が触れたが最後、あっというまに腐り果てるぞ!
幸い俺達は世界樹とドラゴンハート、二重の恩恵で防ぐことができるがイチリュウチームの人間はそうもいかん…!』
「なんとか、侵食をとめられないんですか!?」
「今までの情報を統合すれば、この能力は真竜を捕食した風鳴翼のもの。そして方角を考えると……」
「彼女は黒き獣に敗れ、その力を奪われた。つまり今フロワロを操っているのは黒き獣だろう」
『フロワロを完全に消すには、生み出している真竜の力を葬るしかない。しかし黒き獣を倒せるのは、テラカオスだけ……』

ウォークライが語る黒いフロワロの脅威。
しかもそれは事実上完全な破壊はできないという絶望的な状況だ。
侵食より早く、イチリュウチームを助け出し、ドラゴンハートの力を与えて速やかに野球の試合を完結させなければならない。
すぐにでもイチリュウチームの追加救援に向かいたいが、もう世界樹も戦力はあるが頭数が減り過ぎた。
計画と防衛の両面からダオスとまどかが動けないのが痛すぎる。

「よ、よくわからないけど、それなら私達が!」
「まだ夢を見ているようだよ。でも、今の時代でグンマーの人と手を取るのは、きっと司令官も望んでいることだろう」
「大丈夫。心配しないで頼ってくれていいのよ?」
「たとえどんな危険な任務でも、今度こそやり遂げるのです!」

そんな中で、カヲルの歌で浄化された数名の駆逐艦が名乗りをあげる。
まだまだ子供。そんな見た目でありながら自ら死地に赴こうとする姿は、まさしく一人の戦士であった。

「……かつての我が一族は、このような者達を虐殺したのか。改めて自分達と戦争の愚かさを突きつけられた気分だ」
「……いくら僕らの一族が硬くても、こんな子達を殺し続ければそりゃ精神を病むでしょうね」
「え?」
「……案ずるな。かつてと同じ愚策はとらぬ」
「グンマーの戦術は知っているんだろう?君達には、二人の巫女を守って欲しい。使い捨て同然に前線に出したりなんかしないからね」

奮起する駆逐艦に対し、ダオスはその頭の上にぽんと手を置くと諭すように静止をかける。
レストも屈み目線を合わせ、死地に向かわず防衛の方を手伝って欲しいと呼びかける。
かつての時代において、凄惨極まる戦争を繰り広げたミヤザキの艦むすとグンマーの剣と盾。
それが永き時の果てに争わずに済んだ。
これは機械の身ながらに最期まで共に戦ってくれたフェイの功績も大きいだろう。


「………」


そんな光景を目にした榛名は、その瞳を潤ませていた。
かつての時代、あの子と一緒にこの光景を実現出来ていれば、どれだけよかったか。
悔しくはある。あの悪夢の日、自分以外の姉妹は悪魔化ウイルスを打ち込まれることなく、無残にそのまま殺された。
自分のように、使徒のもたらす奇跡で元に戻れるかもしれないということもない。
あの子とも、姉妹とも、もう2度と笑いあうことはできない。
それでも、今こうしてグンマーの子孫達は過去を乗り越えようとしている。艦むすに、ミヤザキに歩みよってくれている。

「……みんな、ごめんなさい。榛名は不甲斐無い巫女でしたが、どうか今一度一緒に戦ってくれますか?」

榛名の言葉に、駆逐艦達は揃って頷いた。
彼女達も深海棲艦に…強い後悔を遺していた娘達。その想いは榛名と全く同じだ。


「……戦艦榛名以下数名、ただいまより貴方達の指揮下に入ります!」


びっ!と乱れぬ敬礼をして見せる艦むす達。
ミヤザキとグンマー。かつて協力し、やがて対立した彼らは、今再び手を取り合った。
ノーデンスの語った過去を、乗り越えて。

550続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:41:06 ID:8FR1VR0.0


「それでは改めて……よろしいでしょうか?」

突然の襲撃、予期せぬ犠牲者、そして迫る脅威。
未だ悲しみと焦燥の感情冷めやらぬなか、榛名はゆっくりと口を開く。
この殺し合いを開く羽目になった、根本的な原因。首謀者の正体を。

「本来、榛名達がもっと早くに手を取り合えていれば、今のこの惨劇も起こらなかったのかもしれません……」

「ですが、榛名達の時代の頃からでも次の大災害は遥か未来の話。今この時代の大災害は、人為的に招かれたものなのです」
「それは我々も把握している。少数を率い神々を抹殺した、竜殺剣と悪魔の力を持つ者なのだろう?」
「は、はい。驚きました、榛名達がいなくとも既にそこまで…」
「生き延びた上位神が遺した情報だ。しかし、彼女でもその正体までは辿りついていなかったのだ」
「そうでしたか。概ね、その内容で間違いはありません。榛名達や過去の技術を復元させたのは、ミヤザキの末裔なのです……」

榛名の言葉に、何名かがぴくりと反応するが口は挟まない。
諸悪の根源とも言えるミヤザキの末裔。その正体はもうすぐそこなのだから。

「…その末裔、堕ちた榛名達の提督の名はサーフ・シェフィールド。彼こそが、今代の大災害の首謀者です。
その目的はかつての思想を歪めたもの。生まれたテラカオスを横取りし、自分自身がその力を手中におさめるつもりなのです。
彼はビッグサイトに狂信者として潜伏し、ネット上の掲示板を掌握。榛名達を戦力とし、内部情報の収集や外敵の排除を命じました」
「…自らは表に出ず、身を隠し続けるか。現在位置はわかるか?」
「いえ。ビッグサイト内からは動いていない程度しか。逆に、榛名達の現在位置と生死はあちらに筒抜けでしょう。
元々榛名は堕ちている時は867号と呼ばれ、戦況の定期的報告を命じられていましたから」
「ちょ、ちょっと大丈夫ですの?こうしてあなたが元の姿に戻って正体を明かしたなんて知られたら…」
「それは大丈夫です。榛名達は元々、提督への絶対服従をしないからこそ、悪魔化ウイルスなるものであの姿に貶められたのです。
流石にその状態で後から埋め込まれた生死の判別までは誤魔化せませんが、榛名の意思で彼への報告は断固拒否していますので」
「と、盗聴機とかは大丈夫なんですか?」
「はい。榛名も驚きましたが、この姿に戻れるなんてサーフの想像外だったのでしょう。
意志のない絶対に従順な兵器だと思い込み、盗聴や遠隔解体等の機能もつけていません。いくらでも生み出せる動く兵器程度の認識……」

少し悔しげに吐き出された榛名の言葉。
艦むすは確かに兵器かもしれないが、少なくともこうして榛名達は会話ができる。
それをまるっきり戦争の道具としてしかみない、それこそかつての後期ミヤザキの提督のようなサーフという男に誰しも怒りを覚える。
しかし相手はただ冷血なだけではない。神々の油断を狙い、綿密な計画を立ててこの災害を引き起こした切れ者だ。
榛名の言葉通りならば、これから先の動きもある程度予測がつく。

「……敵が報告がないことを怪しむ可能性が高いな。しかし生存はしている、普通に考えれば我らの捕虜になったと考えるだろう。
自爆機能が無いならば、敵の取る策は証拠の隠滅のため、新たな大群を率いてここにやってくる可能性も否定できん」

ダオスの言葉に、一同に緊張が走る。
多大な犠牲者を許してしまった、3度目の狂信者の襲撃。
いよいよ戦力、そして何より止まらぬ犠牲で心身の疲労で限界が近いこの時に更なる襲撃に耐えきれるのだろうか?
いくら榛名達が加わったとはいえ、敵は少数で神々すら殺す男なのだ。
確実に勝てる保証など、ありはしない。




「….ならば、微力ながら私も力を貸そう」



そんな時に声を響かせたのはゼロであった。

551続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:41:57 ID:8FR1VR0.0



「ゼロ、どういう意味だ?」
「元より私の目的は、この殺し合いの目的であるテラカオスのことを貴方達に伝えることだった。
しかしこうして、更なる根底…黒幕とも言えるべき男の正体まで聞かされては、私の情報の価値も下がっただろう。
私が貴方達と敵対する存在ではないという証拠にはなったと思うがそれまで。私がここに留まるのはデメリットしかない」
「?」
「だが、私が今この場を飛び出せば、それは少なからず貴方達の助けになる筈だ。
何しろ私も狂信者から見れば、信者を偽った許されざる裏切り者。殺害優先度は先程の襲撃から見ても上位の筈。
つまり、私と貴方達が二手に分かれることで、連中も戦力を二分する必要が出てくる。
貴方達の防衛力は今更説明はいらないだろうし、私もこう見えて腕は立つ。そこらの狂信者を引きつけ数を減らすくらいはわけはない」

ゼロの言葉には、納得できる部分もあった。確かにゼロが身の危険を冒してまで伝えてくれた情報も、
集まった各対主催チーム、ノーデンスと榛名の話を統合すれば、情報の旨みは少ない。
やはり主催陣営もテラカオスを目的とした一枚岩ではない存在だったことが確定したくらいか。

「仮に私が狙われなかった場合、それはそれで私はより多くのまともな対主催の者達に、より深く正確なこの殺し合いの真実を伝えられる。
貴方達はここから動けない以上、仲間を増やすことはできない。これはこれで、貴方達の手助けができるだろう?」
「……うむ」

ダオスが小さく声を漏らせば、ゼロも一礼し踵を返す。

「…改めて、感謝しよう都庁の者達よ。そして、貴方達の武運を祈る」

脱ぎ捨てたオーバーボディを再び着用し、彼は足早に去っていく。

残された者達は、止まらぬ悲しみの連鎖の中でも立ち止まれない。
幾つもの難題。次に為すべきことは何か?

【二日目23時30分/東京都 新宿都庁世界樹内部】

【都庁同盟軍】
【ダオス@テイルズオブファンタジア】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【音無小鳥@アイドルマスター】
【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【エリカ@ポケットモンスター】
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【榛名@艦隊これくしょん】
※まどかの所持品に駆逐艦×4が追加されました
※全員がギムレーの死亡、イチリュウチームの窮地、関西の黒フロワロを把握しました
※ゼロとの邂逅で、プロジェクトテラカオスの存在を知りました。ゼロ=ルルーシュには気がつけていません
※さやかのギアスは残ったままですが、命令により普通にしている限りは気がつかれません


【biim兄貴@現実?】
【メガヘクス@仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル】
【八雲紫@東方Project】
【ジャック・O@ARMORED CORE LAST RAVEN】
それぞれ死亡確認
※連れていたモブ兵士も全員死亡
※死亡時の攻撃が苛烈だったため、彼らの支給品の回収や再利用は不可能です
※首相官邸跡地は完全消滅しました

552続くナイトメア:2020/03/24(火) 22:42:36 ID:8FR1VR0.0



世界樹の入り口から、一体の魔物が飛び出す。
正しくは魔物に扮した者。その最後の一人たるルルーシュである。

(くそ、くそ、くそぉ……っ!)

彼は湧き上がる殺意と怒り、そして焦りに蓋をするのに必死だった。

(深雪、この愚かな兄を許してくれ……)

ドリスコル達が敗れ、おそらく都庁の全ての戦力があの部屋に集まっていた。
その様子から覚悟は決めていたが、やはり作戦途中で愛する妹は殺されてしまったらしい。
当然最後の妹すら奪われたルルーシュの悲しみは並ではない。下手をすれば、あの部屋で自爆覚悟で暴れていたかもしれない。
それをしなかったのは一重に榛名の情報。
そして、さやかから聞き出した情報があったからに他ならない。


(だが深雪、ナナリー……お前達の為にも、兄はここで倒れるわけにはいかないんだ!)


(まずは、サーフをDMC諸共に殺す!奴さえ死ねば、テラカオスは都庁か協力者が手にする可能性が高い。
そうすれば沖縄の黒き獣も止められ、死者の魂が脅かされることも無くなる!)


ルルーシュの瞳は憎悪に燃えていた。
最初に榛名からその名前を聞いた時点で怒りは頂点に達していたが、その後はさらに臨界突破した。

黒幕、カオスロワちゃんねるの疑惑を最初から理解していたルルーシュにとって、榛名の解説の半分は不要だった。
むしろ気になったのは、ミヤザキの艦むすとグンマーの巫女。この関連性だ。
あの場のやりとりから、都庁の者は全員これを理解していると見て間違いない。
そう判断し、彼らが知らないサーフの話に食いついている隙に、ルルーシュはさやかから情報を聞き出していたのだ。
太古の大災害、それからの戦争、残された救済の予言の内容…
どれも信じられないような内容だが、ルルーシュの脳内からはこれらの詳細などもはやどうでもよくなっていた。



大災害の化身。沖縄の黒き獣は今、死者に狙いを定めて襲っている。



この事実が、ルルーシュに最も強い絶望と焦燥を生み出した。
死者の魂が狙われる。以前見た沖縄の異常気象、あれだけの力を持つ黒き獣に襲われたら。どうなるか。
考えるまでもない。生きている状態ならまだしも無防備な魂など完全に破壊されかねない。
当然、その中にはナナリーも含まれる。

(あれだけの戦力、知力、そして情報。救済の予言は都庁連中に頑張って貰うほかない。俺がいなくとも、彼らは止まることはないだろう。
さやかから情報は手に入ったし、火薬庫の真ん中に留まり続けるのは愚策だからな)

ボロを出す前に危険地帯を抜け出したが、先程の都庁に対する言葉は、ルルーシュとしての本心も含まれていた。
忌々しい狂信者を葬り、ナナリーと暮らす世界の為に奮戦してくれる都庁には感謝しかない。
面倒ごとは任せて問題ない。彼らが動いている限り、狂信者もサーフも一裏切り者にばかりかまけてもいられない筈。
その隙を突き、この溜まりに溜まった憎悪の感情を叩きつけてやる。


(……当然、クラウザーの魂も例外ではない。奴らがこの真実を知れば、テラカオスを生むよりも自爆を選ぶだろう。
そう、それを阻止する意味でも、俺の行動に誤りなどない……!なり振りなど構っていられるか!)


「クラウザーさん……」

「ふん、貴様らでも少しは役に立つか?」


戦意を失って立ち尽くしていた僅かばかりの狂信者をギアスの支配下に置き、都庁を難なく後にするルルーシュ。
理性と憎悪の狭間で揺れ動く彼の今後がどうなるかは、まだわからない。

ルルーシュは生き延びた代わりに己より大切な妹の危機を知る。
都庁は守るべき者を守れず更なる絶望を知る。
主催は後に頼りになる仲間の死を知る。
誰も幸せにはなれない。ナイトメアはまだ続く。




【二日目23時30分/東京都 新宿都庁世界樹外部】

【ルルーシュ・ランペルージ(ゼロ)@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【状態】健康、ゼロの服装、妹への欲求(絶極大)、非常に激しい悲しみと怒り、半暴走
【装備】ガウェイン@コードギアス@反逆のルルーシュ、スマホ@スマホ太郎 、魔物のオーバーボディ
【道具】支給品一式 、魔理沙の死体半分、ギアス支配狂信者×15人
【思考】基本:ナナリーを生き返らせる
0:サーフを手段を選ばず殺す
1:ディーが自爆する前に蘇生手段を奪い、自分のものとしてキープする
2:ギアスの使用は慎重にする。
3:身の安全の為、都庁に戻ることは控える

※明恵夫人経由でテラカオスプロジェクトを知りました。
※さやか経由でノーデンスの残した情報等を知りましたが、ナナリーの危機の為完全に記憶できていない可能性もあります
※黒き獣の襲来により蘇生が不可能な現状も知りました
※主催者の襲撃を自分の抹殺に動いた狂信者だと思っています
※黒幕がサーフであることを知りました

553目指せ完結:2020/03/24(火) 22:43:02 ID:8FR1VR0.0
投下終了です

554 ◆lgy5dogjeQ:2020/03/26(木) 23:16:23 ID:jRE2DRx20
投下します

555未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:17:08 ID:jRE2DRx20
異世界横浜スタジアム。
拳王連合軍 VS 聖帝軍。
現在2対2、四回表、二打席目。

本来ならば拳王軍4番プニキの打順が回ってくる頃ですが、ここは聖帝軍側がタイムを申請しています。

理由はピッチャーであり、聖帝軍守りの要であった高津臣吾が死亡退場したことにより、交代のピッチャーがいないことに起因しています。
拳王軍側はこれを受諾し、10分までなら待つことを約束しました。


 〜 〜 〜

「高津さん……」
「泣くな、犬牟田……」

先ほど拳王の前に沈んだ高津……そして亜久里、千早の遺体が入った死体袋の前で犬牟田は嘆き、他の聖帝軍の者たちも悲しむ。
聖帝軍側ベンチはお通や状態だ。

「残酷なようですが今は勝つための手立てを。
タイムも有限ですし、瑞鶴の話が本当ならば負けた方が異界に取り残されて全滅します。
高津さんたちの犠牲を無駄にしないためにも負けてはならないのです」

一行の中で比較的冷静に見える金色の闇は、悲しみで思考を止めるより、頭を働かせろと言った。
非情なようだが元々暗殺者故、こんな時に思考停止するのはまずいことを理解しているのだ。
無論、仲間の死を悲しんでいないわけではない。

「だけど、高津さんほどのピッチャーがこのチームにはもういない。
他にピッチャーに適正がある人は……」
「それならば私が投げましょう、肉体に関してはモーフィング能力で高津の真似ができる。
技術は試合やこれまでの彼の戦闘を見ています……100%の再現や、彼がまだ見せていない投球技術に関してはどうにもなりませんが……」
「次点で南斗で鍛えてきた俺ぐらいだが、テクニック再現はともかくピッチャー向けの肉体に構成し直すなんて技は持ってない。
最善策で言えば闇だけが適任だろう」
『ちょっと待て、闇が抜けた二塁の穴はどうすんの?』
「おまえがやるんだデストワイルダー。レフトの方は機動力があるガンダムに任せる」

ピッチャーは体の形を自由に変えられる闇が最も適任とされた。
しかし肉体はともかく、高津に比べれば格段にピッチャーとしての能力は劣る。
これは闇本人や他の聖帝軍の面子さえもわかっていた。

「しかし、よりによって次の打席はアイツかよ」

ばつの悪い表情でレイジが拳王軍側のベンチを見るとタイム明けをハチミツを貪りながら待っていたプニキがいた。
バッティング技術に限定すれば拳王軍最高レベル、下手すればカオスロワ野球界において最強のバッターだ。

「あいつらの方もけっこう死人が出てるハズなのに悲しむ素振りすら見せず呑気に飯なんか食ってやがる……味方を味方とすら思わない態度……絶対に許せねえ」
「気持ちはわかるけど、こらえて紘汰」

殺しあう敵とはいえ狂信者と同レベルか、最悪それ未満の死んだ味方の扱いに紘汰は怒りを覚え、チルノは彼を宥める。
ちなみに拳王軍側は既にマウンドに出ているプニキを除くと、一部がベンチの奥へと身を隠し、残りが余裕すらあるかのような表情でこちらのベンチを見ている。
実際問題、聖帝軍は既に稼働できる選手が7人しかいないのに対し、拳王軍はまだ10人も残っており、まったく消耗していない選手もいる。
同点でも主力ピッチャー不在の聖帝軍相手では余裕すら感じてくるのだろう。
今思えば、タイムに10分もの時間を許したのも優勢故の余裕だったのかもしれない。

「あのホームランぐまか…策を練らないとまずいか」
「向こうが10分も与えてくれたんです、そんなに長くタイムを取らせたことを後悔させてやりましょう」



一方その頃、拳王軍側ベンチ。

556未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:17:46 ID:jRE2DRx20

「あいつらモンキーのように今のところ、しどろもどろしてるだろうぜ」
「ヤクルトの高津さんともっと野球がしたかったのは俺的に残念だが、良い気味だ。アルトリ…ヒロインXや平等院を殺した罰を受けやがれ」

ベンチから反対の聖帝軍に向けて嘲笑うかのようにクロえもんとディオが中指を立てたが直に怒る翔鶴と上条によって止められた。

「やめなさい、敵とはいえ向こうもヒトなんです。無暗に相手を挑発することは許しません」
「そうだぞ、俺たちまでゲスな真似をするつもりはない」
「しかしジョジョに翔鶴! 奴らは世界を滅ぼすヘルヘイムの味方だぞ」
「へ、マナー講習のつもりかよ。
どうせ試合を始めた以上は皆殺しにする奴らなんだから礼儀もクソもねえ。
野球のルールだけ守ってりゃいいんだろ」

ディオはやや不服、クロえもんは超不服な様子で止めに来た2人に意見する。
翔鶴はさらに言い返そうとするが……

『いや、ディおじさんたちが正しいよ』
「彩……ロックマンさん!?」

翔鶴の持つPET……光彩斗もといロックマンが仄暗くドスの効いた口調で会話に割り込んだのだ。

『敵に敬意を払って丸く済むなら殺し合いなんて起きない。やるだけ無駄さ』
「でも、しかし!」
『そもそもヘルヘイムや聖帝軍は多くの人を殺した……彼らは殺してきた罪のない人に謝罪なんてしたのか?
少なくともカオスロワちゃんねるで彼らが謝罪する書き込みなんて一度も見たことがないよ』
「それは……」
『わかったかな翔鶴、悪党に情けも敬意もいらないんだ』

普段は優しいロックマンの言葉に翔鶴は驚く。
彼の妹として止めるべき発言だが、『義理の妹』がそれを阻害した。

「ここはロックマンの言う通りよ翔鶴姉」
『インドラ』
「瑞鶴?!」
「どのみち殺すのならばマナーだなんだ言っても意味がないじゃない。
下手なモラル自体が敵に付け入れられる隙を与えてしまうわ。
そんなことより敵をいかに倒すかを考えた方が先決よ」
「しかし……」
「翔鶴姉が気に入れないなら兵法の一つとして割り切ってみたらどうかしら?
敵を挑発してミスを誘発する……的なね」

瑞鶴は拳王軍は知る由もないが、彼女はサーフに復元されてから暗殺者として生きてきた身。
殺すべき者たちへの敬意など無意味だと知っていた。
(若干不本意ながらも)ロックマンの意見に賛同する。

『勝つための兵法……納得だね!』
「ええ、そうですねロックマンさん(アンタのために言ったわけじゃないけど)」
「2人がそう言うのなら……」
「だろ! 相手は所詮敵なんだ、遠慮も容赦もいらねえ」

翔鶴もロックマン・瑞鶴両方からの意見に流された。
賛同を受けたクロえもんは敵である聖帝軍へのヘイトを続けた。

一方、その様子に眉を潜めるのは翔鶴・ロックマン以外のネットバトラーとネットナビの二組。
他の者には聞こえぬように小声で会話をする。

『ロックマンの奴、さらに苛烈な性格になった気がする。
戦闘のストレスもあるんだろうが、それ以上にダークチップの影響だろうか』
『お館様、警戒をしてほしい。なるべくダークチップを使わせないように気を遣うんだ』
「ああ」
「……クロえもんに同調してた俺が言うのもなんだが、色々すまん」

ロックマンに現れた攻撃性はダークチップを使ったものによる影響と上条とディオたちは断定。
同じ仲間として注意の目を光らせることに。


「……ふん」
「イチローさんイチローさんイチローさん」

そんなやり取りをハクメンは横目で見つつ、ムネリンは相変わらずイチローラブで試合の行方以外は興味なしであった。

557未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:18:41 ID:jRE2DRx20


一方、ラオウとMEIKOは――ベンチ裏のロッカールームにて仲間の死体を弔っていた。
横倒しにしたロッカーを棺桶の代わりとし平等院とヒロインX(彼女は性質上、死体が残らない仕様だが)を眠らせている。
そしてラオウはその前に座り、黙祷を捧げるように静かに胡坐をかいて座り込んでいる。

聖帝軍は拳王軍は仲間の死を悲しんでないと思い込んでいるが、そんなことはない。
MEIKOの指示により、敵に弱い面を見せないためにわざと表向きは悲しみを見せないようにしているのだ。
ラオウにしてみればムギちゃんの次くらい長い付き合いだった平等院の死は大きなものであった。

「ダーリン……」

悲しみを察しているMEIKOはラオウの背中を恋人のようにそっと抱いた。

「……ムギちゃんや平等院のためにも我々が負けるわけには行かん。
必ずや聖帝軍を討ち倒し、皆殺しにするぞ」
「ええ、あなたが望むのなら」


 〜 〜 〜

そして、試合は再開された。
聖帝軍はピッチャーを金色の闇に変更し、レフトはセンターにいるガンダム一機に任せる形で空白となる。


「行きます」

ピッチャーとなった金色の闇は第一級を投げる。
だがそれはただの高津を真似ただけの投球ではない。
ファーストの鎧武、サードのチルノからさらに支援を受けていた。

「これが打てるか!」
「高津が生きていたら気に入らなかっただろうけど」
「こちらは素人ですからね」

野球ボールに紛れて放たれたクナイと氷柱の弾幕が、プニキを襲う。
ダメ押しに野球ボールの周りは氷でコーティングされており、打とうとした滑る仕様だ。
常人ならば……否、そこらの野球選手では到底打つこともできない弾幕である。

「どこまでもどこまでも甘いな」

だがプニキは攻撃に臆することなく、ニヤリと笑うと。
目にもとまらぬ速さのバッティングにより自分に向かってきた弾幕をすべて打ち返した。
さらに氷で滑るハズのボールもプニキの技量の前では意味もなく、難なく弾幕ごと打ち返すのだった。

「なに!?」
「うわああああ!」

打ち返された弾幕はベンチにいる犬牟田以外の聖帝軍に襲い掛かった。
氷柱やクナイが選手たちに刺さり負傷するも、手練れ揃いである聖帝軍の者を殺すには威力が足りなかった。

……ただ一人、身体的に恵まれておらず、装甲に守られてもいない、一般人であるイオリ・セイを除いては。
スタジアム右側で無惨な屍となったイオリが横たわっていた。

「イオリ!」

親友の死にレイジは言葉を上げるが、その直後にコクピットで警報がなる。
プニキの打った野球ボールはイオリが消えたライト側を狙っていたのだ。
コースはもちろんホームラン。

「させるかあ!!」

友の死を嘆いている暇もなく、レイジはガンダムのバーニアを吹かしてボールを阻もうとする。
そして、ボールはガンダムの装甲部分に当たるが、これは拳王軍にとっても聖帝軍にとっても、レイジにとってもプニキにとっても既視感のある光景だった。

「馬鹿め。ライトにいるガキでは俺の打球を取れないのは想定済み。
おまえがカバーに入るのは予測がついていた!」
「なッ、またさっきの曲芸を!」

ボールはガンダムの装甲の凹凸を何度から跳ねたとあと、観客席の方へ向かう。
もはや魔法じみたプニキのバッティング技術に聖帝軍は戦慄を覚える。
そしてガンダムに後ろへ飛んで行ったボールを追いかける余力はなく、他の選手も打ち返された弾幕による負傷で追いかける余裕はない。
拳王軍の三点目獲得、ホームラン記録の更新。
プニキはさらにニヤリと嗤った。


「一度、言ってみたかったんだよね……狙い撃つぜ!!」
「!!?」

プニキが勝利を確信した瞬間、観客席側から放たれた一条のビームが野球ボールに命中し、威力が死んだボールが落ちた。
ボールが落ちた場所は観客席ではなく、スタジアムの内側だ。ホームランにはならない。

プニキがホームランを逃したことは衝撃であるが、それ以上に驚かせたのはプニキのホームランを止めた存在であった。

「おい、なんでアイツがあそこにいるんだ!? あのガキはあそこでくたばってるハズだろ!」

ホームランを背後にある巨大なビームライフルで止めたのは――イオリ・セイ。
弾幕で死んだはずの少年が、観客席の方にいた。

558未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:19:10 ID:jRE2DRx20

「ふふッ……トリックさ、ライトにいる死体をよく見てみろ」
「あれは……マネキン人形!?」

からくりを解説すると、イオリは最初からライトには立っていなかった。
一流のガンプラビルダーであるイオリはガンプラ技術を応用してドームに放置されていたマネキンを自分そっくりの顔を人形に貼り付け、機械に強い犬牟田が簡単に動く程度の仕組みをもった機械をつけることで偽装をした。
よく見ればすぐ気づく代物だが、一般人であるイオリの存在を過小評価……特にプニキは気が付かなかった。

次にビームライフルだが、これはスタービルドストライクから外したものを観客席に放置。
レイジ的には野球の試合では腕が塞がって邪魔なうえ、置く場所が他になかったから置いていただけだが、閃いたセイはこれをホームランボールを迎撃するための対空砲にこっそり改造。
犬牟田のコンピュータによる予測ではプニキが何の特殊能力も持たないライト側を狙うのは予測済み。
そこでビームライフルの存在を悟られないように弾幕を張り、もし打たれても可能な限り速度を減らし、イオリの動体視力でも狙えるレベルまで遅くなった球をビームライフルで撃つ作戦だったのだ。

「最初の弾幕は俺に打たせないためじゃなくて、俺に大砲の存在を気づかせないための……罠!?」
「イオリは確かに俺たちに比べれば格段にひ弱だが、その才能を生かすガンプラ愛と発想力があった。
自分の能力に驕り、イオリをただの能無しと高を括った時点でおまえの負けだよ」
「俺が…ロビカスでもないただのガキに負けただと……」

サウザーの言葉を受けつつ、プニキはホームベースの上で立ち尽くす。
それだけに炉端の石にも等しい子供にホームランを阻止されたのがショックだったのだ。

「何をやってるんだプニキ! とっとと走れ!」
「ええ?」
「タッチされるまではまだアウトじゃないだろ!」
「あ、そうだ!」

ホームランこそ逃したが、聖帝軍がキャッチする前に地面にはついているのでヒットではある。
敵に捕まる前に塁を踏めば、アウトにはならないのだ。

「こうなりゃ塁を踏んでどうにか汚名挽回を……!」

そして(焦りのせいで名誉挽回を言い間違えるミスをしつつ)、プニキは一塁へ走る。
が。

『プニキさん足遅ッ!』
『ああー……ありゃバッティングばかり鍛えて他のトレーニングをまったくやってなかった口だな』
『あんなにハチミツばかり食べてたら太りもする……ブッタファック』

ネットナビたちがツッコミを入れたくなるほど、プニキの足は赤子のダッシュレベルで遅かった。
おそらく走力はカオスロワ球界でも最低レベルであろう。

「一塁が遠い、もっとハチミツを……!」

走って疲れたのかプニキは試合中にも拘わらず腰に抱えていたハチミツで栄養補給をする。
だが、彼がハチミツを口にすることはなかった。
白い悪魔がやってきたからだ。

「え……?」

プニキの行く道を遮るように巨大なガンダムが立ちふさがる。
そのマニュピレーターには野球ボールが握られ光輝いていた。

「うわああああ! お助け――」
『ビルドナックルッ!!』
「うおるとッ!?」

スタービルドストライク最高の武器であるビルドナックルが容赦なくプニキに向けて振り下ろされた。
ズドンという音と重みもと共にプニキは即死し、ガンダムの拳が地面から離れた後にはアウトという結果と潰れて焦げた熊肉のハチミツ漬けだけが残った。


【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー 死亡】

559未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:19:47 ID:jRE2DRx20


「プニキ……!」
「正直、あんま好きな奴じゃなかったが……これはまずいね」

性格はともかく最高のバッターであったプニキの死は拳王軍のベンチを騒然とさせる。
聖帝軍が守りの要を失ったのならば、拳王軍は攻撃のエースを失ったのだ。

「やったなイオリ!」
「いや、僕だけじゃない、レイジやみんなの援護がなければこんなに上手くいかなかったさ。
……さて、ダミー人形はバレたし同じ方法はもう通用しないね」
「スタービルドに乗ってくれ、久しぶりに相乗りだ」
「うん」

観客席にいたイオリはライトのポジションには戻らずレイジが操縦するガンダムに乗り込んだ。
レフトだけでなくライトが空白になってしまうがイオリの脆弱さやガンダムの機動性を考えれば、レフトやライトをガンダム一機に任せた方が安全だろう。
また、一つのポジションに二人いることも、カオスロワ式野球ではなんらルール違反ではない(超人血盟軍の前例もあるしね)。

こうしてワンアウトとなった拳王軍の次の打席にはMEIKOが立った。
聖帝軍は先にプニキに行った弾幕攻撃は行わなかった。
打ち返された時のダメージがデカすぎると学んだからだ。
ただし、味方の支援がまったくなくなったわけではない。

「高津の投球なんてとっくに見切……クソ、氷で滑って飛距離が伸びない!」
「取ったぜ! これでツーアウトだ!」

チルノによる氷のコーティング自体は続行。
MEIKOは二回の空振りの上で三度にヒットをたたき出したが、当たった瞬間氷で滑ったため、飛距離と制球性を維持できずに一塁側に飛んでいき、紘太にキャッチされてしまう。
あっさりと取られたため呆気なく感じるが、これはMEIKOが弱いのではなく、それだけプニキのバッティングセンスが異常だったのだ。



だが、真の恐怖はここからである。

「任せたぞハクメン」
「……応」

亡き平等院に代わって6番センターに選ばれたのはハクメンである。
白い侍の姿に闇ははっと気づく。

(まさか……私たちの恩人であるフェイ・イェンを殺したという『お面野郎』……!?)

闇は直感と、相手が放つ隠し切れない強者のオーラでハクメンの正体を看破。
レストの話では刀を持っていたことと仮面ぐらいしか特徴がわからなかったが、レストと一対一で交戦して互角に戦える実力者の数は限られている。
となると移動した距離や時間を考えるとレストが戦った男としか思えないのだ。

「我は空、我は鋼、我は刃
我は一振りの剣にて全ての「罪」を刈り取り「悪」を滅する!!
我が名は「ハクメン」、推して参る! 」

ベンチにいる時は隠していたオーラが発揮される。
呑気な性格のサウザーもハクメンの実力に気づいたのか、口には出さぬものの玉のような汗を出す。
(こいつはプニキやラオウ以上にヤバいかもしれない)と。
サウザーと闇はアイコンタクトで合図を送り、さらに闇は左右や前方を見渡すふりをして仲間たちに目線の暗号を送った。
(こいつはまずい相手だから特に警戒しろと)

「投げる前に一つ、聞きます。
スカイツリーの辺りでネギ色の髪をしたロボットを斬りませんでしたか?」
「葱…? ああ、あの時のか」

闇は単刀直入にハクメンに問いかけると、やはりフェイ・イェンと縁がある存在であった。

「それからどうしたんですか?」
「世界を蝕む『凶』を狩るためには邪魔だから切り捨てたまでのことよ。
『凶』を守る者は例えどんな理由があれ悪鬼同然、消えてもらう他ない……必要な犠牲だ」
「マガトだかなんだか知らんが、必要な犠牲だと、貴様ァッ!」

フェイ・イェンは聖帝軍にとって恩人である。
そんな彼女を無惨に殺した怨敵が目の前にいたことに、サウザーや聖帝軍の選手は怒る。
まさかの遭遇に加えて拳王軍の手先だったという事実が怒りをさらに燃え上がらせた。

「もういいです……拳王軍はやはり芯の中まで腐っていた。
その真実があればあなたたちを気兼ねなく殲滅できますから」
「フンッ、なんとでも言うがいい。
『凶』に甘えなど不要、隙を見せれば何もかも滅ぼされるだけだ」


拳王軍は必ずここで全滅させる、その決意を新たに聖帝軍は制圧前進を開始する。

560未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:20:13 ID:jRE2DRx20

「ッ!!」

そして闇は投げ、チルノは投球に再び氷によるコーティングを施す。
その投球は高津が今まで投げた中でも最高クラスの速さである。

「ズェアッ!!!」

だが、その投球は本気なら惑星破壊も可能なハクメンの前では非力。
当て身の要領で弾き、そして打球は刹那の瞬間に紘太(鎧武・極アームズ)の肩当てに命中した。
その速さと威力は高津の脳を炸裂させたラオウの時の倍以上の威力を誇る。

「うわああああ!」
「紘太!」

幸い、吹き飛んだのは肩当て部分だけだが、かすっただけで立つことも維持できなくなるダメージが紘太を襲い、地面に倒させた。
なお、ハクメン自身が野球に関して素人だったので弾は鎧武に当たった直後にゴロとなってヒットどまりだが、これがホームランコースだったらプニキ以上に危険なバッターとなるだろう。

「させるかよ!」
「遅い! ズェアッ!」
「早いッ!サウザーの3倍以上はある!」

動けなくなった紘太の代わりにボールを取りに行くビルドストライク、そして三塁のチルノはバルカンと弾幕で一塁への進軍を阻もうとする。
だがそれらは全て切り払われ足止めにさえならなかった。
速度に関しても時を斬って移動できるハクメンは残像が置き去りになるレベルで、誰も捕らえられず、しかもほぼ無消費。
もはやBLACK RXですら軽くあしらえる論外レベルの強さ、それがハクメンであった。

(おまえたち自身に『凶』はない。
だが、世界の秩序のためには必要な浄化の邪魔をするなら話は別だ。
障害となるなら撫で斬りにさせてもらう!)

そのような想いを抱きつつ、時を斬りながら進むハクメンは最初のターゲットに見定める。
一塁を守る仮面ライダーは被弾で倒れており、首を落とすにはまたとないチャンスだ。
次に塁を進みながら二塁の虎、三塁の大精霊、最後に聖帝の首を順に落とすことで、聖帝軍の戦力を壊滅させる。
そうなれば六回裏終了を待つまでもなく試合は終了し、凶狩りとヘルヘイム討伐及び死者スレの黒幕を撃破に時間を割くことができる。

止まった時の中で刀を構えて突進しようとするハクメン。
その速度は最大速度であり、これで突進すれば確実に鎧武が細切れの肉塊と化す














――そのハズだった。

ツルッ

「ピャッ!?」

561未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:20:46 ID:jRE2DRx20


ハクメンが容赦ない奥義が発動しようとしたその瞬間、ハクメンの足が滑り転倒、そのままツルツルと、しかし猛スピードで正面方向に体が滑って行った。

(いきなり足場の摩擦が消え……いったい何が!?)

0.1秒足らずの高速思考の中でハクメンは自分が転んだ原因を探る。

(これは……氷!?
目に見えないほど薄い氷の床が一塁までの道に敷き詰められている!?)

その正体はチルノが秘密裏に仕掛けた氷の床。
氷精としてパワーアップの限りを尽くしたチルノが力の限り設置したトラップだ。
いかなハクメンとて、移動は足を使う以上、勢いがついたまま走れば確実に転倒するレベルだ。
ならばジャンプすれば良いだろという話になると思いきや――

(あの弾幕射撃は私を足止めするためではなく、罠と魔力の動き悟らせないための囮!
弾幕の際に発声した土煙が罠の隠れ蓑にしたか)

ハクメンにしてみればチルノやガンダムはおろか、聖帝軍など蟻を踏み潰すより簡単にできる存在だ。
せいぜい機動力でレストさえ上回っているサウザーなら多少手こずるだろうか、という相手だったハズだ。
しかし、それは直接的に対決すればの話。
個々の技能とそれを掛け合わせるチームワークさえあれば、彼を罠にハメることは可能だった。

(だが、浅い! もう一度時を斬って……――)

それでもハクメンはあきらめず地面に刀を突きたててブレーキをかけて再起を図る。
だが時を斬る能力が終了した直後、それができなくなる事態に陥った。
再び時を止めようとした瞬間、ハクメンの関節という関節が一瞬で氷に阻まれて、一切の身動きが取れなくなった。

「氷が!」
「アタイの罠に引っかかった以上は、逃さないよ!」

こうなれば、「時を斬る」動作は不可能。
それでもハクメンが魔力を解放すれば体に張り付いた氷も足場の氷も一瞬で解けるだろう。

「うおッ、あぶねえ!」
「この私が……」

だが、この瞬間の場合、ハクメンが力を解放するよりも氷に摩擦を殺されてスリップしたままスタジアムの壁面に激突する方が早かった。
それだけハクメンは、自分でも制御できるなくなるほど早く動きすぎたのだ。
あまりの運動エネルギーはハクメン自体をも傷つけ倒れさせた。
ちなみにスリップした結果、紘太さんがいる一塁はギリギリで躱した。

「トドメだ、本日二回目のビルドナックル!!!」
「ぐふうッ!!」

更にレイジは野球ボールを持ったビルドナックルを動けなくなったハクメンに叩き込む。
いつものハクメンならば避けたり防ぐことなど造作もなかったが、今は倒れた状態で態勢が悪く刀も衝突した際に手放していた。
お見舞いされたビルドナックルは直撃し、拳王軍にスリーアウトをたたきつけた。

「やったね、レイジ」
「いや、頑丈な鎧だぜ、仕留めきれなかった」

ハクメンは直撃をもらいはしたが、生きていた。

「気絶……してるの?」
「もう一つおまけにビルドナックルを叩き込もうと思ったが、やめにした。
こいつはとっくにタッチされてアウトだし、もう一回やったら反則になるだろう」

ハクメンは鎧に僅かな罅が入る程度しか目に見える負傷はなかったが、伸びているか倒れたまま動かなかった。
ハクメンはこの後、他の拳王軍の仲間に担がれ――六番センターのポジションを控えの選手であるメーガナーダに交代したため、今試合では退場扱いとなった。

562未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:21:18 ID:jRE2DRx20

 〜 〜 〜

次回、四回裏。

               拳 2-2 聖

『拳王連合軍 布陣』

川崎宗則         1番ショート
クロえもん        2番サード
ラオウ          3番キャッチャー
瑞鶴           4番レフト
MEIKO           5番ピッチャー
メーガナーダ       6番センター
翔鶴(+ロックマン)   7番ファースト
上条(+シャドーマン)  8番セカンド
ディオ(+デューオ)   9番ライト




『聖帝軍 布陣』

-             1番ショート
葛葉紘太         2番ファースト
金色の闇         3番ピッチャー
サウザー         4番キャッチャー
イオリ・セイ       5番センター
デストワイルダー     6番セカンド
-             7番レフト
レイジ(+ガンダム)   8番センター
チルノ          9番サード

 〜 〜 〜

「まさかプニキを失い、期待していたハクメンがああもあっさりやられるなんて」
「MEIちゃん、気を落とすな。
だが認めよう、聖帝軍は今まで戦った中で最強の野球チームであると!」

先ほどはラオウのホームランと高津の抹殺で歓声に沸いていた拳王軍だが、今度は打って変わって拳王軍の方がお通やムードであった。
そんな中でコソコソと光兄妹は内緒話をしていた。

『翔鶴聞いてほしい……もしもいよいよって時は僕にダークチップを使って欲しい』
「彩斗兄さん……あれは……」
『わかってるさ、でもあのチップは戦局をひっくり返す力を秘めている。
僕らが負けて拳王軍が負けてしまえば元も子もない。
……これ以上、仲間の死を見たくないんだ』
「…………」

ロックマンの悲壮な覚悟に翔鶴は何も言い返せなかった。
ロックマン自身もこれまで以上の窮地を肌で感じ取っており、全滅するぐらいなら悪の心を得た方がマシではないかとさえ考えだしていた。

『(最悪、僕が完全に悪の心に染まったら、ジョジョやディおじさんたちがデリートしてくれるさ)』

それは己の破滅を計算に入れてでも妹や仲間を守らねばならないという、覚悟であった。

563未来への制圧前進:2020/03/26(木) 23:21:44 ID:jRE2DRx20



一方、気絶したハクメンは瑞鶴とメーガナーダによってベンチの裏で介抱されていた。
だが、瑞鶴とメーガナーダは黒幕の手先、その黒幕が喉から手が出るほど欲しいテラカオスを殺す力を持ったハクメンに何もしないわけがなかった。

(本当なら殺しておくべきだけど、この後の都庁の連中やイチリュウチームとの試合を考えたら、まだ生かした方が得策ね)

ハクメンを殺せるまたとないチャンスであったが、拳王連合軍自体も度重なる戦いで戦力が激減している。
今回の試合でこそ遅れを取ったとはいえ、単純な戦力でみれば今殺してしまうと拳王軍まで壊滅する恐れがある。
拳王軍自体は壊滅しても良いが、愛する姉翔鶴まで死んでしまうのはいただけない。
自分と翔鶴が生き延びるのに必要な肉壁なのだ。

(でも、何もしないのも後々まずい……だから)

瑞鶴は治療するフリをして、超小型の爆弾……今まで暗殺のために使ってきたスマホで起動するリモート爆弾を罅の隙間か鎧の内側に入れていき、包帯で固く覆った。

(これでよしと、いざテラカオスや提督さんを殺そうとしたらいつでも起爆できるわ。
流石のハクメンも中身までは鎧ほどの防御力はないだろうし、この爆弾で殺せなくとも手傷は確実に受けるでしょうね)

ハクメンは完全に気を失っており、巧妙に鎧の内側に埋め込まれた異物にはそう簡単に気づくまい。
気づかれて摘出されても気絶に追い込んだ聖帝軍のせいにするだけである。

入り口はメーガナーダに見張っており、ラオウたちに気づかれた様子はない。
瑞鶴の治療に見せかけた工作は完了である。

「ありがとうメーガナーダ、こっちの『仕事』は終わったわよ」
「インドラ〜もぐもぐ」
「あれ…? あなた何食べてるの?」
「インドラ♪(熊肉のハチミツ漬け)」

うっかり仲間の死体を食べてしまったメーガナーダくんは、ペットの躾がなってないと拳王軍に怒られた瑞鶴ごと仲間たちの前で土下座することになった。



【二日目・23時00分/神奈川県・異世界横浜スタジアム】
※あと1時間で異世界は消滅。
 それまでに点数が低いチームが消滅する異世界に閉じ込められるため、負けたチームは全員死亡します(移籍した場合は不明)


【聖帝軍】

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
(支給品選手枠)
デストワイルダー@仮面ライダー龍騎

【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
※負傷により退場



【拳王連合軍】

【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【ラオウ@北斗の拳】
【MEIKO@VOCALOID】
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【シャドーマン@ロックマンエグゼ】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【川崎宗則@現実?】
【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【瑞鶴@艦隊これくしょん】

【ハクメン@BLAZBLUE】
※負傷により退場
 また鎧に罅が入り、瑞鶴が持つ違法改造スマホで起動するリモコン式の爆弾を罅から入れこまれました

564 ◆lgy5dogjeQ:2020/03/26(木) 23:22:19 ID:jRE2DRx20
投下終了です

565 ◆gmrRot5lNM:2020/04/01(水) 08:53:05 ID:4yb.AVWk0
小町、あかり、セルベリア、ディーで予約します

566 ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:18:44 ID:eTGa3rlc0
予約分を投下します

567死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:19:48 ID:eTGa3rlc0
いつぞやの新宿都庁地下で繰り広げられた赤い影と青い閃光のぶつかり合い。
それが今度はビッグサイトの屋上で再び繰り広げられていた。

「セルベリアァ!!」
「小町ィッ!!」

赤い機械刀サイファーと青い竜殺剣ドリスが激しくぶつかり合う。
一太刀、二太刀、三太刀。互いが攻め手は防ぎあう。

最高位の完璧超人さえ一撃死させた切れ味のサイファーと、それを傷一つなく耐えきるドリス。
その硬さからセルベリアの持つ大剣が間違いなくオリハルコン製であることは間違いないと小町は戦いながら見抜く。

(邪竜をあっさりと倒したところからしても本物の竜殺剣みたいだ……
この世界の摂理を守っていた真神を殺した竜殺剣の形状がどんなものかまでは知らないが、そんなに沢山あったら都庁のドラゴンはとっくの昔に絶滅している。
都庁にあるものはレストが造り上げたものだし、この世界に大災害を招き入れた悪魔が使った剣である可能性が濃厚だろう)

小町は思考を巡らせる。

(だとしたらセルベリアが世界を滅ぼした悪魔なのか?
さっきまでは人間だった覚えがあるが、悪魔の力を隠してただけ?
剣を仮に拾っただけならどこで手に入れて竜殺しの力を知った?)

だが、彼女が考える間もなくセルベリアは矢継ぎ早に攻撃を繰り返してくる。
思考のリソースを考察につぎ込む時間がない。

(とっちめて、聞き出すしかないか…!)

とにかく、勝たねば……そう思って小町は剣を振り、牽制の銭を投げる。

「喰らえ!」
「喰らうか! 『距離を操る程度の――」

セルベリアが剣と槍の二刀流による全力全開の突進を放つ。
小町は以前戦った時と同じように距離を操る程度の能力もとい間合いを支配する能力で、突進を防いでから隙ができたところにサイファーの一撃を加えようとした。

「ッ!」

しかし、小町は直感でこれが能力で防げないと思い、剣による防御も選択。
避けている余裕はなかった。
実際、突進撃の前になぜか能力が発動せず、小町に突進が命中。
サイファーで直撃こそ躱したものの、突進力自体がかなりの衝撃であり、腕の筋肉に多大なダメージ、さらに床に転がり追加ダメージ。

「ゲホッ、どうして能力が」
「追撃する」

血反吐を吐きつつ、今まで自分を強力に守っていた能力が発動しなかった理由を疑問に持つが、セルベリアは屋上の床に転がり込んだ小町に容赦ない追撃を加えようとする。

「させない!」

そこで主人公――隠れて攻撃の機会を伺っていたあかりは遠距離からエンシェントソードの雷による援護を行い、小町への追撃を防ごうとする。

「そこか!」
「居場所がバレてる、わああああ!」

あかりが攻撃してくるより早く、槍から出る光線が放たれ、あかりの頭部に命中し、その体はビッグサイトの屋上から落ちようとしていた。

「あかりぃぃぃ!!」

小町は急いで落下しそうになったあかりの下へ能力を使った瞬間移動を用い、助け出した。
飛行を行いながら小町は彼女の無事を確かめる。

「あかり!大丈夫かい?」
「か、かすっただけ、ヘルメットがなかったら即死だった」

ビッグサイトから落ちたのは焦げて穴が開いたデモニカのバケツヘルメットのみ。
あかりは寸前で躱したこととヘルメットがダメージを吸収したことで死を免れていた。

「墜ちろ!」

安堵も束の間、セルベリアは飛び続けている小町たちに向けて槍ビームを発射して機動を制限したのち、さらに自分も小町に向けて飛び立ち、剣と槍による叩きつけ攻撃を行う。

「クソッ、防げないなら避け――られない!? がはあ!!」
「いたあああああああああい!!」

あかりを抱えながら小町は回避行動に移る。
攻撃を能力で弾くのは不可能だとわかっていたために、今度は能力で攻撃の範囲内から出ようとした。
だが、できなかった。
まるで何かの力に引っ張られるように回避ができなかった。
小町は咄嗟にサイファーによる防御を行うが、サイファー自体はともかく、伝わった強い打撃の振動は小町をビッグサイトの屋上に墜落させて叩きつけるには十分だった。
そこへ槍ビームが飛んできたが小町もあかりもすぐに態勢を立て直して追撃を躱す。

568死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:20:23 ID:eTGa3rlc0

「畜生、防げない攻撃と避けられない攻撃をしてきやがる!」
「あかりの存在も見抜いてるみたい! 普段なら嬉しいけど今は嬉しくない!」

小町の距離を操る程度の能力を無効化し、影薄の位置さえ把握している感知能力。
単純に能力が上がっただけでは説明がつかない、セルベリアの謎多き強さに二人は焦燥する。
その様子を見てセルベリアはほくそ笑む。

(ああ、おまえたちを倒せるように、スキルやポテンシャルを死に物狂いで手に入れたからな。
悪魔化で手に入れた『貫通』、必中攻撃を可能にする『後の先』、そして度重なる改造手術で手に入れた『心眼』。
これらを手にしてる以上、今までの戦術が通用すると思うな)

ギムレー戦にも使用した耐性を無視する『貫通』。
いくら小町の能力でも攻撃の反射に応用することはできないので、間合いに入れば確実に発動し、能力による回避を無効化する。
『貫通』一つでは回避に能力を使われると意味がないので、格闘攻撃ならば絶対必中を可能にするバトルポテンシャル『後の先』の出番となる。
ちなみにポテンシャルが彼女が本来持っている『ヴァルキュリア』『リーダーシップ』『実験体』『戦車嫌い』の他に一つしかつけられないので、ギムレー戦で使った『貫通攻撃』との併用は不能。
ただし、小町の能力ベクトルはギムレーの逆で回避力が高く防御力は並であるため、防御力を無視するポテンシャルをつける意味はなく、確実に当たる攻撃の方が難敵であった。
『心眼』は敵の不意打ちを無効化する悪魔の力で、影薄に敵意があるなら場所を見抜き、アドバンテージを無効化する能力である。
セルベリアはこれらの能力を利用して、小町たちに対して有利に戦いを進めていた。


『セルベリア・ブレス殿!』
「マクギリス……血のスカーレット小隊か!」
『救援が遅れてすまない、このアグニカ・カイエルの遺産であるバエルを手に入れるために時間がかかった』

そこに割り込むように上空からガンダム・バエルを筆頭にしたMSの小隊がビッグサイトに向かってくる。
このスカーレット小隊とやらは今まで東京の外側にいた狂信者の一団であるが、ビッグサイトの一大事(ギムレーのこと)を聞いて遅刻ながらも駆けつけたのだ。

『侵入者に見せてやろう……このクラウザーさんの守護者になりうるMS、バエルの力を……!』

MSの数は12機、いずれもストライクフリーダムとかダブルオーガンダムとか高性能機ばかりである。

「こんなところで死んでたまるかよォ!! 死歌『八重霧の渡し』」

万事休すと思われたその時、小町は咆哮と共にサイファーに霊圧を込めると、一枚のスペルカードを出したのちに、剣を振るう。
するとプラズマと霊圧を合わせた紫のエネルギー刃がセルベリアと後ろから迫ってくるMS軍団に向けて無数に放たれた。

「避けきれん……ぐゥ!!」

その刃の弾幕……否暴風雨は強化されたセルベリアをもってしても避けきれるものではなく、仕方なくドリスを盾にした防御に切り替える。
しかし直撃はせずとも漏れたプラズマや霊圧がセルベリアを炙って軽くないダメージを与え、衣服も粉々にした。

そして、セルベリアよりも小回りが利かず、ドリスよりも硬くはないスカーレット小隊の方々は。

「バエルッ!?」

切り裂かれて爆散して全機、花火になった。
ナノラミネートアーマー? PS装甲? 流石に霊的属性を持った攻撃は防げません。
幸いなのは施設まで爆風が届かなかったことである。


「血のスカーレット小隊、全☆滅!」
「30秒経たずにか!?」

上の二台詞はその様子を見ていたビッグサイトの外側にいたモブ狂信者の言葉である。


【マクギリス・ファリド@機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ 死亡】

569死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:21:28 ID:eTGa3rlc0



「く……小町たちは!?」

セルベリアは衣服ボロボロだが、経験と肉体改造の成果によるものか彼女自身は軽傷。ドリスは無傷である。
刃の嵐が過ぎ去った後、彼女がドリスの影から顔を出すと、小町たちが屋上から姿を消していることに気づく。
セルベリアはすぐさま、ビッグサイトに備え付けられた通信機を使ってディーに通信を飛ばす。

「ディー、侵入者が現れた。侵入したのは乳神、例のステルス集団も一緒だ」
『屋上にもか?』
「屋上『にも』?」
『君が乳神が戦っている間にネオ・ジオングアーマーが保管されている格納庫にもステルス集団が現れ、切歌たちが交戦している』
「奴らの狙いはネオ・ジオングアーマーか? ということは小町は囮?」
『もしくはそれを含めたすべて……我々にとっても欠かせぬものが含まれるかもしれんな……』
「……黄泉レ〇プマシン!」

おそらく小町たちはクラウザーさんの蘇生手段を破壊しにきた。
更に都庁への報復手段を絶つためにネオ・ジオングアーマーの破壊にも来たのだろう。
マシンは当然のことながら超兵器だけでもやられれば、狂信者の敗北は確定である。

『クッ、ビッグサイト内部の監視カメラが現在進行形でやられている、格納庫の戦況も気になるが乳神がマシンを破壊する可能性がある。
 申し訳ないがセルベリア、位置を教えるから君が今すぐ彼女をSATUGAIしてくれないか?』
「ああ、そのつもりだ……」
『では、君のためにモブ狂信者の救援を送ろう』
「やめておけ、奴らの実力は切歌クラスのネームド狂信者でないと太刀打ちできない、犠牲が増えるだけだ。
 私なら無駄な損害も出さずに奴を殺せる! 他の狂信者にはビッグサイトの封鎖を徹底させて小町の討伐は私にやらせてくれ!」
『ならば私がそちらの援護に』
「ビッグサイトの狭い通路じゃウィツァルネミテアにもなれないだろ!
仮に貴様が捕まってしまったら装置を停止させられる……そうなれば一貫の終わりだ」
『しかし……』
「いいか、小町のレ〇プは私一人でやる!貴様は指令室を引きこもって身を守るんだ」

セルベリアがディーの救援を渋ったのは、小町を一人で討ちたいから……という私闘のためではない。
ディーが例の裏切り者……カオスロワちゃんねる管理人である可能性が濃厚だからだ。
疑心により背後から撃たれる不安があるためである。

『……君がそういうのならやり遂げたまえ、監視カメラが壊された順番からして北側にいるようだ』
「了解だ」

セルベリアは小町が隠れているらしい北側に向けて全速で駆けていった。




一方その頃、小町はあかりを抱えつつ、監視カメラを銭投げで壊しながらビッグサイトの中を飛んでいた。
ビッグサイトの中に入っていったのは態勢を立て直すためだ。

「考えたね、小町ちゃん。
 ビッグサイトの中ならマシンもあるし、大火力の攻撃は狂信者もできなくなる!」
「いや……条件はこっちも一緒だ。
 さっきやった八重霧の渡しを無暗に使ったら壁を貫通してマシンに直撃、そんで関東がお陀仏になるかもしれねえ。
 どこか、大技を使っても大丈夫そうな場所はないか?」

セルベリアや狂信者は間違いなく追ってくるため、どこかで最適な迎撃ポイントを探さねばならない。
監視カメラ破壊は居場所がバレてしまうが、小町はそれも計算済みであり、自分たちがどんな罠を張るかにさえ気づかなければ十分である。
むしろビッグサイトに潜り込んだことをアピールしないとセルベリアが格納庫の側に向かって日之影たちが危険に晒されてしまう。
格納庫へ向かって日之影たちを合流したところで無数の狂信者に一点集中攻撃を受けてマシン停止&超兵器破壊どころではなくなってしまう。

「それにしても、セルベリアが竜殺剣を持っていたとは……」

小町が気になるのはやはりヴァルキュリアが竜殺剣を手に入れていた事実。
邪竜をもいとも簡単に倒していたため、戦法さえどうにかすれば神々を殺すことも可能だろう。
ただ悪魔だと仮定した場合、最前線に出て身を危険に晒し、そもそも参加者として殺し合いに参加する必要性には疑問が残るが……
少なくとも悪魔本人でなくとも、関連性があるのは確かだろう。
捕まえて聞き出す必要もあるし、件の悪魔だったら殺すことになるかもしれない。

「まさか奴が世界を滅茶苦茶にした悪魔、もしくは手先なのか?」
「……あかりはそうは思わないな」
「なに? どうしてそう思うのさ?」

あかりの言葉に小町は首を傾げる。


「だってさ、あそこまで必死にクラウザーさんに尽くしている狂信者なのに、クラウザーさんも危険に晒す大災害や殺し合いを起こすと思う?」

570死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:22:08 ID:eTGa3rlc0


あかりの理論はクラウザーの信者ならば、彼の安全を第一に考えるから世界を滅茶苦茶にしないというものだ。

「だったら、狂信者というのがそもそもの演技だとしたら?」
「それもありうるかもしれないけど、狂うほど大好きだったのに、演技なんてできるものなの?
 少なくともセルベリアの『大好き』は『本当』にあかりには見えたの」

あかりは小町よりは一歩退いた場所からセルベリアとの戦いを見ていたため、小町よりも冷静に彼女のクラウザーへの熱愛ぶりが見えたのだ。

「狂信者はモモちゃんやまどかちゃんと違って許されないことをいくつもしてるし、狂信者になる前からしょうもない悪党だった人もいるかもしれない。
 でもね、クラウザーさんへの愛だけは共通してると思うの。
 自分が死んじゃっても良いから、大好きなあの人を助けたい……あの愛は本物だと思う」
「確かに……」

狂信者とは散々戦ってきた影薄組だからこそ、クラウザー愛に狂った集団であるのには納得がいく。
セルベリアもその中の一人だ。

「……ひょっとして悪魔が生きて裏から殺し合いを操ってるとしたら、狂信者こそ利用されているのかも。
 セルベリアはそいつから剣を渡されて、いざという時の囮に使われているのかも。
「替え玉……なるほど、そういう可能性もあるっちゃあるわけか」

黒幕の悪魔が生きていて、セルベリアの狂信を利用して悪魔に改造し、竜殺剣を渡すことでスケープゴートに仕立て上げられた可能性もある。
いざ狂信者が潰れても、セルベリアを黒幕と誤解して討った対主催が偽りの勝利に浸っている間にトンズラかまされる危険もあるわけだ。

「だがあくまで推論だ。
 竜殺剣の出どころを聞くにしろ、マシンを止めるにしろ、大前提として捕まえなきゃいけない」
「それもそうだね」
「今のセルベリアは地下で戦った時よりも格段に強い。
 ドラゴンハートで強化されベジータを倒して大幅にレベルアップしたアタイと同じかそれ以上に。
 むしろ首輪も外れてヴァルキュリア化に制限がなくなった分や距離を操る程度の能力が効かない分、アタイの方がたぶん不利だろう」
「何か逆転の秘策はないかな……どんな手を使ってでも彼女を止めないと」

見ていない内に相当な強敵となったセルベリアを倒すのは至難。
しかも捕まえなくてはならないということは殺すよりもずっと難しい。
手立てを探して小町とあかりは探索する。

「ねえ! あれ使えるんじゃない?」
「おお、あれならセルベリアを捕まえられるかもしれん。
 ついでにセルベリアが本当に狂信者か悪魔かを確かめられるな」

少し遠くからセルベリアの気配も感じ、時間もあまり残されていない中。
二人はとある一室を発見すると、ニヤリと悪そうに笑った後に入っていった。



数分後、セルベリアも痕跡を追う形でその部屋に入ろうとする。
部屋の中は電気を消しているためか薄暗く、小さく狭い。
戦略的には大きな価値はない資材置場だったハズだ。
それを思い出した直後、部屋を覗き込んだセルベリアに向けて紫のエネルギー刃が放たれる。

「――八重霧の渡し、とやらか!」

しかし、セルベリアはこれを冷静にドリスで防御する。
攻撃が止んだ後に槍ビームで応戦を考えたが、小町の後ろ側にはマシンがある配置であり、万が一ビームの威力が壁を何枚も貫通しようなら大爆発である。
一方、マシンの特性を相手が知ったか知らずかわからないが、小町の方は方角的に飛び道具を使い放題である。
一見小町の方が有利に見えるが、そうではない。

(ここに逃げ込むとは……墓穴を掘ったな、小野塚小町!)

資材置場は一方通行になっているほど狭く、小町の機動力を生かせない。
入り口はセルベリアが塞いでいるので、能力を使った脱出も不能。
トドメに影薄であるあかりの存在も心眼で見えているため、小町の後ろで奇襲の機会を伺っているのがバレバレである。

「クソッ、来るな来るな!」
「もうだめだぁ、おしまいだぁ」
「私のレ〇プを受けろ小野塚小町」

小町はやけくそ気味にエネルギー刃を飛ばすが、ドリスの防御力の前では効果は薄い。
ならば飛び道具が使えないセルベリアが取る戦法は一つ、ドリスを盾にヴァルキュリアの槍によるランスチャージで小町を討つ!
単純だが、「貫通」「後の先」の力で間合いに入りさえすれば逃げられない小町を確実に死に至らしめられるだろう。
狭い部屋に逃げ込んだのはまたとないチャンスなのだ。

571死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:22:51 ID:eTGa3rlc0

そしてセルベリアはヴァルキュリアの力を最大限に引き出す。
ヴァルキュリア人のみが出せるラグナイトの青白い輝きが、電灯を落とした暗い部屋を明るく染めた。
そして全力のランスチャージを放つ。

「きゃん!」
「小町ちゃ……」

エネルギー刃はドリスに全て塞がれ、セルベリアは小町に肉薄。
小町は剣で槍を防ぐが、衝撃に腕が耐えきれず剣を取り落としてしまう。
背後であかりの動きが見えたが、心眼で見えているセルベリアには脅威ではない。
次に小町ごとドリスによる一撃で諸共ミンチにするつもりだったのだから。
能力で剣を拾うのも間に合わないだろう。

「これで終わりだ!」
「いや、まだだよ、撃てあかり!」
「うん!」

セルベリアがドリスを片手で振りかぶった瞬間、あかりは突如自分の髪についている左側のお団子ヘアー素手ではがしたと思いきや、投擲した。

「お団子ミサイル!!」

なんとあかりのお団子ヘアーは爆弾(ドラゴンハートの影響…か?)になっていたではないか。
だがセルベリアならばその程度の攻撃は避けられる……ハズだった。

セルベリアは回避行動を取らなかった。
いや、正確には取る必要がなかった。

なぜなら、お団子ミサイルが発射されたのはセルベリアにではなく、彼女の上、天井にあるダクト部分。
そこには小町が持ってるハズの光剣サイファーが隠されていた。

(なに!? なぜあの赤い剣があそこに!? ハッ)

今しがた小町から弾いた剣をよく見ると、床に転がってるのはサイファーではなく、あかりが持っていたエンシェントソード。
そして天井に隠されていたサイファーは小町の距離を操る程度の能力で数瞬後にセルベリアを斬るだろう。
セルベリアの回避は間に合わない。
ここは一方通行になるほど資材が敷き詰められた狭い部屋。
小町と同じようにセルベリアが避けるにはスペースが不十分なのだ。

(やられた……!
 あの恐ろしい切れ味の赤い剣を小町が持ったままと思い込み、剣を落とさせただけで油断した。
 部屋を暗くしたのも影が薄い奴の武器と持ち替えたのを悟らせないためか!)
(あんたの目は影が薄い存在は見抜けるようだが、意志も何も持ってない罠や道具には効かない。
 そして防御は竜殺剣に頼ってるところからして、攻撃に関してはアタイの距離を操る程度の能力を無効化できても、防御に関してはできないようだな!)
(あかりのことを見てくれているのは超嬉しいけど、見えてるからこそ利用させてもらったよ!)

読みあい合戦の結果、小町はサイファーでセルベリアを斬ることが可能になった。
しかし、それはあくまで攻撃の話。
セルベリアには勝利のために自分の命すら捨てる覚悟があった。

(もう躱すのは間に合わないか。
 だったら、相討ちになっても構わない!
 自分の命と引き換えに小町に引導を渡す!!)

セルベリアが身を守る術を捨てれば小町たちを殺す可能性がまだ残されていた。
そして、ヴァルキュリアは渾身の一撃を叩き込もうとし。

「なに!? ぐはあああ!!!」




結果としてドリスは小町たちの頭ではなく、資材置場の床に落ちた。
セルベリアの右腕にはサイファーが刺さり、さらに蹴りでヴァルキュリアの槍も落とさせた。
小町は距離を操る程度の能力でサイファーをすぐに引き抜くと自分の手元に戻し、更に床に落ちたドリスや槍を没収し、サイファーと共にそれをセルベリアの喉元に近づける。
背後にはあかりが拾ったエンシェントソードで狙っており、ここでセルベリアが何か抵抗すれば二人により袋叩きにされるだろう。

「アタイの勝ちだな」
「勝ちだと……よくもまあ、そんな卑怯な真似を使って言えるものだな!!」

勝ち誇り笑顔のである小町に丸腰になったセルベリアは怒号を浴びせる。
それもそのはずだ。
小町たちの直接的な勝利に繋がったのはサイファーを隠した隠蔽作戦によるものではない。



小町は豊満な胸の谷間に、一枚のCD……DMCのファーストアルバムを挟んでいた。

572死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:25:53 ID:eTGa3rlc0



「それは、デトロイト・メタル・シティ トリビュートアルバム〜生贄メタルMIX〜!
 クラウザーさんの名曲を詰め込んだ聖典を信望者である私が斬れるわけないだろう!!」
「CD如きにそんなに怒らんでも……」
「CD如き! それは魂がつぎ込まれたクラウザーさんのアルバムだ!
 盾にされたら攻撃などできん!」

小町とあかりはビッグサイトを逃げ回る中で、資材置場と同時にこのCDを発見。
本物の狂信者じゃなきゃ攻撃できないんじゃないか?と思って小町のデカすぎる胸に挟み込んでみたのだ。
半ば期待していなかったが、ラグナイトの光で見えてしまったセルベリアはこれに気づき、踏み絵を前にした某宗教徒と同じでドリスを振り下ろせなかったのだ。
爆乳脇見せおばさんにとっては屈辱極まりない敗北である。

「クッ、殺せ。どうせなら煮るなり焼くなりレイプするなり好きにしろ。
 だが貴様らの思い通りにはならんぞ!」
「あたいとしてもそうしたいところだがね、……ええと強姦以外は。
 あんたら狂信者はあまりにも人を殺しすぎた。
 大好きな奴が死んだだの、殺し合いの恐怖に負けただのは言い訳にもなりゃしない。
 少なくとも誰かの大切な人を一人でも殺した奴は全員地獄に墜ちりゃいいんだ」
「……ッ!」

けらけら笑っていた小町だが、今度はベジータを殺した時に見せた冷徹な表情に変わる。
まとう冷たく黒いオーラはまさに死神のソレであり、一瞬仲間のあかりでさえ圧倒された。

「狂信者は全員地獄に墜ちるべきか……否定はしない。
 だが地獄に落ちてもまだ、クラウザーさんが生き返るなら満足だろう」
「なに?」
「私や他の多くの狂信者が、大災害発生時かそれより前に生きる希望を失っていたものだ。
 貴様らは殺し合いが終わったら帰れる故郷や温かく迎える家族がいるだろうが狂信者にはそれがない。
 切歌は家族は失い、天子は帰るべき天界を失い、狭間はイジメに苦しんでいた。
 かくいう私も大災害で故郷も滅び、敬愛する方も行方不明。
 日本がどうなろうが殺しあいがどうなろうが関係ない抜け殻だ……死んでも生きてても待ってるのは虚無だけ。
 そこを救ってくれたのがクラウザーさんの歌だったのだ。
 ところが、今度は殺し合いの中でクラウザーさんが奪われた
 また絶望を味わった多くのファンが彼を生き返らせるための狂信者と化した」

セルベリアの言葉に、あかりは怒りで眉をひそめながら言葉を浴びせる。
このままセルベリアを刺し殺さんと思わせるかのような怒気をはらんで。

「自分たちが可哀想だから、周囲の連中を巻き込むの?
 クラウザーさんを希望を満たすためだけの道具にしてるじゃない!
 そんな自分勝手が到底許されるわけがないでしょ!!」
「そんなのはわかってるんだ、クラウザーさんの名誉に我々が泥を塗ってることも!
 だが狂信者は皆、心が弱く、彼の歌がないと生きていけないんだ。
 彼を彼の歌を真に愛してるからこそどうしても生き返したいのだ。
 世間に蔑まれても、クラウザーさんに死ねを言われても構わない。
 我々の生き甲斐にして死ぬ意義を作ってくれるクラウザーさん蘇生だけは阻止させない!」

セルベリアはやがて泣きはらしながらも、信念を曲げなかった。
これに対して小町やあかりも少し落ち着いた様子で彼女に言葉をかける。

「……もはやヤンデレの域だね」
「大した信望ぶりだが、その狂信を誰かさんに利用されてるかもしれないのによ」

573死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:26:28 ID:eTGa3rlc0


「なに? 利用だと?」
「ん?」
「貴様らも何か知ってるのか?
 殺し合いの目的、カオスロワちゃんねるの裏や、救済の予言、テラカオスについて」
「「!!?」」

セルベリアの言葉に、小町とあかりは眼を見合わせる。

「小町ちゃん、このセルベリアさんは筋金入りの狂信者……つまりシロ。
 世界を滅茶苦茶にした悪魔でも、その手先でもないと思うよ」
「てめーにゃ色々聞きたいことがあんだけどさ、まずはこの竜殺剣の出どころを教えな」
「おまえたちも私や切歌のように、殺し合いの裏を調査してたのか!?」
「ああ、ひょっとしたら手前に剣を渡した奴を狂信者をぶっ潰す前に斬っておかないといけないかもしれねえ」

まさか三人の女たちは敵同士でありながら、独自に殺し合いを調査していたことを知らなかった。
セルベリアは少し考えた後に提案をする。

「情報交換に応じるが、いくつかの条件がある。
 一つ、武器を返せ。
 二つ、黒幕を殺すまでは休戦協定だ。
    終わるまでお互いを攻撃しないし、クラウザーさんの蘇生手段だけは手を出すな。
 三つ、黒幕を殺したら休戦協定は解除。再び敵同士だ。
    小町! あのずるくて勝ち方だけは絶対認めん、私との決闘をやり直せ!」
「なんか、随分おまえさんに有利な条件じゃないか?」
「飲まないなら別にいいぞ。私も情報を吐かず、狂信者仲間も呼び寄せる。
 私も死ぬかもしれんが、おまえたちも黒幕を取り逃がして酷い目にあうだろうな」

小町はしばし考えた後、あかりに視線を向ける。
あかりも敵であり、潰す予定だった狂信者と手を組みことには悩んだが、最終的には小町の判断を信じるとうなづいた。

「わかった要求を飲もう。もっと取り返しのつかない何かが起こる前の、必要な情報交換と一時休戦だ」






しばらく時間が経ち、23時過ぎ。
ディーは指令室の椅子に座りながら格納庫とセルベリアの戦況が気になっていた。
両方とも監視カメラが細工等で破壊されているため、どうなっているかがわからないのだ。
わかるのは黄泉レ〇プマシンが無事であることだけである。

「セルベリアはああ言っていたが、やはり私も前線に出るべきだろうか……」

ビッグサイトの廊下は無理だが、格納庫の方はウィツァアルネミネア化しても暴れられるスペースがある。
超兵器のアーマーを今、失うのはまずい。
かといってセルベリアがやられればマシンを守る存在が誰もいなくなる。
そうなれば詰みだ。

「アーマーかセルベリア、どちらかがやられれば、いよいよ自決でも考えるか」

上層部が全滅すればマシンは自動的に自爆して、関東を焼き払う爆弾と化す。
最後に残った上層部の人間が死ねば、ほぼ全ての参加者を巻き込んで日本を粛正の炎に巻き込める。
ディーにとってはクラウザーさんが生き返らないことは、世界を滅ぼした方が良いと同義であった。
そう考えていた時に備え付けの通信機ごしにセルベリアからの通信が入った。

『ディー、なんとか小町を仕留めたぞ』
「それは本当か、セルベリア!」
『ああ、真っ二つにSATUGAIした』

画面には赤毛の少女らしい死体の顔が見えた。
本当に真っ二つにされたようで断面はぐちゃぐちゃであり、生気を失った瞳には絶望の色が覗く。

574死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:27:18 ID:eTGa3rlc0

「セルベリア、君自身は大丈夫か?」
『腕に怪我はしたが、軽傷だ。
 このまま格納庫で切歌たちの援護に向かう』
「わかった、私はこのまま侵入者を逃がさぬようビッグサイトの封鎖を続ける。
 必要なら増援もありったけ送る、今後の戦いに欠かせないアーマーとサーフ博士たちを守ってくれ」
『お心遣いは嬉しいが私一人で十分だ』
「そうか、だが無理はしてくれるなよ」

セルベリアの勝利報告に安堵した様子でディーは通信を切った。


なお、通信を行った廊下では。

「よし、これで当座は稼げるだろう」
「魔理沙……悪いね、成仏しなよ」

通信で見せた死体は小町のものではなく、ディパックに眠っていた魔理沙の死体だ。
彼女の亡骸を資材置場の塗料で赤く塗って誤魔化したのだ。
放送が流れれば小町の生存が気づかれてしまうも、一時間程度稼げれば、黒幕討伐の時間には十分であろう。


「しっかし、天魔王軍の件で臭いとは思ってたけど本当にカオスロワちゃんねるが黒幕が殺し合いを操っていたツールになってたなんて」
「必要以上に悪者扱いされてた魔物や聖帝軍のみんなも、黒幕の情報に踊らされてたんだね!」

小町たちは都庁を出発した時間の都合上、カオスロワちゃんねるが危険であることまでは知らなかった。
元々信頼できる情報が少ないと思っていた程度には認識していたが、セルベリアの口から本当に危険な掲示板であったことに驚く。
そして一方のセルベリアも世界に大災害を招いた悪魔が竜殺剣を持っていたなど知らない情報もあったため、黒幕の正体にたどり着くことができた。

「黒幕の名前はサーフ・シェフィールドって奴か」
「なんか聞き覚えがある……モモちゃんも使ってる雀力を発見した科学者だったかな?」
「サーフは私に悪魔の力を植え付け、世界に一つだけだったハズの竜殺剣を渡した。
 サイドバッシャーが言っていたニルヴァーナ出身の科学者であることも合致する。
 おまけにオシリスの肉体から艦むすを作ってもいた……クロ確定だ、少なくとも黒幕の手先程度は確実にある」

討つべき敵を見定めた、三人はサーフがいる格納庫へと足を進める。

「ところでセルベリア。ディーって奴や、他の狂信者には通信でこのことを伝えないのかい?」
「いや、狂信者の中にサーフと結託した仲間が隠れている可能性もある。
 狂信者でも信頼できるのは切歌とレジーナぐらいだ、今はおまえたちの仲間と交戦していて通信どころではあるまい」

サーフの正体はわかったが、サボテンみたいな悪魔と謎の少女の行方は不明。
他にも仲間がいる危険をセルベリアは考慮し、今は仲間内にも秘匿するのだ。

575死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:27:55 ID:eTGa3rlc0

「幸い、格納庫には奴の研究室もある。そこから仲間を炙り出せる手がかりがあるかもしれない。
 上手くいけばサーフの悪行を狂信者や世間に知らしめて奴を追い詰めることもできる」
「一つ質問だが、あたいらはあんたらが邪竜を殺した兵器を破壊しようとしてんだが……もし格納庫につく前に壊されても文句を言うなよ?」
「あれを改造したのもサーフだ、奴に有利に働くように兵器自体が細工されてるかもしれん。
 だったら壊してくれても良い……まあ、壊せればだがな」
「言っとくけど黒子もモモも日之影もめっちゃ強いぞ。舐めてもらっちゃ困るね」
「忘れない内に私からも言っておくが、私たちは本来敵同士……下賤な黒幕を殺したら次は貴様たちと殺し合いだ」
「ま、まあまあ、今はまだダメだよ」

あくまで黒幕を殺すまでの同盟。
それが終われば敵同士として再び殺しあわなければならない。
互いにサイファーとドリスを向けあう程度には、まだお互いを許してはいないし、許す気もないのだ。
緩衝材としてあかりがいないと、再び二人は戦いを始めるだろう。


「というかさっさと乳からクラウザーさんのアルバムを出せ、不届き者!」
「ええ? だっていちおう休戦協定だし、おまえさんには武器を返したんだから保険としてこれくらい良いだろ?
 きゃんッ、こら! 勝手に揉むんじゃない!」

小町は未だに生贄メタルMIXのCDを谷間に挟んだままだった。

「私も一度やりたかったが、畏れ多くてできなかったんだぞ!」
「……泣いて言うほどかい」
「このおばさん、けっこう天然な人なんじゃ……」


そんなこんなで、一時的にだが対主催と狂信者の、有り得ないハズの同盟が生まれた。



【二日目・23時15分/東京都 ビッグサイト内部】

【セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア】
【状態】ダメージ(中)、疲労(小)、右腕負傷、人修羅化、首輪解除
【装備】マロガレ@真・女神転生Ⅲ、竜殺剣ドリス@セブンスドラゴン
【道具】支給品一式、四条化した魔理沙の死体1/2(髪を赤く塗った)
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、自爆はしたくない
0:格納庫へ向かいサーフの悪事を暴いて粛正する
  そのため一時的に影薄組と同盟を組む
1:自爆による心中は反対、最後まで諦めたくない  
2:最悪の場合はディー達を……?
  もしディーがサーフの仲間なら躊躇なく殺す
3:ゼロという男に対しての疑念
4:黒幕を討伐したら休戦を解除し、小町たちと戦う
※マガタマを取り込むことで人修羅化し、物理攻撃を無効化する敵にも物理攻撃でダメージを与える貫通のスキルを得ました。さらにポテンシャル『貫通攻撃』と重ねて防御力そのものも無効化できます
※スキル『心眼』も装備、不意打ちやステルス攻撃が効きません
※竜殺剣を所持している限りは竜や龍に対して特攻ダメージを与えられます
※自爆による無理心中の件には納得がいっていない様子です
※小町たちとの情報共有により、殺し合いの目的や救済の予言の意味、黒幕の正体全てを知りました


【小野塚小町@東方Project】
【状態】ダメージ(中)、疲労(小)、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】サイファー@ストライダー飛竜、乳の谷間に生贄メタルMIX
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:格納庫へ向かいサーフの悪事を暴いて裁く
1:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させる
  が、今はセルベリアとの休戦協定により後回し
2:何か必要があるまではCOMPの中に待機する
3:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
4:もう二度と仲間を置いて行こうとしない
5:時が来たらヘルヘイム扱いされた都庁の長ダオスを倒す演技をして世間の混乱を収める
※予言やテラカオスの真実、カオスロワちゃんねると黒幕の正体を知りました
※小鳥発案の偶像計画のため、表向きは都庁の敵のフリをしています

576死神とワルキューレ ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:28:27 ID:eTGa3rlc0


【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】ダメージ(中)、疲労(小)、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
    頭のお団子左側消失
【装備】エンシェントソード@Minecraft、デモニカスーツ@真・女神転生SJ(ヘルメット消失)
【道具】マムルの肉@風来のシレン
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する!
0:格納庫へ向かいサーフの悪事を暴いてやっつける!
1:ビックサイトに潜入し、クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者に殺し合いをやめさせたいけど
  今はセルベリアと休戦だから後回し
2:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
3:都庁のみんな、あかりたちが戻ってくるまで無事でいてね……
4:世界の危機を前に主人公かどうかは関係ない! 世界のために頑張ってる人全員が主人公!
5:日之影さんたち大丈夫かな…?
※予言やテラカオスの真実、カオスロワちゃんねると黒幕の正体を知りました
※ドラゴンハートの影響(?)でお団子ミサイルが使用可能になりましたが、残弾はあと一発だけです



【ディー@うたわれるもの】
【状態】魂のダメージ(中/回復不可)、首輪解除
【装備】刀
【道具】支給品一式、クラウザーさんクローン×300、ネオ・ジオングスーツ
【思考】
基本:クラウザーさんの復活、もしくは世界をSATUGAI(無理心中)する
0:セルベリアや切歌を信じ、指令室に残る
1:黄泉レ○プシステムをさらに盤石にするため、引き続きマグネタイトは回収する
2:ネオ・ジオングスーツが完成次第、サイコシェードで会場から非信者を一掃する
3:蘇生が不可能だと判断した場合は黄泉レ○プシステムを暴走させて世界を粛清する
4:自分が死んだ場合はセルベリアにまとめ役を引き継がせる
5:ドリスコルたちが死に都庁攻略が失敗した情報が来たが、セルベリアたちの士気をくじかないために今は秘密
※首輪解除によりウィツァルネミテアの力をある程度解放できますが、空蝉であるハクオロの死体が見つかってなにので完全には実力を発揮できません
 また、蘇生関連の能力制限だけは首輪とは別の力が働いていると見ています
※パワーアップのためにネオジオング@機動戦士ガンダムUCを改造したスーツを開発中です
※沖縄の異常気象をクラウザーさんによるものであると思っています
※現存する組織のうち、あと三つ滅ぼせば黄泉レ○プシステムを起動できます
※サイコシェードを使うたびに願いを叶える力の代償として魂がダメージを受けてしまいます、これは回復できません
※ネオ・ジオングスーツがサーフにとって都合が良い人物は死なないように細工されていることは気づいてません

577 ◆gmrRot5lNM:2020/04/04(土) 16:28:54 ID:eTGa3rlc0
投下終了です

578 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/04(土) 18:19:36 ID:QMxyXi8Y0
投下乙です
予断を許さないけど、爆乳ズが一時的でも同盟組んだのは熱い

そして内心被ってなくてほっとしたけど、
自分も狂信者格納庫組+日之影、モモ、黒子で予約します

579 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:24:22 ID:gjWG0zdY0
予約していたビッグサイト格納庫メンバーで投下します

580 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:25:00 ID:gjWG0zdY0
ネオ・ジオングの眠る格納庫……
そこで行われていた攻防戦は、影の薄い少女の叫びにより待ったがかけられた。

「どういう、こと……?」

まずはレジーナ。
彼女はマナの件もあり、完全に戦闘状態を解除していた。

「何を言ってるんや嬢ちゃん? 悪いが殺害――」
「ま、待って欲しいデス松ちゃん!? 今の話は……」

松本は我関せずに攻撃を再開しようとするが、それを切歌が止める。
彼女もレジーナを同じく、既に戦闘状態を解いていた。
それは失ってしまったサイドバッシャーが遺した話と関係があったからこそだ。

「……」

そしてそんな二人の裏で、深海棲艦達も動きを止めていた。
彼女達の攻撃が無ければ、影薄達の完全な位置は補足できない。

「……しゃあない、ちょっとだけやで?」

こうなってしまえば、渋々ではあるが松本も戦闘を止めざるを得ない。
殺害は容易いが、あくまで自分はまだ狂信者のフリをしなくてはならないのだ。
彼女達が攻撃を止めたのであれば、自分もそれに従わなければ後々面倒になる。

「……少しは、話を聞いてくれるみたいっすね」
「お、おい大丈夫なのか?」
「ごめんなさい。でも、どうしてもこれは伝えなきゃならないことっすから」

そしてモモも戦闘状態を解いた。
敵地の中心で、本来なら自殺行為だ。
日之影も心配するが、モモは構わずに狂信者達へ対話を試みる。

きっと今この場に、都庁に残った仲間達がいれば猛反発を受けたことだろう。
みんな自分を守るために、庇いながら狂信者を倒そうとしてくれたかもしれない。
それでも。それでも彼女は、対話を試みたかったのだ。

「この大災害、クラウザーさんを間接的に殺したも同然の存在は――」
「ま、待って! それも気になるけど、マナを……マナを殺したのが狂信者っていうのは本当なの?」
「本当っすよ。……そっちの大きい人、さっき松ちゃんて呼ばれていましたけど、もしかしてダウンタウンの?」
「そ、そうや。あの松ちゃんやで?」

いざ裏の悪について語られると思っていたが、先にレジーナの大切な人の話が先か。
そう思っていた矢先にまさか自分が呼ばれるとは思っていなかった松本は、思わず正直に答えてしまう。

「……あなたの相方の浜ちゃんさんも、少し関係してくるかもしれません」
「な、なんやて!?」
「少し、長くなるかもしれないっす。それでも、どうか聞いてください。
 私達が、みんなが戦ってきたこれまでを……」

決意の表情で口を開くモモに、狂信者の誰もが耳を貸した。


(くそ、そんな下らない話なんてどうでもいいんだよ! 何処だ、何処から僕の情報が漏れた!?)


ただ一人、物陰でサーフのみが焦らされているのみ。
当然誰も気がつかずに、ステルスモモの独壇場が始まる。

581 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:26:42 ID:gjWG0zdY0
「……思えば全ての始まりは、クラウザーさんのゲリラライブ会場だったのかもしれません」
「どういうことデス?」
「クラウザーさんのライブは、何よりも昂ぶって嫌な気分を吹き飛ばせるっす。
 だから、一人の男性が道中で保護した女の子と、その場で疲れている様子だった女の子の二人を招待した。
 その男性が……浜ちゃんさんでした」
「なっ……!?」
「浜ちゃんさんがライブに招待した女の子二人は、鹿目まどかさんと桃園ラブさんだったっす。
 そして……いつまでも続くかに思われたクラウザーさんのライブは、予期せぬ形で終わりを迎えることになった」

一息をついてから、モモは口を開く。

「ライブハウスが、怪物に襲われた。この時に……クラウザーさんや多くのファンは命を落としてしまいました。
 そんな中で浜田さんはその身を挺して、まどかさんを守り抜いたそうっす……」
「浜田……」

相方の死の真実に、松本は小さく声を震わせる。
まさか相方が隠れクラウザーさんファンだったのにも驚きだが、その最期はさらに驚きだった。
なんの因果だろう。まさかクラウザーさんと同時に命を落としていただなんて。
それも女の子を庇って死んでしまうだなんて。

「この時、ラブさんは運よく別室で仲間のプリキュア、美希さんにマナさんとの合流を喜んで無事だったそうです。
 そして浜ちゃんさんに守られ、唯一生き延びたまどかさんに、怪物はトドメを刺そうとして……
 そんなところを、プリキュアと魔法少女の皆さんが駆けつけて、クラウザーさんを殺した奴に天罰を与えたっす」
「よくやったデスよマナさん達! ……もう少し早くついていれば、浜ちゃんも助けられたかもと思うと、悔しいデスが」
「ええんや。浜田が、自分で選んだんやからな……」

切歌の寂しそうな声に、松本は首を振る。
勿論相方が死んだのは悲しい。もう少し早く駆けつけていればと思ったのは、自分も同じだ。
だがそれでも……浜田の死に様に、何も感じなかったわけがない。
子供を庇って命を落としたということは、逆に言えば子供を盾にすれば浜田は最初の一撃を凌げた可能性が高い。
そして駆けつけたプリキュア達に助けられ、今も元気にしていたかもしれない。
浜田は、自分の命よりも見ず知らずの少女の命を選んだ。
相方の自分と生きて合流するよりも、だ。
それが悔しくもあり、そして誇らしくもあった。
丸くなった、優しくなった……色々言われていたが、確かに浜田は誰かを想って行動できる男だったのだから。


「こうしてまどかさんは、お友達の魔法少女とマナさん達プリキュアに助けて貰えたわけですけど……
 今度はここに、巨大な氷の竜……都庁の魔物がまどかさんを狙って襲撃をかけてくる。
 竜は圧倒的な強さで、誰も敵わずにまどかさんは為す術なく連れ去られるっす」
「おいくそドラゴン、浜田が守った子に何してんねん!?」
「マナ達がいても勝てないだなんて……というか、そのまどかって子狙われすぎじゃない?」

気がつけば、松本もレジーナもモモの語る話につっこみを入れる程度には緊張感を解いていた。
直前までSATUGAIをしようとしていたなど、誰に分かるだろうか?

(この流れだと、もしかしなくても……)

そんな中で、切歌だけは嫌な汗を流していた。
クラウザーさんのライブ会場に集まった面子、そして都庁の竜の襲撃。
これはその場にいた誰かから聞かなければ、この影の薄い少女には絶対に分かりえない情報だ。
それを知っていると言うことは、つまり生き延びた誰かと交流があるということ。
それはつまり……

582 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:27:40 ID:gjWG0zdY0
「彼女達は急いで竜の後を追おうとしました。そしてそんな時……私達は出会ったんすよ。
 たまたま傍にいたオオナズチとも協力することになって、空から竜の帰還場所である都庁を目指したっす。
 そう……マナさん達プリキュアとほむほむさん達魔法少女、彼女達と私達は一緒に動いていたんです」
「マナ……」
「あまり、その先を聞きたくないデス……」
「? どうしてや?」

浜田が守った一人の少女。
そこから生まれた、プリキュアと魔法少女と影薄の縁。
嘘をついている様には、誰にも見えなかった。
モモも恐らく、それを見越して丁寧にこれまでを語っているのだろう。

「そしてついに都庁に辿りついた時。番人には、麒麟さんがいたっす。
 それを……んっ、なんとか退けた後に、怒った本物の番人さんが現れて、私達全員があっという間にのされたっす。
 至近距離からの不意打ち斬鉄剣も効かなくて、正直あそこで死んだと思ったくらいっすよ」
「硬い都庁の番人、こっちでも警戒すべきSATUGAI対象になっていた男の人デスね?」
「そ、そいつ!? そいつがマナを殺したの!?」
「お、落ち着いて欲しいっすレジーナさん」

どうどうとレジーナに待ったをかける。
彼女はじりじりと迫る大切な人の死の真相に、気が気ではなかったのだ。

(やっぱり、この人達はまだ……完全には狂いきれていないんすね)

そんな様子を見て、モモはやはり対話を試みて正解だったと思う。
レジーナは、こんなにもマナを気にかけている。
切歌も武器をおさめ、先程の言葉からしてもうマナがどうして亡くなってしまったかも察しているようだ。
松本は少し怪しいが、相方の死の真相を聞かされた時に漏れた声は、本当に悲しみの混じったものだった。
みんな、誰かを想う気持ちがまだ残っている。
本当にクラウザーさんを想うなら……或いは。

改めて決意を固めて、モモはゆっくりと口を開く。


「……番人さんは、加減をしてくれていました。だから、この時には誰も死んでいないっすよ」
「え? どうして、向かってくる敵には都庁の連中は容赦しないって……」
「ある人にお願いされていたからっすよ。そのある人が……まどかさんっす」
「え? え? だってその子は攫われて、でも都庁の番人はその子のお願いを聞いた……?」
「まどかさんは、グンマ―の血を色濃く継いだ人だったんす。だから、都庁の竜は攫って、安全な世界樹に匿おうとしてたんです」
「!!」

その場の誰もが衝撃を受ける。
都庁の竜は、少女を攫いこそすれ危害を加える気は無く、それどころか保護対象としていた。
そうなると、彼女を奪還しようとしていたプリキュア達とは――少なからず、利害が一致している。

「勿論、私達の誰もが驚いたっす。でもやっぱりあの頃は、お互い完全に信用しきるということも皆さんできなくて……
 とりあえず、時間も時間だったすから。仮眠室で一度休もうということになったんす。
 そして……っ、みんなでこれからどうしようかと考えている矢先に、二つの事件が起きました」
「……っ」
「……当然、知っているっすよね? 狂信者の中には、魔物もいたって。
 潜伏していた狂信者、ラージャンとデスマンティスが、寝込みを襲ってきて……
 ――警護していた都庁の魔物を殺した後、マナさんと美希さんをっ、下半身だけの姿にして殺したんすよ……!!!」


「そん……な……」

583 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:28:28 ID:gjWG0zdY0
ついに告げられたマナの最期を聞いてしまい、レジーナは膝から崩れ落ちる。
切歌はそんな彼女をそっと支えるが、その表情は酷く沈んでいた。
無理もないだろう。こんな世界でも友と呼べる存在と出会えたというのに。
そんな彼女の大切な人を奪ったのは他ならぬ自分達狂信者だったのだから。

切歌もレジーナも、予想だにしていなかった。
聖帝軍が逃げ込んだという現在ならばともかく、この段階から都庁内にそれほどの人間が集まっていただなんて、わかるわけがない。
狂信者にとって都庁は、大量の生贄が内包された極上のクラウザーさんへの供物にすぎなかったのだから。


「マナを、狂信者が殺した……マナを、狂信者が……」


震える声でレジーナは同じ言葉を何度も呟く。
その姿は狂信者では無く、ただただ大切な人の死を嘆く一人の少女でしかなかった。
松本を含めた誰もが、口を噤み黙ってしまう。

「……」

だがやがて、ゆっくりとレジーナは立ち上がる。
涙をボロボロと零し、その全身を震わせながら。


「……狂信者は、許せないっ……!」


ギリッと歯を食いしばる少女。そこには明確に、狂信者への敵意があった。


「でも……それでも、それでも……
 クラウザーさんが、それに切歌が、私を救ってくれたのも確かなの……っ!」


同時に、クラウザーさんや切歌への想いも。
確かに狂信者はマナを殺した。だがそれにより空虚になったレジーナを立ち直らせたのも、クラウザーさんと切歌だ。
相反する感情を抱きながら、レジーナは葛藤する。
もはや狂信者に手は貸したくない。でもクラウザーさんには生き返って欲しい。
どうすればいいのか、わからない。


「……私も、狂信者達は許せないっすよ。マナさん達だけじゃない、他に沢山の人を殺している。
 みんなの大切な人を……それぞれのクラウザーさんのような人を、殺し続けているんすから」
「……」


トーンを落としたモモの声に、レジーナも切歌も松本も、誰も反論ができない。
できるわけがない。クラウザーさんの為に、己の命を含むあらゆるものを犠牲にしているのだから。


「……でも、それは私達も同じことっすけどね」
「え?」
「私達だって、沢山の狂信者……あなた達にとっての大切な人を、殺しているっす。
 クラウザーさんさえ亡くならなければ、こんな殺し合いさえ無ければ、もしかしたら語り合うこともあったかもしれない人達を……」

揺らぎ、表情も霞んで見えにくくなるステルス少女。
しかし狂信者達は、彼女が静かに泣いていることを察せられた。

584 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:29:43 ID:gjWG0zdY0
どうして対話を持ち出したのか、当の本人もわかっていないだろう。
ただ、クラウザーさんのファンの一人として……
切歌達から、クラウザーさんに対する『本当の』想いを感じ取れたからなのかもしれない。


「……レジーナさん」
「な、なに?」
「あなたはマナさんを狂信者に殺された。だけど、横の切歌さんと松ちゃんさんを殺そうとはしていないっす。
 それだけ……クラウザーさんと、二人も大切なんすよね?」
「……うん」
「……やっぱり、話してみようと思って正解だったっすね。
 クラウザーさんを真に思うなら――どうか、私達に手を貸して欲しいっす!」
「!?」

まさかの言葉に、誰もが絶句する。
今、この影の薄い少女は何を口走った?

「……勿論、私も……都庁には、もっと狂信者への殺意が募っている人も大勢いるっす。
 こんな提案をしたなんて後でわかったら、私も一緒にとっちめられるかもしれないっすね」
「と、当然デスよ!?」
「それでも……目前まで迫っている危機を防ぐには、少しでも多くの協力が必要なんです。
 信じられないかもしれないっすけど……次の大災害は、もうそこまで迫っているっす。
 それに、このままではクラウザーさんの身も危ないんすよ……!」
「なっ!?」

そして続け様の爆弾に再度絶句。
根っからクラウザーさんの復活を望む切歌達にとっては、無視できない発言だ。

「クラウザーさんが危ないって……どういうことデス!? 答えやがれデスよ!?」
「……これも、順を追ってちゃんと話すっすよ。
 さっき言った二つの事件……実は、狂信者に襲われる前に別の人からも襲撃を受けていました。
 それが――風鳴翼という女性っす」
「……ふん、そいつのことはよーく知ってるデスよ……」

ここに来て、自分のよく知る名を聞いた切歌は露骨に渋った表情をする。
食人鬼に成り果て、心底失望した女性の名を今になってまた聞くとは。

「私達も、殺されかけました。門番さんが庇ってくれなければ、絶対に食われてたっす。
 とてつもなく恐ろしい食人鬼……でも、そんな彼女も犠牲者だったんすよ」
「ど、どういうことデス?」
「……この殺し合いの目的は、テラカオスを生み出すこと。その為に、日本中にテラカオス化の為のナノマシンが撒かれて……
 風鳴翼さんは、運悪くそのテラカオス候補に選ばれてしまったんすよ」
「!!!」


――テラカオス

ついに出たその言葉。
知りたかった真実が、聞けるのかも知れない。
相も変わらず物陰に潜むサーフを含め、誰もがステルスモモの言葉に耳を傾ける。

585 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:30:54 ID:gjWG0zdY0
「私達は彼女に襲われた後、都庁の中で色々考えていました。
 大元は、私達と一緒に行動していた騎士様が遺した言葉だけだったっすけど……
 色々な理由から、都庁にはどんどんと人が集まって、みんなが断片的にこの殺し合いの情報の断片を持っていたっす。
 そして……聖帝さん達の協力もあって、救済の予言の正体にも辿りつけたんす。
 そんな時でした。まるで自力で予言を解いたみんなを確かめるように、竜の神様が降臨したんすよ」
「りゅ、竜の神様デスか?」
「はい。残念なことに私は直接は会えなかったっすけど――第二真竜・ノーデンスという名前だったそうっす」






(っの……やってくれたな、クソ真竜があああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)



その名前を聞いた瞬間、サーフは心中で激しく叫んだ。
タバサの情報により、サーフは真竜に関する知識も得ていた。
第一真竜・アイオト
第二真竜・ノーデンス
第三真竜・ニアラ
第四真竜・ヒュプノス
第五真竜・フォーマルハウト
第六真竜・ヘイズ
別称グレイトフルセブンスと呼ばれはするが、6体しかいない、馬鹿しかいないと散々な言われようであったのは記憶に新しい。
現に第三はひげのおっさんに殺され、第五は野球チーム所属した後に爆散した。タバサの言葉も、間違ってはいないだろう。
しかし彼女は同時に警告もしていた。第一と第二だけは、他とは次元が違うと。
竜殺剣が無ければ勝つことは絶対に不可能とまで言われた。
だからこそ、多額の研究費と時間を費やして、ついに現代に竜殺剣ドリスを復元したのだ。
なお材料は、オリハルコンに唯一竜殺剣が無くても抹殺可能で専用曲もついぞ貰えなかった哀れな第六真竜だったりする。

そしてタバサの言葉通り、竜殺剣の威力は凄まじかった。
あの計画実行の日、真っ先に現れたのは第一真竜・アイオトだ。
彼は厳かに、計画を止めるようサーフに冷静に言い放った。
そんなアイオトを、ドリスは一撃で狩り殺してみせたのだ。
実に他愛ない。上位神、真竜といえどこの程度かと、サーフはアイオトを嘲った。


『忠告を無視し、私を滅ぼす。それがお前の選択か……
 それも道の一つだ。しかしそれが正しいかは誰にもわからない。正しき道など、元からありはせぬのだから。
 私は既に役目を終えた者。影より、お前とノーデンスの子らがどう動くか、見定めるとしよう……』


だというのに、アイオトは一切その態度を崩さず、余裕さえ感じさせた。
腹が立ち、そのままなます切りにして完全に消し去ってやった頃には、戯言と聞き流していたが……
まさか、片割れのババアが生き延びていたとは。
あの時、ノーデンスは現れなかった。それでいて何故、感づかれたか。

(枯れた老害の分際でやってくれる……! あいつ、自分を囮に僕に竜殺剣を使わせたっていうのか!?)

サーフはすぐに答えに行きついた。
アイオトはサーフの前に姿を現すことで、竜殺剣を使わざるを得ない状況を生み出したのだ。
現役引退したとはいえ真竜。通常手段ではまともな傷も与えられず、もたつけば武道や他の神々に囲まれる。
確実最短の抹殺の為に持ち出した竜殺剣。まさかそれが、遠方の同族に黒幕の情報を伝える鍵とされるとは。

(あの時、唯一討ち損じたミザールを念の為に大和を利用して始末したっていうのに……!)

586 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:32:11 ID:gjWG0zdY0
これは完全にサーフの計画外だった。
大災害を生き延びた神々は、ミザールくらいだと思い込んでしまっていた。
そのミザールも、言語を理解できる存在が現代にはいない。だからこそサーフは彼が都庁にぶら下がっても危機感を覚えることはなかった。
後で念の為に殺しておこう。その程度の認識だ。
何故この時、ミザールが都庁にぶら下がったのか。そこまで考えを巡らせるべきだったか?
いや、誰もわからないだろう。ノーデンスが呼び寄せたと推測するにはあまりにも情報が少なすぎた。
せめて都庁が、巨大な世界樹になる前であれば。或いは擬態していたノーデンスも見つけられたかもしれない。

(いや、今はそんなことを考えている場合じゃない……!)

都庁に現れた神々の生き残り。しかし彼女はニルヴァーナにはいなかった。
だから完全には黒幕の正体には至っていない筈。
しかしアイオトの計略によって、竜殺剣の持ち主だということは感づかれている。

影薄や都庁の連中は、竜殺剣に対する知識など持たないだろう。
だから、ノーデンスの情報でも黒幕には辿りつけなかった。


だが。


今、この場でその情報を再度話されると、状況は一変する。





「ノーデンスさんは、過去にもあった大災害と戦争の歴史、救済の予言についての情報を残してくれました。
 そして最後に、この馬鹿げた殺し合いを引き起こした、諸悪の根源とも言うべき存在の情報もくれたっす!
 黒幕は、悪魔の力と竜殺剣を持つ――」







「逃げろっ!!!!」





いつでも動けるようには身構えていた日之影が、力の限り叫ぶ。

それに、モモの反応は遅れた。
誰もが自分の話をしっかりと聞いてくれている。だから、もう戦いになることはないと思っていた。
あれだけ注目を集めれば、ステルスはとっくに機能していない。

切歌とレジーナも、反応が遅れた。
最初こそ戯言だと思っていたが、とても嘘をついているようには見えなかったステルス少女の言葉。
彼女が改めて黒幕の特徴を口にした時、二人の思考は殺意に支配されてしまった。
彼女達の方が、話している当のモモより先に黒幕の正体に気付いてしまったから。


いつの間にか、三人を遠巻きからぐるりと包囲するように構えていた深海棲艦からの一斉砲撃に、反応が遅れたのだ。
彼女達は話を聞いていたわけではない。ただ、提督の指示に盲目的に従っていただけ。
サーフがモモの話を聞きたいから微動だにしなくなり。モモと切歌達が邪魔だと判断したから、沈めにかかるだけ。それだけの存在。

587 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:33:05 ID:gjWG0zdY0
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ! 伏せやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」




そんな中で。

ただ一人――松本だけは動けた。
いや、正しくは彼も反応は遅れていた。
しかし少女達と違い、圧倒的な巨体を誇る大日本人の身体は、ただ倒れ込むだけで巨大な防壁となった。


「……!」


松本の身体が壁となり、深海棲艦の砲撃が少女達を殺すことは叶わず、仕損じたことに深海棲艦も僅かに顔を歪める。
何故、咄嗟にこんな真似をしてしまったのか。砲撃を浴びながら、松本はわけがわからなかった。
自分はただただ浜田の為に動いていた。こんな少女達を庇う義理などない。

その筈だったのに。
浜田が命を賭して救った少女が、この影の薄い少女達と今も頑張っているのだと知ってしまったためか。
或いは、狂信者の筈なのに自分なんかを信じ、浜田の死すら悔やんでくれた切歌に、ほんの少しでも心を許してしまったのだろうか?



――考えをまとめる前に、松本の項にどこからか伸びてきた骨のような刃が突き刺さった。



「ち……俺も焼きが回ったわぁ……」
「松ちゃん!?」


項は大日本人の弱点。内部にいる松本本体を、的確に刺し貫いていた。
一瞬で視界が真っ赤に染まる松本は、自嘲するように吐き捨てながら、ゆっくりと沈んで行った。


「浜田……ごめん、なぁ……」



【松本人志@現実】 死亡確認



「まっちゃああああぁぁぁぁぁぁぁん!!!」


崩れ落ちる巨体、響く少女の絶叫。


「くっ、そ……!」


凄まじい速度で、深海棲艦を薙ぎ倒していく英雄。
再開された戦乱の中で、舞い上がる土煙。
その中に、それはいた。

588 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:33:41 ID:gjWG0zdY0
「オオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」



松本の項から刃を引き抜く、黒き悪魔――リアルヴァルナが。


(くそ、くそくそくそ! どいつもこいつも、僕の邪魔ばかりしやがって……!)


松本の咄嗟の行動により、深海棲艦の奇襲による少女達の抹殺は失敗してしまった。
深海棲艦も当然強化改造してあるとはいえ、姫級は数が少ない。
かといって他の型では、あの影の薄い英雄の前では紙切れのごとく吹き飛ばされている。

再度攻撃を仕掛け、少女達を殺してから相手取る?
ネオ・ジオングスーツを守らねば、ディーが暴走する危険性もある。



――ヴァルナがそう考えた瞬間、ネオ・ジオングスーツが轟音をあげながら瓦解した。




(なっ……!?)



馬鹿な。そう思った時にはもう遅かった。
一か所を爆破されたのではない。内部から複数個所を同時に爆破された。
これではもう、いくら自分でも復旧させるには途方もない時間を要する。


(っ……!)


それを確認したヴァルナが選んだのは――逃走。

僅かばかりの深海棲艦を日之影への足止めに残し、それ以外の深海棲艦と共に急いでその場から逃げ出した。
切歌達に正体がばれた。ネオ・ジオングスーツまで破壊された。
こうなってしまえば、もう狂信者のふりをして潜伏などしていられない。


(まだだ、まだ……!)


リアルヴァルナの姿のままの逃走。
これはこの後、他の参加者と出会ってもサーフと結びつかせない為でもあった。
切歌達も誤解し、ヴァルナは黒幕サーフの操る一悪魔に過ぎないと考えるかもしれない。
たとえ少しでも自分の計画の維持に使えそうなことは実行する。


そして黒き悪魔は、この場の脱出には成功する。

この場でただ一人、その後ろ姿を確認している存在に気がつかずに。

589 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:34:12 ID:gjWG0zdY0
「……夜叉鬼・リアルヴァルナ、ですか」



ネオ・ジオングスーツの残骸の上から観察していたのは、影薄の黒子であった。
彼はモモの対話が始まった時から、ひっそりと一人でネオ・ジオングスーツに登っていたのだ。
対話はモモが。万一の時は日之影が守ってくれる筈。ならば残った自分は、冷静に本来の目的を果たそうと。
結果として、彼の行動は見事に決まった。
狂信者の誰もがモモの方に注目し、一言も発していない黒子はいつも以上に強力なステルス状態となっていたのだ。
探知可能な深海棲艦も、サーフ自身の命令によって動くことも許されず、続く攻撃命令もモモ達少女三人のみに対してのみ。

仲間にも敵にも悟られることなく、黒子はネオ・ジオングスーツの破壊工作を完了。
そしてその場では起爆せず、もし狂信者がモモの説得に応じたならば爆破を控えようと考えた矢先、事態は動いた。
モモ諸共、狂信者さえ葬ろうとした深海棲艦と悪魔。
松本の行動は黒子にも予想外であったが、そんな彼すら一撃で殺してみせた黒き悪魔。
黒子は冷静に、自分はここで死ぬかもしれないと覚悟を決め、死ぬ前に役目を果たそうと起爆したのだ。
それが幸いにも敵に逃走の選択をさせ、黒子や仲間達は命を繋げた。


「便利ですね、デモニカのエネミーサーチにデビルアナライズ機能……」


だが黒子はそこで止まることをしていない。
黒き悪魔を視界におさめると、冷静にデモニカの機能を起動したのだ。
デモニカは某国が作った最新鋭の機能満載のクールでクレバーなスーツだ。
ヘルメットデザインに目を瞑れば、対悪魔装備としてこれ以上優秀なものは無いと言っても過言ではないかもしれない。
アプリ・エネミーサーチは黒き悪魔がゾンビもどきと共に格納庫から確かに出て行ったことを確認し。
そしてデビルアナライズ……悪魔の名前やスキルを読み取れる機能で、消え去る前に出来る限りの情報を解析したのだ。



「モモ、無事か!?」
「わ、私は平気っすけど……松ちゃんさんが……」
「松ちゃん……どうしてデスか……!」
「ゆる、さない……!」


姫級の頭を叩き潰し、日之影が格納庫に静寂を取り戻す。
彼はすぐにモモ達に駆け寄るが、その表情は様々。
茫然、号泣、憤怒。
モモは、危うく落としかけた命を狂信者に救われた。
その事実を日之影は複雑に思いながらも、残された狂信者の少女達にも声をかける。

590 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:34:59 ID:gjWG0zdY0
「おい、なんだってんだ今のは……!?」
「……竜殺剣は、サーフ博士が持っていたデス。今はセルベリアおばさんが使っていますけど……」
「あいつが、あいつが仲間のふりをしてた、提督……? マナや、クラウザーさんや、松ちゃんが死ぬ原因を作った奴なのね……!?」


「――セルべリアおばさんに、悪魔の力も植え付けていた。さっきの話通りなら、あいつはセルベリアおばさんを囮にするつもりだった!
 どこまでも、どこまでも許せないデスよ、サーフ……! 絶対に、SATUGAIしてやるデス……!」
「――あいつだけは、絶対に殺してやるぅ!!!」


切歌とレジーナの並々ならぬ殺意は、日之影さえもたじろがせた。

「よ、よくわからないっすけど……黒幕は、ここにいたってことっすか!?」
「ええ、そうデス。あなた達も、全ての情報を持っていたわけじゃないんデスね……
 そっちの神様以外にも、生き延びていた人はいるんデス。
 サイドバッシャーは言っていたデス。黒幕には仲間がいる。丸いサボテンみたいな悪魔に、女の部下……」
「さっき少し見えた悪魔も、サーフの手下!? サーフはあいつらと逃げたの!?」


「……さっき逃げた悪魔の名前は夜叉鬼・リアルヴァルナという悪魔のようです。
 スキルは全ては解析できませんでしたが、厄介なものは確認できました。
 BSデストロイア・状態異常の無効化。マスタキャンセラ・物理や属性攻撃の無効化。そして、オートソーマ。逃げると体力が全快するようです。
 わかりやすく言うと、殴られても完全に掠り傷すら負わなくなったレストさんのようなものですね」
「な、なんっすかその反則バケモノ!?」
「いえ、彼とは違い吸収までは無いですし、無効も前に都庁を襲ってきた魔人皇の反射の劣化版。それに何より無・万能耐性は空です」
「なるほど、厄介な相手ではあるが、つけいる隙は十分あるってことか」
「ええ。ですが、あのゾンビもどきもいます。このまま僕らで追撃をしても、勝てるかは微妙です。まずは小町さんと合流を目指しましょう。
 ……あなた達は、どうするんですか?」
「……」

冷静に戦局を判断する黒子の視線は、切歌とレジーナに向いていた。
彼女達は紛れもない狂信者で、都庁の……影薄達の敵だ。
それでも、黒子はモモと同じように彼女達にも言葉を投げかける。


「……恥を忍んで、お願いするデス。あいつを……サーフをSATUGAIするまでは、停戦を願いたいデス……
 そして、さっきの話の続きを。クラウザーさんが危ない、その理由を教えて欲しいデス……!」
「……わかったっす」


深々と頭を下げる切歌に対し、モモは真剣な表情で頷き返す。
絶対に相容れない存在であった筈のファンと狂信者は、ゆっくりと手を取り合った。

591 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:35:33 ID:gjWG0zdY0
【二日目・23時30分/東京都 ビッグサイト格納庫】

※ネオ・ジオングスーツが黒子の手により破壊されました


【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】己の拳、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:情報交換しつつ、まずはこまっちゃんと合流
1:クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させるつもりだったんだが……
2:小町や仲間を全力で守る
3:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
4:めだかに変わって世界を救わなきゃならないのが先代生徒会長の辛いとこだな
※予言やテラカオスの真実、黒幕の正体を知りました

【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】ダメージ(小)、首輪解除、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】猟銃@現実、斬鉄剣@ルパン三世、デモニカスーツ@真・女神転生SJ(ところどころ裂けた)
【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:切歌、レジーナと情報交換する
1:クラウザーさんへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させるつもりだったっすけど……
2:少しは話のわかる狂信者がいたのは嬉しいっす
3:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
4:……多少落ち着いたっすけど、拳王連合軍だけは絶対に報いを受けてもらうっす
※予言やテラカオスの真実、黒幕の正体を知りました

【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】健康、首輪解除、超冷静、ドラゴンハートによる超強化、蒼耐性(小)、テラカオス化耐性(完全)
【装備】ウィンチェスターM1912、デモニカスーツ@真・女神転生SJ
【道具】死出の羽衣@幽々白書
【思考】基本:大災害の阻止、多くの命を助けるために尽力する
0:デモニカの機能をフル活用して、悪魔一味の動向に警戒する
1:クラウザーへの蘇生手段を破壊して狂信者を瓦解させるのは後にしますか
2:仲間を全力支援、パス回しが僕の役目
3:潜入作戦が終わり次第、都庁に戻る
4:平和な世界でみんなとバスケがしたいですね
※予言やテラカオスの真実、黒幕の正体を知りました
※黒子のデモニカにのみ、リアルヴァルナの一部情報が記録されました


【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】サーフへの殺意、首輪解除、イグナイトフォーム
【装備】シンフォギア「イガリマ」、イグナイトモジュール@戦姫絶唱シンフォギアGX
【道具】支給品一式、クロエの首輪、形見の浜田雅功人形
【思考】基本:SATSUGAI、自分の生きた証として絶対にクラウザーさんを蘇らせる。
0:この影の薄い人と情報交換して、確実にサーフはSATUGAIするデス!
1:みんなの希望であるクラウザーさんは必ず蘇らせる!
2:風鳴翼については……
3:同じ狂信者仲間としてレジーナを大事にしたい
4:フィーネになってしまう自分の危険性を考慮し、クラウザーさんが蘇り次第、自分の命を断つ
5:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
6:サイコマンへの疑念
7:松ちゃん……ごめんなさいデス……
8:ネオ・ジオングスーツは守れなかったデスけど、今はそれどころじゃないデス!
※自分が新しいフィーネになると思い込んでいるのは勘違いです
 よって、自分がフィーネになると勘違いしている時期からの参戦です
※セルベリア・草加との情報交換により、この殺し合いがテラカオスを生み出すためのものであり、カオスロワちゃんねるの危険も知りました。救済の予言の意味はわかっていません。
※モモとの会話により、黒幕がサーフであると確信しました


【レジーナ@ドキドキプリキュア!】
【状態】サーフへの殺意、葛藤、首輪解除 変身中
【装備】ミラクルドラゴングレイブ、電子星獣ドル、シンフォギア「シュルシャガナ」
【道具】支給品一式、ギラン円盤
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
0:準備が出来たらずぐにでもサーフを殺しに行く
1:狂信者にこれ以上手は貸したくないけど、クラウザーさんは復活させたい……
2:切歌だけは信じる
3:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
  ついでにサイコマンも警戒
※月読調のギアの装者になりました
※セルベリア・草加との情報交換により、この殺し合いがテラカオスを生み出すためのものであり、カオスロワちゃんねるの危険も知りました。救済の予言の意味はわかっていません
※モモとの会話により、黒幕がサーフであると確信しました

592 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:36:37 ID:gjWG0zdY0
「はぁ……はぁ……!」


黒き悪魔は疾走する。
これからどうするべきか?


「テイトク、カゲウス達ハカクノウコカラ動イテイナイ。十分キョリハトレタヨ?」
「そうか……それならまだ、手はあるかな……!」


逃げつつも、深海棲艦のヲ級と合流し次の策を練るヴァルナ。
このヲ級はサーフの道具欄にはいないが、しかしビッグサイト内で動き回っていた個体……
瑞鶴ほどではないが、彼女の不在時に備えて用意しておいた特別優秀な個体だ。
既にサーフの研究室から、最低限の道具を持ち出してくれている。


(切歌、レジーナ、それにあの影薄達に正体がばれたのは痛いが……まだ間に合う。
 奴らさえ死ねば、竜殺剣の件があろうが都庁の連中はまだ僕の正体にまでは辿りつけないだろう)

(問題なのは、ネオ・ジオングスーツの破壊を許してしまったこと……
 あの馬鹿なディーのこと、下手をすりゃそれだけで自爆しかねないからな)

(だが切歌達に影薄達も、それだけは阻止したい筈だ。あいつらがディーを倒すことに賭けるか?
 いや、それよりもこのまま僕がディーを殺してからビッグサイトを抜けるか?)


正体がばれてしまったのは予定外だが、まだその人数は少ない。
最良は狂信者達と相討ちになって全員死んでくれることだが、そうもいかないということもわかってはいる。
まず鍵を握るのはディー。

彼をどうするか。

黒き悪魔は、まだまだ知恵を働かせる。


【二日目・23時30分/東京都 ビッグサイト内通路】

【サーフ・シェフィールド@アバタールチューナー2】
【状態】リアルヴァルナ形態、瑞鶴の提督、支給品扱いで首輪なし、全マントラ網羅、動揺
    マスタキャンセラ・オートソーマ常備(万能以外無効、戦闘終了or逃亡成功時全回復)
【装備】違法改造スマホ、四次元ポケット@ドラえもん(ディパック代わり)
【道具】カオスロワちゃんねるのサーバー、カピラリア七光線銃、結婚指輪
    深海棲艦イロハ級×140、深海棲艦鬼・姫級×5、深海棲艦ヲ級、最低限の道具
【思考】
基本:蒼の源泉の力を手に入れる
0:ディーをどうするか……
1:可能な限り、切歌達と影薄はビッグサイト内で始末したい
2:瑞鶴を操り、拳王連合軍に野球の試合を早急にさせる
3:真実を知った者は消す、そして殺し合いを加速させるものを助長させる
4:年増女(セルベリア)とシスコン仮面(ルルーシュ)は特に警戒
5:狙われると面倒なのでギリギリまで正体は隠す、必要のない戦闘は避ける
6:死んだ祐一郎の才能に嫉妬。ロックマンと翔鶴は必ず使い潰す
7:都庁に向かった深海棲艦たちはいったい何をしてるんだ?!
8:可能であればイチローチームとテラカオス・ディ―ヴァ(ツバサ)を助けに行きたい
※カオスロワちゃんねるの管理人です
※古代ミヤザキの末裔であり、蒼や蒼の源泉・テラカオスなどについて全て知っています
 ナノマシンに仕込まれたプログラムにより完成したテラカオスならば乗っ取ることも可能
 予言の中にある『歌』も所持
※悪魔化ウィルスによりリアルヴァルナへと変身可能
 サイヤ人の肉を食べたことで全スキルを網羅し、戦闘力が大幅増加しました
※まだ榛名によって都庁の軍勢とルルーシュに自分の正体が告発されたことを知りません

593 ◆Trd3kNhTQY:2020/04/09(木) 00:38:00 ID:gjWG0zdY0
投下終了です
タイトルは『ビッグサイト狂走曲』で

594 ◆e2JqZMvQtM:2020/04/09(木) 05:48:36 ID:iGIW.KCk0
待ってました 乙です
とうとう暴かれたサーフの正体と急速構築されていく包囲網
ドリスコルが行った外道作戦を知らないこともあって影薄たちが狂信者とまさかすぎる共闘路線を築くとは…
何よりも意外だったのは暴走一択だと思った松本さんが綺麗な最期を迎えたことですな
ジェットコースターみたいな展開でした 良い意味で


聖帝軍、拳王連合軍 予約します

595 ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:33:27 ID:wdKB.9Y60
聖帝軍、拳王連合軍を投下します

596悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:34:39 ID:wdKB.9Y60
四回裏 聖帝軍の攻撃です。
バッターボックスには四番サウザーが入ります。

「さっきはしくじったが、今度はそうはいかねえぞ!」

マウンドの上に立つMEIKOは二回裏でサウザーに得点を許していた。
同じ失敗は犯さないと、殺意を漲らせる。
四回表で得点王になると思われたプニキとハクメンが脱落していることも焦りを感じているようだ。
だからこそサウザーから得点はもちろん、命すら奪うつもりで戦いに臨む。

そしてお決まりの無限の回転を生み出すフォームから、殺人MEIKOボールが飛び出す――かに思われた。

「案ずるな。今度はバントで稼ぐみたいなチンケな真似はせんよ。    雷 霆 ッ ! !」
「ッ! 躱せMEI――」

サウザーはMEIKOが投げる寸前に、スカイツリーの戦いでカギ爪のヨロイにも穴を空けた雷を彼女の頭上に放つ。
投げるより先に攻撃することでフォームを崩す、紘太がとったものと同じ戦法である。
違いは足止めに留まった紘太と違い、雷は投げた直前のMEIKOでは避けられないほど、速く威力が高かったこと。

「うおぉおおおおおおお!!?」
「MEIKO!!」
「この球なら……ヒットは狙えるな!」

雷に打たれたことで黄金の回転、MEIKOボールはただのストレートになった。
サウザーは打つ。
その弾丸は、ライトにいるディオの足元に落ちて爆発した。
時を止めるザ・ワールドの発動が間に合わない速度での落下だった。

『ザ・ワー……ダメだぁ間に合わない!』
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!?」

ディオの体が宙を舞ったと同時に、神速のサウザーは走り出す。
一塁にはロックマンを持つ翔鶴の姿がPETとダークチップを手に身構えていた。

『来るよ! サウザーを仕留めるためにダークサウンドを使うんだ!
 これを使えばサウザーと言えど……』
「ええ、わかりました!」

サウザーは聖帝軍のリーダー。
倒せば確実に相手チームの戦力はガタ落ちする。
しかし熱斗には確実に劣る翔鶴のネットバトラー技量からして、どうしても普通のチップではサウザーを捉えられない。
そこで超性能であるダークチップを予め用意し、あとはスロットインするだけ……


――熱斗の死のきっかけを作ったハゲ頭を殺したくて殺したくてしょうがないんだ!!


――正義や優しさは辛うじて失われていないが、憎悪という悪の心が宿ったか……!』


――そんな……私のせいで彩斗さんを……あああ!」


「……しまッ!!」
『翔鶴?!』

かつてダークチップの弊害を知らずにロックマンの心にダメージを与えてしまった時のトラウマ。
それがスロットに入れる直前で蘇ってしまい、チップはスロットに入りそびれて地面に落ちてしまった。

597悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:35:20 ID:wdKB.9Y60

(何かをやろうとして仕損じたのか? 命取りだな)

走るサウザーの視点から見ても今の翔鶴・ロックマンは隙だらけであった。
拳王連合軍でも主力であろう二人を葬るまたとないチャンスであった。
サウザーの容赦のない手刀が翔鶴の喉元まで迫る。

「あ……」
「翔鶴姉ッ!」
「極星十字拳」







「させるかッ! デュ―オーバーヘブン・ザ・ワールド!!!」

翔鶴の首が撥ねられるであろう直前、ディオは時を一分以上停止させるスタンドの奥の手を発動。
ボールを拾った直後にサウザーの下へ駆ける。
停止した時の中で動けるのはディオとデューオのみ。
サウザーの神速もここでは意味がない。

「二回裏の時は間に合わなかったが、今度はそうはいかん!
 このまま、一回タッチすればアウトだがな……」
『サウザーを確実に倒せるまたとないチャンスだ』

ディオは狙っていた。
サウザーが再びバッターとして現れた時に倒せるように、いつでも奥の手のデュ―オーバーヘブンを温存し、発動の時を待っていた。
ザ・ワールドの九秒間だけでは間に合わない……しかも、時が停止しているせいで自分の投げた球を味方の誰もキャッチできない弊害があり、捕球したら一々歩いていくしかなく、距離によっては九秒でも間に合わない。
だが一分もあるならドームの端から端まで到達することも可能である。

「チップを借りるぞ、翔鶴。俺たちにとっての幸運の剣だ」

ディオは翔鶴から拝借したソードのチップをPSVITAに(無理矢理)挿入すると、腕から一本の光剣が伸びる。
そして溜めに溜めた後にサウザーの胸を刺す。

「チッ、流石南斗最強の男……鉄板みたいな胸板だ。
だが無駄だ、多少の時間をかければ無防備なおまえなど」

サウザーの胸筋は異常に硬かったが、ディオには時間がある。
あらん限りの力を込めて、剣はズブズブと胸に沈んでいく。
そして。

「無駄ァッ!!」
『一分経過・時間停止解除!』

スタンド能力の制限時間が来る直前に光の剣はサウザーの胸を貫いた。

「がはッ!!」
「サウザー!!」
「くッ……」

サウザーは左胸と口から血を吐き出し、地面に膝を折った。
ディオも奥の手使用による代償で消耗しクロスフュージョン解除と同時に倒れた。
何が起こったのかわからない翔鶴と、ベンチにいる闇の悲痛な叫びが聞こえた。

「フッ、やってやったぜ……」
『ディおじさん、ボクらを助けてくれたの?』
「勘違いするな、熱斗……はもういないが、最高のネットナビである貴様を倒すのはこのディオだ。
こんなところで妹共々無様に死ぬことは許さん」



「……ああ、惜しかったな」
『な……』
「なにぃ!?」

そのまま血を出しながら死んでいくと思われたサウザーは、生きており、再び立ち上がった。
驚愕と絶望の表情でディオはサウザーを見る。

598悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:35:50 ID:wdKB.9Y60

「心臓を貫いたのに、なぜだ!?」
「残念だが俺の心臓は右にある。生まれついての特異体質なのだよ」

常人ならば左胸にあるべき心臓が右にある。
故に殺しきれなかったのだ。

「さて、これが普通の殺し合いなら動けなくなった貴様にトドメを刺すところだが」
『「……!」』

聖帝を打ち損じたディオとデューオは最期の時を覚悟する。

「俺は貴様にタッチされたからアウトだ。命拾いしたな」
「このディオが恐怖を感じるとは……不覚」

サウザーは既にアウトであり、これ以上攻撃はできない。
同時に周りにいる拳王連合軍の者もルール上攻撃はできないことも意味していた。
ディオはがくりと気絶し、サウザーは悠々とベンチに戻っていった。



「サウザー大丈夫ですか!?」
「痛たたたたたたたた……まさか時間停止できる奴がハクメンの他に複数いたなんて。
正直、死ぬかと思ったわ」
「こっちの心臓が止まるかと思いました。
犬牟田、応急処置をするので包帯をもってきてください」

拳王連合軍の前では余裕ぶってはいたが、実際はかなりの痛手である。
死なずとも胸部や肺に穴が開いているので重傷には違いない。
ぶっちゃけ心臓が無事なだけで常人ならとっくの昔に死んでいる傷だ。

「サウザー、怪我は浅くないです。五回表からはベンチで」
「いや、ダメだ。俺が負傷退場すれば拳王連合軍の士気を上げてしまう。
お師さんにヤワな鍛え方はされとらん。退かずに戦場に残るべきだ」
「サウザー……」

怪我は大きいがサウザーは試合に参加をし続けることにした。
彼の熱い想いを受け、聖帝軍も彼を止めはせず、応急処置に留めた。


一方の拳王連合軍は。

『ダメだ、ディオの疲労とダメージは限界だ。退場するしかない』
「MEIちゃんは無事か?」
「少し痺れたがなんとか……アルティメットアーマーはおしゃかになったがな」

ディオはベンチに運ばれ、MEIKOは負傷はしたが鎧が引き換えになったおかげで一命はとりとめていた。
とはいえ控えの選手がいないのでライトは空白になった状態で試合を続行しないといけない。
焦げて大破したアルティメットアーマーを脱ぎ捨て、マウンドに立った。
次の打者はイオリ。ただし、ガンダムにレイジと相乗りしているため、操縦桿を握る担当が変わることで打者になったという形で挑む。

イオリはサウザーや犬牟田からは無理して打たなくて良いから、とにかく自分たちの身と貴重なガンダムを守れと言われて立つ。
イオリ自身は実際に指示通り、スリーストライクになるまで打たず、防御に徹し、生き延びた。
ガンダムが受けたダメージも最低限度。
だが問題はMEIKOが投げるボールの方であった。

「なんだろうなイオリ、MEIKOの投げる球がさっきよりも遅く感じたんだが」
「うん、なんだか変な感じだった。僕の腕じゃ打つのはまだ大変だけど、避けるだけならなんとかなるレベルだった」



(どうしたというのだMEIちゃん? 受けた衝撃の量が明らかに減っているぞ)

MEIKOボールの威力減衰はバッテリーを組んでいるラオウさえ気づいていた。

599悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:36:42 ID:wdKB.9Y60



そして次の打席にデストワイルダーが入る。
今度は先のようにデッドボールを狙うのではなく、正攻法で打つ戦いで挑むつもりであった。
そして投げられたMEIKOボール、だが、デストワイルダーはこれを打った。
打球は大きく右側に寄りすぎてファールボールになってしまったが、かなり大きい当たりであり、ホームランもあり得させる飛距離であった。

「……ッ!!」
『おい、どうした? さっきよりも明らかに弱いぞ?』
「チッ、吠えてろ猫。戦いはこれからだ!」

あまりにも力を失っているMEIKO。次の球もファールであった。
いったいどうしたものかと拳王連合軍も聖帝軍ベンチも騒然となる。
答えを最初に出したのはシャドーマンであった。

『なるほど、見えてきたぞ』
「何が?」
『いくつか複合的な理由があるが……
具体的には疲労と、アルティメットアーマーの喪失、感電ダメージだろう』

お館である上条にシャドーマンは持論を説く。

『我々拳王連合軍は先に相手チームの方が倒れてしまうので、短期の試合しかしたことがない。
MEIKOはここまで激しく長期の戦いはしたことがなく、慣れないタイプの試合で疲れが出ている』
「でも俺たちのはダイジョーブ博士のマシンでメジャーリーガー級の能力を……」
『体力とスタミナ管理は別だ。そんなものはペース配分を間違えれば簡単に崩れる』

『次にアルティメットアーマー……MEIKOは殺し合いが始まってから一度も脱いでない。
そんな馴染みきった「重さ」が急になくなった時、どうなると思う?』
「思ったように体を動かせないってことか」

『だが、先の二つまでならMEIKOの超人的センスならどうにかなっただろう』
「一番の問題は……サウザーにやられたダメージということか!」
『おそらくMEIKOは――感電が抜けきってない状態で投げている!』
「!」
『感電は肉体の神経系に打撃を与える。思ったように動けない程度にはな』

シャドーマンが上条にMEIKOの身に起こっている何かを説明したのち、聖帝軍ベンチでも遅れてMEIKOの異常の原因がわかったようだ。

「なるほど、MEIKOは疲労と鎧の消失、感電によって力がでないみたいだ」
「疲労はともかく鎧を剥がしてびりびり感電させた後、弱めるなんて単純だけど思いつかなかったぜ」
「しかも自分が点を取れなくとも後へと繋げる先見性の良さ。
流石はサウザー、天才最強であるアタイも見直したわ!」
「えッ…あ、うん。
恐れ入ったか、この聖帝軍の知略に〜!(棒読み)」
(絶対深く考えずに放った攻撃が、たまたま相手の核心を突いただけだコレ……)

サウザーの活躍を褒め称える聖帝軍の面子と、褒められて久しぶりにイチゴ味モードで鼻が高くなるサウザー。
一番人となりを理解してるがために、ジト目で聖帝を見ている闇。


反対に焦るのは拳王連合軍の面子。
特に上条とシャドーマンであった。

「まずいぞ、早いとこMEIKOをピッチャーから交代させないと」
『感電も手伝ってMEIKO自身が自分の疲弊に気づいてない可能性もある。タイムの申請を――』

「MEIKOボール!!」
「待て、MEIちゃん!!」
「『しまったッ!?』」

イマジンスレイヤー、そしてラオウの制止が入るよりも早く、MEIKOボールは投げられてしまった。
それでも常人が無暗に打てば死ぬであろう文字通りの殺人球だったわけだが、デストワイルダーならば問題なく打てる球ではあった。

『俺の腕力を教えてやるよ』

洗練されてないMEIKOボールをデストワイルダーはフルスイングで打った。

『100t!! 高津の時のお返しだ!!』

打球はMEIKOの方向へまっすぐと飛んでいき、100t越えのそれは取ろうとした彼女の右腕を粉砕した。
MEIKOの右腕だった血と肉がマウンドの上に散らばる。

「ぐわああああああああああああああああああ!!!」
「MEIKO!」

MEIKOが倒れ、野球ボールは彼女の血肉に混ざって転がった。
ヒットを確認したのち、デストワイルダーは走り出す。

600悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:37:22 ID:wdKB.9Y60

「よくも仲間をやってくれたわね!」

瑞鶴は弓矢から召喚した艦載機を飛ばして一塁へ向かうデストワイルダーを止めようとする。
しかし、デストワイルダーには秘策があった。
デストワイルダーはなんと地面に潜り込んだではないか。

「地面に潜り込んだ?」
『いったい何が……?』

翔鶴は警戒してチップをいつでも使える準備をしていたが、突如消えた相手に困惑。
だがデストワイルダーはすぐに姿を現すことになる。
彼女のすぐ真後ろ、腕だけが出して一塁ベースにタッチする。


「はっ!」
『これで一塁はOK』

すぐさま翔鶴はバトルチップ、ソードを向けようとするが、彼女が攻勢に入るより早くデストワイルダーは再び姿を消す。

「これはいったい……」
『よく見て! そこらに何かキラキラしたものが落ちてる』
「これは――鏡の破片!?」

翔鶴が鏡の破片を発見した直後、今度はデストワイルダーの腕は二塁に現れ、塁にタッチだけして鏡の破片に消えていく。

これはミラーモンスターが使える固有能力。
鏡の世界であるミラーワールドへの通行である。
デストワイルダーは攻守交替前にこっそりと鏡の破片をバラまいており、いざ自分が走る際に能力を活かせるように用意していたのだ。

『「アイエエエ……姿が出てこないと攻撃ができない!」』

イマジンスレイヤーが嘆くような声を出すのも無理はない。
鏡の世界にさえ潜ってしまえば、誰も攻撃はできない――ラオウやハクメンでさえそれは同じである。
そして誰にも攻撃されることなく、塁だけ触れて進軍しようというのだ。

「猫が……汚え真似をしやがって!」

右腕は粉砕されたものの、辛うじて生きていたMEIKOは意識を手放す前に左手でボールを拾って送球し、三塁にクロえもんに届けようとする。

「よし、これで……三塁への進軍は止めることが……」

イマジンスレイヤーはデストワイルダーの進行を止められたことに安堵する。
いくらな鏡の世界を移動してもルールはルールなので、セーフになる前にボールを送られた塁に進むことは許されない。




その一瞬の油断が、イマジンスレイヤーにとっての命取りとなった。

601悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:38:00 ID:wdKB.9Y60





『お館様…後ろだ!!』
「なに!?」

三塁に行ったとばかり思われていたデストワイルダーは(ミラーワールド側の)二塁周辺に留まっており、背後から塁を守るイマジンスレイヤーにフェイント奇襲をかけたのだ。
これには聖帝軍側も驚く。

「待て、デストワイルダー!」
「そんな作戦じゃなかったハズ」

サウザーと闇の戸惑う声が聞こえるが、デストワイルダーはあえて無視した。


(この時をずっと待っていた……聖帝軍の皆には本当に申し訳ないが俺にとっては野球より仇討ちだ。
俺のご主人様である新城直衛を殺した恨み、ここで晴らさせてもらうぞ!)

デストワイルダーの目的は最初から聖帝軍に点を与えることではない。
真の目的は主を殺めたイマジンスレイヤー・上条とシャドーマンを葬ることであり、復讐の機会を文字通り虎視眈々と狙っていたのだ。

『「クソッ、ムラマサブレード!!」』

反応が遅れたイマジンスレイヤーもまた、咄嗟にチップをスロットインし、召喚した刀で反撃。
虎の二つの爪と忍者の刀が交差する。

黒猫がボールを受け取った瞬間と同時に、一つの因縁に決着がついた。



100tを越えた虎の爪の直撃は、イマジンスレイヤーに大打撃を与えた。
上条の胸に大きな爪痕が残り、血しぶきが飛び出す。
――しかし、皮一枚の差であるが殺すには至らなかった。
クロスフュージョンで生み出された甲冑が彼を致命傷から守ったのである。

だが。

「シャ、シャドーマン……」
『ガガ……申し訳ないお館様。拙者はここまでのようです……ガガガ――』

高いダメージはイマジンスレイヤーのクロスフュージョンを解除し、デストワイルダーはすかさず二撃目を叩き込んだ。
その結果、ネットバトラーである上条は直感的に躱したものの、避けそこなったPETには直撃し大破させた。
そうなればシャドーマンが命を失うのは自明の理であった。

『お館様、あなたとの旅と時間、誠に有意義なものでした……どうか生き延びて――サヨナラ!!』

ティウンティウン……――
シャドーマンの入ったPETは彼に遺言を残すだけの猶予を与えた後に、爆発四散した。

「そんな……シャドーマン……」

上条は親友を守れなかった後悔を覚えながら、地面に倒れて意識を失った。

『殺せたのは片割れだけか……』

シャドーマンを葬り上条を倒したデストワイルダーも無事ではなかった。
その胸には深々とムラマサブレードが刺さっており致命傷だ。
刺し違えたのである。

『すまない、主様、姐さん、ふなっしー、聖帝軍の皆……』

デストワイルダーは聖帝軍のベンチを一瞥し、謝罪の意味を含めた視線を向けた後に爆散してこの世から消えた。
拳王軍・聖帝軍、双方からの悲嘆の声が聞こえる。

その中でも特にロックマンは倒れた仲間やシャドーマンの死に大きな精神的打撃を受けていた。

『そんなシャドーマンが……せっかく大災害を生き延びたネットナビ仲間だったのに……!
ディおじさんやMEIKOおばさん、ジョジョまで傷つき倒れるなんて』
「…………」

兄の嘆きを間近で聞く翔鶴は、何も言えなかった。

602悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:38:45 ID:wdKB.9Y60



「これ以上の損失は痛いわね……宝玉輪を使いましょう」

拳王軍一同がベンチに入った時、瑞鶴はダメージを追いすぎた拳王軍を集団全回復させることができる宝玉輪をディパックから取り出す。
ルール的に既に退場済みのハクメン・ディオは無理だが、今なら上条とMEIKOを戦線復帰させることも可能であると考えたからだ。

「待て、それはまだ使うな」
「どうして? 今もったいぶってる場合じゃないでしょ?」

だがラオウは使用をやめさせる。
不服な瑞鶴にラオウはその理由を解いた。

「聖帝軍側を見てみろ、応急手当以外は誰も回復していない。
傷を治す術や道具がないのだろう」
「それが?」
「ここで我らが傷を治したら対等の戦いができなくなる。
それでは面白くない。
人数もちょうど六対六、今ぐらいがちょうどいいではないか?」

一瞬、ラオウが何を言いたいか瑞鶴にはわからなかった。

「拳王さん、これはスポーツじゃないわ!殺し合いよ!」
「殺し合い以前に野球だ。
それに聖帝軍を倒した後には、ヘルヘイムにイチローチームにドラゴンズも控えている。
聖帝軍は今まで戦った中で間違いなく最強の野球チームだが、同時に回復なしで挑まなければならぬ壁だ。
この壁を乗り越えられぬようでは、他の連中に勝つのも夢のまた夢」
「なんて……底抜けな野球脳なの」
「褒め言葉か?」

思わず本音が漏れしまうほどのラオウの野球脳ぶりに呆れる瑞鶴。
だが攻めのプニキ・守りのMEIKOを失ったりと拳王軍が不利なことには限らないので、何人かラオウに反対してくれれば回復を実行できたが。

「俺はラオウに賛成だ。
奴らも高津さんが死に、サウザーも負傷している。向こうもだいぶ疲れてるようだし十分やれるだろ」
『宝玉輪みたいな貴重な回復アイテムはせめて向こうが使ってくるまで温存した方が良いと思うね』
『瑞鶴の言いたいこともわかるんだが、敵も何か隠し種を残してないとも限らんしな』
「僕もラオウくんに賛成です。
イチローさんに勝つためには試練を自分たちに与えて強くなる必要があると思いますから」
『インドラ(賛成)』
「ちょっと! なんでメーガナーダまでそっちにいるの!?」

残念ながら野球脳にすっかり侵されている武人気質な拳王軍のほとんどがラオウを支持。
命欲しさよりもプライドを選んだのだ。
これでは瑞鶴も諦めざるを得ない。

「わかったわ。でも相手が何かで回復したら使わせてもらいますからね!」
「よかろう」
「ビッグサイトで提督さんも待っているんだから、余計なプライドのせいで死ぬわけにはいかないんですからね!」

渋々退いた瑞鶴だったが、そんな彼女に翔鶴は一声かける。

「大丈夫よ瑞鶴」
「翔鶴、姉…?」
「勝つための手立てはこの手の中にあるから」

瑞鶴に表情を見せぬまま、翔鶴はバッターボックスに向かう。
次は5回表。拳王軍の攻撃だ。
二塁を担っていたデストワイルダーがいなくなってしまったため、聖帝軍は仕方なくここは空白とした。
中央の穴はセンターのガンダムに補ってもらうしかあるまい。

603悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:39:28 ID:wdKB.9Y60

(む?さっきまでと雰囲気が違うぞ。この女)
(野球が得意な気はしなかかったですけど、この目つきは……こちらは二塁までいなくなってますし、警戒するに越したことはないですね)

纏うオーラが変わった翔鶴に、バッテリーを組んでいたサウザーと闇は特に警戒する。
そして闇はボールを投げる中、クロスフュージョンしているロックマンと翔鶴は、融合しているが故に周囲には聞くことのできない心の中の会話を交わす。

(……彩斗兄さん)
(翔鶴?)
(私がもしダークチップを使うことを躊躇わなければ、サウザーを轟沈させることができて、ディオさんやジョジョさんも傷つかず、シャドーマンさんも死ななかった。
でも、ダークチップを使いたくなかったのは兄さんが悪の心に染まってしまうのが怖かったから、どうしても手が震えていました)

一球目、乾いた音と共にワンストライク。


(……でも気づいてしまったんです。
仲間が傷つき倒れ、死んでいくことに悲しむ兄の表情は見たくないと。
悪の心を持たれるより悲しまれた方がずっとずっとココロが痛かったのです)
(翔鶴……)

二球目、緊張の中ツーストライク。
翔鶴に大きな動きはない。表向きは。

(だから仲間を守り、あなたを悲しませないためにダークチップを使わせてもらいます。
クロスフュージョンをしているなら、私も心に影響を受けるはず)



(一緒に悪に堕ちましょう、ロックマン)
(……ああ、二人でね)

三球目直前、翔鶴の目に漆黒の殺意が宿ったことを、敵味方共に確認した。
闇が投げる直前にダークチップをスロットインした所を目撃したベンチのデューオは声を荒げて止めに入ろうとするが、クロえもんに止められる。

『駄目だ、ダークチップを使うなんて』
「止めるんじゃねえデューオ!!」
『しかし……』
「あれは奴らの覚悟の上の行動だ。その覚悟を俺たちが踏みにじっちゃいけねえ!」




『「ダークサンダー!」』

翔鶴は電気玉を射出した。
闇は電気玉を避けてから投げようとするが。

「この電気玉、追尾してきて……きゃあああああああああ!!」
「闇ぃーッ!」

ダークサンダーにはホーミング性と、一定時間の感電麻痺効果を持っている。
そんな力の入りようがない体勢で打てば球速が出るわけもなく、翔鶴は遅くなった球を打とうとするが、その前にチルノは翔鶴の目の間に氷の壁を張って打つことを妨害しようとする。

「よくも闇を……打たせないよ!」
「無駄ですね、ダークソード!!」
「なん……だと!?」

翔鶴はバットから持ち替える形でダークソードを召喚し、その広い範囲と高い威力で氷の壁ごと、野球ボールを打った。
砕けた氷がチルノに襲い掛かる。
氷の要請なので氷属性の攻撃、しかも自分が生み出したものは効かないが、無数の氷の礫に紛れたボールをキャッチし損ねてしまう。

「しまった! ボールが!!」
「あれは俺たちが取りにいく!」

センターのガンダムがバーニアを吹かし、レフト側に落ちた打球を取りに向かった。
翔鶴はその隙に一塁へ走り出すが、今度は鎧武が迎撃態勢に入っている。
平等院をも殺害した仮面ライダー――簡単には通してはくれないだろう。

『「ダークステージ!!」』
「なんだ……足元が毒沼に!」

敵地をダメージトラップに返るチップの力により鎧武のいる一塁と周辺が一瞬で毒沼になった。
毒沼は酸をかけたように鎧武の具足を溶かしていく。

「あっ、足が……」
「止むを得ん、一塁を放棄しろ紘太!」
「すまない」

鎧武をジャンプをして一塁から離脱する。
その間、翔鶴は対大尉戦でも見せた飛行能力を駆使して毒沼の影響を受けずに通過。
毒沼にプカプカ浮いている一塁ベースに軽くタッチし二塁を目指す。

604悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:39:57 ID:wdKB.9Y60

「うおおおおおお、させねえ!!」

二塁へ向かう途中、打球を拾ったガンダムがこちらを阻止するために向かってくるのが見えた。
球を握る手ににはプニキやハクメンと打倒したビルドナックルが輝いている。
翔鶴はまずダークサンダーを放つが、アブソーブシールドに吸収されて効かない。

『どうやらあの盾、エネルギー弾は吸収するシールドみたいだ』
「だったらこれはどうですか!ダークトルネード・スロットイン!」

突如翔鶴の周りに竜巻が発生し、ガンダムを避ける間も与えないまま呑み込んだ。

「わあああああああ」
「か、風は物理攻撃!アブソーブシールドじゃ吸収できない!」

コクピットの中でもみくちゃになるレイジとイオリ、情け容赦のない竜巻はガンダムの装甲をガリガリと削り、二塁の前でその巨体をズシンと倒した。

「プニキさんの仇です。ここでトドメを……くっ……!」

倒れたガンダムを討てるまたとない機会と思い、翔鶴は容赦なくトドメを刺そうとする。
しかし、次のチップを選ぼうとした瞬間、翔鶴の腕にずきりと痛みが走った。

「これがバグ…!」

ダークチップ使用を決断する前に兄であるロックマンから教えられたのだが、ダークチップは心を悪に染めるデメリットの他にダメージや挙動をおかしくするバグも存在する。
ダークソードなら勝手に前進。ダークバルカンなら混乱。
ダークサンダー、ダークトルネードならチップ選択時にダメージ。
ダークステージなら選べるチップが一枚減少する。
などという風に、ロックマン及び翔鶴自体もダメージを受けるのだ。

ちなみに一回使う度にHP上限が1ずつ減るというものもあったりするが、二人ともダイジョーブ博士の魔改造&裕一郎さんのぶっ飛んだ技術でHPがめちゃくちゃ高くなってるのでそんなに苦にはなってない。

「くっ、うおおおおおお!!」
「しまった!」

動揺で翔鶴の動きが止まったのを見て、レイジはコンソールを動かし、ビルドナックルを叩きつけた。

「ダメージなし!!? なんて硬さだよ!」
「防御されていたとはいえ、あんな細い体のどこにあんな力が!」

翔鶴は直撃を肩当てで防ぎダメージはなかったが、触れられてしまったのでアウトではあった。

「ふっ、私もまだまだですね」
『大丈夫、初使用でこれだけ使えたんだから、今度はもっと効率よく相手をいたぶれる』
「そうですね、敵を殲滅して皆殺しにできるぐらい、チップの使い方に慣れなくては」

さっそく、ダークチップによる心の汚染はロックマン、そして繋がっていら翔鶴に現れていた。
ことの深刻さに頭を悩ますデューオ、その横では瑞鶴がぼそりと呟いた。

「そう……それでいいのよ翔鶴姉……あなた自身が生き延びるためにも」

605悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:40:52 ID:wdKB.9Y60



「大丈夫か、みんな!?」
「麻痺はもう抜けました…やれます」
「俺も大した怪我じゃない」
「俺もガンダムも動けるがイオリが……」
「死んだの!?」
「いや、僕はまだ生きてはいるよ……ただ、足の骨を折ったみたいで動けない」
「イオリは残念だが退場するしかあるまいな」

イオリは先の攻撃でコクピットの中で右足を折ったため、退場となった。
犬牟田に抱えられてベンチに戻る前にイオリは闇に野球ボールを渡した。

「闇さん、これを使って」
「これは……?」
「次のバッターは高津さんさえ容易く打たれたムネリンだ。そのボールはあの人への対抗策になる」


拳王軍側の次のバッターは川崎宗則。
この男は守備のみならず高津からも度々、打球を勝ち取った男でもある。
高津亡き後、技術では劣る闇がピッチャーでは勝てるハズがない。
……そう考えていた時が拳王軍にはありました。

結果だけ先に言ってしまうと、この回のムネリンは見逃し三振でバッターアウトになってしまった。

「おい! なんで打たなかった宗則!?」
「うてませぇーーーーん! だって相手の野球ボールには……」

某バナージみたいな絶叫を上げたムネリンが指をさしたのは闇が投げていたボール。
それはイチローの凛々しい笑顔をプリントされた野球ボールであった。
イチローラブのホモがこれを打ってしまうとイチローの顔に傷がつくと思って打てなかったのだ。

「聖帝軍の野郎ども汚え真似しやがって!
てかおまえ、殺してでもイチローを取り戻すんじゃなかったのか?」
「顔は別です!」

このあと、憤慨するクロえもんからげんこつをムネリンはもらうことになった。



「あれを見ているとやはり愛などいらんと思うわ」
「それに関しちゃ俺も同感だぜ、聖帝軍の大将さん」

あまりのホモホモしさに敵ながら呆れかえる聖帝と、バッターボックスに入ったクロえもん。
闇は五回表、三番目の打者であるクロえもんを相手に投球を投げた。

「さっきまでは高津さんに翻弄されたが、今後はそうはいかないぜ!」

クロえもんの打法は得意としているブラックホール打ち。
ただ、今度の打ち方は以前よりも早く真空が発生し、さらにチルノによるボールの周りに張られた氷の幕も剥がしていった。

「アタイの氷が!」
「同じ手法がいつまでも通用すると思うなよ!」

そしてクロえもんは打った。
彼の周辺が激しい暴風に襲われる。
元々が野球選手だけに制球力は抜群。
予測では横浜スタジアムの電光掲示板に直撃するコース

606悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:41:27 ID:wdKB.9Y60

――そのはずであった。

「残念だったな」
「え? 畜生ーーーッ!!!」

打った直後にキャッチャーであるはずのサウザーが彼の目の前に回り込み、飛ぶはずだった彼の打球をキャッチしたのだ。

「ブラックホールによる吸い寄せによるホームランを狙うのは予測ができた。
後はバットの動きを見て俺が先に取れば良いだけのことよ」
「暴風はどうした!?」
「俺が風より早く動けば問題はない。先入観と打球自体の攻撃力が低かったのが貴様の敗因だな」

クロえもんの失敗は、サウザーが言った通りラオウやムネリンがやったような打球の攻撃力不足(決して低いという意味ではない)に、キャッチャーがバッターの後ろから動かないという先入観。
何よりもサウザーの異常な速さについてこれなかったことだろう。

これにてスリーアウトにより拳王軍五回表の攻撃は終わる。
次は聖帝軍の攻撃である五回裏だ。




聖帝軍側のベンチにて。

「はあはあ……」
「くッ……」
「みんな疲れが溜まっているようですね」
「頑張れみんな、あと一息だ。
次は五回裏。仮に一点でも勝ち取り六回表も防衛しきれば我らの勝利は確定になる!」

聖帝軍の疲労、消耗はピークに近づきつつあった。
もはや稼働できる選手は5人しかおらず、他は負傷退場か死亡している。
サウザーも元気にふるまっているが、胸の穴は簡素な応急処置で出血を防いでいるだけだ。



ならば拳王連合軍は余裕かと思えばそうではない。

拳王連合軍も動ける選手は一気に6人まで減り、ピッチャーであったMEIKOも負傷退場。
その他の選手はほぼ全員気絶している。
総合的な消耗具合は聖帝軍と大差がなくなってきている。

何より拳王軍が聖帝軍に対して危惧していることは。


「まずいですね、彼らは試合の中で急速に成長してきてます」
「さっきのサウザーの芸当……最初からやれば多くの打球も取られてただろうに、今まで使ってこなかった。」
「インドラ?」
「つまりねメーガナーダ、サウザーは今まで打った直後に取るなんて技はいままで使えなくて、成長によって今使えるようになったのよ」

聖帝軍の試合中の成長は凄まじく、消耗してなお強敵に感じるのだ。

「気を抜くな皆のもの、あと一息だ。
六回表までに聖帝軍が覆せぬほどの点をもぎ取れば我らの勝利は見えてくる」
「「おう!」」「インドラ!」

ラオウの言葉に残った4人と1匹は戦意を高める。
そしてチラリとベンチで眠るMEIKOを見た。
右腕を失った傷の痛みで苦しそうだが、眠っている。

「待っておれMEIちゃん、うぬが休んでいる間に必ず拳王軍を勝利させてみせる!」

それから聖帝軍側のベンチを見て、彼らと仲間たちに宣言した。

「さあ、天よ刮目せよ、本当の戦いはこれからだ!」




【シャドーマン@ロックマンエグゼ 死亡確認】
※デストワイルダーは支給品のため死亡者リストに乗りません

607悪に堕ちる、誰のために? ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:41:52 ID:wdKB.9Y60


               拳 2-2 聖

『拳王連合軍 布陣』

川崎宗則         1番ショート
クロえもん        2番サード
ラオウ          3番キャッチャー
瑞鶴           4番レフト
(考え中)        5番ピッチャー
メーガナーダ       6番センター
翔鶴(+ロックマン)   7番ファースト
             8番セカンド
             9番ライト




『聖帝軍 布陣』

             1番ショート
葛葉紘太         2番ファースト
金色の闇         3番ピッチャー
サウザー         4番キャッチャー
             5番ライト
             6番セカンド
             7番レフト
レイジ(+ガンダム)   8番センター
チルノ          9番サード




【二日目・23時00分/神奈川県・異世界横浜スタジアム】
※あと30分で異世界は消滅。
 それまでに点数が低いチームが消滅する異世界に閉じ込められるため、負けたチームは全員死亡します(移籍した場合は不明)


【聖帝軍】

【サウザー@北斗の拳】
【ターバンのボイン(金色の闇)@ToLOVEるダークネス】
【ターバンのガキ(アリーア・フォン・レイジ・アスナ)@ガンダムビルドファイターズ】
【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】

【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【ターバンのガキ(イオリ・セイ)@ガンダムビルドファイターズ】
※負傷により退場



【拳王連合軍】

【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【ラオウ@北斗の拳】
【川崎宗則@現実?】
【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【瑞鶴@艦隊これくしょん】

【ハクメン@BLAZBLUE】
※負傷により退場
 また鎧に罅が入り、瑞鶴が持つ違法改造スマホで起動するリモコン式の爆弾を罅から入れこまれました

【MEIKO@VOCALOID】
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【デューオ@ロックマンエグゼ4】
※負傷・気絶等により退場

608 ◆e2JqZMvQtM:2020/04/14(火) 07:42:33 ID:wdKB.9Y60
投下終了です

609迷走のヨルムンガンド:2020/04/20(月) 09:58:32 ID:kH8RENa20
テラカオス・リリカルによる黒き獣討伐に失敗した九州ロボの主催陣営。
焦燥の中、成層圏で待機するココとメフィラス星人を待っていたのは、更なるバッドニュースであった。

指令室で受け取れる情報に、ココは動揺を隠せなかった。

「ジャックたちが全滅した…!?」
「ええ…兵隊含めて一人残らず皆殺しにされたようです。
 問題のフォレスト・セルは未だ健在…ほぼ無傷のようです」

元々、攻めるには少なすぎる戦力であるとジャックも言っていたが、決して弱者ではない――むしろ装備も含めれば理不尽級に匹敵するだろう四人が、フォレスト・セルに少しの打撃も与えられずに全滅するとは二人も思わなかった。
主催四人が弱いのではない、あまりにもフォレスト・セルと都庁の軍勢が強くなりすぎていたのである。

「なんてこと…これでは紫が守りたかった幻想郷も…」
「博麗結界が消滅したため、たったいま消滅しました。
 元々、カオスロワのために住民や妖怪は追い出していたようですが、彼らが帰れる場所はもうありません」

博麗結界は殺された紫と博麗の巫女がいないと維持できない結界だ。
博麗の巫女の方はどこかから調達するなりすれば良いと紫は言っていたが、スキマ妖怪たる紫はそうはいかない。
幻想郷として結界に囲われていた場所もこのままでは黒フロワロに飲み込まれるだろう。
都庁の軍勢は何も知らずに戦っているだけなので、ココらはジャックたちが殺されたことを恨みはしないが、せめて彼らが真実に気づきフォレスト・セルだけでも大人しく死んでくれたら…という考えが頭によぎる。





ちなみにココたちは、大災害を引き起こした黒幕の正体を未だに知らず、フォレスト・セルも古代グンマ―が遺した世界を滅ぼすための装置であると未だに勘違いしている。
なぜなら唯一の情報収集テーブルであるカオスロワちゃんねるが、真の管理人であるサーフの手によって重大な情報が届かないようになっているからだ。
首輪には盗聴装置もあるが、都庁の軍勢やネームド狂信者は首輪を既に解除しており、また首輪を解除していなかったルルーシュやモブ狂信者もディーがいずれ敵対するであろう主催に情報を渡さないために集音スピーカー部分だけ埋めたりして、完全には行き渡らないようにしている。
さらに自分たちは全ての真実を知っているという「思い込み」が、ココとメフィラスに真実の更なる追及をやめさせていた。

「フロワロの進軍、歪んだ器であるフォレスト・セルは健在、狂信者も戦況をひっくり返せるネオ・ジオングアーマーの存在……そしてアナキンとテラカオスがいるイチリュウチームの前には魔女の出現、ついでで拳王連合軍と聖帝軍が神奈川で行方不明」
「我々はこれからどうしたら良いんでしょうか…二人と兵士550人しかしないのに、いったいどこから手をつければいいのやら」

問題は黒き獣のフロワロやフォレスト・セルだけではない。
主催が問題に着手している間に状況は大きく動いていた。


拳王連合軍は聖帝軍は何らかのアイテムを使って横浜スタジアムから忽然と姿を消したらしい。

狂信者は邪竜すら簡単に捻りつぶせる超兵器を開発し、下手をすればテラカオスや救済の予言を叶える存在をまとめて皆殺しにすることも可能になった。
フォレスト・セルさえ抹殺できる代物だが、そう主催に都合よく動くとは思えない。
きっと狂信者は自分たちとクラウザー以外は全滅させるだろう。

イチリュウチームは魔女化した霧切の襲撃を受けて全滅の危機に瀕している。
全滅すれば貴重なテラカオスと野球チーム、そして潜伏中のリーダーであるアナキンを失う。
そうなればテラカオスと救済の予言を実行できる者がいなくなって大災害により世界は破滅である。

もはや黒き獣やフォレスト・セルを叩いただけでは、世界は破滅しかねない重大事件が各地で起きていた。
ココとメフィラスは情報を見ながら迷って、迷って、考え抜いた結果、次の行動を決定した。


「九州ロボを伴って千葉へ向かい、魔女を討伐。
 イチリュウチームとテラカオスを確保し、アナキンを救助しましょう」
「ココ嬢、他の問題はどうするんです?」
「限られた時間と人材で他の問題をクリアするためにも、最初にイチリュウチームとテラカオス・ディ―ヴァを助ける必要があるのよ。
 狂信者の超兵器も一度以上使ってビッグサイトにひっこめたところからして、まだ未完成か発射に大きな制限があると思う。
 黒フロワロは本州の人間が多く死ぬでしょうけど、九州ロボに格納されている一般人だけでも世界の復興自体は可能。
 九州ロボのフルパワーならフォレスト・セルに勝てる可能性もあるかもしれないけど、相討ちや負けて数少ない器足りえる巨像を失うのもまずいので今は保留」

610迷走のヨルムンガンド:2020/04/20(月) 10:00:21 ID:kH8RENa20

黒フロワロ放置はココたちでは止める手段も情報もなく、放置する他あるまい。
間違いなく多くの参加者が死ぬことになるが、もはや野球チームと巫女、歌に器とテラカオスが残りさえすれば、九州ロボで眠っている住人による聖別後の復興が約束されるので、残酷だが致し方ない判断とした。
狂信者に関してもココが思っていたこととだいたい合っており、すぐに動かせず連射できない事情があったのだ。

「だけどイチリュウチームだけは本当に猶予がない。
 あそこが全滅すれば代わりの野球チームを用意する時間もないし、あのチームには条件次第では惑星破壊攻撃も可能なイチローやナッパなど都庁の軍勢にも勝てる見込みがある戦力が残されているわ。
 むしろ、一番安全に手を組める対主催勢力はここしかないわ」
「場合によっては手を組むと?」
「世界のためになるなら降伏してアナキン共々傘下に下っても良いと考えてるわ」
「傘下って…まあ、確かにテラカオスの完成度具合を考えれば参加者と争う意味も、これ以上殺し合いを強制する意味もないですが」
「あそこは人格的にも世界を滅ぼそうと考えている人物はいないし、安心して殺し合いの真実を打ち明けることもできる」

だがここでメフィラスは疑問を浮かべる。

「しかし、私たちがイチリュウチームの救助している間、他の問題はどうします?
 他は諦めるとして、フォレスト・セルと狂信者の超兵器は健在で放置は危険だと思いますが…」

ココは神妙な面持ちで答えた。

「ええ、だからテラカオス・ディ―ヴァと『器足りえる巨像』――この九州ロボを融合させ、パワーアップさせるわ」
「なんですと……?」
「そしてパワーアップしたディ―ヴァで、DMC狂信者、フォレスト・セルを一掃する。
 そうしたら後は野球チームに試合をさせてテラカオスの成長を促し、黒き獣を倒して救済の予言を完遂させればいい」


救済の予言の一説にもある器足りえる巨像とは、テラカオスを強化させるためのツールである。
生物と機械、グンマ―とミヤザキの違いはあるが、フォレスト・セルと九州ロボは元は姉妹品である。
仮にミヤザキの血を引いていた裕一郎の腕前が本物なら、テラカオス・ディ―ヴァとも融合して強化し、世界を救う邪魔をするものを一気に倒せるはずとココは睨んだのだ。

「机上の空論です!
 ロックマン・エックスが映像で言っていたとはいえ、融合でどこまでパワーアップできるかは未知数ですし。
 最悪、貴重なテラカオス・ディ―ヴァや九州ロボまで失うでしょう。
 九州ロボのファクターでありリンクしているあなたへの影響も計り知れません!」
「部の悪い賭けなのは承知の上よ、でも私たちには戦力も手札ももう残されてない。
 何も知らない都庁の軍勢がいつ、千葉へと向かってテラカオスを討伐……もしくは助けるつもりでフォレスト・セルの口の中に突っ込まれ、テラカオス因子を浄化されようものなら世界は一貫の終わりよ!
 残された時間じゃ次のテラカオスが生まれるのは望み薄、だったら私の命を犠牲にしても良いから、テラカオスと救済の予言を達成する者を守るべきよ!」
「それは確かに……」

ココの考えは理想も入り混じった空論なのは確かだが、実際に(フォレスト・セルの危険がなくなったことを知らなければ)打てる手は限られているので僅かでも可能性がある方に手を伸ばすしかない。

溺れる者は藁をもつかむのだ。


「待ってください制御はどうするんですか?
 巨像は制御する巫女がいて、初めて真価を発揮するという話ですが」
「私なら祈りの巫女が務まる…と言いたいところだけど、たぶん違うわね。
 こっちも賭けにはなるけど、候補は一人だけいるわ」

ココはモニターに、参加者の中で確実に巫女になれる存在を映す。

「拳王連合軍の艦むす…翔鶴!」
「裕一郎が九州ロボと共に作った最後の遺産……ミヤザキの巫女である彼女にかけるしかない」

ミヤザキの血を継ぐ裕一郎が、先祖に仕込まれた遺伝子によって無意識に造り上げた機械の巫女・艦むす。
ココの中で巫女足りえる存在は彼女しか考えられなかった。

ちなみに既に会場には瑞鶴や榛名など別の艦むすも存在するが、瑞鶴はサーフの工作で存在が隠蔽されており、榛名は深海棲艦から蘇ったばかりでココは知らず、そもそもエントロピー量が翔鶴と比べれば低いため、目に入らなかったのだ。


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