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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ4

1 名無しさん :2018/01/27(土) 23:20:27 ID:fRys9cx60
当スレッドはTV放映された
平成仮面ライダーシリーズを題材とした、バトルロワイヤル企画スレです。
注意点として、バトルロワイアルという性質上
登場人物が死亡・敗北する、または残酷な描写が多数演出されます。
また、原作のネタバレも多く出ます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でよろしくお願いします。


当ロワの信条は、初心者大歓迎。
執筆の条件は、仮面ライダーへの愛です。
荒らし・煽りは徹底的にスルー。

806 そしてゴングが鳴り響く ◆JOKER/0r3g :2019/04/30(火) 15:06:29 ID:Xj0mfVFo0

今度ばかりは僅かに言葉に棘をにじませた麗奈に対し、真司は申し訳なさそうに縮こまり頭を下げた。
少しの沈黙の後、それも仕方ないかと小さく呟いた麗奈は、改めて真司に向き直った。

「先ほどの放送で、この会場の東側全域が8時に禁止エリアになることが発表された。だから――」

「――なんだって!?」

麗奈の言葉を受けた真司は、そこから先の言葉を聞くこともなくすぐさま身体を翻して橋に向かって駆けだそうとする。
だがそれを読んでいたとばかりに後ろから彼の襟を引っ張った麗奈の怪力によって、その身体は少しばかり浮いただけで一切走り出すことはなかったが。
藻がいたところで無駄だろう力量差を理解したのか、走るのをやめた真司は、しかしその顔に確かな怒りと焦りを滲ませて勢いよく振り返った。

「何するんだよ!」

「何するも何もないだろう、話は最後まで聞け」

「聞いてる時間なんてないって!俺たちがこうしてる間にも、向こうに取り残された人が禁止エリアに巻き込まれちゃうかもしれないんだぞ!」

焦り故か、或いはある程度ワーム人格を取り込んだ麗奈にも思いやりがあることを理解したのか、敬語さえ取り払って真司は必死の抗議を試みる。
その形相から彼の正義や思いは確かに伝わるのだが、それはともかくとしてこのまま彼を東側に行かせるわけにはいかないと、麗奈は口を開いた。

「……心配する必要はない。恐らくこの禁止エリア化で犠牲になる参加者は一人もいないはずだ」

「はぁ?なんでそんなこと言えるんだよ」

「大ショッカーは、禁止エリアによる首輪の爆破などという形で参加者を減らすことをよしとはしないだろうからだ」

言った麗奈の表情は、確信に満ちている。
まるで、それが正解であると既に知っているかのような自信に溢れるその顔に、真司は思わず怯んでしまう。

「……なんでそんなこと言いきれるんだよ」

「簡単なことだ、奴らは今まで禁止エリアは多くても2時間に二つだけ設定していた。
しかも最初の放送に現れたキングという男の言葉を信じるなら、それすら当初の予定よりハイペースだったというのだから、今回は相当な特例であることが伺える」

「……まぁ、かもしんないけど、でも残り人数を考えたらそういうことだって……」

「そう、まさにそれだ」

残り人数がもう15人を切ってしまっているという事実を思い出し俯いた真司に対し、麗奈はその言葉を受けなおも続ける。

「我々参加者の残り人数はもう少ない。
大ショッカーからすれば東側という広いフィールドを禁止することで会場を実質半分以下にし、殺し合いを促進させる狙いがあるのだろう」

「いやだから、それのついでで東側に残っている人が死んじゃうかもしれないだろ!」

「その可能性もないとは言い切れない。
だが、それを行うくらいならば奴らは放送の瞬間に禁止エリアを設定すればよかった。そうは思わないか?」

「あ……確かに」

麗奈のどこまでも冷静な言葉に、真司はついに納得を示す。
元々自分の頭が悪いことは自覚しているのだ、理にかなった反論をされれば、真司にごちゃごちゃと議論を続けるつもりもなかった。

「とはいえ、安心は一切できないがな……」

807 そしてゴングが鳴り響く ◆JOKER/0r3g :2019/04/30(火) 15:06:45 ID:Xj0mfVFo0

うんうんと頷き続ける真司から目を離し、麗奈はひとり言のようにぼやく。
会場がほぼ半分に減少した今、数こそ減ったとはいえ殺し合いに乗った人物と遭遇する可能性は極めて高まったといえる。
翔一の死から察するに病院でも何か起きたようだが――それこそ門屋士の警告していたキングという男だろうか――それでもなお今のメンバーでもう一度危険人物を相手取れるとは到底思えなかった。

そのリスクを冒しても合流を目指していた東側参加者の存在さえ絶望的になったのだから、麗奈が早急に病院への帰還を求めるのは当然のことであった。

「よーし、そうと決まれば――おーい、三原さん、ちょっとこっち来てくれ」

思考を巡らせた麗奈を尻目に真司が離れた場所でリュウタロスを見ていた三原を呼びつける。
それを受け、心ここにあらずといった様子で放心していた三原が声に反応しこちらに合流するまで、それほどの時間は要さなかった。





暫くの後。
彼ら四人は、先ほどまで南下してきた道をそのまま北上していた。
だが四人の中に、大した会話はない。

いや、周囲の警戒に気を払っている麗奈や真司が大した会話をしていないのは、先ほどまでも同じことだ。
故にそう、先ほどまでと様子が変わったといえるのはただ一人。
放送以前まで存在していた、無邪気な子供のような言動を控えただひたすらに歩き続けるリュウタロスのみであった。

「……なぁリュウタ、その――」

「キングって奴は僕が倒すけど、いいよね?」

「え?」

久方ぶりに聞いたようなリュウタロスの声は、震えていた。
悲しみに、ではない。
怒りだ。

自身の宿主であり、それ以上に最高の仲間であった良太郎を無惨に殺したキングという男への怒りが、今のリュウタロスを奮い立たせていた。
それは彼の無垢とも言えるような純真さから見れば些か歪な立ち直り方とも言えたが……それを諭せるほどには、三原には経験が不足していた。

「――答えは聞いてない」

次の言葉を探し俯いた三原が何か言うより早く、リュウタロスはいつもの決め台詞で会話を一方的に終わらせる。
それきり言葉を紡ぐことなくただ前を見て歩き始める彼を横目に見ながら、三原はただ彼を言動のみで庇護対象だと決めつけていた自分を恥じる。
彼は自分が思うよりずっと強い存在なのだと改めて感じ……そして同時に虚しさを覚えた。

子供のような言動の裏にしかし、リュウタロスは確かに戦士として戦う意思を秘めていた。
彼は決して自分が守らなければいけない庇護対象ではないのだと理解した瞬間に、三原は自分が一人置いてけぼりにされたような感情を抱いたのである。
女性である麗奈も、子供だと思っていたリュウタロスも。

自分が男として守らなければと思っていた存在が、実は自分よりずっと強かったのだと知る度に、自分の存在意義が分からなくなる。
一体自分は何のためにここに呼ばれたのかと、何度目ともしれない自己嫌悪を抱いた、その瞬間。
不意に前を歩いていた麗奈と真司の足が、止まった。

「え、いきなりどうしたん――」

「構えろ、三原修二。来るぞ」

困惑のまま問おうとした三原に対し、麗奈はただ短くそう返す。
何事かと前を見やれば、そこにあったのは先の放送の際にも見たあの灰色のオーロラ。
つまりは大ショッカーが会場に何かを送り込む際に使用するのであろう、移送装置の一種であった。

808 そしてゴングが鳴り響く ◆JOKER/0r3g :2019/04/30(火) 15:07:02 ID:Xj0mfVFo0

そんなのありかよ、と三原が悲鳴にも似た泣き言を吐くより早く、オーロラが一つの影を映し出す。
その影が濃くなると同時、加速度的に高まっていく殺気を前にして、戦士達は悠長に敵が現れるのを待ったりはしなかった。

「――変身!」

真司が、麗奈が、リュウタロスが叫ぶ。
敵の姿を視認するより明らかなのは、そこから現れるのが一切の対話の余地がないモンスターであるということ。
そして恐らくは、今まで戦ってきたいずれの存在よりも強大な敵だと言うことであった。

果たしてそれぞれの変身を終えた戦士達の前に、影はいよいよ実像を結ぶ。
この広い草原の中で際立つような深い灰色をしたその怪人に、三原は確かに自身の知る存在との共通項を見出した。

「オルフェノク……!」

その単語が、何故自分から出たのか、自分自身も分からなかった。
それが自身と同じ世界の存在であるからか、それとも未来の自分が戦っていたという推測を今一度身を以て感じたからか。
ただ細かい理由はどうであれ、その異形を前にした三原の中に、もう戸惑いは存在していなかった。

デルタギアを腰に巻き付け、汗ばむ手でデルタフォンを掲げる。
恐怖や不安はあるがそれでも……今の三原にとって取るべき選択肢は一つしか残されていなかった。

「――変身!」

未だ震える声で叫んだまさにその瞬間に。
――戦いのゴングが、鳴り響いた。


【二日目 朝】
【G-3 橋】


【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】意識統合、疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダードレイクに変身中
【装備】ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、
【思考・状況】
基本行動方針:自分の中に流れる心の音楽に耳を傾ける。
1:目の前の怪人(アークオルフェノク)に対処する。
2:西病院に戻り仲間と合流する。
2:皆は、私が守る。
3:仲間といられる場所こそが、私の居場所、か。
【備考】
※人間としての人格とワームとしての人格が統合されました。表面的な性格はワーム時が濃厚ですが、内面には人間時の麗奈の一面もちゃんと存在しています。
※意識の統合によって、ワームとしての記憶と人間としての記憶、その両方をすべて保有しています。
※現状、人間時の私服+ワーム時のストレートヘアです。



【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版、美穂とお好み焼を食べた後
【状態】強い決意、翔一、士への信頼、疲労(小)、仮面ライダー龍騎に変身中
【【装備】カードデッキ(龍騎)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎、カードデッキ(ファム・ブランク)@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
基本行動方針:仮面ライダーとして、みんなの命を守る為に戦う。
1:目の前の怪人(アークオルフェノク)に対処する。
2:西病院に戻り仲間と合流する。
3:間宮さんはちゃんとワームの自分と和解出来たんだな……。
4:この近くで起こったらしい戦闘について詳しく知りたい。
5:黒い龍騎、それってもしかして……。
6:士の奴、何で俺の心配してたんだ……?
7:俺の願い……そんなの……。
【備考】
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解していますが、翔太郎からリュウガの話を聞き混乱しています。
※美穂の形見として、ファムのブランクデッキを手に入れました。中に烈火のサバイブが入っていますが、真司はまだ気付いていません。

809 そしてゴングが鳴り響く ◆JOKER/0r3g :2019/04/30(火) 15:07:17 ID:Xj0mfVFo0



【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】強い恐怖心、疲労(小)、仮面ライダーデルタに変身中
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555、ランスバックル@劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE
【道具】草加雅人の描いた絵@仮面ライダー555
0:……目の前のオルフェノクに対処する。
1:できることをやる。草加の分まで生きたいが……。
2:居場所とか仲間とか、何なんだよ……。
3:巨大な火柱、閃光と轟音を目撃し強い恐怖。逃げ出したい。
4:リュウタ……お前、やっぱり強いな……。
5:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
6:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやりたい。
7:リュウタロスの信頼を裏切ったままは嫌だ。
【備考】
※後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※三原修二は体質的に、デルタギアやテラーフィールドといった精神干渉に対する耐性を持っています。今抱いている恐怖心はテラーなど関係なく、ただの「普通の恐怖心」です。
※デルタギアを取り上げられたことで一層死の恐怖を感じたため、再度ヘタレています。



【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、決意、仮面ライダー電王(ガンフォーム)に変身中
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王、リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、デンカメンソード@仮面ライダー電王、 ケータロス@仮面ライダー電王
0:修二、強くなった……のかな?よくわかんない。
1:今の麗奈は人間なの?ワームなの?どっちでもないの?
2:良太郎の分まで生き残って、お姉ちゃんを守る。
3:大ショッカーは倒す。
4:モモタロスや良太郎の分まで頑張る。
5:キング(剣)って奴は僕が倒すけどいいよね?答えは聞いてない。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※自身のイマジンとしての全力発揮も同様に制限されていることに何となく気づきました。
※麗奈が乃木との会話の中でついた嘘について理解出来ていません。そのため、今の麗奈がどういった存在なのか一層混乱していますが、それでも一応守りたいとは思っています。



【アークオルフェノク@仮面ライダー555】
【時間軸】死亡後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
1:参加者は見つけ次第殺していく。
2:同族に出会った時は……。

810 ◆JOKER/0r3g :2019/04/30(火) 15:12:15 ID:Xj0mfVFo0
以上で投下終了です。
今日で平成も終わりですが、令和になっても『平成ライダーロワ』をよろしくお願いします
それでは何かご意見などございましたら気軽にお願いします

811 名無しさん :2019/04/30(火) 18:33:37 ID:lFCWnbLo0
投下乙です!
良太郎や翔一の死を知って真司やリュウタロスはどうなるかと思いきや、麗奈は上手くみんなのまとめ役になってくれましたか。原作でもワームを率いた彼女だからでしょうね!
三原も葛藤をしながらも、決して逃げだしたりはせず、自分のやるべきことを探そうとする姿は応援したくなります。
しかし、そんな一同の前にまさかのアークオルフェノクが出現!? とんでもない強敵を前に、どう戦うのでしょうか……

812 名無しさん :2019/05/01(水) 01:52:38 ID:0I0.JjSo0
投下乙です。

よりによってアークか……かなり不安な面子で迎え撃つことになってしまいましたが、個人的には村上社長が王の出現にどのようなリアクションを取るのか大変興味深いですね。

813 名無しさん :2019/05/15(水) 19:39:31 ID:tSAjaMUA0
月報の時期なので集計を
138話(+ 2) 16/60 (- 0) 26.7

814 ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:13:47 ID:BIslr8wQ0
おまたせいたしました。
これより投下を開始いたします。

815 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:14:57 ID:BIslr8wQ0

「やあ、ディケイドにダークカブト。さっきぶりだね」

士と総司の憎しみを込めた視線を前に、キングは一切動じることなく挨拶を飛ばす。
その声音にはまるで旧友に出会ったかのような気安さが滲み出ていて、彼の今までに行ってきた所行とのアンバランスさが妙に心地悪かった。
だが、直視にすら耐えうるような醜悪な感性を持つ男を前に、門矢士は引くことなくその足を踏み出す。

「あぁ、久しぶりだな、キング。お前の悪趣味も相変わらずみたいで安心したぜ」

「ん?ダークカブトのこと?やだなぁ、あれは僕のせいじゃないって――って言っても、無駄っぽいかな」

見え透いたような演技をやめて、キングは溜息をつく。
とはいえその顔に浮かんでいるのは、落胆と言うより遊ぼうとしていた玩具が売り切れていた子供のような退屈を噛み砕くようなものであったが。

「はぁ、ホントに台無しにしてくれるよね。折角僕が色々準備してダークカブトを“前みたい”にしようとしてたのにさ」

「そんなことをして、一体何の意味がある?」

「……意味?そんなの決まってるでしょ、その方が楽しいからだよ」

ヘラヘラと。ニヤニヤと。
薄気味悪い笑みを浮かべながら、キングは変わることなく悪意を吐き続ける。
色褪せることのない邪悪を相手にして拳を握りしめた士を横目に、総司は一歩前に足を踏み出した。

「……なんで、そんな簡単に誰かを傷つけられるの?本当にそれが楽しいって、心から思ってるの……?」

総司の声に宿っているのは、憎しみというより深い困惑と焦燥だった。
人と人との関わりを得て仮面ライダーとして戦う決意をし、そして今また士と言葉を交わし道を踏み外さずに済んだ総司だからこその疑問。
キングは以前、正義の味方としての生き方など愚かで下らないと宣った。

その裏にある、薄汚い人間の本性を知れば必ず失望するとも。
無論キングの口八丁である可能性も捨てきれない。
だがそれでも、聞いてみたかった。

過去の自分のように世界を全て滅ぼそうとする男が、なぜこうまで人を憎み誰かを嘲る存在に成り果てたのか、その理由を。
そして同時にこの問いを投げることは、総司が最早自分勝手に世界を憎み誰かの救いを待つだけの子羊ではなくなったことを意味していた。
もしも分かり合える可能性があるのなら……もしもただ道がわからず喚いているだけなのだとしたら、諸悪の根源たるキングとて見捨てるわけにはいかない。

それは師匠譲りの暑苦しく泥臭い、しかし確かな正義の意思が見せた総司の善意であった。

「……うーん、そうだね。やっぱり君にはちゃんと話しておくべきだったよね。僕がなんでこんな世界滅んだ方がいいと思ったのかって、その理由を」

果たして真摯な総司の瞳に対し、暫しの思考の後キングは口を開いた。
意外にも総司の疑問を嘲るものではなく、その問いを受け止め応えるために。
自身に怪訝な表情を向ける士を気にすることもせず、キングは総司に向けて一歩進む。

「実は僕が世界を滅ぼそうとしたのはね――人間の本性を知ったからなんだよ」

「人間の本性……?」

先の戦いでもキングが述べていた不穏なワードを、総司は繰り返す。

「そうさ、僕は封印から解放された後、ヒューマンの作った世界がどんなものか、学ぼうとしたんだ。
――彼らの作った、インターネットっていう便利なものを使ってね」

言いながら彼は、懐から既に使い古された感触のある二つ折りの携帯電話を取り出した。
恐らくはこの場では電波が通っていないために大した使用方法もないだろうそれをしかし愛おしげに手で弄んでから、彼はそれを大切そうにしまい込む。

816 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:15:18 ID:BIslr8wQ0

「これは本当に色んな事を教えてくれたよ。人間の犯した罪や、いつまでも続く戦いの歴史、それから他の種族を滅ぼそうとする傲慢さも」

「……だからお前はそんな世界は間違ってるって言いたいのか?」

「違うよ、そんな大層な話じゃない。僕が本当に人間の本性を知ったのは……掲示板でだった」

「掲示板……?」

疑問符を浮かべた士に対し、キングは自身の携帯電話を慣れた手つきで操作して、小さな画面にとあるサイトを表示する。
字は細かく大した内容は読み取れなかったが、キングは満足げな表情で再び携帯を操作する。

「ここには、誰の名前も顔も存在しない。みんな同じ『どこかの誰か』になって、自分の本心をぶちまけるんだ。
あいつに死んでほしい、あいつより俺の方が出来る、それから――『こんな世界なんて滅んじゃえ』、とかね」

ニヤリ、とキングの笑顔が不気味に歪む。
目にする誰もを不快にさせるような邪悪な笑みを浮かべながら、しかしキングの言葉は止まることを知らない。

「お前らは結局、人の上っ面しか見てないんだよ。ネットを見れば、どこにでも悪意は転がってる。
誰にでも、なんにでもなれるネットの中でそんな言葉を吐くのが人間だっていうなら、それが人間の本性ってことでしょ?」

「――」

「僕はただ、人間の真似をしてるだけだよ。醜い醜い、君たちの中にある本性の真似をさ。
だから僕を倒そうとするなら、君たちは人間の本性を否定することになるんだよ。
人間を守ろうとして人間の本性を否定するなんて、これ以上に面白いことなんてないと思わない?
……ねぇこれでも、正義の味方って本当に正しいなんて本当に言えるの?世界は守るべきなんて、本当に言えるの?」

ケラケラと。クスクスと。
引きつったような笑みを浮かべながら、キングは問う。
総司に対して、彼がどう在るべきなのかと。

「――君は分かってるはずだよ、ダークカブト。
自分の顔も名前も知らない君は、なりふり構わず世界を滅ぼそうとしたじゃないか。
君は人間の本性の体現、だから僕は君を堕としたいんだよ」

俯いた総司を前にして、最後の駄目押しとでも言うようにキングは吐き捨てる。
これで総司が、正義の味方などという幻想を捨ててまた世界を滅ぼすために戦うというならこれ以上に面白いことはないと、そう期待を込めて。
だが、彼の期待は容易く打ち砕かれることとなる。

長い沈黙を破りその口を開いた、もう一人の男の為に。

「――やっぱりお前は、何も分かってないらしいな」

「士……」

それは、呆れの様な感情を多分に含んだ、門矢士の声だった。
一切の迷いもなく、揺ぎ無い意志で以てキングを否定したその言葉に、総司も思わず目を奪われてしまう。

「……確かにお前の言う通り、人は自分勝手に、見知らぬ誰かを傷つけることもある」

「じゃあやっぱり――」

「――だがそれと同じくらいに、俺たちは見知らぬ誰かを気遣い、守ることだってできる」

嘲笑するかのようなキングの言葉を、士は断ち切るように言い切る。

「こいつは、他人の優しさを知り、変わった。ボロボロになってでも、誰かを守るため戦おうとした。
……お前がこいつを人間の本質を体現した存在だというのなら、それも紛れもなく、人の本質だ。
それを無視して誰かを傷つける事しか考えないお前に、人を語る資格はない!」

817 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:15:35 ID:BIslr8wQ0

「士……」

強く、真っ直ぐにキングに対し今の総司が変わったと宣言する士。
その雄姿を前に、キングはただ苛立たし気に眉を吊り上げる。

「お前……いったい何者だ」

キングの問いに、士は僅かに口角を上げる。
告げるべき言葉は、ただ一つ。
力なきものを苦しめる悪に、破壊者たる自分が宣言する変わらぬ名前――。

「――通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」

真っ直ぐに伸ばされた士の人差し指を真っ向から受け、キングは大きな溜息と共にその身を怪人のそれへと変化させる。

「はぁ、ほんっとウザイなぁ。もういいや、お前らどっちも……ここで死んでいいよ」

コーカサスアンデッドの姿となり殺気を漲らせるキングに対し、士と総司は並び立つ。
その手に己の力を持って、これ以上この男に傷つけられる誰かを生まないために。

「変身!」

叫んだ男たちの身体は、一瞬で鎧に包まれていく。
士の身体は、全てのライダーを模倣する力を持つ世界の破壊者、ディケイドのものに。
総司の身体は、今は亡き男から継いだ、太陽の神、カブトのものに。

それはまさしく、以前は敵同士として敵対した二人が、今度は共に戦う仲間として並び立った瞬間であった。
そしてその瞬間を待ち望んだように、ライドブッカーよりディケイドの手に飛び出す三枚のカード。
色を取り戻したそれは、士が総司と心を通わせたことでカブトの力を取り戻したことを意味する。

この場で七つ目に取り戻したその力を再びブッカーに戻しながら、ディケイドは目の前の敵に対し構えなおす。
横で同じく構えたカブトと同時に、彼は勢いよく剣へと変形させたブッカーをコーカサスに対して振り下ろした。
だが、挟み撃ちの形で左右から放たれた二人の攻撃は、それぞれ彼の持つ剣と盾に阻まれその身には届かない。

片手でそれぞれの仮面ライダーを良いように押さえつけるコーカサスの怪力に驚愕しつつも、しかし攻めの手を緩めはしない。
こちらを弾くように敵が力を込めたその瞬間、二人はその勢いさえ利用して思い切り後ろへと跳んだ。
コーカサスから距離を取った場所で着地した彼らはそのまま、それぞれの得物を銃へと変形させて高エネルギーの弾丸を敵へ一斉に放つ。

それぞれ凄まじい連射性を誇るゼクトクナイガンとライドブッカーの弾丸の雨を受けて、さしものコーカサスも蜂の巣に……ならない。
明らかに彼の持つ盾のみでは庇いきれないはずの範囲に放たれた弾丸をも、なぜかコーカサスの前で弾かれ彼の身体に到達しないのである。

「なに……ッ!?」

「無理無理、そんなんじゃ無駄だって――フン!」

その違和感に思わず攻撃をやめたディケイドに対し、コーカサスは嘲笑するように手をぶらつかせた。
真面目に戦う気さえないようなそのふざけた態度にディケイドが一瞬気を取られたその瞬間に、唐突に彼はその手に持つ剣を振るい衝撃波を放っていた。

「――危ない!」

だがその一撃もまた、ディケイドのもとに届くことはなかった。
横から勢いよく彼の前に飛び出したカブトが、衝撃をその身を盾にして受け切っていたからだ。

「総司!」

818 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:15:51 ID:BIslr8wQ0

ディケイドが叫ぶが、カブトは返事をすることも出来ぬままその巨体を大きく吹き飛ばされていく。
瞬間強く地面に激突したカブトは、未だ変身を保ってこそいるもののすぐに立ちあがることは出来ないようであった。
無理もない。先の病院でもキングと戦い、その後に間髪入れず自分やデストワイルダーとの戦闘をこなした直後だ。

カブトの装甲に守られているからといっても、体の疲労は隠しきれるはずもなかった。
だが、そんな泣き言を言ってもキングが止まるはずもない。
一人きりになったからと言って、ディケイドにこの場から逃げることなど許されるはずがなかった。

「固い盾……それならこいつだ」

――KAMENRIDE……HIBIKI!

ブッカーからカードを取り出したディケイドはそのままドライバーへとカードを投げ入れて装填する。
ドライバーがカードを認識すれば、瞬間彼の身体は紫の炎に包まれその身を変える。
炎を振り払い現れるは、音撃を武器に戦う戦士、仮面ライダー響鬼そのもの。

原型さえ留めないフォームチェンジに、コーカサスはしかし一切関心を見せることもなく悠然と向かっていく。
だが、相当の圧迫感を伴うその歩みに対してディケイド響鬼は迷うことなく一枚のカードをブッカーから取り出しそのままドライバーへと投げ入れた。

――FINAL ATTACK RIDE……HI・HI・HI・HIBIKI!

ドライバーが高らかに必殺の一撃を宣告すれば、どこからともなくコーカサスに対し音撃鼓が向かっていく。
振り払うこともしないままコーカサスがそれを受け容れれば、音撃鼓は彼の目前でソリッドシールドへと装着された。

「何のつもり?ディケイド。こんなの意味がないことくらい、分かってるでしょ?」

「さぁ、そいつはどうかな!」

威勢よく挑発に返しながら、ディケイド響鬼はその手に音撃棒を構える。
だが鬼気迫る勢いで駆け寄ってくるディケイドを前にしてもなお、相対するコーカサスの目は著しく冷めたものであった。
何故ならその程度の攻撃であれば、自分の盾を壊すことなど到底かなわないと知っていたからだ。

それに響鬼の必殺技はどれも長い時間のかかる隙の多い技である。
盾の防御力に身を任せ目の前で隙を晒すディケイドを攻撃すれば自分の勝利は決まったも同然ではないか。
世界の破壊者を名乗る歴戦のディケイドがこのような安易な策に出たことに些か失望しながらも彼はディケイドの接近を待って。

「ヤァ!」

掛け声と共に振り下ろされた音撃棒が伝えた衝撃に、思わずその身を硬直させた。

(なッ……!?)

ビリビリと、空気が震える。
ソリッドシールドで純粋な音撃打の威力は死んでいるはずだというのに、なお伝わるこの衝撃。
一体どういうことだと思案に沈んだ次の瞬間には、コーカサスの身体はその怪力を以てしても指一本たりとして動かせなくなっていた。

(フッ、思った通り引っ掛かりやがった)

困惑を露わにするコーカサスの一方で、ディケイドは内心で自身の策の成功を実感していた。
ディケイドがこの状況で響鬼のカードを切ったのは、この瞬間の為であった。
つまりはこの音撃打が今のコーカサスに対して最も効果的にダメージを与えられる一撃であると判断したのである。

響鬼の必殺技である音撃打の特徴は、その特異性にある。
その特異性とは――カブトの回復までの時間を稼げるだけの拘束時間を持つというのもそうだが――音撃打は他の必殺技と違い単純な破壊力だけではない攻撃が出来るということだ。
その攻撃とは、音撃鼓を叩いた時に発生する空気の振動、聴覚さえなくとも伝わるほどの音の波。

819 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:16:07 ID:BIslr8wQ0

音撃打で発生する衝撃が全て盾に阻まれるとしても、そこから生じる音は盾越しにコーカサスへと伝わる。
コーカサスの盾などよりよほど強固な甲殻を持つ魔化魍でさえ怯むような爆音だ、聴覚を麻痺させて動きを封じることなど、容易いことだ。
清めの音としては十分に伝わらなくとも、単純な空気振動のみでコーカサスの動きを封じることが可能だと、ディケイドは考えたのである。

そしてその目論見は成功する。
まともな回避行動もとらず、恐らくは自分が自ら死にに来たのだと勘違いして攻撃を受け容れたコーカサスの身体は、今まんじりと動くことさえ出来ず音撃に晒されている。
恐らくは想像を絶するような爆音に身を包まれているのだろう彼を前に、しかしディケイドはいい気味だと感じていた。

今までキングが行ってきた数々の悪行を考えればまだ足りないとさえ思うが、しかしこれ以上冗長に音撃打を続けても“型”が崩れ散漫な攻撃になってしまうだけ。
故にディケイド響鬼は今一度音撃棒を大きく空に向け掲げて――。

「ヤァァァァァ!!!」

――一層大きな掛け声と共に、音撃鼓を強かに叩きつけた。
攻撃を行っていたディケイドにさえ跳ね返るような振動を受けてもなお、コーカサスの盾には罅一つさえ入らない。
とはいえその盾に守られていたコーカサスは凄まじい音圧に晒された為に前後不覚を起こしたか、ディケイドに反撃することも出来ず呻き苦しみに身を捩っていた。

だが、傍から見れば無防備とはいえ、今のコーカサスはなおも自動防御の盾に身を守られている状態。
故にその盾を破壊できる確証も持たないディケイドはその身を響鬼から通常のものへと戻しながら未だ地に這いずるカブトのもとへ足を進める。

「立てるか、総司」

「士……ごめん、足引っ張っちゃって」

ディケイドが差し伸べる手を、カブトは強く握りしめ立ち上がる。
戦いの場では長すぎるほどの回復時間を与えられたとはいえ、そもそも今の総司は満身創痍だ。
ハイパーカブトへの変身も、正直に言えばクロックアップさえも満足に出来るか怪しい。

先ほどまで天道を継ぐと大言壮語を吐いておきながら、そんな有り体の自分を恥じ、謝罪するカブト。
だが対するディケイドは、茶化す様子もなく真っ直ぐに彼を見据える。

「いや、奴を倒すにはお前の力が必要だ、総司。……やれるか?」

それは、どこか不思議な声音だった。
期待を込めているようでもあり、同時に自分を試すようでもあり、そしてまた自分がどう答えるか確信をもって知っているかのような声音であった。
そしてそんな“仲間”の問いかけに対して、総司が答えるべき言葉はただ一つだった。

「――あぁ、やれるよ」

「そうか」

短い返答に、ディケイドは満足したように再びコーカサスへと向き直る。
再起不能になってもおかしくない爆音を受けてもなお、やはり人外の範疇であるコーカサスはこの短時間で回復し殺意を込めた視線をこちらに向けていた。
恐らくはもう余裕も見せずに自分たちを殺しに来るのだろうが、奴の不快な無駄口が減ったと考えればこれで随分とやりやすくなったともいえる。

「グオオオオオオオ!!!」

理性さえかなぐり捨てた咆哮を吐いて突進するコーカサス。
だが既にディケイドの……いやディケイドとカブト、二人の切り札は、発動していた。

――FINAL FORM RIDE……KA・KA・KA・KABUTO!

820 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:16:23 ID:BIslr8wQ0

「なら……ちょっとくすぐったいぞ!」

「え、ちょ……!?」

カブトが電子音声の内容に意識を向けるより早く、ディケイドは彼の背中を緩く撫で上げる。
そその瞬間、カブトの身体は眩い光を放ち変わっていく。
刹那の後、物理法則など無視するような無茶な変形を終えたカブトの身体は、既に人型のそれではなく。

まさしく総司を仮面ライダーカブトとして認めた新たな相棒を模した新形態、ゼクターカブトのものへと、彼の身体は変わっていたのであった。

「これは、カブトゼクター……?」

「ガアアアア!」

「――!」

自分の姿に一瞬困惑するカブトだが、迫りくるコーカサスを前に自分のやるべきことを理解する。
言葉さえ失った黄金のコーカサスに対し、迎え撃つは赤い一本角。
バーニアを吹かし思い切り突撃すれば、ソリッドシールドに阻まれつつも彼の進行を阻むことに成功する。

――FINAL ATTCK RIDE……KA・KA・KA・KABUTO

一瞬の均衡の後、ディケイドが新たに装填したカードによって漲ったエネルギーで、ゼクターカブトはコーカサスを高く空に放り上げる。
そして彼が放り投げられた先にあるのは、合わせたようにそこに出現した、バーコードを意匠に刻んだディケイドの足裏であった。

「ハアァァァァ!」

「グッ、ガッ……!」

鋭くタイミングのぴったりと合ったそのキックは、しかしまだコーカサスには届かない。
ソリッドシールドの中心に大きく罅を刻み込みながら、しかしまだ一歩コーカサスを倒すには足りなかったのである。
これで自分の勝ちはやはり揺るがない、とコーカサスは勝利を確信しようとして。

――ONE・TWO・THREE
――RIDER KICK

自身の背後、ディケイドのキックが導く先で待ち受ける無慈悲な電子音声を、聞いた。
どういうことだと首だけで振り返れば、そこにはファイナルフォームライドを解除し自身のゼクターを操作するカブトの姿。
迷いや躊躇など一切見られない、悪を砕いて誰かを守る為力を行使する正義の味方の姿が、そこにはあった。

そして瞬間、カブトは思い切り振り返り渾身の回し蹴りを放った。
ライダーキック。あらゆる世界の仮面ライダーが連綿と受け継いできたその名前にこれまでにないほどの重みを、総司は感じる。
だがその重みに耐えられるだけの強さを、総司は既に持っていた。

天道だけではない、あらゆるライダーを継ぐ決意を固めた彼のその蹴りは、確かに許されざる悪を守る盾を打ち砕く。
そして同時、ディケイドの足もコーカサスの身体に深く突き刺さって――。
――瞬間生じた爆発と共に、彼らはようやくこの悪意の化身に一矢報いたのであった。





「逃げられた……か」

爆風が止んだ時、ディケイドは悔しさを滲ませながらそう呟いた。
自慢の盾が破壊されたと見るやすぐさま逃走に思考を切り替えられるというのは、ある意味で言えば逞しいことだ。
吐き気しか感じないような邪悪を逃してしまったことには勿論口惜しさを感じるが、今は取りあえず奴にリベンジを果たしたという事実を喜ぶべきなのだろう。

散らばった盾のパーツにはもう目もくれず変身を解除した士は、そのまま同じく変身を解除した総司のもとへと駆け寄る。

821 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:16:38 ID:BIslr8wQ0

「やったな、総司」

「……うん!」

言いながら、総司はようやく士に対し憑き物が取れたような笑みを浮かべた。
自分が成してしまったことに対する罪悪感や後悔は消え切ってはいないのだろうが、それでも。
強敵を仲間と共に乗り越えたという実感が齎したのだろうその満足感に満ちた表情に、士は思わず手癖で胸元に手を伸ばしかける。

(……っと、まだカメラは手元にないんだったな。ったく、大ショッカーの野郎め)

どんなぶれ方をしていても、きっと素晴らしい写真が撮れただろうにと口惜しさを覚えながら、しかし士はただ総司の笑みをその瞳に焼き付けていた。

「――総司君!どこだ、返事をしてくれ!総司君!」

そんな折、どこか遠くから男の声が聞こえてきて、二人は思わずそちらを振り返った。
その声自体に士は聞き覚えがないが、呼ばれているのは十中八九間違いなく目の前にいる総司その人だ。

「総司、この声が誰か分かるか?」

「うん、この声、名護さんだよ……僕の師匠なんだ」

「師匠……?」

総司が弟子入りしたのか、それとも名護という男が自分を師とするように言ったのか。
どちらにせよこの殺し合いの場では中々珍しい関係の形成に困惑を示した士を尻目に、総司はしかし彼を呼ぶその声に答えようとしなかった。
出会いたがっていた仲間との遭遇に何を戸惑うことがあるのだという士の怪訝な表情を受けて、総司は気まずさからかその視線を下ろした。

「総司、どうしたんだ?翔一を殺したことに後ろめたさを感じてるなら――」

「ううん、違うんだ士。僕は正直、分からないんだ。名護さんの……仲間のもとに戻るべきなのかどうか」

「なに?」

総司の言葉に、士は思わず聞き返す。
後ろめたさからでなく、仲間との合流を望まない理由とは一体何だというのか。
士から先ほどとは違う困惑を受け、些かばつの悪さを感じたか、ゆっくりと、言葉を選ぶように総司は口を開く。

「……ごめん、変だよね。自分でも分かってるんだ。
でも何となく、このまま名護さんのもとに戻るだけじゃ、駄目なんじゃないかって……」

自分自身の感情が分からないという様に、視線を迷わせる総司。
だがそれを見て、むしろ士は納得したように溜息をついた。

「いや……大体わかった。お前もまた、旅の途中だってことか」

「旅……?」

「そうだ、お前は今、ただ誰かに頼るだけの自分から成長しようとしている。
人は誰も旅をする……お前のそれも、その一つだってことだ」

したり顔で述べた士に対して、総司は未だ彼が言いたいことを理解できていなかった。
だが、先ほどとは反対に自身に満ち溢れた士は、彼の疑問の声を待つことなく言葉を紡ぐ。

「まぁ、そういうことなら仕方ない。名護って奴には俺から言っておく。
どっちみち、音也の件も話しておかなきゃいけなかったしな」

「ちょ、ちょっと待ってよ士!旅がどうとか、どういうことなの?僕は、一体どうすればいいの……?」

自分だけが全てを理解したような顔をしながら、踵を返し総司を呼び続ける声のもとに向かおうとする士。
だがそれを引き留めるのは、やはり総司のすがるような声だった。
自分から名護との合流を渋ったというのに都合のいいことだと思うが、しかし総司はやはり自分の感情と理性との折り合いが取れていないままだった。

822 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:16:54 ID:BIslr8wQ0

「何をするべきか……それは、お前が決めろ。それが、旅ってもんだ」

「自分で……」

士の言葉を復唱しながら、総司は士の言う“旅”というものをひどく恐ろしいもののように感じた。
何が正しいかもわからない道筋を自分で探し、自分自身で切り開き、突き進む行為。
今までのように導いてくれる師もいないそんな行為を、果たして今の自分が一人で行っていいものなのだろうか。

先のように悪意を持つものに利用され、誤った道に進んでしまうのではないか。
そんな不安が、急激に押し寄せてくる。
だが、総司のそんな不安そうな表情を察したか、士は振り返り宥めるように口を開いた。

「大丈夫だ。お前は、自分が帰るべき場所ってのを持っている。
這ってでも帰りたいと思える、誰かが自分を待っている場所……それさえあれば、人は道を間違えたりしない。
お前の旅は確かに苦しいものになるかもしれない。だが――お前の帰る場所は、俺が守っておいてやる」

「士……」

「まぁそれでももし、お前がまた道を誤ったら……その時は今度こそ俺がお前を破壊してやるさ」

ニヒルに笑いながら、士は締めくくる。
字面だけ見れば、決して優しくはない言葉。
だがそれでも、その士の言葉は今の総司にとって染み入る様にすら感じられた。

自分の我儘を聞いてくれる仲間は、今までだってたくさんいた。
自分がやりたいといったら、仲間たちはいつだってそれを尊重し支えてくれた。
だが士のように、別々の道を進むために協力をしてくれる仲間は、初めてだったのだ。

だからだろうか。自分を破壊するなどと宣った目の前の男を、これ以上なく信頼している自分がいることを、総司は感じていた。
彼になら師を、そして友を任せられる。
彼がいてくれるなら、何があってももう自分を見失わないだけの何かを、何の憂いもなく探しに行くことが出来る。

だから総司の出すべき答えはもう、決まっていた。

「――ありがとう士。名護さんたちのこと、頼んだよ」

「あぁ」

先ほどとは違う、満足げな笑みを浮かべる士。
それを見やり自分も釣られて口角が上がるのを感じながら、総司は思う。
――こんな笑顔を、自分が守っていきたいと。

そのために必要なものが何なのか、未だ総司にはわからない。
強さなのか、優しさなのか、或いは信念なのか、或いはそのどれでもないのか。
見つけられるかもわからないそれを探すには今与えられた時間だけでは足りないかもしれないが、少なくともそれを探した後に帰る場所の心配をする必要はなくなった。

他でもない世界の破壊者が、胸を張って守ると言ってくれたのだから。
何の悔いもなく彼を呼ぶ声に背を向けた彼にはもう、迷いはなかった。


【二日目 朝】
【D-2 市街地】


【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、不安と安堵、仮面ライダーブレイドに1時間10分変身不能、サナギ態に1時間30分変身不能、仮面ライダーカブトに1時間50分変身不能
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)+カブトゼクター+ハイパーゼクター@仮面ライダーカブト、レイキバット@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式×2、753Tシャツセット@仮面ライダーキバ、魔皇龍タツロット@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
基本行動方針:天の道を継ぎ、正義の仮面ライダーとして生きていきたい。
0:もう迷わない強さを見つけるために、“旅”をしてみる。
1:剣崎と海堂、天道や翔一の分まで生きて、みんなのために頑張る。
2:間宮麗奈が心配。
3:放送のあの人(三島)はネイティブ……?
4:士が世界の破壊者とは思わない。
5:元の世界に戻ったら、本当の自分のお父さん、お母さんを探してみたい。
6:剣崎、翔一、ごめんなさい。
【備考】
※自分が翔一を殺したのはキングの罠であることに気付きました。
※渡より『ディケイドを破壊することが仮面ライダーの使命』という言葉を受けましたが、信じていません。

823 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:17:10 ID:BIslr8wQ0





「総司君!どこだ、返事をしてくれ!」

男が無人の市街地全体に響き渡るような声を響かせて、自身の弟子を探している。
身体中は汗だくのまま、喉が枯れることなど厭わないようなその様相は、必死そのもの。
今のこの場の状況を考えれば危険人物がその声を頼りにやってくる可能性もあったが、しかし彼はそれでも構わないとさえ感じていた。

愛する弟子を守るためならば、今の自分が代わりに盾となって悪と戦おう。
例え信頼するイクサの力が使えなくても、それでも今の総司と悪が接触する危険性を考えれば自分が戦う方がましだと感じていた。
彼がそうまで総司の為に戦おうとする理由が、最早記憶さえないかつての一番弟子が非道の道に堕ちたという経験から来るものなのかどうかは、定かではなかったが。

ともかくそうして走り続け叫び続けた故に、戦士として洗練された名護の肉体も悲鳴を上げ始め、いよいよもってその足と声は止まってしまう。
だが、足を止めている時間などないと、軋む体に鞭打って今一度走り出そうとしたその瞬間、彼の耳にずんと響くような重低音が届く。
だんだんと近づいてくるそれは、まず間違いなく総司のそれではないだろう。

彼はバイクを持たずに走り去っていったのだし、この街の中でバイクを偶然見つける可能性など、決して高くはない。
懐からスイーツのガイアメモリを取り出して、すぐさま反撃が出来るよう準備を整える。
来るなら来いと言わんばかりに、往来の中心で迫りくるエンジン音を迎え入れる名護の前に、間もなく一台のバイクが停車する。

見覚えのない男、見覚えのないバイク。
自身の知る危険人物の特徴とは一致しないようだが、警戒は解くべきではない。
だが一方で、名護の貫くような視線を受けてもなお動じることなく男はカウルを跨ぎバイクを降り地に降り立って。

「――お前が、名護啓介だな」

「何故俺の名を知っている……、お前は何者だ」

ただ自分の名を呼びヘルメットを脱ぎ捨てる男。
名護の疑問に対して、しかし彼はただニヤリと笑って。

「俺か?俺は……通りすがりの仮面ライダーだ」

ただ、それだけ短く吐き捨てた。


【二日目 朝】
【D-1 市街地】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、決意、仮面ライダーディケイドに1時間50分変身不能
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド、ディエンドライバー+ライダーカード(G3、王蛇、サイガ、歌舞鬼、コーカサス)+ディエンド用ケータッチ@仮面ライダーディケイド、トライチェイサー2000@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式×2、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、キバーラ@仮面ライダーディケイド、 桜井の懐中時計@仮面ライダー電王 首輪探知機@オリジナル
【思考・状況】
基本行動方針:大ショッカーは、俺が潰す!
0:どんな状況だろうと、自分の信じる仮面ライダーとして戦う。
1:名護と話す。
2:巧に託された夢を果たす。
3:友好的な仮面ライダーと協力する。
4:ユウスケを見つけたらとっちめる。
5:ダグバへの強い関心。
6:音也への借りがあるので、紅渡を元に戻す。
7:仲間との合流。
8:涼、ヒビキへの感謝。
【備考】
※現在、ライダーカードはディケイド、クウガ、龍騎〜電王の力を使う事が出来ます。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。
※ダグバが死んだことに対しては半信半疑です。

824 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:17:26 ID:BIslr8wQ0



【名護啓介@仮面ライダーキバ】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、精神疲労(大)、左目に痣、決意、仮面ライダーイクサに1時間変身不能、仮面ライダーブレイドに1時間5分変身不能
【装備】イクサナックル(ver.XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW 、ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式×2(名護、ガドル)
【思考・状況】
基本行動方針:悪魔の集団 大ショッカー……その命、神に返しなさい!
0:なんだ、この男は……?
1:直也君の正義は絶対に忘れてはならない。
2:総司君のコーチになる。
3:紅渡……か。
4:例え記憶を失っても、俺は俺だ。
5:どんな罪を犯したとしても、総司君は俺の弟子だ。
6:一条が遊び心を身に着けるのが楽しみ。
7:最悪の場合スイーツメモリを使うことも考慮しなくては。
【備考】
※ゼロノスのカードの効果で、『紅渡』に関する記憶を忘却しました。これはあくまで渡の存在を忘却したのみで、彼の父である紅音也との交流や、渡と関わった事によって間接的に発生した出来事や成長などは残っています(ただし過程を思い出せなかったり、別の過程を記憶していたりします)。
※「ディケイドを倒す事が仮面ライダーの使命」だと聞かされましたが、渡との会話を忘却した為にその意味がわかっていません。ただ、気には留めています。
※自身の渡に対する記憶の忘却について把握しました。





「はぁ……はぁ……ッ!」

その身体から緑の血を流しながら、キングは草原を歩いている。
最も、腹を押さえ、片足を引きずるようにして何とか身体を動かしているその状態を、“歩く”と形容できるのであれば、だが。

「あいつら……絶対に許さない」

折角取り戻したソリッドシールドを破壊されたことは別にいい。
だが自分の楽しみをぶち壊した挙句、こんな風にダメージを負わせたことは、これ以上なく気に食わない。
自分は常に最強なのだ、正義の味方がどれだけ自分を間違っていると吠えても、奴らは負け続ける。

そうして最終的には全てを滅茶苦茶にして、奴らが間違っていることを思い知らせなければならないのだ。
だが自分は……負けた。
ダークカブトを堕とすことも出来ず、誰かを死なせることも叶わなかった。

これでは、何も面白く出来ていない。
この殺し合いをより刺激的にかき回す自分の役割を、何も果たせていないではないか。

「クソッ、ほんとむかつく……!あいつら次に会ったときは――」

苛立ちの言葉を吐いた直後、しかしキングの表情は唐突に歪んでいく。
苦痛にではない。いつも彼が浮かべる不気味な、そして嫌悪感さえ覚えさせるような、愉悦の表情に。

「そうだ、ならあいつを使おうかな。カッシスの為に取っておこうかと思ったけど……」

おもむろにデイパックに手を突っ込んだキングは、そのまま小さな箱のようなものを取り出す。
それはまさしく、彼が大ショッカーより持ってきたカッシスワームと直接の戦いになっても揺ぎ無い勝利をもたらすと確信できるほどの代物。
それを解き放った時に起こり得る惨状を想像して一層不気味に笑みを深めながら、キングはその箱から蓋を取り払った。

「ん……なに?アンデッド君、もしかして僕の力が借りたいの?」

「あぁそうだよ。お前の力で、この場を滅茶苦茶にしてくれよ。――ネオ生命体」

果たしてその箱の中に“いた”のは、緑の液体の中で蠢く赤目の少年だった。
ネオ生命体と呼ばれたそれは、まさしく大ショッカーの後進であるスーパーショッカーの切り札。
かつてディケイドがその死力を尽くして破壊した最強の存在であった。

子供のような言動をしながら破壊に満ちた思考を持つその怪物は、キングの呼びかけにしかし渋るように顔を背けた。

「頼むよ、さっきご飯もあげたろ?たらふくさ」

言いながら、キングの表情はその時のことを思い出し再び口角を上げた。
ギルス、カリスと戦った後、自分はゾーンメモリの力でE-4エリアに潜伏した。
勿論その狙いは休息が必要だと判断したからであったし、また同時病院で籠城する仮面ライダーたちを襲撃できると考えたからだったが、実は狙いはそれだけではなかった。

825 The sun rises again ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:17:48 ID:BIslr8wQ0

彼がE-4エリアに向かった、明かされていなかった最後の理由。
それは、そこには先の戦いで散った仮面ライダーたちの死体が山ほど存在していたからだ。
物言わぬ死体の山と、エネルギーを貪欲に求めるネオ生命体、ここまで言えば、彼の狙いはもうわかるだろう。

つまり彼は、大ショッカーより連れ出してきたネオ生命の腹を満たすために、東病院で散った者たちの死体を利用したのである。
彼が今持つ海東大樹、五代雄介の首輪も、その“食事”で生まれた副産物だ。
それを使えばより面白く奴らを刺激できると考えて取っておいただけの、記念品。

彼らは自分が首輪の為に死体を弄んだと考えていたようだが、それはただの食べ残しに過ぎなかったのである。
何も知らない彼らの間抜けな顔を思い出して、キングはようやくいつものような邪悪な笑みを取り戻したのだった。

「でも、皆死んでたし。正直全然満足できてないんだけど」

「そう言うなって。今のお前でも、あいつらをぶっ殺すのに十分なくらいの力はあるだろ?」

ニヤニヤと笑いながら、キングはネオ生命体に問いかける。
それはどちらかと言えば頼み事というより挑発のようにも感じられたが、一方のネオ生命体もまた、それに特段気を悪くした様子はなかった。

「……まぁ、いいよ。そろそろ遊びに行きたいなって思ってたし」

「そうこなくっちゃ」

瞬間、キングが持つ箱から、質量を無視して突如として巨体が吐き出されてくる。
鈍くぬらぬらと光と照り返すそれを、生物と呼ぶべきか機械と呼ぶべきか。
ともかくネオ生命体が生み出したその新たな命の名は、ドラスと言った。

かつて12人ものライダーを前にして一歩も退かなかったそれに比べれば、姿こそ同じなれど力は相当に落ちている。
だが、それでもキングにとっては構わなかった。
どっちみち、この会場にいる全員をドラスが嬲り殺すなどというワンサイドゲームは望んでいない。

場をかき回すというキングの目的からすれば、寧ろ相応しい強さを持っているのだから、文句など言うはずもなかった。

「じゃあ、適当に遊んで来なよ。僕はこっちに行くつもりだから、お前は――」

「……」

先ほどまでと打って変わって、無口になったネオ生命体改めドラスは、キングの言葉に振り向くこともなくゆっくりと進行を開始する。
つまんない奴だな、などと内心で思いながら、しかしキングは特段気にする様子もなく自身もまた新たな遊び場を探して歩き出すのだった。


【二日目 朝】
【C-2 平原】

【キング@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編34話終了より後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、苛立ち、ドラスへの期待
【装備】破壊剣オールオーバー@仮面ライダー剣、ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎、T2ゾーンメモリ@仮面ライダーW、グレイブバックル@仮面ライダー剣、
【道具】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王、首輪(五代、海東)
【思考・状況】
基本行動方針:面白おかしくバトルロワイアルを楽しみ、世界を壊す。
1:このデスゲームを楽しんだ末、全ての世界をメチャクチャにする。
2:カッシスワームの復活を警戒。
3:ディケイドとダークカブトは次あったら絶対に殺す。
4:ドラスの引き起こす惨状に期待。
【備考】
※参加者ではないため、首輪はしていません。そのため制限が架されておらず、基本的には封印されない限り活動可能です。
※カッシスワームが復活した場合に備え持ってきた物は『ネオ生命体@仮面ライダーディケイド完結編』でした。
※ソリッドシールドは再度破壊されました。
※T2ゾーンメモリは会場内どこでも飛べますが、マキシマムドライブでの使用などの場合も含め2時間に一度しか能力を使用できません。
※この会場内の情報は第二回放送とその直後までのものしか知りません。彼の性格上面白くなりそうなこと優先で細かいことを覚えていない可能性もあります。



【ネオ生命体@仮面ライダーディケイド完結編】
【時間軸】不明
【状態】健康、遊びたい、ドラスにコアを移している。
【装備】なし
【道具】なし
1:外に出て仮面ライダー達と遊ぶ。
2:アンデッド君(キング)はちょっと面白いかも?
【備考】
※キングが主催より持ち込んだ対カッシスワーム用支給品でした。
※E-4エリアで参加者の死体を食ったのでドラスとして実体化しましたが、死体しか食ってないので能力は完結編時に比べ相当落ちているようです。
※あくまでディケイド出典なので、ドラスになっても無口です。

826 ◆JOKER/0r3g :2019/06/01(土) 18:19:34 ID:BIslr8wQ0
以上で投下終了です。
キングの持ち込み支給品に関しては正直ありなし分かれる部分だと思うので、気になったら言ってください。
それではご意見ご感想などありましたらお願いいたします。

827 名無しさん :2019/06/01(土) 19:40:06 ID:CnCcrfOs0
投下乙です!
士と総司はキングの悪意を真っ向から否定し、そして見事なコンビネーションで立ち向かってくれましたか!
すべての迷いを断ち切ったからこそ、取り戻したカブトの力でキングを打ち倒す場面はめっちゃ熱かったです!
総司は迷いながらも旅をすることを決めて、士は名護さんと出会って何が起こるのか楽しみになったと思いきや……まさか、キングの持ち込んだ支給品があいつだったとは!
キングはまだまだ何かをしでかしそうですが、果たして……?

828 名無しさん :2019/06/01(土) 19:44:15 ID:TsFmKfxI0
投下乙です。
総司の特異性と現代のネットに精通したキングの絡ませ方、ディケイド響鬼の活用方法など唸らされる展開が多い……
順調に力を取り戻し、残るはあと二つ。キングを退けたはいいものの、相手もまだまだしぶといですね。ドラス持ち込みは初代ロワを思い出す展開で懐かしくもありました。

829 ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:04:21 ID:j4oSyUAM0
お待たせいたしました。
これより予約分の投下をいたします。

830 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:05:15 ID:j4oSyUAM0

「だあああああぁぁぁ!!!」

龍の尾を模した柳葉刀を高く掲げて、龍騎は雄叫びと共に戦場を駆ける。
息をもつかせぬ勢いで振り下ろされたその一撃は、しかしその先にある灰色の巨躯には届かない。
白刃取りなどという大層なものでさえない、片手のひらを閉じただけのそんな軟な防御方法で、龍騎の全力は呆気なく受け止められていた。

「このッ……!」

押し切ることも、退くことも出来ない桁外れの怪力。
物言わぬ表情を前に、得物を捨ててでも引くべきかどうか、龍騎が一瞬の迷いを見せたその瞬間、唐突に灰色の巨躯の背後から火花が吐き出される。

「真司を離せ!灰色お化け!」

その声の向こうにいたのは、龍騎と同じく龍を模した仮面ライダー、電王へと変身したリュウタロスの姿。
デンガッシャーによる射撃は相当な威力を誇るはずだが、しかしこの敵はまんじりとも怯みはしない。
どころかまるで何事もなかったかのように、ゆっくりとした動作で以てもう一方の掌から電王に対し青色の光弾を放った。

「やばッ――」

――CLOCK OVER

想像していなかった遠距離への攻撃手段に電王が覚悟を強いられた次の瞬間、しかし鳴り響いた電子音が彼の無事を知らせた。
光弾が着弾した場所には既に電王の姿はなく、その先、新たに現れたトンボの意匠を身に刻んだ水色の戦士が、彼を抱きかかえその救出に成功していた。

「麗奈!ありがと!」
「気を抜くなリュウタロス。奴は強い」

麗奈と呼ばれた水色の戦士ドレイクは、今の一撃を以て何とかドラグセイバーを捨てることなく怪人から離れた龍騎を見てホッと胸をなでおろす。
だが、それだけで一切の安心はおけない。
自分でも言った通り、この敵は恐らく今まで出会った中で敵味方問わず最強の敵である。

今の自分たちが持つ戦力で倒し切れるだけの力があるのかどうか、正直なところ微妙なところ。
勿論、この中で一番戦いなれている龍騎があそこまで敵わないとするのであれば、勝ち目などないとするのが普通であろう。
だが一つだけ自分たちがこの敵に勝ちうる可能性がある、それは――。

(――いや、この男にそれを期待するのは酷だろうか……)

自身の横で震えながら銃を構えるデルタのことだ。
今自分たちが戦っている敵は、十中八九三原修二の世界に存在する敵、オルフェノクと見て間違いない。
名護啓介や他の仲間たちの情報によって、ファイズやデルタなどのベルトであればオルフェノクに対する有効打を所有していることは分かっている。

目の前の敵がどの程度の実力かは分からないが、その種族がオルフェノクであるならば、デルタを持つ自分たちにも十分勝てるだけの可能性はある。

(……と、理屈ではその通りなのだが)

だが問題は、その変身者だ。
先の浅倉戦では彼がいなければ負けていたという局面があったとはいえ、それは言ってしまえば彼の運が良かった以上の意味を持たない。
自分たちに効いた浅倉の精神攻撃が効かない体質だったという幸運がなければ、あそこで全滅ということも十分にあり得ただろう。

正直に言ってこと戦闘において麗奈は三原を全くと言っていいほど信用していないし、信用するべきではないとも思う。
それは彼が弱いからとか情けないからとかいう理由以上に、戦いたくないと思っている男を戦いに駆り出すこと自体が間違っていると思うからだ。
とはいえ少なくとも今回に関しては彼の変身するデルタが勝利の鍵なのだから、どうにも頼るほかなかった。

831 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:05:33 ID:j4oSyUAM0

(となれば後は三原修二が必殺技を出せるだけの隙を作らなくてはならないが……)

「間宮さん、大丈夫か!?」

思案に沈む麗奈の前に、何とか敵から距離を取った龍騎が帰還する。
或いは四人が無傷の今逃げるべきかとも思うが、先ほどのヴェールで瞬間移動され追跡をされれば、それこそいいようにやられるだけ。
どちらにせよ相手どらなければいけないとするのであれば、デルタという有効打を持つ自分たちが今戦った方が得策であると、麗奈は結論付けた。

「城戸真司、私とお前で奴に隙を作るぞ。リュウタロスと三原修二は援護を頼む」
「お、おう!」
「任せて!」

リュウタの返事と共に、二人は一斉に駆けだした。
龍騎は先ほどと同じく柳葉刀を構えて、ドレイクは引き金にその指をかけながら。
威嚇射撃としての意味も薄い弾丸を、しかしそれでも一抹の希望を込めて放つドレイク。

対する巨躯が光弾を放とうと開いた掌は、後方で援護する電王とデルタが打ち抜く。
相変わらず攻撃は効かないながらも僅かに照準はずれ、ドレイクは容易に光弾を回避し、再び弾丸を敵の顔目掛けて乱射する。
同時、そうして目くらましと行動の遅延を重ねた末の本丸は、既に敵の頭上に構えていた。

「はああぁぁぁぁ!」

柳葉刀を構えた龍騎が、大きく跳び上がり自由落下の勢いさえ利用してその刃を敵に突き立てんと叫んでいた。
龍舞斬の名を持つその一撃は、確かにかつてあるミラーモンスターを武器ごと破壊し撃破した強力な一撃。
故にその刃が敵を傷つけられない唯一の理由は、今相対する敵がこれまでにないほどの堅固さと戦闘センスを誇っているという、極めてシンプルな理由によるものだった。

跳び上がった勢いなど無視するように、先ほどまでと同じようにすんなりと刃をその手で受け止めた灰色の巨躯。
だが先ほどと違うのは、その剣の柄の先に得物に固執する龍騎の姿が存在しないということだった。

「ばーか!引っかかったな!」

――STRIKE VENT

巨躯が足元に目をやれば、そこにあったのは電子音声と共にその腕に龍の頭を模したガントレットを装備した龍騎の姿であった。
その手に持ったドラグセイバーを捨て対処に回るより早く、巨躯はその身に突き立てられたドラグクローに一歩後退を強いられた。
しかしその程度大したダメージに繋がるわけもない。

揺ぎ無くその足を進め龍騎を亡き者にするべく手を伸ばそうとして。

――EXCEED CHARGE

背に突き立てられた忌むべき毒素を含んだ白い三角錐に、その動きを止められた。

――FULL CHARGE
――RIDER SHOOTING

背後を確認することも出来ぬまま、左右からそれぞれ紫と水色の巨大な光弾が巨躯の身を押し潰さんと迫る。
いよいよ以て身動きが叶わなくなった巨躯は、そのまま成すすべもなく視界の先を見据え。

「はああああぁぁぁぁ……だぁ!!!」

その先で、巨大な赤き龍が主の動きに合わせこちらを焼き尽くす炎を吐き出すのを見た。
四方から放たれたそれぞれに相当の威力を誇る必殺の一撃を前に、立ち尽くす巨躯。
なればとばかりにその背後から、デルタは止めを刺さんと大きく跳び上がった。

「たあああああぁぁぁ!」

瞬間、オルフェノクを貫く刃、悪魔の鉄槌ルシファーズハンマーが、巨躯に深く突き刺さる。
まともな防御さえ出来ないこの状況であれば、恐らくは上の上たるオルフェノクといえど直撃を免れないと断言できる絶対的なこの状況。
だから彼らにとって不運であったのは、今対峙している相手が格付けなど出来ないほど、まさしく“別格”の存在であったことだろう。

832 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:05:53 ID:j4oSyUAM0

「――ヌン!」

この戦いで初めて、巨躯が一つ声を上げた。
それと共に……僅かばかり、ほんの僅かばかり彼が身じろぎをした。
ただそれだけで、龍騎の、電王の、ドレイクの、そしてデルタの必殺技たる光弾は、巨躯に何らの効果も果たさぬまま跡形もなく霧散した。

数多の怪人を葬り去ってきた一撃を、都合四発も受けてこの余裕の態度。
それぞれの攻撃を生身で受けておきながら、なお無傷を誇る頑強な身体。
あぁ今こそ、この灰色の巨躯を確かな名前でこう呼ぼう。

アークオルフェノク、或いは――王と。

「な……」

弾け飛ぶ自分たちの攻撃と、情けなくも吹き飛ばされていくデルタを見やりながら、ドレイクは絶句する。
敵に対する攻撃は、確かに自分たちが持ちうる最大火力の合算ではなかったかもしれない。
だがデルタの攻撃を重用したこの一連の攻撃に、油断があったとは到底思わない。

見当違いがあったのだとすれば、それはデルタの力量を見誤ったことではなく間違いなく敵の力量を甘く見積もったことだ。
これまでにないほどの強敵、などというレベルではない。
これ以降もないほどの最大の強敵であるという想定でなければ、仕損じるような規格外の存在だったのだ。

「ぐ……」

どうすれば勝てるかではなくどうすれば逃げられるかに思考を切り替え始めた麗奈の視界の端に、衝撃故変身が解除された三原が呻いているのが映った。
まずい、と考えるより早く、彼女の手は腰のクロックアップスイッチをスライドする。

――CLOCK UP

電子音と共に高速移動空間へと移行したドレイクは、そのまま三原を戦闘の危害が及ばない場所にまで移動させようとする。

「ッ!?」

だが、それより早く目の前で発生した地面と光弾が接触したことによる爆発に、その行く手を阻まれた。

(まさか……もうそこまで見抜いているのか!)

次いでドレイクが見据えたのは、やはりというべきかこちらに向け掌を翳すアークオルフェノクの姿だった。
先ほどリュウタロスを救出したあの一回のクロックアップで、奴はこちらの起動スイッチを理解し対処してきたのだ。
言葉を発さないという点に甘んじていたが、奴の知能は決して低くはない。

どころかこと戦闘においては機械のような処理速度で以て合理的な判断を下す、まさしく戦闘マシーンとでも呼ぶべき敵なのだと、麗奈はようやく悟った。

――CLOCK OVER

同時、高速移動空間から弾き出されてドレイクは、生身を晒しながら目の前の爆発に飲まれ吹き飛ばされる。
あくまで余波だけであるというのに十全な威力を持ってその身から火花を飛び散らせ変身さえ解除させるそれを見て、電王は思わず飛び出していた。

「麗奈のこと、いじめるなー!」

デンガッシャーより銃弾を乱射して、アークの動きを僅かに鈍らせる。
直撃すれば鉄筋コンクリートの建物でさえ容易に消し飛ばす彼の弾丸は、しかしアークを前にしては有効打足りえない。
攻撃など意に介さずゆっくりと自身の方を向いたアークを前に、電王は思わず攻撃の手を緩めてしまう。

そして瞬間、やはりというべきか電王へ向けてアークは掌を向けていた。

833 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:06:09 ID:j4oSyUAM0

「させるかぁぁぁ!」

だが、その掌から放たれる光弾を受け止めるのは、電王ではなかった。
ガードベントを使用しその身に盾を構えた龍騎が、彼を庇う様に立ちはだかったのである。
瞬間、真司でさえ聞いたことのないような金属音と衝撃を伴いその身体ごと大きく後退させられつつも、ドラグシールドは光弾を弾ききった。

だが、それで攻撃の雨が止むはずもない。
龍騎の盾を突き崩さんとするように、アークは二発三発と攻撃を重ねていく。
その度にガリガリと足を引きずり後退を強いられつつも、しかし龍騎は電王を守るように立ち続ける。

「――リュウタ!皆を連れて逃げろ!」
「え、でも真司は……」
「いいから!」

放たれたのは、息もつくのもやっとという中でしかし色褪せない真司の魂を込めた叫びであった。
この敵には、自分たちだけでは勝てない。
なれば名護や翔太郎、或いは士など、頼れる仮面ライダーと力を合わせなければならない。

そうして皆が逃げることにどうしても犠牲が必要だというのであれば、今の自分がそうなることに迷いはなかった。

(折角、俺の願いみたいなの、見つかったと思ったんだけど……)

麗奈との問答の末に見つけた『どうしても戦いを止めたい』という願いを無為にするのは、言いようもなく辛い。
だがそれでも、きっとその願いはそれを聞いた麗奈が、そして仲間たちが叶えてくれるはずだと、真司は信じることにした。
そうだ、仮面ライダーは自分の思った通り、傷つけあう敵同士なんかじゃなかった、助け合える仲間だったのだ。

それを知れただけで、今の真司は気持ちが楽になったようにさえ感じていた。
だから、ライダー同士の戦いを止めるという願いさえも委ねて、仲間の為に盾になることが出来たのだ。
だから――。

「真司!」
「リュウタ!早くしろ、もう抑えきれ――」

思考を中断させるリュウタロスの声に、思わず首だけでも振り返ったその瞬間。
真司の言葉は、それ以上紡がれることはなくなった。
光弾の乱射が意味を為さなかったに業を煮やしたアークが、その指先を伸ばし一筋の突きを放ったのである。

元の世界で、かつてカイザのベルトを突き破りその変身者にさえ致命傷を与えたそれは、此度も先ほどまでの応酬を無にするように呆気なく龍騎の盾を突き破り。
ドラグシールドほどではないにしろかなりの硬度を誇るはずの龍騎の胸を容易く貫いて、その下にある生身にまで到達していた。

「が……ッ」

それにより生じた暴力的なまでのダメージを前に全身を脱力させて、真司は強制的にその生身を晒し俯せに横たわる。
そのまま彼は、最早ぴくりとも動かなくなってしまう。
刹那そこにあったのは、あまりにも圧倒的な力に蹂躙された、願い届かず倒れ伏した守護者の姿であった。

「真司ぃぃぃぃぃぃ!!!」

電王が、仲間を失った慟哭を叫ぶ。
復帰してきた麗奈の腕が、力なく垂れさがる。
変身さえ解除された三原の足が、これ以上なくガクガクと震える。

この敵を前には、勝つどころか満足に逃げることさえ許されないのか。
やるせなさに拳を握りしめた麗奈は、しかし次に盾になるべきは自分だとワーム態への変身を躊躇なく実行しようとして。

「――おいおい、騒がしいから来てみれば……随分な状況だな?間宮麗奈」
「乃木、怜治……」

――彼女にとって最も望んでいなかった救世主が現れたことで、それを遮られた。

834 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:06:48 ID:j4oSyUAM0





時は、数分前に遡る。
放送を聞き終えた乃木は、これから先の行先について迷っていた。
間宮麗奈や門矢士を探すか、或いは工場にUターンして三島という男と戦うか。

どこにいるともしれない前者を探すのは骨が折れるというのが正直なところだが、一方で三島を殺したところで大ショッカーがG-1エリアをそう易々と探索させてくれるという保証もない。
第二第三の刺客が現れて邪魔立てをするというのであれば、それこそイタチごっこだ。
骨が折れるどころの話ではない。

とはいえ西半分だけになったとはいえそれでも広いこの会場を無策にただ動き回るというのも品がない、と思考を重ねた瞬間に、彼の視界に映る灰色のヴェールが一つ。

「あれは……まさか大ショッカーの連中の差し金か?」

それは、先ほどの放送でも見た、大ショッカーの飛空艇が出現するときに生じるものと同じだった。
であれば少なくともあそこには、大ショッカーに迫れるだけの何らの手掛かりがあるとみるべきだ。
もし単純に刺客を送り込み人数を減らす算段なのだとしても、大ショッカー打倒を掲げる乃木にとっては遅かれ早かれ戦う敵には違いない。

「まぁ、当座の目的地としては最適か」

どちらにしろ向かうことに不利はないと考えて、乃木はそのままブラックファングのエンジンを吹かす。
その胸に、先に待ち受ける存在が今の自分の力を試せるだけの相手であればいいがという期待を込めながら。





「乃木、怜治……」
「なんだその顔は?あんなに派手にやっておいて誰も来ないと思ったか?」

相も変わらず敵意を向けてくる麗奈に対し、乃木は皮肉気に笑う。
どちらかといえば途中で戦闘になっていることは分かっていたが、まさかその中に目当ての一人がいるとは幸運だった。
さっさと彼女を狩るべきか悩み周囲を見渡した彼の視界に映ったのは、既に事切れた様子の城戸真司という男と首輪のない灰色の怪人の姿であった。

「ほう、貴様が大ショッカーの手先か?」
「……」
「無口なことだな。話す理性も持ち合わせないとは、哀れなものだよ」

伝わるかもわからない嘲笑をアークに向けた後、乃木は麗奈に向き直る。
彼女の表情は未だ警戒の色が深かったが、しかしどこか喜色も滲んでいた。
考えるまでもなくそれは自分が助けに来たからなどではなく、邪魔者同士が戦うことで生まれる間接的なメリットに対するものだったが。

「……そこで待っていろ、間宮麗奈。貴様は俺が殺す」
「無駄だ、お前はそいつには勝てない」
「どうかな」

短く切り捨てた麗奈の言葉に、しかし乃木は一切怯まない。
元より目の前の怪人が先ほどまでの自分であれば二人がかりでも足蹴にされるほどの規格外であることなど分かっている。
だがそれでも悠々とこの場に姿を現したのは――今の自分もまた、彼と並ぶだけの規格外であるという確信があったからだ。

「そーだそーだ!お前なんてその灰色お化けにやられちゃえばいいんだ!」

飛んできた野次に視線をやれば、その声は先ほど戦った紫のイマジン……確かリュウタロスとかいう奴のものだった。
先ほどは少しばかり痛い目を見せたから、少なからず恨みがあるということだろう。
あぁそれなら、自分の力を思い知らせるには丁度いいと、乃木は彼に対して一歩前に踏み出した。

835 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:07:07 ID:j4oSyUAM0

「おや、誰かと思えば……リュウタロスだったかな?君は俺がこいつにやられると思うのかい?」
「当たり前じゃん、だって――」





「――答えは聞いてない」

刹那。
麗奈の視界の中、確かにずっと存在していたはずの乃木怜治は、はるか後方へと消えていた。
クロックアップを使用したならすぐさま対処できるはずの準備を整えていたというのに、変身することさえ、叶わなかった。

油断していた?いや違う、そんなものではない。
あれは、あれはまさか――。

「リュウタ!」

最悪の可能性に脂汗を流す麗奈を尻目に、自身のすぐ横で三原が悲痛な叫び声をあげていた。
瞬間、とある可能性に至った彼女もまたその視線を追随する。
あの乃木が、何事もなく“あの能力”を使うはずもない。

だがそれでも。
彼女は瞬間、思い至りたくなかった可能性が現実となるのを、その瞳に焼き付けた。
すなわち――その身に纏ったオーラアーマーを喪失させながら、人間でいう頸椎から多量の砂を吐き出すリュウタロスの姿を。

――フリーズ。
カッシスワームが元来持っていた、文字通り時を止める最強の能力。
かつて、度重なる復活によって失われていたその能力を、乃木は今使ったのだ。

煩い小蝿を潰すのに、飛び回る隙さえ与えぬように。
自身の邪魔をする厄介な女の介入を、阻むために。
そして何より、自分の実力を甘んじた者にその過ちを償わせるために。

この会場でここまでの時間を生き抜いてきた歴戦の戦士を一瞬にして葬り去る、まさしく反則級の能力を、彼が発動させた瞬間だった。

「あぁぁ……ああああああああ!」

乃木が今発動させた能力を理解した麗奈の、彼女らしくもない感情的な慟哭が、その場に響いた。
自分の判断ミスで撤退の判断が遅れたために、仲間が既に二人も殺されてしまった。
自分が人として生きることを許してくれた、かけがえのない仲間。

それを失った不条理に対するその絶叫は、誰よりも深く辛いもので。
思いを同じくする三原でさえ言葉を失うほどに、鬼気迫るものであった。

「フン」

そんな麗奈の慟哭を気にすることなく、乃木は一つ気合を入れ、その姿を異形のそれへと変貌させていく。
カブトガニを連想させるその甲殻は、先ほどよりも一層重厚に。
以前までも生えていた角は、両の肩よりも天を貫かんと高く伸びて。

カッシスワームディアボリウス。
今までのカッシスワームの能力全てを取り込んだ最強の形態が、今ようやく他者に向け姿を晒した瞬間であった。

「グオオッ!」

咆哮をあげたカッシスは、そのまま一瞬にしてアークへ肉薄する。
クロックアップを使ったわけではない。
ただの跳躍力を用いたステップで、互いに存在していた距離を無にしたのである。

836 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:07:23 ID:j4oSyUAM0

「フンッ!」

そのまま掛け声一つ、剣と化した右腕を振るって、アークを切り落とさんとする。
だが、対するアークもまさしく王。
その剛腕も紛れない生身であるはずだというのに、恐れなくカッシスの剣を受け止める。

形状変化をしているとはいえ、生身同士のぶつかり合いとは到底思えないような衝撃音を響かせて、両者は拮抗する。
どうやら、両者の実力は互角程度。
であれば勝敗を喫するのは、僅かな気の持ちようと大技を放てるだけの隙を突けるかどうかだとカッシスは思案する。

そして同時に、その時間を作るのは自分にとって極めて簡単であると、カッシスは知っている。
クロックアップを使い無理矢理にその時間を稼ぐなど、自分には他愛もないこと。
であれば後は簡単だと勢いよく後ろに跳んだカッシスは、そのまま高速移動を開始しようとして。

「――!」

対峙するアークオルフェノクの全身からまるで曼陀羅に描かれた千手観音のように無数に生じた触手を前に、思わず二の足を踏んだ。
これではそもそも、接近のしようがない。
高速移動できたとして、あそこまで広範囲の攻撃を絶え間なく発生させられていては、速度など早くても変わらない。

或いは蘇ったフリーズの能力で無理矢理に勝利を手繰り寄せる手もあるが、先ほども使ったばかりだ、芸がないと思われるのも本意ではない。

(それにこいつなら、新しい俺の実力も測れそうだしな。容易に刈り取ってはむしろ勿体ない……)

そんな、極めて自分勝手な思考を繰り広げて。
目の前の敵を障害ではなくただ自分の実力を測るための実験台として考えながら、カッシスはその右腕に、禍々しい光を纏わせた。





「なんだよ、これ……」

掠れ、震えた声で、三原は目の前で繰り広げられる闘争に対してただ戦慄を口にした。
あのオルフェノクが現れて精々未だ5分ほど。
たったそれだけの時間で、既に仲間は二人もやられてしまった。

頼りのはずのデルタの鎧も、真司も、守りたかったはずのリュウタロスさえも。
あまりにも呆気なく、信じられないほどにあっという間に、失ってしまった。
挙句の果てに目の前で行われている紫と灰の怪人による戦いは、まさしく別次元の代物。

例え少し未来のデルタの資格者として戦う自分がここにいたとしても何も変わらなかっただろう惨状を前に、三原はただ絶望に立ち尽くしていた。

「三原、修二……」

茫然とする三原の意識を呼び覚ましたのは、いつの間にか立ち上がっていた麗奈の、しかし彼女にしては弱弱しい呼び声だった。
果たしてそこにあったのは、いつもの気丈な彼女からは想像もつかない、目を真っ赤に充血させその頬を濡らした麗奈の姿だった。
だが彼の目を最も引いたのはその涙以上に、他ならぬ彼女の表情。

それは、仲間を失った怒りに流す涙を流し終え、今や憤怒に燃える今までに三原が見たことのないものであった。

「三原修二、お前は逃げろ」
「え?」
「私は……奴とのケリをつけねばならない。お前は病院に向かい名護たちとの合流を目指せ」

その目を赤く染めながらも、見るだけで敵を射殺すような瞳をぶつかり合う二つの異形から外すことなく、麗奈は告げる。
三原には目もくれず放たれたその言葉に、しかし三原は何か反論するべきかと言葉を探す。
だが脳裏に浮かぶのは、どうせ戦ったって勝てっこないだとか、今のうちに逃げた方が得策ではないかだとか、そんな今の麗奈に言えば殴られそうなものばかりだった。

837 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:07:39 ID:j4oSyUAM0

そんな言葉しか浮かばない自分に対する自己嫌悪に陥りながら、しかしそれでも一人で逃げるという行為へはそれ以上の忌避感を覚えた。
それは、仲間を見殺しにするような行為に対してか、一度は守りたいと感じた女性に殿を任せることに対してか、それとも或いは……一人で逃げたところで危険が付きまとうからか。
しかし、本人でさえ明らかでないそれらの葛藤に対しどうにも言葉を失った三原を置いて、麗奈は一歩敵へ向けその足を進めていた。

呼び止めるなら今しかない。
そんな風に感じる自分は確かにいるのに、どうしても声が出てこない。
仲間が殺されて悔しいのに、辛いのに、何も出来ぬまま頼りにもされず逃げ出すことは格好悪くて嫌なのに。

それでも三原の足は確かに一歩、また一歩と戦場から、そして麗奈から離れるように動き出していた。
足取りは重く、どうしようもなく後ろ髪を引かれるような心地をずっと感じ続けている。
だがそれでも……どうしようもなくひとまずの我が身の安全に安堵している自分が、確かに存在していることを、彼は感じてしまって。

(ごめんな、リュウタ……)

心中で述べた謝罪は、どうしようもなく短いものだった。





「……行ったか」

遠ざかっていく三原の足音を背中で感じながら、麗奈は一人呟く。
これでどうにか、ひとまず一人は逃がすことが出来た。
と言ってもデルタを狙う村上を始めとして、危険人物のたむろするこの会場においては、彼単身での病院までの道のりは決して安全なものとは言えないだろうが。

結局はこれ以上目の前で誰かを失いたくない自分の我儘にすぎないのかもな、と自嘲しながら、麗奈はとある男の前でその片膝をついた。
それは、先ほどの戦いでその命を刈り取られた城戸真司その人のもの。
俯せに倒れ伏すその身体に、目立つ外傷は見られない。

だが恐らくはその身体の中心には先ほどその身を貫いた触手による穴が確かに開いていて、この体の下には夥しい量の血だまりが出来ているのだろう。
彼のことを思えばその身をこれ以上動かすことは死者への冒涜にあたるのだろうが、だがそれでも麗奈にとってそれは必要な行動であった。
それは彼を弔うためではなく、彼の持つ龍騎のデッキを自身が貰い受ける為。

情けない話ではあるものの、先ほどのカッシスにさえ敗れた自身のワーム態如きでは、今のカッシスには手も足も出ないのが関の山だ。
だが、その切り札たるファイナルベントを未だ切っていない龍騎であるならば。
或いはその最大火力の一撃だけでも、奴の身に有効打を届けることが叶うのではないかと、麗奈は考えたのである。

我ながら、酷く身勝手な作戦だと思う。
身を賭して自分たちを守ろうとしてくれた戦士の遺物を勝手に使い、ほんの一瞬の自己満足のためにこの命さえ燃やそうとするとは。
きっと心優しい彼は、今の自分の行いを知れば反対するだろう。

だがそれを知ってなお後に引けぬだけの復讐の炎が、今もなお麗奈の身を焼き焦がそうとして燃え盛っているのである。

「すまない城戸真司……どうか最後に一度だけ、私に力を貸してくれ……」

身勝手な願いと知りつつも、意を決した麗奈がその腕を横たわる真司の身体にかけようとした、まさにその瞬間。
ガシリと音を立てるように、彼女の腕は掴み取られた。
さしもの麗奈も、驚愕に目を見開き事態の理解に意識を集中させるが、しかしうまくいかない。

だが、それも仕方のないことだろう、何故なら――。

「あれ、間宮さん――?」

まさしく彼女の腕を掴んだのは、死んだと思われていた城戸真司その人のものであったのだから。

838 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:07:55 ID:j4oSyUAM0





――深く暗い闇の中で、城戸真司は目を覚ました。
どちらが上で、どちらが前かもわからない、ただただ闇が広がる空間。
どこまでも続くような広い闇の中で、自分だけがぽっかりとそこに浮かんでいた。

「あれ、俺……」

キョロキョロと周囲を見渡して、彼はなぜ自分がこんなところにいるのか思い返そうとする。
どこかに閉じ込められた?編集長と飲みすぎた?それともまさか……ミラーモンスターに何かされたか?
うんうんと唸りながらここに至るまでの記憶を辿っていた真司は、瞬間ハッと気づいたようにその顔をあげた。

「そうだ……俺、大ショッカーに殺し合いを……!」

言いながら真司の脳裏に、駆け抜けるように自分が今ここに来る直前までの記憶がフラッシュバックする。
世界の存亡をかけた戦いを命じられ、元居た世界と同じように殺し合いを止めるために戦った。
そんな中で得た、志を同じくする仲間たちを守るため、自分はこの身を盾にしてあの灰色の怪人に立ち向かって——。

「真司」
「っておわっ!?」

先ほどまで誰もいなかったはずの虚空より発せられた、自分を呼ぶ声に思考を中断された。
気配を感じなかったのが不思議なほどに至近距離からの声に、思わず素っ頓狂な声をあげながら、真司は振り向く。
だが瞬間、振り向いた先にあったのは、最早見ることの叶わないと思われていた一人の女性の顔だった。

「お前……霧島……?」
「何寝ぼけたこと言ってんの、私に決まってるでしょ」
「え、でもお前、確か……」

真司の驚愕も、無理はない。
そこにいたのは、自分と同じく大ショッカーによる殺し合いに参加させられ、既にその死を告げられた霧島美穂その人だったのだから。
浅倉本人から殺したとさえ言われた彼女の突然の登場に、真司は困惑を露にする。

だがそんな彼を見て、まるで予想通りだとでも言うように美穂はため息を一つ吐いた。

「うん、まぁそう。だからここはそういうとこで、あんたはそういうことなわけ」
「マジかよ、そんなのって……」
「うん、マジ」

未だ状況を飲み込めずしどろもどろに言葉を詰まらせる真司に対し、美穂は極めて端的に返す。
彼には少々可哀そうでもあるが、ここで変に希望を持たせる方が、よほど残酷だ。
どうにもならない現実があるのなら、さっさと知らせる方が情だろうと、美穂はリアリストなりにそう思った。

「じゃあ、そういうことなんだな?ってことはお前——





——大ショッカーまで騙してたのか!やっぱりとんだ悪女だな!」
「いや、なんでそうなんのよ!」

今までの会話を何も理解していなかったらしい真司の的外れな言葉に、美穂は思わずずっこけそうになってしまう。
これがボケなら救いもあったが、どうやら彼の顔を見る限りその線も薄そうなのだから悲しくもなるというものだ。

839 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:08:11 ID:j4oSyUAM0

「へ?いやだってお前放送で名前呼ばれただろ?実は死んでなかったのに大ショッカーを騙してたってことなんじゃないのか?」
「違うっての!あんたってホント馬鹿ね!」
「馬鹿ってなんだよ馬鹿って!大体お前はなぁ――」
「――いつまでやってる」

いつぞやと同じように子供の様な口論を始めそうになった二人のもとに、ぴしゃりと冷たい声が響く。
呆れ果てたようなその声に、しかし真司は聞き覚えがあった。

「蓮……」
「最初に言っておくが、俺たちは生きてなんかいない。余計な誤解はするなよ」

自身の死でさえ極めてドライに事実だけを吐き捨てるその姿勢は、まさしく真司の知る秋山蓮を思わせるもので。
だからこそ、そんないつも通りの蓮の言葉に、真司はようやく、自分が今置かれている状況を理解してしまった。

「じゃあ俺、ほんとに……死んだのか」
「うん、だから私たちが迎えに来たってわけ。ほら、迷っちゃうといけないし」

言いながらいつものように笑う美穂の笑顔は、しかしどこか引き攣っていた。
同情なのか、悲しみなのか、或いは自分たちの世界が滅んでしまうことへの未練なのか。
どうあれそれでも優しい言葉を吐く美穂を前に、真司はここではないどこかを夢想しながら虚空を眺めた。

「結局俺の願い、叶えられないままだったな……」

ポツリと、真司は呟く。
13人のライダー同士の戦いに参加したものとして、願いの一つでも見つけてみろと麗奈に言われ、ようやく探そうと思えた自分自身の願い。
そうして辿り着いたのが、誰に何と言われようと、どう思われようとライダー同士の戦いを止め世界を救いたいという願いだった。

ミラーワールドに生きる仮面ライダーとして、そして様々な世界に生きる自由と平和のために戦う仮面ライダーの一人として、戦いたいという自分の、素直な願い。
この一年戦い続けて思い至った小さな望みは、しかしこんなところで容易く終わりを告げてしまった。
それがどうにも悔しくて、真司は美穂や蓮を見やることもなくどこにあるとも知れない生者の世界に思いを馳せていた。

「ねぇ、真司」
「ん?」
「あんたも、願いを見つけられたんだね」
「あぁ、お前らに言ったら、反対されそうだけど……」
「アハハ、まぁ想像はつくけどさ」

少し笑った後、美穂は蓮と顔を見合わせた。
どこか訳知り顔な二人の様子に真司は訝し気な表情を浮かべるが、それを問うより早く、蓮は唐突に距離を詰め真司の襟首をつかんでいた。

「ちょちょ、なんだよいきなり!」
「城戸」
「なんだよ!」
「これは、貸しにしておく。いつか……返しに来い」

言いたいことだけ吐き出したというように蓮は踵を返し、どこか遠くへ歩いていく。
距離にしてみれば近いはずの蓮は、しかし一歩一歩ごとに手の届かない距離にまで行ってしまうように、真司には感じられた。

「ちょ、蓮!どこ行くんだよ」
「……」

真司の呼びかけを無視して、そのまま蓮の姿は闇に溶ける。
まるで最初からそこにいなかったかのように消えた彼の姿を探し真司は周囲を見渡すが、しかしその姿はどこにも見当たらなかった。

「おい蓮!おい!」
「真司」
「なんだよ!」

840 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:08:26 ID:j4oSyUAM0

意味深な言葉を残し消えた蓮に対し苛立ちを隠せない真司の耳に、美穂が自分を呼ぶ声が届く。
だが、今はそれどころではないとばかりに振り返った彼の瞳に映ったのは、蓮と同じようにその身体をゆっくり闇に溶かしていく美穂の姿だった。

「ごめん。なんか……もう時間っぽい」
「時間って……なんだよそれ!お前、俺を迎えに来たんじゃないのかよ!」
「あー、ごめん。あれ嘘。本当はさ……ちょっと、あんたと話したかっただけ」
「話したかったって……」

真司の脳内は、もう混乱でぐちゃぐちゃだった。
いきなり真っ暗い空間に飛ばされたと思ったら、死んだと思っていた美穂や蓮がいて。
自分も死んだのだと言われたのに、今度はいきなり時間が来たとか言われ、二人も消えてしまうのか。

言語化できないほどに複雑な感情に困惑する真司に対し、美穂はただ優し気な笑みを浮かべながら真司に向け歩を進める。
やがて彼女の顔は、真司のそれとよもや接触するという距離にまで、近づいていた。

「真司」
「なんだよ」
「ふふ……呼んでみただけ」

なんなんだよ……とぼやきながら、真司は僅かにその足を美穂から一歩分離す。
やはりというべきか、なんというべきか、彼女といると妙に調子が狂う気がする。
自分はいつも通り振る舞っているつもりなのに、いつの間にか彼女のペースに呑まれてしまう。

彼女の仕事柄、口が上手いからだろうか。
いや、しかし弁護士である北岡にはこんな風に悩むことがないことを思えば、それもまた違う問題なのかもしれない。
……或いは北岡には、美穂以上に相手にされていないというだけの話かもしれないが。

(ていうか、さっきから何なんだよ霧島の奴……。話してみたかっただの呼んでみただけだの、何が目的なんだよ……)

死んでしまった存在と話せる空間でさえ現れない北岡の存在に少しだけもの悲しくなった真司は、それを誤魔化すように目の前の美穂に意識を向ける。
一方で、訝しむような真司の表情を察したか、美穂は再びその口を開いていた。

「真司、ちょっと目、瞑ってくれる?」
「え、なんで……」
「いいから」

美穂の強引に押し切るような言葉に、真司は渋々目を瞑る。
本当に何から何まで、さっきから何を要求しているのか分からない女だ。
とはいえこうして何やかんや言いつつその要求を受け入れてしまう自分も、少しは悪いのだろうが。

(……でも霧島の奴、本当に目なんか瞑らせて何やらせる気なんだ?)

腕を組み目を瞑ったまま、真司は美穂がやろうとしていることを推理してみようとする。
目の前で何かをしている様子もなく、ただそこに気配だけがある、なんとも言いがたい状況だ。
こんな状況で、わざわざ目を瞑らせる理由を少しばかり考えて、それから真司は、ハッとしたようにとある思考に辿り着いた。

(まさか霧島の奴、また何か盗んでるじゃないだろうな……!?)

それは、初めて彼女と出会った後、美穂と遊園地に行ったときのこと。
少しの間だけ凭れさせてほしい、などと良い雰囲気を演出しておいて、彼女は自分の懐から龍騎のデッキを奪おうとしていた。
結局寸前でそれは阻止できたものの、彼女の仕事である詐欺師を思えば、今もまた同じように真司から何かを盗もうとしている可能性は、決してないわけではなかった。

であればやはりこのままこの目を開けるべきか、とそう考えるが。

(いや、もし本当に何かしてくれようとしてたらどうするんだよ。
別にもう戦う理由だってないわけだし、今更わざわざ何か盗む必要もないんじゃ……)

その一方で交流を深めた彼女を信じるべきではないかと言う自分が、それを妨げる。
どちらにせよ、もうライダー同士の戦いなんていうのも無関係なのだ。
欺したり盗んだりする必要など、欠片も存在しない今、彼女が純粋な善意で何かをしようとしている可能性も、否定しきれない。

841 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:08:42 ID:j4oSyUAM0

(いやいや、こいつは詐欺師だぞ?今も何か企んでるかもしれないだろ!?)
(いやいや、でも一緒にお好み焼き食べてる時は、全然良い奴だったし、こいつも根は悪い奴じゃないと思うんだよな……)
(いやいや、でも――)



――ピシッ

深入りしていく思考を中断させたのは、美穂のデコピンによって生じたおでこに響く鈍痛であった。

「痛っ」
「なーに期待してんの。変態」
「変態ってなんだよ変態って!お前が目瞑れって言ったんだろ!」

ホントとんだ悪女だな、とむすくれながら、真司は彼女を良い奴と思いかけていた自分を後悔した。
何かを盗んだわけではないにしろ、彼女はやはり詐欺師である。
死んでもろくな女じゃないなと、文句の一つでも口にしようとした、その瞬間。

突如美穂の身体が、小さく、しかし強く光る粒子になって辺りに散らばっていく。
突然の出来事に困惑する真司だが、それ以上にその光の眩しさに目を覆わざるを得ない。
だがそれでも、何とか彼女を消してなるものかと、真司は必死にその手を美穂に伸ばす。

だが美穂は、その手を取ることはしない。
ただ微笑みだけを向ける美穂に対しそれでも懸命に手を差し伸べ続ける真司だが、やがてその身体は美穂から離れ宙へ浮かんでいく。
闇から離れ、急速に光の中に浮上する彼に対して、彼女は今度こそ嘘ではない素直な笑みを浮かべ――。

「真司。今度からは靴紐……ちゃんと結べよな」
「霧島ぁぁぁぁぁぁ!!!」

その声を最後に、真司の腕の先にあったはずの美穂の身体は、遠く遠く離れていく。
手を伸ばそうとすればするほどに遠くなる彼女の姿を、しかしなんとかして掴もうと、真司はその手を伸ばし続け――。

「あれ、間宮さん――?」

次の瞬間には、自身が掴みたかったそれとは違う女性の腕を、確かに掴んでいた。

「俺……一体……」

痛む身体を押して、ぼんやりと周囲を見渡せば、そこにあったのは確かに気を失う前自分がいた世界であった。
先ほどまで見ていたのは、一体何だったのだろうか。
夢だった……と断じるには、些か乱暴なようにも、真司は感じていた。

「城戸真司……生きていたんだな」
「生きてた……って」

麗奈の安堵を込めた声に、ふと何かに気付いたように真司はその懐に手を伸ばした。
先ほどあのオルフェノクに貫かれたはずの個所は、僅かな鈍痛の残るのみとなっている。
ほぼ反射的にその原因を探った真司は、瞬間何が自分の命を繋いだのか知ることとなった。

「これ……霧島のデッキ……」

いつの間に懐に収めていたのか、そこにあったのは衝撃に砕けバラバラになったファムのブランクデッキであった。
先ほどドラグシールドと龍騎の胸部装甲を砕いたアークオルフェノクの魔手は、しかし懐に秘めたこのデッキによって、真司の身に届く寸前で間一髪押し止められたのである。
だが、そんな奇跡的な偶然になど、真司は興味ない。

それよりも、先ほどの夢で美穂の言った「もう時間だ」という言葉と、砕けたデッキとの間に感じる奇妙な関係性の方が、よほど彼にとっては大事であった。

「大丈夫か?」
「え、あぁ大丈夫だけど……」

842 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:09:23 ID:j4oSyUAM0

砕けたデッキの破片を手に物思いに沈む真司に対し、麗奈は心配そうに声をかけてくる。
彼女の遥か後方では、あのオルフェノクと先ほど戦った乃木という男が戦っているのが目に入った。
つまり、戦いはまだ続いているのだ。

であればともかく今は考えている暇もないかと一転して気を引き締め立ち上がった真司に対し、麗奈はその肩を引き留める。

「待て城戸真司、お前は病院に迎え。先に三原修二も行っている……お前なら奴にはすぐ追い付けるだろう」
「お前は、って間宮さんはどうするんだよ?」
「私は、奴を……乃木怜治を倒す」

変身制限のかかった真司を逃げるよう促しながら、麗奈は今一度カッシスをその瞳に映した。
だがその提案を受け入れるわけにはいかないとばかりに、真司は彼女の前に立ち塞がっていた。

「ちょ、ちょっと待てよ間宮さん!倒すって、さっきあいつに負けてただろ!それに、あのオルフェノクも相手じゃ、なおさら――」
「――だとしてもだ。私は、私らしく生きると決めた。そのために、奴から逃げるわけにはいかない」

凛とした表情で、麗奈は真っ直ぐに言い放つ。
思わず、どういうことだと困惑した真司に対し、彼女は臆することなくその足を踏み出した。

「……私は、ワームでありながら人の心で、自由に生きると決めた。
それを恥じる気も、後悔する気もない。だが、それを妨げようとする奴から逃げてしまえば私は、自分の選んだ生き方を自分で間違いだと認めてしまうことになる」

麗奈の瞳には、迷いは見られなかった。
つまりは彼女が言いたいのは、ワームの掟を守りそれを破った自身を殺そうとする乃木から逃げるのは、結局のところ掟に屈したことになるということ。
どこまでも自由に、空に浮かぶ雲のように生きたいと思った自分に嘘をつかないためには、追っ手に怯えるのではなく、それを正面から叩き潰さねばならない。

それが、彼女の思う自分らしく生きるために選んだ茨の道であると思ったし、同時にこれはその為の試練なのだと、彼女は考えたのである。

「そんなこと……」
「あぁ、考えすぎかもな。だが、怯えながら逃げ命を繋ぐことを、私は『生きる』こととは思わない。例えそれをお前が否定しようともな」
「間宮さん……」

強い意志を持って放たれた麗奈の言葉に、真司は言葉を詰まらせる。
浅倉との戦いで、そしてその後にあった門矢士の言葉で、麗奈は人間として生きてくれるのだと思った。
だがその裏には、自身の種族が持つ掟をこうまで重く捉えた彼女の姿があったのだ。

人間の間宮麗奈がワームの自分と和解したのだ、などと能天気に考えていた自分を恥じつつ、真司はしかし彼女が行おうとしていることを、認めることは出来なかった。

「間宮さん……ごめん、俺ちょっとあんたのこと勘違いしてた。そりゃそーだよな……人間として生きるって言葉、本当はあんたは、凄い悩んで言ったんだよな」
「……」
「でも、それでもやっぱり俺は、今の間宮さんを一人で戦いになんて向かわせられない」

今度は真司が、真っ直ぐに麗奈を見据える番だった。
一年間のライダー同士の戦いの果て、ようやく見出した自分の願いらしきもの。
それに嘘をつかないためにも、真司はここで彼女を戦場に行かせるわけにはいかなかった。

「俺、皆傷つかず幸せになれる世界を信じたいって言ったよな。凄い迷惑をかけるかもしれないけどって。
だから間宮さんが負けるかもしれないのに戦いに行くのなんて、俺は認めない。
あんたは納得いかないのかもしれないけど、いつか絶対に俺たちであいつを倒すから、だから今は――」
「駄目だ」

真司の必死に考えながら絞り出した言葉に対して、麗奈の返答は短く冷ややかなものだった。
そう言うと思っていたとばかりにあっさりと切り捨てられた真司は些か眉を顰めるが、しかし麗奈もまた、一歩も引く様子を見せない。

843 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:09:39 ID:j4oSyUAM0

「ここで逃げた時点で、私はもうありたいと思った自分として生きていることが出来なくなる。
お前の願いに反するとしても、それが私の願いだ。例えその先で、死ぬことになったとしても」
「なんでそんなこと言うんだよ……どんな理由があったって、死んでいいわけないだろ!
そうしなきゃ生きられないなんて、そんなの間違ってる!」

自身の命を投げ捨ててでも戦い、自身の存在を証明しようとする麗奈。
例え相手にどんな理由があったとしても、自身の生を証明するために死ぬことさえ厭わず戦おうとすることを否定する真司。
彼らの価値観は、そして彼らの願いはそれぞれ互いに決して交わらず、故に議論は平行線を辿っていた。

数秒の沈黙が流れた後、視線を逸らし溜息をついたのは、麗奈の方だった。

「――仕方ない。お前がここまで根気強いとは思わなかった」
「仕方ないって……じゃあ間宮さん――!」
「あぁ。あまりやりたくはなかったが――お前にはことが終わるまで、気を失っていてもらう」

ワームの幹部たる威圧を誇るその言葉は、本気だった。
彼女は今にでもウカワームへ変身を果たし、その言葉を実現するつもりだろう。
自分を殺すつもりはないのだろうが、同時にここで自分の意見にこれ以上耳を貸す気もないはずだ。

だが、だからといってダメージを避けるために今の彼女を置いて逃げるという選択肢も、真司の中にはすでになく。
両者の間に走る緊張が、これ以上ない高まりを見せたその瞬間――。

「――おい、アンタたち!大丈夫か!?」

突如として現れた青い戦士の声によって、それ以上を遮られた。
突然の出来事に思考を停止した真司の一方で、ワームへの変身を選択肢として残しながらも、恐らくこの男は殺し合いに乗っていないのだろうと麗奈は推測する。
何故ならそこにいる仮面ライダーは、自身もよく知る戦いの神ガタック。

元の資格者である加賀美新は既に死んでいるが、あのゼクターが新たな主に選んだのもきっと彼と同じタイプの男なのだろうと、麗奈は考えたのである。
加えて、生身の参加者二人を前にクロックアップシステムを持つガタックで奇襲を仕掛けていないのだから、十中八九殺し合いに乗っていないのは間違いなかった。
そうした根拠から彼に対する過度な警戒は無意味かと、彼女は結論づけていた。

「あぁ、私たちは大丈夫だ。貴様こそ、随分と急いできたようだな」
「よかった……俺は小野寺ユウスケ。三原って人にこっちで大変なことになってるって聞いて、飛び出してきたんです」
「三原さんと会ったのか……って、そういえば三原さんとリュウタは……?」

ユウスケと名乗った男から出た意外な名前に、真司は辺りを見渡す。
彼からすれば気絶する前にいたはずの仲間がいきなりいなくなったのだから、不安になるのも仕方のないことであった。
だがあげられた名前に対し僅かに目を反らし下を向いたガタックを見て、真司はその瞳を大きく見開いた。





時は、少し遡る。
渡との戦いを終えた後、F-1エリアで気を失っていたユウスケは、放送の少し前にその意識を取り戻していた。
流石に連戦に次ぐ連戦で消耗した身体は少し休んだ程度では未だ悲鳴を上げ続けていたが、それでもユウスケは脚を止めることはしなかった。

放送で死を告げられた、多くの仮面ライダー。
その中には、この会場で共に行動した橘朔也や、異世界のアギトや555である翔一や巧といった名前も含まれている。
一方でダグバの名前も呼ばれていたが、それで殺し合いが終わるわけではない。

力不足の自分の代わりに、誰か別の参加者が仮面ライダーとして正義を為してくれただけのこと。
自分でなければダグバを倒せないなどということ自体が思い上がりだったのだと、ユウスケはそう結論付けようとする。
そう結論付けて、納得しようとしているのだが。

844 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:10:04 ID:j4oSyUAM0

(なんで、ずっとあいつと戦ってるときみたいな嫌な感じが消えないんだ……)

この体にじっとりと纏わり付く、奴の放つプレッシャー。
二度戦った時にこれ以上なく感じたその感覚が、なぜか消えないような錯覚を、ユウスケは覚えていた。
気のせいだと振り払おうとする自分の一方で、もしかすればダグバは未だ生きているのではと囁く自分を、ユウスケは自覚する。

もし本当に究極の闇を乗りこなした自分にしかダグバは倒せず、大ショッカーでさえその身を滅ぼすことが出来ないのだとしたら――。

「――ん?」

最悪の可能性に思考を巡らせるユウスケの視線の先に、全力で何かから逃げるように走ってくる青年の姿が映る。
少なくとも自分が今まで出会ったことのある参加者ではないようだが、取りあえず話を聞かなくては。

(そうだ、ダグバがどうであれ、俺がやるべきことは変わらない。死んだ五代さんの分まで、戦士クウガとして俺が皆の笑顔を守るために戦わなくっちゃ)

忘れかけていた初心を、ふとしたことで思い出す。
ダグバを倒すことは、決して自分の全てではない。
不確定なそれに思考を巡らせるよりもまず、目の前の誰かの笑顔を守らなくては。

駆けだしたユウスケの表情からは、少しだけ眉間の皺が減っていた。





「――君、大丈夫?」

やがて、大した時間も要することなく青年の元へ駆けつけたユウスケは、彼に気遣うような声をかけた。
ユウスケが追い付いた青年は今、情けなくも地面に大きく俯せになっている。
一先ほど、息切れし屈み込んで荒く呼吸を繰り返していた青年は、ユウスケの登場で一層のパニックを起こしたらしく、G-1エリアへと駆け出そうとしたのだ。

そちらが禁止エリアであることさえ忘れた突発的な行動にユウスケもまた咄嗟に彼の足を引っかけ、その歩みを止め、今に至るということである。
最終的な身の安全を考慮した結果とはいえ、少々乱暴な手段を使ってしまったことに申し訳なさを感じ先ほどのような言葉をかけたのだが、青年は未だ呼吸に精一杯で返事をしてくれる様子はなかった。
であればやはり警戒を解くためにも自分から名乗るべきかと、ユウスケは青年の前にしゃがみ込む。

「驚かせてごめん、俺は小野寺ユウスケって言うんだ。よければ君の名前も――」
「小野寺ユウスケ?……って、あの門矢って人の仲間の……?」
「士を知ってるのか!?」

思いがけず耳にした仲間の名前に、ユウスケは青年の名を聞くことさえ忘れて彼の肩を揺する。
それを受け、未だ酸欠状態であった青年は、これ以上脳が揺れるのを避けたいという思考だけで、自身の知っている情報を反射的に絞り出していた。

「あぁ、なんかキングって奴を追うとか言って、病院に向かった……。
もう放送からだいぶ前の話だしバイクにも乗ってたから、多分もう着いてると思うけど……」
「キング……?あいつ、士にも……」

息も絶え絶えの青年から放たれた予想していなかった名前に、ユウスケはその瞳を北方へ向ける。
一条が向かい、士が向かったという病院。
やはり自分が向かうべきはそこ以外にないだろうと、ユウスケがそう考えた、その瞬間だった。

先ほどとは一転して、自分が言うべきだったことを思い出した様子の青年が、ユウスケの肩を強く揺さぶったのは。

「それより聞いてくれ!あっちでリュウタが……俺の仲間が!」
「リュウタロス?リュウタロスがどうしたんだ?」

再び耳にした聞き覚えのある名前に、ユウスケはまた青年に向き直っていた。

845 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:10:20 ID:j4oSyUAM0





「そうか、それじゃあ君の名前は三原修二。向こうでワームとオルフェノクに仲間が二人殺されたから、それでこっちに逃げてきた。こういうことか?」
「あぁ……」

半ばパニックのままの三原の言葉を何とか解読し、纏めるユウスケ。
それを青年、三原が肯定したことを受けて、彼は思考を巡らせる。
三原という青年が嘘を言っていないのは、ほぼ間違いない。

元はと言えば海堂が仲間と言っていた人物なのもそうだし、この怯えようが演技であるとも思えない。
であれば次に考えるべきは、自分がそちらに向かうべきかどうかだ。
話を聞く限り、その二体のワームとオルフェノクはユウスケが知る中でも上位の実力を持つものだ。

4人のライダーの必殺技を物ともしなかったというオルフェノクは、情報だけ聞けばガドルは勿論、もしかすればそれはダグバ以上の怪物かもしれなかった。
そしてまたそれと渡り合えるだけのワームもクロックアップさえ超える加速能力を持つらしいのだから、自身もまた究極の闇にならなければ、戦いにすらならないだろう。

『――なぁ、ユウスケ。おまえはそんなにその黒いクウガってのになりてぇのか?』

かつてダグバとの戦いの直前に、キバットが自分にかけた言葉を思い出す。
ダグバを倒すには自分が究極の闇にならなければどうしようもないのだから、皆は逃げてくれと言った自分の言葉に対する、あまりに素朴な疑問。
その答えは、勿論NOだ。ユウスケとて、戦う為だけの生物兵器としての姿に望んで成り下がりたいなどと、口が裂けても言いたくはない。

(それに、また俺のせいで誰かを殺してしまったら……)

思い出されるは、自身の発生させた炎に呑まれ燃えていく青年と女性の姿。
理性を失ったはずの凄まじき戦士が、しかしその脳裏に焼き付けていた、最も悔いるべき守りたかった仲間を自身の手にかけるその瞬間であった。

もう、あんな思いは二度としたくはない。
それに、暴走しなければまともに戦えないような戦力の自分がそこに行っても、戦況を混乱させるかもしれない。
それなら寧ろ、そちらに向かわずこの三原という男を病院にまで送り届けるのが自分の責務ではないかと、そこまで考えて――。

――彼は自身の頬を強くはたいた。

「何考えてるんだ俺は……!それじゃ本末転倒だろ……!」

揺らぎかけていた自分の信念を、もう一度思い返す。
自分は、誰かの笑顔を守る為に戦うと決めたのではなかったのか。
究極の闇にならなければ勝てないような相手であれば、戦いそのものを避けるような在り方が、本当に自分のなりたい自分だったのか。

「違う……俺が戦うのは、誰かを倒す為じゃない……!」

言いながら、ユウスケは頭を振る。
亡き八代に誓ったではないか、世界中全ての人の笑顔の為に、戦うと。
未だ戦場に残ったという三原の仲間である間宮麗奈という女性を蔑ろにして、その約束が果たせるはずがないだろう。

気を引き締め直したユウスケは、その腰にZECT製のライダーベルトを巻き付ける。
例え究極の闇にならなくても、きっと何か出来ることはあるはずだと、そう信じて。

「来いッ!ガタックゼクター!」

叫んだ主の声に従うように、空より舞い降りるは青い彗星。
その双眸を赤く輝かせてユウスケの手に収まったそれを、彼は想いきりベルトに叩き込む。

846 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:10:36 ID:j4oSyUAM0

「変身!」

――HENSHIN

「キャストオフ!」

――CAST OFF
――CHANGE STAG BEATLE

その身から余分な鎧を吹き飛ばし、ユウスケは仮面ライダーガタックへと変身を遂げる。
三原から話を聞くのに少々時間を食ったが、ガタックであれば大事になる前に駆けつけることも十分可能なはずだ。

「ごめん、三原さん。病院にはやっぱり一人で行ってくれ。俺も絶対、間宮さんって人を連れて後で追いつくから」
「えっ、ちょっと、本当に俺の話聞いてたのか!?あっちは本当に危ないんだって――」
「あぁ、分かってる。それでも俺は、人の笑顔を守りたいから。――クロックアップ!」

――CLOCK UP

三原の困惑をおいて、ガタックはそのまま超高速空間へと移行する。
彼には少々酷かとも思うが、しかし今は何より時間が惜しい。
彼には伝わることのない謝罪を心中で吐いて、ユウスケはそのまま三原が指した方向へと全力で駆け出していった。

「なんなんだよ、もう……」

クロックアップを使用して目にも止まらぬスピードで消えたガタックに対し、三原から漏れたのはそんな疲れ切った声だった。
有り得ないような強敵と戦わされて呆気なく負けたと思えば、今度は逃げろと言われ。
それに従って一目散に逃げた先で出会った青年にはほぼ一方的に情報を吐かされて、また一人で置いてけぼりだ。

だがこれでようやく、一人で落ち着いて病院に向かうことが出来る。
道中は確かに恐ろしいが、しかしそれでもその先には心強い仮面ライダー達がごまんといて、自分を守ってくれるはずだ。
そうして三原は、再びその足を病院に向けようとして。

――どうしようもなく、それ以上進むことが、出来なかった。

「なんだよ……なんなんだよ……!」

泣き出しそうな声音で、三原は喚く。
危害を加えられたわけではない、疲労が頂点を迎えたわけでもない。
ただ、先ほどの青年が自分の情報を聞いてもなおあの戦地に走ったという事実が、どうしようもなく旨を掻き乱す。

4人がかりでも一切手も足も出なかったと言ったのに、時を止めたと言って遜色ない所行を、目の前で繰り広げたと言ったのに。
そんな事など知るものかとでも言うように、彼は臆することなく戦地へと向かっていった。
ただ、そこにいる一人の女性を、守る為に。

「なんだよ……誰かの笑顔を守るとか……そんなの、そんなの……!」

下らないことだとか、死にに行ったような物じゃないかとか。
そんな彼を貶すような言葉が浮かぶも、しかし口に出すことは出来なかった。
あんな風に真っ直ぐに誰かの為に自分を犠牲にして戦える人を馬鹿にすることは、三原にはどうしても出来なかった。

「――クソッ!」

どうにも整理のつかない自分の感情に、悲鳴にも近い声をあげて、三原は迷いを振り切るように走り出した。
――今まで走ってきた方向……つまりは、ユウスケの後を追うように、あの戦場へ向けて。

(何してるんだ俺、あそこに行っても、出来る事なんて何もないだろ――)

そんな風に叫ぶ冷静な自分は、確かに存在していたが。
しかし自身の足取りが、先ほどそこから離れてきたときに比べて格段に軽いように、三原には感じられた。
ただ今は、そこから逃げることだけはしたくない。

そこに今更行ったところで自分が何を出来るかなんて、分からないけれど。
それでも今は、自分の中から湧き出るこの衝動に任せてみてもいいかと、三原は思った。

847 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:10:52 ID:j4oSyUAM0





「じゃあ、リュウタはもう……」
「あぁ、乃木怜治にやられた。……まさしく一瞬の間にな。私の目でも、何をしたのかすら分からなかった」
「クソッ、なんでこんなことに……!」

気を失っていた間のことを麗奈から詳しく聞き、真司は拳を強く握りしめる。
リュウタや三原、麗奈たちを守る為にその身を挺したというのに、結局リュウタは……あの優しい魔人は殺されてしまったというのか。
麗奈が言った乃木はここで倒すという言葉のもう一つの意味を痛感しながら失意に沈む真司に対して、ガタックはその足を一歩進めていた。

「なぁアンタ、真司って名前って事は、『龍騎の世界』の人間なんだよな?」
「え?いや、多分そうだと思うけど……」
「なら、これの使い方も分かるよな?」

聞き慣れない『龍騎の世界』なる言葉に困惑しながらも肯定した真司に対し、ガタックはデイパックから一つの箱を取り出した。
蝙蝠のエンブレムが刻まれたそれは、まさしく自身のよく知る男が持っていたカードデッキ。
幾度となく刃を交え、そしてそれ以上に幾度となく肩を並べ戦った男の、その願いを叶えるための力であった。

思わずガタックの手からそれを自身の手に手繰り寄せた真司は、そのまま先ほどの夢に、彼も出てきたことを思い出す。

『これは、貸しにしておく。いつか……返しに来い』

既にその命尽きたはずの男が、貸せるはずのない、貸し。
どんな内容であれ貸し借りに何よりうるさかった男が最後に残したその言葉とこの状況を、真司はどうしてもただの偶然の一致とは思えなかった。

「なんで……これを俺に?」
「実は俺、『龍騎の世界』のライダーだけ、ちょっと情報が疎くって。きっとアンタの方が、上手く扱えると思ったからさ」

どこかばつの悪そうに頭を掻きながら、ガタックは言う。
実のところ、ユウスケにとって『龍騎の世界』は士から聞いた概要以上の何も知らない、ほぼ未知の世界であった。
というのも、士が事件の解決のため使用したタイムベントのカードによって、ユウスケにとっての『龍騎の世界』での冒険は、到着したのとほぼ同時に終わりを迎えてしまったのである。

先ほどは数多くのライダーを知っているが故の機転で何とかキングから逃げる程度の活用は出来た物の、能力を利用した戦闘というものは些かまだ難しく。
であればその世界から呼ばれてきた男に有効活用してもらう方がいいのではないかと、ユウスケは考えたのである。

「……そっか、ありがとな」

そんな内情は露知らず、友の遺品とでも言うべき品が自身の手に来たことに、真司は素直に礼を言う。
そんな彼に頷きを返したガタックは、しかし瞬間背後から聞こえてきた耳障りな戦闘音に振り返った。
視線の先には、未だ戦いを続けるワームとオルフェノクの姿。

特にリュウタロスを殺したというワームのことは、ガタックとて許しておくわけにはいかない。
皆の笑顔をこれ以上消させないためにも、自分がここで彼らと戦わなくては。
もう一度顔だけを振り返り真司と麗奈に頷きだけを残した後、ガタックは揺るぎない意思で以て戦場へと駆け抜けていった。

力強い雄叫びと共に強敵へと立ち向かっていくガタックの背中を見やりながら、麗奈もまたそれに続こうとその足を進める。
だがそれ以上の彼女の進行を止めたのは、他でもない真司が伸ばした右腕であった。

848 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:11:08 ID:j4oSyUAM0

「どけ、城戸真司。これ以上お前と話している時間はない」
「分かってる。だから、これを」

一刻の猶予もない状況での終わりないやり取りの予感に僅かばかり苛立ちを見せた麗奈に対し、真司は揺らぐことなく彼女にデッキを差し出した。
たった今ユウスケから渡されたそれではなく……自身の持つ、龍騎のデッキを。
一方で、デッキを確かに真司の手から受け取りつつも、麗奈は未だ疑問の表情を拭えぬままだった。

「なぜ、これを私に……?」
「俺、正直今の間宮さんに本当はどうするべきなのか、分からない。
間宮さんの願いを叶えるのにあいつを倒す必要があるってのも分かるけど、それで死んだりするのは、絶対に違うと思う。
でも、間宮さんの思いを無視してここから逃げるっていうのも違うと思うから……だから――!」

麗奈の疑問に対し言葉に詰まった真司は、代わりとばかりに一枚のカードを懐から取り出した。
先ほど自身の命を救った美穂のデッキに収められていた、炎の中に金色の片翼が描かれたカード。
だが、力強いその絵柄以上にそこに刻まれた一つの単語が、麗奈にとっては何よりの真司からのメッセージのように感じられた。

――SURVIVE(生き残れ)

どれだけ長々しい言葉よりも痛烈に訴えかけてくるその一言を、しかし麗奈は確かに胸に刻み込む。
生半可な覚悟ではない、自身の願いの為、必ずや戦い抜くという思いを抱いて真司の手からそのカードを受け取れば、彼は今一度強く頷いた。

「――だから俺も、一緒に戦う。何が正しいのか……ちゃんと見つけるために」

言いながら真司は、ユウスケの手より受け取った新しい力を……ナイトのデッキを構える。
同時龍騎のデッキを構えた麗奈の表情にもまた、最早迷いは存在していない。
彼らの戦う意思に呼応するように、二人に装着されるは、Vバックル。

(蓮……お前も、きっと悩んでたんだよな。戦いながら、これが本当に正しいのかって)

今は亡き友のように、右手を握りしめ左半身に振りかぶりながら、真司は思う。
きっとあの秋山蓮という男は、真司が思う以上に繊細で、ずっと自身の願いの為誰かを犠牲にすることを悩み続けてきたはずだ。
そうでなければ彼はずっと前に後戻りの出来ない一線を越えていたはずだし、戦いを止めようとする自分と共に戦う事も、なかっただろうから。

(なら俺も、戦いながら見つけてみるよ。自分にとって何が正しいのか、願いを叶えるために戦う……ライダーの一人として)

だから、そんな心の奥底で葛藤し続けていた男が死んだ後ようやく吐いた『貸し』という言葉を、真司は信じてみることにした。
戦いを止め、世界を救おうとする真司の願い。
それを叶えるために、彼がこんな形とは言え、その力を貸してくれるのなら。

真司は、戦い続ける事ができる。
自身の願いの為に他の誰かを犠牲にしていくなんて、そんなことは真司には出来ないけれど、それでも。
ライダーの一人として、自分の叶えたい願いの為に戦う事くらいは、出来ると思うから。

「変身!」

二人の声が、重なる。
同時に叩き込まれたカードデッキが、二人の身体を一瞬で騎士の鎧に包み込んだ。
鏡に映っているのは龍騎とナイトが並び立つ姿。
真司からすれば幾度となく見た光景であるが、しかし此度異なるのは、自身が纏うのが龍騎ではなくナイトの鎧であること。

どことなく違和感を覚えもするが、しかしそれ以上に抱くのは心強さの方が上だった。
何故ならいつだって、この二人で戦えば負けないと、そう思えたから。
自分の纏う鎧の差など些細な問題にすら思えるほどに焼き付いた光景を今一度その瞳に映しながら、ナイトはそのデッキからカードを一枚引き抜く。
青い疾風の中に金色の片翼が描かれたそれを胸の前に掲げれば、瞬間吹きすさぶは周囲を取り巻く突風だ。

849 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:11:24 ID:j4oSyUAM0

ガタックが、カッシスが、そしてアークでさえ思わず注意を引きつけられる中、龍騎もまた同じように一枚のカードを胸の前に翳す。
先ほど真司より受け取ったそれは、麗奈の『生』への願いを込めた烈火となり、いつしか龍騎だけでなくカッシス達でさえ巻き込むように燃え上がる。
風は炎をより高く、熱く燃え上がらせ、炎は風をより強く、速く吹けと焚き付ける。

互いに互いを高め合ったそれらはいつしか、自身の主をも飲み込んで――。

――SURVIVE

二重に放たれた電子音声と共に、二人の身体は自らの炎と風から解き放たれる。
二人の剣の一振りで、風は止み、炎は鎮火する。
瞬間そこに立っていたのは、最早それまでの彼らに非ず。

龍騎の身体は、その身を包む炎にさえ負けないほど赤く染め上げられ。
ナイトの身体は、真司の純粋な願いを読み取ったように青く……しかし誰よりも強く。
仮面ライダー龍騎サバイブと、仮面ライダーナイトサバイブ。

それは、願いの為に戦い続ける覚悟を決めた戦士の為の新たな力。
ただ漫然と生き長らえるのではなく、自分らしく『生きる』為に戦う彼らの為の力。
そして、自分自身を勝ち得る為に茨の道を進まんとする、彼らの為の力だった。

「――しゃあ!」

ナイトの掛け声と共に、それぞれの得物を構えた二人は、今まさしくそれぞれの果てなき希望の為に、戦いの中に飛び込んでいった。


【二日目 朝】
【G-3 橋】


【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】意識統合、疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダー龍騎サバイブに変身中、仮面ライダードレイクに1時間55分変身不能
【装備】ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト、龍騎のデッキ+サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、
【思考・状況】
基本行動方針:自分の中に流れる心の音楽に耳を傾ける。
1:乃木を倒し、リュウタの仇を取る。
2:西病院に戻り仲間と合流する。
2:皆は、私が守る。
3:仲間といられる場所こそが、私の居場所、か。
【備考】
※人間としての人格とワームとしての人格が統合されました。表面的な性格はワーム時が濃厚ですが、内面には人間時の麗奈の一面もちゃんと存在しています。
※意識の統合によって、ワームとしての記憶と人間としての記憶、その両方をすべて保有しています。
※現状、人間時の私服+ワーム時のストレートヘアです。



【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版、美穂とお好み焼を食べた後
【状態】強い決意、翔一、士への信頼、ダメージ(小)、疲労(中)、美穂と蓮への感謝、仮面ライダーナイトサバイブに変身中、仮面ライダー龍騎に1時間55分変身不能
【装備】ナイトのデッキ+サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
基本行動方針:仮面ライダーとして、みんなの命を守る為に戦う。
1:目の前の怪人(アークオルフェノク、カッシスワーム)と戦う。
2:西病院に戻り仲間と合流する。
3:間宮さんはちゃんとワームの自分と和解出来たんだな……。
4:この近くで起こったらしい戦闘について詳しく知りたい。
5:黒い龍騎、それってもしかして……。
6:士の奴、何で俺の心配してたんだ……?
7:自分の願いは、戦いながら探してみる。
8:蓮、霧島、ありがとな。
【備考】
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解していますが、翔太郎からリュウガの話を聞き混乱しています。

850 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:11:42 ID:j4oSyUAM0



【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、精神疲労(中)、アマダムに亀裂(進行)、ダグバ、キング@仮面ライダー剣への極めて強い怒りと憎しみ、仲間の死への深い悲しみ、究極の闇と化した自分自身への極めて強い絶望、仮面ライダーガタックに変身中
【装備】アマダム@仮面ライダーディケイド 、ガタックゼクター+ライダーベルト(ガタック)@仮面ライダーカブト、
【道具】アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、ガイアメモリ(スカル)@仮面ライダーW、変身音叉@仮面ライダー響鬼、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ディスクアニマル(リョクオオザル)@仮面ライダー響鬼、士のカメラ@仮面ライダーディケイド、士が撮った写真アルバム@仮面ライダーディケイド、ユウスケの不明支給品(確認済み)×1、京介の不明支給品×0〜1、ゴオマの不明支給品0〜1、三原の不明支給品×0〜1、照井の不明支給品×0〜1
【思考・状況】
0:目の前の怪人たちに対処する。
1:一条さん、どうかご無事で。
2:これ以上暴走して誰かを傷つけたくない……
3:……それでも、クウガがもう自分しか居ないなら、逃げることはできない。
4:渡……キバット……。
5:もし本当に士が五代さんを殺していたら、俺は……。
【備考】
※アマダムが損傷しました。地の石の支配から無理矢理抜け出した為により一層罅が広がっています。
自壊を始めるのか否か、クウガとしての変身機能に影響があるかなどは後続の書き手さんにお任せします。
※ガタックゼクターに認められています。
※地の石の損壊により、渡の感情がユウスケに流れ込みました。
キバットに語った彼と別れてからの出来事はほぼ全て感情を含め追体験しています。
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※ギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。



【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第44話 エリアZ進撃直前
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)
【装備】なし
【道具】ブラックファング@仮面ライダー剣
【思考・状況】
0:自身の力を示し、間宮麗奈を殺す。
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
【備考】
※もう一人の自分を吸収したため、カッシスワーム・ディアボリウスになりました。
※これにより戦闘能力が向上しただけでなくフリーズ、必殺技の吸収能力を取り戻し、両手を今までの形態のどれでも好きなものに自由に変化させられる能力を得ました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュ、暗黒掌波動の三つです。



【アークオルフェノク@仮面ライダー555】
【時間軸】死亡後
【状態】ダメージ(中)
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
1:参加者は見つけ次第殺していく。
2:同族に出会った時は……。

851 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:11:59 ID:j4oSyUAM0





「はぁ……はぁ……はぁ……!」

時をほぼ同じくして、三原修二は先ほど自分たちがいた橋のすぐ近くにまで、既に戻ってきていた。
理由は、自分にも分からない。
ただ自分だけ何も出来ないまま蚊帳の外で、ただ自分だけ何も関わることもなく誰かの命が終わっていくのが、無性に嫌だった。

「って言っても……何が出来るんだよ……」

ずっと関わりたくないと思っていたはずなのに相反する行動を取っている自分に驚きを感じつつも、三原は誰にともなく愚痴を吐いていた。
何もせずに終わるのが嫌だと言っても、今更何か自分に出来ることがあるのだろうか。
向かってくる最中も幾度となく考えながらも未だ答えの出ないそれに対し、視線の先にある想像を絶した戦闘がその疑問を決定的なものにする。

戦っている仮面ライダーらしき戦士は三人。
中には龍騎のようなライダーもいるが、しかしその実力は自分の知るものより遙かに上だ。
デルタさえない今の自分が、助けになれる物だろうかと、そう二の足を踏みかけて――。

――その背中に、強い衝撃を感じた。
瞬間力なく項垂れた三原のズボンの裾から、大量の砂が吐き出されてくる。
オルフェノクによる灰化現象……ではない。

「――あー、危なかったー、死んじゃうかと思った」

唐突に前に向き直った三原が、彼の口で彼以外の言葉を紡ぐ。
彼の髪には紫のメッシュが走り、帽子や服装はいつの間にかストリート系のそれに変化している。
勿論これは、三原の特技などではない、そうこれは――。

(リュウタ!?お前、生きてたのか!?)
「うんまぁ、生きてたっていうのか、ちょっとわかんないけど。
……ねぇ、そんなことより修二、この身体、ちょっと借りるけどいいよね?」
(え、借りるって……)
「答えは聞いてない!」

無理矢理に問答を断ち切った三原……改めR三原の瞳は、やはりというべきか戦場を移していて。
これから先起こるだろう波乱を予想して、三原は心中で絶望の声をあげた。

852 夢に踊れ ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:12:13 ID:j4oSyUAM0


【二日目 朝】
【G-3 橋】

【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】強い恐怖心、ダメージ(小)、疲労(中)、仮面ライダーデルタに1時間55分変身不能、リュウタロスに憑依されている
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555、ランスバックル@劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE
【道具】草加雅人の描いた絵@仮面ライダー555
0:リュウタ、何やる気なんだよ……。
1:できることをやる。草加の分まで生きたいが……。
2:居場所とか仲間とか、何なんだよ……。
3:巨大な火柱、閃光と轟音を目撃し強い恐怖。逃げ出したい。
4:リュウタ……お前、やっぱり強いな……。
5:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
6:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやりたい。
7:リュウタロスの信頼を裏切ったままは嫌だ。
【備考】
※後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※三原修二は体質的に、デルタギアやテラーフィールドといった精神干渉に対する耐性を持っています。今抱いている恐怖心はテラーなど関係なく、ただの「普通の恐怖心」です。
※デルタギアを取り上げられたことで一層死の恐怖を感じたため、再度ヘタレています。



【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(極大)、ダメージ(極大)、頸椎から多量の出血(砂?)、決意、仮面ライダー電王(ガンフォーム)に1時間55分変身不能、三原に憑依中
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王、リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、デンカメンソード@仮面ライダー電王、 ケータロス@仮面ライダー電王
0:この身体、ちょっと借りるけどいいよね?答えは聞かないけど!
1:今の麗奈は人間なの?ワームなの?どっちでもないの?
2:良太郎の分まで生き残って、お姉ちゃんを守る。
3:大ショッカーは倒す。
4:モモタロスや良太郎の分まで頑張る。
5:キング(剣)って奴は僕が倒すけどいいよね?答えは聞いてない。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※自身のイマジンとしての全力発揮も同様に制限されていることに何となく気づきました。
※麗奈が乃木との会話の中でついた嘘について理解出来ていません。そのため、今の麗奈がどういった存在なのか一層混乱していますが、それでも一応守りたいとは思っています。
※上記の装備や道具などは憑依前にいた場所にデイパックごと置き去りになっていますが、表記の都合上このように記します。

853 ◆JOKER/0r3g :2019/06/17(月) 01:13:56 ID:j4oSyUAM0
以上で投下終了です。
今気付いたんですが、乃木の状態表から「カッシスワームディアボリウスに変身中」の一文が抜けてますね。
収録時には修正しておこうと思います。

その他で何か指摘やご感想などありましたらよろしくお願いします。

854 名無しさん :2019/06/17(月) 01:55:47 ID:E9PA1bEE0
投下乙です。

乃木といい、アークといい敵が強過ぎてどうすればいいんだこれ……と泣きたくなるような絶望感の中、奇跡的に脱落者0とは。本当に良かったよぉ……

サブタイからして真司に嫌な予感はしていたのですが、そんな予想に反してダブルサバイブとはまた熱い展開。しかしパワーアップした乃木と尺不足から解放されたアークはまだまだ油断ならない相手なので、どうなるか予想もつきません。

あと、ファムのブランクデッキが最後に真司の命を救う展開が美穂が少しでも報われたようでとても良かったです。次回も楽しみにしてます

855 名無しさん :2019/06/17(月) 05:22:47 ID:QyBOMIIE0
投下乙です!
圧倒的な強敵たちを前に、ライダー達が絶体絶命のピンチに陥るかと思いきや……ユウスケが駆けつけて、そして龍騎とナイトのサバイブが実現しましたか!
リュウタロスもどうなるかと思いきや、まさかその手があったとは! ただ、乃木やアークもかなりの強敵なので、まだまだ油断はできませんね……


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