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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

31覚醒 ◆JOKER/0r3g:2020/01/08(水) 16:00:51 ID:6aG2OzYo0

起き上がり、服に付いた砂埃を払った麗奈は、そのままフィリップと共にGトレーラーへ向かおうとして、しかしその視線の先にもう一つの戦いがあることを認めその足を止めた。
そこにいたのはデルタと同規格らしい仮面ライダーに、この戦いの発端となった圧倒的な実力を持つオルフェノクの二人。
赤い仮面ライダーは信じがたいことに、その戦闘スタイルから見るに三原修二らしいが、あのオルフェノクの疲労もあってか、今のところは互角にやり合えているらしい。

だがそれでも彼の戦い方は稚拙極まりなく、オルフェノクに対して消耗が明らかに激しい。
どうやらあの形態そのものが彼にとって無理のあるものらしく、デルタに変身している時に比べてもなお彼の動きはどこか覚束ないものだ。
少なくともあのオルフェノクを相手にして誤魔化しが効くのも時間の問題だろうと、麗奈は見切りを付ける。

自分が、行かなくては。
使命感にも似た思いを抱いてGトレーラーとは逆方向へ歩き出した彼女を見て、フィリップは思わずその肩を引き留めていた。

「待て、間宮麗奈。今の君が行ったところで、死にに行くような物だろう」

「そうかも知れん。だが私は――」

「――行かせてやれよ、フィリップ」

突如その場に響いた声に彼らが振り向けば、そこにはさも最初から居たかのような立ち振る舞いで欄干に寄りかかる乃木の姿があった。
恐らくは今までのウカワームとクウガの戦いも遠くから悠々と観戦していたのだろう。
麗奈が死にかけただとか、クウガが暴走して生身の参加者に襲いかかるかも知れないだとか、そんな事は彼にとってどうでもいいことなのだ。

いよいよ彼が仲間として自分の前で取っていた行動は自分の利益の嘘に塗り固められたものだったのだと確信し、フィリップは堪えがたい憤りを覚える。
だがそんな彼の怒り肩に大した感慨を抱く様子もなく、乃木はそのままゆっくりと彼らの前へ歩を進めた。

「おや、だんまりか?まぁいい、それよりも……決着を付けようか?間宮麗奈」

フィリップには興味をなくし、麗奈へ翻った乃木の表情は、余裕に溢れている。
当然だろう、見るからに満身創痍である彼女には、それだけでなく変身手段すらもう残されていないのだから。
だがそれでも毅然とした態度で乃木を睨み付け続ける麗奈に退屈したのか、痺れを切らしたように彼は懐から一本のベルトを投げ渡していた。

「――使えよ。それがあればまた、俺と戦えるだろう?」

危なげなく麗奈が受け止めた見覚えのあるベルトに、フィリップは目を見開く。
彼女が今手にするそれは、草加雅人が使用していたカイザギアの一式だ。
恐らくはその辺りで村上が堕としたものを偶然拾ってきたのだろうが、入手経緯は大した問題ではない。

今彼が危惧しているのは、カイザを使用した際に装着者に襲いかかる余りに重い代償についてだった。
適合した者が変身しない限り、このベルトは装着者を灰化させその命を奪い取る。
フィリップは勿論、乃木も麗奈も同様に知っているだろうそれを百も承知で、乃木は今彼女に問うているのだ。

死を約束された鎧を纏ってでも、自分と戦う気はあるか、と。
きっとそれは乃木にとって、単なるお遊びに過ぎないのだろう。
先にフリーズを誇示した事で、カイザに変身しようとしまいとお前に待ち受けている運命は同じだと、そう暗に示しているのかも知れない。

だがそんな彼の狙いなど考える必要もないと、麗奈はカイザドライバーをその腰に装着する。
そのままカイザフォンを開き変身コードを入力しようとした彼女に対し、フィリップは思わずその肩を引き留める。

「正気か!?それで変身したら、君は死ぬんだぞ!そうでなくても、今の君じゃ戦う事なんて無理だ」

「いや、どちらにせよ奴はこの状況で私を見逃すつもりはないだろう。ならば、最後に私はやるべき事をやる」


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