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澪「木登り」
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律「ほら澪ちゃん、大丈夫だよ。ねっ」
澪「ふぇぇ…怖いよう、もう帰ろうよぉ…」
それは二人がまだ小さい頃。
りっちゃんに上から手を差し伸べられながら、澪ちゃんは太い枝にしがみついて怯えています。
澪ちゃんは、りっちゃんに強引に誘われて木登りをしに来ていたのでした。
「上まで登ったらとっても気持ちいいんだよ!」というりっちゃんの言葉に誘われたことを、澪ちゃんは後悔しています。
律「怖くない、怖くない…。大丈夫、あたしがついてるよ」
おそるおそるりっちゃんの手を取って、りっちゃんに励まされながら時間をかけて、澪ちゃんは上まで登ることができました。
澪「うわぁっ…」
木の上から見えた綺麗な景色に、風の気持ちよさに、澪ちゃんは声を上げます。
律「ねーっ、気持ちいいでしょ!」
澪「…うん!」
澪ちゃんとりっちゃんは枝に並んで腰掛けます。
小鳥の声や木の葉のそよぐ音が近くに聞こえて、まるで、メルヘンな物語の少女のよう…。
そう、メルヘン少女の澪ちゃんは思いました。
澪「すごいすごい!もうこの木は、私達のものだね!」
律「そ、そうだね」
澪「ねえ、この木を『大いなる木』って名付けようよ!」
あんなに怯えていたのに、登った途端に調子に乗ってはしゃぐ澪ちゃんに、りっちゃんは苦笑しました。
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律「…というわけで、私が澪の殻を破ってドキドキの初体験をさせてオトナにしてやったのさ!」
澪「変な言い方するな!」ポカッ
紬「うふふ、素敵な冒険をしたのね」
唯「木登りかぁ。懐かしいなー。私も小さい頃、憂や和ちゃんとよくやってたよ」
梓「私もです。なんだか、久しぶりにしてみたくなっちゃいました」
澪「さすがにもう木登りするわけにはいかないだろ。今思えば、子供の頃に登っておいて良かったな」
唯「りっちゃんとの大冒険の思い出ができたもんね!」
澪「あぁ。凄いよな子供の頃の私達。あんなに大きな木に登れたんだもんな!」
梓「そんなに大きかったんですね。見てみたいです」
律「それなら見せてやるぞー。確かこの公園にある木だったからな」
澪「梓もきっとびっくりするぞー。なんせ『大いなる木』の名に相応しい大きさだったんだから」
梓「へえ、もしかして、この公園で一番大きいあの木ですか?」
律「いや、その向こうのあの木だ」
梓「…え?」
唯「あの木…そんなに大きい?」
澪「い、いやいや律、何言ってんだよ。あんな小さい木じゃなかっただろ!」
律「いや、確かにあの木だよ。私はよーく覚えてるぞ。枝の形状とかよく見てみろよ」
澪「確かに記憶通りだ…でもまさか、そんな…」
梓「あれが、大いなる木、ですか?」
紬「まぁまぁ。昔は大きく見えた木が小さく思えるくらい、澪ちゃんもりっちゃんも成長したってことでいいじゃない」
澪「そ、そうだよな…」アハハ
律「まぁ実は私、当時から澪のために初心者向けのこの木を選んだんだけどな!」
澪「りーつぅー」ポカッ
律「なんでだよ!」
梓「ちょっと唯先輩、何登ってるんですか!」
唯「いやー、当時りっちゃんと澪ちゃんが見た景色を私も見てみたいと思いまして。あずにゃんも登る?」
梓「登りませんよ!」
唯「大丈夫、怖くないよ〜」
梓「怖いわけじゃなくて!」
紬「うふふ」
澪(いつだって、律が手を引っ張ってくれるから、新しい景色が見られるんだよな)
おわり
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昔のけいおん全然関係ないジャンルの同人サイト様のお題集を見て
「これけいおんで消化してみたらどうなるんだろうなー。試しにこの、『大いなる木』とかどうすれば…お?なんかいい話が出来上がりそうだぞ」
ってなって一気に書き上げた
なんのジャンルかわかったら凄い
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