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アニメキャラ・バトルロワイアルV

140 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:37:14 ID:NRf9D8VE0

「最初のターゲットは貴様らだ!」

森の中から何者かが襲いかかってくる!
人間とは思えないスピードで飛びかかってくる男。
まともに攻撃を食らってしまったら絶対にまずい。

「パープルヘイズ!」

フーゴの手前に紫の人型が現れ、男の勢いの乗った殴打と打ち合う。
人間からの攻撃とは思えないくらいの痺れ、同レベルのスタンドと打ち合ったかのようだ。
一体何者なんだこの男!?

「フーゴ君!」

「何っ!? ガードしただと! なんだその人型は!」

この男まで! 二人ともスタンドが見えているだと!
だが初めて見たかのような反応、また無自覚なスタンド使いとでも言うのか!?
いや、主催者が言っていたスタンドの制限というのは、
スタンド使い以外でもスタンドを見えるようにするということなのか!?
フーゴは取り敢えず言葉を交わす。

「貴様ッ! この殺し合いに早速乗ったというのか!」

「フン。私は桃白白、世界一の殺し屋だぞ。
 私がこの殺し合いの場に呼ばれたのは、他の参加者どもを殺してほしいということだろう。
 優勝したらきっちり代金を請求してやる。
 もちろん願いを叶えてもらうのとは別件でな」

「くッ……! 貴様、あの主催者が本当に願いを叶えると思っているのか!?」

フーゴは曜を守るように後ろにやりながら後ずさる。

「7つ揃えれば何でも願いを叶えるというドラゴンボールを主催者が揃えているとすれば、
 何でも願いが叶うというのも自然なことだろうな。
 まあ貴様ごときに優勝は出来ないがな!」

フーゴは対話不能な相手だと理解する。
主催者に対する疑いを持っていない無慈悲な殺し屋に、
殺し合いの正当性を疑わせることなんて不可能だ。
こちらが殺し合いに乗っているということにして組む提案をする手もあったが、
相手はできるだけ多く殺すことを狙っている以上これも不可能。

141 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:38:12 ID:NRf9D8VE0

「僕のスタンドなら何とか出来るかもしれない! 逃げてくれッ!」

フーゴの合図とともに曜が逃げ出していく。

「ふん! 遠ざかっても無駄だ!」

何をしようというのか桃白白は腕を上に掲げる。
そこに力が集中していくのは、気という概念を知らないフーゴでも感じられた。
フーゴの直感が何らかの遠距離攻撃の危険を感じる。
フーゴは逃げる曜の方へ駆け出していた。

「どどん波!」

桃白白は指を差すような形にし、腕を振り曜が逃げた方に向けてくる。
その瞬間、指の先端から謎の光線が発射されたのだ。

「うおぉぉぉーーッ! パープルヘイズ!」

フーゴは曜が逃げる方を追いかけながら、射程5mの紫の人型を向かわせる。
間一髪、紫の人型が光線の前に立ち塞がり、守らんと腕で光線をガードする。
命中する光線。命中した箇所は強く発光して周りを照らす。
下手な銃などよりはずっと強い威力。
フーゴの腕に焼印を押し当てられるような熱い感覚が走る。

「なっ、何なの!?」

後ろからの発光に驚いた曜が足を止め後ろを振り返る。

「はぁ……はぁ……」

光線が終わった。
しかしパープルヘイズは前に出した左腕表面に広く火傷のようなダメージを負い、
余波は上半身の一部までをも焼いている。
パープルヘイズは近距離パワー型の強力なスタンドだ。
岩を砕き銃弾を拳で弾くこともできる。
それでガードしてこのダメージという事は、
人体に当たればガードした部分の余波だけでも体が焼け即死はしないでも致命的であろう。
パープルヘイズが食らった場合も、
まともに急所に食らってしまえば戦闘不能となるダメージになりかねない。

ある程度自意識のあるパープルヘイズは、怒り狂い桃白白に襲いかかろうとする。
しかし射程外なので攻撃は届かず、腕を振り回し威嚇するだけに留まる。
そこで、思いがけず桃白白が語り掛けてくる。

「貴様、不思議な能力を持っているようだな。主催者が言っていた異能の一種か。
 それでも本気を出せば私が勝つだろうが、
 私もできるだけ多く殺したいのにここでいきなり消耗するのは惜しい。
 ここは取引と行こうか。貴様の支給品を置いていけ。
 そうすれば、この場で殺すのはその女一人分で我慢してやろうじゃないか」

142 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:38:46 ID:NRf9D8VE0

まさかの提案。フーゴは必死に考える。
相手は達人の身のこなしでスタンドも見えている。
パープルヘイズの操作精度は悪く、
ほぼ怒りに任せてしか攻撃できない以上警戒されれば攻撃を当てることは期待薄だし、
本体への攻撃を守り切ることもできるか怪しい。
特に曜を守りながら戦うことはまずできない。
ウイルスをばらまけば感染させることにより倒せる可能性は高まる。
だが夜中ではウイルスを光で死滅させるのは難しい。
森の中は月明かりも陰る場所が多く、ウイルスが完全に死滅することを全く期待できない。
一般人の曜はウイルスを避けるのは難しいし、
感染させた状態で相手に触れられたら自分も非常にまずい。

相手との戦闘に役立ちそうな支給品も持っていない。
一粒で怪我を完治させるという仙豆。
ウイルス感染した状態で体を治しても、
夜では周りにウイルスが死滅せず残る以上再感染する可能性が高い。
曜から受け取った銃も相手がパープルヘイズと殴り合える実力を持つ以上、
ミスタのように銃の達人でもないフーゴが使ったところで、
短銃身で狙いがずれやすいことも含めて通用しないだろう。
そしてもう一つの支給品も、少なくとも今戦うために役立つ代物ではない。

フーゴにはこの状況をどうにかできる成功率の高い策が思いつかないことを、
すぐに理解してしまった。
トリッシュのために命を懸けることを躊躇ったフーゴは、
もちろんここで初めて会った一般人の少女のため命を懸けることもできない。

フーゴは観念したように、支給品の入ったデイパックをゆっくり降ろす。

「そんなっ?! フーゴ君!」

「なるほど、理解が早くて助かる」

殺し屋は納得するとともに、言葉を続ける。

「一つ他の奴の情報をやろう。
 知っているかもしれぬが参加者の中のピッコロ大魔王、
 奴は私の生まれるより過去に封印された存在だが、
 名簿に乗っているということは封印を解かれているかもしれぬ。
 奴は地上を恐怖に陥れた伝説の魔王、人間の命など虫けらとも思わないだろう。
 奴なら私の様に、お前を見逃すなどということは無いだろうな。
 強い仲間を集めるなぞして、せいぜい倒せるか頑張ってみることだ」

「くっ……!」

こいつも危険視するような存在がさらにこの島にいるというのかと、フーゴは恐ろしくなる。

「さあ、私の気が変わらんうちにとっとと行け!」

フーゴは逃げ出そうとするが、足がなかなか動かない。
曜の方を見ることができない。
一歩を踏み出し始めたとき、声が聞こえてくる。

「わ……私、フーゴ君のこと責めない。
 フーゴ君一人でも助かることが大事だよね……。
 どうか、もし私の仲間に会ったら私のこと、忘れないでって伝えて……」

フーゴはそれっきりすべてを振り切るように走り出し、見えなくなった。

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143 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:39:20 ID:NRf9D8VE0

フーゴは後ろを振り返らず必死に走る。

やがて逃げた方から聞こえてくる絹を裂くような叫び声。

フーゴは曜が死の恐怖からは逃れられなかったのだと推察した。
やはり一般人の少女があの場面で死の決心をするなど、到底無理なことだ。
自分を決断させて素早く逃げさせるため、一時的に感情を押し殺していても、
本当の本心では、彼女はもっと生きたかったのだ。
また元の日常に戻りたかったのだ。

フーゴは罪悪感と、死にたくないという気持ちがより強くなっていく。
フーゴがもっと馬鹿だったら、凶暴性以外にも感情豊かだったら、きっと涙を流していただろう。

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144 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:39:54 ID:NRf9D8VE0

私は、自分はどうなってもいいからフーゴ君を逃がす、そういう選択をした。
支給品の中に入っていた不気味な仮面。
少なくとも自分の恐怖を紛らわすくらいはできると信じて被ったんだ。
そうすると自然にフーゴ君を逃がすための言葉が心の中から紡がれる気がした。
そしてフーゴ君は逃げてくれた。良かった。
戦うことのできない私でも、最期に一人でも命を助けられて良かった。
迫ってくる殺し屋。とても怖い。
でも私は決心したんだ。フーゴ君に託した。
……でもどうして? 体の震えは止まらない。

自然に足が動いて殺し屋から遠ざかろうとする。
身体がまだ生きたいと言っている。
心の奥にもまだ生きたいという気持ちがある。

「あ、あっ、ああああぁぁぁぁ!」

逃げなきゃ。生き延びたい。走らなきゃ。
お願い! 私の脚、もっと速く!

……えっ? 目の前に人影。回り込まれた?

「逃げようとしたって無駄だ」

息を吐き出してしまう。
掌で体を叩き飛ばしてきたんだ。
後ろの木に叩きつけられる。

「……お、お願い! やめて! 助けて! 死にたくない!
 みんなと帰ってAquorsを続けたいんです!」

「なるほど。貴様の仲間も後であの世に送ってやるから安心してよいぞ。
 どれ、名前と特徴を言ってみろ。料金は主催者にまとめて請求するし必要ないぞ」

……今この人何を言ったの? 私の仲間もあの世に送る……?
千歌ちゃんに、梨子ちゃんや善子ちゃんも殺されるの?
でもここに来てないみんなもいつか遠い未来には死ぬんだから、
そうしたら天国で集まってスクールアイドルができるのかな。
それも悪くないのかな。

……そんなことあるわけない。
こんなところに急に連れて来られて、
こんな人に私たちの人生めちゃくちゃにされるなんて、
ものすごくものすごく悔しい。
私だってまだ生きたいけどもう駄目、でもこのまま死ぬなんてあり得ない。
せめてこの殺し屋に一矢報いたい。
少しでもAquorsのみんなや、フーゴ君が殺される可能性を下げてあげたい。
でも私にはそんな力全然無くて。
何もできない自分が本当に悔しい。

145 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:40:29 ID:NRf9D8VE0



『……反逆する力が欲しいのだな?』

急に襲ってくる頭痛。前頭部を抑えてしまう。
そして頭の中に響く謎の声。一体誰?

『我は元の魂から引き剥がされ、使役されるだけの存在と成り果てている……』

(まさか、さっき着けた仮面から私に話してるの?
 元の魂っていうのは仮面を元々付けてた人のこと?)

『だが……今のお前の仲間を守りたいという反逆の灯、我の魂と同じだ……』

(そう。私にフーゴ君みたいな戦う力があれば、
 Aquorsのみんなを殺し合いから守りたい!)

痛みをこらえて声が漏れる。殺し屋も異変を察知しているらしい。

「そうか、頼っていた男に見捨てられたショックで頭痛が苦しいのだな?
 哀れな奴だ、せめてこれ以上苦しまないよう一撃で殺してやろう」

殺し屋が攻撃の構えに入った。猶予はない。

(お願い! 力を貸して!)

『よかろう……我は汝、汝は我となる……
 覚悟して背負え……
 反逆のドクロを掲げて出航だ!』

殺し屋がとどめを刺すため、指で額を一突きにしようと突進して来る。
でも分かった。仮面を引き剥がす、それがこの声の主を呼ぶ方法!
手を掛ける。ピタリと張り付いてる気がするが、そんなこと関係ない!

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

生まれてから一度も出したことのないような叫び。
遠くへと森の中に響き渡る。

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146 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:41:03 ID:NRf9D8VE0

しばらく前。森の中の月明かり差す開けた場所。
二人は支給品を確認し合っていた。

曜の支給品は最初の銃とバラバラで入っていた予備弾丸の他には、
小さなカプセルから出てきた衣装ケース。
フーゴがカプセルも亀のスタンドのように大きいものを狭いところに入れられる、
何らかのスタンドなのではと推察した。
中には赤い髪のウィッグと服にヘッドホン。
ウィッグまであるとは変装しろということだろうか。

「これを私がブチャラティさんと接触するときに使えば、
 もっと組織の人たちに察知されにくくなりそうですね!」

「ああ。本当にその時が来たら……よろしく頼む」

そしてデイパックの一番下にまだある何かを取り出す曜。

「きゃっ!」

「曜、どうした?」

曜のデイパックの中から出てきたのは、頭蓋骨のような形のマスクだ。

「ううん、ちょっと驚いたけど本物の骨じゃないみたいだし大丈夫」

「そんなものを支給するとは、主催者も趣味が悪いんだな」

「待って、説明書きもある。
 えーとなになに、この仮面をトリガーにすることで、
 ペルソナ『キャプテン・キッド』を使役することができる……?」

それを聞いたフーゴが考察する。

「使役する……つまりペルソナというのはスタンドの別名だろうか?
 スタンドは持ち主の魂と関係して現れるはずだが、こんなマスクで……。
 いや、亀のスタンド使いもいたのだから物にスタンドが宿っていないとも限らないのか……?」

「つまり、このマスクを使えば私もフーゴ君みたいな人型を出せるようになるのかな?」

「そうかもしれない。
 だが、スタンドの中には本体にも危険を及ぼすデメリットを持つものもある。
 実は僕のスタンドもそれに該当している。
 無闇に試さないほうがよいだろう」

「わかった。でも一応私が持っておくね。
 フーゴ君に私に支給された危険かもしれないものを持たせるわけにいかないし」

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147 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:41:37 ID:NRf9D8VE0

「何っ!?」

指による刺突は私の額を貫くはずだった。
でも寸前でそれは何かにより阻止され、殺し屋は跳ね飛ばされてゆく。

「貴様、先程着けた仮面の力とでも言うのか!?」

殺し屋は跳ね飛ばされたあと受け身を取り、できるだけ離れたところに着地し顔を上げた。
目の前には謎の船が浮遊して立ち塞がっている。
船の上には船長が佇む。

「こ、これが……私の心に応えてくれた、反逆の魂……」

呼び出した霊体……キャプテンキッドは出現した勢いのまま突進したんだ。
指は船のキールに当たって自分を貫くことはなく、そのまま一緒に跳ね飛ばされたみたい。
キャプテンキッドは黒ずくめの服に、顔は被った帽子のマークと同じ……骸骨。
船も黒ずくめで、掲げられた旗はドクロ。れっきとした海賊船。
私の憧れる船乗りの人々に対して、仇なす存在。
でもこの殺し合いという状況では、
殺し合いをしなければならないという決まりこそが悪。
それに反逆するんだから海賊というモチーフはぴったり。

「ふむ、有用な支給品も色々あるようだな……」

殺し屋は何かを思ったのか、フーゴ君が落としたデイパックの方へ駆け寄っている。

「そ、それはフーゴ君の……!」

デイパックから何かを取り出した。暗くてよく見えない。

「こちらも支給品の力を借りさせてもらうぞ!」

殺し屋がその何かを頭から着けるような動きをする。
ところがその瞬間、突如響くミステリアスな音楽。

「な、なんだこれは!?」

殺し屋は何故か手が勝手に動いてしまっているみたい。
前掛けを上げて裏に何もないことを確認させてくる。

「くそっ! 体が勝手にっ!」

「え? ……えっ?」

前掛けをおろし、その下に手を回し暫くすると……。
なんと持ち上げられた両手には大きな花束が抱えられている。

「ハズレもあるということか! 忌々しいっ!」

私は理解した。
あれはフーゴくんの支給品で、付けた者に手品を強制させる効果がある首飾り。
フーゴ君は後のこともしっかり考えていた。
この殺し屋を弱体化させようと、置いた支給品に罠を貼ってくれていた。
もしかしたら私が逃げられるようにと思っていたのかもしれない。
残念ながらそこまで強力な効果ではなかったみたいだけれど、今の私には充分すぎる。

148 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:42:11 ID:NRf9D8VE0

キャプテンキッドは電撃を出すことが出来るみたいだ。
電撃がうまく当たれば、感電してその部分は痺れて動きがにぶくなるはず。
そしたらフーゴ君から奪った他の支給品も、相手の支給品も奪い返してやる。
そして動けなくさせて二度と殺しはしないと誓わせてやる。

「行こう! キャプテンキッド!
 ヨーーソローー!!」

「何をふざけたことをぬかす!
 私の強さは全く弱まってはないのだぞ!」

殺し屋は手品で出した花束を私に投げつけてくる。
森の中だし近くに咲いてた花を集めて作ったんだろうか。
そんな手品の種を考える暇などない。とりあえずはキャプテンキッドに守ってもら……速い!?

花束にしては予想外すぎる速度。
ちぎれた花びらが飛んできた軌跡を描くのは、幻想的で綺麗とすら思ってしまう。
腕で守る反応すら間に合わず体に食らってしまい、一気に花びらが近くを舞い上がる。
体にダメージが入り思わず咳き込んでしまう。
とても痛い。花束なのに。体育の授業でボールを手加減なしにぶつけられたような強さ。
でも、なんとか耐えられる。
それに目を凝らすと、花束を捨てた殺し屋は次の手品の準備をしなきゃならないみたい。
しかもそれをしながら首飾りを外そうとしていて動きが止まっている。
今しかない。

「くそっ、何だこれは! 外れろ!」

「キャプテンキッド!」

キャプテンキッドが大砲となっている腕から電撃を放った。
初めて意志を持ってやり返した一撃は、
手品に戸惑っていたからかまともに殺し屋に当てることができた。

「うおおっ! 貴様っ!」

「全速前進! キャプテンキッド!」

キャプテンキッドは殺し屋に船で突撃を仕掛ける。
でも流石に警戒されていたのか屈んで避けられてしまった。

「ちょっと強くなった程度で調子に乗りおる!
 貴様ごとき手品をしながらでも倒してみせよう!」

でもこの状況、どう考えても私が有利。
手品をしているうちにどうしても大きなスキができるはず。
そこを狙って攻撃すれば……!

149 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:42:45 ID:NRf9D8VE0

そして手品の途中、相手の殺し屋が片手を上に挙げる。
なにか力が集中しているように感じるけど、手品の演出かな。
これも攻撃のチャンスだ!
キャプテンキッドにもう一度電撃を放たせる。
でもそれが届く前に殺し屋は、その手をこちらに振り下ろして来た。

「どどん波!」

「えっ……?」

指が眩しいと思った後、そこから左頬をかすめる謎の光線。
後ろ髪が少し千切られて、首筋に落ちる感触。
後ろで何かに当たって爆ぜたのか、後ろからの光がこちらを照らす。

さっきフーゴ君を襲った謎の光線と同じだ。
全く撃つ前準備がわからなかった。
フーゴ君を撃つ場面を見てなかったせいだ。

さっきの恐怖心がぶり返してくる。
あともう少し正確に撃たれていたら、頭に光線が当たっていたはず。
光線を撃ってきた腕は、電撃を受けてないから痺れてない。
つまり、少しだけ狙いがずれたのは手品を強制されているおかげ。
フーゴ君の残した首飾りが無くて相手が万全だったなら……きっと私は殺されてた。
力を手に入れた万能感に浸ってしまっていたんだ。
私バカだった。
フーゴ君の言ったブチャラティさんみたいに信念のため命を懸けるんじゃなくて、
何もわからず命を捨てようとする大バカ。
今まで人と戦ったことなんてない自分が急に強くなれるわけなんてやっぱりないよね。
既にペルソナのような能力を持っていて、
戦い慣れていそうなフーゴ君が諦めた相手に私が勝てるわけがなかった。
むかつくけど、さっき言われたちょっと強くなっただけというのは正しい分析だった。

駄目だ、今は逃げなきゃ。
もっとキャプテンキッドの使い方に慣れて、フーゴ君やその仲間、
他の殺し合いに乗ってない人たちと協力しないと危ない。
私は全力で逃げるように駆け出した。
海賊が生き残るためには略奪を無闇にするだけでなく、
敵わない相手からはとっとと逃げることも大事、
そんな考えが頭の中に入って来るようだった。
きっとこのキャプテンキッドの元の持ち主も、
準備が整うまでは強敵から撤退したりしていたはず。

「キャプテンキッド! 足止めお願い!」

でも、もう怯えるだけで何もできない私じゃない。
キャプテンキッドが、今の自分に可能な限りの早さで電撃を連発する。
流石に全部は当たらないだろうけど、避けるのに集中させて足止めくらいはできるはず。

「ぐっ……ぐう……。くそっ。これでも喰らってみろ!」

掛け声の後に、木が大きく動くような音。
そして次には後ろから何か大きな物が森の中を飛んでくるような音。
一体何? 後ろを振り返ろうとする。

150 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:43:19 ID:NRf9D8VE0

「うあっ!」

突如前にバランスを崩して体が地に叩きつけられる。
なんとか反応して手を付けたので、顔をぶつことは回避できた。
木の根が足に引っかかり転んでしまったみたいだ。まずい。
……でもその次の瞬間、背中の上を何かが高速で撫でるようにして通過していく。
そしてその先で轟く轟音。

顔を起こす。
目の前の光景が信じられないし理解が追いつかない。
木が二本重なったように倒れちゃっている。
……殺し屋は森の樹を折るか抜くかして、投槍のように投げてきたみたい。
木を盾にして電撃を防ぎ、逃げる相手を追撃する一石二鳥の手。
転んだことは運が良いことだったんだ。もし転んでなかったら……。
後ろからの攻撃と足下の両方に気をつけながらもう一度走って逃げ出す。
キャプテンキッドは限界まで後ろの殺し屋に電撃を放つ。

「ぐわっ! ……憶えていろ!クソガキ共!」

でも恐ろしい攻撃はそれっきりで、捨て台詞の後はそれ以上が襲ってくることは無かった。
あれだけの攻撃をしたその後には隙が出来て、避けきれず電撃が当たったらしい。
手品と電撃による痺れで身体の自由が遂に利かなくなって、一度諦めてくれたんだろう。
痺れながらも執念深く追いかけてくるようなら持久力が切れていたと思う。助かった。
それでもいつ治ってしまうかわからない以上、今は逃げ続ける。

それにしてもこのキャプテンキッド、
私が殺し屋と戦うことを決意したとき喜んで応えてくれたようだった。
私から殺し屋に渡ったほうが活躍自体ならいくらでも出来るだろうに。
この子は支給品として配られて使役されてしまうだけの存在だけど、
きっとこの殺し合いという状況に反逆してやりたいという気持ちがあるんだ。
こんな不思議でロマン溢れた存在、
善子ちゃんが見たりしたらテンション爆上げしちゃうんじゃないかな。
でも今の自分にとっても、完璧に合っている存在だ。

……そう。今はあいつから逃げるけど、いつかもう一度戦ってその時は絶対勝ってやる。
フーゴ君の支給品を奪ったことも、顔に傷をつけられたこともやり返してやる。

絶対にみんなを傷つけさせたりなんてするもんか!

これが今の私の、この状況に対する反逆の意志!

151反逆の精神 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:44:09 ID:NRf9D8VE0


【B-1/森 深夜】
【桃白白@ドラゴンボール】
[状態]:手品の呪い、痺れ、疲労(小)
[装備]:オリーブの首飾り@魔法陣グルグル
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品×1〜3
[思考・行動]
基本方針:出来るだけ多くの参加者を殺して優勝する
1:首飾りを外す方法を知りたい
2:首飾りが外れたらあのクソガキ共(フーゴ、曜)を殺す
3:ピッコロ大魔王の危険性を広め、出来れば他の者に倒してもらう

※参戦時期は悟空に敗北してサイボーグ化するより前のどこかです。

【渡辺曜@ラブライブ!サンシャイン!!】
[状態]:気力消耗(大)、軽傷(左頬の火傷のような怪我、体の打撲)、疲労(中)
[装備]:スカルの仮面@PERSONA5 the Animation
[道具]:基本支給品一式×1、三玖の変装セット@五等分の花嫁
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止めさせ、皆で脱出する
1:今は桃白白から逃げる
2:Aquorsのみんな、フーゴ君と合流したい
3:他の人と協力して桃白白を止める
4:フーゴ君の友人や敵との仲を取り持ちたい
5:ピッコロ大魔王の危険性を伝える

※参戦時期は一期終了以降のいつかです。
※ドラゴンボールについて知りましたが、支給品として存在するとは知りません。
※スタンドについての概要を知りました。キャプテンキッドはスタンドの一種だと思っています。
※フーゴとは知り合いの情報を交換しています。

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152反逆の精神 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:44:49 ID:NRf9D8VE0

フーゴは必死に逃げていた。
早く逃げないと、支給品の罠に気付いて逆上した相手に追跡され襲われる可能性がある。
バッグを渡す前、降ろす間に桃白白に見えないよう役立ちそうな支給品を隠し持ち、
マイナスの効果を持つ支給品を押し付けたのだ。
支給品の説明書きも、誰かに盗られたときのことを考え先に捨てていた。
自分は助かり、優勝するにしても主催を打倒するにしても邪魔な殺人者を弱体化させる。
緊迫した状況でも頭が回り、最も合理的ともいえる選択をフーゴは選んだ。
でもそんな自分のことがとても嫌になる。
出来れば例の支給品の効果による隙に曜が逃げてくれればという願望もなくはなかった。
だが叫び声が結果を物語ると感じてしまう。駄目だったんだ。

「こんな殺し合いから早く逃れたい……。
 くそッ! 一体僕はどうしたらいいんだッ!」

ピッコロ大魔王のことをわざわざ伝えてきたというのは、
そいつが桃白白と同格どころか上回る存在であり、
桃白白は自分で戦いたくなく他の人々に倒してほしいということの可能性も考えられる。
そんな奴すら存在する殺し合いの中で、フーゴは一体どのように生き残ればよいのか。
フーゴは何もできない自分に対して怒りを覚えるが、
今既に怪我をしている自分に凶暴性を向けてもどうしようもないことはわかっている。
まだ抑えられる。

「ジョルノ……君が居れば、ウイルスを使いこなす事ができるのに……」

ジョルノの能力ならば、ウイルスの遺伝子は変質していくがそれに合わせた抗体を作れる。
またウイルスに体の一部が侵されても切除してパーツを作ることが出来る。
ゴールドエクスペリエンスとパープルヘイズはかなり相性が良い。
だが、チームの他の全員がボスに離反する中で、
自分だけがついていかなかったことがやはり尾を引く。
会ったとしても合わせる顔がないのである。
さらには最悪の場合、自分が追手と誤解されて戦いになる可能性すらある。

フーゴは、殺し合いに反抗し自分の生きた証を残そうと決意した少女、
自分の利益のため殺し合いに乗ることを手早く決断した殺し屋の二人と遭った。
だがフーゴは未だに自分の行動指針を決めることができない。
しかし取り敢えず目標を建てる。
この行動は現状からの逃避なのかもしれない。
でもフーゴにとってはそれだけ彼女のことは心残りだった。

「曜の仲間に会って彼女の生き様を伝えなければ……。
 それが出来るまで、僕の体をそのために動かそう……」

後ろからは木が倒れる、いや吹っ飛ぶような轟音までもが響いてきた。
殺し屋が新たな獲物を見つけたのだろうか。
正攻法では絶対自分が叶う相手ではないとの認識が強まり、焦りが強くなる。
フーゴは敵からも現状からも逃避を続けてゆく。


【B-1/森 深夜】
【パンナコッタ・フーゴ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:左腕表面に広く、右腕一部に火傷のような怪我、疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:仙豆@ドラゴンボール、ミスタの銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
[思考・行動]
基本方針:生きて帰りたい。優勝狙いか脱出狙いかは決めかねている
1:桃白白から逃げる
2:曜を見捨てたことに強い葛藤。せめて曜の仲間に生き様を伝えなければ……
3:チームの元仲間たちの様子を知りたいが、どう接すればいいかわからない
4:ピッコロ大魔王、桃白白の危険性を伝える

※参戦時期は21話、ブチャラティ達からの離別後。
※スタンド使い以外にもスタンドが視認できていると感づきました。
※渡辺曜と知り合いの情報を交換しています。桃白白に殺されたと思っています。
※ドラゴンボールについて知りましたが、支給品として存在するとは知りません。
※フーゴがミスタの銃の予備弾丸をどれだけ隠せたかは次以降にお任せします。

153反逆の精神 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:45:23 ID:NRf9D8VE0
【ミスタの銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
グイード・ミスタが使用していた銃。
6発装填の短銃身リボルバー。
ミスタは服のあちらこちらに弾丸を仕込んでいた。
そのため予備の弾丸もバラバラで一緒に支給されていた。

【仙豆@ドラゴンボール】
青大豆のような小さな豆。食べると10日ほどは何も食べなくてもよく、
更に体力を回復し全身の怪我をたちどころに治すことができる。

【オリーブの首飾り@魔法陣グルグル】
ぷちアニメ5話に(原作、旧アニメにも)登場。オリーブの果実のような珠で編まれた首飾り。
高名な手品師の念が込められた首飾りだという。
かけると意思に反して何らかの手品を披露してしまう。
呪いの装備なので解呪しないと外せないが、
当ロワでは制限により解呪しなくとも2時間で外せるようになる。

【スカルの仮面@Persona5 the Animation】
2話から登場。坂本竜司が認知世界でペルソナに覚醒した時に現れた仮面。
彼のペルソナ"キャプテン・キッド"との契約の証にして召喚するためのトリガー。
本ロワ内では制限により、誰が付けてもキャプテン・キッドを使役できる。
ペルソナに精神が同調していなくとも、仮面が発動のトリガーと分かっていれば使える。
召喚しないつもりで顔から剥がせば譲渡や奪取も可能。
なおアニメ内の描写ではペルソナに覚醒した者は、
認知世界内での身体能力が上がりさらに一部の武器も使えるようになる。
アニメ、ゲーム内で名言されたことはないが外部で裏設定として言及はされているらしい。
これがどこまで適用されるか、あるいは適用されないかは不明。
(メタ的には次の書き手さんが決めてください。)
竜司の使えるようになった武器はメイス類(ロッド、バット、鉄パイプ等も含む)とショットガン類。

【三玖の変装セット@五等分の花嫁】
7話に登場した五月が三玖に変装したときの道具。
ウイッグとヘッドホンに三玖の私服がセットでホイポイカプセルに入った衣装ケースにある。
姉妹以外が使っても多分遠目ならばれない……はず。
ヘッドホンはダミーでなくちゃんと機能する。

154反逆の精神 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:45:59 ID:NRf9D8VE0
投下終了します。
また途中までタイトル抜けをやらかしてますね……

155名無しさん:2019/06/02(日) 10:30:15 ID:6hV86BVg0
投下乙です。
フーゴ、ただで逃げた訳ではなかったんだね
しかし曖昧な立場だと危ないぞ
果たして覚悟を決められるのだろうか

156名無しさん:2019/09/01(日) 18:29:03 ID:z1D94tSc0
保守

157名無しさん:2021/07/19(月) 01:24:44 ID:mP7oQ3s20
なぁこれもう終わり?


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