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アニメキャラ・バトルロワイアルV

134 ◆koGa1VV8Rw:2019/06/02(日) 03:32:54 ID:NRf9D8VE0
フーゴが転送されてきたのは森の中だった。
月明かりしかない夜闇の中、周りの様子程度はわかるが遠くは見えず、
主催者からは地図が支給されていると言っても自分がどこにいるのか把握ができない。
とりあえず警戒しながら見通しの良い月明かりのよく届きそうな場所を探し歩いていた。

人影を見つけるフーゴ。暗闇の中の遭遇で姿がよくわからない。
とっさに反応して、フーゴはパープルヘイズを出現させる。

「いやっ!」

声はおそらく同年代くらいの少女。
反応したということはスタンドが見えている、だがスタンドを使う様子がない。
無自覚なスタンド使いだとでも言うのかとフーゴは考える。

「来ないで! お願い!
 絶対誰も殺したくなんてないし、出来れば傷つけたくもないの!
 でもそれ以上近づいたら、その人型や、あなたの脚を撃つよ!」

少女はよく見ると拳銃を持っている。
スタンドが戦うための存在ということは直感で理解したようだ。
だからといって、そんな程度じゃ素人以外には全く交渉にはならない。
怯えた様子で手が震えているからまともに狙いがつくと思えないし、
自分のような近距離パワー型の中でも特に破壊力に秀でたスタンドならば、
銃弾を弾くことすら可能なのだ。
戦う覚悟も生き延びる術も、スタンドの知識も何もが足りていない。
このままでは、この少女は殺し合いの中で長生きできない。
こんな少女が殺し合いに巻き込まれ、このまま死んでいくなんてあまりにも居た堪れない。
フーゴの優しさが、この少女を殺す選択肢や放置する選択肢を塞いでいた。

「確かにこの人型、スタンドは戦うための力だ。
 でも銃を警戒しただけで、君を襲うつもりはない」

フーゴはゆっくりデイパックを外して落とす。
服の中にも何ら凶器をしまっていないことを、裏返したり叩いたりしてアピールする。
パープルヘイズは凶暴性を全面に出した存在だから、
地に伏せさせたりして攻撃するつもりがないことをアピールするのは無理だ。
とりあえずはスタンドを解除して消滅させた。
それでも少女は震えた手で銃を向けたままだ。

「君、そんなことを続けていたらこの先長くないよ」

「そんな、そうかもしれないけど……」

「僕は裏社会と関わりのある人間だから言える。
 君にはこんな殺し合いの場で生きるために色々なものが欠けている」

「裏社会……? そんな怖い世界の人が何で? 何でそんなこと言ってくれるの?」

「君のような何もわからない子がこのまま死んでいくのは忍びないと思った。
 これだけでは不十分か?」

陽はまさかそんな事を言われるとは思ってなかった。
緊張が少し解れ、銃を向けた手を降ろす。

「もう一度言うが君を襲うつもりはない。分かってくれたか?
 僕はパンナコッタ・フーゴと言う。
 しばらく君を保護したい。
 もっと生きる術を学んでいく必要があるんだ」

「……で、でも私、それなら貴方に付いて行ったらきっと足手まといになっちゃう。
 それに、これからAquorsのみんなを探さなきゃいけない。
 ここで初めて会った貴方に、手伝わせるわけにはいかないよ」

フーゴは表情を変えないが優しく言う。

「……君、もっと人の好意を素直に受けたらどうだ?
 僕が君を保護するのは僕が望んだことで、君が気負う必要はない。
 それに僕はまだ目的地とかは決めていないし、
 しばらく君の人探しに付き合うくらいは出来る」

「本当に、本当にいいの……?」

「ああ。今後長く同行できるかどうかはわからないが」

「それなら……とりあえずこの森を出られるまでは一緒にいたいと思う。
 私は渡辺曜。しばらくだけど……よろしく」

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