憂「人類の半数がちいこになった」 - 1751247547

1：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:39:07 ID:Pbn.s5nU0: 憂「ある日、人類の半数が『ちいこ』という謎の小さな生き物になりました」

憂「ちいこ化する人は完全なランダムで、原因は不明。元に戻る方法も不明」

憂「人々は混乱に見舞われましたが、すぐにちいこの愛らしさに魅了されていきました」

憂「これはそんな世界の、私達の物語」
2：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:39:32 ID:Pbn.s5nU0: ①律と澪

モブ「二人とも本当仲良しだねー。いいなぁ」

律「へへっ」

澪「またな」

律「なぁ、今私達カップルに見えたかな？」

澪「…いや、無理だろ。女同士だし、幼馴染だし。友達同士にしか見えないよ」

律「そっかぁ～残念。ま、付き合ってることは私らがわかってればいいもんな！」

澪「…そうだな」ふふっ
3：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:40:18 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

モブ「クマちゃんのちいこ？可愛い～！」

モブ「なんだか親子みたいね」

澪「…違うよ」ﾎﾞｿｯ

ちいこ(律)「ん？」

澪「なぁ律…私達って恋人だよな？私達がわかってればいいんだもんな」

ちいこ(律)「ん…？」

澪「なぁ、そう言ってくれよ。忘れないでくれよ、律ぅ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ちいこ(律)「んわ…」
4：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:40:52 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

モブ「あの二人、仲良しね」

モブ「そうなの。いつも一緒で手を繋いでる」

モブ「もしかしたら、恋人同士なのかもね」

ちいこ(澪)「わ！」

ちいこ(律)「ん！」
5：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:41:30 ID:Pbn.s5nU0: ②田井中母

田井中母(パート終わったわ。もうそろそろ子供達も帰ってるわよね)

田井中母(聡も部活終わってお腹空いてるだろうし、いっぱい食べさせてあげないと。またユニフォーム汚してるかしら)ふふっ

田井中母(あ、律もだわ…)

田井中母「…」

娘の律と息子の聡がいる。
正直、息子の方が可愛い。

男の子は女の子より言葉が遅くて幼くて、危なっかしくてほっとけなくて可愛いのだ。
だから、律には姉ということもあって、聡より厳しくしていたし、我慢させてしまっていたと思う。

田井中母「ただいまー」

ちいこ(律)「んわ！」

聡「母さん、姉ちゃんが…」

娘がちいこになった。
6：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:42:14 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

ちいこ(律)「ん！」

言葉が喋れず、小さくて、危なっかしくてほっとけない、可愛いちいこ。

田井中母「律…！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

きっと、罰なのだと思った。

私が、子供への愛情に差を付ける悪い母親だから。

娘はこんな姿になってまで、弟より愛されようとした。そんな錯覚を覚えた。

田井中母「ごめん、ごめんね律…可愛いよ…」ｷﾞｭｯ

ちいこ(律)「ん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
7：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:43:08 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

田井中母「律、本当に大丈夫？」

澪「大丈夫ですよ。律は私達が面倒見ますので」

田井中母「本当にありがとう、澪ちゃん。何かあったら、すぐに連絡してね」

ちいこ(律)「あ！」

田井中母「行ってらっしゃい律、気をつけてね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

これからは、沢山律を可愛がってあげよう。

聡「…」
8：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:43:28 ID:Pbn.s5nU0: 結局、私のような愚かな母親は、同じことを繰り返してしまうのだ。

ちいこ化した律のことばかり気に掛けて、聡を気にしてやれなかった。

だから、また罰が下った。

ちいこ(聡)「んわ！」

ちいこ(律)「お…」

田井中母「……」

泣きながら、「やっと子供達を平等に愛せる」と思った
9：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:44:23 ID:Pbn.s5nU0: ③梓

ちいこ(律)「んむ、んむっ」はぐっはぐっ

紬「あらあら、零しちゃって」ｳﾌﾌ

ちいこ(澪)「ふー、ふーっ」ｽﾞｽﾞｯ

唯「澪ちゃんちいこもりっちゃんちいこも可愛い～」

紬「本当ね。ずっと見ていたい光景だわぁ」ｳﾌﾌ

ガタッ

梓「唯先輩もムギ先輩も、おかしいですよ…」

唯「あずにゃん？」

梓「澪先輩と律先輩が、全く別の生き物に変わっちゃったんです！それなのに、どうして二人ともそんなに呑気なんですか！これじゃあ、武道館ライブの夢だって、叶わないのに…！」

紬「で、でもちいこちゃん可愛いじゃない」

梓「可愛くありません！…むしろ、気持ち悪いし、不気味としか思えません」

紬「あ、梓ちゃん…」

唯「酷いよあずにゃん、澪ちゃんとりっちゃんに謝ってよ！」

梓「…その二匹はもう、澪先輩と律先輩じゃないんですよ」

紬「そんな…」

ちいこ(澪)「…」くい、くい

梓「なんですか？私はあなたを澪先輩だなんて認めませんからね」

ちいこ(澪)「う！」てちてち

ちいこ(律)「ん！」よじよじ

唯「澪ちゃんエリザベスのケース開けてあげるよ」

紬「りっちゃんはドラムに座りたいのね、はい」
10：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:45:16 ID:Pbn.s5nU0: 不器用な丸い手で、必死に楽器の音を出す二人。
音はめちゃくちゃだけど、私にはわかった。二人は、演奏をしようとしているのだと。

梓「澪先輩…律先輩…」

わかってしまった。このちいこ達が、紛れもなく澪先輩と律先輩だって。

梓「うぅ…！」ポロポロ

紬「梓ちゃん…」

唯「あずにゃん、武道館には絶対に行こうね」
11：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:46:27 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

そして私達は、ついに夢の武道館ライブに出た。
HTTの演奏が一番の大盛況だった。

モブ「きゃあ～～、可愛い～～！」

モブ「ちいこが一生懸命演奏してる！」

梓(律先輩、澪先輩、良かったですね…)

その評判が、かつて私達の望んだものでなくても。
12：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:47:07 ID:Pbn.s5nU0: ④さわ子

堀込「山中先生、そろそろ結婚しないのか？」

さわ子「えっと…」

堀込「彼氏の一人もいなくちゃ勿体ないって」ﾜﾊﾊ

モブ教師「ちょっと堀込先生、セクハラですよ」

さわ子「…実は、将来を誓い合った彼が、ちいこ化しまして」

堀込「えっ」

さわ子「ちいこになっても愛していますから、今も一緒に暮らしてます。だから、他の人は考えられなくて…」

モブ教師「さわ子先生…」

堀込「こ、これは悪いことを聞いたな…すまなかった…」

さわ子「いえ」
13：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:47:41 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

さわ子「ふぅ疲れた。さて、家に帰ればあの子が待ってるわ」

私に恋人なんて、元々いない。
周りの「彼氏いないの？」「結婚しないの？」攻撃に耐えかねて、嘘をつくことにしたのだ。

さわ子「ただいまー」

ちいこ「んー！」

この子は、ただの知らない野良ちいこ。
さっきの嘘を成立させるために引き取った。

ちいこになる前どんな人間だったのかは知らない。

さわ子「おいしい？」

ちいこ「ん！」はぐはぐ

誤算だったのは、私がちいこを捨てられなくなったこと。本当に結婚したい人ができたらどうしよう。

さわ子「あーもう、零してるよ？」

ちいこ「ん？」

でも、寂しい一人暮らしではなくなった。
こういうのも悪くない。
14：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:48:25 ID:Pbn.s5nU0: ⑤紬

紬「お父様がちいこになって、琴吹グループが倒産しちゃった」

悲惨な内容を、何故かにっこり笑って話すムギ先輩。

琴吹グループの他のスタッフ達も半数がちいこになってしまったらしい。

紬「いらっしゃいませ」

今、専業主婦だったムギ先輩のお母さんは働きに出て、ムギ先輩も家計を助けるためにバイトをしているらしい。
ちいこになったお父さんのために…
15：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:48:55 ID:Pbn.s5nU0: お嬢様でなくなったムギ先輩。お茶やお菓子を出してくれることもなくなった。
ごめんねと謝られたけど、それでも私も唯先輩もムギ先輩が大好きだ。
律先輩と澪先輩も、きっと…

紬「それからね、こないだ斎藤もちいこになって、うちに転がりこんできたのよ」

紬「斎藤とお父様、仲良くて本当に可愛いの」ふふっ

唯「いいな～、今度動画見せてよ！」

紬「いいわよ」

一度ムギ先輩に聞いてみました。
どうして、こんなに大変な状況なのに、いつもみたいに笑っていられるんですかと。

そしたら、ムギ先輩は。

紬「だって、みんなと同じになれたんだもの」
16：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:49:21 ID:Pbn.s5nU0: ⑥信代

私はブスだ。

桜高の3年2組は可愛い子ばかりなのに、私は大柄なブスだ。

別に、それでいじめられたりはしない。むしろ、ガサツで明るいキャラとして売ってるから、友達にも恵まれている。

慶子「あははっ、信代ったら面白ーい！」

潮「サイコー！」

私は、それなりに幸せ。
だけど、小さくてみんなに「可愛い」と言われるような子が、時々羨ましくなる。
17：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:49:49 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

さわ子「田井中さんと秋山さんに続いて、中島さんもちいこになってしまいました」

さわ子「中島さんとご家族の意向により、学校へは通うこととなります。みんな、中島さんが困っていたら手を貸してあげてね」

姫子「中島さんは猫ちゃんなんだ。可愛いね」

唯「信代ちゃんも可愛い～！後でりっちゃん澪ちゃんと並んで写真撮ろ！」

ちいこ(信代)「ん？」

ｶﾜｲーｶﾜｲー

ｷｬｯｷｬｯ

慶子「…」ガタッ

潮「慶子？」

ちいこ(信代)「ん？」
18：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:50:12 ID:Pbn.s5nU0: 教室の外

慶子「あんなの、信代じゃないよ…！」

潮「慶子…」

慶子「みんな、おかしいよ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

潮「…信代、前に一度言ってたよね。一度でいい、小さくてみんなに可愛いって言われるようになってみたいって。冗談めかしてだったけど」

潮「今の状態って、信代の願いが叶ったのかも」

慶子「…それでも、前の信代の方が良かった」

潮「…うん」

ちいこ(信代)「んわ！んわ！」てちてち

潮「信代…うちらを追ってきてくれたの？」

ちいこ(信代)「ん！」にこっ

慶子「信代…そうだよね。うちらは、ずっと３人だよね…！」
19：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:50:40 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

アカネ「信代ちゃん、ばいばーい！」

ちいこ(信代)「ん！」

エリ「キャー、手振ってくれた！」

慶子「信代、帰るよ！」

潮「信代ちゃんはすっかりアイドルですなぁ」

慶子「バスケ部の試合やっぱり出る？敵も戦意喪失して勝てちゃうかもよ～」ｱﾊﾊ

ちいこ(信代)「んわ！」
20：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:51:13 ID:Pbn.s5nU0: ⑦純

純「いらっしゃいませー」

ちいこ「ん」

純(あ、またあのちいこだ)

最近、バイト先のコンビニの売り上げが合わない。
原因はちいこだ。代金を払わずに品物を持ち出したり食べたりしている。
つまり万引きだ。

純「こら！」ｶﾞｼｯ

ちいこ「ん！？」

純「お金を払わずに持ってっちゃダメなんだからね！」

ちいこ「うー！んんー！」

モブ「可哀想」

純「！」

モブ「ちいこなら仕方ないじゃんね」

モブ「お腹空いてたんだろうし」

モブ「許してあげたらいいのに…」
21：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:51:37 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

店長「君ね、ちいこにはもう少し優しくできないの？ちいこをいじめてる姿が複数回見られたって、お客さんから苦情来てるよ」

純「いじめてなんかいません！悪いことは悪いと言ってるだけです！店長だって、ちいこのせいで困ってるじゃないですか！」

店長「店のために動いてくれるのは嬉しいし、気持ちはわかるよ。でもちいこなら仕方ないっていうか…」

純「わかりました。もうこの店やめます」

店長「え？ちょっと、そこまでは…」

純「さようなら」
22：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:52:21 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

純「ってことがあってね。なんで私が辞めなきゃならないのよ！あんな店ちいこの万引きで潰れちゃえばいいんだ！」

梓「純はちいこに厳しいねー。でもちいこには言ってもわからないんじゃない？」

純「そんなことないよ。ちいこだって元は人だもん。教えたらわかってくれるはず」

憂「純ちゃんは優しいね」

純「優しい？」

憂「そう。可愛いからって悪いことでも許してたら、ちいこのためにならない。諦めない純ちゃんは本当に優しいよ」
23：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:53:11 ID:Pbn.s5nU0: -----------------

純「いい？お買い物の様子をちゃんと見といてね」

ちいこ「ん！」

純「このドーナツは130円。わかる？」

ちいこ「んんー」

純「100円と、1、2、30円。これあげるから、店員さんにこのお金をあげて、ドーナツをもらってね」

ちいこ「ん…」

店員「ありがとうございましたー」

純「偉いよ！ちゃんとお買い物できたね！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ちいこ「ん！」

純「さっきみたいに、お店の物はお金と交換なの。お金を払わないで持っていくのは悪いことなんだよ」

ちいこ「んわ！」

純「いい子だね。ドーナツ一緒に食べよ！」

ちいこ「わ！」

私は今、身寄りのないちいこを引き取って幸せに暮らしている。
24：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:53:50 ID:Pbn.s5nU0: ⑧平沢姉妹

唯「ねー憂、私もちいこ飼いたいよー」

憂「え、ちいこ？」

唯「そう！ちいこってすっごく可愛いもん！飼っていいでしょ、憂ー」

憂「うーん…」

プルルルル…

憂「ちょっと電話出るね」

憂「はい……えっ、そんな……」
25：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:54:18 ID:Pbn.s5nU0: コソコソ　トントン

唯「玄関で物音がするから、ちょっと確かめてくるよ」

ガチャ

ちいこ1「んわー！」

ちいこ2「うー！」

憂「お姉ちゃん、あのね…」

唯「見て見て憂！玄関にちいこがいたよ！しかも二人も！可愛いでしょー！」

憂「そ、そうなんだ。あのね」

唯「でも二人とも随分汚れてるね。お風呂で綺麗にしてあげる！」

ちいこ1「んわ！」

ちいこ2「んっ！」

唯「ねえ憂、飼っていいよね？」

憂「…いいよ」

唯「やったーありがとう憂！良かったね、これからずーっと一緒だよ！」

憂「…」
26：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:54:46 ID:Pbn.s5nU0: お姉ちゃんには言えません。

お父さんとお母さんが旅行先で行方不明になったことも。

そのちいこ達の正体が、恐らく、お父さんとお母さんだということも。

これから私は一人で、姉と両親を支えなければならない。

そのことを思って、途方に暮れるのでした。

終わり
27：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:57:00 ID:Pbn.s5nU0: 元ネタはおおつかちょんによる漫画「人類の半数がちいこになった」

ちなみに澪はウサギのちいこです
28：いえーい！名無しだよん！：2025/06/30(月) 10:59:48 ID:Pbn.s5nU0: 和ちゃん出すの忘れてた…