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律「わかるよ、澪の足音は……」

1 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:36:07 60d0bfis0
梓「って言ってましたけど、本当なんですか?」

律「わからん」

澪「本当だよ」

律「勝手に言い切るな」

澪「いや、わかるだろ?」

律「なんとなくだってば」

梓「そこまで言うなら試してみましょうよ」

梓「試してみましょうよ!そこまで言うなら!」

律「2回言うなよ」

澪「望むところだ!」

律「なんでお前は自信満々なんだよ」

澪「余裕だろ?」

梓「じゃあ罰ゲームの話なんですけど」

律「罰ゲーム!?」


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"
2 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:36:47 60d0bfis0


梓「では手始めに二択で」

律「ていうか罰ゲームってなんだ」

澪「お前はただ直感で私を選んでくれればいいんだよ」

澪「簡単なことだろ?」

律「圧が凄い」

梓「ふん、見ものですね」

梓「では、この踏み台を私か澪先輩がランダムに昇降していきます」

梓「律先輩はどちらのJKが発した足音なのかを当ててもらいます」

律「どこから引っ張り出してきたんだこんなもん」

澪「物置にあったのか?」

梓「はい」

梓「田井中家の古い階段の軋み音を再現できると思って」

澪「別にあの家の階段を再現する必要ないけどな」

梓「いい感じの小汚さだったんですよね」 ギシッ

澪「たしかに」 ギシッ

律「ウチの階段そんなに軋みませんけど!?」

梓「じゃあこれの軋み音で澪先輩の足音を言い当ててみてくださいよ」

梓「できるものならねえ!!」 ゴッ

澪「蹴るな」

律「勝手に話を進めんなって言ってんだよ」

律「罰ゲームの説明をしろ!」


3 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:37:08 60d0bfis0


律「じゃああっち向いてるから手短に」

梓「では目隠しをしますね」

律「目隠しすんの?」

梓「何らかの手段で合図を出し合うかもしれないじゃないですか」

澪「ふん、望むところだ」

律「私は望んでないんだけど」

澪「そんな小細工は必要ないんだよ、私たちくらいになると」

梓「幼馴染ならではのズル賢い手を使ってきそうですからね」

梓「この踏み台のように小汚い手をねえ!」 ガッ

澪「蹴るな!」

律「何と戦っているんだコイツは」

梓「じゃあアイマスクを取り付けますよ」

律「はいはい」

梓「本当に見えてないんですかこれ?」

律「見えん」

澪「本当に?」

律「ああ」

梓「………」 ピラッ

澪「シロだな」

律「なにやってんだよ!?」


4 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:37:33 60d0bfis0


梓「勝手に目隠しを外されないように両手も拘束しましょう」 ←なぐられた

律「大げさすぎだろ」

梓「いいから手を出してください」

澪「なんでそんなもん持ち歩いてんだ」

澪「その……黒い拘束具みたいなやつ」

梓「黒い拘束具です」

律「黒い拘束具を持ち歩くな!」

澪「そ、そんな物まで軽音部の物置に……?」

梓「よくある話ですよ」

澪「軽音部のOGがそんな物を」 ゴクリ

梓「まあ私物ですけどね」

澪「さわ子先生の趣味じゃなくて良かった」 ホッ

律「よくないだろ」

律「後輩の趣味だぞ」

梓「いや、護身用ですよ」

律「買うなよそんなもん」

梓「これもセットで買うと安かったので……」

澪「何とセットで買ったんだ」

律「買うな!!」


5 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:38:20 60d0bfis0


梓「動き回られるのも厄介なので両足もイスに縛っておきますね」 ギュッ

澪「もう1セット出てきた」

律「もはや監禁だ」

澪「じゃあそろそろ始めるぞ」

梓「澪先輩、澪先輩」 ヒソヒソ

澪「?」

梓「今なら簡単に唇を奪えますよ」 ヒソッ

澪「バっ、バカか!」

梓「だってほら、あの状態じゃ逃げる事も抵抗する事もできないんですよ」

澪「そうだけど」

梓「相手は目隠ししてるし、なにも恥ずかしくないじゃないですか」

澪「そっ、そう…かも知れないけど……!」

梓「澪先輩、どうせ自分からアクション起こすことなんて出来ないんですから」

梓「今が最後のチャンスかも知れないですよ」

澪「………」 ゴクリ

梓「むしろキスどころかその先まで……」

澪「………!」

梓「まあ、澪先輩を信用してアホみたいに拘束を受け入れた幼なじみを
  完全に裏切ることになっちゃいますけどね!」

澪「お前は私をどうしたいんだよ!?」

律「ぜんぶ丸聞こえなんですけど!?」

梓「うかつでしたね」

澪「ああ」

澪「いや、私に同意を求めるな」

梓「ついでに口と耳も塞いでおきますか?」

律「いよいよワケわかんなくなるだろ」

律「なんの為にこんな格好させられてんだよ私」

梓「澪先輩、口って下の口とかじゃないですからね?」

澪「わかってるよ!」

澪「いや、意味がわかんないよ!!」

梓(キスはまだなんだ……)


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6 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:39:35 60d0bfis0


澪「………」 ギシッ ギシッ

律「澪」

梓「………」 ギシッ ギシッ

律「梓」

澪「………」 ギシッ ギシッ

律「澪」

澪「………」 ギシッ ギシッ

律「澪」

梓「………」 ギシッ ギシッ

律「み…梓」

澪「………」 ギシッ ギシッ

律「……澪?」

梓「………」 ギシッ

律「梓……?」

澪「終了!!終了!!」

澪「ほら!完璧だったろ!?」

梓「ちょっと危なかったじゃないですか」

律「合ってた?」

澪「よくやった」 サスサス

律「ああもうっ、やめろってぇ!」

梓「くそっ、イチャイチャしやがって……」 ムラムラ


7 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:40:11 60d0bfis0


梓「ていうかサンプルが少なすぎるんですよ」

澪「お前が二択とか言い出したんだろ」

律「あの、気が済んだらこれを外して」

梓「……体重ですか?」

澪「何が言いたい」

梓「そうですよ、体重が明らかに違うんですから足音なんか簡単に聞き分けられるじゃないですか」

澪「梓、一回軽くひっぱたいていい?」

澪「軽く」

梓「というわけでムギ先輩も呼びましょう」

澪「どう説明するんだよ、この監禁現場みたいな状況」

律「わかってんなら早く解放しろ」

梓「私呼んできますね」

梓「2人でゆっくりしててくださいね!」 タタタ

澪「ちょっ、待ておい!」

澪「お前絶対ムギに変なこと吹き込むだろ!?」 タタタ

律「これ一回外そうぜ!?」


8 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:40:41 60d0bfis0


梓「律先輩、下の口は無事でしたか?」 ガチャ

律「第一声がそれかよ、この拉致監禁犯」

澪「くそっ、行き違いになった」 ゼェゼェ

梓「あれっ、一緒じゃなかったんですか」

梓「せっかく2人っきりにしておいたのに」

紬「あっ、りっちゃんが監禁拘束されている」

律「ムギ、ちょっとこれ外して」

梓「ちょっと涙声になってますね」

澪「強がってるけど不安だったんだな」

澪「よしよし」 ナデナデ

律「いいから外せよこれ」

紬「えっ、何があったの?」

紬「これからみんなでりっちゃんを……?」

澪「話すと長くなるんだ」

紬「プレイの体験談が?」 ドキドキ

律「どこからどう説明したらいいんだ」


9 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:41:24 60d0bfis0


梓「ほら、律先輩が風邪ひいて生理不順で寝込んでた時あったじゃないですか」

紬「2年生のころね」

律「ねえよ」

紬「イライラして澪ちゃんに当たり散らしてた時でしょ?」

澪「ああ」

律「いや、そうだけど、そうじゃなくて」

梓「そのとき澪先輩がお見舞いに来て、添い寝したって自慢してたじゃないですか」

紬「うっとうしいくらい何度も聞かされたアレね」

律「バッ、そんな話してないだろ!」

澪「私が話したんだよ」 キリッ

律「バカか!!」

梓「ていうか全員目撃してますからね、律先輩が手を握られながら寝かしつけられてるとこ」

律「なんで!?」

澪「私がタイミングを見計らって全員呼んだんだよ」 キリッ

律「だからなんでだよ!?」

梓「そのとき、澪先輩の下の音を聞き分けられるみたいな事を言ってたらしくて」

紬「下の音?」

律「足音!!」

梓「律先輩がどうしてもそれを証明したいという事で」

紬「それがどうしてこんな緊縛プレイに……」

律「私が聞きたいよ」


10 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:42:13 60d0bfis0


澪「……ということがあってだな」

梓「ウェイト差が大きくてちっとも勝負にならないんですよ」

澪「お前が人並みに発育してないのが悪い」

梓「私の質量では澪先輩に太刀打ちできなくて」

紬「質量」

梓「体重ですね」

紬「それで私を連れてきたのね?」

梓「にゃん!」

紬「梓ちゃん」

梓「はい」

紬「人が死んだとき、魂を失った肉体は21グラム軽くなるのよ」

梓「あれ信憑性が低いって聞きましたけど」

紬「いい機会だから試してみない?」 ガシッ

澪「みよう」 ガシッ

梓「ちょっ、私をこれ以上軽くしてどうするんですか」

梓「差が開くだけじゃないですか」

梓「バカなんですか?」

紬「本当に21グラムも軽くなるのかしら……」

律「私は何も見なかった」

ギニャー


11 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:43:21 60d0bfis0


〜 事後 〜


澪「では足音フェチ王決定戦の結果を発表します」

律「誰が足音フェチだ」

梓「いやいや、おかしいですってこれ」

澪「お前もちゃんと見てたろ? 聞いただろ!?」

澪「私の時だけ正解率100パーセントだぞ!?」

律「マジで?」

澪「ムギと梓が2人がかりでも私に敵わなかったんだぞ!?」

律「えっ、そういう勝負だったっけ?」

澪「1/3の純情な感情!!」

律「ちょっ、わかった、うるさい」

紬「澪ちゃん、テンションがうるさい」

律「わかったからこの拘束を外せ」

梓「澪先輩は置いといて、なんで私とムギ先輩の足音を聞き違えるんですか!!」

梓「重量感がぜんぜん違うじゃないですか! このへっぽこドラマー!」

紬「梓ちゃん」

紬「21グラム」

梓「だっておかしいじゃないですか!絶対何か仕込んでますよこの人たち!」

澪「梓」

澪「どっちが重いとかそういう問題じゃない」

澪「これは 『重い』 じゃなくて 『想い』 の差なんだよ」

梓「なに上手いこと言った気になってるんですか」 ペッ


12 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:44:14 60d0bfis0


澪「なにからっ♪ 話せばっ♪ いっいの〜か〜な〜♪」 ジャンガ ジャンガ

紬「秋山リサイタルが始まってしまったわ」

梓「くそっ、浮かれやがって……」 チッ

律「おい、気が済んだらいいかげん外せってこれ」

梓「だって見てくださいよ、あの浮かれ顔!」

律「だから見えないんだよ!!」

梓「軽音部に連れ込まれてなかったら文芸部の陰キャだったくせに」 ギギギ

律「ムギ、ちょっとこれ……」

紬「あの満面の笑顔がスッと消える瞬間が見てみたい」 ボソッ

律「………」

律「おい澪、嬉しいのはわかったから早く解放してくれ」

澪「つ〜いて来いって言う代わり〜 最高のライン探すよ〜♪」 ギュィィィ

律「ダメだ、見えないけど聞こえてない」

紬「よっぽど嬉しかったみたいね」

紬「忌々しい」

梓「私だって、唯先輩にあずにゃんギター上手いねって言われたことあるんですから……」

紬「それとはちょっと違うわ」


13 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:44:57 60d0bfis0


律「なんで全問正解したのに罰ゲームみたいな仕打ちを受けてるんだ」

梓「私とムギ先輩を間違ってましたが」

澪「本題は私を見分けられるかどうかであって、他は誤差みたいなものだからな」

梓「なんなんですか、あの勝ち誇った憎たらしい顔」

律「見えないんだってば」

澪「見ろよ、あのドブ猫の悔しそうな顔!」

律「だから見えないつってんだよ」

澪「じゃあ梓、そろそろ解放してやれ」

梓「ちっ」

紬「えっ、やっぱり澪ちゃんの指示で拘束していたの?」

梓「違うけど止めようともしませんでした」

澪「完全にお前が主犯だろ」

梓「じゃあカギ外しますね」 ジャラ

律「カギかかってたのかよこれ!?」

梓「これ、解放した途端に怒り狂って殴りかかってこないですかね……?」

律「狂ってるのはお前らのほうだ」


14 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:45:33 60d0bfis0


梓「というわけで」

梓「部長の封印を解いた人は高確率でぶん殴られそうなので、じゃんけんで決めましょう」

澪「いいだろう」

梓「私じゃんけん弱いから嫌です!」 ダッ

澪「逃げられた!?」

紬「澪ちゃん、そっち!」

澪「そっち!?なにが!?」

紬「私こっちだから!」 ダッ

澪「ムギまで!?」

澪「ちょっ、待て! おいっ!」

律「ちょろすぎるだろ、秋山さん」

澪「後輩の口車に乗せられて縛り付けられてる奴に言われたくないんだよ」

律「わかったからもう帰ろうぜ」

澪「くそっ、中野め……」 カチャカチャ

律「外れた?」

澪「どうやって外すんだこれ」

律「おいマジか」


15 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:46:20 60d0bfis0


律「とにかく梓を呼び出してぶっ殺……の前にアイマスクだけでも外してくれ」

澪「わかっ……」

澪(こ、この体勢はまずい……)

律「?」

澪(か、顔が近い……!)


   梓 (……今なら簡単に唇を奪えますよ?)


澪「………」 ドクン

律「……?」


   梓 (あの状態じゃ逃げる事も抵抗する事もできないんですよ)


澪「………」 ドクン ドクン


   梓 (今が最後のチャンスかも知れないですよ)


澪(そうだ、これは罰ゲーム……) ドクン ドクン

澪(いや、むしろ律へのご褒美で……) ドクン ドクン

律「……澪?」

澪「!」 ドキッ

澪(いや、今なら……!)

律(何やってんだアイツ?)

澪「………」

律(澪の吐息が、顔がこんな近くに……) ドクン

律(まさか……) ドクン ドクン

澪「………」

律「………」


16 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/15(水) 21:47:10 60d0bfis0


ガチャッ


唯「あっ、りっちゃんが縛られてる」

澪「!?」

律「!?」

唯「えっ、み、澪ちゃん……?」

澪「違う!これには理由が!」

梓「澪先輩、そういえばさっきの拘束グッズ返してください!」

澪「私が借りてたみたいに言うなっ!!」

唯「あの、なんか、見ちゃってゴメンね……」

澪「違うんだって、その目をやめて」

梓「律先輩、なんで顔が真っ赤になってるんですか?」

唯「なんでだろうね」

紬「いろいろあったのよ」

紬「はみちつ色の午後が過ぎてく……」 Honey sweet tea time♪





おわれ


17 : いえーい!名無しだよん! :2021/09/21(火) 19:14:31 Mi3vW7cg0
>梓「私じゃんけん弱いから嫌です!」 ダッ

>紬「私こっちだから!」 ダッ


めっちゃわらた


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