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カオスロワ避難所スレ2

1 混沌な名無しさん :2013/09/05(木) 20:26:58 ID:XVx2BHo60
こちらは投下スレです。

896 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:13:09 ID:LV.x0JIc0
「ば、馬鹿な!何が起きた……!くそ、この霧はまさか……!」
「そのまさかよ、お馬鹿さぁぁぁぁぁぁん!?」

困惑する神樹の鉤爪を、天高く舞い上がったデミーラの手刀が切り落とす。

「よくもやってくれたわねぇ?でもお生憎様。こういう事態に備えて、エビルエスタークには最終兵器があるのよ。
敵も味方も関係なく、どれだけ強力な魔法や加護であろうと無効化する、黒い霧がねぇ!」
「く……だが、それならてめえらも……!」
「ええそうねぇ。この霧の中じゃ、私でも魔法は使えないわぁ。でも私にはこの美しい肉体がある……
――あなたはどう?蕾と鉤爪をもがれた状態のあなたは…… 魔 法 し か 使 え な い ん で し ょ う ?」
「神樹!再生を……!」
「無駄よぉ!死・に・な・さーーーーーーーーーーい!」
「ぐああああぁああああぁあああ!!!」

動きが鈍ったといえどもキラーマジンガとエビルエスタークの攻撃力は凶悪であり、再生した側から蕾と鉤爪を切り捨てる。
そして神樹の再生よりも早く、デミーラの凶悪な攻撃が次々と神樹本体へと叩き込まれていく。
美しい動作で繰り出される正拳突き、美しい回転から生み出されるかまいたち、美しいフォームで投げられる燃え盛る火炎……
元々天魔王にとって、魔法など所詮は飾りにすぎなかったのである。

「まだまだいくわよぉ?」

さらに、美しく念じれば思念エネルギーの球が神樹とエリカの間を高速で移動し、二人の身体を容赦なく打ち付けた。
魔王の身でありながら、魔法を使わない方が強い魔王……それがオルゴ・デミーラであった。

「ぐ……ぅ……!」

ついに、神樹は崩れ落ちる寸前までの傷を負ってしまう。
触腕はいくらでも再生できるが、本体にまではその驚異的な再生能力が備わっていない以上……死は目前であった。

「うぅ……」

それはトレーナーであるエリカも同じくであり、人の身でよくここまで耐えたと褒められてもいい程にボロボロだ。
再び念じボールを撃たれたら、間違いなく死ぬ。

(ちくしょう……やっと、封印から解き放たれて……自由になって……
捕まっちまったが、はじめてこんな俺でもまだ植物として扱ってくれる人間に会えて……
あれだけ自分の力に自信を持っておきながら……そいつ一人も守れずに……こんなところで、俺は朽ち果てるのかよ……!)

神樹はもはや、意地だけで崩れ落ちることを拒み、立ち続けていた。
しかし、そこまでだった。デミーラの指摘通り、腕をもがれ魔法を封じられた神樹には何もできやしない。

「なかなか手こずらせてくれたけど、これで終わりよ」

マシンモンスターとデミーラの身体に、力が溜められる。
さらにどうやったのか、石化状態から回復したデスマシーンは――核爆弾の発射用意をしていた。

(せめて一矢……無理だ。それなら……!)

神樹が瞳を閉じる。
それと同時に4つの蕾と鉤爪が再生する。

「無駄だって言ってるでしょぉ!?」

止めをデスマシーンに任せたのか、残りのマシンとデミーラが一本ずつすぐさまそれを破壊する。
僅かな時間だけ、蕾を生やした腕だけが残った。

897 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:13:38 ID:LV.x0JIc0
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
「な、なに!?」

その瞬間、神樹はこの世のものとは思えない叫び声をあげた。
突然のことに、デミーラさえもが一瞬動きを止め、デスマシーンも内部の操縦者が硬直した影響で動きを止める。
そんな中で、倒れ伏して虫の息であったエリカだけが、何故かその叫び声の内容を理解できた。

――セル、今から投げるこいつを受け止めて、救ってくれ!

(俺と同類のフォレストセルが、起きて人間を殺して回る行動を開始しないなんてまずありえない。
可能性として考えられるのは、俺と同じように……あいつにも、理解者が現れたということ。
どのみちこのままじゃ俺と一緒にエリカは殺されちまうんだ……俺はその可能性にかける……!)

「しん――」

エリカが静止するよりも早く、神樹は残された一本で主を拾い上げるとそのまま――投擲の構えに入る。
元首相官邸から元東京都庁までの距離は数キロメートル程度。傷ついているとはいえ、神樹の巨体と力ならば造作もない範囲だった。


エリカが投げられた直後、デスマシーンから大量の核爆弾が発射される。


小型とはいえ、複数のそれが続けざまに爆発すれば、あらゆるものを核の炎が飲みこむ。
たとえかつて世界樹とされた存在であれ、抗う術はない。


 オ ー ホ ッ ホッ ホ ッ ホッ ホ ッ ホッ ! ! ! 


燃え盛る核の炎は全てを焼き尽くしていく。
そんな猛る炎の音以上に響く魔王の勝利の笑い声は、しばらく続くのであった。





「も、申し訳ありませんデミーラ様……!敵の攻撃を浴びてしばらく行動不能に陥るなど……!」
「いいのよぉミケちゃん。あなたは美しく十分に活躍してくれたわ。平山ちゃんもよく頑張ったわぁ」
「ありがとうございます。まさかデスマシーンに石化耐性が無いとは思いませんでしたが……
こんなこともあろうかと、事前に石化回復薬を参加者から奪っておいて正解でした」

やがて炎が消えて、そこに燃えカスしか残っていないことを確認した天魔王軍は僅かな休息をとっていた。
相変わらず黒い霧が発生しているため魔法は使えないが、彼らには大量の支給品がある。
デスマシーンの石化を解除したのも、ヴァルゴとなっていたミケの傷を癒したのも、全てそれらのおかげだ。

「さすがにちょっとばかり厄介な相手だったけど、あいつは間違いなく全参加者の中でも最上位の実力者よ。
そんな奴を相手にしても、こうして私達は生きている……オーホッホッ!やっぱり美しいものは滅びないのよ!」
「しかし、あの化物は最期にトレーナーをどこかに投げたようでしたが……」
「木偶人形のひとつぐらい放っておきなさい。おおかた、自分に勝てる指示を出さなかった飼い主への怒りをぶつけたのよ。
それに仮に助けるつもりだったとして、あの傷でどこかのビルにぶつかったらそれだけで死ぬわ。
そう、人間は弱く脆い。生き残る価値があるのは、あなた達のような存在なのよ!オーホッホッホッ!」
「「ありがたきお言葉……!」」

魔王の高笑いを受け、ミケと平山の士気はさらに高まった。
それなりのダメージを受けてしまったが、デミーラの言うとおり今度はヘルクラウダーのような犠牲を出さずに全員が生きている。
見るからにやばい怪物を、一人も欠くことなく葬ったのだ。天魔王の、いや天魔王軍の力は本物であるという何よりの証拠だ。

天魔王軍はそのまま奪い取った支給品で傷を癒しつつ、今度は首相官邸の地下へと攻め込む準備を整えるのであった。

898 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:14:10 ID:LV.x0JIc0
【二日目・8時00分/日本・首相官邸跡地】
※首相官邸跡地付近が戦闘の影響により炎上しています
※黒い霧の効果で魔法を使うことができません。霧の範囲は不明

【天魔王軍】
【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7】
【状態】ダメージ(小)、魔力消費(小)、美しい人間形態
【装備】闇のルビー
【道具】支給品一式、香水、口紅、ベビークラウド×いっぱい@ドラクエ7
【思考】
基本:主催者を美しく皆殺しにして自分が支配者となる
0:地下の連中も始末し、ここに来るらしいブリーフ博士を確保する
1:都庁、DMC、主催者その他、邪魔な勢力を一掃する
2:首輪も処理できれば処理しておきたい
3:部下にふさわしい参加者がいれば、新しい天魔王軍として美しくスカウトする
4:日本以外を潰した首謀者がいるなら、そいつも美しく殺す
5:できれば醜い本気形態にはなりたくない
※美の感じ方は人それぞれです
※平山より、主催者が九州ロボにいる情報を手に入れました
※エビルエスタークとベビークラウドを直接の指揮下においています
※黒い霧を凍てつく波動で無効化することができます

【エビルエスターク@DS版DQ7】
【状態】ダメージ(大)、すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う
※黒い霧は凍てつく波動や他の霧などで無効化、上書きすることができます

【平山幸雄@アカギ〜闇に降り立った天才〜】
【状態】健康、 士気高揚、デスマシーンに搭乗中
【装備】サングラス、雀稗
【道具】支給品一式、大量の不明支給品(内容確認済み、一部消費)
【思考】基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:戦闘は無理なので、後方支援に徹する
2:天魔王軍の一員として、この世界で成り上がってやる……!
3:傷ついたマシンモンスターも支給品で回復し、万全の状態にしてから地下に乗り込む
※デスマシーンを直接の指揮下においています、また内部に搭乗しています。

【デスマシーン@FF・SaGaシリーズ】
【状態】ダメージ(中)弾薬消費(小)
【装備】大量のかくばくだん、大量のミサイル
【道具】支給品一式
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う

【ミケ・ザカリアス@進撃の巨人】
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、士気高揚、ヴァルゴ・ゾディアーツに変身中
【装備】乙女座のホロスコープススイッチ@仮面ライダーフォーゼ、立体機動装置一式(損傷有り)
【道具】支給品一式、大量の不明支給品(内容確認済み、一部消費)
【思考】基本:死にたくないのでオルゴ・デミーラに従う
1:ゾディアーツの力を使い、天魔王の手先として働く
2:天魔王の力があれば、ドラゴンも巨人も巨木も怖くない……!
※キラーマジンガを直接の指揮下においています、

【キラーマジンガ@DS版DQ7】
【状態】ダメージ(中)、すれ違い通信によりレベルMAX状態
【装備】不明
【道具】無し
【思考】基本:オルゴ・デミーラに従う

899 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:15:01 ID:LV.x0JIc0



「あ……あぁ……!」

口元を抑え、叫びそうになるのを必死で堪えながら、なのはは地下へと降りていた。
神樹の強さは理解していた。していたからこそ、思ったよりも戦闘時間が長いことが気になった彼女は少しだけ地上に戻っていたのだ。
そこで見たのは、崩れ落ちる寸前の神樹の姿。

それは、夢の中で見た光景と全く同じではなかったが、似た状況であった。
もしあの夢が、未来を示すものであったとしたら?
この後に待っている運命は……

(ううん、弱気になっちゃ駄目!だって、夢の内容と完全に一致していないなら、ユーノ君が怪物になるとは限らない……!)

地上に漂っていた黒い霧は、すぐに危険なものだとわかった。
魔力の収束を邪魔する妨害攻撃は、未来でも受けたことがあるからだ。

(でも、まずい状況なのは変わらない……!はやくこのことをみんなに伝えて、神樹とエリカさんを助けに行かないと!)

夢は、現実のものとなるのか。
それは避けられない運命なのか。
僅かな不安を残したまま、魔法少女は仲間達が集まっている部屋の扉を開く。

【二日目・8時00分/首相官邸地下の廊下】

【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
【状態】健康、19歳の身体、焦りと不安
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王
【道具】基本支給品一式、タイムふろしき@ドラえもん
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
0:仲間達に状況を伝え、未知の敵(天魔王軍)に対処する
1:死んでしまったヴィヴィオたちのためにもこの殺し合いを終わらせる
2:ユーノ君がいれば何も怖くない!
3:あの夢が現実になるわけ……ないよね?
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています。
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました。
※未来の自分が使っていた技の一部が使用可能です。




900 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:15:36 ID:LV.x0JIc0
「はぁ……本当にほむらの言った通りソウルジェムがぴっかぴかになったよ。
いやだからって魔女を退治してグリーフシードを集めなくていいってわけでもないしなー……」
「にしゃ?」
「う゛……ちょっと、こっち見ないでくれる……?あんた見てると本当に魔女がかわいいもんに見えてくるよ」

その頃、魔法少女である美樹さやかは世界樹の入り口――フォレストセルの真横にいた。
他の都庁の主だった人員はメロンライダー捕獲のためにすでに行動しているが、彼女だけは待ったがかけられたのだ。
度重なる戦闘により濁りきったソウルジェムを浄化しろと、ほむらから釘をさされたために渋々とだが。
とにかく言われた通り、フォレストセルの元にソウルジェムを持っていけば、本当にその穢れを食べてくれた。
さやかはそれに驚くと同時に、何故か不思議と気分が明るくなったような気もした。

「これがかわいいって、まどかどういう感性してるんだか……」

用事も済んだため、正直一刻も早くフォレストセルから離れたいさやかは踵を返す。
しかしその瞬間。

「――――■■■■■■■■■■■■■■!」
「にしゃ!?」
「いぃっ!?」

首相官邸付近に生えていた、謎の黒樹の咆哮が耳を貫く。
フォレストセルも一瞬驚いたようだが、突然奇妙な動きを開始した。

「え、あんたなにして――」
「……にっしゃしゃー!」

咆哮の直後にこちらへ向かって飛んできた何かを、フォレストセルは4本の蝕腕を動かしてがっちりとキャッチしてみせた。
外見に似合わない精巧な動きにさやかは思わず感心してしまうが、飛んできたものを見て一気に表情を変える。
――人だ。

「ちょ、空から人が降ってきたの!?しかも血まみれじゃん!と、とにかく治療しなきゃだよね!?」
「ま……待って、ください……」

慌てるさやかに対して、地面に横たえられた人間――エリカは掠れた声でさやかを止めた。

「傷を治せるなら……私よりも、この子を……」

弱弱しく投げられたボールが光り輝くと……

「…………」
「うげぇ!?さっきまで生えてたよくわかんない黒い奴!?」

――ぐったりと崩れ落ち、ぴくりとも動かない神樹が姿を現した。
とどめの核爆弾が神樹を焼き尽くす前に、エリカが空中でモンスターボールを起動してひっこめたのである。
ポケモン扱いされている神樹だからこそできた真似だが、それでも瀕死状態なのは明白。

「ど、どうなってんのよ一体……!」

血まみれの少女に託された、瀕死の怪物の治療。
こちらの魔法少女もまた、葛藤する。

901 未来への接近 :2015/01/28(水) 00:16:02 ID:LV.x0JIc0
【二日目・8時00分/東京都庁入口付近】

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康、葛藤
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(新品同然)
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】基本:マミさんの為にも、殺し合いを止める。
1:怪物を治療する?治療しない?
2:まどかは守るが、まだ魔物に対しては完全には心を許さない
※8期、9期とは関係ありません。
※放送の内容をラブ達から聞きましたが、上条恭介の死を知りません。

【エリカ@ポケットモンスター】
【状態】ダメージ(特大)、歪みし豊穣の神樹のトレーナー
【装備】モジャンボ、キノガッサ、他不明
【道具】基本支給品一式、モンスターボール×3
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
0:目の前の少女に神樹を治してもらいたい
1:ポケモンと一緒に生き残る
2:珍しい植物タイプはゲットしておく
3:できればすぐにでもなのは達のところへ戻りたい

【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【状態】瀕死、パーツ全破壊状態、エリカのポケモン
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
0:気絶中

902 超巨大少女対決の行方!! :2015/02/04(水) 02:42:45 ID:5sm/nn6w0

「にょわー! これは天ちゃんの分だにぃー☆」
「こっちだって負けられないよー追っかけるよー」

 リングで戦う二人の少女がいた。
 一人、身長200cmを先ほど越したアイドル。
 一人、身長197cmの女子高生雀士。

 事の発端は簡単だった。
 暴走してきた装甲車が魔雲天たちのグループに突っ込んできた。

 装甲車は魔雲天によって止められ事無きを得たが……。
 出てきた女子高生二人が実に狂っていた。

「ワハハ、3対2じゃずるいだろう!」
「ずるい、汚いは悪魔にとって褒め言葉だぜ!」
「そこでここは代表者同士一名ずつのシングルマッチで決着を着けるのはどうであろうか?」
「ほう、悪魔超人であるこの俺に戦いを挑むとは……
 いいだろう、ならば直々に……「にょわー! ここはきらりんが戦うにぃ☆」」

 魔雲天はきらりに投げ飛ばされた。
 そして、きらりは悠々とリングに立ったのだ!

「うわー大きい人だなー」
「じゃあスタートだにぃ☆」

 それと同時に豊音もリングに入った。
 舞台は埼玉ドームの近くにプロレスリング。
 こうして、始まった超ド迫力の女子プロレス。

「グムーッ、きらりと同等の超人になれる才能を持つ少女がいたとは……」
「ワハハ―」
「…………………」

 両コーナーでは二人の仲間が声援を送る。
 観客は今のところいない。

 そして、なにゃかんやで試合開始から20分経過し、遂に決着がついた。

「天ちゃん直伝マウンテン・ドローーーーップ!!」
「きゃあ!!」

 短い悲鳴と共に豊音はマットに沈んだ。
 同じ巨体である二人のスペックはほぼ同じ。
 だが、明暗を分けたのは『セコンドの差』であった。
 きらりのセコンドはザ・魔雲天、豊音のセコンドは智美。
 このセコンドの経験差はとてつもなく大きかった。 
 月と鼈くらい差があった。

「じゃあ、きらりんの歌を聞くにぃー☆」

 きらりは聞いていた。
 勝利後はマイクパフォーマンスをするものだと。
 だからこそ、マイクを握った。
 
 ―――マイクパフォーマンス(ライブ)をするために。

「曲は勿論『地獄の山脈』だにぃ☆」

 そして、歌うのは勿論『ザ・魔雲天のキャラソン』である。
 約4分間、きらりは熱唱した。 
 その歌を聞き、豊音と智美は戸惑ったが、次第に笑顔になっていた。 

 それはもうクラウザーさんやDMCなど『どうでもよくなる』ほどまでに。

 諸星きらりは超人レスラーではない。
 ――――――彼女は人々を笑顔にする『アイドル』である。

903 超巨大少女対決の行方!! :2015/02/04(水) 02:43:34 ID:5sm/nn6w0


「豊音ちゃんもきらりんと一緒にハピハピするにぃ☆」
「えっ……?」
「ワハハ、リングで戦った後に友情が芽生える……これが友情パワーか……」
「きらりんのハピハピパワーだにぃ☆」

 こうして、豊音と智美は脱DMC狂信者を果たしたのだ。

「それでお前たちはこんなところで何をしようとしていたんだ?」
「ワハハ、クラウザーとかいう奴の歌で狂った奴らに加勢するためにあそこ(西武ドーム)に行こうとしていたんだ」
「でも、今は違うよーあんな変な歌よりもきらりさんの歌の方が素敵だってことを教えるんだよー」
「…………そうか」

 魔雲天は智美の指差した方向を見て悩む。
 確かに向こうから血みどろの戦いの気配がする……と悪魔の勘で分かった。
 だが……

「ゲヘゲヘゲヘ〜! ここで物怖じするほど悪魔超人は甘くないぜ〜っ!」
「だったら、きらりんも行くにぃ☆」
「………………」

 こうして、魔雲天たちは西武ドームに突入することを決めたのであった。

「………………ニヤッ」

 そして、再び雪風の少女は微笑んだ。


【二日目・7時30分/日本・埼玉県・西武ドーム近く】

【ザ・魔雲天@キン肉マン】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)
【装備】柔道着
【道具】なし
【思考】基本:悪魔将軍の命に従い主催を抹殺する。
0:西武ドームに向かう
1:他の悪魔超人達と合流する(できればミスターカーメンかBH)
2:邪魔者はすべてマウンテンドロップでペシャンコにする。
3:きらりは超人になれる才能がある?
4:女達(タバサ、豊音、智美)はとりあえず連れて行く。また襲ってきたら返り討ちにする
5:仮に風鳴翼と出くわしたら倒す。
6:関東に超人の軍団ができたという話だが、どこにいるんだ?
7:自分を破ったテリーマンと再戦できなかったことは心残り。
※超人血盟軍が野球チームであることに気づいていません

【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【状態】ダメージ(小)、215cm、戦意もりもり!、全身返り血塗れ、テラカオス化進行
【装備】ないにぃ!
【道具】支給品一式、巨大化爆弾@五星戦隊ダイレンジャー、芋丁の芋羊羹@激走戦隊カーレンジャー、ビービ虫の巣@天装戦隊ゴセイジャー
【思考】基本:Pちゃんを探すついでに悪い奴をやっつけるにぃ!
0:どういうわけか戦いたくてウズウズするにぃ!
1:天ちゃん(魔雲天)は強くて優しいにぃ!
2:もっと強く大きくなるにぃ!
3:翼って人と出くわしたらきらりんパワーで成敗するにぃ!
4:豊音ちゃんとタッグユニットを組むにぃ!
※テラカオス化の進行によってかなりの超人強度(身体能力)とザ・魔雲天を越える防御力を得ました。また、戦う度に身長が高くなります。

【タバサ@ゼロの使い魔】
【状態】ダメージ(小) 、疲労(小)
【装備】杖、マフラー、ジーンズにジャケット姿、服の下には包帯を巻いている
【道具】支給品一式
【思考】基本:???
1:???

【蒲原智美@咲-Saki-】
【状態】健康
【装備】装甲車
【道具】支給品一式、しもふりにく×3
【思考】基本:きらりの歌を広める
1:天魔王軍の雀士(ニセアカギ)は個人的に戦ってみたいぞー

【姉帯豊音@咲-Saki-】
【状態】ダメージ(中)
【装備】不明
【道具】支給品一式、スマホ
【思考】基本:きらりさんと一緒に頑張るよー
1:天魔王軍の雀士(ニセアカギ)さんとも戦ってみたいなー

904 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:14:40 ID:aV78bQ/20
指摘を受けたので 悪性変異
>>882から>>885まで修正したSSを投下します

905 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:15:39 ID:aV78bQ/20
キモいオッサン――アリー・アル・サーシェスは確かにそう言った。
サーシェスはニタリと怪しい笑顔を浮かべると、次の瞬間には強い殺気と共にヒゲの触手が総毛立ち――


「 エ ン ド ブ レ ス 」


――サーシェスが仕掛けてくるよりも早く、フォーマルハウトは殺気を感じたと同時にブレス攻撃を放った。
衝撃で浜辺の砂煙が辺りに立ち込め、煙が収まった頃にはサーシェスは跡形もなく消えていた。

「よくやったフォーマルハウト。おかげで被害もゼロですんだ」
「真竜として当然のことをシタまでだ、ハーハッハッハッ!」

フォーマルハウトはあからさまに怪しいサーシェスに対して、一目見た時から危険な匂いがしたことを察して、いつでも殺せる準備をしていた。
結果的には正解だったと言え、真竜としての株をまた一つ上げられたと思ったフォーマルハウトは高笑いを上げる。



だが、しかし。
彼の一瞬の慢心が不幸を呼ぶことになった。

「ハーハッハッ――ガッ!?」

フォーマルハウトの高笑いのためにアギトを広げていた瞬間を狙って、何者かが彼に向かって突進し、その口元を無理やりこじ開ける。

「そうれ、お返しだ」
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

そして聞き覚えのある声と共に、口移しのように黒い火炎が放たれた。
容赦のない黒い炎がフォーマルハウトを体内から焼き尽くし、やがて限界を迎えると、宝石を散りばめたような真竜の肉体が爆散した。
辺りにドラゴンズの仲間を失ったことに対する悲痛な叫びが木霊する。

「フォーマルハウトッ!?」



【神体フォーマルハウト@セブンスドラゴン2020-? 死亡確認】


そしてフォーマルハウトを殺したのは、今しがた倒したはずの触手男サーシェス――ではない。
フォーマルハウトの残骸の前に立っていたのは――






「な、な、何をしてるんだホルスの黒炎竜ーーーッ!!!」

906 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:17:13 ID:aV78bQ/20
――ドラゴンズの一員であり、仲間であるはずのホルスの黒炎竜Lv8であった。
仲間が自分を殺そうと思わない……それが両チームにとっての精神的な死角となった。
オシリスすら仲間が凶行に走ったことに理解が追いつかず、いつもの軽いノリを忘れて叫ぶ。
そして仲間を殺したホルス自身は台詞に草を生やしながらも、酷く焦った様子で仲間に訴えるのであった。

「お、俺の意思じゃないよ……てかw助wけwてw先w輩w!!
体wのw自w由wがw効wかwなwいwんwだ!!」
「やれやれ、危うく死ぬところだったぜ……」
「!?」
「おまえは!」

黒炎竜が仲間の方に向き直ったとき、仲間達の視線は非難から驚愕に変わった。
胸元には倒されたと思われた男、サーシェスが触手を使って彼の胸元に張り付いていたのだ。
その触手は深々と黒炎竜の胸に刺さっている。



――サーシェスはテラカオス化進行によって他の進行者同様に能力を手に入れていた。
しかし最初に手に入れた『いびきを一回する度に周囲に爆発のエフェクトが発生する』のように役に立つのかよくわからない能力であり、次に手に入れたのは『髭が触手みたいになって粘液が出てくる』という(フォレスト・セルが地上に出る際にはいちおう役に立ったが)ビジュアル的に致命的な能力だけだった……



 と こ ろ が ギ ッ チ ョ ン 。



東京から千葉まで吹っ飛ばされた後の短時間の間にサーシェスはさらに進化し、新たな能力を手にしていたのだ。
それは……『触手を通した他者への寄生と肉体の支配』である――


「俺自身もなんだかわからねーが、おもしれえ能力だぜ。
くっついたらこいつの体を自分のものみてえに動かせるようになったぜ」
「うほおおおおおwwwやめてくれえええwww俺は男に触手攻めにされる趣味はねぇwwww」

体を覆う触手からの粘液によってエンドブレスのダメージがあまり通らなかったサーシェスは、舞った浜辺の砂を隠れ蓑にして皆の目を欺いて黒炎竜の体に寄生して支配し、操った黒炎竜のブレス『ブラック・メガフレイム』でフォーマルハウトを殺害したのだ――イチロー達はそう理解した。

ちなみに明らかに人間の枠を外れた肉体の変化を起こしているが、サーシェスがそれを疑問に思うことはない。
クルルが作成した新型ナノマシンによる異常な闘争心にテラカオス化所以の精神汚染が重なり、狂乱状態に陥っているのだ。
サーシェスは戦争がやりたいという欲求のみに従う破壊者と化しており、疑問はとっくの昔に置き去りになっていた。
そして確定的に明らかなのは、サーシェスはもう人間ではないということだ。

(こんな自重しない奴は、僕のレーザービームを投げつけてやりたいところだが……レーザービームの威力では寄生されているホルスまで巻き添えになる危険がある……どうすればいい?)

イチローを始め、多くのメンバーが黒炎竜を助ける方法を考える。
あまり威力や範囲のありすぎる攻撃はサーシェスのみならず黒炎竜をころしてしまう危険があるので慎重にならざる負えなかった。
……約一名を除いて。

「夢想封……」
「ちょ、霊夢!?」

イチローチームの一員である霊夢は、サーシェス及び黒炎竜に向けて奥の手であるボムこと夢想封印を解き放たんとし、仲間がそれに待ったをかける。

「何を考えてるんだ霊夢!?」
「私だって考えなしに撃つわけじゃないわ。
ホルスは魔法が効かないんでしょ?
だったら、私のボムで触手男を倒しても、黒炎竜の方は無効化して無傷で済むはずよ」
「そ、そういえばそうだった!」

黒炎竜自体は常時魔法無効化の能力があることを思い出した仲間達。
加えて黒炎竜自体に魔法は効かないが、サーシェスはそうではなく焼き殺せるだろう。
それを見通した霊夢は、仲間を納得させて今度こそ夢想封印を放たんとする。

907 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:17:53 ID:aV78bQ/20

「こんなとこでゆっくりしている暇はないわ!
私には世界を救う祈りの巫女としての仕事も残ってるしね!」
「いや、祈りの巫女はたぶんおまえじゃないと思「 夢 想 封 印 ッ!!」」

二次創作のクッキー☆出典とはいえ、この霊夢も紛れもない博麗の巫女。
原作通りの戦闘力はちゃんと備えている。
彼女がハラサンの言っていた予言にある祈りの巫女かは不明であり、皆もそれに関しては首を傾げてツッコミを入れるが、それを押し切るように夢想封印を黒炎竜に放った。
周辺が眩い光に包まれる……この光の後に最良の結果がまっていると誰もが信じていた。












「……あれ?」
「ずいぶん温いじゃねえか、お嬢ちゃん」

目論見は失敗に終わった。
どういうわけか黒炎竜の胸に張り付いた触手男は焼け死ぬどころかピンピンしている。
そして目のくらむような光が晴れた後に、触手男に操られた技発動直後の硬直で動けない霊夢の目の前に立っており、そして――



ブツンッ



――彼女の体から首が千切り取られた。
頭を失った体が噴水のように赤い血を噴き出しながら浜辺に横たわる。
その凄惨な光景に仲間達のぬか喜びは、一瞬で悲鳴と戦慄の叫びに変わった。


「れ、霊夢ゥーーーーーーーーッ!!」


【博麗霊夢@クッキー☆ 死亡確認】


二人もの仲間を失って怒りと恐怖でパニックになりかける両チーム。
その中でホルスBが疑問を口にする。

「奴には霊夢の攻撃が全く通じてなかったホル。 なぜホルか!?」
「……まさか! 寄生している奴自身も、宿主の能力を得られるんじゃ?」
「ギムレー、どういうことホル?」
「ホルスには魔法無効化の能力がある、触手男が乗っ取った相手の能力を使えるとすれば……触手男もホルス同様に魔法無効化の恩恵を受けているんだ!」

ギムレーの考察通り、サーシェスは黒炎竜を通して魔法無効化の力を得ていた。
魔法に準ずる霊夢の夢想封印は効果がなかったのである。
それを聞いた仲間達が歯噛みする。
すなわち、蛮の蛇眼による催眠術でホルスから触手男引き剥がすことも、ナッパのエネルギー弾やギムレーとイドゥンの書物による雷撃魔法や体力吸収魔法も、触手男には通じないとわかった以上、その戦法も使えなくなったのだから。
そんな両チームをサーシェスは嘲笑うように、霊夢の生首を弄る。

「本当に楽しいぜ、戦争ってのはよう。
もっともっと血の匂いを嗅ぎたくて嗅ぎたくて堪らないぜ〜」

瞳には狂気・口には愉悦の笑顔を振り向けながら、サーシェスはMSを操るのと同じ要領で、黒炎竜の手に握られていた霊夢の生首を苺ジャムが入った饅頭のように握りつぶした。
黒炎竜の握られた掌の隙間からグチャグチャパキパキという音と血肉が漏れる。

908 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:18:30 ID:aV78bQ/20

「この下衆め! よくも霊夢を……殺してやるゥッ!!」

サーシェスの所業には多くの者が恐怖だけでなく怒りを覚えていたが、その中でもっとも激情に駆られていたのは萃香だった。
友の死を目の前で陵辱されて怒り狂ったのだ。
萃香は腫瘍のように黒炎竜に張り付いたサーシェスに拳を叩き込む。

「ぐはあッ!!」

拳はサーシェスの横っ腹にクリーンヒットした。

「物理攻撃は効き目があるようだな。
どうだ痛いか!! このまま嬲り殺しに……」
「いってええええええええwwwwwwぐぼぁッ!!」
「なッ?!」

粘膜で多少は防がれるとは言え、打撃が効くとわかった萃香はすかさずニ撃目を叩き込もうとしたが、その直前に黒炎竜も苦しみだし吐血したのを見て拳を止めてしまう。

「そんなバカな……後ろのホルスに力が届かない程度には計算して殴ったのに……うわぁ!」

萃香は鬼として絶大な腕力をもってはいたが、打撃が仲間に入らないようにあえてサーシェスを横から殴りつけたのだ。
しかし実際にはサーシェスのみならず黒炎竜もダメージが入った。
それに驚いている隙に萃香は尻尾で反撃を受け突き飛ばされる。

「どうやら俺がダメージを受けると、こいつにもダメージが入るようだな」
「な、なんだと!」
「こいつを痛めつけるとホルスも傷つく……それじゃ誰もこいつを攻撃できねえじゃねぇか!」

サーシェスが受けたダメージは黒炎竜にも及ぶという理不尽な事実に一行は困惑し憤慨する。
しかし、仲間が傷つくとあらば誰しも攻撃を躊躇せざる負えなかった。
高い攻撃力や仲間を徹底的に強化するの能力も、味方相手に使うわけにはいかなかった。


「……このままじゃダメだッ! みんな、一旦退くぞ!」

そう切り出したのは6/である。
魔法こそ使えないとわかったが、素手でも強いナッパや萃香などが本気になればサーシェスを殺すことはできる。
だが、それすなわち黒炎竜の死であり、仲間を殺せる非情な判断を下せる者は、良くも悪くもお人好しばかりな2チームの中にはいない。
さらに言えば触手男の実力も未知数で、まだ自分達の知らない能力がある可能性もある。
それを鑑みた6/はイチローチームやドラゴンズに撤退させようとするべくディパックから大量の胡桃を取り出し、それらを両手で粉になるまで砕いていき、その粉を周囲に放出した。

「クルミボール番外技! クルミスモークだ!!」
「なんだこりゃ!? ゲホッ、ゲホッ!!」

胡桃の粉で作った茶色い煙幕が周囲を覆い尽くし、サーシェスの視界を覆った。

「敵の視界が潰れた! 今の内に逃げるんだ!!」
「しかし、ホルスが……」
「どのみち今の俺達にホルスを助け出す手段はない。
逆にここで逃げ切れれば、触手男からアイツを助け出せる方法や参加者を見つけられるかもしれない!
今は耐えるんだ! モタモタしていると煙幕が晴れちまうぞ!」

6/が逃げることを渋る仲間達を一喝すると、各々が煙幕に紛れて一目散に逃げ出した。
飛べる者は自力で、飛べない者は最寄りのドラゴンの背に乗り、その場から飛び去った。
煙幕が晴れた時にはサーシェスの周囲には誰もいなくなり、遠くを見ると集団は南北の二つに分かれて移動していた。

「クソッ、逃がすかよ!」

せっかくの獲物を逃がすかと言わんばかりに、サーシェスは黒炎竜の翼を使って集団の片割れを追う。
目をつけたのは……北側に逃げた集団だ!

909 悪性変異 修正版 :2015/02/05(木) 00:18:58 ID:aV78bQ/20
修正版投下終了です。

910 麻雀界ではよくあることかもしれない :2015/02/05(木) 21:52:26 ID:pa7SM1r.0
埼玉県・西武ドームは今や戦場となっていた。
神聖な球場は血で穢され、天井は破壊され、現在も戦いが止むことはない。

「ヒャッハー!」
「ぐああああぁぁぁぁ!」

謎の妖精に黒影トルーパーの一人が吹き飛ばされる。
絵面も叫び声も状況も何もかもが混沌、世紀末であった。
この大乱闘が終わるには、もう少しだけ時間を要するだろう。




――同刻。


「今であります!」
「ぐっ……!?しまった!」
「おら、燃えろぉ!」


ドームの通路では、二体の仮面ライダーの戦いが繰り広げられていた。
しかし一方の仮面ライダー、ヒノケンこと火野ケンイチにはケロロという強力なサポーターがついている。
吐き出されたガマ油の効果で転倒した衛宮切嗣は、ここで得物から手を離すという真似はしなかった。
たとえ転んだ状態であったとしても、相手の攻撃パターンは大体把握しているから対処できる……
そう考えていた矢先、ヒノケンの炎はあらぬ方向へと放たれる。
切嗣が転倒した際にデイバックより飛び出した、爆弾の起爆スイッチこそが彼の狙いだったのだ。

「ち……!」
「よくやった。これでドームが瞬間で崩落する危険性もなくなったぞ」

仮面の下で苦々しげな表情を浮かべる切嗣とは対照的に、ヒノケンは笑みを浮かべていた。
ドームの崩落こそがもっとも危惧していたことであり、さらに爆弾の位置はファイアマンにより特定済み。
あとは目の前の仮面ライダーを始末してしまえば、こちらの勝利確定だ。
燃やした死体と証拠の爆弾を手土産にすれば聖帝軍に恩を売れる。
そんなことをしなくとも、まだ戦闘が続いているらしい聖帝軍を援護すれば、それだけでも恩を売れるだろう。

「……そうなるとこの女ももう用済みか。万が一連中にこれを見られると不信感を持たれかねない」
「そうでありますな。いまさらながら、デイバックの中に人間をねじ込むのは結構外道だったであります」
「!?」

ぬるっとデイバックから取り出されてそこらへんに放置された女性に切嗣は驚愕する。
彼女こそ、初期からずーっとヒノケンに捕まり続け、気絶しっぱなしで、とうとうデイバックにねじこまれた不幸な善野監督である。
元は交渉のためにさらわれ、計画が潰されてからは食料などと交換するつもりで持ち歩かれていたが、聖帝軍と合流するなら必要ない。
むしろ万が一見つかってしまった場合、正義感の強い者が多い聖帝軍からは確実に危険視されるだろう。
少しばかりもったいないという感情もあったが、ヒノケンはこれからのことを考えて善野監督の放棄を決めたのだ。




まさかその判断が命取りになるなんて、わかるわけがない。

911 ズカンされた名無し :2015/02/05(木) 21:53:32 ID:pa7SM1r.0
「ふっ……!」

次の瞬間には、切嗣は善野監督の元へと駆けていた。
まさかの行動に、ヒノケンもケロロも対処が遅れる。
そのまま切嗣はデイバックから不明品……小さな立方体を取り出すと、それを善野監督の口に入れて飲み込ませた。

ごくん

立方体が、食道を通って胃に向かう。溶けていく。





「イエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!」





そして監督は、弾けた。

「な、なん……!?」

あの病人の、結構乱暴な担ぎ方をしても全く起きなかった女が、突然跳ね起きて奇声をあげる。
あまりの光景にヒノケンの頭は一瞬真っ白になったが、そのまま彼は人生に幕をおろすこととなった。

「フウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」
「な……っ!」

高速で接近してきたのは切嗣ではない。善野監督の方だ。
その勢いのままヒノケンを担ぎ上げるとそのまま、死の技の構えに入った。

 デ ス バ レ ー ボ ム で あ る !

ぐしゃりと嫌な音が響く。

頭から硬い床にめり込むほど、その凄まじい衝撃は頭蓋骨は勿論のことベルトさえも破壊した。
ファイアマンもろともヒノケンは、何が起きたのか理解する間も無く息絶える。

【火野ケンイチ@ロックマンエグゼ】死亡確認
【ファイアマン@ロックマンエグゼ】死亡確認

「ヒ、ヒノケン殿!? おのれ、よくも……!」

復讐に燃えるケロロ。
しかし猛然と向かってくる軍曹に放たれたカウンターは……

 ド ロ ッ プ キ ッ ク だ っ た !

色々なものが砕ける鈍い音が鳴った。
小柄な体躯が災いし、全身に強烈なダメージを負ってしまったケロロもまた、ヒノケンの後を追う。

【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】死亡確認

912 ズカンされた名無し :2015/02/05(木) 22:00:31 ID:pa7SM1r.0
「あー……生き返った気分……でもこの感じ、クラウザーさんは亡くなってしまったのね……」
「う、うむ……そのために今我々は生贄をSATSUGAIしているところだ」

ようやく少しは落ち着いたらしい善野監督に対して、切嗣は若干ひいていた。
相変わらず儚げな印象の女性であり、それでいて先程の凄惨な光景を見せられては何が何やら。
切嗣はただ、この女性がクラウザーさんに異常に飢えていることを悟り、回復させることで2対2の状況を作れればいいと思っていただけだ。
ちなみに食べさせた立方体の名前はDMC(ドーピング・メタル・コンソメキューブ)
熱狂的なDMCファンのとある有名シェフが作った、ドーピングアイテムである。
女性使用者からのクレームを受け、改良を重ねた結果、口からの摂取で十分効力を発揮できる代物となっている。
その主な成分は、大量の鉄分とクラウザーさん成分であるクラウザニウム。
クラウザーさんの歌が聞けない状況下でも、クラウザーさん成分を補給できる素晴らしい食べ物である。

善野監督の入院の理由も実はこれだったりする。
最初は普通に病気で倒れたのだが、「クラウザーさんの歌を3時間も聞けば全快する」といった善野監督の言葉を医者が無視。
病院内はお静かにという理由で、当然入院中のクラウザーさんの歌はご法度。食事も病院食であり、ドーピング食も食べられなかった。
結果として、病気のほうではなく極度のクラウザニウム不足により善野監督は衰弱しきり、長期入院していたのである。
ちなみにヘルカイザー亮は体質でクラウザニウムを体内に溜め込める量が少なく、常にクラウザーさんに飢えているらしい。
だがここまでであれば、ドーピング・メタル・コンソメキューブを食べたところで、善野監督が全快するだけ。
ドーピング・メタル・コンソメキューブはあくまでクラウザーさん成分を大量に取り込むことで興奮状態を生み出し、信者の力を一時的に上げるだけだ。
肉体に大きな変化がないことから分かるとおり、これはコンソメスープなどとは違いガチガチの戦闘用ではない。
いくら摂取したところでとてもではないが、病人にヒノケンとケロロを粉砕するような真似はできない。

913 ズカンされた名無し :2015/02/05(木) 22:01:35 ID:pa7SM1r.0
善野監督は一般人の病人ではあるが……雀士だ。
首脳クラスになればもう宇宙レベルの強さになるというあの雀士である。
ここで、同じく雀士である東横桃子の言葉を思い出してもらいたい。
彼女は現在都庁の同盟の一員となっているが、魔物を見た彼女は清澄の大将と似た感じであると発言している。
そう――高校生であっても全国クラスの、特にふざけた異能持ちの雀士はもはや人間ではない!
この事実は女子高生雀士の間では既に周知のものとなっており、各校は魔物クラスの雀士の対策に追われている。
そんな中で編み出されたのが、己の雀力を攻撃力及び防御力に変換し、肉体を強化するというものであった。
全ての雀士がこれをできるわけではないが、この技を身に着ければ魔物クラスの攻撃を受け止め、貫く礎になる。
何しろ普通の試合中であっても、竜巻だのなんだのが発生する危険地帯なのだ。防御力を上げなければやってられない。

東横桃子は残念ながら全国大会への出場はできなかったものの、異能を持ちかつその雀力は魔境長野でも上位に入る。
その実力から彼女もこの雀力変換法を体得しているのだ。周りに説明していないだけで。
これがなければ、ジプシー・デンジャーの攻撃で中ダメージで済んだり、ぼのぼのを一撃で倒すことはできなかっただろう。

姉帯豊音も同じくである。彼女は全国出場を果たした異能持ちであり、さらにその能力は6つ。
フィールド制圧系能力やピンポイントなカンでもしない限りその能力を打ち破るのは難しく、基礎雀力も高い。
結果として彼女の雀力変換法は桃子以上の効力を発揮し、ムドーを秒殺する力とマウンテンドロップを耐えられる防御力を手に入れた。
これはテラカオス化ではない。雀力のおかげなのである。
名門姫松の監督を務める善野一美が、彼女達以上の雀力、つまり強さを持っていても不思議ではないだろう。

「久々に動いたら疲れた……ボディーシザースドロップの方がよかったかも……?」
「正直なんでもいい……」

ここで最後の疑問。何故、善野監督までもがプロレスを嗜んでいるのか。
答えは簡単。麻雀協会のお偉いさんがエンターテイメントとして、流行のものと麻雀を組み合わせてはどうかと発案したのだ。
大災害にあう前の世界では様々なものが流行っていたが、その中でも特に流行っていたのが
麻雀、DMC、格闘技、野球、ネットバトル……などである。
この時、コークスクリューツモという凄まじい荒業を生み出した選手が現れ、以後女性雀士は格闘技を学んでいるものが多いそうな。

とにかく言えるのは、聖帝軍の背後にまた一人、凶悪な相手が生まれてしまったということである。




【二日目・7時30分/埼玉県・西武ドーム】

【衛宮切嗣@Fate/Zero】
【状態】中ダメージ、武神鎧武に変身中
【装備】銃、戦極ドライバー、ロックシード(ブラッドオレンジ)
【道具】支給品一式、D・M・C×2
【思考】基本:同志の夢を叶えてクラウザーさんを生き返らせる
1:状況によっては、一個一個爆弾を発動させる
2:セイバー達との合流
3:正直この女にあまり近寄りたくない
※一斉起爆ができなくなりましたが、爆弾そのものはまだ生きています

【善野監督@咲 -Saki-】
【状態】すこぶる健康、クラウザニウムMAX
【装備】患者服
【道具】なし
【思考】基本:クラウザーさんの蘇生
1:恭子を殺した主催者もSATSUGAIする

914 守護者 :2015/02/06(金) 01:45:01 ID:QBfFkWPM0
「―――回答は出た。しかし―――」

テラカオスの脅威、迫り来る世界の終焉、苛烈を極めるカオスロワ。
混沌を極める殺し合いの中、一人の雄が名乗りをあげた。

「よもやあれ程とは………ッッ」

本部以蔵。
その人である。

「対主催も……野球チームも……都庁の軍勢も……マーダーも……主催者も

 否―――DMC信者でさえも―――」

雄は刀を手に立ち上がる。




「俺が守護(まも)らねばならぬ」




【二日目・9時00分/どっかの山奥】

【本部以蔵@刃牙道】
【状態】健康、守護らねばならぬ
【装備】日本刀
【道具】支給品一式
【思考】
1:守護る。

915 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:28:23 ID:8Ou8xTd60
【死国 居住エリア】


死国のある一室で、生まれたままの姿の女性が暖かいシャワーを浴びていた。
そう、その女性は私、シグナムだ。

設置された女性用シャワールームの中に私はいる。


                                > -- 、
                            , -==- ミ / ,,.. -―― 、
                        〈〈  ,.> r''^y´.-― ''  ̄`i |ヽ
                     /  ̄ ̄ ` <    `ヾーiャ  | |  \
             ヾ -  ..__ r /          ヽ     Viミ! __ { {   \
                   ` ̄ フ ´               ∨ / .}个{ ヾーソ.     ヽ
                  /            i        ∨  ルv!  ∨       \
                /       i    | ',.  i     i  j-〈/    ',        ∨
               /  ,    |   ト. |  |-ヽ  |.    |,-yiノ  ,:   i          ∨
           __ 彡ィ  /   i.   | ', {ヽ |.ィ==-ァ .  | / ノ  /    i!         ,
             /  ,     |ヽト、 !   ´ 弋rソ'  |  |/⌒ヽ/   ハ
               〃i |    ハ ,.ャォ    , , ,  | ,!  | / ノ ハ   /  ヾ
           /  | !| ハ     ヽ` j         ! ,   i__ ,イ    /     ヽ
                 |/ i'  ',   ハ `      ノィ  , }彡'  /      \
                   ヽ   八  r ,       |  /  ヾ,,/         ,
                     \  | \       レ′  i゛           ∨
                     \!  ヽ __ ィ //    .!            ∨
                            | .//     .!               ∨
                             ,. --ノ { {  r''"´  ̄ ̄ `ヽ       ∨
                       /       ヾ               ',.         i
                     __/,..イ                    i       |
                ,..> ´                      !        !
              > ´  ,,.  ´          ,       !           ,        ,
         > ´    /            '.    `i        ,′
        ,/      /               !    .|, - ― -- 、|        |
         ここから下は見せられん、許せ。




少女のようなあどけなさこそないが、大人としての色気を醸し出す顔。
薄紅色の鮮やか髪。
程よく膨らんだ2つの豊満な胸。
腹回りは腹筋で多少引き締まっているが、硬さを感じさせない柔らかさを残したスリム形状に、腹の中心で自己主張するヘソ。
お尻もプックリと大きいが、ブヨブヨではなくそれなりに引き締まっている。
すらっと長い両手足、それに付随するムチッとした太もも。
指先や爪先もそこまで汚れたり荒れたりしていない。
そして乙女にしか持ってない下腹部の下にあるYの字と、更にその下にある…………いや、こればっかりは書きこみすぎると色っぽい通り越して下品て言われそうだから読み手のご想像にお任せしよう。
それらがバランスよくまとまって私の体はできている。
自分で言うのもなんだか、とてもニート暮らしをしているとは思えない美しい裸体だ。
その裸体は今、シャワーノズルから降り注ぐ雫によって、更に色気を増している。
肌はお湯でピンクに近い色になり、雫は手先や爪先、胸の先端、お尻もしくは下腹部を伝って床に落ち、排水口に流れていく。

「ふう、そろそろ良いだろう」

汗や臭いを大方洗い流したと見て、私は蛇口をひねってシャワーを止める。
川のように流れていた雫が止まり、代わりに体のあちこちに流れそこねた水が玉のように残っている。
私はその水玉を真っ白なバスタオルで拭き取っていき、その度に胸や尻など体のあちこちがプルプルと震えた。
全部拭き取ったところで私はバスタオルを頭に撒き、肌身にバスローブを纏う。

916 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:29:10 ID:8Ou8xTd60

『なあ、シグナムよ……ちょっといいか?』

シャワールームの囲いの外に置いてあるPETからナビであるカーネルが私を呼んだ。

『食料調達なり野球のスタメン選考なり、そうでなければ武器を研いでいたりと他の連中はそれなりに働いているのに、おまえだけシャワーを浴びているとはどういう了見だ?』
「悪いか?」
『この前も言ったが、少しは本気を出す素振りくらい見せてみたらどうだ?
いくらなんでも緊張感がなさすぎるぞ』
「またその話か。慌てることはないさカーネル。時が立てばしっかり戦わせてもらう」

その時が来るまで徹底的に休むのが私の主義だ
まあ、私生活においてはそれで余計にめんどくさくなってダラダラと物事を放置してしまうクセがついてるし、今期のロワだって今の所ろくな活躍がありゃしないが、やる時はやるつもりだよ?
うん、最終話ぐらいには働くんじゃないのかな?

「しかし、さっきから何か嫌な予感がするのだが?」
「考えすぎだカーネル。
仮に襲撃があったとして、侵入されてもバヌケ高校生ぐらいの戦闘力なら私とカーネルでまず返り討ちにできるし、外側からの攻撃も死国の頑丈な装甲なら核ミサイルが直撃しても耐えられるだろう。
何も心配はいらないさ」

余計な心配ばかりするカーネルを前に、「死国は安全だ」という意味を込めて私はシャワールームの壁をコンコンと叩いた。










次の瞬間、シャワールームの壁が爆ぜ、私とカーネルは爆炎に飲み込まれた……

917 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:29:38 ID:8Ou8xTd60
【大阪 市街地中央】

時は死国のシャワールームが爆発する前に遡る。

ここは大阪の市街地。
食料調達のために死国を降りて市街地を探索することに熱斗一行であったが、その途中でシャロと殿馬、エスパー伊東が行方知れずになってしまった。
忽然と姿を消した仲間達を探すべく、熱斗達(熱斗、翔鶴、ディオ、トシキ、のび太、クロえもん、ダイアーさん、上条の8人と、ロックマンとシャドーマンの二体)は一旦作業を切り上げて集合し、仲間探しに専念することにした。
そして探索の末、熱斗達はとうとう三人のうち二人を探し出した。
だが、仲間を見つけ出した熱斗達は、変わり果てた二人に絶句せざる負えなかった。

「これはッ!?」
「シャロ……!」
「エスパー伊東!!」
「ど、ドラえもーーーん!!!」

市街地の中央に、シャロ・殿馬……そしてドラえもんの亡骸が適当な木材で作られた三つの十字架に磔られていた。
磔刑にみせかけたようなオブジェは、早く見つけてくれと言わんばかりに存在感をアピールしている。
この残酷な十字架には、ある者は熱斗やトシキのように驚愕し、ある者は仲間と親友の残酷な姿に上条とクロえもんと同じように叫び、そうでなければ言葉を失っていた。
のび太に至っては、ドラえもんが破壊されていたことに対して、ショックで完全に硬直していた……

「まだ生きてるかも知れない! 早く下ろそう!」

頭に風穴が空いていて誰が見ても手遅れなドラえもんはともかく、他の二人はまだ生きている可能性があるやも知れぬと上条は皆に訴え、三人を十字架から降ろそうとする。
しかし、ここで彼のネットナビであるシャドーマンが静止をかける。

『待つんだ皆!』
「シャドーマン!? どうして止める?!」
『冷静になれ、お館様。罠が仕掛けられてる可能性だってある』
「罠?」
『ああ、街の中心で明らかに目立つ磔……まるで見つけてくれと言わんばかりだ。
戦場ならば、こういったものに敵兵が爆弾が仕掛け、助けにきた仲間をトラップで諸共爆殺するケースもある』
「どうしてそう言い切れるんだ?」
『ダークミヤビと傭兵稼業を勤しんでいた俺だからこそ、わかることだ』
「そうか……」
『とにもかくにも冷静になれ……罠の探し方は俺が知っている、まずは罠の有無を確認するべきだろう。
マーダーが近くに隠れ潜んでいる可能性もある以上、他の者は周囲の警戒を頼む』
「「「わかった!」」」

シャドーマンの手ほどきを元に、上条が三人に罠が仕掛けられているかどうかを確認する。

「……シャドーマンの言ったとおりだ。 爆弾に落とし穴……罠だらけだ」
『よし、手順さえ間違えければ素人でも解除できない罠ではないな。
……しかし、三人に息はない。ここは罠を外さずに放置した方が』
「言うなシャドーマン!」

やはり息絶えていたシャロ達の遺体を放っておくべきだと進言したナビを、上条は涙ぐみながら叱責する。

『すまない。だが今のは、お館様達の安全を考えたら罠を解除して彼女らを十字架から降すより、後回しにした方が安全で効率的だと考えての発言なのだ』
「例えそうだとしても、俺はエスパー伊東達をこのままにしておくことはできない。
このまま野ざらしじゃ可哀想じゃないか……皆だってそう思うだろう?」

ディオのような根っからの悪人を除き、その場の全員が上条の意見に同意見であり、一行の方針は三人が既に死んでいたとしても十字架から下ろすことに決めていた。
そしてかけがえのない仲間が殺されていた事実に、熱斗組は強い悲しみと怒りを顕にしていた。

彼らはまだ知らない、すぐ後にこれとは比べ物にならない凄惨な戦いが待ち構えていることに……

918 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:30:05 ID:8Ou8xTd60
【大阪 市街地北側】

熱斗組のいる場所から北側。
そこには遠目から熱斗組を伺う二人の男がいた。
主催の手先である特務機関員の新城直衛と風魔小太郎だ。

「罠に気づいたか――計算通りだな。
罠が外そうとすると必ず隙ができる、その絶好のチャンスを本懐が一気に叩くことだからね」

新城がそう言うと通信機を取り出し、上空にいる味方に指示を叩きつけた。

「今だクラウディウス! 撃ちかたはじめ!」

そして、何条ものビーム砲が熱斗組の下へと落ちた。


【大阪 市街地中央】

その頃、上空では……


「ハハハハハ! やったぜ! この俺の手で熱斗組をぶち殺してやったぜ!」

新城の合図が来る――特務機関員の一人、クラウディウスは何時間もこの時を待っていた。
合図が来たと同時に上空から直下の熱斗組に向けてビーム砲を撃ち下ろすという手はずだったのだ。
例え、熱斗組と言えど仲間の死体に気を取られていれば、この奇襲攻撃に対応できずに壊滅的なダメージを被るだろう。
ビームの直撃によって爆発した市街中央を見て、熱斗組はまず殲滅できただろうと見たクラウディウスはロードビヤーキーのコクピットの中で歓喜に打ち震えていた。

「これだけの戦果ならデウスの奴も文句はないだろうし、ベクターの奴だって……ぐはッ!?」

だが、彼が歓喜を上げるのは間違いであった。
油断している内に、まだ爆煙の消えない直下の市街地から一条のビームが飛び、ロードビヤーキーに直撃したのであった。
そのビームの威力は鬼械神であるロードビヤーキーをダメージで航空不能にし、上空から落下させるには十分であった。
空から落下していく最中、クラウディウスはビームが飛んできた方向を見て愕然した。

「そんなバカな……熱斗組が一人も死んでないだとォ!?」

そして街の外れにロードビヤーキーは墜落した。




「……流石に今回ばかりは死ぬかと思った」
『危なかった……ありがとう、のび太くん』

ロードビヤーキーのビームが上空から降り注がんとした瞬間、一行の中でいち早く反応できたのび太はガンダムを操作し、ビーム砲でビームを落とす荒業……否、神業を持って対処したのだ。
熱斗組に直撃必至だったビームは、バスターガンダムのビームで全て相殺され、一行の被害を防いだのだ。
元々のび太は空中に浮いた空き缶を、宙に浮かせたまま五連続で当てられるほどの射撃技術の持ち主であり、弾丸を弾丸で相殺させることも不可能ではなかった。

「やっぱりシャドーマンの言ったとおり、罠だったのか」
『明らかに攻撃のタイミングが合いすぎている。
奴こそ、シャロ達を殺した犯人もしくは共犯者で間違いないだろうな』

一行が街の外れに墜落した巨大ロボットを見る。
仲間を殺した以上、許すわけにはいかない。
まだ仲間がいる可能性もあり、すぐにでもコクピットから引きずり出して洗いざらい吐かせ、相応の罰を受けさせる必要がある。
それができなければ倒すだけだ。
そう思い至った一行は、すぐにでも巨大ロボットの下へ向かおうとしていた――しかし。

919 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:30:38 ID:8Ou8xTd60

「……」
「なんだ? のび太のガンダムが急に……」

突然、のび太の乗るガンダムがバーニアを最大限に吹かして、熱斗組の誰よりも早くロードビヤーキーの近くまで接近する。
一方、町外れに墜落したロードビヤーキーも起き上がろうとしていた。

「イテテテテ……ひでえ目にあったぜ。だが見てやがれよ、すぐに巻き返しを」
「ドラえもんを殺したのはおまえなんだな!  死 人 に し て や る ぞ ぉ !!」
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

のび太は怒り狂っていた。
ロードビヤーキーが無二の親友であるドラえもんを殺した相手(実際に殺したのはベン(故)であるが)と見るやいなや、ビーム砲、スラッグ、ミサイル、バルカン……のび太はバスターの持ちうる砲門を全て開き、怒りのままにクラウディウスの乗るロードビヤーキーに浴びせる。
参戦するスパロボでもトップクラスの回避力を誇るロードビヤーキーと言えど、起き攻めを喰らえば避けられる道理などない。
そして回避能力と引き換えに防御力は非常に低い鬼械神であったため、バスターの全ての攻撃を跳ね返せる装甲は持っていなかった。

「のび太くん!?」
「のび太!?」

親友を殺されて感情を抑えられなくなったとはいえ、激情にかられたのび太の凶行には仲間も驚きを隠せなかった。

なお余談だが、怒りでクラウディウスを殺すしか頭にない現状の野比のび太に、暴力を制御するということはできず、滅茶苦茶に撃っているだけである。
仇に当たらなかった暴力は流れ弾となって、ロードビヤーキーの後方へ飛んでいく。
さらに死国の襲来に対して、市街地から遠くに避難していた多くの参加者達に流れ弾が落ち、血の惨状を作り上げた。

一人の警官は対MS用の弾丸で頭を吹き飛ばされた。一人の少女は瓦礫に潰された。
女はミサイル着弾による爆炎に焼かれながら死んだ。遠巻きから様子を伺っていた飛竜はビームで蒸発した。
他にも多くのモブ達がのび太の暴力の巻き添えを喰ったが、その悲鳴はあまりにも遠すぎて熱斗達は知る由もなかった……


「いやあああああ」「助けてくれえええええ」「がはッ」「ママーッ! パパーッ!」「ごめん、ね……モモ」
「死んじまうーーーッ」「こんなところで!」「助けて、ベジータ……」「アツゥイ!!」「グオオオォォォッ!?」

【安錠春樹@新米婦警キルコさん】
【加治木ゆみ@咲-Saki-】
【ブルマ@ドラゴンボール】
【リオレイア@モンスターハンターシリーズ】


「た、助けてくれ新城、風魔! ……うわああああああああああああああああ!!!」

そして、とうとうダメージに耐えられなくなったロードビヤーキーは爆発し、クラウディウスも濃密すぎる弾幕の中では脱出も叶わず、愛機と運命を共にした。


【クラウディウス@機神咆哮デモンベイン 死亡確認】


仇が大破炎上したのを見て、のび太もようやく発砲を止める。
これでドラえもんの仇は取れただろうと思うと、のび太の口元が自然に綻んだ。

ところが戦いはこれで終わりではなかった。
一つの爆音が、更なる戦いの始まりを告げる。

920 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:31:06 ID:8Ou8xTd60

「今度はなんだ!?」
「……みんな死国を見ろ! 火の手が上がっているぞ!」

クロえもんの言葉通りに、皆が港に停泊している死国を見ると火の手が上がっていることに気づいた。
慌てて熱斗と上条はPETを取り出し、死国に連絡を取ろうとする。

「緑間さんの次はなんなんだ!? とにかくパパに連絡を……」
『熱斗くん! 死国との回線が繋がらないよ!』
「なんで?! ジョジョの方は?」
「……ダメだ。シャドーマンもロックマンと同じことを言ってる」

突然、連絡がつかなくなった理由は翔鶴によって明かされる。

「電波そのものが消えてしまっている……これは、ミノフスキー粒子です!
ミノフスキー粒子が周辺に散布されています!」
「ミノフスキーだって!? 確かそれはパパ達を襲っていた連中の……」

ミノフスキー粒子と言えば、一行の中ではかつて祐一郎達を襲ったWB(戦艦ホワイトベース)に載ったマーダー集団を彷彿させた。
そして事態は熱斗組に息を付かせぬほど急転していく。
死国からの爆音、電波障害の次は、バイクと十傑集走りでこちらに向かってくる集団が現れた。
WBの市街地攻撃部隊(大尉、修造、苗木、葉隠、巧、オートバジン、レミリア、咲夜の八人とビーストマン・ヒートマンの二体)である
その集団の中には熱斗達にとって馴染みのある顔があるものがいた。

「アイツは東京でジョジョとディおじさんのネットバトルを邪魔してきた奴!」
「この殺気……気をつけろ、仕掛けてくるぞ!!」

ダイアーの言葉通り、一定の間合いに入ると集団は銃やナイフなどの飛び道具で熱斗組に攻撃を仕掛けてきた。
その濃密な射撃攻撃は、もはや弾幕である。
迫る弾幕に対し、トシキは一行の前に出て、デッキからカードを取り出した。


「弾幕を完全ガード!」


トシキは完全ガードのカードによって、弾幕から味方を守る行動に出た。
ヴァンガ魔法の防御によって落とされる無数の弾幕を前に、熱斗組は「やっぱり櫂君は凄い」略してYKSな展開が来るのだろうと予測していた。

一発の銀の弾丸が彼の心臓を貫くまでは。

「がはッ!!」
「トシキ!?」
「俺の……想像力が…足りなかったか……」

己の無念を嘆きながら、自身の胸に空いた穴から溢れ出た鮮血によって作られた血だまりの中にトシキは沈んだ。
一瞬の攻防の中で命を奪われた友に上条は叫び声をあげる。

「トシキィーーーッ!!!」

【櫂トシキ@カードファイト!! ヴァンガード 死亡確認】


トシキを殺害したのはWB組の仮面ライダーウィザードこと苗木誠であった。
ウィザードの持つウィザーソードガンは、ある程度まで弾丸の軌道を操作することができるのだ。
すなわち、無数の弾幕の中で一発だけ弾道を変えることで、トシキの完全カードの効果範囲を迂回して、トシキの心臓に直撃させたのである。

「あ……当たっちゃったのか?」

しかし、トシキを射殺した当の苗木本人は震えていた。
前述の通りに撃ったのなら、かなりの頭脳プレーのように聞こえるが実際はそこまで計算して撃ったわけではなく、半ばマグレであった。
何より、先ほど破壊したロボットのワスピーターならまだしも、自分の手で人間を殺したという事実が少年の心を刺す。
希望ヶ峰学園ではコロシアイをせず、誰ひとり手にかけなかったというのに……
そんな苗木の怯えを察して、仮面ライダーファイズこと乾は叱咤を飛ばす。

「怯むな苗木!」
「乾さん……でも!」
「奴らはこれまでに多くの人の夢や希望を奪った。
奴らを誰かが倒さないと、また罪のない誰か犠牲になるぞ!」
「夢や希望が奪われる……そんなこと許せない!」

乾の言葉によって苗木は奮い立たされた。
人殺しは嫌だが、拳王連合軍は情けをかけるに値しない最悪の殺戮集団であり、誰かが殺してでも止めなくてはいけない。
苗木としても既に、研やジョナサンなど多くの仲間を殺されており、彼らへの怒りと憎しみは大きい。
新たな犠牲を増やさないためにも、苗木は拳王連合の人間だけは殺害も辞さない覚悟を固め、銃を手に取る。

921 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:31:41 ID:8Ou8xTd60


一方、熱斗組もやられてばかりはいられず応戦に入った。
施設の壁や瓦礫を盾にして弾幕を防ぎつつ、反撃を開始する。
もちろん、一行のリーダーである熱斗も仲間を失った悲しみを怒りに変えて、バトルチップを用いての攻撃を試みようとしていた。

「シャロ達に続いてトシキさんまで! 絶対に許さないぞ!」
『熱斗くん! 上を見て!』
「あれは!」

ロックマンの言葉に従って上を見上げると一隻の戦艦、ホワイトベースが戦場の中央上空に到着していた。
そう、先ほどの死国の爆発の正体はこの船によるものなのだ。
ミノフスキー粒子が周辺にばら蒔かれている時点で、どの集団が攻撃を仕掛けてきたのか熱斗達は感づいていたが、やはり予測通りの相手であった。

「次は熱斗組に向けて砲撃しろ! 撃てッ!!」

ホワイトベースの艦橋にて艦長である十神の号令により、艦を接続しているホライゾンとアイギスが地上にいる熱斗組にむけて、メガ粒子砲やミサイルによる砲撃を行った。

「まずい! 攻撃がくるぞ!!」

的が非常に小さいため、この艦砲射撃で熱斗組の人員に直撃させることはできなかったが、地面に当たって発生する爆発の余波は確実に熱斗組にダメージを与えた。

「いってぇええ……」
『熱斗!?』
「熱斗さん!?」
「だ、大丈夫だ、兄さん、翔鶴さん。小石が頭にぶつかっただけだ」

その最中で爆発の際に跳ねた石が、熱斗の頭にぶつかった。
頭のバンダナを赤く濡らすほど多少の出血が見られたが、熱斗は問題ないと兄のロックマン(彩斗)と妹の翔鶴に伝える。

「く、密集はダメです! 散開してください!!」

翔鶴の指示により、熱斗組全員が一網打尽を防ぐべく、密集状態を解いて四方へとバラバラに逃げることにした。
これにより、ホワイトベースの支援砲撃による効果は薄まり、的も散ったために狙いが付けづらくなった。
となると、頼るべきは地上攻撃部隊であろうと十神は思考する。


「散開したか……愚民共、奴らを一人も逃がすな、追え!」


十神の指揮を受けて地上攻撃部隊がそれぞれ熱斗組の追撃に入る。
個々で誰が誰を狙うかを決め、部隊は分割されて四方に戦士達が別れて追撃することになった。

市街地戦は混迷を深めていた。
一方、その頃、死国では――


【死国 艦橋】

『敵襲! 敵襲!』

WBの砲撃を受けた衝撃で揺れ、警報の代わりにけたたましく騒ぐデューオの声が響く死国の艦橋。

「クソッ、いったいどこの連中が攻めてきやがった!」
「あれはあの時の白い木馬みたいな船じゃないか!」
「熱斗達のいる市街地からもモヤが立っている……チッ、どういうわけか連絡がつかない!」

おそらく死国出港の時間に間に合わないであろう熱斗達のために格納庫で高速艇を作っている祐一郎と、彼の手伝いに回っているダイアーとアドラーを除き、死国の艦橋にいる者達は突然の事態に騒然となった。

「再度、襲撃を仕掛けてきたようですね……船のダメージ具合から、もうしばらく襲撃はないと思っていたのですが。
……吹っ飛んだのはシグナムさんのいたシャワールームですか」
『カーネルと連絡がつかない……おそらく、シグナム達はもう……』

ニートのシグナムがやられた……その事実が、仲間達の胸を打つ。
だが、死国のタクアンこと紬は太い眉を潜める素振りもなく、冷静に指示に出す。

「いいえ、シグナムさんはきっと生きてますよ。最強のニートですもの。
それよりも敵を倒すことだけを考えましょう。デューオさん、迎撃を!」
『全ての砲台を使って沈めてやる!』

死国の頭脳となっているデューオが、死国の甲鈑に設置された砲台を操り、WBに向けてそれらを一斉攻撃を加えようとする。
ところが、砲台を回頭したところで、全ての砲台が次々に爆散した。

922 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:32:08 ID:8Ou8xTd60

「ッ!?」
「どうしたというのだ?!」
『ほ、砲台が全部破壊された!」
「……おい、あれを見ろ! 甲鈑に何者かがいるぞ!」

艦橋の窓から何かを見つけた平等院に促されて全員が窓の外を覗き見ると、各所で火災が発生した甲鈑と、数人の男女が甲鈑の上で死国に対して破壊の限りを尽くしていた。
WB組より死国制圧に趣いた衝撃のアルベルト、ジョンス・リー、ラーメンマン、紅美鈴の四人だ。
いつの間にか侵入していたらしい。

「あいつら、どこから入りやがったんだ?!」
『わからない……艦内のセンサーには何も反応しなかったのに!』
「ポンコツが!」
『なんだと!?』
「二人とも喧嘩している場合ではありませんよ!」
『すまない』
「フンッ」

喧嘩を始めかねなかったMEIKOとデューオを、ちょっと怖い顔で諌める紬。

『ただ侵入されただけじゃない、奴らはどんな方法を取ったかは知らないが、回路に変なエネルギーを流されたせいで自己修復装置に防壁機能や航行に関する機能にまで障害が出てる……!』
「それはつまり?」
『このままだと装甲や砲台の修復ができなくて反撃もできず、船を満足に動かすこともできないということだ。
防壁も働かないから、戦艦の砲撃で簡単に穴が開く』
「それはまあ、大変なことですね」
「……小娘よ、少しくらいは緊迫感を持った方が良くないか?
ともかく、これは非常に面倒なことになった。
どこの馬の骨かは知らんが、連中の妨害によって船は動かない。
ともすれば無駄な時間を喰うことになり、配下達の陽動作戦も水泡に帰す。
……小癪な! これでは『あやつ』の思うツボではないか!!」

悪魔将軍が憤るのも無理はない。
デューオの言ったとおり、現在の死国はWBが流し込んだ謎のエネルギーで反撃することも逃げることもままならないオブジェと化している。
さらに兵庫を滅ぼした緑間のマウンテンシュートですら沈まなかった艦が、メガ粒子砲程度が貫徹するほど弱体化している。
死国ひいては拳王連合はこれ以上ないくらい大ピンチなのだ。
WB組が攻めてきたことによって、陽動の意味を込めた超人血盟軍の決死の奇襲も、このままでは台無しになってしまう。
早急にWB組を排除する必要が拳王連合にはあった。

その窮地に率先して立ち上がった男がいた。

「うむ、死国が頼れぬなら是非もない。この拳王が直々に奴らを屠ってやろうぞ!」

拳王であるラオウだ。
ラオウがいの一番に艦橋を出て、敵を殲滅せんと甲鈑へ向かった。
その後ろ姿はいつもよりとても頼もしく見える。

「待てラオウ! 俺も奴らを滅ぼしに行くぞ!」
「アタシもだ! 獲物を独り占めすんなよ!」
「「「俺達も頑張るぞ!!」」」

ラオウに続いて、平等院とMEIKO、増えまくったデカオも全員、艦橋を出て現場に向かう。

「我々もいくぞハクメン」
「応!」

最後に悪魔将軍とハクメンも戦いに赴こうとした。
武闘派揃いの拳王連合の中でもぶっちぎりで強い彼らが出向けば、突発的に起きたこの戦闘も10分もあれば鎮圧できるだろう。
そう思われた矢先。

923 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:33:52 ID:8Ou8xTd60

「怖いよ……優ちゃん」
「ええ、でも大丈夫だよ春香!」



「みんな殺しちゃえば、誰も私たちを襲ってこない」
「うん、そうだよね優ちゃん♪」

「「「!?」」」

突如、超人血盟軍が連れてきたレズの二人――春香と優が周囲に向けて強い殺気を振りまき、それに気づいた悪魔将軍とハクメンが振り返る。
その時には既にレズ二人のラリアットが眼前にまで近づいていた。
そのラリアットは不意打ちであったとはいえ、悪魔将軍とハクメンすら避けきれず、ダメージを与えた。

「なに、早い!! それになんてパワーだ!!」
「ぐおおおおおおおおおおおッ!!」

その一撃は悪魔将軍とハクメンの鎧にヒビを入れた。
それすなわち、ただのラリアットだけで悪魔将軍の超人強度1500万パワーを上回っているということを意味していた。

(このパワー、片方だけでかつて私を下したキン肉マンに次ぐパワーは確実に持っている!)
「いったい、春香さんと優さんに何が……?!」
「突然狂ったように暴れだした!?」
「あわわわわわ」
『問題が次から次へと!』

レズ二人の異常なパワーを前に焦り、冷や汗を流す悪魔将軍。
艦橋に残っている非戦闘員の紬、ムネリン、プニキ、そしてデューオの四人も予想外の裏切りに戸惑いを隠せない。
対するレズ二人は次はどうやって攻めかかるべきか考えつつ、二人で腕を鳴らしている。
その瞳には狂気で曇り、もはや紬達を獲物としか認識していないようであった――たった数分前は仲間だったにも関わらず。
そしてただ一人、秩序の存在であるハクメンのみがレズ二人の豹変の正体に気づいていた。

「……二人から凄まじい混沌の気配がする。先ほど狂気に飲まれた緑間という少年と同じ力だ!
しかし、なぜ私とあろうものが、こうまで発見が遅れたのだ?」


つまり、高山春香と園田優の二人は緑間と同じくテラカオス化が人知れず進行していたのだ。
二人が超人並みの戦闘力に正体は、二人の百合力を戦闘力に変換できるという、テラカオス化進行によって手に入れた能力だ。
イチャつけばイチャつくほど、戦闘力が増大していくというものである。
超人血盟軍のキン肉アタルの冷静で的確な判断力でも、彼女らの戦闘力の正体を見抜けなかった……というのも、姉帯や善野監督のように雀力を戦闘力に変換できるという技術がロワ開始以前から確立していたため、それを事前に知っていたアタルは彼女らも同じ類の異能者であると思い込んでしまったのである。
だが、それは判断ミスであった。

彼女らは気が付けばコルド大王を二人で玉砕できる戦闘力を手にしていた。
更に過酷な殺し合いの環境とやりたくもない野球でストレスがかさみ、先ほど伝えられたヘルヘイムの件により恐怖心を刺激され、今回のWB組襲来によって、とうとう二人の中で狂気は弾けてしまったのだ。
ちなみにハクメンが彼女らの進行に今まで気付けなかったのは、二人がイチャつく際に過剰に分泌されるフェロモンによって気配を阻害されていたと補足しておく。

「緑間さんと同じ……ということは彼女達は元に戻れるのですか、将軍様?」
「無理だ。
できそこないでも、一度『争いの淀みから生まれた化身』に身を落とした者は始末するしかない。
さもなくば奴らは殺戮本能のままに災厄を振りまくだけだ」
「そう……手遅れなんですね」

悪魔将軍より、仲間だったレズ二人を助ける術はないという事実を知らされたことは、流石の紬といえど寂しさと切なさを感じていた。
百合に対して理解の深い紬は、二人と友達になり、二人の恋を応援してあげたいと密かに願っていたからだ。

「それよりも、この二人の始末は私とハクメンに任せてほしい。
おそらく、こやつらは外に出ている襲撃者共よりも厄介な存在になっている」
「……わかりました。デューオさん! リングをお願いします」
『了解!』

紬が指示を出すと悪魔将軍とハクメン、レズ二人の足元からリングが現れ、その中に四人が立った。

「これは?」
「リングの上ならば我ら超人の力も跳ね上がり、リング自体がこやつらを隔離し、小娘達を守る檻となる。
ハクメンよ、ここは私とタッグを組んで戦え。
今のこやつらはお前でも苦戦しかねん相手だぞ」
「……応!」

「みんなみーんな殺して私達だけの世界を作ろうよ春香ァ〜♪」
「うん、もっともっと殺しちゃおう優ちゃん♪」

今、艦橋に作られたこのリングの上にて悪魔将軍とハクメンと、テラカオス化進行者である春香と優のタッグマッチが開かれようとしていた……

924 大阪大炎上! 死国VSWB!!(前編) :2015/02/26(木) 14:34:52 ID:8Ou8xTd60



「私達もただ指を加えて待っている場合ではありません!
デューオさん、システムの復旧にどれだけかかりますか?」
『ざっと三時間はかかるかも』
「ニ時間で終わらせてください」
『りょ、了解。やれるだけやってみる!』

紬もただ待っているわけにもいかない。
死国の機能さえ復旧できれば事態は好転すると信じて、デューオに指示を出す。
彼女の背後では既にタッグバトルは始まっており、ムネリンとプニキに将軍達の応援兼レズ二人の監視を任せている。

「せめて、格納庫にいる祐一郎さんがここに戻ってくれば、復旧も早く終わるのですが……」
『格納庫とも連絡がつかない。
有線電話ぐらいならミノフスキーの影響は受けないハズなのに、何故でないんだ?』
「……正直、とっても嫌な予感がしますね。杞憂なら良いのですが」

奇しくも紬の悪い予感は的中することになる。
同時刻、格納庫では――

925 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:36:07 ID:8Ou8xTd60
【死国 格納庫】

高速艇を作り終えた直後の祐一郎、シュトロハイム、アドラーの三人も、WB組の別働隊である雷電と烈海王襲来を受けていた。


「防御の上から切られ……ぐああああああああああああああッ!!!」

迫る雷電の白刃に対し、アドラーは防御の構えを取った。
しかし、アドラーの受けは通用せず、防御した腕ごと切断され、その直後に十数個の細切れになったアドラーは格納庫の床にばら蒔かれた。

【アドラー@エヌアイン完全世界 死亡確認】


「アドラー!?」
「よくも同志をォ!! おのれ雷デェェェェェン!!!」

祐一郎達の前に現れたのは、甲板で暴れている四人組とは別行動で潜入していた雷電と烈海王の二人だ。

「クッ、なぜここまで侵入できたんだ!?」

如何様な潜入ルートを通っても多数の監視カメラや、無数の高性能センサーによってすぐに艦の頭脳であるデューオに伝わるようになっている。
そのはずなのに、雷電達はそれらを全て素通りして誰にも悟られることなく格納庫までやってきたのは何故か?
そんな祐一郎の質問に雷電は答える。

「これさ」
「ダンボール箱?!」

意外ッ! それはダンボールッ!!

「ダンボールを舐めてはいけない。
こいつのカモフラージュ率と俺の潜入技術が合わされば、全ての兵士は見張りもろくにできない無能になる。
ちなみにこのダンボールは元は精密機器が入っていた箱で、外部からの電波の干渉を受けない仕様になっている。
となれば、高性能なセンサーも無意味というわけさ」
「そんな盲点があったとは……」
「祐一郎ーッ、そんなことはどうでもいい!!
今、必要なのは早いところアドラーを殺したこいつらをぶちのめすだけだ!! さっきから外も騒がしいしな!!」

紫外線照射装置を取り出し、唸り声と共に放とうとするシュトロハイム。

「喰らえェェェ!! 紫外線照――」
「遅えよ」

だが、紫外線が放たれるより早く、雷電の刀によってバラバラに解体されてしまった。
あと、数瞬避けるのが遅ければシュトロハイムも共に解体されていたところだ、

「なぁにいいいいいいいいいい!?
た、太刀筋が前より鋭くなってやがる!! 貴様はいったい!?」

雷電の太刀捌きは以前よりも早くなり、威力もその分だけ増している。
よく見ると、雷電から血のように赤いオーラが放たれている。
目つきや太刀捌きも、まるで殺戮を楽しんでいるような雰囲気を醸し出していた。

「俺のもう一つの名前はジャック・ザ・リッパー。リベリアの白い悪魔とは俺のことだ」

その強さの正体は、リッパーモードと呼ばれる人斬りの本性を呼び覚ますことで攻撃力を高めた雷電のもう一つの素顔である。
今の雷電は分厚い装甲すらバターのように斬ることができ、その要領でアドラーを防御の上から切り裂いたのだ。
おそらくサイボーグであるシュトロハイムの装甲といえど、切り裂きジャックの刃を受けら止められないだろう。

926 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:36:41 ID:8Ou8xTd60

「切り裂きジャックだと!? 上等だッ!!
ナチスドイツの軍人魂を見せてやるぜェェェ!!!」

しかし、それを知って怖気づくシュトロハイムではなく、強敵を前にして逃げる素振りを見せはしなかった。


一方、交戦状態に入ったシュトロハイム達の横では、祐一郎と烈海王が戦いを繰り広げていた。
先手は祐一郎。握力シュトロハイムの3倍の強烈なパンチが繰り出される。
ところが、烈海王の前にはスカスカとよけられてしまう。

「サイボーグパァァンチッ!! サイボーグパァァンチッ!!」
「威力はありそうだ……だが、技量が足りていないなッ!!」
「クッ、当たらない! まるで羽に打ち込んでいるみたいだ!」

中国武術の技量については、世界を探した所で彼に勝ちうる人間など見つかるか分からないと呼ばれるほどの烈海王。
そんな烈海王の前では、ただの威力のあるパンチなど避けることは容易い。
おまけに祐一郎さんは元々格闘技とは無縁のホワイトカラー。
技量面では雲泥の差があり、烈海王相手に技巧ではまず勝ち目のない相手であろう。
そうこうしている内に、祐一郎の顔に烈の拳がめり込んだ。

「ぐはぁッ!」
「貴様を放っておく、私は一向に構わんッッッ!!!
……わけがなかろうッ!!! 祐一郎、貴様は私が倒すッッッ!!!」
「これは強敵だな……だが、僕も息子と世界のためには引けないんでね!!」

お互いに譲れぬ正義のために、シュトロハイムと雷電、祐一郎と烈海王の死闘が始まる……


【死国 甲板】

「砲台は全て破壊したな」
「そのようだ。これで市街地とWBへの援護はできまい」
「あとは私達が陽動に出ている分、烈さん達が内部を制圧してくれると良いんですが」

甲板の上で破壊の限りを尽くした四人。
彼らは別行動を取っている雷電達の陽動であり、暴れた分だけ拳王連合の目を甲板に向けさせ、手薄になった内部を雷電が制圧する作戦なのだ。
アルベルトに至っては拳王をおびき寄せる目的もあるのだが……

「しかし、まさか美鈴の気功が効くとはな」
「ええ、生き物みたいに損傷を自力で治しているところを見て、もしやと思っていましたが、回路に気を流したら修復が収まりましたね」
「警備が厳重かと思えばダンボール一つで侵入できたり、色々と奇っ怪極まりない船だな……」

デューオの言っていた回路を狂わせる謎のエネルギーは美鈴の気功である。
祐一郎の技術が高度すぎて、もはや生き物と謙遜ない域にまで作られた戦艦・死国。
だが、美鈴はそれを逆手に取り、自身の気を操る程度の能力で、死国に気を流し込んで回路を狂わせたのだ。
一度、気を流し込まれたら最低ニ時間は復旧できないであろう。

「さて、お嬢様達も今頃元気に戦っ――」
「危ない! 美鈴!!」
「え゛」

ラーメンマンの警告も虚しく、紅美鈴の胴体に超高速で飛んできた野球ボールが直撃し、上半身と下半身に分断させた。
ちぎれ飛んだ上半身はそのまま海に落ち、美鈴の意識とともに沈んでいった……

【紅美鈴@東方project 死亡確認】


「美鈴がやられた!?」
「貴様らは……!」

仲間が殺されたことを悲しむ暇もなく、ラーメンマン達が野球ボールが飛来した方向を見ると、そこには大量のデカオをバックにしたラオウ、平等院、MEIKOの三人がいた。

927 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:37:05 ID:8Ou8xTd60

「MEIKOボールの味はどうだ? 餓鬼ども」
「敵は滅ぼす……」
「うぬら、この拳王たる俺の船に手を出したからにはそれなりの覚悟があるのだろうな?」

ある種作戦通りに、拳王軍を支える大戦力が三人の前に現れたのであった。
両者の間では今にも激戦が始まりそうな中、その前にアルベルトが質問を挟む。

「貴様が拳王と呼ばれる男、ラオウか」
「いかにもだ」
「ワシはかつて貴様達拳王軍と野球で勝負して滅ぼされた十傑衆チームの生き残り、衝撃のアルベルト!」
「十傑衆チームだと?」
「滅ぼされた十傑衆と首領であるビック・ファイア様のためにも、報復として貴様はワシの手で討つ!」
「面白い。うぬとは全力を持って戦ってやろうではないか!」
「ラーメンマン、ジョンス! 手出しは無用だぞ!」

拳王ラオウと衝撃のアルベルト。一つの対戦カードがまず決まり、二人は拳を構える。

「なら俺はこいつを倒す」
「亡くなったデュークのためにも、この船を沈めようとする輩は滅ぼす……!」

平等院鳳凰とジョンス。続いて二つ目の対戦カードが決まった。

「アタシはこの弁髪のクソ野郎を……ぐふお!?」

三つ目の対戦カードはMEIKOとラーメンマン……かと思いきや、MEIKOの体がガクリと揺れ、膝を着かせた。
緑間との戦闘で負った怪我がまだ治りきっておらず、そんな状態でMEIKOボールを投げたので肉体の負担がピークを迎えたのだ。

「MEIKOおばさん無理すんなよ」「ここは俺達に任せてくれ!」
「まておまえら、アタシはまだまだ戦えるわ! 邪魔するならぶっ殺すぞ」

MEIKOはデカオ軍団を押しのけてラーメンマンと戦おうとするが、ダメージを負いすぎた体では押しのけきれず、逆に取り押さえられてしまった。
そしてデカオ軍団はラーメンマンと対峙する。

「MEIKOおばさんの投球はヘルヘイムとの戦いまで取っておくべきだ」「そのためにも今回ばかりは俺達も戦うよ」
「なんだか、姿が全員そっくりで妙ちくりんな小僧達が出てきたが……よかろう。
美鈴の仇でもある拳王連合の所属である以上は、子供とて容赦はせんぞ」
「望むところだ!」「熱斗のためにも負けないぞ!」

三つ目の対戦カードが出来上がったところで、いよいよ死国の甲板にて大激戦が開始された!



【大阪 市街地南側】

死国で激闘が繰り広げらている中、市街地もまた戦いの渦中にあった。
砲撃から逃れるべく東西南北に散開した熱斗組の面子と、追撃するWB組の市街地攻撃班。
まず南側において、交戦が始まった。

「貴様は吸血鬼か!? 吸血鬼なら波紋使いとして見過ごすわけにはいかないな!!」
「こいつら見てると、よくわからない苛立ちを覚えるのは、このディオだー!」

「フフフ、貴方達となら楽しい弾幕ごっこができるかもね?」
「なぜかわかりませんが、あの喧しい奴から因縁的なものを感じます、お嬢様」

南側に逃れたダイアーとディオ、そんな彼らを追ってきたレミリアと咲夜。
波紋使いと吸血鬼、パロディとパロディ元の因縁の戦いが始まる!

928 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:37:37 ID:8Ou8xTd60

【大阪 市街地西側】

西側に逃れたのはクロえもんと紫龍、そしてのび太のバスターガンダムだ。

「あの船はドラえもんを殺した奴の仲間だな?! だったら轟沈させてやるぞぉ!!」

クラウディウスに続くように急襲を仕掛けてきたWBは、あまりにも襲撃のタイミングが合いすぎていたため、のび太は先に討ったクラウディウスはWBの仲間であったと解釈し、復讐心に駆られていた。
そして怒りのままにビームランチャーをWBに向けて撃ち放とうとするが、MSの足元からファイズ、ウィザード、オートバジンといった仮面ライダー達が射撃攻撃を加えてくる。

「こ、こいつら邪魔を……!」

攻撃はPS装甲で全て弾かれるが、それでも砲撃の妨害くらいにはなるのだ。

「ホワイトベースは撃たせないぞ!」
「……硬えな。フォンブラスターじゃラチがあかねえ。
クリムゾンスマッシュで一気に決める、苗木とオートバジンは援護しろ」
「はい! 乾さん!」

生半可な攻撃はPS装甲に守られたバスターに通用しないと見抜いた乾は、必殺技のライダーキックでバスターを粉砕しようとする。
しかし、そこへ紫龍が迫り、ファイズがライダーキックをバスターへ繰り出すより早く、小宇宙を燃焼させた必殺のアッパーカットを放とうとする。

「廬山昇龍覇!!」
「なに!?」
「乾さん!!」

技発動直前の膠着状態で動けないファイズに紫龍の一撃を避ける術はなかった。
苗木は反応の遅れによって迎撃が間に合わない。
乾巧、万事休すと誰もがこの時思った。

『!!!』
「オートバジン!?」

紫龍のアッパーが直撃する寸前でオートバジンが主人である乾を押しのけて庇った。
しかし、それによって代わりにオートバジンが技の直撃を受ける形になり、バラバラに吹っ飛んで大破炎上したのだった……


【オートバジン@仮面ライダー555 大破炎上】

「オートバジンが!」
「俺を助けてくれたのか……すまねえ」

最後まで自分に尽くしてくれたバイクには、乾と言えど感謝の念を禁じ得なかった。
逆にオートバジンを破壊した紫龍には仮面越しに怒りの目を向けるのだった。

「チッ、機械人形に邪魔されたか。だが、次はこうはいかない。
あのガンダムに指一本触れさせないためにも、俺がお前達の相手になってやる」
「上等だ。今おまえが壊したバイクの分も、俺がおまえをやっつけてやるよ」
「乾さん、僕もお手伝いします!」

ダブルライダー(片や支給品)と聖闘士(支給品)の戦いは切って落とされた!


「よし、紫龍さんが邪魔者を引きつけてくれた。
このまま一気にあの船……って、警報が鳴ってるぞぉ!?」

仮面ライダー達が紫龍の相手をしている隙に、こっそりWBを墜とそうとするのび太。
だが、仮面ライダーに続いて第二の刺客がのび太の乗るバスターに急速接近していた。

「おまえの相手は僕だぁーーー!!」

それは出来杉の乗るデュエルガンダムだった。
バーニアを吹かして高速接近し、ビームサーベルを引き抜き、バスターを真っ二つにしようとする。
バスターはすんでのところで回避し、引き撃ちでビームランチャーをデュエルに放った。
ところが、ビームは見えない壁に阻まれるように弾かれてしまった。

「ビームが弾かれたぞぉ!?」
「ビームを弾くIフィールドだ! 物理攻撃を弾くPS装甲の弱点であるビームだってもう効かない!
ビームも実弾も効かないなら、おまえの正確な射撃だって形無しさ!」
※ミノフスキー粒子で通信機使用不可、外部スピーカー未使用のため、互いの声が聞こえません。

出来杉は苗木達が持ってきたパーツにIフィールド発生装置があったため、デュエルに組み込んだのだ。
それすなわち、デュエルは物理攻撃もビームも効かず、ほぼ絶対的な防御力を手にしたと同義である。
月が出てないのでサテライトキャノンも使用できず、状況はのび太にとって不利と言える。
それでもドラえもんを奪ったWBへの復讐心(勘違い)を抑えきれないのび太は戦いの道を選ぶ、

「こいつを倒さなきゃ、ドラえもんの仇の船を沈められない!!
どこかに勝機はあるハズ、だから絶対こいつに勝つぞぉ!!」

だが激昂して周りが見えなくなっているのび太はまだ気づいていない。
――バスターガンダムの残りのエネルギーと弾薬が半分を切っていることに。



「おい! なんで俺を狙うんだよ!」
「おまえと戦うと俺が生き残るって占いで出てたんだべ!」

隅っこの方ではクロえもんとビーストこと葉隠が、バットと剣を鍔迫り合う戦いが地味に繰り広げられていた。

929 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:38:50 ID:8Ou8xTd60



【大阪 市街地北側】

新城と風魔、そしてサーベルタイガーの千早が遠くから死国とWB組の戦闘を伺っている。

「ホワイトベースは間に合ったか……任務完了だな」
『クラウディウスは残念だったな』
「まあ、最初から彼ではバスターに勝てないことは承知の上の作戦だった。
激昂したバスターのパイロット・野比のび太に無駄撃ちさせて、弾薬とエネルギーを削ぐのが目的だったしね。
これで死国とWBのパワーバランスは五分と五分になっただろう」
『つまりクラウディウスは最初から捨て駒だったのか?』
「いや、クラウディウスの死は、あくまで計算の一つとして考えていただけさ。
ロードビヤーキーの回避能力なら勝てはしなくても逃げられるとも思ったし、ああも一方的にやられる確率は低いと思っていたからね」
『死も計算のうちとは恐ろしい男だ。
だがベイダー卿やデウス隊長もその程度の被害は込みで作戦を我々に与えただろうし、戦果も十分だろう。
あとは大尉が上手くやっていればいいが……』
「市街地でWB組と戦列を共にしているところからして少なくとも正体はバレてないだろう。
それよりも、ここもそろそろ危険だ。帰還しよう」

デイパックからどこでもドアを取り出し、特務機関員達は九州ロボへ帰還しようする新城と風魔。
しかし、ドアを開けようとする寸前にヴァンガードカードが手裏剣のように飛来し、ドアに突き刺さった。
二人がカードが飛んできた方向を見ると、そこには熱斗組の一員である上条がいた。
見つかってしまい焦る新城。

(クソッ、見つかった! 最後の最後で気を抜いてしまったか?)
『遠くから我々を伺う者の気配が感じていたが、お前達は何者だ!』
「!! おまえの持っているそれは……シャロのデッキじゃないか!!」
『しまった!!』

なんとか一般人を装うなり、この場をやり過ごそうとした新城達だったが、風魔の懐からはみ出ていたシャロのデッキである「ロイヤルパラディンデッキ」を発見され、それがシャロ殺害の証拠となってしまい、会話でやり過ごすことは不可能になった。

「さっきシャロの死体を見た時、あるはずのデッキがなかった。
つまりデッキを盗んだ奴がシャロやエスパー伊東を殺した犯人ということだ。
おまえ達だな? 仲間を殺したのは!!」
「……くッ」
『新城、こうなっては仕方ない――抹殺あるのみだ』

上条とは交戦止むなし、と判断した新城は仮面ライダータイガに変身し、風魔は手裏剣を構え、千早は威嚇する。

『武器を手にとった……ということは犯人はこいつらで間違いないようだ』
「よくも仲間を! 絶対に許さねえぞ!」
『それよりも状況をよく見てみるんだな』
「僕達は千早とデストワイルダーを含めれば二人と二匹。
君は孤立無援でナビを入れても二人。数の上ではこちらが有利だ!」
「くっ……」

実際に数の上では新城達が有利であった。
上条は幻想殺しという全ての異能を打ち消す右手を持っているが、ならば物理攻撃主体で攻めればいいということ。
幻想殺し抜きでも異様な身体能力を持ってはいるが、虎を殴り殺せるほどのパワーまでは持っていないだろうし、少なくとも新城達では絶対に倒せない理不尽級の力は持っていない。
味方はシャドーマンしかおらず、上条もこれは自分に圧倒的不利な状況であると理解している。

――何事も起こらねば。

「シャドーマン!! あれをやるぞ!!」
『あれとは……クロスフュージョンか!』
「あの姿になれば、こいつらに勝てるかもしれない。
いや、この俺ジョジョとシャドーマンで絶対に勝つ!!」
『この前まではともかく、我らは今や一心同体。承知した、いくぞお館様!』
「おう!」

クロスフュージョンの成功条件は「シンクロチップとナビと心を通わせること」。
上条とシャドーマンは、互いに信頼できる域に達しており、条件はすでにクリア済みだ。
そして上条はシンクロチップをPETにプラグインさせる。

「『クロスフュージョン!!』」
「なんだと!?」
『一体何が始まるというのだ!?』

新城と風魔が、上条の突然の行動に驚いた次の瞬間には、上条の姿は変貌していた。
その身にシャドーマンとよく似た、忍者の如きフォルムのアーマーが纏われる。
違いはマスクの部分に「幻 殺」の二文字が書かれていることくらいか。
そして、融合が完了して生まれた一人の忍は――

「『ドーモ、マーダー=サン。イマジンスレイヤーです』
「イ、イマジンスレイヤー……?」

930 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:39:18 ID:8Ou8xTd60

自身をイマジンスレイヤー(幻想殺し)と名乗り、丁寧にオジギをした。
呆気に取られる新城だったが、このオジギは戦う前に必ずやらないと大変シツレイに当たるという忍者の掟があるのだ。

『ドーモ、イマジンスレイヤー=サン。風魔小太郎です』
「君もやるのかい!?」

同じ忍者として風魔小太郎もついでにオジギした。
互いのオジギが終われば、いよいよ戦闘開始の合図である。

「『俺達を倒す。オヌシ達のそんな幻想はぶち殺すべし、マーダーに慈悲はない』」

どことない胡散臭さに反して、イマジンスレイヤーの放つオーラはかなりのものだ。
それは新城や風魔も察し、数のゴリ押しだけで勝てる相手ではないと感じさせ、身構えさせた。

イマジンスレイヤー、その実力はいかに?


【大阪 市街地東側】

熱斗、ロックマン、翔鶴の光三兄妹が逃れたのは街の東側である。
ここでもやはり、戦闘が勃発している。
それも実力者同士の衝突である。

『「お前達を熱くやっつけるぞオオオ!!」』
(決着をつけようぜ光熱斗!
俺が勝って、おまえの首をゆうかりんにプレゼントしてやるぜ!)

既にクロスフュージョン済みの修造とヒートマン、大尉とビーストマンが現れた!

「戦うしかない! クロスフュージョンでいくぞロックマン!!」
『うん!!』

クロスフュージョンした相手にはクロスフュージョンと言わんばかりに熱斗とロックマンは融合し、ロックマンのアーマーを纏った熱斗が現れた。

「『クロスフュージョン完了! さあ、どこからでもかかってこ……』」

息を巻いた熱斗だったが、次の瞬間、吐き気と頭痛と立ちくらみが熱斗を襲う。
さっきの頭に作った傷による出血が原因で肉体に悪影響が出ているのだ。

(『熱斗! やっぱりさっきの怪我がまずかったんじゃ……このままだと危険だ。クロスフュージョンを解除しよう』)
(待ってくれ兄さん。
どちらにせよこいつらは俺達を逃がしちゃくれない!
戦わなくちゃ、俺達だけじゃなく翔鶴だって危ないんだ。
奴らに勝つにはクロスフュージョンの力がいる! だから融合を解除しないでくれ)
(『熱斗……わかったよ』)

いきなり押し黙ってしまった熱斗に、心配そうに声をかける翔鶴。

「どうしたのですか熱斗さん! 彩斗さん!」
「『いや、大丈夫だよ翔鶴さん。その辺の小石につまづいただけだ』」
「そう……なら良いんですが。
ともかく援護なら任せてください!
先程も言いましたが、大切な兄であるあなた達を死なせたくありません」
「『うん、援護は任せたよ翔鶴さん!
三人でこの場を切り抜けて、兄妹揃って生き残ろう!』」
「ハイ!」

気を取り直した熱斗がロックバスターを構え、その横で翔鶴は弓を構えた。

裏の王にして最強のネットバトラー、熱斗&ロックマン(彩斗)。
熱斗と彩斗の妹の艦娘、翔鶴。

太陽より熱き男、修造&ヒートマン。
クッソ不気味に暗躍する人狼、大尉&ビーストマン。

ネットバトラー達の、熱い大熱戦の火蓋は切って落とされた!








こうして、様々な思惑のもとに二大勢力の死闘の幕が開かれた。
果たして勝利を手にするのは拳王連合とWB組のどちらか?
どちらがより多くの屍を構築するか?
生き残るのはどちらか?
それは神のみぞ知る。

931 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:40:59 ID:8Ou8xTd60


【二日目・8時30分/大阪市街地】
※簡易状態表の左横のマーク(☆○●★)は所属している勢力を表しています
 ☆=拳王連合軍 ○=ホワイトベース組 ●=特務機関員 ★=その他


【東側】

☆【光熱斗@ロックマンエグゼ】状態:頭部出血・ロックマンとクロスフュージョン中/思考:ロックマンと翔鶴と共に大尉と修造を倒す
☆【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】状態:HP減少(小)・熱斗とクロスフュージョン中/思考:熱斗と翔鶴と共に大尉と修造を倒す
☆【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】状態:損傷軽微/思考:熱斗とロックマンと共に大尉と修造を倒す


○【大尉@HELLSING】 状態:健康・ビーストマンとクロスフュージョン中/思考:熱斗と決着をつける
○【ビーストマン@ロックマエグゼ3】状態:健康・大尉とクロスフュージョン中/思考:ロックマン達を倒す
○【松岡修造@現実】 状態:健康・ヒートマンとクロスフュージョン中/思考:熱斗達を熱く倒す
○【ヒートマン@ロックマンエグゼ2】 状態:健康・修造とクロスフュージョン中/思考:ロックマン達を熱く倒す


【西側】

☆【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】 状態:ダメージ(小)/思考:のび太を助ける、ビースト(葉隠)をどうにかしたい
☆【野比のび太@ドラえもん】状態:激昂・バスターガンダムに登場中・弾薬消費(中)/思考:デュエルガンダムを倒す、WBを轟沈させる
☆【龍星座の紫龍@聖闘士星矢】状態:ダメージ(小)・疲労(小)/思考:のび太を助ける、ファイズ(乾巧)ウィザード(苗木)を蹴散らす
 ※支給品扱い


○【出来杉英才@ドラえもん】状態:デュエルガンダムに搭乗中/思考:バスターガンダムを倒す
 ※デュエルガンダムにはIフィールド@機動戦士ガンダムが搭載されています
○【乾巧@仮面ライダー555】状態:健康、555に変身中/思考:紫龍・バスターガンダムを倒す
 ※支給品扱い
○【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:疲労(小)、ウィザードに変身中/思考:乾さんを援護する
○【葉隠康比呂@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:健康、ビーストに変身中/思考:占いで生き残るとでたのでクロえもんを狙うべ!


【北側】

☆【上条当麻@とある魔術の禁書目録】 状態:ダメージ(小)、怒り、シャドーマンとクロスフュージョン中/思考:怪しい男達(新城・風魔)を倒す
☆【シャドーマン@ロックマンエグゼ】 状態:ダメージ(小)・上条とクロスフュージョン中/思考:怪しい男達(新城・風魔)を倒す

●【新城直衛@皇国の守護者】 状態:健康、タイガに変身中/思考:上条を倒して本部に帰還する
●【風魔小太郎@戦国BASARAシリーズ】状態:健康/思考:上条を倒して本部に帰還する


【南側】

☆【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】 状態:ダメージ(中)、焦り/思考:デューオがいない時に敵に狙われて焦るのはこのディオだー!
☆【ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険】状態:健康/思考:吸血鬼とメイド(レミリア・咲夜)を倒す

○【レミリア・スカーレット@東方project】 状態:健康/思考:ダイアー達を倒す
○【十六夜咲夜@東方project】 状態:健康/思考:ダイアー達を倒す、お嬢様は命に変えても守る


【上空(ホワイトベース艦内)】

○【十神白夜@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】 状態:健康/思考:愚民達(味方)を指揮して拳王連合を倒す
 ※アイギス、ホライゾンに仕掛けられたウィルスに気づいていません
○【腐川冬子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:健康/思考:白夜様に従い、操舵を頑張る
 ※支給品扱い
○【アイギス@ペルソナ3】 状態:ホワイトベースに接続・ウィルス感染中/思考:味方を援護する
○【ホライゾン・アリアダスト@境界線上のホライゾン】状態:ホワイトベースに接続・ウィルス感染中/思考:味方を援護する

932 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:41:31 ID:8Ou8xTd60




【二日目・8時30分/大阪・死国】

【艦橋】

☆【琴吹紬@けいおん!】 状態:左手骨折/思考:皆さんのためにも死国のシステム復旧を急ぐ
☆【川崎宗則@現実?】 状態:健康/思考:とりあえず悪魔将軍を応援する
☆【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】状態:健康/思考: 契約外なので戦闘はパス
☆【デューオ@ロックマンエグゼ4】 状態:HP満タン/思考:死国のシステム復旧を急ぐ
 ※美鈴に気功を流されたことによって死国の迎撃装置と自己修復装置が一時的に麻痺しています
 ※テラカオス・ディーヴァがカオスロワちゃんねるに書き込んだレスをまだ見ていません

☆【悪魔将軍@キン肉マン】 状態:健康/思考:暴走した春香と優を始末する
☆【ハクメン@BLAZBLUE】 状態:ダメージ(小)/思考:暴走した春香と優を始末する

★【高山春香@桜Trick】状態:テラカオス化進行、暴走/思考:優ちゃん以外を皆殺しにして、優ちゃんとイチャつく
★【園田優@桜Trick】状態:テラカオス化進行、暴走/思考:春香以外を皆殺しにして、春香とイチャつく
 ※テラカオス化進行によって百合力を戦闘力に変えられますようになりました。現在はキン肉マンに次ぐパワーを発揮できます。


【甲板】

☆【ラオウ@北斗の拳】 状態:健康/思考:アルベルトを倒す
☆【平等院鳳凰@新テニスの王子様】 状態:健康/思考:ジョンスを滅ぼす
☆【MEIKO@VOCALOID】 状態:ダメージ(大)、戦闘続行不可/思考:戦いたいが……クソッ
☆【大山デカオ@ロックマンエグゼ】 状態:大量/思考:ラーメンマンを倒す

○【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ】状態:健康/思考: ラオウを討つ
○【ジョンス・リー@エアマスター】状態:健康/思考:平等院を倒す
○【ラーメンマン@キン肉マン】状態:健康/思考:デカオを倒す


【格納庫】

☆【光祐一郎@ロックマンエグゼ】 状態:ダメージ(小)/思考:烈海王を倒す、熱斗達が心配
☆【ルドル・フォン・シュトロハイム@ジョジョの奇妙な冒険】 状態:紫外線照射装置破損/思考:同志を殺した雷電をこの手で殺す

○【烈海王@範馬刃牙】状態:健康/思考:祐一郎を倒す
○【雷電@METAL GEAR RISING】状態:リッパーモード解禁/思考:シュトロハイムを殺し、祐一郎も殺す
 ※リッパーモードを解禁したことにより攻撃力が大幅に上がっています






【大阪 近海】

WBの砲撃を喰らったシグナムは、生きていた。
流石は今まで幾多ものカオスロワを生き抜いてきただけであり、首輪さえなければメガ粒子砲の直撃も大したダメージにならず、軽い火傷と一時的な脳震盪による気絶だけで済んでいる。

しかし、爆発の衝撃で死国の外に這い出されてしまい、今は全裸で海面にぷかぷかと浮いている。
さらにレヴァンティン含む支給品も全て喪失。
PETも爆発のショックと海水による内部浸水で破壊されている。
無論、PET内部にいたネットナビであるカーネルが無事でいるわけもなく、今までミステリーデータで貯めた財産ごと消滅したのだった。


【カーネル@ロックマンエグゼ 消滅確認】


生き残ったシグナム自身もこのままでは、サメの餌になるか、ズガン師ルーファウスと同じく溺れて死ぬ運命が待っている。
強き者も死ぬときは死ぬ、それがカオスロワ故に。

しかし、ここで天の助けか悪魔の導きか、ユラユラと海面を漂うシグナムの前にワープゾーンが突如として現れた。
ワープゾーンはかつて美樹さやか達を大阪へと転送したものと同じものである。
行き着く先はどこか不明だが、ここに入らなければどのみち死が待っている。
そして、気絶したシグナムの裸体は吸い込まれるようにワープゾーンに入っていき、ワープゾーンもすぐ後に消滅するのだった。


シグナム――人知れずに戦線離脱。


【二日目・8時30分/不明】

☆【シグナム@リリカルなのはシリーズ】 状態:気絶、ダメージ(小)、全裸、支給品喪失/思考:気絶中
 ※出現したワープゾーン(4955話参照)に吸い込まれて、どこかへと飛ばされました

933 大阪大炎上! 死国VSWB!!(後編) :2015/02/26(木) 14:41:53 ID:8Ou8xTd60
投下終了です

934 強き者達 :2015/02/27(金) 01:28:00 ID:y0P49pa20

 轟音。
 爆発音にも近いほど踏み込みの音が響く。
 踏み込んだ足で小規模なクレーターが出来る。 

 『八極』とは大爆発のことである。

「お前もソレ使うのか?」
「テニスを極める上で必要なことだ」
「球遊びに八極拳はいらねぇよ」
「ほう、テニスが球遊びだと……笑わせるな」

 奇しくも同じ構え。
 八極拳士、ジョンス・リー。
 そして、テニスプレイヤー、平等院鳳凰。

 世界各地を渡り戦い抜いてきた平等院は中国にて八極拳を習得していたのだ。
 それをテニスに取り入れてプレイもしたことがあるかもしれない。
 
 だが、それにイラつくジョンス。
 今まで八極拳しかしてこなかった。
 その八極拳に少なからずあった。
 『ソレ』にしがみついて生きていた。

(ここからやるのはちょっとした化物退治だ)

 再びの轟音。
 轟音。
 轟音。
 轟音。

 ―――死国の甲板の一部が抜けた。

「……つったく、どういう鍛え方してんのよ、あのヒゲ高校生と八極拳士は」

 MEIKOはぼやく。
 落下していく二人がやけにスローモーションに見えた。
 動体視力が異様にまで鋭くなってるのが自分でもわかった。

「……思えば遠くに来たものね」


 ◆ ◇ ◆

935 強き者達 :2015/02/27(金) 01:28:37 ID:y0P49pa20

(互角……だと……俺と?)
(この白髪……俺の強さの糧になるか?)

 二人とも下のフロアで立ち上がる。
 そして、再び構える。

「ナカナカやるな」
「同じ言葉を返す、なかなかやるな」
「……」
 
 再びジョンスは踏み込む。
 それと同時に平等院も踏み込む。
 
 スタミナはほぼ同等。
 八極拳のキレや精度はジョンスが格段に上。
 しかし、それでも全日本最強クラスのテニスプレイヤー平等院は一歩も引かない。
 
「俺はアンタに何発撃った?
 一撃、二撃、三撃、四撃……」
「さぁな」
「……三発以上耐えたアンタはVIP待遇だ……」
「?」







「まぁ……一言、言わせてもらうなら……」








「――――本気にさせたな」







 ジョンスの速度が倍以上に跳ね上がる。
 平等院の身体にジョンスが持つ最大に勁が入る―――――



 ◆ ◇ ◆

936 強き者達 :2015/02/27(金) 01:29:28 ID:y0P49pa20


「その程度の衝撃波がこの拳王に届くと思っていたのか?」
「ガハッ……!?」
「立てい」
(あーえげつねぇ……右目の死角ばっかり狙うとかひでぇわ)

 剛拳と覇気(オーラ)でアルベルトの衝撃波を打ち消す。
 そして、正確無比な打撃でアルベルトの秘孔を突く。

(生きたぞ、あの時の特訓が!!)

 明治神宮球場でのムギちゃんとの秘密特訓(意味深)の成果が出た。
 相手の弱点を突くリードの技術。
 明治神宮にはあの球界屈指のメガネの名キャッチャーがいた。

                        { :::::;:;:;リ^|,ヾヘ..:::::::::::ヾ辷_
                       (.::;r' '    ヽ:::::::::::::::-=
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                           ヽ: `゙-‐` :'; ,ソ /ヾ、
                           ヾ、,_,,,/// / \
                             ↑この人である。

 そのキャッチャーが残したメモがラオウの戦い方にえげつなさを加えたのだ。
 それでもなおアルベルトは立ち上がる。

「この拳王はうぬより強い奴と戦ったことがある。
 ……うぬのような復讐心で戦うような輩の拳がこの拳王に届くとでも思ったか?」
「それでもワシは……十傑衆の……!」
「ねぇ、ちょっといいかしら?」

 戦いを見ていたMEIKOはしゃしゃり出る。

「なんだ、小娘?」
「その十傑衆って奴ら、自分たちから野球で挑んできて負けたのよね」
「なに?」
「しかも、自分たちからルールを提案してきたわけで……」
「…………」
「解り易く言うなら……アンタの仲間とやら、所謂……『 か ま せ 犬 』だったわよ」
「……………貴様らァ楽に死ぬだけで済むと思うなぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」










「うぬがな!」

 天将奔烈。
 ラオウの奥義の剛拳がアルベルトをぶっ飛ばす。
 その桁違いの闘気で衝撃波すら突き破る。
 
 アルベルトの全身から噴水のように赤い血が飛び出す。
 そのまま、アルベルトは全ての血を吹きだして絶命した。

937 強き者達 :2015/02/27(金) 01:29:53 ID:y0P49pa20

「相手との駆け引きっていうの野球じゃ重要なのよね」

 相手をイラつかせるには弱い所を突く。
 それは言葉だけでも十分だ。
 
 『平常心を保つ』

 野球でもそれ以外でも大事なことである。

「マウンドじゃ心は熱く、頭はクールに……ってね。
 それよりもアンタ、アタシの恋女房(キャッチャー)にならない?」
「……奴を倒したらな」

 目の前にいるのは長身の超人。
 どじょう髭に額には『中』の文字。

 中国四千年―――ラーメンマン!!

「その拳法……噂に聞く北斗神拳と見た」
「ほう、北斗の四千年の拳とうぬの拳、どちらが上か試してみるか?」

 最強の暗殺拳と最高の超人拳法。
 新たなる戦いの幕が開く。

「すまねぇMEIKOおばさん……」
「アイツ、強すぎるよ……」
「もう駄目だ……」
「勝てるわけないよ……」
「命があるだけマシだと思え!」

 やっぱり、デカオ×4じゃ駄目だったよ。

【二日目・8時45分/大阪・死国】
【甲板】
☆【ラオウ@北斗の拳】 状態:ダメージ小/思考:ラーメンマンを倒す
☆【MEIKO@VOCALOID】 状態:ダメージ(大)、戦闘続行不可/思考:戦いたいが……クソッ
☆【大山デカオ@ロックマンエグゼ】 状態:全員フルボッコ/思考:やっぱり応援に回る

○【ラーメンマン@キン肉マン】状態:健康/思考:ラオウを倒す

【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ 死亡確認】
【大山デカオ@ロックマンエグゼ バトルチップGP 死亡確認】


 ◆ ◇ ◆

938 強き者達 :2015/02/27(金) 01:30:13 ID:y0P49pa20


(やったか……?)

 自身最大の勁を連続で打ち込んだ。
 その一撃でありとあらゆるものをぶっ飛ばす。
 だが、平等院のタフさは異常に一点に尽きる。
 しかし、それ故に、何度もその一撃を食らう。

(もう、奴が立ち上がること無――――!?)

 何かがジョンスの頬を掠った。
 黄色い球体―――テニスボールだった。
 だが、ジョンスにはまるで別の物に見えた。

(ドクロの海賊だと!?)←イメージです。

 異次元のテニス。
 世界各地を巡りまわった平等院が辿り着いた境地である。

「なんだソリャ…ナメてるのか…」
「戦いには変わらんだろ?」

 相手を叩きのめすそれが平等院のテニス。
 今の平等院を言い表すのならば『テニスの覇王様』である。

「まだやるか? 俺は俺のやり方で行く」
「……そうかい、俺のやることは変わんねぇ……」

 三度ジョンスは構えを取る。

「俺は『安いプライド』にしがみついてる……!
 どんな人間でも『安いプライド』があれば戦える……!
 何だろうと戦える、アイツらだろうと……お前とだって!」
「ならば、俺は貴様のそのプライドごと……砕き滅ぼす」


 二人の戦いの終幕は―――どちらかが倒れるまで。

 
【二日目・8時45分/大阪・死国】
【甲板の下の階層】

☆【平等院鳳凰@新テニスの王子様】 状態:ボッコボコ/思考:ジョンスを滅ぼす
○【ジョンス・リー@エアマスター】状態:ボッコボコ/思考:平等院を倒す

939 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:16:36 ID:hR/qcbmI0

「カ〜カッカッカ〜!! 超人にその程度の銃弾が効くと思っているのか!」

六本の腕でオートマトンから放たれる銃弾を防ぐ。
アシュラマンが先陣を切り、後ろにベジータとアタル兄さんが続く。
 
「この程度の警備でこの俺を止められると思うな!
 地獄めぐりNo.5!! 竜巻地獄!!」

アシュラマンから放たれる竜巻が多くのオートマトンが吹っ飛ぶ。
それはもう『竜巻地獄』の名に恥じない凄まじいまで暴れっぷり。

「福岡ドームが見えたぜ!」
「おい、ソルジャー! このまま突入するのか!??」
「例え罠だったとしても突入するぞ!」
「だったら、俺は絶対にいかんぞ!! ここで待っている!! さっさと行って来い!!」
「……………」

ここでベジータ、強気にヘタレる。
これには流石のアタル兄さんはキレそうになった。
しかし……動いたのは。

「は、離せ、アシュラマン……」
「黙れ、このヘタレ野郎!!」

アシュラマンだった。
笑い顔ながらも怒っている。
そして、ベジータの身体を宙にぶん投げる。
それと同時にアシュラマンも飛び上がり、落下するベジータの足に自身の膝を乗せる。
その際にアシュラマンの膝が変形し、膝の骨でベジータの両足をガッチリとロックした。
そのまま、地面に向かって落ちていく。
これぞ、『阿修羅地獄芸』のひとつ! 『阿修羅稲綱落とし』である!

「貴様は主催者を倒す気はないのか!!!!」
「俺が倒せるわけないだろ!!!!」
「貴様には……足りないのだ!!!!」
「何がだ!!!!」
「とりあえず、この技を黙ってくらえ!!!!
  阿 修 羅 ∞(ムゲンダイ) パ ワ ー !」

地面に当たる直前に体勢が横向きに変わる。
『阿修羅稲綱落とし』は『数字の8の如く』と例えられている技である。
非常にバランスが悪く、ひっくり返れされれば自分に大ダメージを負う。
しかし、この技『阿修羅∞パワー』は体勢を横にすることでバランスがよくなる。
『8』を横にすれば『∞』になるのだ!!

940 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:17:20 ID:hR/qcbmI0


そのまま、二人は福岡ドームの扉を突き破った。
そして、ベジータはセンターのフェンスに突き刺さった。
無限大のパワーなめんなよ!

「こ、これはいかん! フェイスフラッシュ!」

無限大のパワーを食らったベジータは瀕死の重症に陥った。
が、すぐにアタル兄さんのフェイスフラッシュによって回復した。

「アシュラマン、俺様に何が足りないって言うんだ!!」
「貴様に足りないもの……それは『戦うという覚悟』だ!」
「俺様に『覚悟』が足りない……だと……?l
「そうだ!」
「ん? 二人ともあれを見ろ!」
「なんだ、ソルジャー?」

アタルが福岡ドームのモニターを指差す。
そこでは仲間たちが戦っていた。
バッファローマンが、ブロッケンJr.が、ニンジャが、四次元殺法コンビが。
何故か飛竜の戦っている様子はなかった。

バッファローマンがロボットと戦っていた。。
ブロッケンJr.が大勢相手に孤軍奮闘していた。
ニンジャがリング上でドSっぽい女と戦っていた。
四次元殺法コンビがファンシーな服の少女たちと戦っていた。
だが……

「「「ニンジャ―――――ッ!!!」」」

ニンジャが相討ちになった時。
そこですべての映像が止まった。

(あのソルジャーとアシュラマンが泣いてやがる……)

あのいつも厳しいリーダーが涙を流していた。
冷血・冷酷・冷徹な魔界の王子も流していた。
気付けば、ベジータも涙を流していた。
少ない時間とはいえ一緒にいた仲間だったから。

「ニンジャ……お前を失うのは二度目だ……この怒りはあの主催共にくれてやる! カーッカカカ!!」
「ああ、そうだな……行くぞ、アシュラマン、ベジータ」
「(悲しんでいる場合ではないということか……)……ああ」

そして、さらに奥に進んでいき遂に辿り着いた。
福岡ドームの最深部。おそらくここに主催者のあのウォーズマンもどきがいる。
三人は意を決して、扉をこじ開けた。

すると、そこには!

「誰もいないじゃないか!!」
「あのウォーズマンもどきはどこに行きやがった!」
「隠れてないで出てきやがれ!! このサイヤ人の王子ベジータ様が相手になってやる!!」

すでに蛻の殻だった。
行き先の手がかりを探そうにもどこにもない。
その時である。

「奴らなら、東京の方に向かったぜ」
「バッファローマン!」

背後にもう一人超人が立っていた。
二本のロングホーンに威圧感のある巨体。
怒れる猛牛『バッファローマン』である。

「だが、なぜそんなことがわかるんだ?」
「俺がいた熊本県の阿蘇山がさっき東京の方に飛んでいくのを見た。
 恐らく、阿蘇山には何か仕掛けがあったんだろうぜ……九州だってロボになってるんだからな」

その事実を知ったバッファローマンはすぐに知らせるために。
自身の超人強度を0パワーにして光速で移動してきた。
その速度は文字通り光速、途中の障害物を気にせず一直線にここまできたのだ。

「……この状況で主催者が逃げ出す必要があるか?」
「きっと俺様たちに恐れをなしたんだろう!」
「追うか?」
「ああ」
「ブロッケンたちはどうするんだ?」
「……あの黒い奴の瞬間移動で一瞬じゃないのか?」
「いや、あいつら今戦っている……奇襲の必要もないし我々だけでいくぞ」
「お前らも舞空術が出来るのか!?」
「超人が空を飛ぶことができるのは当然だぜ?」
「カ〜カッカッカ!ベジータよ、キン肉マンのコミックス読み直して来い!」

そして、彼らは九州ロボのコントロールルームをぶっ壊した後に飛び立った。
目指すは東京。狙うは主催者たち。

「ところでなんでこんな陸地が近いんだ? さっきまで日本海の上だったはずだが?」
「恐らく知らぬ間の移動したのだろう」

941 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:17:49 ID:hR/qcbmI0

【ニ日目・8時30分/日本・富山県上空】
【ベジータ@ドラゴンボール】
【状態】健康、金髪恐怖症、首輪解除
【装備】野球のユニフォーム
【道具】支給品一式、ノートパソコン
【思考】基本:死にたくないので野球をする
1:悪魔将軍様の方が怖い
2:絶対に都庁には近寄りたくないが……
3:移動しつつツイッターはやる
※何度も瀕死状態から回復したので戦闘力が上がりました。

【キン肉アタル@キン肉マン】
【状態】健康、首輪解除
【装備】キン肉マンソルジャーのマスク、野球のユニフォーム、飛竜が書いた地図
【道具】不明
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:超人血盟軍を率いる。
1:飛んでいった阿蘇山を追う。

【アシュラマン@キン肉マン】
【状態】健康、首輪解除
【装備】誰かの腕×6本にミットが5つ
【道具】不明
【思考】
基本:悪魔将軍様に従う
0:最低でも主催者の一人は倒す
1;ところでこの腕は誰の何だ?

【バッファローマン@キン肉マン】
【状態】1000万パワー、ダメージ中、首輪解除
【装備】ロングホーン
【道具】不明
【思考】
基本:悪魔将軍様に従う


◆ ◇ ◆ ◇ ◆

942 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:18:18 ID:hR/qcbmI0


「どうした? あの放送の時の使った技は使わないのか?」
(ここでアレやったら、確実に九州ロボが轟沈してしまう!)

少し時間は遡る。
リング上でペンタゴンとブラックホールがバーダックを翻弄する。
ブラックホールの顔に出ては消え、消えては出てを繰り返すペンタゴン。
影を使い、分身やらを出し、攻撃を躱しに躱しまくるブラックホール。
一方のバーダック、打撃やらエネルギー弾が全くと言っていいほど当たらない。
攻撃が全てブラックホールの穴を通り抜けてしまう。
それと特大のエネルギー弾を放てば、九州ロボは確実に落ちる。
……なんというか、非常に汚いが相手を確実に倒すという点に特化している。

「貴様らには戦士としての誇りはないのか!! 汚いぞ!!」
「ヘヘ、汚いは悪魔にとって最高の褒め言葉だぜ!」
「それとな、殺し合いを開いた奴らにそんなことは言われたくはない!!」

一理ある。
戦いに美学はいらないのだ。

「ヘイ! 決めるぜ!ブラック!」
「来い、ペンタゴン!」
「くっ、離せ!!」

ペンタゴンはバーダックを捉えてブラックホールに放り込む。
ブラックホールは四次元空間にバーダックを閉じ込め、空中に飛び上がる。
そして、勢いつけて射出!! と、同時にペンタゴンは空中で技をかける。


「「フュージョン・フォー・ディメンション・キル!!!」」


地面に首から一気に叩きつける。
その衝撃でバーダックの首の骨を叩き折った。
いくらサイヤ人と言えど、首の骨が折れたら、ひとたまりもない。
仙豆があれば治るけど、今ここには仙豆はない。
なんやでかんやで二人は主催者相手に2連勝という大金星を上げてしまったのだ。

943 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:19:26 ID:hR/qcbmI0

「さて、私たちも福岡ドームに向かおう、ブラック!」
「おう、ディメンション・ム―――――ガッ!?」
「ブラック!??」
























「―――――はいはい〜ご苦労さまっと」






















黒い蛇がブラックホールの身体を呑み込んだ。
【ウロボロス】と呼ばれる大蛇にそれはもうあっさりと喰われた。

944 ベジータ泣く!の巻 :2015/03/12(木) 22:19:55 ID:hR/qcbmI0


「いやー本当にお前たちは、本当に俺様の役に立ってくれる。
 マジで感謝しねぇとな、ヒャッハハハハ!!」
「貴様、何者だ!?」
「クククッ『貴様、何者だ!?』だってよ。
 なに意味解んねぇこと言ってんの。マジうけるんですけど、まあいいや……死ねや」

白い羽にはクナイが突き刺さった。
顔の五芒星は身体ごと、サイファーで真っ二つに引き裂かれた。
―――――白き超人は地に落ちた。


「クククク……ヒャヒャヒャヒャッハハハハハ!!」



「本当最ッ高だぜ!!! クソ吸血鬼もクソ獣人もいねぇこの世界はよぉ!!
 ……んっ、あれあれ〜死にぞこないがいるみてぇだな」
「…………キリカキリカキリカキリカキリカキリカキリカキリカ…………」

壊れたように名前を連呼して真っ二つになったキリカの身体を抱きかかえる織莉子。

「ヤッベェ、超ウケる、もう生き返らないガキに喋りかけてやがる、ヒヒヒヒヒヒ!
 ……一思いに殺してやるよ、んじゃおつかれちゃ〜ん」

残った二つのソウルジェムもウロボロスに喰われた。
そこに残ったのは残虐非道な毒蛇だった。

「さて、ニャル子ちゃんたちは俺様を恨んでくれるだけでまだ生かす価値はある。
 鉄仮面のおっさんとハクメンちゃんはあの化物の女(風鳴翼)と相討ちくらいにはなってくれるだろうよ。
 ………と、なると後厄介なのは……あの【予言】か」

【バーダック@ドラゴンボール 死亡確認】
【ブラックホール@キン肉マン 死亡確認】
【ペンタゴン@キン肉マン 死亡確認】
【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ 死亡確認】
【呉キリカ@魔法少女おりこ☆マギカ 死亡確認】

【二日目・8時30分/九州ロボのどこか】
【ユウキ=テルミ@BLAZBLUE】
【状態】飛竜の肉体、首輪解除
【装備】光剣サイファー クナイ、各種オプション、蛇双・ウロボロス
【道具】支給品一式 
【思考】
基本:テラカオスを利用して、滅日計画を遂行する。
1:とりあえず、邪魔をする奴は殺す。
※飛竜の肉体を完全に奪いました。

945 ひとこと、アンタじゃ無理 :2015/03/27(金) 12:29:24 ID:KXT.pGu60
対主催もマーダーも、全てを守護(まも)らねばならぬと決めた男、本部以蔵はどっかの山奥――富士山を下山している途中であからさまに怪しいダンジョンを見つけた。

「この気配は……何か危険な存在を感じるぞ!
全てを守護(まも)るためにも、入ってみるか」

ダンジョンから言い知れぬ強い気配を感じた本部さんは、一先ず入って見ることにした。
危険な存在を感じ取った以上、内部の調査もしくは制圧は必要であろう。
そうでなくとも、強者の存在を感じ取った以上は戦わずにはいられない――それが闘士(グラップラー)という生き物であった。




……10分後。



「じょじょじ、じじじょう(こいつ、1階すら抜けられなかったな)」
「じょうじじょうじょじょじ(この程度の実力で不思議なダンジョンに挑んだのか)」

ダンジョンの中からじょうじじょうじと、黒い肌を持つ原人のようなモンスターが2体、一つの死体を抱えて現れた。
モンスターは悪名高き宇宙ゴキブリ、テラフォーマーである。
そして入口に運ばれる死体は本部以蔵その人であった。殴殺された後があり、このテラフォーマーたちにやられたのだ。
ダンジョン内部には数百匹のテラフォーマーが住み着いており、このダンジョンを突破するには本部さんではあまりにも実力不足であった。

「「じょじょじょー、じ!」」

いっせーの、っせ、という風なリズムを口ずさみつつ、テラフォーマーは本部さんの死体をダンジョンの外へとゴミのように放り投げた。
そして二匹とも仕事を終えると、ダンジョンの中へと帰っていった。


ダンジョンの前に野晒にされた死体。
これが全てを守護(まも)ろうとした漢、本部以蔵の悲しい末路であった。
ここがせめてダンジョンじゃなくて公園だったら生き残れたかもしれないのにね。

【本部以蔵@刃牙道 死亡確認】
死因:テラフォーマーにツーパンでダウン



さて、これを読んでいる者は気づいているだろうか?
富士にある不思議のダンジョンは、かつて結月ゆかりのテラカオス化を進行させた場所であり、シャマルが富士の噴火による被害を食い止めるためにマグマの転移先に選ばれて、壊滅したハズのダンジョンである。
そのダンジョンがいつの間にか再建していた。

不思議のダンジョンは立て直され、テラフォーマーのような怪物が配備されて本来の機能を取り戻していた。
広大なダンジョンをたった一日で再建するなど、有象無象の人間や魔物では数を揃えても絶対にできない所業である。

そして不思議なダンジョンとは悪魔将軍曰く、殺し合いの真の黒幕が隠れる「死者スレ」につながる場所であり、拳王連合軍が制圧すべき重要拠点である。
悪魔将軍の言うとおりに、真の黒幕が不思議のダンジョンの先にある死者スレにいるのかは不明であり、そもそもこの殺し合いに五大幹部以外の黒幕が存在するのかは謎だ。

しかし、不思議のダンジョン再建を一日で成せるほど絶大な力を持つ者が存在しているのは確かである。



【二日目・9時30分/どっかの山奥→富士山 不思議のダンジョン前】
※不思議のダンジョンが再建されました
※ダンジョン内には数百匹のテラフォーマー@テラフォーマーズが住み着いています
 他にもいるかもしれません

946 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:07:39 ID:SfPaEuB20
「うぅー……」

さやかは、考えた。
目の前に転がるのは、瀕死の少女と化物。
フォレスト・セルがすぐそばにいる以上、負担はかかるが自分の回復魔法を惜しみなく使って助けることは可能だろう。
だが、どちらを助ける?
元は美しかったであろう着物を真っ赤に染め上げた少女は、早く回復しなければ失血死する。
ぐったりとした化物は、体液なのか不気味な色の液体を垂れ流している。生物なのであれば、おそらくこちらも失血死する。

さて、ここで問題がある。
自慢ではないが、さやかは回復魔法と再生には自信があった。これに関してだけは先輩のマミ以上であると胸を張れた。
目の前の重傷の少女を助けることは、確実にできる。
だが、そちらを回復している最中は化物を回復することはできない。
少女を助ければ、化物はこのまま死ぬのだ。

(ああもう、何を迷ってんのよあたしは!)

少し前の自分なら、化物の命などなんとも思わずに少女を助け、化物は見殺しにしたはずだ。
人を魔女(化物)から守る。それが正義の魔法少女だから。
だが……この世界樹において、不覚にもさやかは魔物に命を救われた。
そしてネットの情報により、魔物以上に暴れまわっている拳王連合の存在も知ってしまった。
助けるべき者の基準が、揺らいでしまったことをさやかは自覚している。

(自分よりも先にこの化物を回復してくれって言ってたけど……本当にあなたはそれでいいの?)

倒れ伏す少女からの頼みは、自分よりも化物の回復を優先してくれというもの。
だがそんなことをすれば、間違いなくその間に少女は死んでしまう。
救える少女の命を見捨てて、得体のしれない化物を救う……それは本当に、正義の魔法少女がとるべき行動か。
さやかは、考える。

(まどか……)

ふと、頭の中に親友の顔がよぎった。
魔物との共存を願い、このフォレスト・セルをも従える巫女となった少女の顔が。
三竜ですら若干引く程恐ろしい化物をかわいいと言ってのける、ちょっと世間ずれした彼女の顔が。
――どことなく、目の前の少女と親友の少女が、だぶって見えた。

「ああぁぁぁぁぁ、もうっ!」

一度、何かを吐き出すようにさやかは叫ぶ。

「あんた!」
「にしゃ?」
「そうよあんた! 言葉わかる!? わかるんだったらまどか呼んできて! それとついでにあいつ……レストも!」

その叫び声のまま、さやかは勢いに任せてフォレスト・セルへと命令を下した。
さやかが選んだ選択は、両方を救うというもの。
自分の回復魔法だけで足りないのであれば、他の者の手を借りればいい。
当たり前のことではあるが、さやかにとっては初めての決断だ。
それはすなわち、正義の魔法少女が化物を救うということなのだから。

「マドカ―」
「喋った!?」

そんなさやかの意思を汲みとったのか、フォレスト・セルはまどかを呼び寄せた。

947 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:08:11 ID:SfPaEuB20
「お待たせさやかちゃん!」
「……これはまた、凄い状態だね」
「って早いなおい!?」

そして僅か数秒もたたないうちに、まどかとレストがさやかの目の前へと現れた。
何の前触れもなく、一瞬で。

「いや、早く来てくれたのはいいんだけどどうなってんの!?」
「変なことを言うね。首輪を外したから僕の魔法で瞬間移動しただけだよ。
 一度訪れた開けた場所の座標さえ覚えておけば、ダンジョンの最奥だろうが自宅だろうが一瞬で移動できて便利だからね」
「あんたどんだけチートなのよ!?」
「僕の住んでた町では住人全員が使える初期魔法だよ? 同行者二人までなら一緒に移動できるからまどかも連れてきてあげたのに」
「あーもう、色々言いたいけどとにかく今はこっち!」

顔をひきつらせながらも、さやかは二人に倒れ伏した少女と化物を見せる。

「突然降って来た人だから、よくは知らないけど……悪い人じゃないと思う。
 この人にこの化物の回復も頼まれたから、ちょっと回復を二人にも手伝って欲しくてさ……
 ま、まあ? この程度の傷、さやかちゃんならすぐに治せるんだけど――
「かわいそう……この子もかわいいのに、こんなにボロボロになって……今治してあげるね。
 世界樹の癒し『エタニティツリー』!」

まどかが祈りを捧げると、倒れた化物の傷がみるみるうちに塞がっていく。
その再生速度にさやかは呆然としてしまうが、彼女はこの魔法を知らないのだから無理もない。
本来この魔法は世界樹と一体化した『世界樹の王』にしか使用できない魔法であり、その効果は対象者の体力を割合で継続回復するもの。
化物こと歪みし豊穣の神樹の体力は膨大であり、それに比例して自動回復量も増しているのである。

「こ、これがまどかが手に入れた世界樹の力か……! な、ならさやかちゃんはこっちを――」
「あっちはまどかに任せて平気そうだね。それじゃあ僕はこっちの子……体力は普通そうだし、キュアでいいか。ついでに首輪もぱぱっと」
「なにケチってるのよ!? ここは最高の回復魔法で――」
「……はっ!? 神樹は!?」
「起きたぁ!?」

さやかが倒れていた少女、エリカに駆け寄ろうとした頃にはもう治療は終わっていた。
破れた着物こそそのままだが、痛々しく抉り取られていたはずの腹部は綺麗に元通りになっている。
これまたさやかは知る由もないが、レストが扱う回復魔法は使用者の知力に依存している。
極限レベルのレストの魔法は、初歩のものですら回復量に9の数字がいくつもつくとんでもない代物なのである。

「…………くやしくなんか、ないもん」

お株を奪われ、さやかはちょっと凹んだ。

「…………あ、ソウルジェムちょっと濁った」

※濁りはこの後スタッフ(フォレスト・セル)がおいしく頂きました

948 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:08:40 ID:SfPaEuB20
「本当に、ありがとうございました」

程なくして、突然の来訪者の治療は済んだ。
エリカは深々と頭を下げ、そして……

「ヒャッハ―! なんか知らないが他の蕾まで成長したぜー!」

そこには元気に動き回る神樹の姿が!

「元気になってよかったよ。やっぱり元気に動いている方がかわいいよね!」
「あら……あなたも神樹のよさがわかりますか? そちらも随分とかわいらしい子を抱えているようですが」
「ですよね!? セルちゃんかわいいですよね!?」
「ええ、つぶらな瞳が特に」


「ねぇ、もしかしなくてもあの人、まどかと同類?」
「だろうね。というか、あの神樹って呼ばれてる子もフォレスト・セルと同類だよ多分。
 ……いや、この光景おかしくない? 僕も長年魔物使いとしても活動してきたけどさ、あんなの懐かせる自信ないよ」
「珍しく気が合うわね。あたしはもう、この光景が地獄だと言われても信じるよ?」

少女達の語らい、それは平和な世界でも争いに満ちた世界でさえも、どこでも見ることが出来る。
うちのペットのここがかわいいー、などといった会話も普通にある。

「にしゃしゃーん」
「そうか……お前もこのまどかって奴に存在を認めて貰えたのか。……まぁでも、うちのエリカの方が心は広いだろうがな」
「にしゃ!? にしゃぁっ」
「あん? 自分はまどかと一緒でピンクがメインカラーで瞳の色も同じ金だと!?
 舐めんなよ、だったら俺だってこの漆黒のボディはエリカの髪と同じだわ!」


そのペットが、普通じゃないことを除けば本当によくある会話だ。
首相官邸を一薙ぎで瓦礫にする化物に、新宿中央公園を地図から消す化物。
巨体も巨体、そして撒き散らされる瘴気に、この世の生き物とは思えない恐ろしい姿。
本来であれば、人類に牙剥く禍そのものである歪んでしまった世界樹の力の化身。
それをあっという間に手懐け、あまつさえかわいいと断言してみせる少女達の姿は、化物以上にある種の恐ろしさを感じさせた。
さらにどうやら飼い主のことで張り合っているらしい化物共も、より一層この光景を混沌としたものに変えている。

「あー……あのさ。エリカさん、だっけ? とりあえずその黒い奴のことは置いておくとして、どうして降ってきたの?」
「っ!」

そんな狂った光景に耐えきれなくなったさやかが、話題を変えようと話を振った。
その瞬間に、恐らく和やかであっただろう空気が一変した。
神樹が放つは凄まじいまでの殺気。唇を噛みしめたエリカから感じ取れるのは悔しさ。
無残に抉られた腹、フォレスト・セルと同じく強大な力を持ちながらもボロボロであった神樹。
それは、彼女達が強力な力を持っていながらも――さらに強力な力を持つ者に敗れ去ったということを物語っている。

「本当に、突然のことでした。全裸の殿方が率いる機械の軍勢に襲われて……」
「なんで全裸!? って、機械の軍勢てもしかして、リーダー格が三つ目のオカマとかだったりした!?」
「ああそうだよ、よく知ってるな。俺としたことが、あんな変態にやられちまうなんて……」
「……天魔王軍!」

そして神樹を打ち破った強力な軍勢は、さやか達が所属する都庁の同盟においても因縁の相手。
天魔王軍――情報操作をする狡猾な知恵と、神をも打ち砕く力を持つ軍勢。
都庁の敵を必要以上に生み出した、決して無視はできない存在だった。

949 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:09:12 ID:SfPaEuB20



「……どうしたものかな」

都庁の入り口から少し離れた位置をレストは散策していた。
突然の来訪者からもたらされた怨敵の情報と強さは、都庁全体を揺るがすには十分すぎた。
赤竜は憤り、いますぐに八つ裂きにしに行くべきだと吠える。
彼以外も、多くの魔物が濡れ衣を着せてきた天魔王軍に対して強い怒りを剥きだしにしていた。

だが同時刻、スマホで情報収集をしていた面々から、拳王連合が大阪の街を焼き払い始めたという情報まで伝えられた。
ロックオンによれば、街を焼き払っているガンダムと呼ばれる兵器はあからさまな魔改造を施されているらしい。
カオスロワちゃんねるに投稿された動画を見る限り、攻撃対象は完全に無差別であり、目的は街の破壊以外には考えられないとも言う。
さらに小町と氷竜の情報も合わせると、数時間前に一度大阪を滅ぼそうとした砲撃も、そのガンダムが放った可能性が高い。

付近を偵察していた魔物から、マンホールの蓋を持ち上げて地下に潜る美味しそうな仮面ライダーを見かけたとの報告もあった。
特徴などから判断して、この仮面ライダー一行が内部爆破を企んでいるテロリスト共で間違いないだろう。
既に多くの魔物が配置につき確保の準備は整っているが、油断はできない。
なにしろあれだけ自信満々に書き込んでいるのだ、相当な戦闘力の持ち主であるに違いない。

そうなると近いうちに、DMC狂信者の再襲撃の可能性もある。
仮面ライダーの書き込みを信じるのであれば、DMC襲撃のどさくさに紛れて爆弾を使用するつもりなのだから当然だろう。
あの狂った連中は未だにその勢力の正確な人数が把握できていない。あと何回襲撃を返り討ちにすれば攻撃は止むのかわからない。

同時刻に、これだけ敵対勢力に動きがあるというのは正直予想外の事態であった。
どれを優先的に叩くべきなのか、などとは言っていられない。
事は急を要する。所在がわかっている今のうちに、全ての勢力を潰しておかなければならないのだから。
あくまで最終的な敵は主催者及び風鳴翼であり、またその特性から早急な討伐が必要な相手でもある。
そうなるとその戦いの邪魔になりそうな連中を全て排除し、拠点の完全な安全の確保が必要となってくる。
幸いにして人間と魔物を合わせれば都庁の勢力は中々のものであり、いくつかに分けたとして十分な力を持つ。
どのように部隊を分け、誰がどの勢力を叩くのか。これは今後の都庁の同盟の行方を左右する、大事な判断である。

現状都庁が抱える戦力の中で、フォレスト・セルを除けばレストが最大戦力であるというのは誰もが認めるところだ。
だからこそ彼には、多くの者が声をかけた。天魔王を、拳王を、仮面ライダーを、DMCを、一緒に倒そうと。
とはいえ、これでも彼は人間であり分身などはできない。討伐を手伝えるのはどこか一部隊のみだ。故にレストも悩む。

「……サクヤ、君はどうすべきだと思う?」
「いえ、私なんかの意見では……」

後ろからついてくる従者に問いを投げかけても、彼女は首を横に振るのみ。

「レスト様を、これ以上危険な目にあわせたくないですから……」
「危険、か」

950 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:09:50 ID:SfPaEuB20
ただ続けられた言葉に、レストも頷いて肯定する。
そう、レストをもってしてもどの勢力も油断などできない存在なのだから。
オオナズチの情報によれば、あの黒い神樹はかつての世界樹の成れの果て。
グンマ―の民ですら制御しきれずに蟲に封じ込めて、その蟲も遺跡に封じ込めて、さらに門番として最凶の黒龍を配置したというのだ。
それほどまでの大いなる存在を、天魔王軍は打ち倒している。
エリカもどうやってそんな奴を捕まえたのかは気になるところではあったが、今はその問題は置いておくこととする。
大方、まどかに譲られたボールの中にあのフォレスト・セルがすっぽりと入ったことが関係しているのだろう。

「……そういえば、ダオスさんのメガボスゴドラも普段はあのボールの中だったな。
 つまり、フォレスト・セルも神樹も今はまどかとエリカのポケモン扱いに……?」





『よし、ピカチュウ! 君に決めた!』
『なら俺はプリン! かわいいタッグの前に敵はない!』
『ピッピカチュー!』
『プリュッ!』

『行って、セルちゃん!』
『神樹、お相手をしてさしあげて』

『 に し ゃ あ あ あ あ あ ! 』
『 シ ン ジ ュ ― ッ ! 』






「対戦相手が流石に哀れだよ!」
「ど、どうしたんですかレスト様!?」
「ごめん、ちょっと脱線した」

少し恐ろしい光景を考えてしまったが、とにかくその神樹が敗れている以上、天魔王軍は特に警戒すべきであるということだ。

951 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:10:20 ID:SfPaEuB20
拳王連合はもはや説明不要だろう。あれを理不尽と言わずになんと言えばいいのか。
遡って情報収集をしていた小鳥からは、なんか電車ごっこで遊び半分に人を轢き殺したとかいう情報を得た。
まず、電車ごっこをする意味がわからないし、それで人を轢けるというのも意味が分からない。
常識が通用しない相手であることは間違いなく、こちらも油断はできない相手だ。
しかし同時に現在はホワイトベースと呼ばれる集団が交戦状態に入っているようで、彼らと共闘できればあるいは……
仮面ライダーは実力は未知数だが、書き込みの内容から残念臭がぷんぷんするので、ここは他に任せてもいいだろう。
最後にDMC……狂信者が果たして何人いるのか、その全貌は未だにわからない。
前回の襲撃の際に葬った狂信者の数はおよそ3000。これだけでも相当な数だが、次はさらに増えるだろう。
一人一人は弱くとも、数の暴力とはいつの時代も恐ろしいものだ。

「うん、ちょうどここから直進すれば、首相官邸か。
 全速力で向かって天魔王軍を片づけて、転移魔法で都庁入り口に帰還。
 そのまま地下に向かって仮面ライダーを捕獲、引きずって地上で狂信者を迎撃、大阪に向かって拳王連合を殲滅……
 理論上は可能だけど、やっぱりきついなぁ」

首相官邸の方角を眺めながらも、現実的ではないその考えを自身で却下する。
このポイントからダオスに頼んでレーザーを撃ってもらえば、直線最短距離で首相官邸への道は出来上がるのだが。


「まいったね――もう時間が残されていないかもしれないのに、決められないや」


そうして首相官邸の方角を眺めながら、レストは深いため息をついた。
左手で、右肩を押さえながら、悔しげに。

「レスト様、やはり……」
「あれ、やっぱりサクヤにはばれてたかな?」

少し驚いたという表情を浮かべながら、レストはおもむろに上着を脱ぎ始める。
少女の前で突然脱衣を始めるなど変質者の行う行為だが、見せられているサクヤはそれを止めようとはしない。
その表情は変質者に対する怯えではなく、嘘であってくれと願うような、そんな切ないものだった。

「……他のみんなには隠し通せてたんだけどね」
「私は能力の関係上、闇や悪しき気配には敏感ですから……」

晒されるレストの上半身。
細身であり、無駄なく引き締まってはいるが筋骨隆々というわけではない。
ただ刻まれた無数の傷痕が、彼が過ごしてきた人生の壮絶さを物語る。
そんな傷痕の中で二ヶ所だけ、異質な物があった。

「ちょっと迂闊だったかな。おかげでこのありさまだよ」

右肩と、右肘付近。
そこの傷痕から僅かながら黒い霧のようなものが溢れだしていた。
――ここはかつて、風鳴翼の攻撃によって傷を負った箇所。
――そして溢れる霧は、彼女のものと同じ。

952 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:11:05 ID:SfPaEuB20
「吸血鬼か何か、多分そんな能力もあったんだろうね。噛まれた時に流し込まれてたらしい」

レストの推察通り、確かに風鳴翼――その前身である四条貴音は吸血鬼の特性を得ていた。
噛みつき、血を啜った相手を同族へと変える吸血鬼の牙。
だが四条貴音から風鳴翼へ、そして風鳴翼からテラカオスへと変異していく中で、その牙の特性も変異していた。
その牙で噛まれれば、その混沌の力を纏わせた剣で斬られれば、その箇所にテラカオスの因子が残留するのだ。
それが蓄積されれば、感染が加速すれば、どうなるか。もはや答えはわかりきっている。第二、第三のテラカオス候補となる。
テラカオスの一定以上の攻撃を受けた者は、同じテラカオスへと誘われる……この能力は、主催者達ですら把握してはいなかった。

何故、テラカオスが持つこの能力が今まで明らかになっていなかったのか。
答えは実に単純なものであり、現在のテラカオス・ディーヴァの行動方針に原因があった。
全てを食べて取り込む。自分に食べられた者は救われる。救済対象(食材)に対する敬意は失わず、残さず喰らう。
現時点において、テラカオスと対峙した者は一部の例外を除いて全員が喰い殺されている。
その例外は二人。ガオウライナーに撥ねられたキュイと、テラカオス・ディーヴァと化す寸前の風鳴翼と戦ったレストのみ。
キュイは噛まれたり、斬撃などで葬られていないためにそもそもこの能力の対象外だ。
レストのみ、テラカオスの一撃を受けて生存している希少な参加者なのである。
そんな彼もしばらくは腕を切断されたままであり、噛まれた右腕は氷竜の手で冷凍保存され、テラカオスの因子も休眠状態だった。
首輪が外され、腕の結合が可能となり、それから時間が経過して……切断された右腕の中で眠っていたそれは目覚めたということだ。

「なんとか、治療することはできないんでしょうか?」
「無理だね。気づくのが遅れたせいで、多分微量でももう全身にまわってるよ。
 フォレスト・セルの穢れ浄化が効くかもしれないけど、勢い余って全身食べられるかもだし」
「そんな……」
「ブリーフ博士が、この黒い何かに対する特効薬を作ってくれれば話は別だけど……
 薬学も嗜んでる僕に言わせれば、こんな意味不明な存在に対する特効薬なんてどんな天才でもすぐには作れない」

沈んだ様子のサクヤに対して、当のレストは悔しさこそ滲ませるが比較的落ち着いていた。
自分の傷口から漏れ出す霧を触ってみながら、どことなく他人事のように。

「今はまだ、特に体にも精神にも異常は感じないから大丈夫だよ。
 これも鍛えて状態異常耐性も上げておいたおかげかな? とにかく皆との約束だけは守ってみせるよ」
「約束、ですか?」
「ほら、僕の力をもう一度人間に貸すって言ったでしょ。言ったからには最低限……そうだね、どこかの勢力だけでも滅ぼすよ。
 まあそれで、どこに向かうべきかと悩んでいるんだけどね。でもどうせ死ぬなら、やっぱ無理してでも全勢力を高速で……」
「死ぬって……どういう意味ですか!?」

なんでもないと言わんばかりに、自然と混ぜられた死という言葉に、サクヤが噛みつく。

「言葉通りだよ。今は平気でも、いずれ僕もあの風鳴翼のようになるかもしれない。
 君も見ただろう、あれの危険性は異常だ。同類になる前に命を絶たないと、みんなに迷惑かかるでしょ。
 とりあえず危ないなーと感じたら、サクヤが四源の舞でフォレスト・セルを強化して、僕を集中的に爆撃してくれればいい。
 その間は無抵抗で受け入れるから、耐性があっても多分数十発撃ちこめば死ねるんじゃないかな? だから……」
「嫌です!」

主の言葉を、従者が遮り拒絶する。
その様子に一瞬驚いた顔をしながらも、すぐさま表情を戻して主は従者の頭に手を置いた。

「ほら、いい子だから落ち着いて」
「っ、今撫でていただいても、嫌なものは嫌です! どうして、レスト様が死ぬ必要があるんですか!」
「……まどかはさ、僕が思っていた以上にすごい子だった。
 甘い子なのに、躊躇いもせずに世界樹の巫女になった。ああなっちゃえば、もう元の生活になんて戻れやしない。
 あのフォレスト・セルにまで慈愛の感情を向けるっていうのは、魔物を大切だと言っておきながら、僕には真似できなかったと思う」

撫でる手は動かしたまま、独白は続く。

953 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:11:34 ID:SfPaEuB20
「あのエリカって子もすごいよね。グンマ―の民ですら諦めた存在をあそこまで手懐けて愛情を向けられるんだから。
 彼女達だけじゃない。あかりも、モモも、黒子もそうだ。本当の一般人だろうに、僕も魔物も恐れた様子がない。
 会うことはできなかったけど、赤竜さんとフレクザィードの心を動かしたバサラという人もすごいよ。
 赤竜さんはわからないけど、フレクザィードとは長いこと一緒にいたからわかる。彼は僕以上に人間に憎悪の感情を持っていたのに。
 ああ、小鳥さんもすごいね。どういった経緯であの赤竜さんを怖がらずに着いていく気になったんだろう」
「それと、レスト様が、どう関係するんですか……」

以前は撫でられたら尻尾を揺らしていたサクヤも、今は尻尾が垂れたままだ。
はぐらかすような主の態度と事の問題が大きいだけに、喜びよりも悲しみの感情が勝ってしまう。

「……まどかや彼女達なら、きっとこの殺し合いが終わった後に、本当に人間と魔物の共存関係を築き上げてくれそうな気がする。
 僕は、魔物への理解を示す人間なんていないと決めて、多くの人間を斬ってきた。僕が、魔物達を守らなきゃって思ってた。
 でももう――僕の役目は終わりなんだよ。僕がいなくても、もっと心優しく人間にも魔物にも手を差し伸べられる子がいるんだから」

役目の終わり。
少し寂しげに、しかしそれを受け入れたように穏やかな声でレストはそれを口にする。
ここの魔物は、多くの人間を排除して自然を取り戻す道より、協力しあっていく共存の道を選んだ。
たとえそれが現状による一時的なものであるにしろ、一時的とはいえその道を歩んでいるということが重要なのだ。
今その道を歩めるということは、この後も歩むことは可能だということなのだから。

「僕の元々の思想は砕かれた。そんな僕に、今なにができるのか。
 決まっているよね? 魔物達やまどかが望んだ、そしてかつての僕が望んだ……人と魔物が共に暮らせる未来を切り開く。
 戦いに明け暮れ、行く先々で化物と言われ、そして今度は正真正銘の化物になってしまいそうな僕の居場所は戦場しかない。
 平和な未来に、僕みたいに穢れきった人間は必要ないし、彼女たちが戦いの中でこれ以上手を汚す必要もない――限界まで僕が殺る」
「……少なくとも、私はあなたを必要としています」
「ふふ、嘘でも嬉しいね」
「大丈夫です。まだ共に過ごした時間は短いですけれど、レスト様が優しい方だということははっきりわかります。
 きっともう少し時間をかければ、人間も魔物も関係なくわかってくれます」
「その時間がなさそうだけどね」
「そしてレスト様は強いです。そんな瘴気なんかに呑まれる人ではありません」
「これは僕にとっても未知の状態異常だ。克服できる確証はないよ」
「……頼りないかもしれませんが、私は聖光の神で、五行説では土を象徴する存在です。
 大地の守り人であるあなたに、闇を払う加護と土の恩恵をもたらしてみせます」
「ふっ……君の本来の主を、目の前で叩き斬ったいわば仇に、よくここまで肩入れしてくれるね」
「本当はあの時、私も死んでいるはずでした。私をこんな風にしたのは、レスト様なんですよ?」
「ちょっと全身撫でただけじゃないか。それでここまでするのは、尻軽ってやつじゃないかな」
「なんとでも言ってください。前のマスターからのあだ名が開幕欠損即イキビッチの私にはその程度の言葉責めは効きませんよ?」
「ぶっ!? ビッチなの!?」
「ビビビビッチ違います! あくまであだ名ですから!」

しばらく続いた主と従者の受け答えが、なんとも言えない言葉で一度終局を迎える。
どこか張りつめていた空気も、間抜けなまでに解されていく。

「やれやれ、折れないねサクヤも……」
「ええ。誰がなんと言おうと、私はあなたにつきます。万が一、闇に呑まれてしまったとしても」
「そっか……ありがとう」

くしゃりと頭を撫でながら、感謝の言葉が伝えられる。

「少し、救われたよ。だからこそ――僕は君も守りたい」
「え――」

次の瞬間、触れていた掌から淡い光が放たれる。
それに反応することもできないまま、サクヤは光の粒となってその場から掻き消えた。
現在、レストの管理下にある魔物はサクヤとウォークライの二人。魔物と明確な主従関係が構成されている場合……
アースマイトは従者の魔物に対して、主の身代わりとなるか、拠点への強制帰還を命じることができるのだ。
レストが今行使したのは後者、すなわち都庁の世界樹への強制帰還だった。

「さーて……そろそろ出てきなよ。あの意味不明な歌を歌わないで隠密行動ってのは成長したとは思うけど、殺気が隠せてないよ?」

954 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:12:22 ID:SfPaEuB20
誰もいないはずの場所に声を投げかけると、景色が揺らいだ。
影薄組のような気配の薄さ、ではない。

「「SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ!」」

光学迷彩服を纏った、DMC狂信者だ。
しかしその手には何も持っていない。
機動兵器に乗るでも、魔界魔法を放つでも、銃を持つでもない。
ただ、他の狂信者達と比べて明らかに発達した肉体を持つ――マッスル狂信者の群れだった。
彼らは狂信者ではあるが、馬鹿ではない。
前回の襲撃の際にレストに属性魔法が効果をなさないことを知った彼らは、純粋な力で挑みかかってきたのだ。

「はは、思ったより早くきたね。――手間が省けて助かるよ」





無数の襲い掛かるマッスル狂信者の大群の中に、レストはただ一人で身を踊りいれた。
入れ替わり、立ち代わり、怒涛の勢いで押し寄せる肉弾の嵐。
その攻撃に流派は感じない。柔道、空手、喧嘩殺法、ボクシング……あらゆる格闘技の技が織り交ぜられている。
彼らはクラウザーさん復活のためだけに、肉体の限界を超えて技を短期間で習得した狂信者達であった。

「あっははははははは! やっぱり首輪がないのはいいね!」

だが、その鍛えられたマッスル狂信者達はわけもわからなかっただろう。
確かに報告を聞いたはずだ。都庁の最大戦力、冥闇に堕した者を一撃粉砕してみせた青年の弱点は物理攻撃だと。
それだというのに、何故技を繰り出した自分たちの拳や脚が、逆に見るも無残な潰れたザクロに成り果てるのか。
彼らは知らない。制限状態であっても、鬼の顔面陥没パンチを平然と耐える程にレストの肉体は異常に硬いことを。

「ひ――」

ある狂信者は、確かに恐怖を感じた。
自分達が死ねば、それはそれでクラウザーさん復活へ近づくということは理解している筈の狂信者がである。
触れれば潰され、触れられたら粉微塵にされる。
白い服を返り血で染め上げながら、レストは流れるような動きで、素手で相手の身体を容易く抉り取る。
戦いなどとは言えない、ただの殺戮。まるで何かの鬱憤を晴らすような、理不尽な暴力が狂信者を狩りつくす。

「ちっ……どいてろ貴様ら」
「へぇ、君がこの格闘家軍団の頭かな? 随分と化物染みた格好だね」
「ほざけっ!」

そんな暴虐の宴の中に、一人の男が文字通りに舞い降りた。
悪魔のような角、悪魔のような翼、悪魔のような尻尾……否、悪魔そのものであり、DMC狂信者幹部の一人――三島一八その人だった。

一八こそ、このマッスル狂信者を率いてきた存在だ。
先の襲撃で冥竜が敗れた以上、生半可な力の持ち主では都庁を倒せないと知った彼らは作戦を練った。
明智光秀より仮面ライダーとの共同計画を聞かされてはいたが、その仮面ライダーもいずれ殺すのだ。
そんな相手の協力をわざわざしなければならないというのは癪であったし、なによりも一八は惜しいと思ったのだ。
冥竜を一撃で消し飛ばす程の格闘家、爆弾で殺す前に自分の手で討ち取ってみたいと、格闘家としての血が騒いでしまった。
この男の弱点は意外にも物理攻撃だという。だからこそ特に覚えのよかった狂信者を引き連れて、戦いを挑んだ。
だが技を教えた付け焼き刃の狂信者はご覧のザマ、やはり俺自身が奴の首をとってクラウザーさんに捧げるべきだと……

「――もう、容赦も、遠慮もしないよ?」

にやりと笑ったその顔を見た瞬間、一八は本能的に全ての思考を放棄した。
ただただ、走馬灯のように流れる聞きなれたクラウザーさんの歌声を脳内へ求めて旅立ったのだ。
格闘家としてだとか、デビルとしてのプライドだとか、そんなものは投げ捨てた。
一八が強者だからこそ、彼は目の前の青年から繰り出される、首輪の制限も遠慮もない拳の異常さを感じ取ってしまった。

955 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:12:51 ID:SfPaEuB20
一八に付き従っていた狂信者は、一八の行動が理解できない。
彼らは一八ほどの域に達していないためだからだ。
振るわれる、レストの拳。その威力を数値化し、何かと比べた場合、どうなるか。

かつて彼と同郷であり、世界を支配できるだけの力を持つ大いなる神と呼ばれるドラゴンがいた。
彼女の神竜としての腕力はおよそ3000。神を名乗れるだけの存在の腕力3000を基準とするならば。
限界までレベルを上げ、ドーピング薬に頼っていなかった場合のレストの腕力は。
表面上の測定限界値は99999、そして内部値においてはその上昇は実は止まっておらず、およそ200000である。
とてもではないが、人間が持っていい腕力でなければ、デビルとはいえ一応分類は人間の一八に対して打ち込んでいい代物ではない。
もっとも、その無慈悲な拳を止める気をレストが持ち合わせているわけもなく。
その力を察した一八も、察せなかったマッスル狂信者も、仲良く屑肉以下の細かな深紅の飛沫となって緑の大地を彩った。

【三島一八@鉄拳6】死亡確認
【マッスル狂信者の群れ@デトロイト・メタル・シティ】死亡確認


「……この程度か。再襲撃にしては随分と弱いね」


「ウヲヲヲヲヲヲヲヲヲッ!」

だが、敵は一八の率いる軍団だけではなかった。
第二波、おそらくは格闘集団が敗れた際に備えていたのであろう軍勢が飛び出してきた。
今度はあからさまな悪魔、一つ眼の象が猛然とレストに突進をぶちかます。
だが今更象の悪魔の突進程度で動ずるレストではない。カウンターの拳打で、一八達と同じように葬り去ろうとする。

「っ!? ごほっ!?」

だが、ダメージによりぐらついたのはレストの方であった。
そして吐血こそないものの、不可視の一撃を受けた彼は困惑してさらに一歩後ずさる。
一度脱いでいた上着を纏い――僅かに減少していた装備品分の耐性を元に戻してなお、攻めあぐねていた。

(今の一撃は……あの象のものじゃない。まるで、自分で自分を殴った時のような……)


「なるほど、確かに貴様の弱点が物理攻撃というのは間違ってはいないらしいな」
「やれやれ、あっさり逝ってしまって一八め……だから最初から、僕らに任せておけと言ったんだ」


象の悪魔の後ろには、二人の青年が立っていた。
白い学ランの青年と、逆に全身黒づくめのコートの青年が。

956 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:13:24 ID:SfPaEuB20
「ふん、たかがファン歴が長いだけの野蛮な男が幹部などとは笑わせる。
 連れていた信者も有象無象の類では、勝てる戦も勝てぬというものよ……」
「まあそういうな大和。君だって最初はクラウザーさんの歌のことを、愚民どものくだらない娯楽だと言っていただろう?」
「ち……あれは私の人生において最も恥ずべき汚点だ。もっと早くからクラウザーさんと出会えていれば……」
「まあ今の君のクラウザーさんへの想いと、悪魔使いとしての強さは認めてるよ。だからこうしてここに来たんだからね」

一人は、一八と同じく狂信者幹部を務める狭間偉出夫。
もう一人は、その狭間が認める高位の悪魔使い狂信者、峰津院大和。
狭間はアームターミナル型COMPから、大和は携帯に内蔵された召喚アプリから悪魔を呼び出す所謂デビルサマナーだ。
彼らの後ろに控える狂信者も召喚アプリに適応した者であったり、狭間から直々に魔界魔法を叩き込まれたサマナー揃いであった。

「さて……今の様子を見る限りでは、奴のふざけた攻撃も所詮は物理攻撃の範疇。このままギリメカラで完封できるやもしれんが……」

そして大和が繰り出した悪魔の名はギリメカラ。
この名前を聞くだけで露骨に嫌な顔をするメガテニストもいるというほど悪名高い悪魔である。
その特性はシリーズ毎に微妙に変わるが、後期のものには揃って最悪な能力を引っ提げている。
それが――物理攻撃の完全反射である。よってオート戦闘をしたプレイヤーはそのままゲームオーバー。
完全なる反射であり、どれだけ高威力の物理攻撃でもダメージはそのまま跳ね返り『貫通は絶対に不可能』である。
これを貫くには、物理攻撃の枠を飛び出した、神の炎を纏わせた万能属性の一撃しかない。

「物理反射とはやってくれるね――ぺネトレイトソニック」
「ヴォォォッ!?」

しかしギリメカラは、レストが放った風の刃に切り刻まれてあっさりと死んだ。
物理反射と呪殺以外の耐性はザルなのがギリメカラ、オート戦闘さえしなければ言う程苦労はしないのだ。

【ギリメカラ@女神転生シリーズ】死亡確認

「ち……やはりこの程度の悪魔では物理反射も活かしきれないか」
「だが今の攻撃で確信したよ、大和。この勝負――僕らの勝ちだ」

だが、ギリメカラが倒されてもリーダー格の二人はまるで動じない。
それどころか、勝利すら確信していた。

「その機械から悪魔を呼び出しているのか。なら君らもろともそれを壊せば……!」

「無駄だ愚民。私も、そして狭間のCOMPにも召喚アプリを流用して物理反射のスキルをセットしてある」
「なっ!?」
「そして今、君はギリメカラを倒すのに風の魔法を使った。悪魔は同名でもスキルや弱点、種族まで変化するおもしろい生き物だ。
 そんな彼らを確実に倒すなら、ある程度強さをもった悪魔使いは無属性、万能属性の魔法を使う。
 それをしないってことは……君は、そういった魔法は使えないってことだ」

大和と狭間の言葉に、レストは一度退いて態勢を立て直した。
狭間の言うとおり、レストが操れる魔法は火、水、土、風、光、闇のみ。
いわゆるどんな敵にも通用する無や万能属性の魔法は使えない。
だが腕力が異常な時点で察せそうだが、彼は魔法攻撃力まで異常な値となっている。

「まさか、君らまで風鳴翼のように全属性吸収ってことはないだろう? なら普通に焼き尽くすまでだ!」

爆炎が放たれ――

「絶一門・火炎!」

ることなく、魔力を練る段階でそれは封じられた。
今の叫び声は、後ろに控えるサマナー狂信者のものだろう。

「物理反射を貫けるのは万能、無属性のみ。それ以外の魔法は全て絶一門スキルで封ずることができる」
「まあ僕らも絶一門時はその属性魔法が使えなくなるけど、それは大した問題じゃあない。何故なら……」

957 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:13:53 ID:SfPaEuB20
「「 メ ギ ド ラ オ ン  」」

狭間と大和が、同時に叫ぶ。
その魔法こそが、万能属性の魔法。
いかなる手段をもってしても、防ぎきることも封印することも吸収することもできない、最強の属性たる魔法。
神の紫炎は、全てを飲みこんでいく。

「手を休めるな! 貴様らも続け!」

「「SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ!」」

「「奴をレイプ! レイプ! レイプ!」」

「「クラウザーさんへの生贄にするんだー!」」

「「「「 メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド 」」」」

「「「「 メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド 」」」」

二人ほどではないが、しごかれた狂信者達からも神の炎が絶え間なく放たれていく。
無敵とも言えるこのメギド系魔法の唯一の欠点は消費魔力が馬鹿にならない点であるが、彼らはそれさえ克服している。
狂信者必須アイテム、スマホ。その中に入っているクラウザーさんの歌を聞くだけで彼らには魔力切れという概念とは無縁だ。

「「「「 メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド 」」」」

相手が普通ではないことは冥竜や一八の犠牲で嫌という程理解している。
だが物理反射+属性魔法封印or吸収は、万能属性攻撃を持たない相手には完封状態を生み出せる。
相手も全属性を吸収する化物だが、万能属性はその吸収対象外。このまま撃ち続ければいつかは撃破できるのである。
狭間の作戦は、一八のものとは異なり、盤石の構えであった。
さらに新入りとはいえ類い稀な統率力と力を持つ大和を連れてくることにより、他の狂信者達の統率も可能となった。

「ああ、クラウザーさん。今あなたに極上の生贄を捧げます」


「「「「 メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギド メギ――


「 始 原 の 印 術 ! 」


メギドを放っていた狂信者の一角が、突然の大爆発により吹き飛ばされる。

「これ以上は、やらせません!」
「グオオオオオォォォォォウ!」

何事だと狭間と大和が構えれば、ウォークライの背に乗ったサクヤが魔道書を構えていた。
さらにウォークライも両手で何かを持っており、彼らがレストの援軍で再び駆けつけたということは明らかだった。

「ふん、雑魚共が私達に立てつこうというのか? そこで無様に燃えている男と金色の魔王以外は私達の敵ですらない」
「大和、油断はするな。奴らは悪魔に分類すれば龍王と神獣。おそらくこの二匹があの男の連れている手勢と考えていいだろう」
「いまさら雑魚共を呼び寄せ、メギド部隊の一部を倒したとしても既に召喚者は死に――」

958 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:14:27 ID:SfPaEuB20
「ふー……どうして戻ってきちゃうかなサクヤは。それにウォークライまで連れて」
「だからなんでレスト様は一人で戦おうとするんですか! ご自身の弱点を把握されていないわけではないでしょう!?」
「いやー、ははは……うん、正直こうも簡単に僕への対策が練られるとは思ってなかったんだ。情けない主でごめん」
「もう……急いで世界樹の不思議のダンジョンから、無属性魔法の始原の印術書を拾ってきましたから、お使いください」
「いやいや、折角拾ってきたならそれは拾ったサクヤのものだよ。四源と始原で噛みあってるし」

「「なっ……!?」」

狭間と大和も、控えているサマナー狂信者も、誰もが絶句した。
あれだけ神の炎で焼き払ったというのに、その相手はぴんぴんして普通に増援と会話をしている。
その増援も動じた様子はなく、主人が生きているのは当たり前であるといった様子である。

「どうせまた強制送還しても戻ってくるんだろうけど……結構派手な殺し合いになるよ?、それでも二人とも来るのかい?」
「勿論です」
「グォウ!」

「ち……私と同じく、奴も万能属性に耐性を持っているということか。
 だがその左右の龍王と神獣を葬れば、サマリカームが機能しない今、奴は再び攻撃の手段を失う」
「全員、絶一門を維持したまま左右の悪魔を片づけることに専念しろ!」

狂信者と、世界樹の門番三人が再び対峙する。
お互いが強力な耐性を持ち、攻撃の手段が限られている現状では数の多い狂信者が有利。
そして先にも言った通り、狭間のこの襲撃作戦は盤石のものであった。
メギドの嵐を浴びてほとんどダメージを受けていない相手の体力値こそ想定外ではあったものの。
相手がこちらの物理反射及び絶一門の構えを突破する無、万能属性の攻撃を持っていた場合への対処も。
しっかりと、考えられていた。

「こうなったら仕方がない。プランCで行くよ大和」
「わかっている」

狭間と大和が、常人にはわからない何かを呟く。
すると二人の身体が宙へと浮いた。

「私は峰津院家の長、峰津院大和。この大地を巡る龍脈を操ることができる。龍脈にも色々な使い道があってな……
 一つは、大阪の通天閣とクラウザーさんのライブ会場から流れる龍脈とクラウザニウムを我が体に宿すことで私を超強化……
 そしてもう一つ、ここが東京都庁ということが幸いした。都庁の地下に奥の手を隠し持っているのは、貴様らだけではないのだよ!」
「僕はクラウザーさんを奪ったこの世に罰を下さなければならない。クラウザーさんが生き返っても罰を与え続けなければならない。
 クラウザーさんは――神だ。あの方は謙遜して魔王を自称されているが、あの方こそ魔界神。
 だから僕は……同じ位に立つことはおこがましくてできないから、その一つ下の階級『魔神皇』として、罰を与える……!」

大和が、黄金の光に包まれる。彼の変化はそれだけだ。
だが狭間の方は、人の姿から巨大な顔と手を持つ異形の存在――『魔神皇ハザマ』と化していく。
そしてハザマの手から、強力なエネルギーの槍が間髪入れずに放たれた。
狙うのはレストでも護衛の二匹でも世界樹でもなく、地面であった。


「目覚めろ――龍脈の龍よ。そして手始めに、あのセプテントリオンを始末しろ」





959 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:15:00 ID:SfPaEuB20
それは、一瞬の出来事。
魔神皇の力によって、都庁地下に隠されていた峰津院の龍脈召喚の陣が起動した。
直後に召喚陣から飛び出してきたのは、三竜や神樹すら凌駕する……否、巨大な樹となった都庁をも超える大きさの異形の龍。
頭部のみの姿、自身で自身に噛みつく形で無限とも思える程に長大に連なった龍脈の龍。
一度天を衝き、やがて先端の頭部が狙ったのは世界樹の頂上にぶらさがり続けていたセプテントリオン、ミザール。

「ΩΩΩ、Φθ$ё……!」

突然の攻撃に、ミザールはまるで反応が間に合わず、龍脈の龍に思い切り噛みつかれてしまう。
しかしぶら下がり続け健康になった今の自分は以前とは違う、何しろ触手が増えているのだと果敢に反撃を試みる。
二本の触手で世界樹にしがみつき、新たに生えた4本の触手で龍脈の龍へ高速の突きと全てを粉砕する主星の圧撃を叩きつけた。
驚異的な増殖能力に加え、この触手を用いた強力な物理攻撃こそがミザールが持つ能力だ。

「ЁЁ……!?」

だが、ミザールは知らなかった。
龍脈の龍が持つ能力の一つは、物理攻撃の吸収。どれだけ攻撃しようとも、全て吸収されて逆に相手の傷を癒してしまう。
さらに本来の龍脈の力に加え、峰津院大和が独断で流し込んだクラウザー成分により、龍脈の龍は殺意全開。
必死の抵抗を嘲笑うかのように、龍脈の龍はミザールを噛みちぎり、分裂を許さない速度で次々に飲みこんでいった。

【セプテントリオン・ミザール@デビルサバイバー2】増殖不能、死亡確認

「な……」

そのあまりの光景に、レスト達は全く動くことができなかった。
いやもし仮に動けたとして、龍脈の龍を止めることなどできなかっただろう。

「いいぞ、そのまま――世界樹もレイプしろ」

大和が龍脈の龍へと指示を出す。
既に召喚時から龍脈の龍の巨体は世界樹全体へと巻き付いており、三竜が施した結界を破り世界樹そのものを締めあげている。
そしてミザールを食べ終えた頭部は、手頃に齧りつけそうな世界樹の幹へと噛みつく。

べき、べきべき、ばきりと、樹が噛み砕かれていく嫌な音が響き渡った。
その音はおそらく、関東全域に広まったことだろう。そもそも龍脈の龍があげた咆哮で、手の空いていた参加者の多くが世界樹を見ていた。
巨大な龍が、紫色の怪物を捕食し、魔物の巣窟である世界樹を喰わんとしている。
――怪獣大戦争。モブ参加者の頭の中には、そんな言葉が浮かんできたという。


「行って、セルちゃん!」
「神樹、お相手をしてさしあげて」



「 に し ゃ あ あ あ あ あ ! 」
「 シ ン ジ ュ ― ッ ! 」

960 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:15:39 ID:SfPaEuB20
眩い閃光。
直後に現れた異形の存在により、噛みついていた龍脈の龍の頭が粉砕される。
すぐさまその粉砕された頭に噛みついていた別の龍脈の龍の頭が先頭の役割を果たすが、それでも大きくのけぞり後退した。


「にしゃあああああ!」
「おいおい、なんだってんだこのふざけたドラゴンは?」


そして大地を揺るがしながら、モンスターボールから繰り出された二体は地表へと降り立った。
新たな怪獣の投入――フォレスト・セルとその頭部にドッキングした歪みし豊穣の神樹である。
二人の巨体が縦に合わさったことにより、その身長は世界樹をも上回り、龍脈の龍へ対抗できる大きさとなっていた。
さらに……

「私も、戦う! サウザンドネイル!」

どこからかまどかの声が響くと同時に――世界樹そのものが動いた。
無数に伸びた枝の一部が、まるで鉤爪のような動きをし、龍脈の龍の身体を掴んで拘束する。

「ば、馬鹿な!? 何が起きている!?」
「あの黒い怪物は、首相官邸にいたはずじゃあ!?」
「この声は……まどか? それに神樹は……」

地上では誰もが混乱状態に陥っていた。
超大型の怪物が次から次へと繰り出され、さらには世界樹そのものが意思を持って動き始めたのだ。
ハザマの計画でも、ここまでは想定されていなかった。

『レストさん、聞こえる!?』
「まどか……まさか君は……!」
『うん。今私は――世界樹と同化している。雷竜さんから教えてもらったんだ。本来は男の王様がとる戦法らしいんだけどね』

「何をしている龍脈の龍よ! その化物共を始末して世界樹を圧し折れ!」

「にしゃあああああ!」
「ガアアアアアアア!」

再び牙を剥く龍脈の龍と、フォレスト・セルの触手が激しくぶつかり合う。
そこへ黒い鉤爪も加勢し、龍脈の龍は大口を開けたまま固定された。
そのまま触手が上下へと動き、龍脈の龍の頭部は引き裂かれて地面へと落下していく。
吸収の限度を超えた、圧倒的な怒りの力が龍脈の龍の守護を貫通しているのだ。

「よぉ、さっきはエリカを治してくれてありがとうな」
「神樹、君達はこんな連中の相手より、仲間のところへ急ぐべきじゃないのか?」
「エリカが俺達を助けてくれたあんたらの助太刀をするって言ってるんだ。俺はそれに従うまでよ。
 それにまだあっちには桑原がいる。ユーノならあのオカマ野郎の危険性わかるだろうし、次元刀で逃げ延びてくれるだろうぜ」

「ガアアアアアア!」

「うおっと! というわけだから、このドラゴンは俺とフォレスト・セルが始末してやんよ!」

左右から繰り出された尖った神樹の蕾が、龍脈の龍の両眼を貫く。
それに怯んだところを、今度は口内に炎を流し込んで爆散させた。

961 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:16:12 ID:SfPaEuB20
龍脈の龍の頭部は無数に存在する。数個破壊したところで、次から次へと新たな頭が世界樹が生み出した二大怪物へと襲いかかる。
それを食い止めるように、世界樹の葉が盾の役割を果たしたりすることもある。
同化した世界樹の巫女たるまどかの力であり、今世界樹が傷つけばそれはそのまままどかへのダメージとなる。
だからこそフォレスト・セルは最初からアクティベイト状態、全力で龍脈の龍を始末しにかかっている。
それにドッキングした神樹は飼い主のエリカの命により、そして元は世界樹である彼も今の世界樹を守りたいと思い、容赦なく暴れる。
その光景を見たモブ参加者は、怪獣超戦争と題を改めてカオスロワちゃんねるに書き込みをするのであった。

「はは……まったくまどかには敵わないなぁ。そんな簡単に、人の体を捨てて自ら危険な目に遭いに行くなんて。
 風鳴翼のようになるかもしれない、本当に人間じゃなくなるかもしれないって恐怖してた僕が馬鹿みたいじゃないか」

そしてそんな怪獣超戦争の中で、レストは己の右腕に力を込めつつ道具袋の中から巨大な何かを取り出した。

「ついさっきまで普通の女の子だったまどかがあれだけ体を張ってるんだ。僕もやらなくてどうする。
 今まで散々化物呼ばわりされてきたんだ。今更姿形が変わろうが大差ないし、こんな力ごときに呑まれてたまるか!」

それは、巨大な石版とも見える竜の鱗だった。
三竜の鱗の中でも特に鋭く頑強であり竜の力を蓄えたそれは、彼らも一枚しか持っていない逆鱗と呼ばれる部位。
この3枚を加工すれば最強の剣が生み出せ、三竜もその思惑からレストに託した素材なのだが……

「本当はこの使い方はしたくなかったけど……古代秘術――エーテルリンク!」

モンスターボールのものとは異なる、閃光。
誰もがその光に一瞬目を閉じ、そして再び目を開けた瞬間。

「なん……だと……!?」

誰もが、化物を見つけてしまった。


「はは、ここまで細かくエーテルリンクできるとは、これは風鳴翼の力の恩恵かな? うん――悪くない」


レストが発動した禁術は、魔物と人の融合魔法。
素体となる者に、変化したい対象の鱗の一枚でも掛け合わせるだけでその力の大部分を行使でき、完璧に同一の姿となれるものだ。
生きた者を融合素材として取り込むことさえ可能であり、術者の力が強ければそのまま相手の精神を殺して乗っ取ることもできる。
かつてのレストの怨敵はこの術を用いて人間から神となったが、今この場に降臨した存在はそれ以上だ。
大きく異なる点は、レストが竜の体そのものではなく人間の体を維持した言わば人竜であるということ。
各竜を模倣するのではない。神をも超える力を持つ彼の肉体をベースに、竜の力を加算させた姿。

三竜の中で唯一二足歩行が可能であり、大地を踏むだけで強固な氷の盾を生み出せる氷竜の強靭な脚と翼。
三竜の中で最も鋭く、全てを薙ぎ払い噛み砕く屈強な赤竜の剛爪と牙。
三竜の中で最も美しく、敵対者を翻弄する技を繰り出す荘厳な雷竜の角と長尾。

伝説の竜になるのではなく、その力の全てを掌握して従える。完全に人の枠から飛び出た化物。

「レスト様……」
「グオオン!」

事前に彼の奥の手の一つを聞かされていた従者二人でも、驚かずにはいられなかった。
エーテルリンク最大の弱点は、融合状態を長時間続けると元の姿に戻れなくなるという点だが、彼は最初からそれを考慮していない。
混沌の力に呑まれればどの道化物と化す。抗えても既に異常な力を持っている自分は化物と同義。
ただただ敵対者を撃滅するためだけに、その力は振るわれる。もはや人間に戻る気などはないのだ。
そしてサクヤが魔術書を持参したように、ウォークライもレストの助けとなるある道具を持参してきていた。
むしろそれこそが、レストにエーテルリンク発動のきっかけを作ったと言っても過言ではない。

962 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:16:39 ID:SfPaEuB20
ウォークライが人竜と化したレストの前に、どさりと何かを差し出す。
それは、死後かなりの時間が経過した屍であった。
死体の分際で黄金に輝くそれは不思議と力を放っている。

人はソレを――真竜ニアラと呼ぶ。

この世界樹、東京都庁において、一番最初に犠牲となったウォークライの元主人である。
野球チームに所属していた仲間の真竜に情けないと言われた、可愛そうな金ピカである。
並行世界においても色々と醜態をさらしていそうな雰囲気までする、残念なドラゴンの屍である。
これが一般の相手に対する贈り物であれば、こんな生ごみよこすんじゃないと憤慨されるところだろう。

「追加エーテルリンク――真竜ニアラ」

だがレストは、躊躇わずにその生ごみ(の鱗)とも融合してみせる。
ウォークライも内心ではこの生ごみが本当に役に立つのか不安ではあった。
やたらと派手好きであり、その脚から生えた青いよくわかんない部位は本当になんのためにあるのかとか疑念は尽きなかった。
さらに公式で出オチ、下品、無価値、醜い、最悪、邪魔、相当イタい、存在そのものが罪などとボロクソに言われる竜だ。
不安になるなという方が無理だろう。

「……どのパーツ出しても邪魔になるな。この王冠っぽい装飾だけでいいや」

案の定、融合完了したレストからの評価もいまいちであり、ニアラとの融合を証明するのは頭部の王冠っぽい部分のみ。

「――だけど能力は、今の状況下では最高だね」
「っ来るか人外! 総員構えろ! もう一度取り巻き共もろともメギドで焼き払え!」

「ゴアアアアアアァァァァァ!」
「たとえ微々たるものでも、レスト様を傷つける魔法は許しません!」

「うぐ!? ハ、ハザマ様! 俺達のスキルが全部使えなく……!?」
「なにっ!?」

身構える狂信者に対して、それよりも先にウォークライとサクヤが動く。
ウォークライの口から放たれたのは、かつてミケ・ザカリアスとニセアカギを都庁から追放したタイフーンハウル。
サクヤの手から放たれたのは、彼女の先制能力の一つである封印の波動。
双方共、相手のパッシブスキルを除いた全スキルを一定時間封じる強力な力を持っている。
さらにタイフーンハウルは付加効果が無くとも無属性の強力な全体攻撃であり、狂信者の隊列を乱すには十分であった。
そこに、竜の力を上乗せしたレストが襲いかかる。

赤竜の力『赤竜の猛攻』――物理・魔法攻撃力を約2倍に
氷竜の力『ミラーシールド』――連続使用はできないが、万能属性を含む全ての攻撃を無効化しカウンター
雷竜の力『古竜の呪撃』――与えたダメージの200%分体力を回復

そしてニアラの、真竜の力が発動される。


『キリングリアクト』――敵対者を死亡させた場合、即座に再行動が可能となる
『真竜ブレス』――使用者の魔法攻撃力依存の普通のブレス。ただし『無』属性


「ぐああああ! クラウザーさんばんざぁぁぁぁぁぁ……!」

信者の一人が呪撃を浴びて消し飛んだ――次の瞬間。キリングリアクト発動、Action+1!
即座に再行動、手に入れた竜の尾でまとめて一団が薙ぎ払われる。キリングリアクト発動、Action+1!
続いて人間の口から爆音と共にブレスが吐き出される。キリングリアクト発動、Action+1!
蹴り飛ばされ、殴り飛ばされ、引き千切られ、踏み砕かれ、裁断され、貫かれ……
キリングリアクト発動、Action+1! キリングリアクト発動、Action+1! キリングリアクト発動、Action+1……!



963 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:17:10 ID:SfPaEuB20
リアクト中は、同じような即座に再行動が可能になるか超スピードの能力を持ってでもいない限り、誰も割り込めない。
そして行動はあくまで1ターン内の再行動であるため、能力を知らない者は同一時間内で仲間が惨殺される光景を目の当たりにする。

「オオォ……!」

ウォークライは感動していた。これこそが、キリングリアクト本来の使い道であると。
折角の再行動時に最大体力の4%しか回復しないへちょい再生能力を使ってチャンスを捨てる馬鹿な元主人とは大違いであると。
数多の竜を屠り、数多の竜の力を自在に使いこなす彼にこそ、自分は仕えるべきであったのだと。

瞬く間に狂信者は死んでいく。
フォレスト・セルと神樹の力であれば、龍脈の龍を相手取りながら隙を見て狂信者の群れを全滅させることはできただろう。
しかしながら彼らはあまりにも強すぎ、手加減の仕方というものを知らず、攻撃範囲が広すぎる。
ハルマゲドンをこの至近距離で発動させた場合、確実に余波で世界樹に被害がでてしまう。
だがレストはそれに並ぶ力を持ちながら、かつての侵入者に見せたように手加減ができる。
強力無比な竜の力を上乗せしたとはいえベースは人間であるレストであり、その攻撃可能範囲はどうしても本家に劣るが、
逆にそれが世界樹に被害を出さないまま、相手だけを殲滅できる武器となっているのだ。
数千人の狂信者を相手にちまちまと殺していては時間がかかるが、その問題点もキリングリアクトが補う。

「っ!」
「ようやく、捉えたぞ人外!」

だがついに、リアクトタイムが終了する。
龍脈を身体の隅々まで巡らせ超速移動する大和の物理反射が、レストの攻撃を弾いたのだ。

「さすがに一筋縄じゃいかないか。できれば君らなんかの相手をするより、あの巨大な龍をどうにかしたいんだけどね」
「黙れ人外。貴様なぞに私達の邪魔はさせぬぞ。今しがたミザールは始末した。あとはクラウザーさんを生き返らせ……
 最後のセプテントリオン、ベネトナシュを倒せば管理者ポラリスへの謁見が可能となる筈なのだ!」
「まあ、大和の管理者に頼んで世界をクラウザーさん主義に書き換える作戦が上手くいかなくても問題はないんだけどね。
 クラウザーさんを理解しない者には全て僕が罰を下す。そうすればどちみちクラウザーさん主義の世界は生まれる!」
「そんなよくわからない世界はごめんだね!」

さらに割って入ってきたハザマの巨大な拳に対して、レストが拳を突き返す。

「無駄だ、魔神皇の力を舐めるな!」
「っ! 腹が立つなぁそのインチキスキル!」

だがやはり、物理反射のスキルがそれを防ぐ。
竜の力を加算させても、やはりこのスキルだけは突破することはできないということだ。

「メギドラオ「ミラーシールド!」っこの!」
「ふむ、どうやら厄介な盾のようだが、私の速度なら背後から盾が生成される前に「始原の印術!」ぐあっ!?」

ハザマがメギドラオンを発動するよりも早く、氷の盾が生み出される。
超速移動により盾が生成されきる前に大和が背後を取ったかと思えば、その場所へサクヤの印術が放たれる。
門番達と狂信者達の戦いは一進一退の攻防が繰り広げられていた。

「つくづく邪魔な連中だ……! 現れろ『邪神 ニャルラトホテプ』『天使 メタトロン』!」

さらにその場に、大和の携帯から呼び出された巨大な二体の大いなる存在が現れる。

「我は這い寄る混沌なり。顔無き者なり。クラウザーさん復活を切望する者なり」
「Y・H・V・Hは神などではない! クラウザーさんこそが唯一神である!」

真っ黒な顔無しの悪魔は邪神ニャルラトホテプ。全身メタリックな機械の大天使はメタトロン。
強大な力を持つ二体もまた、例に漏れず熱狂的なクラウザーさんの信者となっていた。

964 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:17:49 ID:SfPaEuB20
「大和、あまり悪魔は呼び出しすぎるなよ。それも微量とはいえ生体マグネタイトを消費するんだからな」
「わかっている。だが龍脈の力とて無限ではないのだ。出し惜しみせずに目の前の障害を排除する方が先だろう」

「次から次へと……! サクヤ、背中に乗って左右の警戒を頼むよ。ウォークライは後ろを!」
「りょ、了解しました!」
「グオオオオ!」

「「SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ!」」

大和が邪神と大天使を従えて空を飛べば、レストも神獣と龍王を従えて空を飛ぶ。
空を飛ぶ必要もなく巨大な魔神皇ハザマはその両の手で獲物を捻りつぶさんとする。
地上からはSATUGAIコールが響き続け、さらに各サマナーも悪魔を召喚してハザマ達の援護へとまわる。

「ゴガアアアアアアア!」
「にっしゃあああああ!」

「セルちゃん、あまり無理はしないでね!」
「神樹、貴方もですよ?」
「わかってるっての! 少なくともあのオカマ野郎を殺すまでは意地でも死なねえ!」

その後ろでは、世界樹を締め上げる超巨大な地龍とそれに真っ向からぶつかる世界樹の権化達。
咆哮だけであらゆる生命体をすくみ上らせ、唸る鉤爪と蕾は見るものの心を折りに行く。

この殺し合いが始まって以降、大規模な戦闘は何回か起こっている。
また拳王連合の手により、多くの地域が壊滅的な被害を受けてもいる。
それに比べれば、現時点ではまだマシな状況だろう。
だがこうも規格外の化物が入り乱れた、誰もが近寄りたくないと思うような戦場は初めてだろう。
半数以上が殺害されてなお、初回よりも人数の多い狂信者のSATUGAIコールも相まって、そこは本当に悪魔の宴会場のようであった。

ただただ、モブ参加者はカオスロワちゃんねるへと書き込みをする。
自分程度が、いやもはやちょっと腕に覚えがある程度の人間が踏み入っていい領域ではない。
あれはそう、あれこそが魔界なのだと、誰もが思い、絶望する。
西も東も地獄絵図。北は凍結、南はロボ化。
逃げ場無きこの世界の混沌は加速していく。


新着スレッド
1:東京と魔界が繋がった (1)
2:大阪方面避難誘導スレ(985)




965 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:18:21 ID:SfPaEuB20
【二日目・8時45分】
【世界樹近辺】
○世界樹門番三人衆
【レスト@ルーンファクトリー4】
状態:ダメージ(微)、全属性吸収、物理&無属性攻撃88%軽減、攻撃無効化率50%、首輪解除、物攻4倍魔攻2倍、テラカオス化制御中、エーテルリンク中
思考:従者二人を護衛しつつ、ハザマ達狂信者を全滅させる
※候補者の一人となりました。現在はその肉体と竜の力でテラカオスの力を制御していますが、なんらかの要因で抑えきれなくなる可能性もあります
※進行を抑えているため、テラカオス化が進むことによる新たな能力取得はできません

【聖煌天の麒麟・サクヤ@パズドラ】 状態:健康、レストに搭乗中、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
装備:巨大棘鉄球×2、始原の印術書
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】状態:健康、飛行中、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
道具:余った真竜ニアラ
思考:レストの援護をしつつ、ハザマ達狂信者を全滅させる
※レスト直属の魔物のため、装備の恩恵によりステータスが上がっています


☆デビルサマナー狂信者軍
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】状態:魔神皇ハザマ(第一形態)、物理反射、メギドラオン習得
装備:アームターミナル型COMP(悪魔数体入り)、サマナー狂信者(残り2500人)
思考:クラウザーさんを殺した世界に対して魔神皇として罰を与える
※クラウザーさん効果で原作以上のステータスとメギドラオンを手に入れています
※ゲーム仕様ではないので、空しくランダマイザを繰り返す残念AIではありません

【峰津院大和@デビルサバイバー2】状態:ダメージ(小)メタトロンに搭乗中、万能耐性
コマンドスキル:メギドラオン、常世の祈り、吸魔
自動効果スキル:物理反射、全門耐性、真・龍脈の秘術
思考:世界樹連中のSATUGAI
※ニャルラトホテプ及びメタトロンが生存している限り、あらゆる攻撃ダメージを半減させます
※真・龍脈の秘術の効果により、邪神族の移動制限効果を受けてなお凄まじい速さで行動できます

【ニャルラトホテプ@女神転生シリーズ】状態:全属性半減
【メタトロン@女神転生シリーズ】状態:物理反射、風雷弱点、自動回復
思考:クラウザーさん復活のために大和に従う
※高位の悪魔ですが、やはり狂信者です

【世界樹・外部】
☆捕食者
【龍脈の龍@デビルサバイバー2】状態:健康、物理吸収、全属性耐性
思考:世界樹を破壊し、食い尽くす
※胴体の一部が外から世界樹を締め上げています

○バケモンとトレーナー
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】状態:ダメージ(小)、世界樹の巫女、世界樹と同化中
道具:支給品一式 その他不明、モンスターボール(フォレスト・セル)
思考:フォレスト・セルと神樹の援護、世界樹を守り抜く
※世界樹と同化状態のため、世界樹へのダメージを同じく受けます
※世界樹の王@世界樹の迷宮と同じスキルが使用可能です

【エリカ@ポケットモンスター】 状態:健康、衣服損傷、首輪解除
道具:基本支給品一式、モンスターボール×2
思考:世界樹の軍勢を手助けする

【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】(上)
【フォレスト・セル@新・世界樹の迷宮】(下)
状態:健康、激昂、ポケモン状態、首輪解除、ドッキング中
思考:世界樹と主人(エリカ&まどか)を守りつつ、龍脈の龍を始末する
※手加減ということを知らないので、現時点では世界樹付近への狂信者の群れに攻撃ができません

966 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:18:54 ID:SfPaEuB20
「負傷者の治療を優先! 準備が整い次第、外敵への迎撃を開始しろ!」

同刻、世界樹内部ではダオスが矢継ぎ早に魔物達に指示を出していた。
これまでにはなかった、世界樹そのものの突然の損傷。世界樹内にいながら出てしまった負傷者の治療。
そしてそれをやってのけた龍脈の龍への対応。彼にはやることも考えることもあまりにも多すぎた。

「おのれ、世界樹を傷つけた罪、万死に値する……!」
「伝令! 現在DMC狂信者と思われる大軍勢とレスト様達が交戦中!」
「やはり奴らか! レストに増援を送るべきか、しかし天魔王軍に拳王連合との戦いを考えると……」

龍脈の龍は確かに目に見えたかつてない脅威である。
しかし敵は狂信者だけではなく、激情のまま全ての戦力をぶつけて万が一があれば、以後の戦いが厳しくなる。
レストの力を信じ、残る戦力を分けて、少なからず消耗しているであろう天魔王軍と拳王連合を同時に叩くべきか。

「狂信者が来たとなると、件の呉島とやらがこの世界樹の地下に到達している可能性も高い。
 捕縛班からの連絡はまだか……?」

【世界樹内部】

○世界樹司令塔
【ダオス@テイルズオブファンタジア】状態:健康、物理攻撃無効、雷耐性低
思考:早急に今後の方針を固める。態勢が整いしだい、狂信者と龍脈の龍に対して世界樹頂上からレーザーによる迎撃
【メガボスゴドラ@ポケモン】状態:健康
思考:ダオスの援護。狂信者が接近してきた場合、ステルスロック

【世界樹連合他メンバー】状態:健康〜ダメージ(?)
思考:状況整理
※少なからず負傷者が出ています

※世界樹の一部が龍脈の龍の攻撃で損傷しました。まどかやフォレスト・セルなど一部の能力者にしか修復はできません
※三竜の結界が破られました。バスターガンダムの砲撃などが来た場合も世界樹が損傷します









――ほんの少し時は遡り、世界樹地下。

「っ! 今の衝撃は何!?」
「んんんwwwwwwまたやばい敵が現れたんですかなwwwwwww
 だがあの封印の遺跡の化物にそれを下僕にするエリカ嬢がいればぶっちゃけ安心ですぞwwwww」
「あの子もえぐいもんマスコットにするわー……マスコットはやっぱりワイみたいにかわいくないと」
「いやいやwwwwwwマスコットなら強くてかっこよくて愛嬌もある我の方がむいてるに決まってるwwwwww」
「黙りなさい淫獣ども」

そこにはほむらと、それについてくる淫獣二匹がいた。
呉島貴虎なる人間の計画を阻止するために、多くの魔物が既にこの地下でスタンバイしている。
FOEもそこには加わっており、ほむらがわざわざここを訪れる必要はない。

だが彼女は、妙な胸騒ぎがしていたのである。
長年培った、まどか(世界樹)への危害を加えそうな気配というのであろうか。
とにかく直感だ。あえていうなら、魔物達の地下の定期報告が僅かに遅れていることぐらいである。

「だいたいなんで貴方達まで――っ!?」

そしてその直感は、当たってしまった。

967 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:19:29 ID:SfPaEuB20
目の前に転がっていたのは、無数の魔物の屍であった。
殆どが爆散しているむごい有様であり、黒焦げの屍も多く見られた。
そんな中で、希少な原型を保ったままの屍があった。

「この、魔物は……」

忘れもしない。銀色の巨大カニ、メタルシザースだ。
フォレスト・セル制御に向かった際にその姿は目にしており、また雷竜からその強さは聞かされている。
そのメタルシザースが、メタルシザースの群れが、おそらく何かに射抜かれて殺されているのだ。

【メタルシザース@世界樹の迷宮シリーズ】死亡確認

「貴方達、気をつけなさい。これをやったのは相当に厄介な相手よ……」
「これはwwwwwwはやいとこ戻って報告したほうがいいと思いますなwwwwwww」
「そうね。時間が惜しいし、私が魔法を使って……」
「あ、ちょっと見てみい! 生き残りの魔物がおるで!」

時を止めて帰還しようとしたほむらを、ケルベロスが止める。
見れば確かに、無数の屍の中で一つだけ、ぷるぷると震えている影が見えた。

「おいお前、何があったんや!?」
「ぴ、ぴきー……」

震える魔物は、実に弱弱しい声で鳴いた。なんとも庇護欲をそそる声で。

「っ!? ケルベロス! そいつから離れなさい!」
「え――?」

だがほむらは、その弱弱しい――媚びた声に聞き覚えがあった。
まるでまどかをおびき寄せるために、怪我をしたいたいけな小動物を演じてみせたインキュベーターのような。
そしてそれもまた、当たってしまった。

「ピッキー!」

震えていた魔物は突如として強者の顔を見せ、近寄ってきたケルベロスを灼熱の炎で焼き尽くしたのだ。

【ケルベロス(小)@カードキャプターさくら】死亡確認

「くっ……!」
「ほむほむ危ないですぞwwwwww炎なら我の霞ブレス乱射で鎮火する以外ありえないwwwwww」
「ピキ!?」

咄嗟にオオナズチが前にでてほむらを庇うと、灼熱の炎を吐いた魔物はぴょんぴょんと飛び跳ねていった。

「逃走確認ですぞwwwwwww」
「違う、あれは逃げたんじゃなくて……」



「む……本当に人型のインベスがいるとはな」

968 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:20:09 ID:SfPaEuB20
そこに現れたのは、美味しそうなカラーリングの仮面ライダー。
その手には機械仕掛けの弓を持ち、彼がメタルシザースの群れを下した存在と見て間違いないだろう。
そして……

(仮面ライダー……! こいつが、カオスロワちゃんねるに書き込んでいた少し抜けていそうな男、呉島貴虎!
 そうなると、さっきのぷよぷよがレベルが高いスライム……予想以上に厄介な相手だわ。それにしてもインベスって何よ?)

身構えつつ、ほむらはじりじりと後ずさる。
あの書き込みの内容を信じるのであれば、まだ究極邪龍が控えているはずだからである。
抜けた行動に反して、本当に高い実力の持ち主。これは報告をせねばならないであろう。

「ミツケタ。オマエ、マルカジリ!」
「なっ!?」

そんな時、凄まじい速度で天井をぶち破り骨竜が貴虎の頭上から奇襲攻撃をしかけた。
他のフロアを散策中だったのだろうが、仲間の死の気配を感じて救援に駆けつけたのだろう。
さしもの仮面ライダーも、完全な不意打ちで防御行動すらとれていない。

「真・双龍掌!」
「グォオオ……!?」

だがその完璧な奇襲をしかけた骨竜が、乱入者の拳によって吹き飛ばされた。
高い体力値を誇るはずの骨竜が、その攻撃を受けただけで四肢をもがれて息絶えてしまう。

【死を呼ぶ骨竜@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】死亡確認

「骨竜!?」

「すまない、助かった。しかしまさか、こうも警備の手が回っているとはな……」
「はっはっはっ! まあ全てワシに任せておけ。ワシの可愛い娘を攫った不届きなインベス共など、一人残らずこの拳で粉砕してくれるわっ!」
「さっすがファガンさん! 俺達ドラゴンタイプの希望の星! マジかっけえっす!」
「グオオオオォォォォン!」
「ピキー!」

吹き飛ばされた骨竜を見やる余裕すら、ほむらにはなかった。
仮面ライダーの背後から現れたのは、スライムと、やはりいた邪龍。そして、書き込みにはなかった新たな二体の龍。

例の書き込みはリアルタイムのものではない。呉島貴虎一行には、新たな協力者が増えていたのだ。
一人は逞しい上半身と立派な角を持つ龍、星輝の黄龍帝・ファガン。
四神を束ねる長にして、龍の力を極限まで高める力を持っている。
彼はヘルヘイムの救援要請により駆けつけたが、実は都庁に娘が囚われているという情報も手に入れており、快く一行へ加わった。
そしてもう一人、こちらも同じく金色に輝く龍、グレイトドラゴンのシーザー。
強力なブレス攻撃と強靭な爪と牙を持つ最強種族であり、またその鱗は灼熱の炎も輝く吹雪もよせつけない。
スラリンと同じくとある国王に仕えており、親友である彼の頼みであるならばと、打倒ヘルヘイムの森を誓ったのである。

(状況は最悪……! まさか間抜け男が、三体のドラゴン引き連れてるなんて予定外ってレベルじゃないわよ!?)
「wwwwww………大ピンチですな」
(オオナズチ、早いとこ霧を出して。どうにか隙を見て、時を止めている間に逃げるわよ!)

969 第二次魔界大戦 :2015/04/01(水) 22:21:08 ID:SfPaEuB20
○魔法少女と淫獣
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】状態:健康、疲労(小)
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】状態:健康、角破壊
思考:隙を見て逃走、爆弾を仕掛けられる前に援軍を呼びたい
※貴虎が対主催だと気がついていません

☆残念な強者達
【呉島貴虎@仮面ライダー鎧武】状態:健康、斬月・真に変身中、財布と貯金が素寒貧
【究極邪龍・ヘルヘイム@パズドラ】状態:健康、防壁展開
【スラリン@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】状態:健康、LV99
【星輝の黄龍帝・ファガン@パズドラ】状態:健康、LV99
【シーザー@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】状態:健康、LV60
思考:インベス達を倒し、N2爆弾を起動させる
※全員が世界樹をヘルヘイムの森と誤認しています

971 空からの救援、急がれたし :2015/04/29(水) 13:11:25 ID:/oTMJyNY0

聖帝軍がDMC狂信者の一軍に攻撃を受けている最中。
一台の青い戦闘機が埼玉県の上空に入ろうとしていた。

「いや〜、ブルースワローに変身できたから、もしやと思ったが、ジェットマシンまで呼べるとは思わなかった」
「なんにせよ、足が手に入って良かったです。
車による陸路の移動も狂信者やマーダーに襲われる可能性もありますし、何より戦闘機ですから移動も早い。
これなら、西武ドームもすぐに着くでしょう」

戦闘機の正体は超人戦隊ジェットマンの使う戦闘機、ジェットマシンの一つ、ジェットスワローだ。
そしてコクピットの中にはブルースワローに変身できる野球漢の高津、彼の補佐を務める犬牟田が乗っている。
先ほど出会い喪った友との約束を果たすべく、西武ドームへ向かうための乗り物を東京で探していた二人だが、偶然ジェットスワローを呼べると知った彼らは車を探すより、断然こちらの方が早くて安全ということで、呼び出した戦闘機に搭乗して西武ドームに向かうことにしたのだ。

「しかし、正直言って到着してからが大変ですよ。
現場には狂信者達の大軍がウジャウジャいる……子供ばかりの聖帝軍は持つんだろうか?」
「今は俺達がくるまで凌いでくれることを信じるしかない」

乗り物を探している途中、犬牟田の情報収集によって二人は聖帝軍が西武ドームにてDMC狂信者の大軍に襲われていることを知った。
ほぼ密閉されたドームなので内部がわからない以上、形勢はどちらに有利かまではわからず、戦闘はまだ続いているかも現状では不明だが、どっちにしても西武ドームに急いで向かう必要があると高津は判断した。
同じ野球仲間がピンチなら助けに行かねばならぬ、それが高津の胸中からの想いであり、犬牟田も聖帝軍の救援には同意し、二人は聖帝軍の救援に向かうことにした。

「せめて極制服さえ見つかれば、僕もあなたと一緒に戦えるのですが……」
「気にするな犬牟田。
おまえには情報収集という俺にはない武器がある。
聖帝軍の安否と、周辺のDMC狂信者の動きだけはリアルタイムで追ってくれ」
「ハイ!」
「……よし、コイツの操作にもだいぶ慣れてきた。
少しばかりスピードを上げるぞ!」

西武ドームへ一秒でも早くたどり着いて聖帝軍の味方をすべく、高津はジェットスワローを加速させた。



果たして彼らの救援は間に合うだろうか?
彼らの存在が聖帝軍の明日を決める……かもしれない。

972 空からの救援、急がれたし :2015/04/29(水) 13:11:49 ID:/oTMJyNY0

【二日目・8時00分/埼玉県上空】

【高津臣吾@ササキ様に願いを】
【状態】健康、ブルースワローに変身中
【装備】クロスチェンジャー、ジェットスワロー@鳥人戦隊ジェットマン、
【道具】支給品一式、カチドキロックシード@仮面ライダー鎧武、ボロボロのグローブ
【思考】
0:大急ぎで西武ドームへ向かい、聖帝軍を支援する
1:DMC狂信者をぶっつぶす
2:カチドキロックシードを葛葉紘太に届ける
3:俺が間に合うまで耐え凌いでくれ、聖帝軍……

【犬牟田宝火@キルラキル】
【状態】健康
【装備】だいぶ古い型のノートパソコン@現実
【道具】支給品一式
【思考】
1:高津に同行する
2:もうちょっとまともなパソコンがほしい
3:できれば極制服もほしい
※パソコンによる情報収集により、聖帝軍がDMC狂信者の襲撃を受けていることを知りました

973 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:14:44 ID:4aaFUBFo0
DMC狂信者による二回目の都庁への進撃が始まる寸前の、都庁の地下ダンジョン・南部方面にある一室――

そこでは都庁に爆弾を仕掛けようとする男、他の都庁の同盟仲間と同じく呉島貴虎を捕獲しようと地下を奔走していた影薄組の五人は、貴虎達とは別に地下から潜入したDMC狂信者の一団と交戦状態に陥っていた。



攻防の中央では赤毛の死神と、青白い炎のような光を纏った銀髪の兵士との激しい一騎打ちが行われていた。

赤毛の死神は影薄組のリーダー格を務める三途の案内人の小野塚小町。そのバストは豊満であった。
銀髪の兵士は狂信者をまとめあげる上層部の一角にして伝説的存在であるヴァルキュリアのセルベリア・ブレス。そのバストは豊満であった。

「幻想郷で鍛えたあたいの弾幕を喰らいな!」

小町が懐から一枚のカードを取り出した――スペルカードだ。
それすなわち弾幕攻撃を仕掛ける合図である。

「投銭『宵越しの銭』!!」

気合を入れて放たれた言葉と共に、無数の銭による弾幕がセルベリアに襲いかかった。
一見すると回避不能な銭の弾丸の群れ、そこらの有象無象の戦士ではまず回避不能だろう。
しかし、セルベリアは伝説的種族であるヴァルキュリア人。
その弾幕の大半を超人じみた反応速度でかわし、回避しきれぬ銭はラグナイトでできた堅牢な盾で凌いだ。

「チィッ、防いだか!」
「これで終わりか? ならば次はこちらから行くぞ!」

銭による弾幕が止んだと同時に、セルベリアは小町にラグナイトの槍を向ける。
槍による突撃(ランスチャージ)?
否、槍先から繰り出されるのは突きではなく、一筋の巨大な閃光――光線であった。
戦車すら一撃で蒸発しかねないラグナイトの一撃。これが直撃すれば小町の命はない。

「きゃんッ!?」

そして、小町は眩い光に飲み込まれてあえなく消滅した……

「!?」
「今のは危なかった……」
「あの攻撃を防いだだと!?」

――かに見えたが、小町は生きていた。
セルベリアはレーザーが小町に飲み込まれる直前でレーザーの方が小町を避けていった奇怪な現象を目撃し、驚きの色を隠せなかった。

「なん…だと…?!」

さらに続けて、小町が幽霊のように姿を消したかと思えば、次の瞬間にはセルベリアの背後を取っていた。
背後から襲いかかられるも、セルベリアもヴァルキュリアの超反応で対応。
槍で刀を防ぎ、危うく袈裟斬りにされかけたところを鍔迫り合いにまで持っていった。

「流石に上層部を名乗るだけあって、あっさり勝たせちゃくれないね……!」
「絶対防御に瞬間移動の能力……いや、貴様はまさか『間合いを支配する能力』でも持っていると言うのか?!」
「だいたいあってるよ。
まだ数回しか使ってないのに能力まで見抜かれるとは、頭まで回るみたいだねぇ」

セルベリアの読み通り、小町は『間合いを支配する能力』=『距離を操る程度の能力』を使っていた。
レーザーを自分に届かないようにして防御したのも、縮地方より早くセルベリアの背後を一瞬で取れたのも、この能力によるものである。
間合いを支配するということは、敵のあらゆる攻撃を寄せ付けない絶対防御と、擬似的な瞬間移動能力、敵に攻撃を必ず命中させる必中攻撃を可能にさせることと同義だ。
しかし、この能力はあまりにも強力過ぎたために、首輪によって一度の使用における疲労が増加する制限がなされ、使いすぎれば過労で死にいたるなど、小町自身も能力を自由に扱うことができなかった。

だがそれも昔の話。
首輪が外れた今は、この能力を少し使ったぐらいでは疲労することはなくなった。
少なくともいっぺんに百回ほど使用しない限りは過労で倒れることはないだろう。

974 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:16:15 ID:4aaFUBFo0


(こちらの攻撃が尽く防がれる……まるで同じヴァルキュリアを相手にしている気分だ!)

それが、東ヨーロッパ帝国軍最強の歩兵にして敵対者であるガリア軍から鬼神の如く恐れられたセルベリアの、小町への評価――ガリア軍のヴァルキュリアと同じぐらいの力を持つと断定した強者認定である。
ならば戦況は小町に有利か、と言えばそうではない。


(こっちの攻め手のほとんどが弾かれちまってる! このアマを倒すにはあたいでは火力不足だ!)

セルベリアはヴァルキュリアゆえに攻撃力だけでなく、破格の防御力を持っている。
流石にレストやダオスのような規格外ならまだしも、FOE程度では彼女に爪を立てることもできはしないだろう。
小町の武器も銭の弾幕と、斬魄刀である神鎗である攻撃力は別段高くはなく、ヴァルキュリアを相手にするには決め手に欠けていた。
首輪解除によって『距離を操る程度の能力』がほぼ自由に使える状態で無ければ、とっくの昔に小町はやられていただろう。

(だが、ここで退いたら狂信者共が都庁の中になだれ込んじまう!
広いダンジョンで仮面ライダー一人探すのも大変なのに、面倒事を増やすわけにはいかない。
都庁の同盟のみんなや、影薄達に迷惑をかけないためにも、あたいは負けるわけにはいかない!
それにこいつに勝てないようじゃ、風見幽香に勝つのだって夢のまた夢だ!
活路はきっと見つかるハズだ! やっつけてみせる!)

敵の力は強大なれど、小町は意を決してセルベリアに挑む。

両者が膠着状態の鍔迫り合いから一旦距離をとる。戦いの仕切り直しだ。

「やるな……貴様、名はなんと言う?」
「小野塚小町……死神だ。
名乗ったからにはアンタにも名乗ってもらおうかい?」
「私はセルベリア・ブレス。とある帝国軍の侵攻部隊司令官をしていたヴァルキュリアだ。
帝国がなくなり、今の私にはクラウザーさんしかないがな」

そして二人の女は互いに啖呵を切った。

「実力のほどは概ね互角といった所か。だが、クラウザーさんのためにも貴様をSATUGAIするのは私だ。
ここからは更に全力を出させてもらおう」
「上等だぁ! こっちもアンタ相手に加減はしない。もっと本腰を入れてやるから遠慮せずに来な!」

啖呵を切ると同時に、刀と槍による白兵戦、もしくは銭と光線による弾幕合戦はよりビートアップする。
嵐のように飛び交う弾幕と、赤と青の閃光がぶつかり合う戦場には何人たりとも近づくことは叶わないだろう。



右翼。
ここでは影薄組にして箱庭学園元生徒会長の日之影空洞と、北斗神拳伝承者候補にしてDMC狂信者であるトキとのタイマン勝負が繰り広げられている。

「おお〜、こまっちゃんは派手にやってんな〜」
「貴様ぁッ! この天才であるトキ様を前にして余所見とはいい度胸だな!」ユクゾッ ナギッ ナギッ!!
「うおっと、わりィわりィ」

軽口を叩いて余裕そうな日之影だが、実際はとてつもない死闘が繰り広げられている。
こちらは完全な肉弾戦による拳の弾幕合戦であり、一撃一撃が死に直結しかねない拳の応酬が続いている。

「まさかジーミーで学園でも目立たない俺が、北斗真拳伝承者候補のアンタと拳を交えるなんてな……」
「クックックッ……嬉しいか?」
「それだけにアンタが狂信者に堕ちてたことが残念でならねえんだよ!」

軽口から一転、互いに百烈拳を打っているような無数の拳の嵐の中で日之影は怒声をぶつけた。

「フッ、貴様にSATUGAIとクラウザーさんの素晴らしさなどわかるか?
大災害によって世紀末となったこの世界にこそ希望が! クラウザーさんが必要なのだよ!」
「大災害で世が世紀末になってるのは知ってるし、そんな世界にこそ希望は必要なのはわかるが、だからってクラウザー一人のために無関係な人間を生贄に捧げようとするアンタらの行動が意味不明だな!」
「希望のためには犠牲も必要なのだ! 希望のためには命は投げ捨てるもの、わかるだろう?」
「ハッ、わかりたくもねぇや」
「ならば死ぬがよい!!」

もはやトキの人格はDMC色に染まっており、かつての高潔な人となりは消えていた。
クラウザーさんの死によるショックが彼を豹変させたようだ。
今なら、このトキが偽物だと言っても誰もが信じるであろう。

975 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:17:20 ID:4aaFUBFo0

(――だが、腐っても狂信者に成り果てても、実力者なのは変わらずか。
流石は病んでいなければ北斗真拳伝承者になれたと言われたほどだ)

日之影は自身の存在感を徹底的に薄くする異常性『知られざる英雄』による能力の補正も手伝って秘孔を突かれてしまうような致命打こそ躱わしているものの、それ以外の攻撃によるダメージを時折受けていた。
一発一発は軽いがダメージが蓄積すれば、いずれはやられてしまう。
一方のトキは日之影に比べればダメージは浅い。
相手の存在感のなさによって中々、秘孔をつけないことに苛立ってはいるが、日之影から放たれる幽かな闘気を辿って激流に身を委ねるが如く、攻撃のほとんどを躱している。
現状で有利なのはトキであった。
貴虎捜索に出かける前に、回復魔法や食事などで傷や疲労を取り払って万全な状態でなかったら、日之影の敗北は決定的なものになっていただろう。
それほどまでに、北斗真拳伝承者になりかけた男の強さは伊達ではないのだ。

(チッ、こりゃあ、できるだけ早くこまっちゃんやモモ達の援護に向かいたいが、ちょいと無理そうだ。
俺もこんなところで死ぬ気はねえが。なんとか持ちこたえてくれよ、四人とも!)



左翼。
こちらはセルベリアとトキが強者を抑えている間に、銃で武装したモブ狂信者の集団がダンジョンの奥へ突入しようとしていた。
しかし、ある者達によって侵入は阻まれていた。
残る影薄組である、黒子テツヤ・東横桃子・赤座あかりの三人だ。
彼らは(桃子には雀力を戦闘力に変える異能はあるが)基本的に非戦闘員である彼らは、自分達のステルス能力が役に立つと思い、貴虎捕縛に自ら志願した。
結果として、貴虎ではなくセルベリア達との戦いで手一杯である小町と日之影の代わりに、狂信者達の侵攻を抑える役目を引き受けることになった。

「……」
「SATUGAIセヨ! SATUGAぐわッ」

黒子は冷静にショットガンで狂信者を撃つ。撃たれた狂信者が地面に転がった。

「さっさとここから出て行ってくださいっす!!」
「うおおおお、いったいどこから!?」

桃子は黒子から借りた猟銃で狂信者を狙撃し、ダメージを負わせた。

「あかりっくサンダー!!」
「雷まで!?」

そして、残るあかりは黒子から譲渡されたエンシェントソードによる強力な雷撃で多くの狂信者の進軍を足止めする。

銃撃に雷撃、それに加えて影薄達特有の影の薄さも手伝い、どこから飛んでくるかわからない攻撃となって、狂信者達の突撃を押しとどめていた。
狂信者達も負けじと反撃するが、影薄達の前では銃弾は、せいぜいかすめるぐらいが精一杯だった。。
銃弾の放たれた方向から場所を推測して攻撃しても、その頃には三人はとっくに移動しており、無駄弾を増やすばかり。
狂信者も銃を持っているため、硝煙の匂いだけでは影薄達を辿れない。
そもそも三人揃えば、レストすら欺くほどのステルス能力の持ち主達であり、モブ狂信者程度の索敵能力では感知は不可能だ。
そうこうしている内に、モブ狂信者は一人また一人と倒れていく。
このようにして三人はモブ狂信者達の進軍を押し止め、翻弄していた。

「はあはあ……」
「……大丈夫、モモちゃん?」
「し、心配はいらないっす! ただ、人を撃つのには慣れてなくって……」
「東横さん……無理もないでしょう。
人を撃ったり傷つけたりするのは本当は嫌でしょうに。
赤座さんだってそうでしょう?」
「「……」」

しかし、普段から暴力を振るうことになれていない影の薄い少年少女達にとって、人を撃つ行為そのものが精神を削らせるものであった。
(桃子はマーダーであるぼのぼのを斬殺しているが、あれは必死だったため、仕方なく殺害しただけである)
いちおう、モブとはいえ大半は人間ではあるので、なるべく手足や武器を狙って命までは取らず、あくまで足止めに徹しているが、それでも人に銃弾を当てるのは気持ちの良いことではなかった。
手足を狙うと言えど、その怪我が原因で後で死んでしまう可能性だってある。
戦い疲れはあれど肉体的なダメージはほぼない三人だが、小町や日之影と違って戦う時間が増す度に精神的な疲労は蓄積されていく。

976 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:18:14 ID:4aaFUBFo0

「でも、ここであかり達が戦わなくちゃ、狂信者達が都庁の中に入っちゃうよ!
都庁のみんなのために主人公として……いや、主人公じゃなくても、ここで逃げ出すなんてあかりにはできないよ!」
「あかりちゃんの言う通りっす。
中には強力な魔物や仲間がいるとはいえ、油断はできないっすからね」
「小野塚さんと日之影さんは手一杯で助けを呼ぶ暇もない以上、こっちは僕達で戦うしかないということですね」

されど、三人は己の都合に構わず、戦う道を選んだ。
都庁を守り、信じる仲間達のためにも自分達だけ戦わないわけにはいかないのだ。
そうして三人は再び銃と剣を握った。


場面は再び右翼。
日之影とトキの戦いもいよいよ決着がつく時が来た。

「闘気は十分に溜まった。貴様を確実に殺せる私の必殺奥義で葬ってやろう」

そう言うとトキは一旦、日之影から十分な距離をとり、その場に胡座をかきだして両の手を上げた。

「なに!? あの構えは!!」
「惨めな醜態をさらしながら死ぬがいい。
クラウザーさん! 我が奥義で敵を葬り去るところを是非ご覧あれ!」

その構えは、かの有名な北斗有情破顔拳。
両の腕から放たれるビームのような闘気に当たれば、(体中を捻じ曲げつつ、快楽の中でアヘ顔になりながら)相手は死ぬ。
しかも射程は無限大で、発射速度も異様に早く、そのくせタメもほぼ無い。
直撃すればどんな相手でも確実に死ぬ、トキの一撃必殺奥義であった。

トキが技を放つ前に追撃する――間に合わない。
追撃を間に合わせないために十分な距離を取ったのだ。トキが闘気を放つほうが早いだろう。
さらに、追い打ちをかけるような現状を日之影は把握してしまう。

「後ろにはこまっちゃんやモモ達がいる! このままじゃ……!」
「フフフッ、気づいたか。だが、もう遅いわ!!」

トキの破顔拳の射線上にはセルベリアと戦っている小町、モブ狂信者を押しとどめている三人の影薄がいる。
もし放たれた闘気を避けられなかった場合、仲間は破裂して死ぬことになる。
しかし仲間に注意を喚起する時間も、もう無い。

ちなみに、この場合は狂信者達も巻き添えになるが、ラグナイトの光に守られたセルベリアには闘気は効かず、モブ狂信者達は死んでも代えが効く上に本人達もクラウザーさんのための死なら了承する、と計算してトキは味方ごと破顔拳を放てるのである。

「万事休す……か」


有情破顔拳を防ぐ手立てはなく、日之影は打つ手なしと諦めて――

               ・・・
「……なんてな! 俺はアンタがそれを使うのを待ってたんだ!!」


――などいない。
箱庭学園元生徒会長は諦めておらず、闘志は一切に鈍っていなかった。
先程も述べたが、トキの技の発射速度と、日之影と空いた距離からして、日之影の攻撃は間に合わない。
後ろには味方がいて、仮に日之影が避けても味方に大なり小なり被害が出る。
そのようにトキの計算は完璧なハズであった。

977 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:18:47 ID:4aaFUBFo0

相手が型破り(アブノーマル)に定評のある箱庭学園の生徒であることを除けば。


「ずおりゃああああああああああああ!!!」

トキが奥義を放つ直前、日之影は地面に拳を突きたて、そのままバキバキと床を引き剥がした。
剥がした床を盾にして防御?
いや、違う。
床と言っても僅か一部ではない。

戦場となっているダンジョンの一室・「右翼側のほぼ全部の床」だ。
その床の上にはトキも乗っており、トキが破顔拳を放つより早く、日之影はちゃぶ台返しのように剥がした床を座っているトキごとひっくり返した。

「――破顔拳……なにいいいいいい!?」

トキの体が床ごと90度ひっくり返る。するとどうなるのか?
有情破顔拳による闘気のビームの射線軸が変わり、日之影達のいる正面〜側面の横軸から、誰もいない天井と床の上下縦軸に放たれた。
相手が乗っている土俵を破壊し、発射軸を変えてしまうことで自分や味方の身を守る――それが日之影の有情破顔拳攻略に対する答えであった。
逆に言えば土俵を破壊して利用するなど、純粋な格闘戦能力やセンスならば黒神めだかでさえ足元にも及ばないと言われる彼以上の強者にしかできない芸当である。

「馬鹿な、この天才たる私の必殺奥義が敗れるハズが……うわらば!!」

そして、破顔拳発射直後による膠着状態、さらに奥義を破られたことへの動揺によって生まれた僅かな隙を日之影が見逃すハズもなく、トキの首に日之影の手刀が入り、その一撃がトキの首の骨をへし折り、絶命させた。

人殺しは日之影の望むところではなかったが、トキほどの強者を見逃せば、また狂信者として多くの人々が殺すかもしれない。
さらに付け加えれば、その一瞬しかトキほどの強者を仕留められるタイミングはなく、迷ってる暇もなかった。
そのような考えがよぎり、日之影に冷徹な判断を下させ、トキを殺害する道を選ばせた。


今しがた殺害したトキの死体に哀れみの表情を向けながら、日之影は呟く。

「アンタが病んでいたのが体だけだったら、負けていたのは俺かもしれねえ。
……まあ、アンタが心まで病んでなかったら、こうして殺し合うこともなかったんだろうがな」


純粋な格闘の腕はトキの方が上手であり、そのまま殴り合いを続けていれば死んでいたのは自分であったろうと日之影は考える。
トキの敗因はあの世にいるクラウザーへの顕示欲から大技に走ってしまい、日之影の死を貢物にしようとした結果、相手の機転に敗れたのである。
強すぎる信仰が、トキに激流に身を任せる彼本来の冷静な戦法を忘れさせたのだ。
クラウザーを失ったことで心の病に侵されたトキだからこそ、日之影に敗れたのである。


そして、中央。
こちらでも戦いの決着がつきかけていた。

互角と思われた戦いであったが、一定時間が過ぎたのを境にセルベリアの纏う光がだんだん弱まっていった。

「ハァハァ……ラグナイトの光が……! ぐうッ!!」
「息が上がってるってことは、その光と力は以前のあたいと同じく、首輪によって制限されていたみたいだね!」

ラグナイトの光の減衰は、セルベリアの防御力の減衰を意味する。
その機を狙って小町が銭の弾幕を撃ち込めば、そのほとんどが直撃し、若干のダメージをセルベリアに与えた。

ヴァルキュリア化は首輪によって力を使えば使うほど体力を大幅に消耗する制限がなされていたのだ。
そのため、セルベリアの体力は僅かな時間のうちに大きく消耗し、ヴァルキュリア化の維持も難しくなっている。
小町も首輪が外れて制限がなくなったとはいえ、この一戦で能力を大量に使ったために疲労の色は見られたが、セルベリアと比べればまだまだ余裕があった。
このまま戦えば、余力の差でセルベリアの勝率は低いと言え、そこへさらにダメ押しするように増援が現れる。

「スマンこまっちゃん! 待たせた!」
「日之影!」
「トキほどの猛者がやられたのか……!?」

978 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:19:26 ID:4aaFUBFo0

右翼にいたトキは倒され、影の薄い巨漢・日之影が小町の横に並んだ。
部下のモブ狂信者達は他の影薄達によって足止めを食らっているため、味方の援護は期待できない。
形成は明らかにセルベリアにとって不利であった。
それを見越して小町はセルベリアに降伏を迫る。

「さあ、白旗あげて降参するなら今のうちだよ、セルベリアさんよ」
「まだ負けが決まったわけではない……小野塚小町、貴様らを絶対にレ○プしてSATUGAIしてくれる!」
「そうかい。
あたいらは殺しなんてしたかないが、アンタらに殺害されんのもごめんだし、やるっていうんなら是非もない。
満身創痍か……最悪、死を覚悟するんだね!」

明らかに劣勢で勝機の薄いにも関わらず、セルベリアは影薄組との戦いを選んだ。
何が彼女をそうさせるのか?
勿論、クラウザーへの強い信仰である。


小町が刀を、日之影が拳を、セルベリアが槍と盾を構え、いざ、第二ラウンドが始まる……そう思われたとき。

DMC狂信者の側から突如、青い髪に桃のついた帽子と腕に持つグラットンソードが特徴的な少女が現れた。
その少女の姿に、小町は目を見開く。

「おまえは……緋想天の時の天人、比那名居天子?!」
「死神の小野塚小町……都庁の軍勢に組みしていたのね……汚い、さすが死神汚い」
「知り合いなのか、こまっちゃん?」
「どうやら互いに面識があるようだな、天子」

小町と天子は同じ幻想郷の出身者であり、緋想天という事件(黒幕は天子本人)の折に面識をもっているのだ。

「アンタも狂信者なのかい……ハッ! アンタの従者も浮かばれないね」
「おいィ? クラウザーさんの素晴らしさを理解出来ない愚か者はマジでかなぐり捨てンぞ?
それから衣玖に関しては……何も言うな」

天子は狂信者であり、これで1対2から2対2となることで両者のパワーバランスも対等に近づいた。
モブ狂信者達も「きた!盾きた!」「メイン盾きた!」「これで勝つる!」という喝采を上げており、天子の狂信者内での実力の高さを物語っている。
戦いになれば苦戦は強いられるかもしれないと思い、小町と日之影の二人は身構えた。

しかし、天子がこの戦いにおいて剣を抜くことはなかった。
彼女はあくまでメッセンジャーとしてここにやって来たのだ。

「おっと、勘違いするな。私は戦いに来たわけじゃない。
……セルベリア、狭間と大和が配置についた。陽動はもう十分だ」
「!……そうか」

天子の言葉を聞いたセルベリアとモブ狂信者達は、途端に撤退の準備に入った。
一方、天子の言葉に入っていた『陽動』という言葉に小町も反応し、問い詰めようとする。

「アンタらが陽動だって?!
おい! そりゃどういうことだい!?」
「お前達がそれを知ったところで意味はない。時既に時間切れだからな!
さあ、破壊力ばつ牛ンな地震がくるぞぉ」

小町の問いに対して返ってきたのは望んでいた答えではなく、天子のわけがわからなくはない言葉(ブロント語)と局地的かつ強力な地震であった。

「きゃん! 地震かい!?」
「こいつは……かなりでけえぞ!!」

979 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:20:54 ID:4aaFUBFo0


その頃、都庁の地上では魔神皇・狭間を中心としたDMC狂信者による侵攻が始まっていた。
そして、大和が都庁の世界樹攻撃のために龍脈の龍を召喚したのも、ちょうどこの時刻である。
龍脈の龍による世界樹へのダメージの余波は、地下にも広がり、大地震という形で影薄組を襲った。
具体的には玄室全体の床が揺れ、落石が落ちていき、一室が土砂で埋もれていく。
それによって影薄組が満足に動けなくなった内に、天子ら狂信者達は、自分達が侵入してきたルートからの脱出を図る。

「逃がすかい!」

小町はすかさず、距離を操る程度の能力でセルベリア達を引き寄せようとした。しかし……

「待て、こまっちゃん! あれを!」
「はッ、モモ達が!?」

日之影の指し示した方向を見ると、左翼でモブ狂信者集団と戦っていた三人の影薄達が地震に足を取られ、身動きがとれなくなっていた。
さらに彼女らの周辺には大量の落石が降っており、逃げ遅れた狂信者達が次々と岩に押しつぶされる惨状が広がっていた。

「あかり達、ひょっとしてピンチ?!」
「ひょっとしなくてもピンチですね、赤座さん」
「死にたくないっす! 助けてください、小町さん!!」

セルベリア達を追うなら今を置いて他になかったが、日之影のように頑丈な体を持つわけではない三人をこのまま無視すれば、落石によってまとめてミンチになってしまうだろう。
仲間を見捨てて狂信者達を追うという選択は小町の中にはなく、彼女は能力をセルベリア達ではなく、かけがえのない仲間達に向けて使った。

「今、助ける!」

小町はまず、距離を操る能力で三人を自分と日之影のもとに手繰り寄せ、さらに天井から降ってくる落石が一つも仲間に当たらないように距離を操って当たらないようにする。
それが仲間達を救うための最善の策であると小町は信じた。
――それは引換に、セルベリアを始めとする狂信者達をダンジョンから脱出を許すことを意味していた。

セルベリアは脱出する前に、落石でドンドン埋まっていく一室の中で、小町がいるであろう方角を見て、そして啖呵を切った。

「小野塚小町! おまえはこの程度で死ぬ輩ではあるまい。
再び相まみえることがあれば、その時はこの手で必ず貴様をレ○プ(倒す)する!
その時までは必ず生きていろ!」

それはセルベリアから小町への挑戦状であった。
その挑戦状を叩きつけたのを最後にセルベリアはダンジョンから脱出した。
一方、仲間を助ける作業をしていた最中に聞こえたセルベリアの言葉より、因縁をつけられたことを理解した小町はため息混じりに呟くのだった。

「チェ、また厄介そうなのに目ぇつけられちまったね」


 ※

龍脈の龍が都庁の世界樹に攻撃をしかけた隙にセルベリアと天子の狂信者部隊は都庁の地下を抜けて、南にある南新宿の地下まで脱出した。
セルベリアの部隊に、ディーから与えられた任務は陽動である。
暴れることで敵の目を引きつけ、地下では貴虎の都庁侵入の手助けを、地上では大和が龍脈の龍を召喚できるようにさせるための時間稼ぎをさせるために、陽動部隊が送られたのだ。
(ちなみに貴虎はネットで自分が都庁に侵入し爆弾を仕掛けることを吹聴していたが、これはスマホやパソコンが使える人間が僅かながらも組みしている都庁軍には高確率で気づかれていると見ており、突入支援に陽動部隊を送り込む必要があると見越しての判断である)

結果として大和は龍脈の竜の召喚に成功し世界樹に打撃を与え、貴虎の地下ダンジョン侵入への成功率を上げた。
一先ず、任務を終えたセルベリアは天子という護衛をつけて、態勢の立て直しのために一度、ビッグサイトまで後退することになった。


(だが、代償は高くついた……)

陽動そのものは成功したが、見返りに上層部にして古参ファンの一八と手練のトキが戦死した。
その事実にセルベリアは歯噛みする。

(元より独断専行し始めた一八はまだしも、トキまで失うハメになるとはな……
警戒が地上のフォレストセルや、レストとダオスにばかり目が行き過ぎていた。
我々はまだ都庁軍を侮っていたのかもしれない)

さらにセルベリアは先ほど戦った小町と影の薄い集団についても着眼する。
実は本来ならもっと多くの魔物を引き付ける予定だったが、セルベリア達はむしろ翻弄され、影薄組以外の敵を釘付けにすることができなかった。
セルベリア自身もこのまま戦闘を続行するには危険と思われる損耗をすることになった。
天子が駆けつけなければ、自分は小町達にやられていただろうとも自覚している。

980 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:22:10 ID:4aaFUBFo0

(デスマンティスの情報にもなかった異様に隠密性の高い集団……そして小野塚小町、大阪で巨大ロボットを破壊した赤毛の女……その女もレストやダオスほどではないにしろ、相当な実力を持っている。
こいつらの危険性を仲間達に伝えておくべきだな)

今後のためにも仲間達に、小町と影薄達という実力者が都庁にいることを報告する必要があるとセルベリアは見ていた。
ちなみにデスマンティスの報告に小町以外の影薄組の情報が載っていなかったのは、彼らの影が薄すぎて報告し忘れたためである。

「天子、おまえは小町と面識があるようだが、他に何か知らないか?」
「サボり魔で乳の大きい死神ということぐらいしか……だけど、幻想郷で会った時とは目つきが違う。
この殺し合いがぐーたらな奴の何かを変えたのか、まるで怒りが有頂天なナイトの如き本気さを感じた。
いずれにせよ、警戒の必要があるのは確定的に明らかだ」

なんにせよ、小町及び影薄組の存在が自分達DMC狂信者の障害になることを二人は予感させた。
そんな思惑を抱きつつ、二人は生き残ったモブ狂信者達と共にビッグサイトへの後退を急ぐ。

 ※


場面はダンジョンの一室に戻る。
龍脈の竜による巨大な地震は止み、一室に落石が降ってくることはなくなった。
未だに部屋が振動しているが、これは地上でレスト達とDMC狂信者の軍団が大規模な戦闘を始めたからである。
部屋は落石と土砂でほとんど埋もれていたが、小町の能力によって影薄組五人の周りだけは避けるように空間ができていた。

「みんな、大丈夫かい」
「ありがとうっす、小町さん。
おかげで全員無事で済んだっす」
「そのようだね……安心したよ」

小町が心配して仲間の安否を確認したが、全員がかすり傷や疲労は目立てど、命に別状のあるダメージは追っていなかった。
生き残った狂信者は全員ダンジョンから脱出し、そうでなければ落石に潰されて死んだのか敵は周辺にも見られず、ここ一帯は安全になったといえよう。
結果的に影薄組は誰ひとり欠くことなく危機を脱出した。

しかし、それは一つの危機を脱したに過ぎないのであった。

「でもまずいよ、小町ちゃん」
「完全に閉じ込められましたね、これは……」

影薄組が入ってきた部屋の出入り口は地震と落盤によって積もった大量の落石と土砂で塞がれてしまっていた。
同様に狂信者達が侵入してきたルートも同じく塞がっていた。
これでは部屋から出ることができず、影薄組は地下の一角に閉じ込められてしまったのだ。

「確かにまずいね、こりゃあ」
「ああ、さっきから上の方からの揺れを感じるし、地上で戦闘が起きてるのかもしれねえしな」
「狂信者の二回目の攻撃が始まったんすかね……」
「地上が攻撃を受けてるってことかい。
さっきの地震は尋常なものじゃなかったし、とにかく急ぐべきだね。
掘って掘って掘りまくって早いとこ、ここから出るよ!」

このままでは身動きがとれず、閉じ込められている以上は地上や他の仲間達との状況確認もできないため、脱出を急ぐ必要があった。
そのために五人は団結して落石や土砂を掘る作業に移った。


その中で小町には引っかかることが一つあった。

(あいつら、自分のことを陽動だって言ってたね……おそらく、さっきの地震と都庁に爆弾を仕掛けようとしている貴虎って奴のための陽動か?)

セルベリア達はあくまで陽動部隊。
その言葉が本当ならば、小町達はまんまとハメられたことになる。
自分達が目の前の敵に気を取られていた分、貴虎の侵入を許していないか、それが気がかりであった。

万が一、貴虎が都庁の内部で爆弾が作動し、世界樹が灰になればそれは都庁同盟軍の敗北を意味する。
爆弾が起爆すれば多くの魔物や、力を貸している人間達も死に絶えるだろう。
当然、都庁の地下にいる自分達も例外なく爆発に飲まれて死ぬかもしれない。
それだけでなく世界樹がなくなれば、主催がバラ撒いたであろう謎の瘴気を浄化する手段もなくなり、日本は風鳴翼のような怪物塗れになるかもしれない。
それでは自分達が打倒すべき主催の思うツボである。

そうなる前に同盟の誰かが先に貴虎見つけて捕縛できているならそれでいいが、あまり他人任せにばかりするべきではないと、四季の喪失から小町は学んでいる。
その考えが頭をよぎり、小町の中の焦りを加速させる。

981 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:23:25 ID:4aaFUBFo0

(あたいはもう、四季様、あやの、混沌の騎士、マナや美樹のように仲間が死んでいくのはゴメンだよ。
一人でも多く殺させないためにもあたいも全力で頑張らないと!)

この殺し合いで出会った多くの仲間への情と、仲間の喪失への恐れ、そして芽生えた責任感が小町を確実に変えていた。
今の小町の顔はロワ開始時点のダルそうな顔ではなく、凛とした一介の戦士そのものであった。



都庁同盟軍とDMC狂信者軍、そして貴虎を中心とした残念な強者達との熾烈な戦いはまだ始まったばかり……
果たして小町と影薄組は、閉じ込められたダンジョンから脱出し、貴虎の捜索に戻れるのか?



【一日目・9時00分/東京都・都庁地下南部】

【影薄組】
※落石と要石によって地下の一角に閉じ込められました
 自力での脱出には1〜2時間かかります

【小野塚小町@東方Project】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、首輪解除
【装備】斬魄刀『神鎗』@BLEACH
【道具】舟
【思考】基本:もう仲間を誰も失わない為にカオスロワを終わらせる
0:早くここから脱出し、呉島貴虎を探す
1:殺し合い打破のためにも都庁には協力する
2:もう二度と仲間を置いて行こうとしない
3:幽香と戦う事を覚悟する
4:変なの(セルベリア)に因縁つけられちまったね
※飛竜たちと情報交換して、主催達が九州ロボにいることを知りました。
※ダオスとの情報交換で、カオスロワちゃんねるの信憑性に疑問を持っています(フェイ・イェンにもたらされた情報より、少なくとも都庁の悪評は天魔王軍による仕業だと理解しました)


【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、首輪解除
【装備】己の拳
【道具】支給品一式
【思考】基本:主催者を倒す
0:早いとこ、ここから脱出し、呉島貴虎を探す
1:仲間を守る
2:混沌の騎士が遺した謎を解く
3:↑の全部やらなくちゃあならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。


【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、精神疲労(中)、首輪解除 、全裸(恥部を葉っぱで隠してる)
【装備】猟銃@現実、斬鉄剣@ルパン三世
【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具
【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる
0:さっきの揺れ……地上の人達は大丈夫っすかね?
1:加治木先輩や友人たちと生き残る
2:時間があればスマホを使ってネットで情報を探る(現在は電波の届かない地下なので不可)
3:DMCファンだけど信者の暴動にはドン引き
4:早 く 服 を 着 た い


【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、精神疲労(小)、首輪解除
【装備】ウィンチェスターM1912
【道具】死出の羽衣@ 幽々白書
【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる
0:脱出を急がないと
1:友人たちと生き残るためにも、都庁に協力する
2:空気中に漂う物質への対処法を考える(世界樹が有力?)
3:狂信者には絶対に負けません


【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、精神疲労(中)、首輪解除
【装備】エンシェントソード@Minecraft
【道具】マムルの肉@風来のシレン
【思考】基本:仲間と一緒にカオスロワを終わらせて主人公らしく大活躍!
0:戦いは怖くても、あかり負けない!
1:混沌の騎士の分も頑張る
2:まどかと同じく、人間と魔物の共存に賛成
3:オオナズチ以外の都庁のモンスターの背中に乗りたい

982 影薄が斬る! :2015/05/15(金) 13:23:52 ID:4aaFUBFo0


【一日目・9時00分/東京都・南新宿地下】

【DMC狂信者 セルベリア部隊】
※他にも狂信者の部隊があるかもしれません

【セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア】
【状態】ダメージ(小)、疲労(大)
【装備】ラグナイト製の槍と盾
【道具】支給品一式、モブDMC狂信者×10人
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
0:態勢の立て直しのために一度、後退する
1:仲間に、小町と隠密性に優れた集団(影薄組)の危険性を伝える
2:小町はいつか、この手で必ずレ○プ(倒す)する
3:マクシミリアン殿下が生きてたらクラウザーさんとSATUGAIの素晴らしさを伝える
※制限により、ヴァルキュリア化による疲労が増大しています


【比那名居天子@東方project】
【状態】健康、謙虚
【装備】グラットンソード@FF11
【道具】支給品一式
【思考】
基本:SATSUGAI
0:セルベリアをビッグサイトまで送る
1:小町が都庁に組みしていたとは……汚い、さすが死神汚い
2:小町と、彼女の率いる影の薄い連中を強く警戒
3:従者が死んでも、ここは謙虚にポーカーフェイス

【トキ@北斗の拳 死亡確認】

983 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:15:03 ID:6hJrhCAw0
「ぐ、おおおおおおおお!?」

かつて、ゴロリを一撃で戦闘不能に追いやった『黒棺』がナッパを包み込む。
本来のナッパの機動力であれば、たとえ詠唱を破棄し速度を重視した黒棺であっても回避することは可能。
しかし『完全催眠』に捉われてしまったナッパは、敵がどこにいるかも、攻撃がどこからくるのかすらもうわからない。

「くそ、ナッパ……!」
「あのゲスオチ○ポめ……!」

それは彼と行動を共にするドラゴンズの面々も同じこと。
いくら並外れた攻撃力と守備力を持つドラゴンといえども、攻撃をあてられなければ意味はないし体力は削られ続ける。

「ぐ、く、サイヤ人を舐めるなよ……!」
「まぁだ倒れねえのか……流石にうんざりだ。狛村みたいに綺麗に一発退場してくれよな」

久保帯人の一方的な攻撃を、彼らはただ耐えることしかできない。
そんな中でも、ナッパは最も多くの攻撃にさらされながらもその全てを肉体で受け止め、耐えきっていた。
完全催眠及び自身の負ったダメージから攻撃を躊躇するドラゴンズに対して、ナッパは休まず動き続けているのが原因だ。

「そのふざけた頑丈さだけは評価してやるよ。でもな、単細胞なパワー馬鹿は俺の漫画じゃ最下層の存在なんだぜ?」
「うるせぇぇ!てめえだけは、許さねえぞ!」

完全催眠とはいえ、攻撃をしかけるために久保帯人は確かに周囲のどこかに存在する。
だからこそナッパは手当り次第に攻撃を繰り返す。いつかは当たるだろうという、分の悪すぎる賭けをして。

「ち……」

そして催眠状態のナッパは知らないが、久保帯人は直撃こそしていないが爆撃の余波で極僅かだが傷を負っている。
当然ドラゴンズの面々も余波を浴びているが、肉体の頑丈さだけを見ればここに集った生存者の中では久保帯人が最も脆い。
負ける気はしないが、それでも久保帯人にとって、現状で一番の邪魔で厄介な相手はナッパとなっていた。

(何故倒れない……?)

この邪魔で馬鹿な単細胞をとっとと沈めて、頭がきれるらしいギムレーを葬り去ってやろうと考える久保帯人。
だが彼の予想を遥かに上回る程に、ナッパは丈夫であった。
普通の相手ならとっくに殺せている筈なのに、殺せない。
ドラゴンズの三体は攻撃を躊躇っている現状、相手はナッパ一人だというのに。まるでチャドのような男だというのに。
それが、殺せない。
久保帯人の中で、無自覚の内に怒りと焦りの感情が蓄積されていく。


「……」

ナッパが傷つき、久保帯人が密かに焦る中、ギムレーは口を開かない。

(完全催眠による行動制限範囲は、ここまでか。
リオレウスのワールドツアーが妨害された地点から察するに、球状に催眠空間の形成がされていると考えるべきかな)

彼は外への逃走を試みるふりをしながら、完全催眠によって支配された自分たちの行動可能範囲を計測していたのだ。
あくまで推測の域をでないが、広すぎず狭すぎず絶妙な範囲の催眠空間。
これでは助けを呼んだとしても、救援者も完全催眠の餌食となり殺されるか自分たちを認識できなくなるだけだ。

(結局結論は、僕たち四人でこの場をどうにかするしかないってことだね……)

ギムレーは小さく舌打ち顔を歪める。
絶望の使者たる自分が絶望的な状況に陥っていることが、実に腹立たしい。
そしてこの状況を覆す手段が考えつかない自分自身にも腹が立っていた。

984 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:15:39 ID:6hJrhCAw0
(あの完全催眠も、穴はあるはずだ。
少なくとも、元からか制限のせいかはわからないが、一度発動した催眠は必ずしも永続というわけではない。
ナッパがリオレウスを誤爆した直後、僕らは傷ついたリオレウスと移動していた久保帯人を見ている。
つまりあの時は一度催眠から解放されているんだ。そしておそらく、目の前で傷ついているナッパは本物のナッパだ。
視界に映る全てが催眠ではない、奴が同士討ちを優先的に考えているとすれば、おそらくあれも……)

否、正確にはギムレーは一手だけ、戦局を変えられるかもしれない作戦を考えついていた。

(だが……)

しかしその作戦は、彼の器であるルフレが考えるような作戦ではない。
何も知らない第三者、いやドラゴンズの仲間やナッパからも批難されるだろうほどのものだった。
絶望と破滅を司るギムレーからすれば、本来は躊躇いもなく実行できる手段なのだが……

(くそ、僕は何を躊躇っているんだ。我はギムレー、絶対の存在。世界に絶望と破滅をもたらす邪竜、そのはずだ。
なのに、何故……?僕の中のルフレの記憶のせいか、あるいは……野球をしてしまったせいなのか?)

視線を動かせば、ナッパは今も見えない久保帯人を相手に戦っている。
全身ボロボロの状態で、しかし何かに突き動かされるように、ナッパは倒れる素振りすら見せない。

(仲間……絆……ああ、そうか)

ギムレーはナッパの行動を振りかえる。
彼は真っ先にドラゴンズとイチローチームの共同戦線を受け入れ、久保帯人の裏切りに激怒していた。
それだけではない。大魔神軍の死にも怒りを露わにしていた。
おそらく、自分と同じく冷酷で残虐な種族であったであろうナッパが。

(野球に出会って人生観が変わったと言っていたけど、どうやら本当らしいね。
まさか僕もそれと同類に……いや、こんな作戦を思いつく時点で僕とナッパは別物か)

自嘲気味に乾いた笑い声を漏らしながら、しかしギムレーの掌には闇の力が既に集まっていた。

(だが、こんな絶望的な状況下で『仲間』を助けるには……これしかない)

掌を地面に押し付ける。
完全催眠と言えども天地の認識をひっくり返すことまではされていないのは確認済み。
確実に地面であると断言できるその場所に、邪竜ギムレーの力が染み込み、駆け巡っていく。

(おそらく、地中から『甦らせる』ことは制限状態では無理だ。だが『目の前に』あれば、きっと……)

985 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:16:14 ID:6hJrhCAw0
それはとてもとても残酷で。非道で、無慈悲で、血も涙もない所業。
心境に変化があったとはいえ、冷静な軍師の一面も持つギムレーはそれを決行した。

「――ッ!」

びくりと、地面で何かが蠢いた。

(完全催眠には発動条件があるはず。『鏡花水月』が手元にある限りと奴は言っていた……
つまりおそらくは、あの刀を対象者に見せる行為こそが条件。完全催眠にかかる前に、絶対に刀を見ずに済む状況を作り出せれば……)

「――ァァァ」

蠢いたそれは、小さく不気味な唸り声を上げる。
ぎらりと輝くは、鮮血のような眼光。

(……っ、我が命ずる。両の眼を自ら潰せ。臭いで敵を捕捉せよ)

「――ア゛ア゛ッ!」

(本能に従い『人間』を襲え。それに奴にはまだ……君の血の臭いが残っている)

「――オオォ!」


蠢いていたそれは、ギムレーから送られる指令に忠実に動いた。
迷わずに赤眼を潰し、鼻を頼りに久保帯人を狙いに行く。
元は死人。鏡花水月による完全催眠の影響下にはあらず、視力を失うことで以後も催眠状態に陥ることはない。

とある世界を絶望で包み込んだギムレーが無尽蔵に生み出す生体兵器『屍兵』
その名の通り、人間の屍を材料として生み出される異形の怪物だ。
戦争で死んだ名もなき戦士達は勿論、英雄と呼ばれる程の存在でさえ、死んでいれば屍兵に変えることができる。
しかしあらゆる蘇生手段が使えなくなってしまったこの世界では、屍兵の製造も封じられていた。
殺し合いの世界、屍兵の材料など見渡す限りに転がっているにも関わらずギムレーがこれまで使用しなかったのもこれが原因である。

だが混沌の騎士がメガザルの腕輪で瀕死の仲間たちを救って見せたように、たとえこの状況下でも超強力な術や道具は多少の効果を発揮できる。
故にギムレーは実行した。
『とてつもなく新鮮な死体』に『邪竜ギムレーが直々に力を流し込む』ことで、短時間しか動けないが本来のものに遜色ない屍兵を作ったのだ。


「グルオオオォォォォォォ!」


出来たての屍兵……否、かつて『吉川ちなつ』と呼ばれた少女の怪物は釘バットを構えて猛然と走る。

986 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:16:46 ID:6hJrhCAw0
そして、釘バットはギムレーから見れば何もない空間に振り下ろされた。
だがその釘バットは『見えない何か』で防がれる。
ちなつの屍に与えた指令、見えない何か、それの正体など一つしかない。


「みんな!あの場所に攻撃するんだ!久保帯人本体はあそこにいる!」

自身もトロンの雷を極限までチャージした状態でギムレーが叫ぶ。

「わ、わかったぜ!火達磨になって無様に前転繰り返しやがれ!」
「オチン○野郎になんか絶対に負けない!裁きを下してくれるわ!」

それに合わせるように、リオレウスの炎の球とソウルセイバーの光の球が放たれる。
確実に致命傷たりえるドラゴンズ渾身の一撃だ。
そんなものを放てば、久保帯人に襲いかかったちなつの屍も跡形もなく吹き飛ぶ。
それをわかっていながらも、ギムレーは雷の砲撃を解き放った。
いくら屍兵とはいえ、素体は戦闘力を持たないちなつ。久保帯人の気をひけるのは一瞬であり、チャンスはこの一度しかないからだ。




「縛道の八十一『断空』」



「なん……だと……!?」

そんな一度きりの逆転のチャンスを。
仲間の屍を弄繰り回し、眼を潰させ、挙句捨て駒にするという非道な作戦をとったというのに。
たった一言、久保帯人の声が響いただけで。
全てが無へと還った。


「なるほど、この俺の催眠空間内で増援を作った上で眼を潰させるとは……なかなか恐ろしい真似をしてくれる。
だが詰めが甘かったなギムレー。お前の雷もそこの気持ち悪い女の光も霊術や魔術の類、チキンの火球も赤火砲と変わらない。
この八十九番以下の破道やそれに準ずるものを完全に防ぐ俺の断空の前じゃ……何発撃とうが無意味なんだよ」

ゆらりと、久保帯人が姿を現す。
ちなつの屍をなんなく撥ね退け、愕然とするギムレーを見下すかのような笑みを浮かべながら。

「だからいったろ?俺は、完全催眠に頼るだけの男じゃないってよぉ?」
「く……!?」
「でもちょっとだけ驚いたぞ。褒美にお前から殺してやるよ。
破道の九十……黒ひっっぎいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!?」
「!?」




今まさにギムレーを葬ろうとしていたシリアスな久保帯人から、非常に情けない声が漏れた。

987 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:17:17 ID:6hJrhCAw0
それの理由は、すぐにわかった。

「ち、ちなつ!?」

あっという間に久保帯人に返り討ちにされ、地面に転がされていたちなつの屍が釘バットを久保帯人の股間へ振り上げたのだ。
断空はドラゴンズの猛攻から久保帯人を救ったが、同時に彼の側にいたちなつも救っていたのである。
そしていくらさほど強くはないとはいえ、屍兵の一撃を人体の急所に、しかもとびきりえげつない武器で強打されたともなれば。

「あひ、あひぃぃぃん!?」

どれだけ残酷で絶対な力を持つとはいえ、人間の男であれば悶絶しないわけがない。
さらにいえば、今の一撃はタマだけでなくホモには欠かせない大事な竿にすらも致命的なダメージを与えていた。
野望のためだったとはいえ、野球チームの監督が男の誇りをバットにより打ち砕かれるのはなんという皮肉だろうか。

「うおおおおおおお! くらえ久保帯人ォォォォォォ――――――ッ!!!!!!」

そんな悶絶する男に、絶叫しながらナッパが殴りかかる。
最高の技で跡形もなく消し飛ばすことも考えたが、彼の中には純粋な怒りがあった。
仲間を裏切った男を、この手でぶん殴りたいという強い怒りが。
そして戦闘民族サイヤ人の本能が、断空が気による攻撃も防ぐ可能性を見出していた。
この一瞬の戦闘、刹那の時ながらも視界に映った元ちなつと思われる少女には、手を出したくないという思いも。

「ひぎっ、ば、縛道の八『斥』……!」

結果として、ナッパの選択は正しかったと言える。
もし強力な技で攻撃して、倒し損ねてしまえば相手は土煙に乗じて退避、完全催眠で安全圏まで逃げてしまうだろう。
そして久保帯人の操る鬼道は強力ではあるが、接近戦で純粋な物理攻撃を防御する盾を生み出す術は断空よりも遥かに弱い。

ナッパの剛腕が、防御に使用された鏡花水月を粉々に粉砕する。
その勢いのまま鬼道で生成された盾も貫き、久保帯人の腕を破壊した。

「――ッ」

鬼道を唱えようとしたのか、それともなっさけない悲鳴でもあげようとしたのか。
しかしそのどちらも実現する前に、ナッパのもう一方の拳が久保帯人の顔面へ叩き込まれる。
ボッ!という音が響くと同時に、裏切りの監督はこの世を去るのであった。










「はぁ……はぁ……や、やったぜ……!」
「霊圧も感じないし、あのゲス○チンポが起き上がる気配もない。どうやら倒せたとみていいようですね」
「おい、伏せる位置ちがくね!?」

肩で息をするナッパに、ドラゴンズの面々が駆け寄る。
鏡花水月が破壊され、久保帯人が死んだことで完全催眠も解かれたのだ。

988 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:17:44 ID:6hJrhCAw0
「……」

そんなメンバーを、倒れ伏した屍が見つめていた。
眼は潰しているためその姿を見ることは叶わないが、臭いで判断しているのだろう。
そんな屍も、時間制限か或いは久保帯人の攻撃によるせいか、崩れて霧になっていく。
言葉も遺品も、何も残すことなく、消えていく。


「……」
「なあ、ギムレー。さっきのあれはやっぱり……」
「……そうだ。吉川ちなつ、彼女の屍を僕が兵にした」


消えていく屍を見ていたナッパは、先ほどよりは落ち着いた様子でギムレーに問いを投げかける。
ギムレーもそれに誤魔化すことなく答えて見せた。
リオレウスとソウルセイバーは僅かに驚きの表情を浮かべるが、以外にもナッパは激昂することはなかった。

「あいつ、さっきは助けてくれたんだよな。あれも、お前が命じたのか?」
「……最初はね。だが、倒されてから起き上がり、凶器で急所攻撃なんて追加命令はしていない筈なんだ。
おかげで僕は命拾いしたわけだけど、まさか偶に見られた自我の残った屍兵……?だが強固な精神を持つ英雄でもない彼女が……」
「理由はなんだってかまわねえよ。確かなのは、俺達のチームにはちなつが確かにいて、そいつに救われたってことだ」
「……」

それぞれ思うところはあるだろう。
しかし、彼らには休む間も悩む間もない。
久保帯人の裏切りは予定外のことであり、本来の倒すべき強敵はまだ残っているのだから。

「よし、とにかくイチロー達も早く助けて……っおぉ?」
「無茶をすんなナッパ!お前が一番ダメージ受けてるんだぞ!?」
「私達も少なからずダメージを受けています。あの触手オ○ンポが気になるところですが……」
「心の底から認めたくないが、今の僕らじゃ足手まといだ。まずは傷を癒す手段を探さないといけない」
「チ、チクショウ……!みんなが危険な目にあってるってのに……!」

ぎりぎりと歯噛みするナッパだが、その足取りはふらついている。
常人であればとっくに死に絶えているであろう程の傷なのだ。立って喋っていることすら奇跡である。

「俺が、ワールドツアーで何か探してくるか?」
「待てリオレウス、もはや飛ぶことすら控えた方がいい。この関東周辺は僕から見ても化物のような連中がうじゃうじゃいる。
回復しきる前にうかつに空を飛べば、最悪モブの狂信者にすら撃ち落されかねないぞ……」

ナッパ達のもとから、ひとまずの危機は去った。
しかし失った代償は大きく、決して軽視できない傷も受けた。
そして久保帯人が倒れ、彼の野望が潰えたとしても、彼の目的がはからずも遂行されてしまう危険はまだ在る。

狂信者と触手男の襲撃により、既にドラゴンズは野球を行えない状態。
霊夢とちなつが犠牲となり、イチローチームも存続の危機。
そして彼らは知らないが、あの拳王チームも次々にスタメンを失い、超人チームは既に崩壊。
ウルフハリケーンズは狂信者の手により壊滅し、聖帝軍も続いて狙われている。
久保帯人の暗躍だけでなく、野球選手はいつでもどこでも命を狙われているのだ。
全てのチームが機能しなくなった時、救いの予言は果たしてどうなってしまうのであろうか……

989 潰える者、潰れるモノ :2015/06/11(木) 23:19:50 ID:6hJrhCAw0
【二日目・9時00分/千葉県木更津市から南側】

【イチローチーム+ドラゴンズ B】
【ソウルセイバー・ドラゴン@ヴァンガード】
【状態】大ダメージ、巨乳
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:世界を救うためにも、オシリスについていく
0:ドラゴンズAチームが気がかり
1:人間のオチ○ポには絶対に負けたりしない
2:都庁軍討伐は後
3:都庁軍は絶対に信用しない
※♀です

【ギムレー@ファイアーエムブレム 覚醒】
【状態】大ダメージ、中魔力消耗、人間形態
【装備】トロンの書、鋼の剣、邪竜の鱗
【道具】支給品一式、不明品
【思考】基本:野球で優勝して、自分の信者を増やす
0:傷を癒す手段を確保したいが……
1:ドラゴンズAチームが気がかり
2:試合の邪魔をするDMC狂信者を倒すために、本拠であるビッグサイトを攻略したい
※外見はデフォルト設定の銀髪青年です
※制限により、しばらく邪竜形態でいることはできません
※首輪を外したとしても、屍兵は簡単には生み出せません

【リオレウス@モンスターハンターシリーズ】
【状態】ダメージ(大)
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:へたれイメージ払拭のために野球で優勝する
0:ドラゴンズAチームが気がかり
1:オシリスに着いて行く
2:実はレイアと仲直りしたい

【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【状態】特大ダメージ、野球脳、激しい怒り
【装備】なし
【道具】一人用のポッド
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、イチローチームを優勝させる
0:早く傷を治して仲間を助けに行きたい
1:あの触手男も倒す
2:野球を邪魔するDMCは許さない
3:バーダック生きてたのか
4:あのガキ(光熱斗)にはいつか報復する、野球で
5:ベジータはそのうち探す
6:無事でいてくれよみんな……
※回復した場合、戦闘力が大幅に上昇します


【久保帯人@現実?】死亡確認
※鏡花水月以外の支給品は放置されています
※ちなつの遺体と支給品が消滅しました

990 地下を走る死神の列 :2015/07/08(水) 21:23:08 ID:iszudFbc0
時刻は9時前。
ここは巨大な世界樹と化した東京都庁の地下北部。
影薄組がセルベリア・トキを中心としたDMC狂信者の陽動部隊と戦闘を繰り広げていた頃、こちらでもDMC狂信者の一団による襲撃を受けていた。
地下から侵入した部隊はセルベリア・トキの一つだけではなかったのである。

「「「SATUGAIセヨ!! SATUGAIセヨ!!」」」

ざっと見て50人以上は確実にいるであろう人数の狂信者達が地下北部に侵攻してきていた。
それぞれが武装した銃、もしくは死に物狂いで鍛錬を積んで覚えた魔法や格闘技でダンジョンに破壊をもたらしている。
だが、これに対して黙って見過ごす都庁の軍勢ではない。
世界樹に爆弾を仕掛けんとする貴虎捜索に出ていた者達の中である三匹が騒ぎを聞きつけ、狂信者討伐のために北部に現れたのだ。


『シャアアアアア!! ブラインドブレード!!』
「目が、目が〜!?」

FOEの一角にして、都庁の守護者の一匹、アイスシザース。
デスマンティス達につけられた傷もとうに癒え、万全の状態でモブ狂信者達を死に誘う大鎌を振るう。

『力溜め……からの荒れ狂う爪牙だクマッ!!』
「うおおおおお!? クラウザーさん万〜歳!!」

さらにFOEの一角であり、かつて都庁の門番であった熊、魂の裁断者。
風鳴翼とぼのぼのに深手を負わされ一時的に戦線を引いていたが、レストの治療の甲斐もあり、つい先ほど復活を果たす。
門番の役目こそレストに譲ったが、世界樹を守る役目は現在も同じであり、世界樹を侵さんとする狂信者達をその爪で容赦なく裁断していく。

そして。

『我が吐息で灰になるがいい! サンダーブレスッ!!』
「「「ぎゃああああああああああ」」」

大量の狂信者を雷撃のブレスで宣言通りに灰にしたのは、都庁の軍勢の元リーダーである雷竜。
雷鳴と共に現る者、雷竜クランヴァリネである。
今でこそ純粋な実力や指揮能力の差、そして信頼に値する者としてリーダーの座をダオスに譲ったが、その実力は今でも都庁の軍勢上位クラスである。
少なくとも、メギドを覚えた程度のモブ狂信者に敗れることはないであろう。

雷竜、アイスシザース、裁断者。
この三匹が現場に駆けつけ、狂信者達の進軍を押し止めていた。

『こいつら、クマを喰おうとした貧乳の女やラッコほど強い奴はいないみたいクマ! いけるクマー!!』
『油断するな裁断者! おまえは復帰したての病み上がりなんだからな』
『だが、我々にとって大切な住処である世界樹である都庁に土足で足を踏み入れたこやつらの罪は重い。
この中にはどうやら貴虎に該当する輩はいないようだが、破壊工作を手伝おうとしているのは明らかだ。
みすみす見逃して被害を拡大するわけにもいかん。
アイスシザース! 裁断者! 必ずや、こやつらを皆殺しにするぞ!!』
『『応ッ!!』』

長の声に応じ、二匹のFOEは士気を上げた。
それに比例して地下の一角に狂信者の死体が次々と積み重なっていった。


狂信者側は数こそ圧倒的に多いが、三匹の実力に及ぶ戦力は持っていないようだ。
こちらには南部側に出現したセルベリアやトキのような実力者はいないようであり、三匹による駆逐は容易に可能と見られていた。




そう……何事も起こらなければ。




それは、彼らと狂信者との戦闘中……唐突にやってきた。

991 地下を走る死神の列 :2015/07/08(水) 21:23:43 ID:iszudFbc0

『次は呪縛の円……なに!? こんな時に地震だと!?』

突然に、彼らのいる世界樹の地下が揺れだした。
知らぬ者、魔力の動きがわからぬ者にはただの地震と思うかもしれない。
実際には同時刻に大和の召喚した龍が世界樹に攻撃を仕掛け、世界樹そのものが攻撃を受けたことによる余波が地下に響いているのである。

『……いや、違う。これは地上が攻撃を受けているのか!?』
『わかるのですか雷竜様?!』
『地上が攻撃を受けているですとクマ?!』
『この魔力の大きさ……まずい!! これは果たして地上に戻るべきか?』

地上から磁波もしくは多大な魔力の動きを読み取り、雷竜は地上が攻撃を受けていると結論づけた。
フォレスト・セルに結界やミザールなど、二重三重の防衛手段があるにも関わらず世界樹が打撃を受けた事実は、三匹を戦慄させるには十分であった。
狂信者側もこの地震に対して何か思い当たる節があるのか、退却を始めだした。
それを踏まえて、雷竜の脳裏に地上に引き返すべきであろうか、という疑問符が頭をよぎる。
しかし、彼らが行動を起こすより早く、ダンジョンの天井から大量の土砂と落石が三匹の頭上に降り注いできた。

『危ない!! 落盤だ!!』
『うおおおおおおお!!』
『クマァーーーーーーーーーーー!?』

防御手段を持たない三匹と、逃げ遅れた狂信者が落石と土砂に飲み込まれていった……





『……ようやく収まったか』

やがて大地震は収まり、土砂と落石の雨が止んだ。
その雨を雷竜はその身に受けたが、命に別状はなく、大したダメージは受けなかった。
落石によってダメージは受けはしたものの雷竜の防御力と耐久力でこれを凌いだのである。
土砂崩れや落盤程度で命を落とさなかった点は流石は都庁の軍勢を率いていただけの存在であると言えよう。

『くッ、怪我は大したことはないが……身動きがとれん……!』

しかし、ダメージこそ少ないものの、完全に無事で済んだとは言えなかった。
頭を除いた全ての部位が、不運にも土砂に巻き込まれて埋もれてしまったのだ。
今の雷竜は首以外は動かすことができないでいる。

『せめて私にも氷嵐の支配者のようなミラーシールドが使えれば……こんなことにはならなかっただろうに……
たらればを吐いてもしょうがないが……フンッこのッ動けッ! ……ダメか』

必死にもがいて脱出を図ろうとするも、爪一つ動かすこともできない。
相当な量と重さの土砂が積もっているのか、雷竜の力をもってしても自力脱出は不可能であり、抜け出すには他者の手を借りる必要がありそうだ。

『うむ、一緒にいたアイスシザースと裁断者は無事だろうか?
死んでるとは思いたくはないが……ん?』

するとそこへ、ダンジョンの闇の奥から一匹の熊が現れた……裁断者だ。
どうやらあの落盤の中で雷竜同様生き残れたらしい。

『魂の裁断者! 無事でだったか!』
『……』
『すまぬが助けてくれまいか? この通り身動きがとれんのだ』

雷竜は部下である魔物に助けを請う。
何をするにしても埋もれた体を出す必要があり、そのためには裁断者の協力が必要であるからだ。

『……』
『裁断者……?』

しかし、助けを求められた裁断者は返事をしない。



そして、僅かな間の後に、雷竜は裁断者の異常にいよいよ気がつくのであった。

『!!?』

よく見ると裁断者の頭部が凹の形にヘコんでいた。
二つの目からは眼球と脳漿が飛び出している。
裁断者は既に死んでいた……


【魂の裁断者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】

992 地下を走る死神の列 :2015/07/08(水) 21:24:30 ID:iszudFbc0



「やったDEATH! クラウザーさんに生贄を更に一匹捧げることができたDEATH!」

裁断者の巨体がズシンと前のめりに倒れると、そこから血のついたギターを抱えた黒髪ツインテールの女子高生が現れた。
ギターによる48の殺人技の使い手にして狂信者の一人、中野梓だ。
ギターに真新しい血糊がついているところからして、裁断者を殺害した下手人は彼女であることを示していた。
更に先ほど雷竜達と戦っていたモブ狂信者達が数人ほど梓のバックについていた。

『狂信者共……まだ残っていたか!』
「おや、首から下が埋まっているようDEATHね。
都庁の軍勢のリーダーらしい竜を討ち取ったあらば、大功績DEATH!
逃げ道が塞がった時はヤバイと思いましたが、怪我の功名って奴DEATHね!」

この北部に現れた狂信者の部隊も、セルベリアが率いていた部隊同様、ディーから与えられた任務は陽動であった。
本当ならば、狭間と大和が配置についた時点で退却する手筈だったが、梓と数人のモブ狂信者達は逃げ遅れてしまった。
しかし、引き返してみれば傷ついたFOEと動けなくなった雷竜を討ち取るまたとない機会に遭遇したのだ。
雷竜にとっての不運は、梓ら狂信者達にとっての僥倖であった。

『おのれ! よくも裁断者を! サンダーブレスで灰燼に帰すがいい!!』

雷竜は首以外身動きが取れない状態でも臆すことなく、狂信者達に雷のブレスを吹きつけようとする。
しかし……それより早く、梓のギターが雷竜の顎に強烈な一撃を放って口を強引に閉じさせ、ブレスを阻止した。

『グガアアアッ!!』
「ふう……危ない危ない。
事前にモブ狂信者の人にタルカジャとスクカジャを目一杯かけてもらって正解でした」
『こ、これだからロリは嫌いだ……!』

梓やモブ狂信者は狭間から教わった攻撃力を上げる魔法・タルカジャと、素早さを上げる魔法・スクカジャによって肉体を強化していた。
機動力は雷竜がブレスを吐くより早くなり、一撃一撃が雷竜に通用するほどの威力を獲得していた。
逆に雷竜は埋もれていて身動きができず、敵の攻撃を一切回避することができず、首以外の部位に依存する「竜の鉄槌」や「呪縛の円舞」などの技で反撃することができないでいた。
首があれば「サンダーブレス」と「古龍の呪撃」は使えるが、攻撃する前に梓達に阻止されてしまうのだ。

雷竜が万全あれば、梓+モブ狂信者のひと束程度など苦もなく駆逐できるだろう。
しかし今の雷竜は本来の実力を発揮できない不利な状態で戦わなければいけないのだ。


それからの展開は至極一方的であった。


「さあ皆さん! クラウザーさんのためにこの雷竜を生贄に捧ぐのDEATH!!」

拳や蹴りなどの狂信者の鍛えられた格闘技が雷竜の頭部にクリーンヒットする。

『ぐがッ!』

マシンガンやライフルなどで武装した狂信者より放たれた銃弾が雷竜の頭部に降り注ぐ。

『ふぐッ!!』

「アギダイン」「ブフダイン」「メギド」という狂信者の詠唱と同時に魔法による一斉射撃が雷龍に襲いかかる。

『があッ!!』

一方的に攻撃を受け続けた雷竜は苦くるしい顔で狂信者達を睨みつけ、諦めずにサンダーブレスで反撃を試みる。

「お口は閉じてなさい!!」
『ぐああああああああッ!!』

だが、反撃は許さんとばかりに、攻撃をしようものなら梓のギターが叩きつけられる。
もはや、これは戦いではない。リンチか拷問と言った方が正しいだろう。
一撃一撃を食らうたび、雷竜の体力がゴリゴリと削られていった。


『この私がこの程度の輩に何もできないだと? おのれぇ!!』
「さて、そろそろトドメといきますか」

最後に梓が雷竜の頭に向けてギターを振り上げ、腕一杯に力を込めた。
そして、振り下ろす直前にボソボソと呟く。


「……唯先輩も澪先輩も死んじゃって、ムギ先輩は悪い奴らとつるんじゃって……
こんな最悪な世界、クラウザーさん無しじゃもう私、生きていける気がしないんですよ。



だから……クラウザーさん復活のために死んでください!! DEATHゥッーーーーー!!」
『うぐああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ……』



タルカジャで強化され、なお威力を増した梓の最大限の一撃が、雷竜の脳天に振り下ろされた。

その一撃が、雷竜の中で切れてはいけない糸を、プッツリと切ってしまった……
雷竜の目から生気が急速に失われ、その長い首がぐったりと地面に横たわった……

993 地下を走る死神の列 :2015/07/08(水) 21:25:59 ID:iszudFbc0


「殺った! やりましたよクラウザーさーーーん!!」

雷竜とは対照的に狂信者側は歓声に湧く。
都庁の軍勢の元リーダー格である雷竜を、偶然が重なったとはいえこの手で討ち取ることができたのだから、当然と言えば当然であった。





しかし、その歓声もまた、一瞬の出来事であった。

『氷鎌……乱舞!!』

モブ狂信者達の首や胴がスパパパパーンと、一瞬にして宙を舞った。

「DEATH?」

仲間の歓声が突然消えたのを不思議に思い、梓は振り返った。

そこにはFOE・アイスシザースが自分に向けて鎌を向けていた。

『凍土の大鎌!!』

次の瞬間には、即死属性の一撃が梓の首を捉えた。
梓の死を理解する暇もまま、絶命した。
はねられた首がバレーボールのように宙を舞った。

【中野梓@けいおん! 死亡確認】



『雷竜様ッーーー!!』

狂信者を全て斬殺したアイスシザースは大急ぎで雷竜に元に詰め寄った。
アイスシザースは雷竜同様、土砂に埋もれていたが、自力で脱出できたのだ。
だが土砂から脱出した矢先に見たのは、殺害された裁断者と虫の息の雷竜、勝利に酔っていた狂信者達であった。
土砂に埋もれていた結果、今まで狂信者達に感知されなかったのだ。
そして自分に気が付いてない点と勝利に酔ってる最大の隙をつき、狂信者達を奇襲で全滅させたのだ。

『アイスシザース……生きていたのか……』
『申し訳ございません、私が落盤に巻き込まれず、もっと早く脱出できていればこんなことには……』
『そう…自分を責めずとも良い……』

息も絶え絶えの状態で、アイスシザースに語りかける雷竜。
アイスシザースは自分の救援が遅れたことを強く後悔していたが、雷竜はそんな彼を恨むことはせず、むしろ生きていたことを喜び、微かに微笑んでいた。

『ア、アイスシザース、私はもうダメなようだ……』
『そんな……!』

雷竜は頭部に致命傷を受け、もうすぐ己の命が限界を迎えようとしていることを悟っていた。

『すぐに怪我を治せる者をお呼びします! 世界樹の巫女やレストなら一瞬で治せるでしょう』
『間に合わんよ……それに先ほど感知した魔力の動きから察するに、巫女とレストは地上で戦っているようだ』
『なんと……』
『彼女らの戦いを……邪魔するわけにもいかんしな……』

超大な回復魔法持つまどかとレストはエリカと歪みし豊穣の神樹の回復のために地上に戻り、そのまま狂信者の大軍団との戦闘に入ってしまった。
さやかはおそらくまだ地上に残っており、地下で貴虎捜索に向かった者達の中に回復魔法を使える者もいない。
仮に使えても、周囲には雷竜とアイスシザースしかおらず、まず治療は間に合わないだろうというのが雷竜の見解だった。

『せ、せめて最期に一度くらい……美しい人妻熟女を見ながら、熟女に注がれた酒を飲みたかったが……な……』
『馬鹿なことを言わないでください!
トップの座は他者に譲ったとしても、あなたは我らが軍勢に必要な方なのですから!』
『その言葉を聞けただけでも嬉しいぞ……アイスシザース……』

雷竜の声が徐々に力をなくし、弱まっていく。

『親友たる氷竜や赤竜、ダオ…ス殿達には本、当に申し訳ないが、私はここまでだ……
……魔物と、共に生きてくれる良き人、間の未来のためにも、世界樹だけは絶対に守ってくれ……』
『雷竜様?』
『…………』
『雷竜様ァァァァァーーーーーッ!!!』


そして、人妻熟女と酒が大好きな誇り高き魔物の長、雷鳴と共に現る者は永遠の眠りについた。


【雷鳴と共に現る者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】

994 地下を走る死神の列 :2015/07/08(水) 21:26:35 ID:iszudFbc0



『……雷竜様……この世界樹を守る役目、必ずや全うして見せます! この命に代えても!』

雷竜の死はショックではあるが、だからと言って踏みとどまっているわけにもアイスシザースはいかなかった。
今こうしている間にも、この地下ではどこかで爆弾を仕掛けようとする輩が侵入し、地上では大規模な戦闘が行われている以上、自分だけ立ち止まっているわけにもいかないであろう。

『本当は今からでも墓の一つでも建てて上げたいところですが、申し訳ありません雷竜様。
裁断者もスマン、後で必ず建てるから許してくれ』

事態が切羽詰まっている以上、雷竜と裁断者の死体は野晒しにするしかなかった。
今は単純な死体処理ですらやる時間がないのである。
死者を悼む時間すら与えられてない現状にアイスシザースは歯噛みする。

(落盤で多少のダメージは受けたが、戦う分には問題あるまい。貴虎捜しに戻ろう。
地上もとても気になるところだが、地上にはフォレスト・セルや巫女殿達もいる……きっと大丈夫、というよりフォレスト・セルですら止められないなら俺が行っても足でまといだろう、今は勝利を信じるしかない)

幸いにも落盤でダンジョンの部屋に閉じ込められてしまった影薄組とは違い、こちらには退路が残っていた。
その道からアイスシザースは貴虎捜索に戻っていった。

(仲間達は無事だろうか……特に骨竜には無事でいて欲しいが)

目の前で雷竜と裁断者が死なれたこともあり、仲間の身を案じるアイスシザース。
しかし、不幸なことに、既に地上・地下共に少なくない犠牲者が出ており、FOE仲間である死を呼ぶ骨竜は貴虎一行に既に討ち取られていることを、彼はまだ知らない。



【二日目・9時30分/東京・都庁地下南部】

【アイスシザース@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)
【装備】無し
【道具】ちりとり、支給品一式
【思考】
基本:都庁を住処にしたモンスター達と協力して生き残る
0:引き続き貴虎を探す
1:雷竜様(雷鳴と共に現る者)の意思を引き継ぎ、都庁の世界樹は死んでも守る
2:魔物を奴隷にする人間は嫌いだが、同盟の人間なら一応は信頼する
3:デスマンティス達の裏切りに未だにショックを受けてるが、戦いに私情は挟まないようにする
4:他の仲間は大丈夫だろうか?(特に死を呼ぶ骨竜)
※雷鳴と共に現る者より、地上が攻撃を受けていることを知りました

995 Giant Step :2015/07/09(木) 18:35:09 ID:tME.iHsw0

「RXキック!!!!」
「お、おんみょ〜ん……」

 開幕必殺技に見えるが、この間にいろいろあったのだ。
 そう、光太郎はちゃんと悪の波動、痛み分け、不意打ち、鬼火の対策を練り戦った。
 悪の波動⇒キングストーンフラッシュで相殺。
 痛み分け⇒キングストーン+太陽の光で即回復。
 不意打ち⇒食らっても怯まない。
 鬼火⇒……

「この身体は炎を力に変えているのか……?」

 悲しみの王子・ロボライダーである。
 悲しみとキングストーンが反応して、ロボライダーに変身可能になったのだ。
 炎を自分の力に変えて戦う、それがロボライダーである。

 そして、冒頭RXに戻り、ミカルゲにRXキックをかましたのだ。


 ――CLOCK OVER――

「ハッ!」
「グ……!」

 超高速の中を二人のライダーが駆け抜ける。
 しかし、片方はやさぐれているが戦闘経験豊富なライダー。
 もう片方は変身アイテムを手に入れたてのライダー。
 その経験値の差は火を見るよりも明らかであった。
 立っているのはキックホッパー。
 地に伏せているのはザビー。

「止めだ……!」

 だが、次の瞬間ザビーの変身は解けた。
 
「!?」




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