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安価多ジャンルバトルロワイアル

11 ◆2LRz5hdsTE:2018/11/01(木) 01:47:34 ID:cNkgOlmo0



I'm one step behind every step you take
 僕は君の歩みを追い続けている


Each time I reach it just seems to fade away
 届くたびにすぐ消えてしまいそうだ


ファヴと呼ばれる生物に脅迫され、バトルロワイヤルの開催を宣言する中。当麻紗綾は、呆気に取られていた。

この殺し合いに参加させられた事に、ではない。

自身の左手が再び動かなくなってる事に、でもない。

死んだはずのニノマエ----弟である陽太や、命を落とした志村美鈴がこの会場に呼ばれていた事に、でもない。

ついでに言うと転送された先で餃子親父ロボが目の前でウィンウィン動いている事もどうでもいい。


「なぜ」

冷泉の予言通り、瀬文に撃ち殺され―――存在ごといなくなった自分が、まだ生きてこんなクソ殺し合いに、巻き込まれてるのか。

詰まるところ、彼女の疑問はただそれ一つだった。




H-4、国会議事堂正面。
まるで悪夢を見ているかのような惨劇が終わり、当麻はようやく我に返った。
あのとき、当麻がこの殺し合いで最初に抱いていた感情は”無関心"だった。
平常であれば、本来の彼女はこの悪趣味すぎるゲームに憤り、あの場でSPECを発動することも辞さなかっただろう。
しかし、あの場で彼女の意識を独占していたのは乾いた感情のみだった。
自分たちが世界の命運を掛けて戦った後、さらに死者となった自分に、殺し合いをしろと。
混乱で考えが追い付かない内に、犠牲者が出た。誰かの頭部が割れ、悲鳴が渡り、転送された。

何もできなかった。左手が動くか、動かないかの話じゃない。刑事であると誓った自分が、自らの状況に引きづられて取るべき行動を取れなかったのだ。

そして現在、自分は爆弾付きの首輪を付けられ、左手のスペックも封じられてここにいる。

野々村係長の遺志、瀬文の運命、そして自らの命を犠牲にした先人類達との対決も、全て置き去りにされて。これほどの喜劇があるだろうか。
 

「……ムカつく、てか....無駄死にってコトかよ」
ファヴと呼ばれる主催者が、自分達の運命を何もかも嘲笑ってるように思えた。

そして。
異様にムカつくのは、それだけではなかった。

「来世で待ってろ、か。無責任すぎんだろ、あのバカ……スペックも持って無い癖に適当、言いやがって」
先人類に警視庁から落下させられても気合いでよじ登り、時が止まった世界にも抗い―――自らを、射殺した相棒。
当麻という人間を認め、自分が一生を巻き込むと誓った相手がこの殺し合いに呼ばれている事が何よりも、苛立たしかった。



「ファヴ。見てろよ。あの野郎が死ぬ前に……この殺し合い、ご破算にさせてやるからよ」
あの筋肉馬鹿がちょっとやそっとのダメージで死ぬはずがない。共に死線を潜り抜けたあの男が致命傷を受けてくたばる前に、この殺し合いを終わらせる。

そうしなければ……自分の最期の頼みを訊いてくれた瀬文の償いにならない。

「私達の運命を狂わせた罪、思い知らせてやるよ」
そう、何処にいるかもしれないゲームマスターに啖呵を切り、当麻はウィンウィン動いてる餃子ロボ親父の受け取り口に手を掛けた。


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